クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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希望潰エ地ニ堕チルトキ

 ドン・サウザンドが見下ろす場、遊馬達が歯を食いしばりながら立っている。

 3人の背後ではもはや声を挙げるような余裕すらも無くなった水田裕が倒れている、だがその手がナンバーズを握り、願いを続ける限り手札のカードを書き換えエクゾディアを揃える事は出来ないだろう。

 面倒だな、とドン・サウザンドは思う。

 ここまで即死級のカオスエンド・ルーラーを4回もぶち込み、だがそれで誰も殺せていない事、そしてこの身を縛るヌメロン・ドラゴンと水田裕とナンバーズに対して僅かばかりの苛立ちがある。

 そして敵であるナッシュがデッキトップへと手を置き、カードをドローしようとする時、それは起こった。

 2つの紫と白の光がナッシュ達の頭上を切り裂きドン・サウザンドへと突き刺さったのだ。

 それは裕達を逃がすべく囮となっていたリペントとプラネタリーの力、彼らがバリアン兵に敗北しドン・サウザンドに吸収されたのだ。

 

「本領発揮、とまではいかないがまあいいだろう」

 

 吸収と同時にドン・サウザンドの体の色が反転していく。

 黒かった髪はアストラル世界の代表、エリファスのような金へと、金色に輝く体は全てを塗り潰す黒へ染まる。

 今まで遊馬達が相手をしてきたのがドン・サウザンドの実力の全てではない。

 ナッシュとその他の魂を吸収しなければ本来の力を取り戻せないのだがバリアン3賢人の魂を吸収すればどういう事が可能となるというのか。それはすぐさま思い知らされることになる。

 ドン・サウザンドは片手を空へと伸ばす。

 天に居る星も月をも掴もうとばかりに広げられた五指は何かを掴み、下へと振り下ろす。

 膨大なカオス、バリアン3賢人の技術をフルに使い別次元とこの世界を連結、力任せにソレを召喚する。

 在る筈の無い存在を強引に差し込まれ、夜空が悲鳴を上げ、空には罅が走っていく。

 ソレを掴み地に引き摺り落とすべく、大地からは不気味な胎動が繰り返され負の感情を吐き散らす幾億もの人面が浮かぶ鎖が空へと伸びる。

 

「これはいったい!?」

 

「遊馬、あれを見ろ!」

 

 アストラルが指さした方角を見、遊馬達は知る。

 天の割れ目、別次元に在る筈のアストラル世界がこの場に召喚されるのを。

 そして敗北し吸収された人間達の魂で作られた鎖が美しく澄んだ光を放つアストラル世界に深々と突き刺さるのを。

 

「アストラル世界を、人間世界と同じように取り込む気か!?」

 

 遊馬の声に肯定を示すがが如くバリアン世界の進行が再び始まっていく。

 自らと同じ存在に堕ちろと叫び、妬み、鎖に囚われた決闘者達はバリアン兵となり笑いながら、ハンティング・ゲームの様にアストラル世界の人々を狩り始めた。

 守りの要たるエリファスが居ないアストラル世界は一瞬で戦火に飲まれていく。そして決闘に敗北したアストラル人のエネルギーを取り込み、ドン・サウザンドは更に力を増していくのだ。

 ドン・サウザンドの力の増加と同時に起こるのは水田裕の力の弱体化、そしてヌメロン・ドラゴンの目覚めだ。

 

―――こんな事の為に世界を作ったはずではないと嘆くか、そして我を止めようとするか、全ての創造龍よ、ならば貴様ごと奴らの希望を打ち砕くまで。

 

「そうだ、早く我を倒さないとアストラル世界もアストラル世界も我の物となるぞ」

 

 これ以上、ドン・サウザンドの力が増大すれば裕が死んでしまうと思ったのだろう、ナッシュはドン・サウザンドを睨み付け、カードを引く。

 ドローしたカードを見、ナッシュは即座に発動させる。

 

「命削りの宝札を発動、俺はデッキより5枚ドロー、そして永続魔法、水神の護符を発動」

 

 これによりナッシュの場に現れる水属性モンスターはヌメロニアスの効果では破壊されなくなる。

 つまりはカオスオーバーレイユニットを使い相手のエクストラデッキをピーピングし好きなCモンスターを特殊召喚する効果も、バトルフェイズ終了時に相手モンスターを全て破壊し墓地に送られたモンスターを特殊召喚する効果もナッシュ相手には使えなくなったのだ。

 

「そして墓地よりゲイザー・シャークの効果発動、このカードを除外し墓地のレベル5の水属性モンスター2体で水属性モンスターエクシーズをエクシーズ召喚出来る」

 

「我はこの瞬間、増殖するGのモンスター効果を発動する」

 

