宇宙戦艦YAM@TOガミラス戦役編   作:Brahma

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いよいよガミラス冥王星基地攻略に向かうヤマト。波動砲をつかって一発でという意見も出たが、舞は、波動砲を使わない選択をするという意外な一面を見せる。
そんなヤマトを待ち構えるガミラス冥王星基地はおそるべき兵器をもってヤマト撃滅を図る。
それは、「反射衛星砲」といい、反射板搭載衛星を用いてどこへ逃げても攻撃可能という、死角のない罠というべきものだった。



第4話 ガミラス冥王星基地の敗北

その頃ガミラス冥王星基地では...

「ヤマトが土星ヤペトゥス基地を破壊後、ワープしたもよう。」

「ヤマトはおそらくこの冥王星基地へ向かってくるだろう。かれらの地球をあのような星にしたのだからな。」シュルツはつぶやく。

そのとき、メインパネルにいかにもどら声でほお骨と無精ひげが目立つあまり上品とはいえない男の顔が画面に映し出された。

「わしは、銀河系方面軍司令、ゲールである。ヤマトは必ず冥王星基地をたたきに来るだろう。君たちがそれを撃破して総統への忠誠を見せるのだ。」

「われわれザール人も総統への忠誠にかけては、純血ガミラスの方々にひけはとりません。」

「がはは。わかった。吉報を期待してるぞ。デスラー総統万歳。」

「デスラー総統万歳。」シュルツも最後の総統万歳のみは唱和する。

「やつは、戦果を自分の手柄として報告するでしょうね。」

「そうであっても戦わねばならん。反射衛星砲発射準備。」

「反射衛星4号、リフレクター展開。修正5度」

「反射衛星7号、リフレクター展開。修正4度」

「岩塊072号に照準固定。反射衛星砲発射。」

反射衛星砲の光条が命中すると平たい形をした岩塊は火を噴きながら太陽方面に向かって飛来しはじめた。

 

ヤマトは無事に冥王星空域にワープアウトしたところだった。

「ワープ終了。」

「エンジン異常なし。」

「火器管制異常なし。」

「カイパーベルト天体、F9393ガ軌道ヲハズレ、内惑星軌道ニ向カッテ飛来ヲ開始。遊星爆弾デス。」

「悪魔め。」と舞はつぶやいた。

「30宇宙キロの範囲内に敵影なし。」

 

「冥王星基地攻略作戦を開始します。航宙隊アルファーは北半球を、ブラボーは南半球を偵察してください。航宙隊の指揮は天海さんにまかせます。」

「アルファー分隊、ブラボー分隊発艦します。目標発見まで通信管制。ECM起動。各分隊、成功を祈ります。」

「ラジャー。」

 

しかし、この様子をガミラス偵察衛星がとらえていた。

「シュルツ司令、ヤマトが接近してきます。赤道面で28宇宙キロです。」

「反射衛星砲発射用意。」

「薬室内圧力上昇。」

「反射衛星2号、リフレクター展開。修正3度」

「反射衛星6号、リフレクター展開。修正5度」

「反射衛星21号、リフレクター展開。修正4度」

「反射衛星砲発射30秒前。」

「「反射衛星砲発射。」

氷に包まれた湾内からうす赤い光条が飛び出して、反射衛星に到達すると鏡が光を反射するように光条が反射される。それが数回繰り返され、ヤマトに向かってきた。

「エネルギー反応。これは大きいです。」

艦内に轟音が響いた。

「波動防壁が貫通され、左舷に被弾。」

「3時方向からの敵のロングレンジ攻撃と思われます。」

「弾道解析して。」

「弾道解析しました。敵の艦影なし。死角と思われる位置へはいります。」

「いやにデブリのようなものが多いわね。アナライザー解析して。」

「了解。」

 

「敵に息つく暇を与えるな。反射衛星砲発射。」

再び衛星の反射板が鏡のように光条を反射し、それ数回繰り返され、ヤマトに向かってくる。

 

