フルメタルWパニック!!   作:K-15

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早く仕上げたい、けれども中々作業は進まない。
フルメタもガンダムWも、題材にして書いてる人は殆ど居ないので自分で手探りして進めて行くしかありません。



第39話 掴め、活路を!!

戦いに敗れた宗介とヒイロは今、香港へと来て居た。

ミスリルの情報部員であるギャビン・ハンターと共に命かながら影を消して潜伏する。

ハンターは肥満体でスーツの上からでもクッキリわかる脂肪の厚み。

季節は冬だと言うのに額からは汗をにじませて、紺色のハンカチで拭う度に掛けたメガネの位置も直す。

 

「いやはや、どこも状況は同じと言う事ですな」

 

「これで事実上アマルガムに対抗出来る組織は失くなった。大佐達は無事に脱出出来たのか?」

 

「連絡系統は完全に分断されてる。直接接触する以外に確認は不可能だ」

 

「そうか……」

 

ハンターが手配した狭いマンションの一室。

窓のカーテンは閉め切って外からは中の様子が覗けない様にして居る。

宗介はそこで1週間を過ごしたが生き残った味方についても、アマルガムの動向についても一切わからずじまい。

無駄に時間だけが経過して行く中で何も出来ない事がもどかしかった。

アーバレストを修理する目処もなく、かなめが何処へ連れて行かれたのか手掛かり1つない。

 

「まぁ、そう落ち込まないで。本部すら襲撃されたが私達はまだ生きてる。反撃するチャンスはあると言う事だ」

 

「だが悠長にしてる時間はない。あの男の目的も掴めないままでは戦力が整っても動けない。とにかく何か情報があれば」

 

重苦しい空気が漂う中でソファーに座り両腕を組んだヒイロが口を開ける。

 

「もうすぐレイスが戻る。動くならそれからだ」

 

「おぉ、レイスが出て行ってから4日も経ちましたからな。彼女程の人間だ、何か糸口くらいは掴んで来る」

 

「ミスリルは壊滅して奴らの敵は居なくなった。世界征服などとわかりやすい目的なら話は簡単だがそのような動きは見せてない」

 

「アマルガムは紛争地域へ実行部隊の派遣や兵器提供が主だった活動だ。そもそも向こう側にもウィスパードは居るのに何故千鳥を狙うのかがわからん。彼女が引き出す情報はそこまで重要なモノなのか?」

 

「なら考えられるのは1つだ。レナード……あの男が単独で動いた結果だ」

 

ヒイロの言葉に息を呑む宗介。

そしてはっきりとした敵が、目的が見えた事に活力を見出す。

 

「どちらにしろヤツとは決着を付ける。今までの借りは必ず返す」

 

宗介の感情は昔と比べて明らかに変わって居た。

命令されて動くのではなく自らの意思で行動する。

それこそが人間が本来持つ心であり生きて行く為に必要なモノ。

ヒイロはその事に気が付いて居た。

 

「それで良い。戦うのに理由が必要なら、今のその感情こそが理由だ」

 

「なら、お前が戦う理由は何だ?」

 

「同じだ」

 

ヒイロもサビーナのエリゴールに惨敗した過去がある。

負けたままで終わるのは許せないし、ヒイロの中でもかなめは特別な存在になりつつあった。

まともに言葉すら交わした事がなかった2人だが今は目的を共有しあい共闘する仲にある。

 

「お前は昔の俺と同じだった。居場所を求めて『命令』と言う口車に踊らされて居た。それでは何も変わらない。戦いが起これば、また俺達のような兵士が必要になる。悲劇の連鎖がいつまでも続く」

 

「ヒイロ・ユイ……」

 

「アマルガムを壊滅出来たとしても戦いは終わらない。その時、お前ならどうする?」

 

「俺は……」

 

///

 

 

宗介は以前、マオから言われた事を思い出した。

マオとクルツ、いつものメンバーでイタリアへ派遣された時の事。

任務が終了し輸送ヘリで帰還して居る時、かなめから掛かって来た電話にちゃんと応える事が出来ずに少し落胆して居た。

シートの上にベルトで体を固定されながら3人でこれからの事を話し合いながら時間が過ぎるのを待つ。

 

