宇宙戦艦YAM@TOガミラス戦役編   作:Brahma

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小マゼラン戦線で戦っていたドメル将軍がガミラスの首都バレラスに召還された。
一方、ヤマトは、銀河系を抜け、異次元回廊でバラン星まで行こうと試みていた。



第6話 ヤマト、異次元空洞と宇宙要塞を突破せよ

そのころガミラスの名将ドメルは、小マゼラン戦線にてガトランティス艦隊相手に善戦、いや敵を圧倒していた。ガトランティスはアンドロメダ星雲を制圧中で、小マゼラン雲にも侵攻してきていた。後に銀河系及び地球の侵略を試みることとなるガトランティスであるが、艦隊戦はそれほど強くない。

「敵艦隊接近。50宇宙キロ。」

「着弾しました。」

「第七戦闘団バーガー少佐、敵艦隊に楔を打ち込め。」

「了解。」

ガミラス艦隊は、ガトランティス艦隊に一点集中砲火をあびせ中央突破をはかった。

薄赤色の光条がガトランティスの駆逐艦、高速中型空母、大型空母の甲板と甲板の間を

貫いて次々爆発光と煙幕に変えていく。

「包囲して平らげろ。」

中央突破を図ったガミラス艦隊は背面展開を行い、たちまちのうちに円陣による包囲陣を築いた。ガミラス艦隊のすばやい攻撃と一転集中砲火により、ガトランティス艦隊は、円形回転砲塔によってガミラス駆逐艦を数隻沈めるものの、その10倍の艦艇が、艦載機デスバ・テーターを飛ばすこともできずに撃沈、撃墜されていく。

「敵艦隊の七割を殲滅。やつらは逃げるように退却していきます。」

ドメルは満足そうに戦況をみつめ、副官ハイデルンに

「お前の楽しみがなくなるな。」と笑いかけた。

「まったくです。」初老のハイデルンは、尊敬する司令官にわらいかける。

そのとき通信士がドメルに話しかける。

「ドメル司令、首都から入電です。」

「バレラスから?何だ?」

「ヒス副総統がでます。」

「ドメル、君に召還命令だ。首都で特一等デスラー勲章が授与される。」

「わたしは、前線指揮官です。わたしを召還してしまったら敵を利するのではありませんか。」

「総統にはお考えがあるようだ。後任者も決まっているし、君は二階級特進になって別の戦線に派遣されることも決まっている。」

「わかりました。帰還いたします。」

ドメルは5千隻の艦隊を率いて帰還した。

 

そのころ、銀河系外縁部をヤマトは航行していた。

「ワープ開始後、2秒経過。」

「!!何か様子がおかしいわね。」

「なんでワープ開始後からの時間が普通に測れるのかしら。」

「!!エンジンが停止した。亜美、真美どうなってるんだ??」

「まこちん、わからないよ。なんかエネルギーが吸われてる感じだよ。」

「なんか宇宙船の残骸のようなものがただよってますぅ。」

「なんか異次元空間なのかしら。昔の天文学者が、五億年前に大マゼラン雲が通過してすれ違ったときに水素ガスが噴出して離れていく銀河系との間に長い架け橋のようなものができた。秒速200kmのスピードで大マゼラン雲から銀河系へ向かって流れているんだけど、その逆に銀河系から大マゼラン雲から流れている流れがわずかにあるの。その流れにのって大マゼラン雲まで行こうと考えていたんだけど...。」

「律子、そのマゼニックストリームには、正体不明の空洞があるという説もあったわね。今確認するのは、現在の座標が予定地点なのか確認する必要があるんじゃないかしら。」

「そうですね。マゼラニックストリーム近傍へ抜けるというのは、地球にいた時点で計算した座標だから...アナライザー、現在位置を特定して。」

「現在座標、銀径20度5分、銀緯マイナス10度7分デ地球カラ4万1000光年ノ位置デス。

異次元空間ノセイカコレ以上正確ナ座標ハ示セマセン。」

「計算は間違っていなかったようね。マゼラニックストリームの位置が地球観測時とずれたと考えるしかないわね。」

 