「デブリト思ワレタモノハ、敵ノ人工衛星デス。エネルギーヲ反射、中継シテコチラヲ攻撃シテクルモヨウデス。」

「なにか昔のアニメで見た「バベルの光」と「しもべの星」のようね。衛星の数が多いから実質この空域には死角がない。どの衛星をつかうのか見極めないと防げないわね。」

「発射の信号と砲台の位置を特定できないかしら。」

「また、光学エネルギー接近。先ほどの攻撃と同じ光線砲です。」

「千早ちゃん、コースターン」

「はい。」千早は船体をずらし、そのすぐ脇を反射衛星砲のうす赤い光条が通過した。

「アナライザー、次の発射信号を確認して。」

「了解。発射信号捕ラエマシタ。水瀬サン、中継衛星ノ座標送リマス。」

「了解。一番砲塔、発射信号で指定された衛星に向けて発射。続いて2番砲塔その付近の衛星へ向けて発射。」

ショックカノンの光条が、うす赤い光条を中継しようとした反射衛星を火球に変え、その周囲の衛星も火球に変えた。その模様が冥王星基地のスクリーンに映し出される。

ガミラス冥王星基地では、シュルツは唇をかみ締めていた。

「ヤマトめ。もう反射衛星を発見したのか。」

「ですがやつらはまだ反射衛星砲の砲塔は確認できていない模様です。」

「やつらの射程外から攻撃してやる。」

「反射衛星砲、発射準備。反射衛星103号、リフレクター修正5度、125号、リフレクター修正3度、112号、リフレクター修正4度。143号、リフレクター修正1度。」

「薬室内圧力上昇。発射30秒前。」

 

「発射信号ヲトラエマシタ。弾道解析完了。コチラノ射程外カラネラッテクル模様。最後ノ反射衛星ハ7時ノ方向。」

「了解。」千早は船体を動かして反射衛星砲の弾道をたくみにかわした。

「春香さん、アナライザーさんに解析してもらったこれまでの弾道解析データを送りますぅ。砲台の位置を特定してほしいですぅ。」

「天海サンニコレマデ発射サレタ弾道解析データヲ送リマス。」

「了解。」

「北緯45度、西経30度付近の氷結した湾内付近にあると思われます。」

 

一方、ガミラス冥王星基地

「敵が砲台の位置を絞り込んできたようです。」

「うぬぬ。迎撃機を発進させろ。」

 

「前方、2時、「オーロラ」内から敵迎撃機5機出現。敵基地が近くにある模様。」

「小鳥さん、ブラボー分隊で北緯45度、西経30度付近の氷結した湾内にビーム砲台がないかさぐって。わたしは、「オーロラ」の内部に敵基地がないかさぐります。」

「了解。ブラボー、北緯45度、西経30度付近に向かいます。」

 

春香はオーロラのある方向に岩の隙間を発見し、コスモゼロで低空飛行し入り込んでいく。

「警告、警告、計測不能のエネルギー反応あり。」

一瞬、視界が白くなり、再び開けると、青黒色のキノコのような建造物が林立している空間に出た。その周囲には8箇所の「街灯」のような施設がみられる。春香とアルファー分隊は、その「街灯」へ向かってミサイルを発射し、次々に破壊していく。

「こちら天海、敵基地発見。北緯47度50分6秒、西経32度32分7秒。アルファーの火力じゃ足りません。ただいま敵陸攻と交戦中。」

 

「ステルスシールド発生装置が破壊されました。」

「司令。ここにいては危険です。脱出しましょう。」

「ぐぬぬ。」シュルツは部下たちとともにドッグへ向かって姿を消した。

 

一方で、ブラボー分隊は、反射衛星砲が発射される瞬間を捉えた。

「敵ビーム砲台からただいま発射反応。座標送ります。」

「にひひっ。いよいよ天才砲手伊織ちゃんの出番ね。狙点固定。目標敵ビーム砲台。主砲発射。」

ショックカノンの光条は反射衛星砲台に命中し、爆発光と煙がもくもくと広がった。

「ビーム砲台のエネルギー反応消失。破壊に成功した模様。」

 