 ナッシュは悩み、そして恐怖を表情に出しながらも墓地より2体の鮫を特殊召喚する。

 それを見てドン・サウザンドは、

 

―――すでに仕込みは完了している、お前らが何をしようとも我の掌の上より逃れることは出来ん。

 

「っ…………俺は水属性、レベル5のゲイザー・シャークとイーグル・シャークでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 赤黒の鎖より漏れる怨嗟の声をぶち破る様に蒼い水が噴出する。

 その水の中、構築されていくは甲冑を身に纏う大男、ドン・サウザンドの力を封じ込めナッシュの記憶を守って来た忌まわしきナンバーズ。

 

「現れろ、No.73! カオスに落ちたる聖なる滴。その力を示し、混沌を浄化せよ! 激瀧神アビス・スプラッシュ!」

 

 攻撃力は2400とヌメロニアスには遠く及ばず、スペリオル・ドーラすらも砕けないようなカードである。

 相手の行動を制限するような効果は無く、ただあるのは脳筋の効果のみ。

 

「俺はここでアビス・スプラッシュの効果発動、オーバーレイユニットを使い攻撃力を倍にする!」

 

 ドン・サウザンドとしてはそのままスペリオル・ドーラに殴りかかってくれた方が楽だったのだが今まで伏せなかった伏せカードを警戒されたのだろうか、アビス・スプラッシュの効果を発動させる。

 態々スペリオル・ドーラを破壊されたくはないのでドン・サウザンドは伏せカードを使うしかない。

 

「我は罠カード、ブレイクスルー・スキルを発動、アビス・スプラッシュの効果を無効にする」

 

 無効にされる事を読んでいたのだろうか、それとも内心は悔しくも思っているが敵の手前、そういう表情を見せたくないだけなのだろうか。

 そんな事はドン・サウザンドにとってさしたる問題ではないが故に悩まず、放棄する。決闘以外で敵の事を考える必要などないのだから。

 

「アビス・スプラッシュでカオスエンド・ルーラーを攻撃!」

 

 激瀧神が叩きこんだ錫杖は凌の手を前にかざすカオスエンド・ルーラーを確かに捉え砕く。

 Darkknightにはカオスオーバーレイユニットが存在するため、このまま破壊すればナッシュの場に特殊召喚出来る、だがそれでは増殖するGによるドローが行われてしまう。

 墓地よりデッキに戻したエクゾディアをドローされる恐怖によりナッシュの行動はドローも攻撃も大きく制限されている。

 

「くっ、俺はサイレント・アングラーを召喚、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

―――伏せカードはどうせ水霊術―葵であろう、そうなる様に我が誘導したのだから当然だ。

 

 ドン・サウザンドは前のターン、墓地にあったエクゾディアをデッキへと戻した。そして薄いデッキ、放たれるであろう増殖するGを見ればヌメロニアスという攻撃力と能力が凄まじいだけのモンスターエクシーズとエクゾパーツが手札に揃うの、どちらが問題化など一目瞭然だ。

 水田裕の能力が弱まりヌメロン・ドラゴンが目覚めようとしているこの状況ならばナッシュ達は思い通りのドローに近い物が出来るだろう。

 水田裕が弱体化を始めた時点でこの状況を読んだドン・サウザンドは嗤う。

 そして遊馬のターンが回る。

 

「ドロー」

 

 遊馬のドローしたカードをのぞき込み、一度こちらを見たアストラルは遊馬へと声を開ける。

 

「遊馬、ここはそのモンスターで凌ぐべきだ」

 

「おう、俺はモンスターを裏側守備で召喚、カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

―――守備に徹するか、ならば打ち砕くまで。

 

「ヌメロニアスの効果発動、カオス・オーバーレイユニットを使い九十九遊馬のセットしたモンスターを破壊する」

 

 天を我が物顔で飛ぶヌメロニアス、その胸にカオスオーバーレイユニットが吸い込まれると赤い翼より羽がまるで爆撃の様に遊馬のモンスターへと降り注ぐ。

 裏側守備だったゴーレムは破壊されドン・サウザンドは遊馬のエクストラデッキを見る。

 ヌメロン・ドラゴンのテキストは半透明、時折カード効果が薄く表示されようとしている。それを確認しドン・サウザンドは嘲笑いの表情を崩さず、

 

「CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリーを特殊召喚しろ」

 

 破壊されたゴーレム、その破片よりカオスを構築し、ホープレイ・ヴィクトリーを呼び出す。

 ナッシュと遊馬、二人ともドン・サウザンドのモンスターを破壊しライフを0には出来なかった。

 だがその二人の瞳にはまだ勝利を信じる心が爛々と輝いている。まるで自分達の本気はここからだと言わんばかりに。

 

―――なるほど、カイトに全てを託す気か。

 