「全くよぉ、お前がもう少し――」

 

「過ぎた事をグダグダ言うんじゃないよ。こうしてケガもなくアタシ達は生きてる」

 

「ま、そうなんだけどさ。にしてもよ宗介? こんな時にまで律儀に電話なんて出る必要ないだろ?」

 

「千鳥からの着信だった。無視をすれば後で面倒だ」

 

日本で購入した折りたたみ式の黒い携帯を握りながら、宗介は前のシートに座るクルツへ返事を返す。

 

「へへ、少しは女の扱い方がわかって来たじゃねぇか」

 

「アラ? まるで自分は熟知してますって言い方ね?」

 

「当たり前よ。俺程のナイスガイにもなればかわいい子の1人や2人」

 

「そう。なら帰ったらベンとテッサに報告するわ。部隊の風紀を乱す不届き者が居るってね」

 

「ちょ!? 姐さん、それはないんじゃねぇの!!」

 

和気あいあいと話す2人に宗介は入り込めない。

日本に残るかなめが心配なのもそうだが、この時はまだ『命令』の柵に囚われて居たせいもあり自分の意思がわからなかった。

普段から無表情で感情を表に出さない宗介だが、マオはその異変に気が付き通路を挟んだ隣のシートから呼び掛けて来る。

 

「ねぇ、アンタさ。何か思いつめてない?」

 

「俺が……」

 

「あくまでもアタシの勝手な考えだけどさ。アンタはミスリルなんて傭兵部隊じゃなくてもっと別の居場所があると思うんだ」

 

「急に何言い出すんだよ姐さん。かなめちゃんにも散々言われてただろ。この『戦争バカ』って」

 

「ミスリルを辞めろだなんて意味じゃない。それでもいつまでも居て良い場所でもない」

 

静かに、ゆっくり。

心の奥底にまで届くように。

今の宗介がようやくわかった事にマオをいち早く気が付いて居た。

それでも言葉で全てを伝えるのは難しく、宗介もその時に全てを理解する事は出来なかったから一時的に迷走してしまう。

 

「まだ10代よ。日本なら学校に通ってガールフレンドと遊ぶとかさ」

 

「そんなモノに興味はない」

 

「なら興味があるモノを探しなさい、少しずつで良いから。ミスリルを辞めたらどうして行くのかを自分で見つけなさい。誰かに頼っても良い、でも最後に決断するのは自分の意思よ」

 

(俺には……戦う事しか出来ない)

 

///

 

心の中でポツリと呟くしか出来なかったあの時とは違い、今なら声に出してハッキリ言える。

力強く目を開き、真っ直ぐに相手を見ながら。

 

「俺は彼女と一緒に日本へ帰る。それからの事はまだ考えてない」

 

「そうか……」

 

ソファーに座るヒイロは素っ気なく応えるだけだった。

話が一段落したのを見てハンターはハンカチで汗を吹きながらヒイロの対面のソファーへドッサリ腰を降ろす。

100キロを超える体重に衝撃は吸収しきれず床にまで伝わって来る。

 

「ところでヒイロさん。言われた通りにアーバレストは回収しましたが、あの羽根付き……ガンダムでしたか? 本当に回収しなくてもよろしいので? 海の底ですのでそう安々と見つかりもしませんし大丈夫だとは思うんですが」

 

「あんな目立つモノを側には置けない。邪魔になる」

 

「ですが僅かばかりですがASの部品はあります。少しでも修理した方が?」

 

「ガンダムはASと根本的に違う。修理は無理だ」

 

断言するヒイロにハンターはそれ以上は何も言えない。

 

「なら当分の間はアーバレストの修理だけですな。M9を修理するパーツはありますが、ラムダドライバ関連のモノは全くない。この前の戦闘で冷却装置をやられてる。例え見た目は元通りでもラムダドライバは3秒と使えんでしょう」

 

宗介は前回の戦闘で相手の力量を充分に理解した。

また同じように戦えば今度こそ機体諸共パイロットを殺すだろう。

あの連携を崩さなければ宗介に勝機はない。

 

