フルメタルWパニック!!   作:K-15

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ボン太くんとアラストルの戦いです。


第35話 イミネント

ボン太くんにターゲットを合わせたアラストルはゆっくりと歩を進め鈍重な足音を響かせる。

ヒイロは逃げもせず装備したショットガンのトリガーを引く。

発射された弾丸は防弾チョッキを着た人ですらよろめかせるだけの威力があるが、鉄のボディーで構成されて居るアラストルはびくともしない。

外見を誤魔化す為の黒いコートは引き裂かれ、破れ落ちるが装甲には傷すら付いてなかった。

更にもう1発。

銃声が響き弾は真っ直ぐに敵へ目掛けて発射された。

しかし装甲は小さな火花が散るだけで、やはりダメージは通らない。

弾き返された弾が廊下を転がる。

 

(通常兵器では無理か)

 

瞬時に状況判断し次の手を考えるヒイロ。

アラストルは腕部に内蔵された機関銃を向け、敵と認識したボン太くんに一斉射撃。

 

『ふも!!』

 

瞬時に飛び退き教室内へ飛び込んだ。

廊下の白いタイルが粉々に砕け散る。

アラストルは連射したまま逃げだボン太くんを追う。

コンクリート壁もボロボロになる。

木製の扉や窓ガラス、黒板なども容赦なく一撃で粉砕してしまう。

姿は見えなくとも熱探知で相手の居場所を突き止め、命令を遂行しようとする。

ボン太くんが駆け抜ける後に続き連射される機関銃の弾が追い掛け、教室を無残な光景に変えて行く。

壁も窓ガラスもなくなり机や椅子も吹き飛ばす。

 

(他の武器は――)

 

効果のないショットガンを投げ捨て、次は腰にぶら下げてある警棒を手に取った。

 

(接近戦で相手に高圧電流を流す。行けるか)

 

扉を蹴破り、今まさにこちらへ銃口を向けようとして居るアラストル目掛け警棒を振り下ろした。

高圧電流からほとばしる青白い光。

 

『ふもっふ!!』

 

警棒は確かにボディーへ接触するが相手は怯みもしない。

 

『ふもっ!?』

 

直ぐ様退避しようとするヒイロだが、アラストルはゴリゴリの見かけによらず動きも早かった。

警棒を握った腕を掴み返し、パワー任せにボン太くんの体を投げ飛ばす。

何とか受け身だけは取るが慣性でクルクル転げ回ってしまう。

腕と足でタイルを掴みブレーキを掛け急いで立ち上がる。

目の前には機関銃を向けるアラストル。

すぐ傍が偶然にも2回へ続く階段。

ヒイロは迷わず階段を駆け上がった。

次の瞬間、爆音とコンクリート片が背後を通り過ぎて行く。

 

(コイツが持つ通常兵器ではやはりダメか。なら相手を一撃で破壊するしかない)

 

思考しながらヒイロは体を動かす。

だがボン太くんにアラストルを一撃で破壊出来るだけの武器は備わってない。

どう相手を倒すのか。

その方法も見つからず、考え付かないまま、ヒイロはとにかく走った。

階段を駆け上がった先の2階。

生徒は避難してもう誰も居ない。

廊下を走ろうと右に振り向いた瞬間。

 

『ふもももも!?』

 

『目標を始末する』

 

眼前にはアラストルの姿。

咄嗟に頭部目掛けて右手でパンチするが寸前で受け止められてしまう。

 

『目標の抵抗を確認。腕を折る』

 

無慈悲な殺人兵器は掴んだボン太くんの右手をグシャグシャに握りつぶし、腕を関節とは反対方向に捻り上げ右腕をへし折ろうとした。

内部の機械部品だけでなく、ヒイロの体も激痛に悲鳴を上げる。

 

(うあ゛あ゛あ゛ァァァっ!!)