そのころヤマトが異次元空洞にはまったことを知ったガミラス艦隊が接近していた。

「航海長。ヤマトの異次元空洞はこの近くのはずだろう?。」

「ゲール司令。ヤマトは我が艦隊の前方6000宇宙キロの異次元空洞にいます。」

「ヒス副総統からドメルが召還されたと聞いた。シュルツの敗戦の責任を問われる前にヤマトを倒さねばならんのだ。全艦密集隊形で続け。」

「ヤマトまで300宇宙キロ。射程距離に突入しました。」

「よし。全艦隊主砲斉射。」

 

「後方よりガミラス艦隊、主砲斉射してきます。」

「総員戦闘配置。砲雷戦用意。波動防壁展開。反転180度。」

ガミラスの主砲を波動防壁で防御しつつ、ガミラス艦隊を迎え撃つ。

「ガミラス艦隊が来たということはどこかに空洞の出口があるはず。逃げる方向へ着いていけば脱出できるはず。」

ヤマトのショックカノンの光条は次々とガミラス艦隊を貫き、引き裂き四散させていく。

 

「うぬぬ。なんという攻撃力だ。」

 

「ガミラス艦隊に告ぐ。これ以上戦うのは無益である。降伏されたし。」

 

ガミラス艦隊は、旗艦を含め、ついに二艦まで撃ち減らされた。ゲールはこの状況からどうすればいいか打算をめぐらす。

「脱出だ。引き返せ。」

「ヤマトがぴったりついてきます。」

「もっとスピードをあげるのだ。」

「これ以上スピードを上げるとエネルギーの消耗でこの空洞から脱出できなくなります。」

「うぐぐ。」

「司令。ヤマトは撃ってきません。おそらくこのまま無事に抜けられるかと。」

「通常空間に抜けたらただちにワープだ。こんどこそヤマトを沈めてやるのだ。」

 

「通常空間に抜けられました。ガミラス艦隊ワープします。」

「追わなくていいわ。現在座標を確認して航路の設定をして。それから敵基地のありそうな場所を探索して。」

「航路の設定をします。マゼラン雲方面への亜空間回廊にはいるには100光年先になります。」

「その地点に何もなければいいんだけどね。ワープ終了後、ただちに総員戦闘配備ね。」

「ワープ準備、各自ベルト着用。ワープ目標亜空間回廊入り口、10秒前,9,8,7,・・・0、ワープ。」

 

「ワープ終了。座標確認、目標地点に到達。」

「波動エンジン以上なし。」

「艦の損傷認めず。」

「千早、タイミングに誤差がなくなってきたわね。」

「はい。艦長、律子さん。おかげで艦の損傷やエンジンへの負担をかけずにすむようになってわたしもうれしいです。」

「前方500宇宙キロにサツマイモ状の物体二基がありますぅ。」

「やな予感がするわね。ステルス探査装置を発射しなさい。」

「ステルス探査装置、発進させます。」

「ステルス探査装置の様子をおってみて。」

探査装置は、一対のサツマイモ状の物体について、50kmまで接近し、縦1km、幅300mであることを伝えてきたがやがてばらばらになって爆発した。

 

「探査装置の様子を動画で記録してみました。」

「どう?春香?」

「なんか継ぎ目が外れてばらバラになっている感じですね。」 

「亜空間回廊の入り口を守るガミラスの宇宙要塞で、マグネトロンウェーブを発信していると思われます。」

「あそこを通過するかしないかによって日程に大幅な差がでるわ。律子、なんとか処理してもらえない??」

「すでに継ぎ目のないシームレス戦闘機を製作しました。」

「アナライザーは継ぎ目があるからつれていくわけにはいかないわね。小鳥、何かあるといけないから律子に護衛でついていってあげて。」

「はい。わかりました。」

 