 天城カイトのエクストラデッキにはCモンスターエクシーズは存在しない。ヌメロニアスの効果を受け付けず好きなように特殊召喚し攻める事が出来る。

 おそらくはここから猛攻撃が始まるのだろう。

 それこそドン・サウザンドのライフを0にするほどの苛烈な。しかし蝋燭の火が消える最後の輝きの様な儚い最後の攻撃が。

 ナッシュと遊馬の思いを乗せカイトはしっかりと足を踏ん張り、ドローする。

 今、全力全開の攻撃が始まろうとしていた。

 

遊馬場    CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー ATK2800 (ORU0)

LP4000 

手札0    伏せ2

 

カイト場   

LP2000   

手札1    伏せ1

 

ドン・サウザンド場 CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス ATK10000 (ORU3)

LP4500      CNo.101 S・H・Dark Knight DEF1500

手札6       No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ ATK3200 (ORU1)

          伏せ1

 

ナッシュ場    No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ ATK2400 (ORU1)

LP6300     サイレント・アングラー ATK800

         水神の護符

手札1      伏せ2

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 カイトは勢いよくカードをドローした瞬間、まず動くのは凌牙だ。

 

「俺はサイレント・アングラーをリリースし水霊術―葵を発動、ドン・サウザンドの手札より俺が捨てるのはクリボーだ。更にマインドクラッシュを発動、封印されし左足を捨ててもらう」

 

 まずは厄介な手札誘発カードをそぎ落とす。

 その中で増殖するGの発動は無い。そして再びエクゾディアパーツを墓地に落とした事で安堵の良きが漏れる。

 

「これで手札に防御カードは無くなった。行け、カイト!」

 

 本来、この状況で優先すべきは封印されし左足よりも手札より放たれる可能性のある手札誘発だ。

 エフェクト・ヴェーラー、増殖するG、クリボー等の厄介なカード達を凌牙が落とさなかったと言う事はそれらのカードは今、ドン・サウザンドの手札にはないという事だ。

 

「ああ、俺は絶望の宝札を発動。俺はデッキよりオネスト、神の宣告、サイクロンを手札に加えそれ以外のカードを全て墓地に送る」

 

 加えるはドン・サウザンドの残る伏せカードを破壊するサイクロン、万が一ドン・サウザンドへとターンが回ろうとも妨害する神の宣告、そして光属性モンスターとの戦闘においてもっとも警戒すべきカード、オネストを加える。

 これによってたとえ攻撃力が1万だろうが10万だろうが問題なく攻撃を仕掛ける事が出来るのだ。

 

「サイクロンを発動、最後の伏せを破壊する!」

 

 砕かれるカードの名前はヌメロン・リライティング・エクシーズ。

 砂嵐が酷く効果までは読み取れないが恐らくはあの大量ドローのせいで手札に来てしまいブラフ代わりに伏せていたのだろう。

 

「そして俺は罠カード、メモリーボンドを発動!」

 

 カイトの墓地より5本の光が立ち昇る。

 それは終わりない闇をも照らし出す朝の光のごとく、赤黒の世界を照らしだしていく。

 

「このカードは俺の墓地よりフォトンモンスターを可能な限り特殊召喚する。現れろ、フォトン・スレイヤー2体、フォトン・カイザー2体、そして銀河眼の光子竜!!」

 

 続々と姿を見せるフォトンを宿すモンスター達、眩き光に照らし出される様に紅く輝く光の渦がカイトの場に現れる。

 大切な家族であるハルトとオービタルへの様々な仕打ちを思いだし、そして家族を人質に取りドン・サウザンドへとヌメロン・ドラゴンを献上させようとした事、そして自分がそれに屈し仲間を裏切ろうとした事、それらの怒りが決闘者としての闘争本能を極限にまで高めていく。

 構築された音叉の様な槍を握りカイトはその紅き渦へと怒りと共に槍を投じ、叫ぶ。

 

「俺はレベル8の銀河眼の光子龍とフォトン・カイザー2体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 槍を投じられた渦は膨れ上がり赤と黒、そして金色の光をまき散らす。

 光の中より爆轟するは真紅に輝く3頭龍、カイトとハルトの絆が作り上げた銀河眼の進化体。

 

「逆巻く銀河よ、今こそ、怒涛の光となりてその姿を現すがいい! 降臨せよ、我が魂! 超銀河眼の光子龍!!」

 

 大地を強く踏みしめ3頭龍は口を開く。

 3つの顎より漏れるは主を傷つけられた竜の怒りの咆哮だ。それは場の全てを委縮させていく力を持つ。

 

「銀河眼の光子竜をエクシーズ素材とした超銀河眼がエクシーズ召喚に成功したこの瞬間、超銀河眼の効果発動。場の表側表示のカード効果全てを無効にする! フォトン・ハウリング!」

 

 だがたかが龍の一頭が吠えたところで神を堕とすことは出来ない。

 

