クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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煉獄の底で抗う者達

 1000回中の50回目という数字を聞くとどう思うだろうか。

 少ないと捉える人が大多数であろう。まだ、始まってすぐだと思うだろう。

 だがこの場に居るたった一人の元凶を除く皆がこの数字を見て思うのはたった一つ、ようやく50回か、だ。

 九十九遊馬達は15のカードより漏れ出した光に飲まれていた。

 その光は全方向に撒き散らされ触れる物を終わらせていく。

 破砕か焼却か、いずれにせよバリアン城と呼べていた建物はこの場所にはもうない。

 50回ほど行われている決闘、ドローされる度に放たれる封印されし神の一撃によって山は形を無くし周囲の地形の形は変わってしまっている。

 そのような獄底で遊馬達は奇跡、連続50回、初手エクゾディアをそろえることに成功していた。

 それは万人が聞けば全てが奇跡だ。

 凄い、頭がおかしい、ジャッジー! この人達、詰み込みしてまーす!! などと言った声が聞こえてくるだろうがそんなものではこの地獄は終わらない。

 たかが50回、エクゾディアを初手でそろえた程度の事で誇る者などこの場所には居ないのだから。

 

「これでようやく50回目の引き分けか、さあ残り950回だ」

 

 すでに満身創痍とも言ってもいいような遊馬と凌牙、相対するドン・サウザンドの体もダメージはある。

 ゼアルフィールドを発生させようとも神の一撃は確実に4人の体に深刻なダメージを刻み込んでいた。

 それは目の前に立つドン・サウザンドも同じだ。金色に輝く体は時折アストラルと同じように点滅を繰り返している。

 だが次に瞬間には傷が消滅する。いや無かった事にされる。

 それを見てアストラルは唇を噛み、

 

「また……!」

 

「そうだ。我は我が受けたダメージを受け無かったという事実に書き換えたのだ」

 

 勝つためならばなんでもやるようなこの男がただひたすらに引き分けをおとなしく続ける訳がない。

 ヌメロン・コードの力を用いてエクゾディア同士の衝突によるダメージを無かったことにし、更には遊馬と凌牙がエクゾディアを引けなかった未来へと書き換えようとしてくる。

 それを防ぎながらエクゾディアをドローする事により2人の体力はガリガリと削り取られてしまっているのが現状だ。

 何かの切っ掛けが無ければこの地獄は終わる事は無い。

 

「さあ、次の決闘を始めよう」

 

 わざわざ決闘という言葉を使っているがこれはもう決闘ではない。ただひたすらにカードを使って自分の磨き上げた力と相手の力のどちらが強いかというただの異能力バトルになっている。

 そしてこの戦いを普通の決闘に戻す為にはここには居ない者達の力を使わねばならない。

 

「なに、あと軽く950回ほどデッキからカードをドローするだけの話ではないか、そうすれば我が貴様等の話を聞いてやろうと言っているのだ、我はとても良心的ではないか」

 

 遊馬達を取り巻く状況は悪化する一方だ。

 希望など一切ある訳が無い。この状況を見ればそんな物がある訳が無いと思うのは当然だ。

 だがそれでも二人は諦めない。自分達の可能性と未来を信じる2人の地獄はまだ終わりは見えない。

 デッキトップへと手を翳し、光と混沌、願いを乗せ、4人は叫ぶ

 

「「「「決闘!」」」」

 

                     ●

 

 見下ろす限り人、人、人がひしめき合いたった一人の少年を逃がさないように取り囲んでいる。

 そしてそれらの光景が一望できる小高い丘に2人のバリアン人がいた。

 一人は初老の男性型、そしてもう一人は時折、形が不定形になる男性型のバリアンだ。

 心配そうにその状況を見守る老人型、プラネタリーはもう1人を見、

 

「しかし彼を本当に助けなくていいのかのう?」

 

「何度も言わせるな、今は助けないと言っただけだ。カイトがこの場所につっこむまで我慢だ」

 

「しかし彼の力がなければドン・サウザンドを倒せないのだろう、我々では初手エクゾは出来ん、あれを倒さねばお前さんの目的だって」

 

「彼が倒れたならばカイトに手を貸すまでだ。ヌメロン・ドラゴンの力を使えばどうとでなる。彼は、保険でしかない」

 

 男が迷いを持って居る事を知っているプラネタリーはため息を吐き、

 

