クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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世界を壊す夢

 赤黒の世界を金の光が一閃する。

 それはまさしく古き時代の幕を引くかの如く真っ直ぐに放たれ世界を、空を、宇宙を裂いていく。

 その光が放たれる場、受ける場には4人の決闘者が集っている。

 4人が4人とも傷があり、表情には疲労が見える。

 だが膝を折っていない。

 ここまで多くの者達と千を超えるであろう激戦を潜り抜け、すでに限界を迎えているであろう体で、立っている。

 満身創痍の体を突き動かすのは多くの者達より託された願いがあり、譲れない感情がある。

 彼等は言葉では語らない、決闘で己をぶつけ合うだけだ。

 もうすでに彼らの持つ願いは他人から何かを言われた程度で考えと行動を改めるような領域にはない。凝り固まった夢と願いは自分が諦めない限り折れることは無い。

 だからこそ拳を握り全力でぶつかり合う。

 ぶつかり合った先に分かり合い、笑い合う未来を信じて。

 そして今、遊馬の全力の攻撃が終わり、1体の機械仕掛けの天使の降臨と共にプラネタリーのターンが来る。

 

遊馬・裕場   CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラATK3000 (ORU2)

LP300     No.16色の支配者ショック・ルーラー ATK2900 (ORU2)

手札2・1    No.39希望皇ホープ ATK2500 (ORU1)

        No.100ヌメロン・ドラゴン ATK600 (ORU1)

        天輪鐘楼       

        リビングデットの呼び声  

        伏せ2

 

リペント・プラネタリー場 時戒神ザフィオン ATK0

LP20100         連撃の帝王

手札4・1         虚無戒アイン・ソフ

             伏せ1

             機殻の要塞

 

「儂のターン、ドロー!」

 

 プラネタリーはドローし、スタンバイフェイズと呟く。

 それと同時に発生するのは目の前に悠々と浮かぶ水の時械神が自らを蒼い渦と化し水しぶきをばら撒き虹を作っていく光景だ。

 その飛沫はプラネタリーの手札へと集まりカードと成る。

 

「そして場を離れた時戒神ザフィオンのモンスター効果を発動、コントロールしているプレイアーは手札を5枚になる様にドローする」

 

 決闘盤ですでに確認していたのだろう、遊馬の表情は硬いだけで驚愕の色は無い。

 そしてそれは遊馬が効果を無効にするカードを伏せていないと言う証明でもある。

 

―――伏せていようものならばドロー効果を通すような事をせぬであろう。となれば効果無効の線は消えたのう。

 

 静かに考えを巡らしながらプラネタリーは手札を見、遊馬達の墓地を確認する。

 インフィニティ・トゥースで何か墓地より発動できるカードが落ちてないかを見るも、ジェット・シンクロン以外にまともな墓地発動のカードは無い。

 それをしっかりと確認し、どれがこの状況で一番勝ちに繋がり易いかを考える。

 そして手札に来たカードをへと視線を注ぎ、表情を緩める。

 プラネタリーの動く気配を感じ取ったのだろうか、遊馬と裕、アストラルはお互いに励まし合う様に声を掛け合い互いを励ましていく。

 それはまるで未曾有の災害を前にし共に手を取り合い乗り切ろうとする者達のようである。

 

「儂はスケール4のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンとスケール12のPSブラック・サンでペンデュラムスケールをセッティング。これで儂はレベル5から11までのモンスターが同時に特殊召喚可能となった」

 

 リペントは動くかを見る。

 遊馬は動かない。

 

―――サイクロンも無いようじゃのう。

 

「二色の眼輝かせし竜と黒陽の輝きの間で揺れよ振子。ペンデュラム召喚! 現れよ。竜穴の魔術師、賤竜の魔術師、クリフォート・ツール、クリフォート・シェル、相克の魔術師。そして特殊召喚された賤竜の魔術師の効果で墓地より慧眼の魔術師を手札へと加える」

 

 光の軌跡が描く陣より現れる魔術師、そして機殻達、それらを目にし遊馬達は次に出て来るであろうモンスターがなんであるか予想が出来る。

 特殊召喚された際にレベルが4となるクリフォート・シェルはともかくレベル5のクリフォート・ツールを出す意図があるとすればそれはたった1つだ。

 最期の悪徳が放つ駆動音に風は恐怖を怯え逃げる様に吹きすさび大気はビリビリと振動、遊馬達のNo.達が警戒するように声を挙げる。

 

「まずは1手目、相克の魔術師の効果発動、光属性の希望皇ホープの効果を無効にする」

 

「罠カード、スキル・プリズナー! 希望皇ホープを対象にするモンスター効果を無効にする!」

 

―――となれば残りのもう1枚が問題じゃな。可能性としてはミラーフォースのような攻撃反応系、エクシーズ・リボーンのような蘇生系、ガードローの様なドロー系、そして水田裕へと渡すカードのどれかじゃな。