「組織を相手に俺1人では勝てない。それにあの3機もだ」

 

「一時的にでもパワーアップ出来れば良いのですが」

 

「フルウエポンとやらでわかった事だが、重たい装備は戦闘の邪魔だ。火力を上げるのは良いが必要以上にはしないでくれ」

 

「う~ん、そうなると設計から見直す必要がありますが。生憎、残った人員ではそんな高度な技術を持ったモノは居ないですよ?」

 

本人達ではどうしようもない現実に会話は途切れてしまう。

宗介もヒイロも使う事が専門であり作る事や直す事は最低限の消耗品などの交換ぐらいしか出来ない。

デジタル時計が音もなく刻む中、部屋の外の廊下をハイヒールで歩く足音が。

コツコツ響く音が部屋の前で止まって数秒。

開かれたドアの向こうには黒い髪をした女。

 

「レイス!! ちょうど話をしてた所ですわ。偵察の結果はどうだった?」

 

立ち上がるハンターは両手を広げてハグを求めるが視線すら向けてくれない。

着ていたコートをベッドの上に投げ捨て、ポケットの中から記憶端末を取り出し宗介に投げた。

 

「これは?」

 

「ラムダドライバに対抗するにはこっちもラムダドライバを使うしかない。いくらアンタのガンダムが強くてもアレだけボロボロになればもう限界でしょう?」

 

「そうだな」

 

冷ややかな目をするレイスにヒイロも短く応えるしかしない。

テーブルの上のノートパソコンに宗介は記憶端末を差し込みキーボードを叩いた。

液晶画面に表示されるパスワードの文字。

 

「レイス、パスワードは何だ?」

 

「見たかったら自分で解除してみな」

 

「お前……っ!!」

 

この態度にイラつき眉間にしわを寄せる。

 

「冗談だ。本気にするな」

 

言うとレイスはノートパソコンの前にまで来て右手をキーに伸ばした。

5本の指を使って軽快に叩かれるキー。

ものの数秒で解除されるパスワード。

閲覧出来るデータからは1人の少女の画像が映し出された。

 

「名前はクダン・ミラ。ソ連の軍事施設に幽閉されて居る。年齢は16。お前と同じ日本人だ」

 

「それはわかるが。彼女がこれからの事に関係するのか?」

 

「だからわざわざ持って来た。彼女は千鳥かなめと同じウィスパードだ」

 

それを聞いて宗介は目を見開いた。

かなめとさほど年齢も変わらない少女が同じ様にウィスパードだと言う事実。

宗介はジッと液晶画面を凝視した。

 

「このクダン・ミラを助ければアルを修理する目処が立つかもしれん」

 

「そうだがアメリカと冷戦中のソ連に忍び込むのは相当厄介だぞ」

 

「だが行かなければ活路は見い出せない。武器を調達したら行くぞ」

 

拠点へ攻め込むからには武器は必要不可欠と考える宗介。

だがそれだけの武器量をハンターは確保しておらず、調達する資金もないし外部から居場所が漏れるかもしれない。

残った味方と合流出来る可能性も限りなく低く、そうなれば何処か別の所で強奪するしかなかった。

けれどもヒイロの考えは違う。

 

「必要ない」

 

「ん、どう言う事だ?」

 

「1つだけ教えてやる。潜入任務で武器は現地調達が基本だ。時間もない、行くぞ」

 

立ち上がるヒイロは本当に拳銃1つとして持たずに部屋から出て行こうとする。

それを容認出来ない宗介もパソコンの前から立ち上がりヒイロの腕を掴んで無理やりにでも制止させた。

 

「待て。作戦もなしに行くのは無謀だ。死にに行きたいのか」

 

「そうですわ。ソ連の軍事施設に潜入するなんて並大抵の事やない」

 

ハンターも宗介の意見に同調するが、ヒイロも譲る気が全くない。

 

「立てた所で出来る事は限られてる。やれる事があるならすぐに動くべきだ。捕らえられて居る女も、かなめも、いつまでも生きてるとは思えない。使い道がなくなれば捨てられるだけだ」

 