「その割には助けにいく機会をうかがっているではないか。わざわざあのお嬢ちゃんから離れてまでここにいるのもそのためじゃろ。お前と彼はよく似ておるしのう」

 

 プラネタリーの言葉に過去の傷を抉られた男は僅かに声に怒りを孕ませ、

 

「昔のことだ…………今もそうだがな」

 

 思い出せなくなるほど遠い過去、だがその記憶は今も色鮮やかに残ったままだ。そしてその後に来る悲劇も同様だ。

 どこか遠い目をする男の様子を見て、長年の付き合いであるプラネタリーは頭を掻き、自分の本当のデッキを取り出す。

 アポクリファとの決闘で使おうとしたデッキを未だに決意が変わらない友人へと差し出した。

 

「これは……」

 

「貸してやろう、お前さんと同じように儂も心の隅でそう思っておった。儂が行っても力不足じゃからのう、このデッキをお前さんに託そう」

 

 男は差し出されたデッキを手に取り中身を見る。その中にある白紙のカードを見つけ悲しげに眼を伏せる。

 

「私がこれを使う資格はあるのか? コレは私の前に姿を現してくれるのだろうか、私の願いは我欲で満ちている。私は聖者などでは無いというのに」

 

「我欲だの聖者じゃない等と言う物はこのカードには関係ないのじゃ、使い手が本当に成し遂げたいと願い、それを掴むために極めてきた努力が実を結ぶとき、目の前に現れるものじゃ。選ぶのはカードでありお前さんが気にしようとも意味のない事じゃよ」

 

「そう、か」

 

 デッキを自分のデッキと混ぜ男は下を見る。

 大量の人に取り囲まれた一人の少年を、ぼろぼろになりながらも自分の持つ願いのために戦うその姿を見、一人呟く。

 

「君はここで終わるのか、水田裕?」

 

                    ●

 

 裕は目の前に広がる絶望的な光景を見た。

 裕の最大の敵である最上、そして裕が相手をした中で本気でオカルトじみた能力に縋るしかない最強とよべるような能力持ちの黒原が同時に相手をするというのだ。これを地獄と言わずになんという。

 

「さあ時間はたくさんある、私達に役目はお前をこの場から動かさないということだけだ」

 

 体は動かすような余力もない裕は最上を見る。

 彼女の様子はおかしなところなどない。

 少なくとも他人よりは最上愛と言う少女の事を知る裕の頭は告げている。目の前の少女は本物である。そして同時にコレは彼女ではないとも告げている。

 

「なんの、ために?」

 

「ドン・サウザンドの勝利のために、九十九遊馬達の希望を一片たりとも残さないようにすり潰す為だ。この近くに来ているであろう天城カイトも発見しだい攻撃する予定になっている」

 

 それに合わせる様に、裕の回りを取り囲む人々が、黒原が、最上が、口をそろえて言い切る。

 轟々と周りより反響する声は裕の耳を叩いていく。

 

「誰もドン・サウザンドの勝利を邪魔させない」

 

 裕は目の前で起きた事が受け入れられなかった。

 最上愛と言う少女がそのような事を言うなんて信じられなかったからだ。

 目の前の最上と言う少女の形をした別人だとさえ思う。だが自分の頭は冷静にコレは彼女だと告げている。

 

「じゃあそろそろ決闘を始めようじゃないか。ルールはバトルロワイヤル。全員、敵だから手札は5枚、全員一ターン目からは攻撃出来ない」

 

 反論は許さないというように黒原は早口にルールを述べていく。

 倒れたままの裕の脇を周囲の人々が掴み無理矢理に立ち上がらせようとする。

 

―――まずい、この、ままじゃ、決闘を始めさせられちまう。

 

 裕の右手がデッキトップへと置かれる、脇に手を通され、裕は人で作られた処刑台へと磔にされていく。

 

「先攻をとった者から見て右回りにスタート、相手とかかれたカードはプレイヤー1人を選択する。それでいいよね」

 

 裕は抗議の声を挙げるもそのような事に耳を貸すような者はこの場にはおらず、裕はまず対戦する最悪最強のタッグが使いそうなデッキを思いだし、あの2人が使いそうなデッキを想像する。

 

―――やばいカードは……ガトリング・オーガだよな。

 