「我はスペリオル・ドーラの効果発動、オーバーレイユニットを使いヌメロニアスはいかなる効果をも受け付けない!」

 

 咆哮を塞ぐ様に列車砲塔が神と龍の間へと向く。

 カイト1人では神は倒せないのかもしれない、だが彼は1人ではない。

 

「罠発動、ブレイクスルー・スキル、スペリオル・ドーラの効果を無効にする!」

 

 遊馬が放つ力は列車砲塔の無力化だ。これによりヌメロニアスに耐性を付与することは出来なくなった。

 ドン・サウザンドは超銀河眼の効果を知っているのだろう、ブレイクスルーが発揮された瞬間、舌打ちを見せ、

 

「ヌメロニアスの効果発動、カオスオーバーレイユニットを使い九十九遊馬のホープレイ・ヴィクトリーを破壊、そしてCNo.39希望皇ホープレイを特殊召喚させる!」

 

 超銀河眼の効果によって取り除かれるオーバーレイユニットを減らすために爆撃を放つ。

 だがそのような事をしても手札より放たれるカードは無く、スペリオル・ドーラも沈黙している今ならばドン・サウザンドに終わりを叩き込める。

 

「そしてレベル5の光属性、フォトン・スレイヤー2体でオーバーレイネットワークを構築、現れろセイクリッド・プレアデス! そして超銀河眼の効果発動、オーバーレイユニットを使い相手モンスターのオーバーレイユニットを全て吸収する」

 

 ヌメロニアスのカオスオーバーレイユニット2つが超銀河眼へと吸収される。

 銀河眼の持つ対モンスターエクシーズの能力に相手の力を簒奪するバリアンの力を加え強化された超銀河眼、その一撃が今、放たれようとしている。

 

「そして吸収したオーバーレイユニットの数×500ポイント攻撃力をアップさせ、その数だけ攻撃が出来る、吸収したオーバーレイユニットの数は2つ、よって1000ポイントアップし2回の攻撃が可能となった!」

 

 これにより攻撃力は5500、そして2回攻撃となる。

 それだけでは無いのだ、まだカイトの手札にはオネストが控えている。これにより一撃目でモンスターを攻撃すれば更なる火力で相手を殲滅する事が可能だ。

 だがカイトはまだ気を抜かない。何かしらの手で防がれる事も考慮すればこのまま攻撃力1万のヌメロニアスを放置しておくことは出来ない。

 

「プレアデスの効果発動、オーバーレイユニットを使いヌメロニアスを手札へと戻せ!」

 

「くっ、おのれ!」

 

 これによりヌメロニアスを再びエクシーズ召喚するためにはレベル12のモンスターを5体揃えるか、再びシニューニャを呼び出し破壊した上でヌメロン・カオス・リチューアルを発動させなければいけない。

 遊馬のブレイクスルー・スキルによりスペリオル・ドーラは沈黙し、切り札であろうヌメロニアスもカイトの超銀河眼とプレアデスにより無力化されバウンス、凌牙の罠カードによりエクゾディアのパーツも墓地に送られ手札に防御カードは残っていない、3人がそれぞれドン・サウザンドの布陣を切り崩し掴んだこの状況、絶対に逃さないと意気込み、カイトは叫ぶ。

 

「懺悔の用意は出来ているかァッ! バトル! 超銀河でスペリオル・ドーラを攻撃! アルティメット・フォトン・ストリーーーーーーーーム!!」

 

 3つ首よりそれぞれ放たれる紅蓮のエネルギー熱線は蒼、黄、赤と色を変えそれぞれ絡み合いながら突き進んでいく。

 その一撃は沈黙したままの列車砲塔へと伸び、爆光をまき散らし周囲の大地も空も振るわしていく。

 だがその砲撃は途中より打ち消される。

 ドン・サウザンドが横に腕を振るっただけで砲撃は途中より上と下へと割断されていく。

 

「我は墓地より超電磁タートルの効果発動したのだ、このカードを除外する事でバトルフェイズは終了する」

 

 いつ送った? そう問いかけようとしたが前にも同じような事があった。

 遊馬の必殺の攻撃を受け止めた幻影騎士団シャドーベイル。 

 あれと同じ時に超電磁タートルも墓地に送られたのだろう。

 

「すまない、二人とも」

 

「気にするな、相手はあのドン・サウザンドだ。俺達が墓地にまで気が回らなかった。それだけの事だ」

 

 凌牙は決闘盤を操作するがもう決闘盤のディスプレイには相手の墓地もカードテキストも表示されない。

 ドン・サウザンドの力が裕とヌメロン・ドラゴンの封じる力を上回りこの決闘はすでに普通の決闘から外れかけている。

 このまま放置すれば裕の命が失われるか意識が途切れるだけでこの決闘は手札のカードを書き換える、ドローカードは全てエクゾディアパーツという勝ち目が一切ありえない人外魔境と化すだろう。