 

つま先が床から浮きかけ、とにかく引き剥がそうと思い切りボディーを蹴った。

アラストルを後方へ押し返すも、掴まれた右手は紙くずの様にグシャグシャになって引きちぎられる。

きぐるみの外装に使用された超アラミド繊維と壊された機械部品がむき出しになる。

幸いヒイロの体に異常はない。

だが逃してくれる程相手は甘くなかった。

伸ばした右手は左肩をガッチリ掴まれ引き寄せられてしまい、左で胴体を掴まれてしまう。

逃げられなくなったボン太くん。

そしてそのまま突き当り目掛けて走りだした。

 

(くっ!!)

 

抵抗する事も出来ず、ボン太くんは背中から扉へ激突した。

扉が木製だった事もあり衝撃は少ない。

ボン太くんを投げ飛ばしたアストラルは横たわる相手に腕の機関銃を向けた。

 

(ここは……調理室か。なら!!)

 

発射された弾丸を起き上がった状態から飛び退ける。

またタイルとコンクリートがバラバラに粉砕した。

銃口を向けられながらボン太くんは狭い調理室を外に続く窓に向かって走る。

水道の蛇口が根本から折れて水が吹き出た。

調理台はもう原型を保てない。

そしてコンロから充満するガス。

機関銃による射撃をアラストルは続けた。

閃光。

衝撃波が調理室内のモノを吹き飛ばす。

窓ガラスも全て砕け散り、ボン太くんも外に押し出されてしまう。

 

『ふもぉ~!!』

 

灼熱と爆発がアラストルを包み込む。

固い装甲を突き破り内部部品が損傷する。

外側の装甲を貫いてしまえば中は脆い。

そうなるとパラジウムリアクターを正常に機能させる事は出来なくなり、自立回路が動き出す。

システムに組み込まれた自爆装置が発動し、アラストルは自ら機能を停止させた。

全員が学校から避難する中でまだ校舎内に残って居る生徒が数人居る。

両手へ大事に一眼レフカメラを抱えて走る風間と、彼に続いて一緒に走る小野寺、常磐、稲葉。

あちこちから爆音と振動が響き渡る中で彼らは真実を知らないお陰で少し余裕を持ちながら、4人で出口へ走りながら部室棟を後にする。

 

「もうみんな外に行ったのかな?」

 

「お前が部室にカメラ取りに行くって言うからだろ」

 

「だってレンズと合わせると10万円超えるんだよ!! そんなお金ないし取られたら大変じゃないか!!」

 

「良いから早く出ようよ。何だか今日のはいつもより酷い気がする」

 

走りながら常磐は異変を感じて居た。

宗介のせいで爆発や振動が起こり逃げ惑う事になるのは今までにもある。

けれども宗介は加減を考えて居た。

侵入者等を撃退する為の武器や装置でも狙うのはあくまでも相手だけ。

今の騒動は一方的に周囲に建物を破壊して居る。

鳴り止まない爆発音。

振動。

焼け焦げた臭い。

常磐は何となくではあるがその事を感じた。

 

「大丈夫だって。面倒を起こしてくれる相良だけど、なんだかんだでいつも大丈夫だろ?」

 

「そうだけど……」

 

「心配しすぎよ。それよりも風間がカメラなんか取りに行ったせいでダーリンとはぐれちゃったじゃない!!」

 

「知らないよぉ」

 

楽観的な小野寺とヒイロの事ばかり考えてる稲葉。

風間も宗介と長く居る為に信用して居た。

下駄箱へ続く廊下を走り続ける中、不意に通りすぎた教室から物音が聞こえる。

小野寺は直感的に走るのを止めて立ち止まった。

 

「なあ、何か聞こえなかったか?」

 

「そうかな?」

 

「どうせ聞き間違いでしょ? あぁ、早くダーリンに抱きしめて貰いたい!!」

 

「妄想でやってろ。あっれ~、やっぱ聞き間違いか?」

 

「私見て来る」

 

言うと常磐は1人で音がした教室へ向かった。

扉を横へスライドさせ見た先には、グチャグチャにバラ撒かれた机と椅子。

天井には大穴が開き、その真下には――

 

「ボン太……くん?」

 

そこにはズタボロのボン太くんが横たわる。

体を震わせながらも立ち上がると、つぶらな瞳に映る常磐を見て慌てて動き出した。

 

『ふも!? ふももも!!』

 

