回復魔法の一種で、効果時間の続く限りHPを回復させ続ける。最大HPを超えてまで回復はしないが、傷を受ければ自動的に回復していく。
という非常に便利なスキルなのだが、今まで使わなかったのには理由がある。
「やっぱりあんまり増えてない、か」
再生魔法を使っていると、ダメージを受けてもHPの鍛錬度があまり貯まらず、最大HPが伸び難いのだ。
痛い思いをしたのにこれではワリに合わない。
やはり、使いどころが重要なスキルだな。でも、後で必要にはなるだろうからレベルは上げておきたいし……。
これで、新陳代謝を活性化させるから成長速度も促進するってんならもっと使いまくって、せめてジュニアを火星から脱出させるんだけどなあ。
「まったく、まだ新品だってのにこんなにしちゃって」
「面目ない」
再生魔法で自身の傷は治るが、服は直らない。
けっこう頑丈な生地と縫製なのか不良たちの攻撃で破けてはいなかったが、血や他の汚れがかなりついていた。
屋敷に戻るなりすぐに脱がされ、制服は洗濯される。
「洗濯機って便利ですね」
やや赤い顔でかわりの着替えを出してくれる月ちゃん。以前の俺ならともかく、こんな発育途中のボディに照れんでもいいのに。
「でも、物によっては手洗いした方がいいのもあるから注意してね。まあ、詳しいことは梓が教えてくれるか」
「はいはい。物干し場に女の子の下着干してても、変なことしちゃ駄目だからね」
「しないってそんなこと!」
俺が興味あるのは中身のほうだ。
フィギュアをメインにしてたら、造形や塗装の参考資料にするかもしれないけどさ。
俺が持ってるフィギュアは完成品がほとんどだもんなあ。
でもさ、みんな自分の下着とか区別できるのかな。人数が多いからごっちゃになったりしないんだろうか?
「煌一は楽しみは後にとっておきたいのよね」
「え?」
「どれほど扇情的な下着でも、つける前に見てしまっていたら感動も薄れるでしょう?」
ああ、そういう意味か。ネタバレ注意ってことね。
「か、華琳さま、そんな戦場的な下着をお持ちなのですか!?」
なんか字が違うような?
春蘭の隣では稟が鼻をおさえて堪えているし。
「ふう。今のは強敵でした」
「妄想しなきゃいいんじゃない?」
言いつつ、ビニフォンで稟のMPをチェック。……最大MPがかなり伸びてるな。
「もしかしてわざと妄想して鼻血を堪えて、最大MPを強化してるの?」
「わかりますか」
冗談なのか本気なのか微妙な気がする。
でも、強くなってるんだからいいかな。
「これも全て、華琳さまとの伽に辿り着くため!」
「ふふっ。楽しみにしてるわ」
「か、華琳さまが楽しみに……くっ」
慌てて鼻血を堪える稟。
変なスキル追加しちゃったけど、特訓用と思えば成功だね。
「今日はどうするのです?」
やはり赤い顔で着替えをチラチラと見ていた愛紗が聞いてきた。
「昨日と同じかな。まずは覚えられそうな子にポータルを覚えてもらうよ。梓も熟練度が貯まってきてるから、そろそろレベル1になるんじゃないか?」
「そうだといいんだけどね」
「残りの子は勉強かな。初めて授業を受けてどんなものかはわかったと思うし」
小学校の教科書ももらってあるので、それから始めてもらおう。
「今日の編成は……」
小隊編成は俺と凪と、朱里ちゃんと雛里ちゃんは昨日と同じ。それに月ちゃん、詠に桃香と愛紗。
レーティア小隊はレーティア、ヨーコ、クランに美羽、七乃と人和。
華琳小隊に梓、桂花、秋蘭、霞。
冥琳小隊に雪蓮、蓮華、祭、星、蒲公英ちゃん、紫苑。
真・恋姫†無双のパーフェクトビジュアルブックの能力値から判断して、覚えられそうな子たちを編成してみた。
「璃々のこと、お願いしますね」
「まかせてくれ」
「智子お姉ちゃんとゆり子お姉ちゃんと遊ぼうな」
「うん」
小隊のメンバー数には余裕があるので、本当は璃々ちゃんも連れていってあげたいけど、ファミリアになっていないのでゲートが使えない。まあ、桔梗と華雄が残っていてくれるのでだいじょうぶだろう。