 そして遊馬と凌牙はなるべく事故率を減らし勝ちやすくするためにエクゾディアパーツを抜いている。つまりもう引き分けを続ける事は出来ない。

 

「メイン2、このカードは俺の場の銀河眼モンスターエクシーズをエクシーズ素材としこのカードをエクシーズ召喚できる!」

 

 カイトが月においてミザエルとの決闘で目覚めさせた光と闇を守護する竜、新しき銀河眼を呼ぶ。

 3頭龍の紅蓮の体の中、まるで蛹より羽化する蝶の様に銀河眼が羽を広げ飛び出していく。

 バリアンの力より解脱し、新たに手に入れるは砕きの力を与える外装、大きく広げられるはより大きく光り輝く巨大な翼だ。

 

「銀河の光の導くところ新たな世界が拓かれる!! 天孫降臨! アーマーエクシーズ召喚! 現れろ新たなる光の化身! ギャラクシーアイズFAフォトン・ドラゴン! FAフォトン・ドラゴンの効果発動、オーバーレイユニットを使いDarkknightを破壊する、ギャラクシー・サイドワインダー!」

 

 背中より装備された2連砲にオーバーレイユニットを装填、腕を組み偽りの主を守る暗黒騎士目掛け砲撃をぶち込んだ。

 そしてカオスオーバーレイユニットを持つDarkKnightが破壊されたと言う事は、

 

「Darkknightの効果発動。カオスオーバーレイユニットを持つこのカードが破壊された時、俺の場に特殊召喚する、リターン・フロム・リンボ!」

 

 更にライフを回復した凌牙はカイトへと視線を向けるも何も喋らない。だが凌牙の事を理解しているカイトは何も言わず眼と眼でアイコンタクトをし、

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

カイト場   ギャラクシーアイズ・FAフォトン・ドラゴン ATK4000(ORU2)

LP2000   セイクリッド・プレアデス ATK2500 (ORU1)

手札1    伏せ2

 

ドン・サウザンド場 No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ ATK3200 (ORU0)

LP4500       

手札4

 

ナッシュ場    No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ ATK2400 (ORU1)

LP9100     CNo.101 S・H・Dark Knight DEF1500 (ORU0)

         水神の護符

手札1      

 

遊馬場    CNo39希望皇ホープレイ ATK2500 (ORU0)

LP4000 

手札0    伏せ1

 

 たったの1ターンでドン・サウザンドの場はほぼ壊滅していた。

 そんな事いつもの決闘じゃないか、ライフが無くなってないだけ楽勝さ、と言ってしまえばそれもそうなのだが、ドン・サウザンドはそのような慰めの言葉を使わない。

 ドン・サウザンドは自らの勝利を渇望する。

 己の理想を妥協する事など許せるわけが無いし、己の勝利を妨害する敵を一片残らず滅相するまでの事。だからこそ下に見ていた3人に自分が追いつめられているこの状況を許せるわけが無い。

 渇望が溢れ出し、言葉へ変わり呪詛と昇華する。それに気づいたのは遊馬だ。

 

「負けん、負けん、負けるてなるものかっ! 我が負ける訳が無い。貴様ら如きが我の勝利を邪魔をするなどあってはならん! 貴様等はただ我に敗北すればいいのだ。我に勝利を献上すればいいというのに、何故抗う!? 勝つ、勝つっ、勝つぅううううッ! そのためだけに我は存在しているのだ、ただこの狂おしい渇望を埋める為だけに我は勝ち続けるのだッ!」

 

 漏れ出すは相手を相手と見ず、認めず、ただ決闘する人型としか認識していないドン・サウザンドの認識。 

 己以外のものは全て自分の渇望を埋めるために存在し、己に敗北する事が定められている、それこそが神であるドン・サウザンドが定めた法だ、そう叫ぶのだ。

 

「初手でエクゾディア揃える事の出来ぬ屑に、4人とナンバーズ、ヌメロン・ドラゴンの力を揃えねば我の前に立つ事すらも出来んような塵に、何故!? 何故!? 何故!? 我が追い付けられなければならんのだぁあああああああああああ! 何故、口先だけで努力をしてこないような塵芥に負けねばならん。認めん、認めてなるものかッ」

 

 感情の吐露と共にぶちまけられるは膨大なカオスの奔流だ。

 それはまるで暴風雨や地震、津波、雷、火災といった人の抗えない自然の猛威のように触れる物全てを砕き、割り、磨り潰し、消滅させていく。

 遊馬達の中で一番被害を被っているのは水田裕だ。

 率先して殺しにかかっているのだろう、裕の周りには攻撃が万遍なくぶちまけられ裕の生命を終わらせにかかる。

 

