フルメタルWパニック!!   作:K-15

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ラムダ・ドライバーの威力はガンダムの世界で見るとどれくらいの強さなのでしょう?
いろいろと調べたのですがはっきりとした情報が見つからなかったので、今回はこのような形にさせて頂きました。
ご意見お待ちしております。


第7話 闇夜のパーティー

電気も付いていない暗闇の倉庫でスーツを着た男が2人。

1人は顔に大きな切り傷があり、もう1人は片手に銃を握り誰も近寄りもしないこの場所でかなめを逃してしまった事の責任を追求した。

ミスリルと宗介の活躍により、修学旅行で沖縄に行こうとしていた陣代高校の生徒は、全員怪我もなく救助され今は平和に暮らしている。

銃を握る男はかなめを逃がす所か、あまつさえ勝手に戦線から離脱した事を怒っていた。

 

「ヘルマジスタンの失敗は知っている。ウィスパードを入手出来なかったのはお前が逃げ出したせいだ!」

 

「それで、今度も俺は失敗するかもしれないと?」

 

「逃げ出すようなヤツを信用出来るか!」

 

北朝鮮の軍部はこの男、ガウルンを傭兵として雇おうとここまで呼び寄せた。

ウィスパードの入手を諦めきれない軍部はもう1度かなめの拉致を計画していたが、ガウルンは前回の動きもあり信用されていない。

情報漏洩を防ぐ為にも、ガウルンに真相を問い詰めた。

だが黒光りする銃を突き付けられても、ガウルンはオモチャの銃と勘違いしていると思える程に余裕の態度のまま、諭すように男へ話す。

 

「アンタ、一瞬でも俺を信用していたのか?」

 

「お前は金で雇った傭兵だ。渡した金の分だけは仕事をしてもらわねばならい」

 

「そうか。金の分だけ仕事……ねぇ」

 

ガウルンはおもむろにスーツの胸ポケットへ手を伸ばし右手で何かを掴んだ。

握っているのは銃、それを取り出し照準を男の頭へ向け一瞬の迷いもなく引き金を引いた。

男が反応した時にはもう遅く、銃声が響き弾は頭蓋骨を撃ち抜く。

頭の穴から血を流し夜の冷たい地面へ倒れ、男の命はこれで尽きた。

 

「ダメだよ。戦場で最後に信じられるのは自分だけだ。誰かをアテにするなんて、この世界で生きていけない」

 

死体を置いたまま銃をまた胸ポケットへ収め、暗闇の倉庫から立ち去るガウルン。

 

「ちょっとした小遣い稼ぎのつもりだったんだが。まぁいい、仕事に戻るとするか。未確認機体に、ミスリルの甘ちゃんども。やる事がたんまりある」

 

誰にも気付かれないまま、虎視眈々とガウルンは迫ろうとしている。

 

///

 

文化祭、修学旅行の次には生徒が楽しみであろう年に1回しかない学校行事。

かなめは生徒会役員として予算の管理をしており、各クラスや部活に均等に予算が行き渡るように考えていた。

だが宗介のせいでかなめの苦労は脆くも崩れ去る。

 

「何よコレ~~!?」

 

かなめが見上げるのは鋼鉄で出来た要塞、塗装もされていない黒や灰色の鉄板の塊が学校の正門にそびえ建つ。

ジャージ姿で溶接の火花がバチバチと飛び、文化祭の準備とは到底思えない光景が広がっている。

要塞の制作指揮を取るのは考えるまでもなくアイツだった。

 

「よく来た千鳥。もう少しで完成する所だ」

 

「どういう事なのか説明しなさい!」

 

「文化祭と言う行事には外部から部外者が大勢来ると聞いた。学校の治安を守る為にも観測、防衛ポイントは必要だ。これがあれば武装したテロリストが攻めてきても、かなりの時間持ち堪えられる」

 

「こんなモンがそびえ建つ文化祭なんて聞いた事がないわ!!だいたいコレを作るのに掛かるお金が140万円って言うのはどう説明するの!」

 

かなめは耳鳴りするぐらいの怒声を響かせ1枚の紙を宗介に見せつける。

紙には文化祭予算と書いてあり、黒い線の枠で囲まれた中には各クラスや部活に割り当てられている予算が印刷されているのだが、その中の項目の入場ゲートに刻まれた数字が他と段違いで高額だった。