「桔梗、みんなのこと頼むね」
「おう、任せておけ」
見た目は変わっちゃったけど、留守番組では最年長だ。頼りになるはず。
君主たちを全員連れてっちゃうのはちょっと心配ではあるけどさ。
「みんな、ちゃんと寝てるのか?」
相も変わらず常夜の2面。開発部の連中もその影響か、昼夜の区別がおかしくなっているようだ。
「寝てなんかいられないでしょ! もうちょいなんだから」
「そ、そうか。がんばって」
昨日よりもテンションが怖いチ子を応援し、差し入れにと朝ついでに作ったおにぎりを置いて、レーティアと美羽ちゃんを残し俺たちは工場の外へ。
「さ、ポータル覚えてね」
昨日と同じくポータル特訓。今度はちゃんと朱里ちゃん、雛里ちゃんも参加する。あと、もう少しで覚えるはずの梓、ヨーコ、クランも。
「なーんか退屈な訓練ねぇ」
ぼやく雪蓮。効率重視だから面白くもなんともないのは確かだろう。
「そう言わずにさ、これを覚えている子が多いと小隊の編成に幅が広がるから」
「私としては雪蓮は無理に覚えないでもいいのだがな」
冥琳はよっぽど雪蓮のサボりに苦労していたのかもしれない。
ポータルを何度か往復させて、ヨーコとクランがすぐに1レベルになった頃、雪蓮がすぐに帰ってこなくなった。
ポータルの先の神社で、なにか面白いものを見つけたのかもしれない。
「まったくあいつは」
ブツブツ言いながら、雪蓮に電話する冥琳。使いこなすの早いなあ。
「早く戻ってこないか」
少しのやり取りの後、大きなため息をつく冥琳。
「雪蓮は抜きでやってもらえないか?」
「そういうわけにもいかないでしょ。ポータル覚えたら、ここの食堂で少しはお酒を飲んでもいいって言おうと思ったんだけど……」
それが聞こえていたらしく、開けたままのポータルから雪蓮が飛び出してきた。
「それ、本当でしょうね?」
冥琳再びため息。今度はさっきのより大きい。
「覚えたらね。ここだとお酒買うにもGPかかるから、それを稼ぐにもポータルスキルがないと困るんだよ」
「わかったわ」
社員価格なのか、ここの食堂は安いけどね。
これがよかったのか、真面目に訓練をしてくれる雪蓮。祭と星、霞もやる気を見せてくれている。
……ポータル覚えたら覚えたで、ここにきて飲むのが癖にならなきゃいいけど。
「ふむ。軍師たちは覚えたようね。梓が覚えたら私は作業に入るわ」
「うん。梓も覚えたよ。行ってきて」
華琳の言う作業はフカヒレ作成のこと。量産型ビニフォンの素材の1つである巨大サメの余りから作りたいようだ。
華琳と梓、それに桂花が冷蔵庫へと向かった。
フカヒレか。楽しみだ。さすがに俺は料理したことないけどね。
「月ちゃんも覚えたね、ご苦労さん」
契約者である俺の小隊のメンバーは、熟練度の貯まりがいいので1レベルになるのも早い。
続いて、愛紗と桃香も覚えてしまった。
「私も使えるようになるとは」
「さっすがウチが認めた愛紗やな」
霞が褒めると、愛紗は真面目な顔で返す。
「ちゃんと霞も覚えるはずだ。がんばれ」
愛紗に応援され、霞がさらにやる気になってポータル往復が駆け足に。
「ほれ、ちんたらやっとらんと急がんかい!」
「そんなこと言われても、お嬢様がそばにいないのにやる気なんて出ませんよう」
七乃が愚痴る。美羽ちゃんは今頃は食堂か、レーティアの作業を見ているはずだ。……退屈して寝てるかもしれないけどね。
「あっ、ごめん、七乃もう覚えてたよ」
ビニフォンで確認したら、もう1レベルになっていた。さすがは本気を出せば天下とれそうな悪知恵キャラ。
「もっと早く教えてくださいよぅ」
「ごめん、人数が多くてファミシー切り替えてるのが大変で」
見たい項目だけ一括表示できればいいんだけど……試したらできた。すごいな
「うん。これでみんな覚えたね」
「よっしゃ! 酒や酒!」
「ええ。飲むわよ!」
「こっちの酒は楽しみじゃのう」
飲兵衛たちのテンションが急上昇してるな。
でも、祭は小さくなってるんだけどだいじょうぶかな?