「我は負けん! 我が勝つ! 負ける事などあってはならん! そんなことォッ!! 我は全てに打ちに勝つのだ! 我以上の者など、この世に居ないぃぃいいっ! 勝って、勝って、勝って、勝って、勝ち続けるのだ! 我に敗北など、ある訳が無いだろうがぁあああああああああああッ!」

 

 そこまで聞き遊馬は思ってしまう。

 ドン・サウザンドとだって決闘をすれば分かり合うのではないかというような希望的観測など意味が無いのではないか、と。

 分かり合える、分かり合えないではない。そもそもドン・サウザンドは遊馬達を人と認識などしていない。

 ドン・サウザンドの認識は勝つべき敵と自分だけだ。

 己の言葉を信じ、他人の言葉など聞きもしない。他人の言葉を己の中に留める事などせず、ただ自分の渇望のままに荒れ狂うのみだ。

 その辺りはある意味、最上と同類なのだろう。

 自分の世界は自分で完結している。

 己の信じるままに行動する自分が素晴らしい。

 己の決めた物を譲る気などある訳が無い。

 故に遊馬がいくらドン・サウザンドの事を決闘で分かった所でそれは一方通行でしかない。

 知った所で相手が遊馬を見ていない以上、どれだけ言葉をかけようとも平行線のまま交わる事などある訳が無い。

 そこまで理解し遊馬の思考は一瞬停止する。その間隙を縫う様に、ドン・サウザンドが動く。

 

                  ●

 

「最強決闘者のドローは全て必然、運命さも我がねじ伏せ、全てに勝利する渇望が神羅万象を塗り潰す。 リ・コントラクト・ユニバースッ!!」

 

 既にボロボロの裕の耳にその声が聞こえた瞬間、裕は顔を上げる。

 見ればドン・サウザンドの手にカオスが集まっていく。

 それは全てを燃やし尽くす灼熱の太陽の様に苛烈に光を放ち、その漆黒の光を見るだけで恐怖で体が硬直してしまうほどに邪悪で我欲に満ちた醜悪なものだ。

 

―――ここで命の全てを使い切ってもいい、あれを止めないとっ!

 

 その光を見、裕が立ち上がる。

 両手でナンバーズ達を握りしめ、叫ぶ。

 

「させるかよぉおおおおおおお!」

 

「カオス・ドロォオオオオオオオオオオッ!」

 

 膨大なカオスと無効化の力が衝突する。

 光と熱が裕もろともドン・サウザンドを焼く。衝撃はこの場に居る者達を平等に舐め打ち跳ね飛ばす。

 もはや裕は自分が声を挙げているのかすらも曖昧でしかない。それが認識するような体力など残っていない。

 それでも裕は祈り続ける。

 風に血を散らし、脚がいう事を聞かなくなり崩れ落ち、そんな状態でこのまま力を使えばどうなるかなど裕は承知している。

 だがこんな所で遊馬達を終わらせるわけにいかないと、ここでドン・サウザンドを倒さないともう一人の自分とした約束が無くなってしまうから、だからこそ後先考えず全力をぶち込む。

 ドン・サウザンドの手はやけにゆっくりと進むように裕は感じる。

 進むたびに大事な何かが消えていく。薄れ体の感覚すらも、遊馬達の声も大地の冷たい感触も、傷の痛みも、何も感じなくなる中、裕はカードを引き抜いたドン・サウザンドを注視する。

 そしてドン・サウザンドの口元が一文字に結ばれるのを見、

 

―――ざまあ、みやがれ……! 

 

 まだ決闘は終わっていない。このまま自分がこれを維持すればと思うも、体はいう事を聞かない。

 

「あ、れ…………?」

 

 体も、意識すらも汚泥に沈むように認識できなくなっていく、その中で裕は必死で足掻きなんとか意識を保とうとする、だがその願いは叶わない。

 

                  ●

 

 遊馬はそれを見てしまった。

 裕のナンバーズを掴む手が開かれナンバーズ達が地面に散らばっていくのを。そしてそれと同時に起こるのは膨大なドン・サウザンドの力の解放だ。

 それがなにを意味するか遊馬には分かってしまう。

 意識を喪っただけなのか、それとも、と最悪な状況を思い浮かべてしまい、今すぐにでも駆け寄って裕を助け起こしたい激情に駆られる遊馬だが、目の前のドン・サウザンドがそれを許すわけが無い。

 今なお溢れ出すカオスの奔流は収まるどころか更に過激さを増している。だがドン・サウザンドの手札が5枚あるにもかかわらずまだ遊馬達は敗北していない。

 これが何を意味するのか、ドン・サウザンドはまだ完全体になっていないという事実だ。

 それを肯定する様に遊馬のエクストラデッキより美しくも力強い竜の咆哮がバリアン世界に響き渡っていく。

 

