本来ならその間に修学旅行を挟むのですが、尺の都合でこの様にしました。
テレサ・テスタロッサは1人、花束を抱えて墓地に来て居た。
無数の十字架が広がる景色に中で彼女は迷う事もなく両親の元へ辿り着く。
2つ横並びの十字架には両親の名前が掘られて居る。
静かに抱えてた花束を備え、まぶたを閉じた。
(もう6年も前なのですね。兄さんの背中で泣きついてた頃の私はもう居ない。変わらなくてはならなかった。そして、兄さんもまた変わった)
背後から近づいて来る革靴の足音。
ゆっくり目を開けて振り向いた先には、決別したレナードの姿。
「アナタがここに来るとは以外ですね」
「そうでもないさ、両親だからね。あぁ、わかってると思うけど僕は母の事を死んだ今でも恨んでるよ」
「そんな事を言う為にわざわざここまで?」
「まさか。ミスリルが開発したラムダドライバ搭載AS、この前の中国での戦闘でアマルガムは痛手を負った。幹部達が騒いでるよ」
宗介が搭乗するアーバレスト。
それがラムダドライバ本来の力を発揮し瞬く間にコダールを撃破した。
その場ではそれでもよかったが、圧倒的優位な立場だと思ってたアマルガムはミスリルを危険視する。
ラムダドライバに対抗出来るのは未だにアーバレストのみ。
全力を出したアマルガムに太刀打ち出来るかは疑問だ。
「戦う気ですか?」
「他の幹部達の意見だよ。でも僕は戦いを止めるつもりはないし、自分の計画を進めないといけない」
テッサは肺に溜まる淀んだ空気を吐き出した。
この2人がもう1度手を取り合う事はもうない。
「わかりました。もうここで2度と会う事はないでしょう」
「そうだろうね。あの羽根付きを味方に出来れば少しは戦いが楽になるかも。じゃぁ、僕は行くよ」
テッサは歩いて行くレナードの背中を眺めるだけで、呼び止める事は決してしない。
彼女には似合わない鋭い目付きで睨む。
「1つ言い忘れてた。千鳥かなめさんによろしく言っておいてくれないか?」
不意に立ち止まったレナードは柔らかな笑顔を向けて妹にそう告げて、今度こそ本当に立ち去って行く。
テッサは向けられた笑顔に、自分と同じ風に流れる銀髪に嫌悪感すら感じる。
「やるしかないようですね、レナード」
テッサはもう『兄さん』とは呼ばない。
これは決別の為の儀式。
///
全校生徒が体育館へと集められた。
壇上で熱弁する男子生徒はマイクに向かって声高々に宣言するが、やる気のない生徒が大半で勿論誰も聞いてない。
今日は次期生徒会役員を決める為の選挙。
『現生徒会のやり方では一部の部活しか優遇されてません!! 僕が生徒会長になればこのような――』
制服のボタンをキッチリ1番上まで止めてシワもないようにアイロンがけされて居る。
手元には小さなカンニングペーパーが置かれて時折チラチラ覗く。
その様子を舞台袖でかなめと宗介はかれこれ30分眺めてた。
「あ~、何て退屈な時間」
「俺はそうもいかない。この時間を狙って襲撃があるかもしれん。選挙は己のプロパガンダを主張するのに絶好の機会だ。万全の体制で候補者を保護する」
「そこまでする価値があるのかねぇ~」
雑談してる間に壇上の男子生徒は演説を終えて備え付けられた階段から降りて行く。
続けて反対側の舞台袖から女子生徒が現れ、マイクの前に立ち演説を始める。
栗色の長髪がしなやかに揺らし、優雅な面持ちで声を出す。
『初めまして。矢島アキコと申します。今回はこの様な場に――』
かなめは表にバレないように覗きながら早く時間が過ぎるのを待つしか出来ない。
「な~んか凄いの来たわね」
「本部よりアルファ3へ。状況はどうだ?」
「で、アンタは何やってんのよ?」
「勿論警備だ。会長閣下に言い渡された最後の任務、完璧に真っ当する」
「あっそう」
興味ないとかなめはまたそっぽを向き、遅い時間が過ぎるのを只々待った。
宗介はトランシーバーを片手に配置した人員の報告や指示を。
何事も無く過ぎるプログラム。
この陣代高校に宗介が入学して9ヶ月、当初は日本の事を何も知らなかったせいで所構わず武器を手にしてたが、今ではその時に比べるとかなり落ち着いて来た。
器物破損や警戒心が強すぎる所は相変わらずにしても、関係のない一般市民にまで銃を突き付ける事は殆どない。
日本での生活に順応して来た事にかなめは少し嬉しく思う。
(このまま卒業したら大学に行くのかな? 宗介はどうするんだろ?)