シームレス戦闘機にもかかわらず、接近するとマグネトロンウェーブの影響で機体のがたつきが感じられる。

「射程距離にはいったわ。小鳥さん、あの孔に機銃を打ち込んでみて。」

「はい。」

機銃を発射すると、孔はシャッターでしまる。

「やはり...外からの攻撃があれば、それに反応してシャッターがしまる仕掛けになってるってわけね。そうなると内側からの破壊するしかないわね。」

二人と一台は、「サツマイモ」要塞の孔のうちひとつにシームレス戦闘機を接舷させて内部にはいっていった。通路は腸の内部のようにひだがある。

「小鳥さん!」

みると伝説の首なし騎士「デュラハン」のような監視ロボットが通過していく。

全体は、銀色のよろいをまとったように見えるので、「デュラハン」のようなイメージだが、首を斬った痕のようなものはなく、胸がやたらにおおきく、頭部をかねたように見える。胸には、ひし形を細くしたような黒色の部分が逆ハの字というかV字状に二箇所あり、丸いモノアイがうごいている。全体的な形は、某国民的人気アニメのジオン軍のスゴックに中世ヨーロッパ騎士のフルプレートを着せたらこうなるみたいな姿をして、両腕には三またの鋭いツメをもっている。

小鳥はあわてて、「デュラハン」の死角になる通路に隠れた。

通路を延々と歩いているうちに律子はコンピューターの回路のような構造であることに気がつき始める。

1時間ほどたったであろうか。

「律子さん。」と小鳥が叫んで、「デュラハン」を銃撃して倒す。

「あぶなかった...ありがとう小鳥さん。」

「いいえ、どういたしまして。それより律子さん、もうかなり歩いてますけど...」

「小鳥さん、どうやらこの通路の配置から考えてコンピューターの構造のようになってるみたいだと気がついたの。この要塞の動力源の場所がわかってきた。」

律子が右側へ数メートルいくと広い空間に出た。中央部にまるいものがあり、ボイラーパイプかエネルギー伝導管のようなものがうにのとげのように数十本「生えて」いる。

そこへ接触しようとすると警報がなった。例の「デュラハン」を呼び寄せる警報に違いなかった。律子はすばやく時限爆弾をつけると

「小鳥さん、これにこれまでの通路と近道が記録してある。「デュラハン」の位置もわかるから脱出するわよ。」律子は小鳥にスマホよりやや大きいくらいのタブレットを見せる。

「はい。よろしくお願いします。」小鳥は律子に返事をしてついていくことにした。

幸いにも「デュラハン」は動力源の部屋に集まってくるだけで外へは出てこない。

律子と小鳥は、通路を右、左、右、右、左と巧みに「デュラハン」をさけてついに出口についた。シームレス戦闘機はみっつほど離れた孔に接舷されていた。

「壁に沿って宇宙遊泳ね。」

二人は宇宙遊泳してシームレス戦闘機に乗り込む。

律子は腕時計をみながら「あと3分ほどで爆発するわ。」

「発進します。」小鳥は操縦席ですばやく操縦桿をにぎってシームレス戦闘機を発進させた。

「ふたりから通信ですぅ。」

雪歩がうれしそうに第一艦橋の面々に伝える。

「秋月律子、音無小鳥、時限爆弾の設置に成功しました。これから帰還するところです。」

しばらくして一対の「サツマイモ」状の要塞は煙をはきながら大爆発をおこして炎上した。

 

「ゲール司令、宇宙要塞13号と14号が突破されました。」

「何!!」

「ヤマトは、あそこからいっきにバラン星に向かってくるもようです。」

「回廊出口でヤマトを待ち構えるのだ。バラノドン特攻隊、準備せよ。」

「ははつ。」

 

要塞がなくなったあとには、そこが亜空間回廊の入り口であることを示すフラフープのような円形の構築物のみが残されていた。

「それでは、亜空間回廊を使って一気に三万光年ワープするわ。各自ベルト着用。

それからあの要塞が破壊されたことはガミラスにも知られてるでしょうから出口で奇襲があるかもしれないわ。第一種戦闘配備で。」

ヤマトは、亜空間回廊にはいっていった。そして出口で目前にバラン星を望むことになる。

 




異次元回廊の入り口に敵が侵入しないよう、ガミラスはマグネトロンウェーブを発する宇宙要塞を配置していましたが、ヤマトはそれを突破しました。ドメルの派遣に伴い、いよいよ召還が近くなったゲールが必死に最後のわなを用意して待ち構えるバラン星に到着します。

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