宇宙戦艦YAM@TOガミラス戦役編   作:Brahma

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通信カプセルを防衛軍司令部にもちこんだ天海春香と如月千早に出頭命令が伝えられる。
まもなくしてヤマトはガミラスに発見され、上空にガミラスのポルメリア級空母が現れ、艦載機に攻撃される。実は冥王星基地からも惑星間弾道ミサイルが発射されていた。主砲で空母を撃沈し、間一髪で惑星間弾道ミサイルを破壊したヤマトは、いよいよ14万8千光年の旅に旅立つ。


第2話 ヤマト発進、往路14万8千光年への挑戦!

病院で診察を受けていた春香と千早に出頭命令が伝えられた。

二人は迎えの無人反重力車に乗ろうとすると、

白衣を着た美女が乗り込もうとする。

「三浦先生?あなたも司令部に呼ばれたんですか。」

美女は「そうなんです。いっしょに乗せてくださいますか。」

「はい…」千早はしかたないとばかりに生返事をしていると

「ワタシモノセテクダサイ。オモシロソウデス。」とアナライザーが乗り込んできた。

「アナライザーさんは、乗れないと思うけど^^;。」と春香が言うとアナライザーは、体を分解し、

「コウスレバノレマス」と乗り込んできた。

千早は「いくわよ。」と操縦桿を握ってエンジンをふかした。自動ナビゲーターの画面を見ながら操縦していく。反重力車が止まるとその前にエレベーターのようなものがあるので、三人とロボット一台はそのエレベーターに乗る。

エレベーターの自動ドアが開いて三人と一台が降りた場所は上下左右が金属でできた廊下のような場所であった。しばらく歩くと自動ドアが開き目の前に広い空間が広がっていた。

窓際には精密機器がひしめくようにならび、イスが数脚ならんでいる。

「天海さんに如月さんだっけ。来たわね。」

目の前に現れたのは、ウエーブがかかった栗色の美しい長髪でりんとした美しい女性であった。

「宇宙戦艦ヤマト艦長の日高舞よ。あなたたちに来てもらったのはこの艦に乗り組む任務につくよう選ばれたからなの。二人とも私の指揮下に入ってもらうわ。」

「艦長。この艦はもう完成しているんですか。」と春香が尋ねると

「波動エンジンの取り付けと点検があるわね。一番大事な最後の仕上げってこと。」

「例の通信カプセルから解読したエンジンですね。」

「そう。問題はこのエンジンを地球人に使いこなせるかどうかね...」

そのときビイーッツビィーッツと警報音が鳴った。

「ガミラス空母が降下中。艦載機を20機発進させました。さらに発進を試みている模様。」

「メインスクリーンに投影。」

メインスクリーンには、四つの突起をもつ円盤状の物体が映し出される。円盤の底部が開閉してブーメラン上の艦載機が射出されていた。後にポルメリア級として知られることとなるガミラス空母であった。

「いままでなんとかごまかしてきたけど気づかれちゃったみたいね。」

舞はそうつぶやきながらメインスクリーンをながめていたが、

「主砲発射用意。艦載機は無視して、ガミラス空母を狙いなさい。」

「仰角55度、方位角右25度、地球自転自動追尾装置セット2分前。ショックカノン動力接続90%」

「3番砲塔、仰角が0.0002度くるっています。落ち着いて狙ってください。」

「作業員なので、慣れていないものでして...」

「天海さん、訓練学校で砲撃訓練を受けてるよね。主砲撃って。」

舞の問いに春香は「はい」と答え、砲術席に座った。

「三つの数字が表示されるから合わせればいいの。標準器の扱い方は訓練をうけたとおり。」

「これほど大きなものを扱ったのは初めてなのですが...」

「おちつけば撃てるから。」

「ガミラス空母、距離10万キロ、1.5宇宙ノットで移動。自動追尾よし。発射用意完了。」

「主砲発射。」

三連装ショックカノンの光条はうなりをあげガミラス空母を貫いた。

次の瞬間ガミラス空母は「グオオオオ~ン」と大爆発を起こして、爆発音と煙がひろがった。

「天海さん、如月さん、明日0900時に再びヤマトに集合してね。もう猶予がないから。明日が出航ね。」

「はい。」春香と千早は唱和してヤマトを退出した。

翌日、舞は集合者をみわたして「昨日までに集合するよう命令された人で来てない人はいる?」とそばの士官に尋ねた。「脱落者はいません。皆集合しています。」と返事がある。