 

「2手目、レベル7の竜脈の魔術師と相克の魔術師でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。幻獣機ドラゴサック。そしてエクシーズ・トレジャーを発動、場には5体のモンスターエクシーズ、よって5枚ドローじゃ」

 

 畳みかけるように連打する効果、そして特殊召喚されるモンスター達、だがそれは前座だ。

 全ては最高位機殻と時械神達を安全に連打する為の露払いでしかない。

 

「更に死者蘇生を発動、墓地よりクリフォート・アーカイブを特殊召喚する」

 

「これでクリフォートモンスターが3体っ……!」

 

「来るか、最後のアポクリフォート!」

 

 遊馬と裕の呟き、そして来る。

 

「クリフォートモンスター3体を生贄に捧げよう。覚醒せよ、10番目の悪徳!」

 

 3色の宝玉が収束、白の巨玉へと形を変え、光のラインを描きながら天へと飛翔する。

 悪徳の樹においてアポクリフォート・キラーが地より創り上げるというのならばアポクリフォート・カーネルは対極、創り上げられる場所は澄み渡りし天。

 大気中にある塵、雲、陽光を吸収し金属へと再構成が始まっていく。

 黒の玉座を取り囲む白と白金で彩られた2輪、それより膨大な質量を浮かすだけのエネルギーが発生、それに続くは黒の玉座より金色の刃が2輪へと突き刺さり、接続する軽やかな音の連打だ。

 それらをBGMとし、遊馬達の頭上、陽光をその巨体で覆い隠しながら最高位の機殻が天より舞い降りる。

 

「現れよ、無神論を司りし最高位に座したる機殻、アポクリフォート・カーネル! リリースされたクリフォート・アーカイブの効果発動、儂の伏せカードを破壊。そして破壊されし影依の原核のカード効果で墓地より影依融合を手札へと加える」

 

「まずい、ネフィリムが来る……!」

 

 1度は肩を並べて戦った仲間が使うエースモンスター、それの内包する能力は遊馬達は理解している。

 

「儂は影衣融合を発動、デッキより光属性の慧眼の魔術師とシャードールモンスター、シャドール・ビーストを融合素材とし現れよ! エルシャドール・ネフィリム!」

 

 No.へと絡みつく黒紫の糸。それらはエネルギーを略奪しプラネタリーのデッキへと突き刺さっていく。

 黒紫の糸に導かれ、蠢き、躍り出るは2枚のカード、それらは紫の渦の中で融け合い修道女像が浮かび上がり袖を広げる。

 そのモンスターが内包する能力は攻撃力など必要としない。

 虚無戒アイン・ソフの放つ波動は攻撃力を0にしてしまう。そのプラネタリーの場で唯一攻撃力を持つ機殻が動き始める。

 

「アポクリフォート・カーネルの効果発動、相手モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。儂が奪うのはショック・ルーラーじゃ」

 

「なんだって!?」

 

 苦い顔をするも遊馬は動かない。

 それを見、魔法、罠、モンスター効果のどれを選ぶか決めかねる。

 

―――さてどうするかのう……。罠とモンスター効果はこれらを最大限に生かせなくなるしのう。

 

 プラネタリーは手札にあるカード達へと目を落とす。

 しばらく思案し、

 

「ショック・ルーラーの効果発動、オーバーレイユニットを使い魔法カードを発動できなくさせよう。そしてドラゴサックの効果発動、このカードをリリースしヌメロン・ドラゴンを破壊する」

 

 異形の天使より針がばら撒かれ、この場に集う決闘者達を取り囲むように突き刺さり薄く発光、魔を封じるフィールドを形成する。

 そしてそれに続く様に墜落する様にドラゴサックは黄金に輝く龍へと墜落するように突進、大爆発を引き起こした。

 

「ヌメロン・ドラゴンが!?」

 

 遊馬はヌメロン・ドラゴンを心配するように声を挙げ、遊馬の横にたたずむアストラルはそれを見、遊馬が抱いているのとは別の感情を込め叫びをあげる

 

「まずいぞ、遊馬! ヌメロン・ドラゴンの効果は!」

 

 爆風の内、龍の悲しげな咆哮が轟き、爆風をも飲み込み金色が周囲を飲み込み始める。

 死と再生を司るヌメロン・ドラゴンには守りと攻め、そして全てを塗り替える力を持っている。

 守りは手札、場にカードが無い場合、エクストラデッキより特殊召喚できる効果。

 攻撃はバトルするモンスターの攻撃力を0にし、場の合計のランク×1000ポイントアップする効果。

 そしてヌメロン・ドラゴンが破壊された時、場に居るモンスター全てを破壊しこのターン、破壊された魔法、罠カードを破壊される前の状況に戻すという不利な状況を塗り替える力がある。