ヒイロの言葉には何処か説得力があった。

けれども宗介がその理由を知る術はない。

工作員として、ガンダムのパイロットとして訓練されて来たヒイロだが、その過程で自分よりも能力が劣る人間は淘汰された。

その先の結末は死。

要らなくなった部品を捨てる様に。

最後の1人になるまで戦い続け、最後の1人になっても戦い続けた。

故にヒイロにはわかる。

道具として使われた人間の末路を。

見る事すらおぞましい死の瞬間。

その為には自分の心を殺さなくてはならなかった。

 

「わかった。今回だけはお前の作戦に乗る」

 

「決まりだな。行くのは簡単だ。後は脱出経路の確保」

 

「なら帰りはアタシが向かえに行ってやる。その代わりミスは許されない」

 

鋭い目で睨むレイス。

空気が一瞬で凍り付く。

ハンターは息を呑んで背中に冷たい汗を流すしか出来ない。

けれども宗介とヒイロは互いに強い眼差しで彼女に声を返した。

 

「当然だ。俺はスペシャリストだ」

 

「当然だ。俺はガンダムのパイロットだ」

 

///

 

広い窓から流れる潮風は真っ白なカーテンを揺らす。

キングサイズのベッドに横たわるかなめは何をするでもなくだらけて居た。

古時計から鳴る秒針の音も、海から聞こえて来る波の音も耳障りでしかない。

起き上がるかなめは部屋に備え付けられたデスクトップパソコンへ向かい電源ボタンを押した。

ちょうどその時にコンコンッと部屋の扉をノックする音も聞こえる。

 

「誰?」

 

「サビーナです。昼食をお持ちしました」

 

「どうぞ、入って良いわよ」

 

「失礼致します」

 

扉が開かれるとワゴンを押してサビーナは部屋に入って来た。

白いシャツと黒いスーツとネクタイ。

ブラウンカラーの髪の毛はショートボブにカットされ、質素なメガネを掛けて居る。

見た目から想像する年齢はかなめとほぼ同じだ。

ワゴンの料理をテーブルに並べる彼女の表情など一切目も向けず、椅子に座ってパソコンが起動するのを待った。

 

「昼食はムール貝の白ワイン蒸しと――」

 

「言わなかった? 炊きたての白いご飯と味噌汁を頂戴って」

 

「確認しましたが米はインディカ米しかありません。取り寄せるには時間が掛かります」

 

「せめてうどんとかお蕎麦が食べたいんだけど、カップ麺でも良いから。緑川のたぬきを最後に食べたのいつだったかしら? 東京ならコンビニですぐ買えるのに。熱風疾風サイダー、隣町の爆熱ゴッドカレーパン」

 

「我が儘を言われても困ります」

 

かなめは監禁された身で有りながら何不自由なく生活して居る。

海外の高級別荘地に旅行へ来たかのよう。

それでも今居る部屋から出る事だけはレナードに禁止されて居た。

部屋から出なくとも広いベッドにバスルーム、清潔なトイレもちゃんとある。

朝、昼、夜とサビーナが豪勢な食事を運んで来てくれた。

パソコンで外部の情報を取り入れる事も出来る。

何不自由ない生活。

でもそれはケージで飼われたペットの様な扱い。

そう感じるからこそかなめは反抗的な態度を貫くがレナードは滅多にかなめの部屋には来ない。

だから、その矛先はサビーナへ向けられた。

 

「だったらアタシを日本に帰して」

 

「何度も申し上げました。出来ない相談です」

 

「ならご飯くらい用意しなさい」

 

「すぐには出来ないと言った筈です」

 

無表情に、事務的に応えるサビーナ。

逆にかなめの方が段々とストレスが溜まって来てしまい、この話に区切りを付ける。

 

「あ~、もう良い。お昼は後で適当に食べるから、アナタは部屋から出て行って」

 

「かしこまりました」

 

サビーナはかなめに一礼してから、両手でワゴンを押して部屋から出て行く。

その後姿を眺めながらかなめはデスクトップの本体に記憶端末を差し込む。

 

(ここに連れて来られた日にレナードから渡されたデータ。どう言うつもりかはわからないけど確認はした方が良いわよね)