「日高艦長。」春香と千早は舞に呼びかけた。

「天海さんに如月さんね。二人ともうれしい知らせがあるの。天海さんは大尉に昇進。戦闘班長よ。如月さんも昇進。大尉として航海班長ね。」

「はい。全身全霊でがんばります。」と二人は答えた。

「紹介するわね。ゆっきー、じゃなかった、通信班長の萩原雪歩大尉。彼女は見かけはすごくおとなしい感じだけど萩原組のご令嬢で、戦車道西住流群馬支部で戦車長と通信手を兼任で活躍したあと訓練学校の通信部門を主席で卒業した逸材よ。」

紹介された女性士官は、やや長めのボブカットでおとなしくて気の弱そうで清純という文字をそのまま人間にしたような印象である。戦車道で指揮官として活躍したようには見えない。

「訓練学校以来ね。」「うん、春香ちゃん、千早ちゃん。ヤマトでもよろしくね。」

と雪歩は二人に敬礼した。

つぎに舞は、おでこの目立つ長い髪のやや小柄の女性士官を紹介する。眼光がするどいが春香や千早よりもやや年下に見える。

「戦闘副長で砲術長の水瀬伊織中尉。水瀬コンツェルンのご令嬢なんだけど訓練学校を志願したの。彼女も砲撃についてはつねに3位以下に落ちたことがないという逸材なの。」

「金持ちの娘だからといって甘えていられないわ。さすがに白兵戦は無理だけど地球のために女だって戦えるってところを見せたいの。よろしくね。」

「白兵戦技はわたしもむりですぅ。女性士官は訓練学校では選択制だったからわたしは陸戦工兵演習をとりましたぁ。」

「そうね。わたしも白兵戦技はとらなかった。男性は必須科目だけどぎりぎり合格で卒業の人が多いみたいだし。操縦、運送、補給、戦史、機動部隊指揮演習は得意科目だったけど、砲撃と総合戦闘指揮演習は春香のほうが成績よかったわね。」

「総合操縦演習は千早ちゃんがダントツだったね。」

千早は苦笑する。春香は戦闘機操縦演習以外は操縦系がまったくダメでレッド法九春香の異名までとっていた。戦闘機も愛機であるコスモゼロ以外に乗るとたちまち操縦があやしくなるので、コスモゼロ以外乗らないようにといいわたされ、実際春香はコスモファルコンや探査艇は操縦したことが(というよりは操縦させてもらえ)ない。

二人がそんな会話をしながら雪歩と伊織に敬礼を返していると、イケメンといってもいい「男性」が近づいてきた。

「ボクは機関長の菊地真。よろしく。」

「真クンはボーイッシュだけど実は女の子なのよね。機関部の専門家だけど武道や白兵戦技の成績はすこぶるよかったって聞いてるわ。」と舞は紹介する。

「よろしくおねがいします。」と春香と千早は答礼する。

そのとき「あら、また会ったわね。」と眼鏡と二つの三つ編みをした理知的という文字が歩いているような女性が近づいてきた。

「秋月中佐ですね?」

千早が律子に呼びかけると

「如月大尉と天海大尉ね。この度、ヤマト技師長に任じられた秋月律子よ。よろしくね。」

「二人とも、実は律子は、冥王星会戦で活躍したんだから。」と舞は春香と千早ににやにやしながら話しかける。

「お聞きしました。小惑星に反重力反応機をつけてガミラス艦隊を誘導してふくろだだきにしたとか。」

「あの作戦を指揮したのは艦長です。わたしは手伝っただけ。」と律子は答えるが、舞がすかさず、「なにいってるの。「こんなこともあろうかと」とにやにやしたのはどこの誰よ」

