フルメタルWパニック!!   作:K-15

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第11話 アーバレスト対ウイングガンダム

時間は少しだけさかのぼり、クルツとグエンの狙撃チームも持ち場に付いた。

島の南東に位置する場所で岩場に身を隠しながら長距離から獲物を仕留める2人、クルツは持ってきたスナイパーライフルをM9を器用に動かして組み立てていく。

狙撃手として長い時間を戦場で駆け抜けてきたクルツには目をつむっていてもライフルを組み立てられる。

彼にはそれだけの自信と裏付けされる狙撃技術を持っていた。

パートナーのグエンも装備する無反動砲を組み立てると肩に担ぎ、敵が現れるのを待ちながら雇い主のミスリルに対して愚痴をこぼす。

 

「毒ガスの中で仕事なんて報酬の割にあわないぜ」

 

「そう言うなよ。終わったらパーティーで余ったシャンパンでも飲もうぜ」

 

「ミスリルは装備はいいんだが、やる事が面倒で困る。やれ人質だ、やれ爆弾だ。俺がここに来る前はそんな事無視してやれたんだがな」

 

「報酬は弾んで貰ってるんだろ?金の分だけはきっちり仕事するぞ」

 

「わかってる。基地から炙りでたマヌケをぶち抜くだけだ」

 

「その調子だ」

 

クルツはスナイパーライフルのスコープを覗き、望遠レンズで基地内部の様子を伺う。

コクピットの画面には望遠レンズから見える映像が送られ、クルツはそこに映った物に息を呑んだ。

見えるのはASの2倍はある全長とトリコロールカラーの機体。

 

「アイツは……」

 

///

 

『ウルズ1よりウルズ7へ。聞こえるか』

 

「肯定です」

 

『全員が配置に付いた。これより奇襲作戦を開始する』

 

「了解しました」

 

2機は海の中で待機したままマオやクルツ達が配置に付くのをただひたすら待ち続けた。

消費するエネルギーを最小限に止めており、アーバレストは鉛のように動かない。

宗介は部隊長からの通信を聞いてアーバレストのエンジン、パラジウムリアクターをフル稼動させ全身に電力を供給させる。

 

「アル、作戦開始だ。パワーレベルを上げろ」

 

『了解。パワーレベル、ミリタリーに設定。活動開始まで残り10秒。9、8―――』

 

息を吹き返すアーバレスト、AIのアルは宗介の声に反応して自動に機体の制御をしてくれている。

徐々に電力が行き渡り、それに伴ってアルがカウントを開始した。

コクピットの中で宗介は画面上に表示される数値がマックスになるまで時間が経過するのをじっと待つ。

 

『1、0……活動可能です。軍曹』

 

「よし、行くぞ!」

 

背部のバックパックのスクリューを稼動させ海中を高速で移動する2機のAS、負荷の掛かる海を物ともせずにスクリューはASを運び速度を上げて行く。

島へ接近するアーバレストはスクリューの速度はそのままに、水深が浅くなってきた海底を足で蹴った。

慣性の付いていたアーバレストはロケットのように海から飛び出し全身から海水が風で吹き飛ばされる。

空中で宗介は必要なくなったバックパックをパージし、身軽になった機体で島へ上陸した。

ジャンプの衝撃も膝のクッションで吸収し着地を難なく成功させ、脇部の兵装ラックから単分子カッターを取り出す。

 

「ウルズ7、上陸に成功。これより基地に突入する」

 

『ウルズ1、了解。15秒で合流する』

 

部隊長からの了解を得た宗介は単分子カッターを握ってアーバレストを走らせた。

地面を踏み荒らし樹の枝をへし折りながら雑木林を駆け抜け、宗介は異常に静まり返った空間に違和感を抱く。

 

「何かがおかしい。何だ?」

 

『レーダーに敵反応はありません』

 

「カモフラージュしているにしても1つも反応がないのはありえん。警備が薄すぎる。まるでもぬけの殻みたいに」

 

基地の防衛力の低さに疑問を持ちながらも作戦を止める訳にはいかず、雑木林をアーバレストは走る。

木々を抜けた先に広がるのはアスファルトがえぐれ、コンクリートで作られた建造物は形をなくしASも元がどの種類だったのかもわからない程に破壊しつくされていた。

 