「え!? 何?」

 

戸惑う常磐を他所にボン太くんは強引に手を取ると廊下に向かって走り出す。

次には天井の穴から黒い物体が降りて来た。

 

「アレは……」

 

鈍重な着地音。

重たい重量が足の形にクボミを作る。

アラストルはターゲットに設定したボン太くんを視界に入れると右腕の機関銃を向けた。

視界がぼやける程の強烈なマズルフラッシュ。

爆音。

扉は一撃で吹き飛ばされ廊下の壁に幾つもの風穴が生まれる。

機械が相手でも感じる明確な殺意に常磐は恐怖した。

 

(人じゃない!! 何なの!?)

 

「爆発か?」

 

「常磐さんにボン太くん? どうして?」

 

突然現れたボン太くんに小野寺と風間も目を丸くする。

 

『ふも!!』

 

廊下の3人と合流するボン太くんは常磐を風間に渡し、迫り来るアラストルに目掛けて走った。

教室から出て来たアラストルの右手を掴み銃口を向けさせない。

握り潰された右手で胴体を抑え付け押しのけようとする。

だが全てが機械のアラストルと比べればパワーは負けてしまう。

 

『ふもぉ~!!』

 

押し返される。

パワーを限界まで上げても通用しない。

足裏をズルズル引きずったまま後ろの壁に向かって押されて行く。

鈍重な足音がテンポ良く聞こえる。

ジワジワ速度を早めながら、ボン太くんは為す術もなくコンクリートの壁を突き破った。

グラウンドへ投げ倒され土まみれになるボン太くん。

 

『ふ、ふも!!』

 

何とか起き上がる目の前には更にもう1体のアラストルが。

右腕の銃口を向け、今まさに発射する寸前。

地面をローリングしながら投げ付ける。

砂埃が撒い銃弾の穴が開く。

ボン太くんが投げた物体が顔面にへばり付いた。

粘土のようなソレはプラスチック爆弾。

ローリングしながら更にもう一投。

アラストルの眼前に投げ付けられたそれは手榴弾。

安全ピンが抜かれた手榴弾は爆発を起こす。

強力な爆発。

鉄の装甲を引っぺがし中の部品もズタズタに破壊する。

手榴弾は顔を半分吹き飛ばし、機能を停止したアラストルは力なく右腕を下ろして背中から倒れた。

 

『ふもっふ!!』

 

自爆装置が発動する前にボン太くんは急いで突き破った壁の中へと退避する。

数秒後、爆発を起こしたアラストルは原型をなくし周囲にベアリングを発射した。

爆発の威力だけでなくベアリングで広範囲にダメージを与える。

当たれば人間の腕くらいは簡単に吹き飛ばす。

 

『ふも~』

 

撃破したのを確認する。

残るアラストルは2体。

その内の1体はまだ校舎に残って居る。

壁を突き抜けた先で次は常磐達をターゲットにして腕の機関銃を向けた。

 

「こ、コイツ人間じゃねぇぞ!!」

 

「ど、どど!! どうするのさ!?」

 

「こんなの……やっぱり相良君じゃないよ」

 

「良いから逃げるわよ!! 助けてダーリン!!」

 

ボン太くんは左手にベレッタM93Rを握り、走りながらこちらに注意を向けようとトリガーを引く。

強烈な銃声が廊下に響き幾つもの弾丸がボディーに命中する。

黒いコートを破るだけで、やはり手持ちの武器ではダメージは通らない。

それでも赤外線ゴーグルの殺意の眼差しがボン太くんに向く。

機関銃の銃口が火を吹いた。

炸裂する銃撃はボン太くんの体へ直撃。

 

『ふももも!?』

 

ボン太くんの体は攻撃に耐えた。

数秒の間だが体が傷つき右耳がちぎれ飛ぶ。

ボロボロになりながらも再びアラストルに組付き動きを止めようとする。

 

『早く正門から逃げろ!!』

 

中に入るヒイロは立ちすくむ常磐達に叫ぶ。

機関銃の直撃で電子回路に狂いが生じ、

怯える4人は声を聞いてとにかく走りだした。

言われた通り出口へ向かって全力で駆け抜ける。

小野寺は走りながら突然現れたボン太くんに付いて風間に聞いた。

 