横目で見た彼は手に銃を構えて照準を定めて居た。
「えっ!?」
『僕の名前は関智一と申します!! ここで――』
最後の1人が壇上で演説を始めたばかりの時にソレは起こってしまった。
『僕の輝かしい思い出です!! 皆さんも小学生の時に聞き覚えがあると思います。ピンポンパンポンとチャイムをならして――』
宗介が握った電気銃が寸分のズレもなく候補者の首元へ着弾する。
『ぐぅ!!』
高電圧が一瞬で体中に周り体が痙攣する。
白目を向いて震える彼は体力を振り絞り壇上へ這いつくばるが、そう長く保つ筈もなく限界を迎えた。
口から出るのはスピーチの原稿内容ではない。
『うぼあ゛あ゛あ゛ァァァ!!』
「キャァァァ!!」
「うわぁ!! 汚ねぇ!!」
マイクが拾うのは液体が滴り落ちる気持ちの悪い音。
一瞬で体育館は絶叫と悲鳴に包まれ、収集がつかない自体にまで発展してしまう。
かなめは怒りで全身が震え、館内の悲鳴に負けないぐらいの大声を出した。
「どうして……どうしてこうなるのよぉぉぉ!!」
///
体育館で絶叫が響き渡る中、ヒイロはそこには居なかった。
屋上に立ち双眼鏡を覗き1月の冷たい風に晒される。
「ECSの特性は理解した。あまり余裕はない。だが、そんな事を伝える為にここまで来たのか?」
屋上にはヒイロ以外にもう1人。
見た目は担任の神楽坂と同じように見えるが声が違う。
そこには変装したレイスが両腕を組んで鋭い視線を向けて居た。
「テレサ・テスタロッサからお前に伝えるよう指示が来た。それだけの事だ」
「俺はお前達ミスリルの味方をするつもりはない」
「わかって居る。後はお前の好きにしろ。私にもやるべき仕事が残ってる」
言うとレイスはヒイロに背を向けてハイヒールをカツカツ鳴らしながら屋上から出て行く。
ヒイロは無言で外の景色を暫く眺め、そして同じ様に出て行ってしまう。
校舎に戻った時にはレイスの姿はもう見えない。
目指す先は林水が居る生徒会室。
誰も居ない廊下を淡々と進み行く先、プラカードに生徒会室と書かれた部屋まで来るヒイロはノックもせず扉を開けた。
中には窓から景色を眺める林水が只1人。
「今は体育館で生徒会役員を決める選挙の筈だが?」
「俺には関係ない」
「まぁそう言わないでくれ。キミもこの学校の生徒だ。興味がなくとも行事には参加するのが生徒の最低限の努めだ」
「そう言って居られる時間はもうない」
ヒイロの言葉に林水は神妙な面持ちになる。
握った扇子を広げ、見えないように口元を隠す。
「どう言う意味か、聞いてみても良いかね?」
「以前に起きた都内での襲撃事件。報道では何と言ってたか覚えて居るな」
「テロリストの襲撃。だがその目的は定かではない。ドイツで採用されたばかりの新型ASが街で暴れ回り、それによる建造物破損の被害も少なくない。幸いにも死者は出なかったがケガ人も多い。記憶では新聞にこう書かれて居た」
「本体がもうすぐ来る。奴らが穏便に進めるとは考えにくい。最低限、逃げる準備は必要だ」
「こんな事を只の学生に言ってどうするつもりだい? 教職員、キミのクラス担任の神楽坂先生に報告した方が良いと考えるがね」
抽象的な言葉を使って話を進めるヒイロ。
林水も全てを理解出来る訳ではないが、言わんとする事は感覚で理解出来る。
メガネの奥の瞳をスゥと細め、抽象的な会話を続けた。
「言った所で信用しない。ならこの学校で1番統率の取れるお前しか居ない」
「そこまで信用してくれるのは嬉しいが、私の事を過大評価し過ぎだよ。キミが直接やった方が早いと思うよ。後は相良君に協力を仰ぐと良い」
「アイツはダメだ、かなめが居る。それに俺は他にやる事がある。頼める人員はもう居ない」
両目を閉じ、扇子も折り畳みポケットの中へ入れる。
静寂が部屋の中を支配し、重苦しい空気が充満した。