「これは!?」

 

『ようやく来たか。待ちくたびれたぜ、カシム』

 

外部音声で響き渡る声は自分の存在を見つけてくれと言わんばかりに隠れる気が全くない。

太陽が登り始め、夜の闇が消えつつある今は声の主を探すのは容易い。

その真っ赤な装甲は例え夜でも隠し通せる物ではなく、懐かしの旧友に会うかのようにベノムはアーバレストに向かってゆっくりと歩いて来た。

手に武器は持っておらず、一見戦闘は不可能のように見えるがラムダドライバが搭載されている事を知っている宗介はそれだけでは安心しない。

単分子カッターを構えたままアーバレストに向かって歩いてくるヴェノムを真っ直ぐ見据える。

 

「ガウルン。お前が何故ここに居る!」

 

「俺からのビデオレターは届かなかったのかい?」

 

「ビデオレターだと?ふざけるな!お前はここで倒す」

 

「おうおう、威勢が良いこって。どうせカリーニンのヤツが見せなかったな」

 

「どこまでも減らず口を!」

 

宗介はラムダドライバを搭載したヴェノムを相手に充分な武器もなしに突撃する。

ヴェノムは右手の人差し指を突き出しマニピュレーターで銃のようにして構えると、その先端から光が輝き不可視のエネルギーが発射された。

 

「BANG!!」

 

「来るっ!?」

 

宗介の危機察知能力が脳で考えるよりも早く体を動かしていく。

アーバレストは左脚部で地面を思いっきり蹴り機体を右へ側転させ不可視のエネルギーを避けた。

次の瞬間には1秒前まで機体が居た所が爆薬もないのに爆発を起こす。

アスファルトが吹き飛び、大きく穴の空いた地面からは土が見える。

受け身を取ったアーバレストはすぐさま立ち上がり、単分子カッターを片手に第2射が来る前にヴェノムへ突っ込む。

 

「アル、ラムダドライバだ。ヤツを止める」

 

『使用不可です。軍曹』

 

「なにっ!?ぐっ!!」

 

宗介の意に反してAIのアルはラムダドライバを起動させない。

薬物投与で強制的に起動させているアマルガムとは違い、ミスリルのラムダドライバには極限の集中力が必要とされトリガーを引けば弾の出る通常の武器とは使用方法が根本的に違う。

過去2回ラムダドライバを発動させた宗介だがそれは全てかなめの助言があったから発動出来たが、今回の戦闘には彼女は居らず自分だけで発動させるしかない。

武器を使用するのに感情が必要となる事に宗介は理解出来ず、戦闘に置いて感情が邪魔になる事もあり戦場では個人の感情など無視して来た。

戦う為に自然と身に付いてしまった事が今では足を引っ張り自分や仲間を窮地に追いやってしまう。

長い戦いで染み付いてしまった感覚を今すぐに変えるなど無理な話で、宗介は思い通りに使えない自分とラムダドライバを設計した者に怒りを覚えた。

ガウルンは宗介がラムダドライバを使いこなせない事を見透かし、教師が生徒に諭すように呼びかける。

 

「どうしたカシム?そのASのラムダドライバが使いこなせないのか?」

 

「こんな不安定な物使わなくてもお前を倒せる!」

 

「言ってくれるねぇ。経験者からのアドバイスだ、ラムダドライバはこうやって使うんだ。よぉく見てろ」

 

ヴェノムの人差し指がまた光ると同時に不可視のエネルギーがアーバレストに向かって発射された。

跳躍してラムダドライバのエネルギー波を回避し無傷で終わるが、背後の雑木林がへし折られていく。

太い幹が根本から折れ、土煙を上げて一直線にエネルギー波が突き進む。

宗介は戦いで培った勘で目に見えない攻撃でも回避する事が出来たが、機動力の低い第2世代のASや新兵ではこうは行かない。

強制的に発動させているラムダドライバだがその攻撃力は既存の武器とは比べ物にならない。

ひとたび攻撃がかすめれば致命傷は避けられず、ラムダドライバの発動していないアーバレストも鉄くずに変わる。

 

「アル!どうしてラムダドライバが使えない!」

 

『……』

 

「くっ!!」

 