「風間!! 知り合いにボン太くん居るのか!!」

 

「居るわけないでしょ!!」

 

叫ぶ風間。

けれども常磐には心当たりがあった。

 

「もしかして相良君かも!! 前にキグルミ着てたから」

 

「えぇ!? ダーリンの声に似たように聞こえたけど!!」

 

「何でも良いから逃げるそ!!」

 

逃げる4人の後ろでヒイロは弾丸が炸裂するアラストルの腕を無理やりボディーに捻じ曲げて行く。

天井が、壁が、床が。

コンクリートに溝を作りながら銃口はボディーへ密着する。

弾は装甲を貫き内臓機器がスパークし、それと同時に自爆装置も発動した。

 

『っ!!』

 

閃光で前が見えない。

視界が真っ白に覆われた瞬間。

爆発にヒイロは吹き飛ばされた。

慣性に引きずられながら廊下の上を転げまわりようやく止まった。

自爆の直撃でパワードスーツのボン太くんは外側からのダメージで殆ど機能しなくなる。

配線がはみ出て左腕にも穴が開く。

ギシギシと動くだけでフレームが悲鳴を上げて来る。

歩く事ですら片足を引きずりながらでないと動けない。

 

『限界か。残りは1体』

 

靴を履き替える事も忘れて校舎から逃げた4人はようやく現状を目の当たりにした。

あちこちから黒い煙が上がり窓ガラスは割れてないのを見つける方が難しい程に砕け散る。

その光景はまるで映画で見る戦場そのもの。

 

「どうしてこんな事になってんだよ?」

 

「わからない。でも、この前のテロリストの襲撃と関係があるのかも」

 

「只の高校だぞ!? 襲うなら銀行とか」

 

「銀行は襲わないと思うけど、学校を襲撃するのもオカシイ。人質にするなら政治家とか、もっと年齢の低い人を狙うのがセオリーだと思うんだけど」

 

小野寺と風間は互いに意見を言い合いながら戦場に変わった学校を眺めてた。

 

「かなちゃん……相良君……ユイ君……」

 

常磐は行方がわからない友人達の安否を心配した。

今はもう、無事に避難してる事を祈るしか出来ない。

 

「ねぇ、アレ!!」

 

稲葉が指差す先から、コンクリートの壁を突き破って最後のアラストルが現れた。

赤外線ゴーグルの視線に恐怖する4人は背を向けて急いで逃げようとする。

 

「やべぇ、逃げんぞ!!」

 

「逃げるって何処に? このままじゃ追い掛けて来る」

 

「とにかく逃げるしかないだろ!!」

 

小野寺と風間は叫びながらグラウンドから走ろうとした。

その時、1発の甲高い銃声が轟く。

弾はアラストルの頭部へ直撃するがキズ1つ付かず弾き返された。

向けられた視線の先には銃を構えたヒイロの姿。

 

「ユイ君!?」

 

「ダーリン!!」

 

驚く常磐と歓喜する稲葉。

そんな事は意にも返さずヒイロはボン太くんが装備してたベレッタを握り、目の前の敵に狙いを定めてトリガーを引く。

3点バースト。

ゴーグルに直撃するがアラストルは動きを止めない。

2回目。

赤い光が漏れる僅かな隙間を狙うが弾かれた。

3回目。

続けて同じ場所に撃ち込む。

4回目。

機関銃を展開させた右腕がヒイロに向けられた。

アラストルにダメージが通った様子は見られず、ターゲットに設定されたヒイロを今まさに殺そうとする。

5回目はなかった。

トリガーを引いても銃口から弾は発射されない。

手持ちの武器も他にはなく対抗手段はなくなった。

しかし眼前に立つアラストルはすぐには、電子音声でヒイロに話し掛けて来る。

 

『こんな事が起こってたまるか!! 貴様は一体何者なんだ!!』

 

「敵と話をするつもりはない」

 