時間にして数秒、ようやく開かれた林水の口は重い。
「この学校にもテロリストが襲撃するのか。キミが冗談を言うとも考えづらい。恐らく本当の事だろう。でも1つだけ聞かせて欲しい。何故だ?」
「いずれわかる。コレが俺に出来る最後の事だ。もうこの学校に来る事もない」
「教えてはくれないか……わかった、可能な限り善処してみよう。それと、事が全て終わったのならまた学校に来てくれ。これは上級生の命令でも何でもない只のお願いだ。私は相良君と同じ様にキミとも親睦を深めたい」
ヒイロは返事を返さず林水に背を向けて部屋から出て行く。
林水も呼び止める事はしない。
扉が閉じられる乾いた音だけが鳴り、1人になった林水は天を仰いだ。
///
ドタバタで幕を閉じた生徒会役員選挙の片付けも終わり、宗介とかなめは隣り合いながら帰路に着く。
何事もなく終わると思ってた筈が結局は宗介が原因で騒ぎになった事にかなめはストレスが溜まる。
「ったく!! どうしてアンタは何時もそうやって!!」
「すまない。だが――」
「言い訳は聞かない!! 何であんな汚いのを触らないといけないのよ!! 早く帰ってお風呂入らないと」
怒り心頭のかなめに宗介は何も言い出す事が出来ない。
それがいつもの2人でありいつもの風景。
でもこの時だけは少しだけ違って居た。
宗介の手が僅かに伸び、冬の風で冷たくなってしまったかなめの手に触れる。
「え……」
伝わる温かい体温。
次第に気持ちも高揚し心音も高鳴る。
いつの間にか寒さは感じられなくなり、頬も赤く染まりだす。
「千鳥、嫌ではないか?」
「う、うん。嫌ではない……かな」
「そうか」
しっかりと交わされる互いの手。
さっきまでのイライラは何処へ行ったのか、かなめの頭の中からは消え去ってしまう。
宗介も他に言う言葉が見つからず口を閉じて黙りこんで居た。
街灯が照らす細い道を2人で歩く。
そうして始めに言葉を発したのはかなめだった。
「ねぇ、晩御飯食べてく? どうせインスタントとかなんでしょ」
「良いのか?」
「前に作り置きしたカレーがあるから。帰ってご飯だけ炊いたらすぐよ」
「そうか、助かる」
平常心を取り繕う2人だが内心ではまだ取り乱して居た。
自然に手を握る力は強くなり、それを意識してしまって手放しそうになりながら、また互いに繋ぎ合う。
夜の景色など殆ど視界に入らずどのようにかなめのマンションまで返って来たのか記憶があやふやだ。
交わす言葉も少ないまま扉の前まで来たかなめはポケットからキーホルダーの付いた鍵を取り出しドアノブに差し込む。
ガチャリと音が鳴り施錠が解かれた扉を開けて玄関に進む2人。
暗くて見えない部屋に明かりを付けようと壁のスイッチに指を触れた。
瞬間。
宗介が懐から銃を取り出し流れる様にスムーズに照準を定める。
「お帰り、千鳥かなめさん」
「なっ!? アンタは……」
明かりの付いたリビング。
そこに居たのはあの時に出会った男の姿。
レナード・テスタロッサが真っ黒なロングコートを着て我が物顔で立って居た。
「動くな!! 抵抗するなら撃つ」
「宗介!?」
「典型的な社交辞令だね。でも僕はそんな事をする為にわざわざここまで来たのではない。銃を降ろしてくれないか?」
レナードの問い掛けに応える事なく宗介はトリガーを引いた。
閃光。
耳を塞ぐ爆発音。
弾丸はレナードの頭部目掛けて発射され、そして弾き返された。
(何だ、今のは!? あのコート、普通のコートではない。弾丸に反応して自動的に動いてヤツを守った)
「無駄だよ。何ならもう1発撃ってみる? でも僕もそんなに長居出来ないんだ。銃を降ろしてくれないなら、こちらも武力行使に出るしかなくなる」
レナードが視線を向けた先、ベランダから身長2メートルを超える大男が2人現れる。