 そしてそれは最悪のタイミングで作動する。

 0と1の数字がばら撒かれ、光がほぼ全てを塗り潰していく。

 その光にの中で無事なのはただ1体。

 

「アポクリフォート・カーネルはランク1のヌメロン・ドラゴンの効果を受け付けない、そして墓地に送られたエルシャドール・ネフィリムの効果発動、墓地より影依融合を手札へと加える」

 

 遊馬の場にモンスターは0、そしてプラネタリーの場には先ほど破壊された影依の原核があり、影衣融合が手札へと加えられるという結果を生んだ。

 リペントはヌメロン・ドラゴンの効果を知っており、この為にゲノムとドラゴサックの効果で伏せを破壊せずにいたのだ。

 クリフォート・アーカイブを死者蘇生で蘇らせ、リリースしヌメロン・ドラゴンをエクストラデッキに戻すと言う方法もあったがそうしてしまうとまたしてもヌメロン・ドラゴンが特殊召喚されてしまう。

 墓地にあるレベル・スティーラーをどうにかしない限り楽に特殊召喚されてしまうこの状況ではそれはあまり良い方法ではないだろうとプラネタリーは考えたのだ。

 

「バトルじゃ、アポクリフォート・カーネルで直接攻撃!」

 

 金の光を裂き、飛翔する機殻の球へと砲撃が収束していく。

 通れば即敗北、だがこのような所で終わる決闘者ではないだろうとプラネタリーとリペントは考え、それは当たる。

 

「俺は手札からガガガガードナーのモンスター効果発動! このカードを特殊召喚する!」

 

 現れた盾持ち、だがそれぐらいの事をリペントが想定して居ない筈が無い。

 ノータイムで命令を放つ。

 

「攻撃続行じゃ」

 

「手札を墓地に送る事でガガガガードナーはこの戦闘では破壊されない!」

 

 白い光が遊馬達の周囲を削り取り逃げ場を失わせていく。

 遊馬達の顔には切り抜けたとでもいうように安堵が僅かにある。だがその安堵の色は一瞬で塗り潰される。

 

「開け天の門、無限光アイン・ソフの効果発動!」

 

 2つのリングより発生する光、それへとプラネタリーは4枚(・・)のカードを投げ込んだのだ。

 裕に残すためであろ戦闘破壊を免れたがガガガガードナーは速攻のかかしを発動を許されない格好の的になる。

 2つのリングを潜り抜け現れる4体の時械神、それぞれ放つ力は莫大であり、ドン・サウザンドと遊馬達との接戦で深刻なダメージを負っていた世界が限界を迎え、空に、地に紙を破ったように裂け目が走り、悲鳴を挙げ砕けていく。

 古き世界を一掃する使命を帯びた天の御使いの様に、神の忠告を信じ箱舟に乗りこんだ者達以外を洗い流した水害の様に4体の天使達が光の中より現世へと雪崩れ込む。

 

「現れよ、時械神ハイロン、時械神ラフィオン、時械神サンダイオン、時械神ミチオン」

 

 その特殊召喚を受け遊馬は裕を真っ直ぐに見た。

 そして、

 

「すまねえ、裕。渡そうと思ってたんだけど使うぜ! 俺は罠カード、裁きの天秤を発動! 俺達の場にはカードが5枚、リペント達の場にはカードが10枚、よって5枚ドローする!」

 

―――ここで大量ドローか、だが圧倒する!

 

「時械神ラフィオンでガガガガードナーを攻撃! ラフィオンは攻撃終了時、バトルしたモンスターを手札へと戻しその攻撃力分のダメージを与える!」

 

「俺は手札より虹クリボーの効果発動! 時戒神ラフィオンの装備カードになる! その攻撃は無効だ!」

 

 1体目の時械神の攻撃を虹色の壁が受け止める。 

 ならばと2体目の時械神が動く。

 

「続け! 時戒神ハイロン」

 

 茶色の時械神は黒の結晶を作り出しガガガガードナーをすり抜け、遊馬達へと投げつける。

 

「ハイロンのモンスター効果発動、戦闘終了後、相手と私のライフの差分のダメージを与える!」

 

 ライフの差は19800、よってその数値がそのまま効果ダメージとなり遊馬へと襲い来る。

 普通の決闘ならばまず目にかからない様な馬鹿げた数値、それを前にしても遊馬は一歩も引かない。

 

「俺は手札より永続罠、アリバリアの効果発動! 効果ダメージが発生したとき、そのダメージを無効にしこのカードを手札より発動できる!」

 

 プラネタリーはアリバリアのテキストに目を通す。

 このカードが在る限りモンスター1体の攻撃の無効化とある。

 つまりはバトル終了時に4000の効果ダメージを当たえるサンダイオンの攻撃は止められることを意味している。

 