舞は軽く笑って律子を見ると、律子も舞に(この人にはかなわないわね)と苦笑を返した。

「さて出航準備よ。それぞれ席について。」

舞がそう命じたとき、警報がなった。

雪歩が「地球防衛軍司令部より緊急通信です。日高艦長、レーダーが外惑星軌道を通過して地球に接近する巨大な物体を捕らえたとのことです。」

「何が飛んできたの?詳細な情報は?」

「金属質の硬い物体のようです。おそらく大型ミサイルと思われ、当艦めがけて飛んできているようだ、とのことです。」

「予想到達時間は?」

「1時間10分ほどとのことです。」

「そんだけ時間あるならかまわない、かまわない。発進準備!OK?」

「波動エンジン始動。シリンダー圧力上昇。エネルギー充填95%」

「エネルギー充填120%」

「サブエンジン点火。」

エンジンの唸りが聞こえてきたもののしぼんだように音が止まる。

「エンジンかかりません。」

「もう一度やってみる。さあ。」

エンジンの唸りがいったん大きくなるもののまた静かになりはじめる。

第一艦橋の空気が重くなったが、再びエンジン音が大きくなり、安堵の空気が漏れた。

舞は「ヤマト発進。」命じると

「ヤマト発進します。」と千早が復唱し、船体が前に持ち上がって、轟音をあげてヤマトは飛び立った。

「ミサイル、ヤマトまであと15分」と雪歩が伝えると

「一番砲塔、旋回、測的急げ。」と舞が命じ、

「ミサイルに標準あわせたわよ。」伊織が答える。

「主砲発射。」

三連装ショックカノンの光条は、ミサイルを貫いた。次の瞬間ミサイルは爆発し、爆音と大量の煙が空を覆った。

「大気圏脱出します。」千早がアナウンスする。

「なんとか無事に出航できたようね。」と舞はつぶやいた。そして

「これから、早速ワープテストね。今のヤマトの位置は?」といった。

レーダー手が「地球の衛星軌道上、10宇宙キロです。」と答える。

「真クン、ワープは可能?。」舞がたずねると

「波動エンジンは順調に動いてるよ。この調子なら可能だよ。」と真が

答える。

「ワープってなんでしょうか。」春香が質問する。

「単純にいえば超光速航法ね。光よりも速い速度で、航行する技術。これまで地球の宇宙船にはワープを行うだけのスペックのエンジンや船体がなかったけどこのヤマトの波動エンジンなら理論的に可能なの。」と律子が答える。

「如月さん、頼むわよ。」と舞は千早に命じる。

「はい。ワープ準備に入ります。」

「10時の方向にガミラス艦隊接近。20宇宙キロ。」

「ワープ20秒前。各自ベルト着用。」

千早の前にある画面上には、光点が横倒しの振り子のように上下に動いている。この光点が5本の空間曲線が交わる交点に重なった瞬間にワープするのである。

「10,9,8,7,6...」

「ガミラス艦より発砲反応。」

「この距離ならとどかない。ワープ続行。」

「3,2,1,ワープ」千早がアナウンスしたとき、宇宙空間からヤマトが消え数秒後にガミラス艦から砲撃された光線がその空間を走った。

 

さて、数分ほどさかのぼってガミラス艦の艦内では…

「ポルメリア級2番空母と惑星間弾道ミサイルを破壊した宇宙戦艦、2時方向に発見。」

「よし、砲撃しろ。」

「敵は20宇宙キロの位置にいます。」

「よし。主砲発射準備にかかれ。」

「照準固定。主砲発射準備完了。」

「発射。」

ガミラス艦から主砲が発射されると、幽霊のようにヤマトの姿が消失した。

「なに...消えただと。」

「確かに消えました。エネルギー反応も消えています。」

「物体が超光速移動を行った際に生じる痕跡が例の戦艦が確認された空間から検出されました。」

「なに!」ガミラス司令官の顔がこわばった。

「冥王星基地のシュルツ司令にデスラー総統に報告するよう伝えるのだ。いままでの地球の戦艦では考えられない。」

「ところであの戦艦の名前はわかったのか。」

「地球側の通信をわずかながら傍受した内容から「ヤマト」と呼ばれていると思われます。」

「ヤマトか...」ガミラス艦隊司令官はつぶやいた。

「「ヤマト」なる地球の戦艦がワープに成功。小惑星帯と木星の間にワープアウトするものと予想される、と伝えよ。」

「それから「ヤマト」を太陽系外へ出すわけにはいかん。冥王星空域で阻止するのだ。もっとも遊星爆弾の発射基地である冥王星基地をヤマトが見過ごすとは思えないが。」

「はつ。」ガミラス艦の通信士は上官から命じられたこの内容を復唱し、地球近郊で起きたこの出来事を冥王星ガミラス基地に知らせた。




冥王星基地からの巨大ミサイルを撃破し、地球の宇宙船としては、はじめてワープで光速を超えることに成功したヤマト。そのヤマトのワープをガミラスの前衛艦隊は冥王星基地に伝える。

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