「ブラボー、敵基地攻撃に向かいます。」

「これから最大射程で主砲発射準備にかかります。アルファー、ブラボーはただちに帰還しなさい。」

「アルファー、ブラボー、帰還します。ただいま敵基地より1宇宙キロ」

「北緯47度50分6秒、西経32度32分7秒。狙点固定。主砲発射。」

爆発光と煙が立ち込めた。ガミラス艦が脱出しようとするが基地の爆発に巻き込まれて30隻が火球に変わり、脱出に成功したのはわずか4隻であった。

「敵艦発見。戦艦1、巡洋艦1、駆逐艦2」

「主砲発射。目標敵駆逐艦。」

ガミラス駆逐艦がショックカノンに貫かれ、火炎と煙に包まれる。

「敵巡洋艦向かってきます。」

「うーぬ。伊織ちゃんの本気を見せてあげる。2番砲塔、敵艦橋に狙点固定。発射。」

 

必死に砲撃するヤレトラー艦は船体と艦橋を貫かれた。

「ぎゃああああーーーー。」

舞は勇敢な敵副将の艦に敬礼した。

 

一方、冥王星基地旗艦からその様子見ていたガンツは「ワープせよ。」と命じて、シュルツの冥王星基地旗艦はワープし戦闘区域から消えた。

 

「これで冥王星基地は終りね。もう地球に遊星爆弾が落ちることはない。これから地球から5.9光年のバーナード星にワープします。」

「ワープ準備、各自ベルト着用。」

 

「ワープ終了。バーナード星まで40宇宙キロ。」

「前方、宇宙機雷デス。ヒトリデニ近ズイテキマス。」

「機雷と機雷の間にも電磁波が出ているわね。それに引っかかったらヤマトは、爆発してしまうわ。」

「この機雷はなんらかの信号で動いているようです。コントロールする機雷があると思われます。わたしとアナライザーで探ってみます。」

「律っちゃん、おねがいね。」

 

5分後

「如月さん、右5度」

「右5度。ヨーソロー。」

「艦尾気持ち上げ。左2度。」

「艦尾上げます。左2度。ヨーソロー。律子さん、どんどん機雷が接近してくるわ。コントロール機雷はまだ発見できませんか。」

「こちら秋月。まだ発見できないわね。ただし、電波が強くなっているわ。」

 

7分後

「コントロール機雷発見。宇宙遊泳で接近します。」

「艦首上げ。左4度。」

「艦首上げ。左4度。ヨーソロー。」

「コントロール機雷の電波発信源確認。解体します。」

作業が開始されてから2分が経った。

「発信機解体成功。」

「機雷がとまったわ。でもこのままでは進めないわね。」

「律子さんとアナライザーがさわってなにもなかったのなら、人間が触っても爆発しないのでは?」と千早がつぶやく。

「艦長、わたし行って来ます。戦闘班で手のすいている人は船外活動で機雷の移動お願いします。」

「秋月技師長、春香さんが機雷除去に向かうということですぅ。」

「春香、ありがとう。技術班も連れて行ってもいいわよ。」

「律子さんありがとうございます。技術班の方もよろしければお手伝いをお願いします。わたしについてきてください。」

「こちら真。機関部で手のすいている人は、機雷の移動おねがい。」

こうしてヤマトは機雷原を突破したのだった。




ガミラス冥王星基地攻略に成功し、バーナード星宙域にはられたデスラー機雷の機雷網を突破するヤマト。しかしガミラスの総統デスラーは自ら作戦をたててヤマトを待ち構える。
ちなみに律子のいう「昔のアニメ」とは、ジュール・ベルヌの『海底二万マイル』を元に大のヤマトファンの方が作った例の作品ですw。

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