「No.100、ヌメロン・ドラゴンっ……!?」

 

 そして膨大な光の中、遊馬のエクストラデッキより白紙だった最後のナンバーズが浮かび上がる。

 白紙だったカードは黒枠となり、そのテキストに書かれていた解読不明なアストラル語は遊馬達の読む事の出来る言語へと書き換わる。

 カードより実体化したその竜はまるで意識を失った裕の願いを継ぐように空へと上り、自分が作り上げた世界を一瞥し悲しげに目を細めるとドン・サウザンドへと敵意の籠った声を挙げる。

 するとドン・サウザンドの周囲よりDNA螺旋のように絡み合う金色の鎖が創造されドン・サウザンドの手首を拘束したのだ。

 手札もデッキをも書き換えを許さない始祖龍、ヌメロン・ドラゴンを忌々しげに見つめドン・サウザンドは悪態を吐く。

 

「ヌメロン・ドラゴンか、ならばまず九十九遊馬ともども貴様から葬ってやる! 我は大嵐を発動、天城カイトの伏せを破壊する」

 

「カウンター罠、神の宣告を発動、その効果を無効にする!」

 

 放たれた大嵐をカイトは防ぐ、だがドン・サウザンドからすればそんなものは前のターンから知っていた事だ。

 

「我はエクシーズ・トレジャーを発動、我はカードを3枚ドロー。魔法カード、幻魔の扉を発動、九十九遊馬のモンスターを全て破壊し我の墓地よりカオスエンド・ルーラーを特殊召喚する、そしてライフを1000払いカオスエンド・ルーラーの効果発動!」

 

 もはや遊馬達の伏せカードは残り2枚、カイトの攻撃を通すために使ってしまい防ぐ手段はほとんどない。

 その中で叩き込まれる白と黒の終焉砲撃、そんな物を通しただけで遊馬のライフは残ろうとも希望など完全に喪われてしまうだろう。

 

「俺はブレイクスルー・スキルを発動! カオスエンド・ルーラーの効果を無効にする!」

 

 伏せはカイトの場を残すのみ、そして、

 

「そして我の墓地のカードを全てデッキへと戻す事で究極封印神エグゾディオスを特殊召喚する」

 

 これにより増殖するGも、クリボーも、エフェクト・ヴェーラーも、カオスエンド・ルーラーもそしてエクゾディアパーツが再びデッキへと装填された。

 だがそれだけでは無いのだ、場にはレベル10のモンスターが2体、そして遊馬の脳裏に映し出されるは巨大な列車砲塔だ。

 その予想は当たってしまう。

 

「レベル10のモンスターが2体、遊馬、来るぞ!」

 

「我はレベル10の究極封印神エグゾディオスとカオスエンド・ルーラーでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚」

 

 構築されるはスペリオル・ドーラと同じく巨大なる線路、レールを踏みしめ走り来るのは巨大なる超弩級の砲塔を持つモンスターエクシーズ。

 火薬とレールと車輪が擦れる強烈な鉄の匂いを散らしながら遊馬達の目の前に止まったソレはゆっくりと砲塔をこちらへと向けてくる。

 

「我に刃向う抵抗者を世界ごと木端微塵に粉砕せよ、鉄風雷火の限りを尽くし三千世界を紅蓮と悲鳴、絶望と嘆きで塗り潰せ。ランク10、超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」

 

 本来ならばカオスエンド・ルーラーからのカオスエンド・ルーラー、そして2体で直接攻撃からのグスタフ効果というライフ4000など一瞬で消飛ばされるような怒涛の最悪コンボに使用されるであろうそれが今、カイトへと向けられる。

 

「グスタフ・マックスの効果発動、オーバーレイユニットを使い相手に2000ポイントのダメージを与える」

 

「俺は墓地よりドリーム・シャークの効果発動、効果ダメージを無効にし特殊召喚する」

 

 叩き込まれれば人間はおろか街すらも吹き飛ばすような砲撃、それを墓地より浮上したドリーム・シャークが受け止める。

 これで、と誰かが呟く、そして誰もが見た。

 ドン・サウザンドの手に輝く金色の光を。

 

「その輝きは…………!」

 

「なんで、なんで、お前がエリファスのカードを!?」

 

 遊馬とアストラルはそれに見覚えがある。

 アストラル世界の代表、エリファスのみが持つ事を許されたRUMが今、発動しようとしている。

 

「忘れたのか、九十九遊馬、アストラル。エリファスは今、我が吸収していると言う事を! RUM-アストラル・フォースを発動、ランク10のグスタフ・マックスをエクシーズ素材としてランクアップ・カオスエクシーズチェンジ!」

 