食堂につくと、とりあえずビールをみんなに出す。
「苦っ。でも、悪くないわね」
「うん。苦い……」
やっぱりこの身体ではあまり美味しくない。早く元に戻りたい。
俺はジュースに切り替えて、一応言っておく。
「あんまり飲み過ぎないようにね」
たぶん無理だろうけどさ。
「へえ。秋蘭と紫苑、祭ちゃんもスナイパーなのか」
「ミシェル、みんな煌一の妻だと言ったではないか!」
気づけばミシェルとカミナや、開発部のエルフやドワーフたちもいた。
ああ、クランけっこう酔っているな。
「やるわね、小さいおじさん」
「おじさんではない、ドワーフだ!」
雪蓮はドワーフたちと飲み比べしてるし……。
「その口調で関西じゃないの?」
「関西ってどこや?」
前世が関西人らしいチ子ちゃんは霞と飲んでるな。
「ふふっ。楽しいね」
「しかし、私たちだけで酒盛りしたとなるとあとで鈴々が拗ねそうです」
「桔梗も怒りそうだわ」
「残ってた子たちは、土曜、基礎講習を受けた後にでも連れてこようよ」
その場合、璃々ちゃんをどうするかが問題になるわけだけど。
智子たちにまかせればいいかな。ゆり子も妹ができたってひそかに喜んでいるようだし。
「冥琳、悪いけど……」
「仕方ないさ。あまり遅くならないようにはするよ」
小隊を再編成し、霞を冥琳小隊に、蓮華と紫苑を華琳小隊に入れ替え、冥琳に酔っ払いを任せて俺たちは屋敷へと戻った。
俺も飲めたら残ったのになあ。
「縦に切ったのは焼いて、へたの方を横に切ったのは煮るわけですか」
ピーマンの肉詰めのレシピを簡単に説明したら流琉ちゃんはすぐにわかってくれた。
「種も捨てないでね。栄養あるから」
「そうなんですか?」
カプサイシンやカリウムが豊富。って説明しながらも材料を混ぜたひき肉をこねて作ったタネをピーマンに詰めていく。
人数が多いから作らなきゃいけない数も多い。
今回は祭を置いてきちゃったのが痛かったな。そう思っていたら、梓が季衣ちゃん、鈴々ちゃん、美羽ちゃん、南蛮勢、璃々ちゃん、ねねちゃんといったロリっ子を集めてきて手伝わせていた。
「ハンバーグや餃子って、子供に手伝わせるのがいいんだよ。こねたり詰めたりは刃物使わないでできるし、それなりに楽しいし」
なるほど。嫌いなものでも自分で作ったのなら食べてくれるかもしれない。
梓はほんと、主婦というか、お母さんっぽいな。
「できた!」
「上手にできてるよ」
璃々ちゃんは器用だね。
「きれいにできたのだ!」
「ふふん、ボクの方が大きいもんね!」
詰め具合を自慢する鈴々ちゃんと季衣ちゃん。
「こんなもんかのう?」
美羽ちゃんは髪をまとめてもらって手伝っている。
「恋殿の分はねねが作るです!」
「こっちは美以たちの分じょ!」
ねねちゃんと南蛮娘たちが材料の取り合いを始めたので、慌てて止める。
うん。たしかに楽しいかもしれない。
料理に厳しい華琳でさえ、不出来なものに注意もせずに微笑んでいた。
「次はみんなでケーキでも作ろうか?」
「ケーキ? こないだの菓子ね。それも面白いかもしれないわね」
ちっちゃい子むけにホットケーキからかな? ホットプレートを使って。
それならお好み焼きもいいかもしれない。ふっくら焼くコツは知っているから智子たちにいいとこを見せられるかもしれないな。
あ、ホットプレートだとブレーカー落ちるかな? この人数分の鉄板を用意するのが先か。
詰めおわった大量の肉詰めを煮崩れないように鍋にぎっしりと押し込んで煮ていると、光姫ちゃんが訪ねてきた。
従者の他に2人の少女を連れて。
「いらしゃい」
「他人行儀な。おかえりなさいでよいぞ、婿殿」
「む、婿殿!?」
光姫ちゃんといっしょにきていた少女たちが驚く。そりゃそうでしょ。
「詠美ちゃんと文?」
なんで光姫ちゃんがこの2人を連れてきたんだろう?