「ならば時戒神ミチオンで攻撃、ミチオンの効果発動、相手のライフを半分にする!」

 

 相手も時械神達の効果を確認しているのだろう、何の動きも無く攻撃は通りミチオンの効果も発揮された。

 ミチオンにより照射された赤井閃光に焼かれ苦悶の声を挙げる遊馬達、それらへとプラネタリーは追撃する。

 

「メイン2、レベル10の時戒神ハイロンとサンダイオンでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。ランク10、超巨大空中宮殿ガンガリディア。ガンガリディアの効果発動、オーバーレイユニットを使い相手の場のカードを破壊し1000ポイントのダメージを与える、儂が破壊するのは天輪鐘楼じゃ」

 

「させるか! 俺はエフェクト・ヴェーラーのモンスター効果発動! その効果を無効にする!」

 

 手札より放たれた少女が宙に浮かぶ宮殿より発射された砲弾を防ぐ。

 ならばとプラネタリーは自分のエクストラにある最後のランク10を解き放つ。

 

「更に時戒神ミチオンとラフィオンでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。ランク10、超弩級砲塔列車グスタフ・マックス! オーバーレイユニットを使い2000ポイントのダメージじゃ」

 

「俺は墓地からドリーム・シャークの効果発動! 効果ダメージを無効にしこのカードを特殊召喚する!」

 

 墓地より現れた鮫が大砲撃を防ぐ。

 プラネタリーはいつの間にと考え、ガガガガードナーの効果だと思い当たる。

 

―――倒しきれなかったのが無念だが有用なカードを使わせたと考えるならば良い傾向じゃろう。

 

 これ以上、何もする事の無いプラネタリーはそう考え、

 

「カードを2枚伏せてターンエンドじゃ」

 

リペント・プラネタリー場 アポクリフォート・カーネル ATK2900

LP22200         超弩級砲塔列車グスタフ・マックス DEF3000

手札4・2         超巨大宮殿ガンガリディア DEF3000

             連撃の帝王

             虚無戒アイン・ソフ

             伏せ3

             機殻の要塞

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン(スケール4) PSブラック・サン(スケール12)

 

遊馬・裕場   ドリーム・シャーク DEF2600

LP150     ガガガガードナー DEF2000

手札2・1    天輪鐘楼

        リビングデットの呼び声  

        アリバリア

 

「俺のターン!」

 

 相手の場には強烈な効果を持つモンスターエクシーズが2体、そして魔法も罠も自身のレベル以下のモンスター効果を受け付けない機殻がある。

 それら全てを一掃しないと次の遊馬のターンは回ってこない事は明白だ。

 

―――状況は圧倒的に不利、前のターンみたいな事にならないでくれよ。頼むぜ、俺のデッキ! 負けられねえんだ、だから答えてくれッ!!

 

 決闘において決闘者の運命を決めるのは決闘者の力だけではない。

 デッキが所有者の願いに応えてくれるときこそ、決闘者を勝利へと導くのだ。

 だから裕は祈る。勝たせてくれ、と。

 手札は機械複製術、最上がこの状況を見たならばほら見た事か、コンボ用のカードなんて積んだらいざって時にそれを引いて負けるんだって、そう馬鹿にしたように己が信じる持論を言い放つだろう。

 そう考えてしまい、イラッと来るも裕は自分が使っているデッキに効果ダメージを防ぐカードを入れたかを思い返すも、

 

―――入れてないよなぁ。

 

 そうなってしまえばあれら3体を放置した結末など考えるまでも無い。それを回避すべく、裕はデッキトップに手をかけ、思いっきりドローする。

 

「よし! シンクロン・エクスプロ―ラーを召喚、墓地よりクイック・シンクロンを特殊召喚する! そしてドリーム・シャークのレベルを下げてレベル・スティーラーを特殊召喚。レベル1のレベル・スティーラーとレベル2のシンクロン・エクスプロ―ラーにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚、レベル8、ロード・ウォリアー!」

 

 デッキに導かれるままに裕はカードをドロー、モンスターを展開しデッキが示す道を疾走する。

 裕の叫びに応じる様にシンクロ召喚を祝福する鐘の音に導かれ、輪と星の作り出した道を駆け抜け疾走する黄金の戦士が場に降り立った。

 

「更に俺は墓地の光属性、エフェクト・ヴェーラーを除外し輝白竜ワイバースターを特殊召喚、そして手札のカードを1枚捨てる事でジェット・シンクロンを特殊召喚。俺はレベル4の輝白竜にレベル1のジェット・シンクロンをチューニング、レベル5、アクセル・シンクロン! 天輪鐘楼、そして暗黒竜の効果でデッキより輝白竜を加え1枚ドロー」

 