 グスタフ・マックスの体より黄金に輝く植物の茎が伸びる。

 蕾をつけ開くは黒の蓮の花だ。

 それは更なる高み、至高の天へと至るはずの力だったもの。だが今、その力はカオスをまき散らすために使われている。

 黄金の輝きより漏れ出すはカオスの奔流。

 激しき決闘の末に分かり合ったエリファスの魂を汚しつくす様に砲塔列車を食らいつくした蓮の花より生まれるは白面黒翼、半神半鳥の異形の神。

 

「今再び現れろ、CNo.1000! 希望を信じる心も、仲間を信じる友情も、たった一つの願いに縋る冀望も、我欲のままに己の常識で押しとどめようとする執着も、全てを塗り潰せ! 我が渇望こそ原初にして至高の存在、それを汚す愚者など在る価値すら無い事を知らしめよ! 夢幻虚神ヌメロニァアアアアアアアアアアスッ!」

 

 倒した筈のヌメロニアスが再びその黒い翼をはためかせ宙へと身をを躍らせる。

 目標はドン・サウザンドを縛るヌメロン・ドラゴンだ。

 

「バトルだ、ヌメロニアスで九十九遊馬に直接攻撃!」

 

 これより始まるは創造龍と夢幻虚神の筆舌しがたい空中戦だ。

 大地に居る遊馬達へと天よりナンバーズとカオスの力がばら撒かれバリアン世界にすらも罅が入っていく。

 世界を創造した龍と神羅万象に勝利しようと渇望する男の作り出したカオスの結晶が空を舞い踊り、衝突を繰り広げる。

 

「俺はヌメロン・ドラゴンの効果発動! 俺の場、手札にカードが存在しない状況で相手モンスターエクシーズの直接攻撃を受けたときエクストラデッキよりこのカードを特殊召喚する!」

 

 エクストラデッキより飛び出したヌメロン・ドラゴン、そのカードを遊馬が掴み、叫ぶ。

 

「宇宙創造の鍵、今こそ闇の扉を開き、未来を! その咆哮とともに導け! 降臨せよ、No.100 ヌメロン・ドラゴン!」

 

 黄金の龍は具現化していく。

 半覚醒の今を脱ぎ捨て真の姿へと変わろうとしている。

 黄金の龍の空を駆ける勢いはその鋭さを増し、金色の閃光となり夢幻虚神を翻弄する。

 その龍が放つ輝きは夢幻虚神の再来という誰もが諦めかけるような状況に再び希望を見出すには十分なものだ

 だが、

 

知ってたッ(・・・・・)。我は速攻魔法エフェクト・シャットを発動。発動したモンスター効果を無効にし破壊する!」

 

 その効果を黒原の知識よりドン・サウザンドは知っている。

 ヌメロン・ドラゴンが覚醒したがために九十九遊馬達に反撃を許し敗北したことを。

 故に最後のエフェクト・シャウトを取っておいたのだ。

 それを使えばカイトを倒せたが、それをしてしまうと九十九遊馬が生き残ってしまう。

 そうすればドン・サウザンドが敗北する可能性が生まれてしまう、そしてカイトを残しておけば、バトルフェイズ終了時、このターン、墓地に送られたカオスエンド。ルーラーを特殊召喚できるがために。

 今、使ったのだ。

 

「そ、そんな…………」

 

 遊馬がその場に崩れ落ちる。

 水田裕の能力の無効化、ヌメロン・ドラゴンの破壊という最後の希望も今、喪われた。

 それを見せつけるように、天での戦いにも変化が起きる。

 夢幻虚神が周囲にばら撒いた黒羽が速度を喪った創造龍の体に突き刺さっていく。

 苦悶の声を挙げる創造龍、その背中に夢幻虚神がその脚剣を煌めかせ斬撃をぶち込む。

 夢幻虚神はまるで鳥の羽を一本一本毟り取るに、両足の剣、羽、そしてカオスの弾丸をぶち込み創造龍の体を傷つけていく。

 最後の仕上げとばかりに夢幻虚神は一瞬上昇し両足を揃えて創造龍の背中を跳び蹴りを叩き込む。

 くの字に折れたまま逃れることが出来ない創造龍は地面に叩きつけられた。

 

「や、止めろ。止めろォオオオオオオ!」

 

 そして夢幻虚神の前にカオスが集う。

 それはボロボロの創造龍を消し飛ばすには十分すぎる一撃だ。

 

「ゴミクズ如きが分からぬと叫ぶならば何度でも魂に刻みつけるのみ。貴様らに在るのは敗北のみ、願いも、夢も、希望も全て、残ってなどいないという事を!」

 

 ドン・サウザンドの高らかな笑い声をBGMに夢幻虚神ヌメロニアスが放った超超超高密度の砲撃は創造龍をぶち破りそのまま地面を突き進み反対側まで貫通し、宇宙に広がる星をも砕いた。


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