深々と頭を下げる文。
「その節はお世話になりました」
「お兄さんが見つかってよかったね」
まあ、文の兄の光臣はまだ牢屋暮らしだろうけどさ。
「文は行方不明の生徒の救出に貢献したとして、特別に入学が認められての。手続きがやっと終わったのじゃよ」
「それはよかったね」
ファンディスクでの展開がもうきちゃうのか。
「それで、しばらくここに置いてやってはくれんか?」
「え?」
「恩返しがしたいのです」
恩返しって、文まで?
君はあっぱれ主人公のとこに行くんじゃないの?
「ほれ、さっそく暴れたらしいではないか。護衛にどうじゃ?」
「やっぱり聞いていたか」
俺が不良たちに襲われた話。あの時いなかった光姫ちゃんが知っているということは、不良たちも救助されたかな? 固めた氷を溶かすだけだからなんとかなったはず。
「護衛ならば私がいます!」
凪が声を上げる。
「今回は華琳さまの命でお守りすることができませんでしたが、次は必ず私が隊長を守ります!」
やっぱり止められてたのか。あの後、凪の表情が暗くて気になってたんだけど、凪も気にしていたのね。
「八雲堂じゃないの?」
「あっちはほれ、吉音がおるからのう」
いや、用心棒じゃなくて看板娘になるはずなんだけど。
……八雲堂や吉音って名前が出たら、詠美ちゃんがピクって反応したな。
もしかして拗れてるの?
「お茶です」
気を利かせた月ちゃんがお茶を運んできてくれた。
「ふむ。護衛が駄目なのであれば使用人でもかまわんじゃろう?」
「ちょっと! 月は使用人じゃないわよ!」
詠もいたのか。
「いいんじゃない? 文なら私は歓迎するわ。もちろん住み込みよね」
楽しそうだね、華琳。
「そうか。文もそれでいいな?」
「はい。よろしくお願いします」
ああ。決まっちゃったみたい。
でも、よく考えたらファミリア以外の子もいてくれた方がいいか。『仕事』でみんな出かけてる時に璃々ちゃんを見てくれる人がいるのは助かる。
月ちゃんと詠に連れられて文が部屋から退出するのを見届けてから次の話題に。
「で、詠美ちゃんはどうしたの? なんだか疲れた顔をしてるけど」
「見ての通りじゃ。働きづめでの。このままじゃ倒れそうなので気分転換も兼ねて連れ出したのじゃ」
「これぐらい平気です」
いや、そうは見えないけど。
顔色悪いよ。
「吉彦が戻っても入れ替わりにお前さんが入院してどうする」
「かまいません。引継ぎももうすぐ終わります」
「引継ぎ?」
どういうこと? 詠美ちゃんが執行部を辞めるの?
「エヴァに関わった者たちは処分を受けています。後は私を残すのみ」
「詠美ちゃんは利用されていただけなんでしょ?」
「ケジメはつけないといけません」
あっぱれ本編と違って挽回のチャンスがなかったからなあ。
精神的な面でも疲れが出てそんな顔色になっているのかな。
「まったく。今夜はここでゆっくりして、憑き物を落とすがよい」
まあ、ここなら悩み相談もできそうな娘もいるから悪くはないか?