 レベルが下は1から上は10まで幅広く変更できるシンクロチューナーのアクセル・シンクロン、そしてデッキよりチューナーを特殊召喚出来るシンクロモンスターのロード・ウォリアーがこの場にいる状況、あともう1体、シンクロモンスターを特殊召喚できればクェーサーが出せる状況なのだが裕のエクストラデッキには今の現状でシンクロ召喚できるシンクロモンスターは1枚のみだ。

 そしてそのシンクロモンスターを出すと言う事はクェーサーを諦めなければいけない。

 このまま2枚の手札で出来る事など限られており裕はクェーサーを未練たらたらながらも断念、ため息を吐き今一番しなければいけない布陣へと持っていく事に集中する。

 

「そして墓地の白を除外し闇黒竜コラプワイバーを特殊召喚。レベル4となっているドリーム・シャーク、暗黒竜コラプワイバー、ガガガガードナーでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 この決闘に置いて2度目の蒼い稲光を伴うモニュメントが渦より構築され、変形が始まっていく。

 巨大な雷魚が水しぶきの代わりに火花をまき散らしながら咆哮する。

 

「来やがれ、雷光の化身! No.91、サンダー・スパーク・ドラゴン!」

 

 守備表示で特殊召喚されたサンダー・スパークだがまだ効果は使わない。

 裕は更にデッキを手に取り、

 

「ロード・ウォリアーの効果発動、デッキよりチューニング・サポーターを特殊召喚、そしてジャンク・シンクロンを墓地に送りアクセル・シンクロンのレベルを2にする。そしてロードのレベルを下げてレベル・スティーラーを特殊召喚。レベル1のチューニング・サポーターとレベル7となっているのロード・ウォリアーにレベル2となっている闇属性チューナー、アクセル・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!」

 

 黒い輪が1つ、空へと飛び上がり、それらを追い9つの星が空へと舞い上がる。

 一直線に並んだ星と輪は光となり新しき体を作り上げていく。

 浮かぶは黒、全身をあらゆる破壊より払いのける黒い外殻が艶光りする。

 2つの首と体の中央にある巨大な龍の顔は空にある最高位機殻を獲物として認識し口より涎を零し、餓え乾き吼える。

 

「絶望も敗北の未来も貪り食えよ、暴食の蠅龍王よ! レベル10、魔王超龍ベエルゼウス! チューニング・サポーターと天輪鐘楼の効果でドロー! ベエルゼウスの効果発動、相手の場のモンスター、アポクリフォート・カーネルの攻撃力を0にし元々の攻撃力分の2900ポイント、ライフを回復する!」

 

 自身のレベル以下のモンスター効果を受け付けない最高位機殻だが自分よりもレベルの上のモンスターの効果はどうする事も出来ない。

 魔王超龍は宙に浮かびあがると全ての口を開き、襲い掛かる。

 双龍首が機殻の外縁部を巻き付き噛みつき、中央の龍の顎が全開に開き食む。

 機殻だろうがエネルギー体だろうがなんであろうと暴飲暴食、まさしく飢えを癒すためだけに敵を食らいつくしていく。

 

「更にサンダー・スパークの効果発動、オーバーレイユニットを3つ使い場の全てのモンスターを破壊する!」

 

 宙で絡み合う最高位機殻、そして魔王超龍はサンダー・スパークよりばら撒かれる雷撃が直撃しようとも効果が無い。

 だがプラネタリーの場に居る列車砲塔と空中宮殿は違う。荒れ狂う雷撃の嵐に飲み込まれ2体は大爆発を起こした。

 

「バトルだ! ベエルゼウスでアポクリフォート・カーネルを攻撃!」

 

 貪り食らう姿勢のまま、魔王超龍は腹の口より黒いエネルギー光を集束する。

 必死で最高位機殻も逃れようとするも体の大半を貪られ思う様に動けない状況ではどうしようもない。

 格下の効果も魔法も罠も受け付けない硬い外殻ごと黒い玉座をぶち抜いたエネルギー砲撃はプラネタリー達を直撃した。

 ベエルゼウスの効果でベエルゼウスとの戦闘で発生するダメージは半減し22200のライフを20200に減らす。

 

―――自分達のライフを回復しベエルゼウスに戦闘破壊されにくいNo.を守備表示にし、厄介な相手の場を壊滅させたことは大きい筈!