宗介が制作指揮をしている鉄の要塞を作る為の金額が140万円で、これでは文化祭を開催する予算がなくなってしまう。

けれども宗介にはかなめが何故激怒しているのかを全く理解していなかった。

 

「よく気付いてくれた千鳥。イスラエル製の複合金属が破格の値段で入手出来たんだ。通常なら500万円はする所なんだが―――」

 

「文化祭全体の予算が150万なの!!これじゃアンタのせいで文化祭が開けなくなるじゃない!今すぐこの変な物を撤去して、予算を返しなさい!」

 

鉄の要塞の説明を中断させ、かなめは宗介に怒りを爆発させる。

でも宗介の世間一般とはズレた感性は、かなめが何故こんなにも怒っているのかをちゃんと理解出来ていない。

 

「だが千鳥、文化祭期間の安全性を考えれば防衛ポイントは必要だ。何時、如何なる場合でも警戒を怠ってはならない。特にパーティーで浮かれている時はテロリストなどに攻め込まれやすい」

 

「あのねぇ~、常識的に考えてただの高校の文化祭にテロが来る訳ないから」

 

「その思い込みが最悪の事態を招く事だってあるんだ。特にアイツは」

 

「あいつ?」

 

意味深に言う宗介の言葉が誰を指しているのかをかなめにはわからない。

けれどもそれが誰なのかを聞かなくても、その人物は風間と一緒に学校の校門へ姿を表した。

 

「待ってよヒイロ君!まだ写真部の文化祭の準備が終わってないよ」

 

「後はお前たちで勝手にやれ」

 

「このままじゃ明日からの3連休も使わないと間に合わないよ」

 

「俺にはやる事がある」

 

「やる事って?」

 

「お前には関係ない」

 

成り行きで写真部へ入部したヒイロだったが社交性がほとんど見られないのは変わっていない。

風間の制止も振り切り、理由も説明しないままヒイロは校門へ設置されている鉄の要塞を通り校外へ出て行ってしまう。

普通に歩いて外に出て行ったヒイロだが、宗介だけはその異常に気が付いていた。

 

(ヒイロ・ユイ、他の人間は騙せても俺には通用しない。お前はやはり普通の学生ではない)

 

警戒する宗介とは裏腹に、かなめはまだクラスや写真部で溶け込めていないヒイロの学校生活が気になっている。

 

「ヒイロ君、部活にちゃんと行っているのかな?」

 

「問題ない。ヤツの監視は滞りなく続けている。学校内での不審な行動は見当たらない」

 

「はぁ~、まだ疑ってるの?それもいいけど、この鉄板の建物を早く撤去してよね」

 

宗介の行動にあきれたかなめは口からため息を吐きがっくりと肩を落とす。

けれども宗介はかなめに言われてもまだ鉄の要塞を文化祭で使用する気でいた。

 

「金属探知機、防犯ブザー、マーキング装置、高圧電流も流せる防衛ポイントだ。これだけの装置を兼ね備えたのは他には滅多にないぞ?」

 

「いらないわよ、こんな物。アンタがそう言うなら意地でも撤去するからね!」

 

かなめは製作作業を続けている生徒を止めようと鉄の要塞の門に足を踏み入れようとする。

数々の防犯装置は既に設置されており通る者は誰であろうと無条件に攻撃するシステムで、それは生徒であるかなめも例外ではない。

システムに察知される前に宗介は止めようとしたが時は既に遅かった。

 

「千鳥、そこは!?」

 

「え?」

 

右足を踏み入れたかなめの頭上から赤い染料が大量に吹き出し、避ける事も出来ず彼女の顔や髪の毛、白い体操服まで全身を赤い粉が汚す。

悪意はないにしても全身を汚された事と、いつまで経ってもなくならない戦争ボケにかなめは激怒した。

 

「アンタはいつもいつもそうやって……」

 

「その染料は飲み込んだとしても健康被害はない。色も水で洗えば簡単に落ちる」

 

「違うわよ!!なんでアタシの貴重な青春が、アンタみたいな戦争ボケ男のせいでなくならなきゃならないのよ!年に1回しかない文化祭は高校生活の重大なイベントなの!ただの準備期間でも掛け替えのない思い出になるの!」