 

液晶ディスプレイに開示されるデータ。

それにパスワード等はなく、マウスでカーソルを合わせクリックすればすぐに見る事が出来た。

 

(これって……ASの設計データ)

 

食い入るように画面を見るかなめ。

データの中身はアマルガムが所持するASの設計データ。

コダール、ベヘモス、エリゴールすらもある。

かなめはマウスを何度もクリックして次へ次へとデータに目を通して行く。

設計段階や開発途中で破棄されたモノまで様々だが、1番見たいモノがその中にはどれだけ探してもなかった。

 

「やっぱりないわね。アイツが乗ってた黒いAS。そりゃそうか」

 

レナードが搭乗する実質の専用機でもあるベリアルのデータ。

結局何もわからないまま時間が過ぎるだけに終わってしまう。

かなめは数あるデータの中からランダムに1つを選び、内容を勝手に改ざんした。

 

「背中にロケットブースターでも付けたらどうなるんだろ? ダメ、加速が急激過ぎて機体の装甲がバラバラになるわね。ガンダニゥム合金なら問題なく耐えるのに。それ以前に乗ってる人の体が加速のGで潰れちゃう。まぁ、只のデータだし良いか。次は――」

 

滅茶苦茶な設計を書き到底開発出来るはずもないモノを上書きして保存して行くかなめ。

全体の3分の1をそうしたデタラメなモノに書き換えた所で疲れてしまい、記憶端末を本体から引き抜いた。

 

「結局、息苦しいのには変わりないわね」

 

1人の部屋、誰も居ない部屋。

日本に居た時もマンションへ帰れば1人だったが側には宗介とヒイロが居たし、学校に行けば大勢のクラスメイトに友達も居た。

けれども今は本当に1人だ。

頼れる相手も、頼りにしてくれる相手も居ず、長い1日を淡々と過ごすしか出来ない。

 

「学校のみんなはどうなったのかな……あやめとも全然連絡取れないし。宗介、ヒイロ君」

 

心に不安の霧が押し寄せて来る。

両腕で自分の体を抱えて何とか精神が落ち着かないかと試みた。

これは戦場で感じた死の恐怖とはまた違った怖さ。

自分1人だけが世界から取り残されてしまう感覚。

何度か体をさすったりしてみるが気持ちが少し軽くなる程度。

気分を紛らわそうとまたマウスを手に取りウェブブラウザを展開させた。

映しだされるホーム画面には今日の日付と天気が表示されて居る。

そして画面の中央には主だったニュースは一文で書かれており、見る者の興味を引き立てた。

 

『ハリウッドの大物俳優、浮気か!?』

 

『ファーストフード店、使用期限切れの鶏肉使用』

 

『冷戦中のソ連、襲撃か?』

 

何時もなら気にもしないが、かなめはふと手の動きを止めて3つめの文を注意深く見た。

 

(何だろ……何か……)

 

言葉では言い表せない違和感を感じて試しにクリックしてみる。

次のページには詳細な記事が書かれて居た。

 

「アメリカと冷戦中のソ連の軍事基地に何者かが襲撃した。実行犯はまだ掴まって居らず、特定にも至ってない。襲撃の理由も断定されてなく、少なくともソ連兵10名以上が死傷した。政府の発表では『これはテロリストの犯行であり、我が国はこの蛮行を断じて許しはしない。例え地獄に逃げようとも必ず捕まえ捌きの鉄槌を下す』と述べて居る」

 

更にその下の文には専門家の解説が事細かに書かれてたがそんなモノを読む必要はなかった。

口元に笑みが戻り心の霧が晴れて行く。

 

「こんなバカみたいな事するの他に誰が居るのよ。まったく」

 

活力を見出したかなめは立ち上がり、サビーナが運んできたムール貝に手を伸ばす。

フォークとナイフも用意されてたが構わずに素手で掴み取り口へと運ぶ。

味も気にせず体力を付ける為にとにかく掻き込む。

負けてばかりの戦いだが、まだ終わった訳ではないのだから。




原作を読んだ方はわかると思いますが、ナミやレモンは登場しません。
ご意見、ご感想お待ちしております。

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