 

 裕が次に考えるのは相手がどう出るかだ。

 サイクロンを引けなかったためにアイン・ソフをどうする事も出来ない。そしてもうすでに9種類の時械神が特殊召喚されているこの状況は非常にまずいと理解している。

 究極時械神の特殊召喚のために必要になるのは1種類の時械神の召喚か特殊召喚と1枚の永続罠のみ、究極時械神自体はその永続罠の効果でデッキ、手札、墓地より特殊召喚されるためにカウントしない。

 だが裕が気にするのはもう1つある。

 

―――厄介な時械神達が固まって墓地に行ったのが凄いまずいと思うけど、それよりも気がかりなのは俺がこの場所に運んだアレにリペントが宿っていたとするならばアレがアイツのNo.の筈、だけど奴が特殊召喚してきたモンスターは見た事のある奴ばっかりだ。もしかしてあのアポクリフォートや究極時械神の他にもう1つ切り札があるんじゃ…………。

 

 裕は悪い想像をし弱気になり始める心を気合で押しのけ、首を振り気分を入れ替える。

 

―――出来る事はやった、あとは何とかして遊馬につなげる事のみだ!

 

「ベエルゼウスのレベルを下げてレベル・スティーラーを特殊召喚、そして俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

遊馬・裕場  No.91サンダー・スパーク・ドラゴンDEF2000

LP3050    魔王超龍ベエルゼウス ATK4000

手札2・1   レベル・スティーラー DEF0

        天輪鐘楼

        リビングデットの呼び声  

        アリバリア

        伏せ2

 

リペント・プラネタリー場 連撃の帝王

LP20200         無限光アイン・ソフ

手札4・2         伏せ3

             機殻の要塞

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン(スケール4) PSブラック・サン(スケール12)

 

「私のターン!」

 

 ドローし、リペントは裕達を見る。

 まだ相手は全力とは言い難い、ライフポイント10万を2万にまで減らしたのはすさまじいとしか言えないがまだだ。そう期待する。

 全力の全力の全力、その限界を超えた全力、それをリペントは見て、体感したいのだ。

 クリフォート、シャドール、時械神、魔術師、No.という強烈なモンスター達の生き残るのが絶望的ともいえるような攻撃を凌ぎ切り、10万と言う絶望的なライフにも膝を折らず、削り近づいてくる彼らの姿は眩しく見える。

 

―――私にあれほどの力があり意思があれば全てを失わずに済んだのだろうか、いや、私は自分と他人を信じれなかったからここに居るのか。

 

「さあ行かせてもらうぞ、伏せカードオープン、影衣融合! デッキより光属性の究極時械神セフィロンとシャドール・モンスター、シャドール・ドラゴンを融合召喚。現れ給え、エルシャドール・ネフィリム!」

 

 究極時械神は墓地に送られ準備はほぼそろったと言っても良い。

 虚無光アイン・ソフの輝きによって攻撃力が0になるも、その身に宿る破砕の力は無慈悲に相対する物を砕いていく。

 

「ネフィリム、そしてシャドール・ドラゴンの効果発動、伏せカードを破壊し、ネフィリムの効果でシャドール・ビーストを墓地に送る!」

 

 裕の伏せカードへとシャドール・ドラゴンより放たれた黒紫の糸が伸びる。

 だが、

 

「永続罠、強化蘇生! 墓地よりカードガンナーを守備表示で特殊召喚する!」

 

 特殊召喚されるカードガンナー、それを止める手段はリペントの手札にはある。

 だが今はまだそれを使わない。

 リペントが見据えるのはもっと先にある盤上だ。

 

「ビーストの効果で1枚ドロー。揺れよ振子、その輝く軌跡で私の夢を天に描け! ペンデュラム召喚! エクストラデッキより現れ給え悪徳司りし機殻達よ、クリフォート・ツール、アセンブラ、シェル、エイリアス!」

 

 シェルとエイリアスは自身の効果で弱体化、レベル4と成る。

 だがそのようなデメリットすらもリペントにとっては都合の良い物だ。

 

「私は機械族、レベル5のクリフォート・ツールとクリフォート・アセンブラでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れ給え、サイバー・ドラゴン・ノヴァ」

 

 機殻の外装がパージされ渦の中で構築された灼熱するコア、それへと合致していく。

 急増の強化が施されたかのごとく一部コードやパーツが露出し、黒と白が左右非対称の体をくねらせ悠々と泳ぎまわる機械竜、その背に巨大な翼が接合される。

 だが機械竜は渦の中から地上へとは上らない。

 まだ強化があるからだ。

 

「更にこのカードは私の場のサイバードラゴン・ノヴァをエクシーズ素材としてエクシーズ召喚出来る! エクシーズ・チェンジ、現れ給え、無限の可能性を持つ機械竜」

 

 残された機殻のコアと外装の一部が更なる強化パーツに変造し渦の中で更なる強化が始まっていく。

 そして裕の耳に届く機械音が小さくなり、聞こえなくなり、機械竜が渦の中よりようやく姿を現す。

 その現れる機械竜に怯えるのか、それとも背後に控えるもっと凄まじい存在に怯えるように赤黒の空からは稲光が炸裂、その体を照らし出していく。

 黒と白の均整のとれた竜体、金のアンテナのような棘は体の至る所より伸び、赤く輝く4つの瞳で裕達を見据え、電子音で形作られた咆哮を上げる。

 