 

「そうなのか?」

 

「そうなの!!こんな事になる位なら、明日からの3連休は家に引き籠っていた方がマシよ!」

 

「3連休は家から出ない。つまり予定は空いているな?」

 

「どうせ彼氏も居ない寂しい女ですよ」

 

怒りを爆発させるかなめは自身の胸の内をぶちまけるが、それがちゃんと宗介に理解されて届いているのかは怪しい。

意固地になったかなめはこれ以上は宗介の声を聞くのも嫌だと、彼を撥ね退ける態度を表すがいつものように理解出来ていない宗介は不愛想な表情のまま彼女に聞いた。

 

「予定が空いているのなら、俺と旅行に行かないか?」

 

「旅行……」

 

「そうだ。2人だけになってしまうが、以前から誘おうと考えていた」

 

「2人だけ……」

 

思ってもいないアプローチにかなめの決心は早くも揺らいでしまう。

頬を赤く染めて照れてしまったかなめは宗介の表情を見るのもはずかしく、顔を横へ向けて視線を別に向けて照れ隠しする。

例の如く他人の感情を読み取る事が出来ない宗介は、すぐに返事を返さないかなめの顔を覗き込むが決して表情は見せない。

 

「どうした?具合でも悪いのか?」

 

「そ、そんな事はないけれど……旅行って何処へ行くの?」

 

「キミにもわかりやすく言うと南の島だ」

 

「南の島……」

 

数秒前まで激怒していたのが嘘のように今のかなめは放心状態で、目の前の景色もぼんやりとしか映らない。

南の島と聞いて自然と頭のなかに浮かび上がるのは輝く太陽に白い砂浜、透き通る青い海がどこまでも広がる。

呆けているかなめの返事を待つ宗介は、頭の片隅で校門に設置した防衛ポイントを平然と通り抜けて行ったヒイロの事を考えていた。

 

(レーザーポインターは正常に作動している。偶然当たらなかったなど考えにくい。アイツは抜け方を知っていた。監視を強める必要があるかもしれない)

 

それぞれの考えは無関係に、誰も知らない所で事態は進んでいく。

 

///

 

月明かりも分厚い雲に遮られる闇の中、冷たい海を渡り3機のASが島の海岸へ上陸した。

この島は地図上では無人島と表記されているが、実際は秘密裏に新型のASや武器などを製造している基地である。

基地の制圧、もしくは破壊する為に少数精鋭でASを送り込んだ。

3機の内の1機は装甲が赤く塗装されており、頭部にはトサカのような角が生えていた。

隠密性の全くない見ためではあるが、このASには宗介が搭乗するアーバレストと同じラムダ・ドライバーが備わっている。

ラムダ・ドライバーがあれば例え複数が相手であろうと容易に勝てる性能を持っているし、それどころか現存する兵器でまともに戦う事が出来るのかすら怪しい。

コダールiとも呼ばれるASには顔に大きな切り傷を持っているガウルンが乗っていた。

 

「やれやれ、海水浴もようやく終わりか。仕事を始めるとするか」

 

後ろに続く2機はグレーに塗装されており頭部の1つ目が不気味に光る。

パイロットには2人の女性が乗っており、とても戦場に似つかわしくない。

虚ろな瞳で何処を見ているのか、人間としてのちゃんとした感情があるのかすら疑問である。

 

「了解、作戦を始めます」

 

「Zy-98・シャドウの実戦テスト。先生、指示を」

 

2人の姉妹は先生と呼ぶ相手、ガウルンに今まで育てられてきた。

彼の為ならば何だって出来るし、命を捨てろと言われれば喜んで捨てるだろう。

精神の欠落した2人にはガウルンの言う事を聞くのが本能であり、唯一残された喜びである。

 

「もうパーティーが始まってるみたいだ。早くしねぇとご馳走を持って行かれるぞ」

 

「パーティー……」

 