宗介の問いかけにAIのアルは無言で答えない。

苛立つ宗介だが使えない武器の事など思考から排除し目の前の敵に視線を向ける

余裕の態度を崩さないガウルンは戦いの真っ最中にも関わらずまた宗介に呼びかけた。

 

「お前はその程度の男なのか?カシム」

 

「黙れ!」

 

「そうだよ、昔のお前はこんなじゃなかった。組織に染まったお前は覇気がない」

 

「ガウルン、キサマは!!」

 

宗介は単分子カッターをヴェノムに突き立てるが、刃先は赤い装甲に触れる事もなく透明の壁に阻まれてしまう。

ヴェノムにダメージは通らず、ラムダドライバが形成した不可視の壁のエネルギーによりアーバレストは後ろに大きく弾き飛ばされた。

宗介は受け身を取る事もままならず、背中から地面へ叩き付けられ装甲から火花が上がる。

衝撃は吸収しきれる物ではなく、コクピットにまで伝わり宗介の体がシートの上で激しく揺れた。

 

「ぐぁぁっ!!」

 

「ダメダメ、それじゃぁ俺は倒せねぇ。でも一撃で終わりなんてそんなつまらねぇ事はしねぇよ。カシム、頭ぶち抜かれた礼だ。お前には最後まで付き合ってもらうぜ」

 

宗介は以前にもガウルンと戦場で出会った事がある。

幼い頃の宗助は少年兵としてゲリラ活動をしており、言われるがまま目の前に現れる相手を殺してきた。

人を殺す事に罪の意識どころか感情すら持たず、目的の為ならば相手が自分と変わらない年代の子供であろうとも容赦はしない。

けれどもゲリラ組織は崩壊し露頭に迷っていた時、当時のソ連軍特殊任務部隊スペツナズに所属していたカリーニンに救助され行動を共にするようになる。

この時からカリーニンと宗介、ガウルンとの因縁が始まった。

ガウルンとカリーニンは幾度も戦場で刃を交えたが、負傷はしても決定的なダメージは与えられない。

だが敵地に侵入した宗介が不意を突き額を狙撃し、強敵と思われていたガウルンはあっけなく意識をなくし地面へと倒れてしまう。

弾丸が額に直撃したのを宗介は確かに確認し、倒れたガウルンの頭部からも赤い血が流れてきていた。

でも死んだと思われていたガウルンは、今はまた宗介の前に敵として現れた。

手術で頭蓋骨にチタンを埋め込まれていたおかげで負傷はしたが難を逃れ、その時の憎悪を今でも持ち続け宗介にぶつけた。

 

「お前の為にフルコースを用意したんだ。こんなのはまだ前菜だぜ」

 

「待て!」

 

トドメを刺せるにも関わらずガウルンのヴェノムは跳躍し基地の奥へと向かって行く。

すぐにアーバレストを立ち上がらせ離れていくガウルンを追いかけようとするが、ウルズ1から通信が入り頭に血が上っていた思考が冷まされて少し冷静になる。

通信回線を繋げ声を拾うと部隊長のマッカランの声が聞こえ、M9もアーバレストのすぐ近くまで来ていた。

「ウルズ7聞こえるか?」

 

「こちらウルズ7、肯定です」

 

「まともな武器もなしにヤツに挑むのは危険だ。これを使え」

 

「了解です」

 

合流したマッカランのM9は両手に武器を握っており、左マニピュレーターに握っていた57mm散弾砲を宗介に手渡した。

受け取った宗介は武器の安全装置を解除し、銃弾が装填されているのを頭で考えなくても流れるように確認した。

 

「あまり考えすぎるな。ウェーバー達のサポートもある」

 

「はい、行きましょう」

 

「いや、少し待て……こちらウルズ1、状況を報告しろ」

 

逃げるヴェノムを追尾しようとする宗介だがマッカランに別行動を取っていたダニガンから通信が来た。

 

『やべぇぜ隊長。未確認機体がここに居る』

 

「未確認機体?」

 

『あぁ、間違いねぇ。今俺の目の前に居る』

 

「ヤツの性能は未知数だ。危険と感じたらウルズ2と一緒に撤退しろ。こちらもベノムを確認した。基地中央部に向かって移動中」

 

『了解、こんな所でくたばる気はねぇよ』

 