「サイバー・ドラゴン・インフィニティ! インフィニティはオーバーレイユニットの数×200の攻撃力をアップされる、よって攻撃力は2700だ。そしてインフィニティの効果発動、君の場の攻撃表示のベエルゼウスをこのカードのオーバーレイユニットにする!」

 

 インフィニティは胸に輝く白黒の外装を開きコアを露出する。

 そのコアより放たれる灼熱の鎖、それはまるで機皇帝がシンクロモンスターを吸収するようにベエルゼウスへと迫る。

 菅本先輩との決闘で最初に敗北した時の光景を裕は思い出し、怒りを乗せて叫ぶ。

 

「オーバーレイユニットも使わずにそんな効果、ふざけんなぁッ! 墓地よりスキル・プリズナーの効果発動、このカードを除外し!」

 

「サイバー・ドラゴン・インフィニティの効果発動、相手がカード効果を発動したときオーバーレイユニットを使いその効果を無効にし破壊する」

 

「はぁっ!?」

 

 魔王超龍を守ろうとするバリアはオーバーレイユニットを取り込んだインフィニティの放った波動で霧散する。

 防ぐ物が無くなったベエルゼウスはインフィニティのコアに取り込まれオーバーレイユニットとなってインフィニティの周りを浮遊する。

 

「そして私は機殻の要塞の効果でクリフォート・ゲノムを召喚、レベル4となっているクリフォート・エイリアス、シェル、ゲノムでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れよ、星の輝きを内包せし最も新しきの戦士、星守りの騎士プトレマイオス!」

 

 次に来るのはセイクリッド・プレアデスに似たマントを羽織る白き人馬。

 態々レベル4を3体も使うと言う事は強烈な効果を秘めているのだろうと裕は予想し、それは的中する。

 

「プトレマイオスの効果発動、オーバーレイユニットを3つ使いエクストラデッキよりNo.と名のつかないこのカードよりもランクの1つ上のモンスターをエクシーズ召喚する!」

 

「RUMも使わないでランクアップだと!?」

 

 白き人馬はランクアップマジックも使わずに次のランクへと進化していく。

 今まで別のランクへとランクアップするモンスターは存在していたし遊馬達もその存在を知っている。だがそれはあくまでも種族が限られていたり属性、特別なモンスターのみが行える物だったりと縛りがあった。

 だがこのモンスターは違う、何者にも縛られることなく効果が妨害されなければ別のランクへと進化できるのだ。

 

「これが私の目指す世界の形だ。エクシーズチェンジ、現れ給えRR(レイド・ラプターズ)―ブレイズ・ファルコン!」

 

 白き人馬の発した光より飛び立つは真紅の機械仕掛けの大鳥、背よりブースターを噴かせ遊馬達の前に姿を現す。

 

「ブレイズ・ファルコンの効果、オーバーレイユニットを使い特殊召喚された相手モンスター全てを破壊、そして破壊した数×500のダメージだ」

 

 ブレイズ・ファルコンの翼を模したコンテナより羽のように細い紅いビットが射出、宙を跳ねまわる様に動き回り裕の場にいるモンスター達を取り囲む。

 四方八方より放たれる熱光線は天道虫もカードガンナーも解体していく。

 サンダー・スパークも尾や稲光で迎撃するも尾びれ、背びれ、体、頭と解体され熱線でぶち抜かれ爆散する。

 

「くっ、俺は破壊されたカードガンナーと墓地のドリーム・シャークの効果発動! 効果ダメージを無効にしてこのカードを特殊召喚し1枚ドロー!」

 

 爆風より裕達の身を守る鮫、それを一瞥しリペントはアストラルがこちらに何か言いたげな表情を浮かべている事に気づいた。

 

「どうした、アストラル?」

 

「リペント、君はランクアップを目指す事を良しとしないのか?」

 

 問いかけが来る。

 それをリペントは受け止め、どのように答えるのかを考える。

 ドン・サウザンドとカオスを邪悪なモノとし追放したアストラル世界にリペントは少なからず恨みはあるのは事実だ。

 だが消えて欲しい訳では無い。

 どうしたいのかと問われるならば、

 

「いや、だがアストラル世界のやり方は間違っていると私は思う。何かを目指し努力する事は素晴らしいし誇っても良い事だ。誰かを導く事も誰かの助けになる力をつけるのも、その原動力が欲望でも復讐などの負の感情でも何かを成し遂げようと努力する心は、行動は良いモノだ」

 

 言う。

 胸の中にあった物全てを吐き出していく。

 自分が持つ願い、長い間放浪し後悔と自問自答の中で組み足掻得た夢を見せる。

 

「感情も意思も全ては共にあるべき物、不要な物など1つもない。そしてランクアップを目指す事に固執する必要もないと私は考えている」

 