島の中央部から巨大な爆発と炎が舞い上がった。

ガウルン達が島へ上陸するよりも早くに他の誰かが基地へ襲撃を掛けている。

島には警報が鳴り響き、待機していたASも全機出撃し襲撃部隊の壊滅に動き出す。

M6・ブッシュネルが格納庫から出撃すると襲撃犯と対面した。

だが襲撃犯は部隊ではなく、たった1機でこの基地まで乗り込んで来て瞬く間に基地を破壊していく。

両肩に2基内蔵された機関砲が火を吹き一撃でM6を撃破する。

分厚い装甲に囲まれたM6が通常の機関砲で破壊される訳がないが、今回に限っては普通ではない。

 

「逃げるな!!撃ち続けろ!!デカイだけで勝てる筈が―――」

 

「む、無理だぁ!!避けれな―――」

 

M6は為す術もなく弾が直撃し全身が吹っ飛ばされた。

胴体には風穴が空き、衝撃に耐え切れず四脚も割り箸のように簡単にへし折れてしまう。

立ち塞がる相手は容赦なく銃弾を浴び鉄の塊へと変えていく。

 

「何なんだアイツは!?こんなのがASって呼べるのか?」

 

「障害は排除する」

 

基地に待機していたASは外部にばれないようにと最小限に留めており、それのお陰で簡単に基地の制圧が完了した。

ウイングガンダムに乗るヒイロは最後の1機を破壊したのを確認するとマシンキャノンを格納させる。

至る所から炎と煙が上がり抵抗する相手は全て破壊しつくし、残っているのは司令部と建造物だけでガンダムと戦うだけの戦闘力はない。

 

「生きている者は脱出を始めろ!ここはもうダメだ」

 

「司令!相手の動きが止まりました」

 

勝負を捨てた基地の司令官は急いで脱出しようと考える。

残されている隊員は生き残る為に必死で動き回るがヒイロは脱出などさせるつもりはない。

薄明かりの司令室でガンダムを見る司令官は次に相手が取る行動が想像出来ず、背中に冷や汗がダラダラと流れる。

 

「一体……何をするつもりなんだ……」

 

蛇に睨まれた蛙のように体が言う事を聞かず、脳がどれだけ訴えてもガンダムから視線を離せない。

ウイングガンダムはバスターライフルを腰へマウントさせ左腕の赤いシールドを半分に割り、内部に格納されているビームサーベルの柄をマニピュレーターで掴む。

柄を引き抜くと高出力ビームの刃が発生し空気を焼く。

 

「逃げろ……逃げるんだ……来るなぁぁぁ!!!」

 

ヒイロは司令部へ狙いを定めコクピットのペダルを踏み込みメインスラスターを吹かす。

散らばった瓦礫を吹き飛ばしながら進むウイングガンダムは腕を振り上げ、コンクリートで作られた四角い建物へビームサーベルで袈裟斬りする。

ビームサーベルはコンクリートや鉄骨を容易く溶かし、中に居た司令官は髪の毛1本も残らずに消えた。

 

「任務完了。次の行動に―――」

 

基地制圧を終えたヒイロだがレーダーに2機のASの反応が出る。

配備されているASは全機破壊したと思っていたヒイロはこの2機も撃破するべくガンダムを動かす。

 

「任務変更、120秒で終わらせる」

 

ガンダムを振り向かせた先にはグレーの色をした2機のASがこちらへ向かって来た。

アサルトライフルを右手に握り、トリガーを引きながらガンダムへ走ってくる。

数え切れない程の弾が装甲へ当たるがキズ1つ付かず、2人は目の前の敵の戦闘能力を見定めようと二手に別れる。

コクピットの戦闘画面に映るシャドウの姿にヒイロはデータベースと照合するが軍隊で開発、もしくは使用されているASには該当しなかった。

 

「データベースに該当なし。新型のASか?」

 

マシンキャノンで片一方のシャドウに弾を連射するがシャドウは体操選手のように、機械とは思えない柔軟な動きで弾を避けていく。

大股で機体を走らせ、時には前転して発射されるマシンキャノンの弾を掻い潜り、アスファルトだけがえぐれて土煙を巻き起こす。

 

「運動性能がM6より高い。だが支障はない」

 

「このままでは負ける」

 

戦いながら両者は互いの機体性能を少しずつ把握していく。

シャドウは確かに従来のASと比べれば性能は格段に向上しているが、ガンダニュム合金で作られたガンダムをたった2機で倒せるだけの力はない。

それを短い時間で2人は理解しながらも戦うのを止めなかった。

 