それは以前もレナードを護衛して居た小型ASアラストル。
頭部の赤外線ゴーグルが宗介をターゲットに認識する。
「コイツラは!?」
「銃を降ろして、宗介」
「だが目の前には――」
「良いから降ろして!! 普通に戦っても勝ち目がない!!」
かなめの剣幕に押されて宗介は銃の照準をレナードから外し銃口を床へ向けた。
殺伐とした空気は失くならないまま、笑顔を向けるレナードに2人は睨み付ける。
「懸命な判断だね。キミは1度コレを見てる。そんな銃で勝てない事を充分に理解してる」
「何? 自慢話をしに来たの?」
「まさか。最後に話がしたいんだ」
「最後?」
レナードの言い回しが頭に引っかかるもかなめは口を閉じ続きが聞かされるのを待つ。
「僕はキミにも用がある、相良宗介君。あの白いASのパイロットはキミだろ?」
「応える義務はない」
「だろうね。素直に言ってくれるとは思ってないよ。アマルガムの幹部はあのASに随分ご立腹だ。今までの戦闘でコダールタイプが6機、ベヘモスが1機、幹部だった2人も失って居る。コレまではミスリルの事なんで様子見程度だったけれど次からは本気で来るよ。キミ1人で何処まで出来るかな?」
宗介にはわかって居た。
今の戦力でアマルガムが総力戦を仕掛けてくればミスリルの勝ち目が限りなく低い。
ラムダドライバの対策が出来てない状況でコダールタイプやベヘモスを大量投入されれば、アーバレストだけで撃退出来る筈がなかった。
けれども敵が真正面から正々堂々と攻めて来る筈もない。
そうなった時、宗介は何をするべきか。
「これ以上は言わなくてもわかって貰えるよね。でも僕はそこまで無慈悲じゃないよ。条件を1つだけ飲んでくれたら攻撃を止めるよう幹部達に声を掛ける」
「条件だと?」
「難しい事はない。千鳥かなめさん、僕と一緒に来てくれないか?」
聞いた瞬間、宗介は血が沸騰する勢いだ。
そのような条件を飲める筈もない。
銃のグリップを握る握力が強まり皮膚が痛いくらいだ。
だが意義を唱えたのは宗介ではなくかなめだった。
「冗談言わないで!! アタシはアンタに付いて行く気なんて微塵もないし、もう顔も見たくないわ。今すぐに出てって!!」
「冷たいなぁ。随分嫌われてしまったみたいだ。どうして僕は嫌われて人殺しの彼は好かれるんだろ?」
「ひと……殺し……」
体の筋肉が収縮して息を呑んだ。
「そうさ、羽根付きのパイロットと同じ人殺し。何十人、何百人、もっと殺してるかも。キミはそれでも――」
「うっさい!! これ以上口も聞きたくない!! アタシは宗介もヒイロ君も信じてる!!」
「ふふっ、わかった。僕はもう出て行くよ。彼にもよろしくね」
レナードはアラストル2体を引き連れて、入って来たベランダへと向かう。
何時攻撃を仕掛けて来るともわからない状況で宗介は神経を尖らせレナードを最後まで警戒した。
銃口はまだ床へ向いてるが、直ぐ様照準を合わせてトリガーを引く覚悟は出来て居る。
けれども振り向く事はなくレナードは夜の闇に姿を消した。
ようやく戻った静寂。
2人はもう晩御飯のカレーを食べれる気などなれなかった。
///
翌日、陣代高校。
空は灰色の雨雲に覆われ、太陽の光は全く見えない。
2年4組の生徒は4時限目の国語の授業を受けており、担任であり担当である神楽坂が白いチョークを片手に黒板の前に立つ。
授業は滞り無く進んでおり、何かを心配するモノなど皆無。
教室には誰も座って居ない席が3つ。
授業を欠席して居る1人、ヒイロは屋上でまた双眼鏡を覗いてた。
「敵が来るな……アレを使うか」
神妙な面持ちのヒイロはそう呟き、周囲の確認を済ませると屋上から出て行く。
だがヒイロ以外にも状況を確認して居る男がもう1人。
陣代高校から数百メートル離れたビルの屋上。