 真っ先に挙げられるのは最上も黒原も使っていた最悪のワンキルモンスター、そして注意すべきはモンスターだけではない。

 幻魔の扉やらシュトロームベルグの金の城、七皇の剣、時の跳躍等の頭のおかしいぶっ壊れカード、ドローソースとしては命削りに運命の宝札シリーズが出てくる。

 

―――ああ、そういえば最上のデッキにカオスエンドルーラーも入ってたっけ。

 

 その頭のおかしすぎるカード効果を思いだし裕は弱々しく口元を引きつらせる。

 いつもの裕ならば勝てる気がしないなんて言葉を使わないだろう、だが今の状況はどう考えたって積んでいるようなものだ。

 裕の持つ能力は相手のもつ能力の無効、能力に頼った決闘をする人間には致命的な能力だ。

 実際、裕がバリアン兵を相手に今まで戦ってこれたのだってその部分が大きい。

 だがそれは100パーセント負ける勝負をどちらが勝つのか分からない勝負にするだけだ。多く数をこなしていけばいつかは運が悪く負けてしまう。敵はそれを狙っているのだろう。

 

「本当はここにいる全員で決闘して確実に倒そうと思ったんだけどあんまり追いつめて初手エクゾでもかましたら僕らが再生するのに時間がかかるから止めたんだ」

 

 いくら警戒されているからってそんな頭のおかしい事が出来るわけないだろうが、と裕は思うも黒原が至って真面目な顔をしているのを見て本気で言っているのではないかと思い始める。

 そして同時に常人では考え付かない様な頭がおかしいソレができるかもしれないと黒原達に思わせるような何かが存在しているのではないかと裕は気付く。

 

―――え? これ以上、難易度があがるの?

 

 これ以上の頭のおかしい出来事が起こる訳ない、自分が今まで戦ってきた中で最悪の出来事だろうと今の状況をそう捕らえていただけ裕に絶望感だけが積み重なってくる。

 そして目の前の二人の準備が終わってしまう。

 

「さあ、始めよう」

 

 決闘盤を構えられたところで裕に立ち上がるだけの力など残っていない。

 なんとか体力を回復させる余裕が欲しい裕はない頭を振り絞って何か質問しようとする。

 口を開き、息を吸いそれが起きた。

 音よりも早く叩き込まれたそれが引き起こした変化を裕は知覚できなかった。

 気がついたときには自分が居た場所から遙か彼方に転がされていた。

 

「ぐっ…………あぁ?」

 

 体は非常に痛むも骨は折れていない、なにかが守ってもらわなければ裕は生きていなかっただろう。

 裕は相棒に感謝し、立ち上がろうと足を縮め力を込めようとする。

 周囲にいた人々もまとめてあの光がもたらした衝撃波で薙ぎ払われ今しか逃げるチャンスは無い。

 よくは分からないが降って湧いた様なチャンスを裕は逃したくないと考え、体に力を込め、そんな裕に頭上より優しい声色が降り注ぐ。

 

「まったくドン・サウザンドも困ったものだ。他の雑魚共を盾にしなかったら私が死ぬ所だったぞ、復活するのに時間がかかると言うのに、まあしょうがないか、そういう強さが素晴らしのだから」

 

 裕はその優しい声色に背筋が寒くなる。それと同時に嫌悪感が湧いてくる。

 最上が、あの最上がそんな事を言うのが信じられなかった。

 

―――自分が害を受けたのに怒らない最上なんて最上じゃない、それに他人が素晴らしいなんてそんな事を彼女が言うはずがない。

 

 外見だけ似せた偽物だといわれた方がまだ納得できるほどに最上のキャラからかけ離れていた。

 だがこの人をバカにした笑いも発する雰囲気が彼女が最上だと言っている、それ故に裕は混乱し違和感を覚える。

 何かが足りなくて彼女が彼女だと言い切れない、何が足りないのかを裕は考えいつものセリフを最上が言っていないことに気づく。

 

「なあ最上、お前はいったい誰を愛している?」

 

 いつもに彼女ならば即答するであろうその問い、それに最上は口を開き、一瞬止まる。

 迷いを見せ、口で何かの形を作り、そのまま僅かに顔を歪ませて、

 

「私は、私は、ドン・サウザンドを愛しているよ。あの人の様に強くなりたい。あれが私の理想の姿だ。ああなりたいものだ」

 

 これが今の彼女だ。

 それはここにいる者達の全てに言える事、皆が操られているわけではない。

 ただ自分の記憶や思い出の中にある一番大切な人や物をドン・サウザンドに書き換えられているだけだ。人の持つ大事な人のために戦う力を効率的かつ最大限に発揮させるためにここにいる皆の意識はしっかりとしている。

 

―――こんな事、許して良い訳が無い、ドン・サウザンドがヌメロン・コードを手に入れたらこんな訳の分からない気持ちが悪い世界になると言うのなら止めなくちゃいけない!