「お姉ちゃん、後ろから仕掛けて」

 

「うん、行く」

 

アサルトライフルで気が向いている内に背後から姉のシャドウが単分子カッターを握りガンダムに飛びついた。

助走がなくても1回の屈伸で背中の羽を飛び越え、頭部に単分子カッターを突き立てる。

 

「邪魔だ!」

 

だがウイングガンダムはシャドウへ振り向きシールドで虫のように薙ぎ払った。

ジャンプしている状態ではまともに身動きが取れず、ボディー全体にシールドが叩き付けられる。

それでも単分子カッターをシールドに刺そうとしたが刃は全く通らず、シールドをぶつけられた衝撃で左腕が肩からもぎ取れた。

受け身も取れず地面に仰向けに倒れ、機体の至る所が悲鳴を上げている。

電気系統も一部ショートしてカメラから伝えられる映像は砂嵐でほとんど見えず、骨格を形成するフレームも歪んで長時間の戦闘は不可能だった。

 

「冷却装置強制稼動、まだ動ける」

 

「行ける、お姉ちゃん?」

 

「先生の為だもの」

 

それでも彼女は勝てないとわかっている戦いでも戦おうとする。

けれどもそれは信念とは言わない。

2人の精神はガウルンの為にだけ存在し、それ以外は何も残っていない。

自らの死をも厭わぬ戦い方は機械と変わらず、けれど彼女達はそれしか方法を知らなかった。

片腕がなくなったシャドウを睨むヒイロは、トドメを刺そうと右手のビームサーベルを振り下ろそうとする。

だがコクピット内に警告音が響くとガトリング砲を両手で持ったコダールiがウイングガンダムに砲撃を仕掛けてきた。

通常兵器なら無視しても構わないがコダールiにはラムダ・ドライバ―が搭載されており、比較にならない攻撃力を持っている。

直撃するガトリング砲の弾にガンダムは姿勢を崩し地面へ倒れてしまう。

 

「メインディッシュは残してくれたか。でも、まだ食べごろじゃねぇ」

 

「増援か、新型がもう1機。破壊する」

 

破壊目標をコダールiへ切り替えるヒイロ、操縦桿を動かし倒れているガンダムを立ち上がらせようとするがガウルンはそれを許さない。

ラムダ・ドライバーを使用した砲撃がガンダムを襲い、ヒイロはシールドでボディーを防御したまま動けなくなってしまう。

それでもガンダニュウム合金で作られた装甲はラムダ・ドライバ―の攻撃にも耐えている。

 

「くっ!右脚部関節に異常、やるな」

 

「どれだけ固いんだアイツは。弾がなくなっちまう」

 

ガウルンが搭乗するコダールiのラムダ・ドライバーは100パーセントの性能を引き出して使用しては居らず、ガンダニュウム合金を一撃で破壊出来るだけの威力は持っていない。

でもコダールiはガンダムに始めてダメージを与える事が出来た。

動きの止まっている隙に2機のシャドウは攻撃しようと試みるが、通信越しにガウルンから指示が飛んでくる。

 

「お前らはさっさと逃げろ」

 

「先生、しかし―――」

 

「面白い事を考えた。メインディッシュはその後だ」

 

「了解」

 

言われた通りに攻撃の意思を捨て、2機のシャドウは跳躍すると基地を離れ夜の森の中へ姿を暗ました。

ガウルンはその間もガトリング砲に装填されている弾をガンダムへ撃ちまくる。

ヒイロは何もせずに耐えたまま、コダールiをコクピットから睨んでいた。

休む事なく続いていたガトリング砲の砲撃はやがて弾がなくなり、カタカタと音を鳴らしてシリンダーが回る。

 

「弾が切れちまった。俺も引くとするか。またやり合おうぜ」

 

捨て台詞を吐いてガウルンのコダールiも暗闇に姿を消してしまう。

基地に1人残されたヒイロは追いかけるでもなく、いつまでもシートに座り続けた。




ますます疑いの濃くなるヒイロ、宗介はこれからどのような行動に移るのか。
そしてガウルンの考えた『面白い事』とは!?
更新は遅くなりますが次回をお待ちください。

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