それとも桃香や天和、沙和たちとガールズトークしてもらった方が肩の力も抜けるかも。
徳河の子とは関わりたくないんだけど、仕方ないか。
夕食。
「おいしい!」
璃々ちゃんたちはピーマンを食べてくれた。煮込んだ方のが評判いいみたい。
俺も食べてみる。これは璃々ちゃんが詰めたものだ。お父さんにあげるねってわざわざよそって持ってきてくれた。泣きそうなほど嬉しかった。
うん。味がしっかり染みてて美味い。
今回はコンソメで煮たけど、めんつゆと砂糖とで甘辛く煮たのも合うんだよなあ。
これから徐々に他のピーマン料理にも慣れていってくれるといいな。
「ふむ。婿殿の愛情料理はいいのう」
「今日の料理は璃々ちゃんたちががんばってくれたおかげだよ」
「その、さっきから言っている婿殿というのは?」
「かっかっか。わしと十兵衛もそこの煌一殿の嫁になったのよ」
驚愕の表情を見せる詠美ちゃんと文。
「よ、嫁って! 水都家の方はお許しになったのですか?」
「知らせてはおる」
……マジですか? 早く挨拶に行った方がいいのだろうか?
気が重い。
「いつの間に……」
詠美ちゃんショック受けてるみたいだなあ。
八雲君との仲もうまくいってないのかもしれない。吉音ルートだったのかな?
「たっだいまー」
みんなが食べ終わった頃、ようやく酔っ払いどもが帰ってきた。
酒臭いんで、慌てて消臭魔法をかける。これも早く覚えてもらわないと駄目かも。
「すまん、遅くなった」
「ご苦労様、冥琳」
押し付けちゃってごめんね。
彼女たちの分をテーブルに用意する月ちゃんたち。文も手伝ってくれている。
うん。月ちゃんたちと同じメイド服っぽくアレンジされた制服も似合うなあ。
その後は十兵衛に稽古をつけてもらって入浴。
部屋に戻り、少しはやらなきゃと教科書をパラ見していたら、華琳と桂花、春蘭と秋蘭がきた。
「この人数になったのだから、夜の休日がないのはわかっているわね?」
嫁さん増えてなきゃ、今夜は休みのはずだったっけ。
「今日の当番よ」
「いきなり4人とか人数増えすぎじゃない?」
「こんなに増やしたのは誰だったかしら?」
ぐっ。それを言われると耳が痛い。
……って、積極的に嫁を増やしたのは華琳だったじゃん!
「寝台がないのも悪くはないわね」
春蘭たちが布団を敷くのを見ながらの華琳。
たしかに俺のとこのベッドじゃこの人数は無理だろうけど。
この部屋の押入れの布団が大きかったり多めに入ってたりするのは、最初からそのつもりで俺にあてがったからなんだろうか?
「この身体の俺にどうしろっていうのさ?」
「使えないわけではないのでしょう?」
そうかもしれないけど。まだ火星在住なんだってば。
「華琳さま、本当にこんなやつと?」
暗い表情の桂花。
大江戸学園の制服でも猫耳頭巾は相変わらずのようだ。
「ええ。そのために準備させたのだから」
「準備って?」
「開発部の新作トイレ、みなで試してきたわ」
いつの間に!?
それって、直腸洗浄っていうあれだよね?
「わたしは風呂場でやってきた。大変だったのだ!」
「なに言ってるのよ! 華琳さまにしてもらって喜んでいたくせに」
「なんだと!」
ああ、春蘭も開発部に連れて行けばよかったのかな。
「今の煌一なら初心者にはちょうどいい大きさでしょう?」
そ、そうかもしれないけどさ……。
初心者用サイズ……。
華琳たちの魅惑的な下着姿に反応したジュニアを見つめ、俺は心で泣くのだった。
「ピーマンの肉詰め」と「肉詰めピーマン」のどっちが正しいか悩んだり