そこに黄土色のコートを着て黒い丸メガネを掛けた男。
手には通信端末を握り、指示された作戦を何時開始するのかを見極て居る。
背後には5体ものアラストルが待機して居た。
「頃合いか。こんなガキみてぇな事に駆り出されるとは。まぁ、仕事は仕事だ。キッチリ終わらせる」
千鳥かなめが陣代高校に在籍してる事も、彼女を護衛する為に宗介が潜入してる事も、レナードの情報から漏れてしまう。
アマルガムの幹部の1人は当事者である宗介とかなめだけでは飽きたらず、関係のない生徒まで巻き込もうと目論む。
その為にアマルガム構成員のクラマは日本にまで派遣された。
「目標は設定した。行け!!」
クラマの声に反応して5体のアラストルが一斉に陣代高校の敷地内へ踏み込む。
正門、裏門を封鎖して退路を失くす。
こうなれば袋のネズミ。
戦闘経験などある筈もない普通の学生が逃げる事は出来なくなる。
だが、普通ではないヤツがまだ1人残って居た。
アラストルの1体が正門から堂々と1歩踏み入れたその時。
『drftgy――』
アラストルの機械音声が障害を起こし何を言って居るのか聞き取れない。
衝撃と閃光が同時に襲い掛かる。
仕掛けた爆弾が起爆し2メートルはあるアラストルの巨大が見えなくなってしまう。
「爆発だと!? 情報では今、相良宗介は居ない筈だ!! 誰なんだ!!」
情報とは違う現状に驚くクラマ。
そして爆発を合図にする様に校内放送が流れる。
『授業中に失礼します。例の彼がまたしでかしました。全校生徒は大至急正門から外へ逃げて下さい。今回は相当危ないので全力で逃げる様に。以上』
生徒会長、林水の声が放送で流れる。
普通なら避難訓練と思い生徒はダラダラ逃げるだろう。
でも陣代高校の生徒は違った。
放送を聞いた途端、全校生徒は全速力で外へ走りだした。
「また相良のヤツか!!」
「巻き添え喰らうなんてゴメンだぞ!!」
「またなの~!!」
口々に不満を漏らしながらも全員が死に物狂いで外へ逃げて行く。
この光景にクラマは唖然とする。
「早すぎる!! 1200人は居るのにこのままでは2分もあれば全員に逃げられる。どうなってるんだこの学校は!!」
アラストルを1機失い、目標である陣代高校の生徒にも逃げられてしまう。
クラマは端末の通してアラストルの攻撃命令を変更する。
「プラン201だ。少しでも逃げ遅れたヤツを殺せ!!」
『プラン201変更、承認しました。これより行動に移ります』
機会音声でクラマに返事を返すアラストル。
残った4機のが無慈悲な殺人兵器となり、校舎のコンクリートをタックルで突き破り内部へ入って来た。
「こんな任務を失敗しては俺のメンツが潰れる」
軍人であるクラマに最新鋭の兵器、それも相手は只の学生達。
そこには確かな油断が存在したが誰がこの様な結果を想像出来るモノか。
思考を切り替えたクラマは本気を出して生徒を殺そうとするが、立ち塞がる障害はまだ存在する。
『ふも!!』
侵入したアラストルの頭部にショットガンの弾丸が撃ち込まれる。
全身を覆い隠すコートが破かれ、体を構成する鉄のボディーがあらわとなった。
目の部分に位置する場所にはゴーグルがハメられており、赤い赤外線が目標を認識する。
そこには犬なのかネズミなのか良くわからないキグルミが居た。
通称、ボン太くん。
(人型サイズの無人機、あの男が連れて居たヤツか。速やかに撃破する)
『ふもふも!! ふもるるる!! ふもももも!!』
中のヒイロの声が相手に届く事はない。
ガンダムもなく、援軍もない状況ででヒイロは敵と対峙する。
懐かしのFLASHを借りました。
知ってる人はもう少ないかな?
ヒイロはアラストル4機を相手に勝てるのか?
宗介とかなめはどうなるのか?
ご意見、ご感想をお待ちしております。