 

 その感情を、新たに生まれた願いを燃やし裕は立ち上がる。膝がぶるぶると震えもはや頭に十分に血が回っていなくても気合と根性で立つ。

 そしてそれを見計らう様に消し飛ばされていた人々が一斉に再生し始める。

 それはまるで地面から人が生えてくるように足から徐々に構成されていくおぞましい物だ。

 その人々の中、決闘盤を構えた黒原が歩み寄る。

 

「さて僕も再生は終わったし、決闘の時間だ。あの日の屈辱を晴らさせてもらう!」

 

 裕はもう1人の自分から託されたデッキからカードを取り出し、自分のデッキと混ぜる。

 

―――完吟味する時間が無かったけど、それでも先ほどまでのデッキと比べれば安定性はある程度上がったはず、あとは相手がどのデッキを使うかだ!

 

 決闘盤を展開し裕は相手を見据える。

 敵は最強最悪のタッグ、振るわれるは頭のおかしいカードばかり。その上、相手はタッグを組んで裕を殺しに来ている。

 圧倒的に不利な状況、それでもそんなものはいつもの事だ。それを裕は戦って勝ち抜いてきた。

 だから今度もこの状況を切り抜けてみせる、そう決意し、叫ぶ。

 

「「「決闘!!」」」

 

                    ●

 

 皆が一心不乱に見つめる中、決闘盤が点滅する。

 誰かが唾を飲み込む音がやけによく響き、そして点灯が止まりそうになる。

 裕はその中で自分緒中にある何かがガリガリと擦りえる音を聞いていた。おそらくは最上と黒原が何かの能力を使っているのだろう。

 もう一人の自分を吸収し強化さた裕の能力を能力をもってしてもそれが抑えきれるかどうかは分からない、ただひたすらに目をつぶり裕は普通の決闘がしたいと祈り続ける。

 祈り願い、そして点滅が止まる。

 恐る恐る目を開き、裕はガッツポーズをした。

 

「よし! よしっ、俺の先攻、ドロー!」

 

 先攻は裕だ。

 この相手の中で先攻を取れることは非常にありがたい事だ、というよりとれなければ頭のおかしい罠で封殺される可能性がある為に非常にありがたい物だ。

 

「調律を発動、デッキよりクイック・シンクロンを手札に加えデッキトップを墓地へ送る」

 

 墓地に送られたのはスキル・プリズナー、デッキも裕を助けようと全力を尽くし居る。裕はそれに答えようと吠える。

 

「この手札なら! 俺はボルト・ヘッジホッグをコストにクイック・シンクロンを特殊召喚、更にジャンク・シンクロンを召喚、召喚時効果で墓地よりボルト・ヘッジホッグを特殊召喚する。そしてレベル2のボルト・ヘッジホッグにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング、TGハイパー・ライブラリアン!」

 

 裕は次のターンを迎えるために全力でぶん回す。

 

「そしておろかな埋葬を発動、デッキよりレベル・スティーラーを墓地に送り墓地のボルト・ヘッジホッグとレベル・スティーラーの効果発動。2体を特殊召喚する。更に俺はレベル2のボルト・ヘッジホッグ、レベル1のレベル・スティーラーにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング、ロード・ウォリアー!!」

 

 現れるのは黄金の戦士、その表情はいつもよりも真剣に敵を見据えている。

 最上はバカにするように笑みを浮かべ、黒原はこちらの動きをじっと見つめている。

 一言も発せず手札誘発のカードをも発動させないその姿は不気味の一言でしかない。

 

「ロード・ウォリアーの効果発動、デッキより音響戦士ベーシスを特殊召喚、そしてカードを1枚伏せてベーシスの効果発動、俺の手札は2枚、よってレベル3となる、更にロードのレベルを下げてレベル・スティーラーを特殊召喚! レベル1のレベル・スティーラーにレベル3となっているベーシスをチューニング、レベル4、波動竜フォノン・ドラゴン」

 