マッカランはダニガンからの通信を切り、逃げるヴェノムを2機で追いかける。

距離の離れたヴェノムの姿が少しずつ小さくなっていくが、目立つ赤い色をした装甲は目印に使えるほど特徴的で視界から逃さない。

機体を走らせ基地の中央部に近づいていくとミサイルが爆発する爆音が響いた。

 

「何の音だ?」

 

「ウルズ7、ここに未確認機体も確認された」

 

「ヤツもこの場所に居るのですか?」

 

「そうだ、最悪撤退も視野にしれて行動しろ。現状の戦力で太刀打ち出来る相手とも思えん」

 

ガンダムがこの基地に居る事を知り、宗介のプレッシャーは増々重くなる。

ベヘモスを相手にラムダドライバがなくとも戦えるのを宗介は知っており、ヴェノムとガンダムを相手取りどこまで戦う事が出来るのか今の状態ではわからなかった。

 

(ダメだ、余計な物は考えるな。目の前の敵に集中するんだ)

 

1度まぶたを閉じ一呼吸し精神を落ち着かせ、アーバレストにヴェノムの追尾を再開させる。

基地内部は始めに感じた予想通りでもぬけの殻、防衛するASも来なければ敵兵1人居る気配すらなく基地は壊滅状態だった。

穴が開き、至る所に大きなヒビの入ったアスファルトをヴェノムは颯爽と突き進み宗介とマッカランは射程圏内に捉えるべく背後から追いかけるしか出来ない。

基地中央部に差し掛かると走り続けていたヴェノムは動くのを止め立ち止まる。

そしてヴェノムの目の前ではビームサーベルを握るガンダムの姿があった。

 

「アイツは!?」

 

「カシム、俺からのメインディッシュだ。最後までゆっくり味わいな!」

 

3人の目の前でガンダムは左半身のなくなったダニガンのM9に向かって握っているビームサーベルを振り下ろした。

高エネルギーのビームサーベルは最新型のM9の装甲をネジ1本残さずに溶解させていく。

数秒と時間は掛からず一瞬で、M9の姿は宗介達の目の前から姿を消した。

ダニガンのM9を破壊したガンダムは立ち上がりレーダーに映るヴェノムとアーバレストを認識する。

 

「新しい敵反応……データベースに該当なし。あの時のヤツか」

 

ヒイロはヴェノムを照準に合わせ肩のマシンキャノンを展開した。

ガトリングが高速で回転しマズルフラッシュと共に弾丸が発射され赤い装甲に襲い掛かるが、ヴェノムはラムダドライバで不可視の壁を展開させて回避行動に移る。

元々の運動性能とパイロットの技量が合わさりヴェノムにマシンキャノンの弾は当たらず、すぐさまヒイロはターゲットを切り替えた。

 

「来るっ!!」

 

「回避しろ!」

 

狙われたのを察知すると宗介とマッカランは二手に分かれてマシンキャノンの弾を回避する。

逃げながら57mm散弾砲をガンダムに撃つがASと比較して2倍はあろうかと言う全長に直撃してもキズひとつ付かない。

57mm散弾砲はASが使用する武器の中では高い威力を持つ方だがガンダニゥム合金にはどれだけ撃っても無意味だ。

 

「攻撃が効いていない!?」

 

「あの白いASもデータにない新型か。優先して撃破する」

 

アーバレストはミスリルが独自に開発したASであり、量産もされていないので宗介が搭乗している1機しかこの世に存在しない。

ヒイロが収集したASのデータの中には登録されている筈もなく、未知数のヴェノムと共にアーバレストを危険視する。

左腕の赤いシールドを槍のようにアーバレストに目がけて突き立てた。

先端がアスファルトを突き破り爆音が響いたがそこにアーバレストは居ない。

側転し容易に回避する宗介は姿勢の低くなったガンダムの頭部にもう1度57mm散弾砲を撃つが、弾はほとんど弾き返されてしまう。

けれども拡散した弾の一部がメインカメラに当たってしまいコクピットに伝わる情報が制限され画面に映る映像が砂嵐に変わった。

視界が悪くなり一時的に動きの鈍くなるガンダム、宗介とマッカランは容赦なく携帯している武器のトリガーを引き攻撃するがやはりどちらの攻撃も効果がない。

そと時になってようやく別行動を取っていたマオも宗介とマッカランに合流する。

M9を走らせながら手に持った40mmライフルをフルオートでトリガーを引き弾を撃ちまくるがどれも固い装甲を打ち破る事はない。

 