 遊馬達を指差し、

 

「君達は自分から望んで戦い、困難を打ち破りランクアップしてきた。本来、ソレはそうあるべきだ。ランクアップしろと押し付けられる世界など私はいらない。私は望まないっ! 感情を否定しランクアップに固執する世界など私には必要ない! 私は死者蘇生を発動、私が特殊召喚するのは!」

 

 発動する魔法、それに合わせ裕は手札を抜く。

 

「増殖するG!」

 

「希望皇ホープ!」

 

 遊馬の墓地よりモンスター状態になったホープが飛び出していく。

 希望が奪われるように錯覚し遊馬は手を伸ばすも届くわけが無い。

 

「ホープが!?」

 

 何の意図があるのかと裕は不安と困惑の色を隠せない中、リペントは自分の夢を魅せ付ける時だと思い、カードを抜く。

 

「見るがいい、九十九遊馬、アストラル。これがランクアップを捨て、友と永遠に共に生きようと私の願い、今と未来の終焉の形、これが私の夢の世界だ!」

 

 放たれる光は黄金、炸裂するはランクアップの波動。

 だがそれは地へと落ちていく。

 地面へと落ちた光は世界へと浸透、根付き、大地を持ちあげこの場へと引き寄せていく。

 遊馬達の前に広がるのは見渡す限りに荒れ果てた大地、空は大地に埋め尽くされこの場所が世界の中心となっていると錯覚させる。

 だがそれは錯覚ではない。

 今、この場所が世界の運命を決める場所、過去と未来の分岐点だ。勝者が全ての歴史を書き換える力を得れるのならばソレを世界の中心と言わずになんと表現するというのだ。

 世界を分割したランクアップの力は大地より抜け出し、ホープのモニュメントへと収束していく。

 

「私は手札よりRUM―アストラル・フォースを捨てる事で希望皇ホープをエクシーズ素材としエクストラデッキのこのカードをエクシーズ召喚扱いで特殊召喚する! エクシーズ・チェンジッ!」

 

 身を守る盾のモニュメントは光に飲み込まれ新しき形へと再構成され、遊馬達の前に地響きを立てながら次々に着弾する。

 遊馬達の目に映るのは黒の枠、白と蒼で作られた巨大な金属の塊、それを見た裕は思わず言葉をぽつりと漏らす。

 

「盾?」

 

「いや、違う。これは、剣だ!」

 

 アストラルはそれにいち早く気付く。

 眼前に広がるは10と更に巨大な金の装飾の入った剣の群。まるで墓標の様に突き立つそれらは浮かび上がると変形を始める。

 一際巨大な剣は極太の龍尾、肉厚な四肢、輝く龍の頭部を作る。

 舞い踊る10の剣の内、4本は両手を挟み込むように合致、2枚は両足の先端に足甲のように装着される。

 残る4枚は翼へと変形し龍の背中に装備される。

 友と共に永劫に過ごす男に宿りし魂のカード、長年共に過ごしてきたカードのNo.を男は声高らかに叫ぶ。

 

「No.99、この胸焦がす想いを形にし、友を呼び起こし永遠に共に在り続け給えよ、我が夢の化身! 希望皇龍ホープ・ドラグーン! そしてホープ・ドラグーンの効果発動、墓地のNo.を効果を無効にし守備表示で特殊召喚する。甦れヌメロニアス・ヌメロニア!」

 

 全てを蘇らせようとする男を象徴する様にNo.99の咆哮は響いていく。

 オーバーレイユニットを使わずに墓地が開き、その中より黒紫の巨体が浮かび上がる。

 だがアイン・ソフの効果でオーバーキルと言える攻撃力は0、攻撃対象にしなければ問答無用に勝敗を決定する効果も無効であり何も怖くない。

 では何故、特殊召喚したのかといえば

 

「速攻魔法、神秘の中華なべを発動、ヌメロニアス・ヌメロニアをリリースし攻撃力分ライフを回復する。そしてランク5のブレイズ・ファルコンをエクシーズ素材としエクシーズチェンジ、現れ給え、迅雷の騎士ガイアドラグーン」

 

 裕達は絶句する。

 エクストラデッキのほぼ全てをつぎ込み全力を叩き込んでやっとの思いで削ったライフが回復され、更に増大したのだから無理もない。

 理不尽で最悪で、人の力だけではどうする事も出来ない世界の如く遊馬達の前に何度でも立ち塞がる。

 

「ライフ12万200、さあ私はこれから古き歴史と世界を壊し新しき世界を作り上げるために進軍しよう、人の可能性を信じる君達の夢が強いか、私の終わらせずだが始まらない夢が強いのか勝負だ。バトルフェイズに入る」

 

 静かに、とても静かに進撃の幕が開く。


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