『話が違うぞ。抵抗勢力は相良宗介1人の筈だ。それがこんな!? 新型のアラストルを4機もなくしてオメオメと戻れる訳がない!! お前もミスリルか!!』

 

「同じ事を言わせるな。やるなら早くやれ」

 

機関銃の銃口を眼前に突き付けるアラストル。

防ぐ事も逃げる事も出来ない距離。

それでもヒイロは鋭い眼差しで相手を睨み付けるだけだ。

 

『ここで言うならお前は殺さないでやる』

 

「あの4人はどうなる?」

 

『それはダメだ。それが俺の任務だからな』

 

「そうか……」

 

決断を迫られる。

指示に従ったとしても敵が見逃してくれる訳がない。

そして残された4人を見捨てると言う選択肢もなかった。

一瞬、まぶたを閉じたヒイロは力強い声でアラストルを遠隔操作する敵、クラマに言い放つ。

 

「例え死んでも貴様の言いなりにはならない」

 

『残念だよ。なら――』

 

アラストルが指示を実行しようとしたその時、眩い光が目の前に現れた。

光はアラストルに接触すると右腕を吹き飛ばし、破壊して行く。

抵抗すら出来ず全身の装甲が引き剥がされ原型を失う。

光が消えた先にはネジ1本として残ってなかった。

ヒイロは光が来た先、学校の屋上を見上げるとソコには1機の白いASが立って居た。

 

「来たか」

 

『みんな無事だな?』

 

ラムダドライバを展開したアーバレスト・フルウェポン。

その姿は当然小野寺達にも見えた。

外部音声で聞こえる宗介の声に皆驚きを隠せない。

 

「今の声……相良なのか!?」

 

「どうして第3世代型ASになんて乗ってるのさ!? アメリカ軍でもようやく実装された所なのに」

 

『すまない、今は話をする時間がない。早く安全な場所まで避難するんだ』

 

「待って!! かなちゃんは? 今日は1度も見てないの!!」

 

『大丈夫だ。千鳥は必ず守る』

 

「逃げるって何処に逃げれば良いのよ!!」

 

『ヒイロ・ユイに付いて行け。俺は敵の侵攻を食い止める』

 

言うとアーバレスト・フルウェポンは屋上から跳躍した。

遠ざかる白い巨人の背中をヒイロは只静かに見守るだけ。

誰にも聞こえない小さな声で一言呟く。

 

「死ぬな、宗介」

 

取り残された小野寺達はヒイロの元へやって来る。

 

「おい、これからどうすんだよ? 俺はこんな所で死にたくなんてないからな!!」

 

「相良君だけじゃないよ。ヒイロ君、キミも一体……。普通の高校生じゃないよね? ベレッタを使えるのなんて相良君くらいだ。ヒイロ君もやっぱり……」

 

「ねぇ、ヒイロ君!! かなちゃんは本当に大丈夫なんだよね?」

 

「ダーリン、うぅっ……」

 

思い思いの言葉を言う3人に泣いてしまう稲葉だがヒイロは何も応えない。

校舎から背を向け、まずはこの場から立ち去るのが先だった。

 

「死にたくなければ離れずに付いて来い。とにかくここから離れるぞ」

 

アーバレスト・フルウェポンが跳躍して行った方角と反対方向に向かって進み始める。

AS同士の戦闘に巻き込まれれば逃げる事もままならなくなってしまう。

それも一般人の4人が居れば尚更だ。

4人も現状を感じ取り、それ以上は言及しない。

ヒイロを先頭にして少しでも安全な場所に向かって歩き始める。

 

(だが、敵の攻撃がこれで終わる筈がない。総力戦……俺なら敵を確実に仕留めに行く)

 

東京の狭い区画に更なる脅威が迫りつつあった。

味方も居ないまま、宗介はかなめを守る為1人で立ち向かう。




設定ではボン太くんとアラストルはボン太くんの方が強いのですが、詳しい情報がありませんのでこの様にさせていただきました。
4体1ですし、これでも良いかなぁ~と。
次回は宗介のアーバレスト・フルウェポンの死闘です。
一体誰と戦う事になるのか!?
サムも登場します。
更新をお待ち下さい。

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