「こちらウルズ2、ウルズ7の援護に廻る」

 

「マオか!?ならさっきやられたのは……」

 

「えぇ、ダニガンよ。それよりも今は目の前の敵が最優先」

 

「わかっている」

 

味方が戦死したと聞かされても宗介は精神を乱す事なく淡々と受け止めた。

今までも戦いの中で隣に居た仲間は銃弾を頭部に受けて死んだりしたのを間近で見てきた宗介に、作戦の真っ最中に動揺したり感傷に浸る事はない。

 

「メインカメラ損傷。サブに切り替えればまだ行ける」

 

「やはり通常攻撃ではダメか。ラムダドライバが使えれば……」

 

「雑魚に構っている時間はない!」

 

ガンダムの装甲の強度に舌を巻く宗介、一方のヒイロも素早く動き回るアーバレストに苛立ちを感じていた。

圧倒的な性能を持つガンダムではあるが的が小さいASには攻撃そのものが当てにくく、どれだけ強力な武器を持っていようとも当たらなければ無意味。

マシンキャノンも固定され機体が向いている方向にしか発射出来ないため、運動性能の高いアーバレストに直撃させるのはヒイロでも難しい。

コクピットでヒイロは右足でペダルを踏み込み羽のメインスラスターを吹かせガンダムを急上昇させた。

飛行能力のないASには飛び立つガンダムを見上げる事しか出来ず、握っていたビームサーベルをシールド内部に格納させたガンダムは腰部にマウントさせていたバスターライフルを手に取る。

その動作を見た瞬間に宗介は危険を察知してこの場から退避しようとした。

ガンダムはバスターライフルの銃口を基地へ向け、赤いサイトで表示された中央にはアーバレストが映っている。

 

「ターゲットロックオン。目標、新型アームスレイブ」

 

「まずい!全員退避しろ!」

 

「ウルズ1より各員へ。聞こえたな!相手がどんな動きを見せるのかわからん。独自の判断で動け!」

 

マッカランは退避し宗介もバスターライフルの攻撃から逃げようとするが、ガウルンが逃すまいと立ちふさがった。

 

『まだメインディッシュの途中だぜカシム』

 

「ガウルン!?」

 

『言った筈だぜ。最後までたっぷりと味わえってな』

 

ヴェノムは人差し指を向けラムダドライバのエネルギー波を発射しようとする。

ガウルンはまだ宗介を殺す気はなく、アーバレストの脚部に狙いを付けるがマオのM9が駆け寄りながら40mmライフルの弾がそれを止めようとヴェノムに撃つ。

 

「宗介!!」

 

『邪魔をするってかい?ならお前も―――』

 

40mmライフルの弾は不可視の壁に遮られコーダルiはダメージを負っておらず、アーバレストに向けていた人差し指をマオのM9へと向けた。

ラムダドライバが搭載されていないM9にヴェノムの攻撃を防ぐ手段はなく、ガウルンの気を自身に向けさせようと57mm散弾砲を構えるが相手の攻撃の方が早い。

 

『BANG!!』

 

「マオ!!逃げろ!!」

 

「えっ―――」

 

エネルギー波は40mmライフルをバラバラに粉砕し、右腕を持って行ってしまい衝撃で背部から倒れた。

攻撃された事にも気が付かず、右腕が破壊された衝撃がコクピットに伝わりマオの体が激しく揺れる。

機体が倒れた衝撃も吸収出来ず、マオは意識を失ってしまう。

 

「マオ!?」

 

『距離が離れていると当てにくいんだよ、コレ。でも邪魔は居なくなった。さぁ、やろうぜカシム!」

 

「くっ!」

 

ヴェノムはアーバレストに向き直り白兵戦をしようと次は単分子カッターを引き抜いた。

こうしている間にも上空へ飛び上がったガンダムはバスターライフルを発射しようとしている。




バスターライフルで狙われている宗介のアーバレスト、目の前にガウルンのヴェノムも居る状況でどのように潜り抜けるのか!?
そしてガウルンの狙いが次の話で明らかになります。
原作とは違う進み方ですが楽しんでいただければ幸いです。
投稿は遅くなってしまいますがお待ちください。

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