 現れる竜、その効果は発動させない。

 ライブリアンの効果により更なるドローを重ね裕は更なる加速を叩き込んでいく。

 

「更にロードのレベルを下げてレベル・スティーラーを特殊召喚し、フォノン・ドラゴンとレベル・ステイ―ラーをチューニング! レベル5、アクセル・シンクロン! アクセル・シンクロンのレベルを下げてスティーラーを特殊召喚する!」

 

 はた目から見ればよく回っているその程度だ。

 ライブラリアンの効果でドローし続け防御札を引き込もうとする裕の必死な姿は迫りくる恐怖から逃れようとするようである。

 

「そしてデッキよりクイック・シンクロンを墓地に送りアクセル・シンクロンの効果発動、その墓地に送ったシンクロンモンスターのレベル分のレベルを上げる、または下げることが出来る、。俺はアクセル・シンクロンのレベルを下げる」

 

 これによってアクセル・シンクロンのレベルは1となる。

 

「来るか、クェーサー」

 

 見慣れた光景に最上は鼻を鳴らし、黒原はそろそろ僕のターンかなと呟き手札を見始める。

 裕のソリティアともいえるようなシンクロンデッキの本領発揮などまるで意にも留めず相手にしていない。

 

「そしてレベル・スティーラーとレベル1となっているアクセル・シンクロンをチューニング、レベル2、フォーミュラ・シンクロン! フォーミュラ・シンクロンとライブラリアンの効果で2枚ドロー!」

 

 吹き上がる風が裕の体を支え加速を促していく。

 前へ、前へと推し進める風、そして今の手札で出来ることを裕は行い続けていく。

 全ては裕の持つ願いの為に。

 

「墓地の闇属性、ジャンク・シンクロンを除外し輝白竜ワイバースターを特殊召喚、更に死者蘇生を発動、墓地よりアクセル・シンクロンを蘇生する。そしてジェット・シンクロンを墓地に送りアクセル・シンクロンの効果発動、レベルを下げてレベル4に、レベル4となったワイバースターにレベル4となっているアクセル・シンクロンをチューニング! 現れろ、閃光竜スターダスト!」

 

 デッキより闇黒竜をサーチ、ドローを行い、裕はこれ以上はモンスターを展開する事は出来ないと判断する。

 その上で自分の相棒を呼び出しにかかる。

 

「そしてレベル4となっているTGハイパー・ライブラリアンにレベル6となっているロード・ウォリアー、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング! レベルマックス!」

 

 神の光よりも弱い、だが温かみを感じさせる光の華が上空に花開く。

 風を巻き起こしながらF1戦士がその輪の中に先陣を切り駆け抜け、黄金の戦士が、インテリな青年が星となり吸い込まれていく。

 最上達がじっと見つめる中、その光より巨大な龍が姿を見せる。

 

「どんな状況だろうと諦めるもんか! 理不尽、最強、知ったもんか! 俺はお前らをぶっ倒してこのよく分かんねえ戦いを終わらせていつもの、普通に決闘して負けて勝つを繰り返す日々に戻るんだ、だから力を貸してくれよ、俺の相棒! もっとも輝く龍の星、来やがれ!! シューティング・クェーサー・ドラゴン!」

 

 その龍が姿を見せようとも相対する二人の余裕は崩れない。

 相手が何を伏せようが、神の宣告を内蔵している攻撃力4000の2回攻撃できるカードが姿を見せようともそれは崩れることは無い。

 手札6枚を使えば相手は防御をしなければ行けないから、防ぎ切れなくなったその時が裕の敗北だと知っているから、そして何より自分達は負けてもいいのだという気楽さがあるからだ。

 自分達は負けて消滅しようともすぐに復活する。

 自分達の誰かが決闘し続ければいつかは裕が物理的にカードを握れなくなるか、それとも決闘をし続け、敗北するのだから、その時が来るまでひたすらに打ちのめし続ければいい。

 ドン・サウザンドの勝利のためにこの場で裕を足止めできればそれでいいのだ、という敵と何としても遊馬達の元へとたどり着かなければいけない裕、どちらが有利なのかは比べるまでもない。

 

「更に俺は墓地の音響戦士ベーシス、アクセル・シンクロン、TGハイパーライブラリアン、フォーミュラ・シンクロン、クイック・シンクロンを対象に貪欲な壺を発動、選んだカードをデッキに戻し2枚ドロー! そして最後にミラクルシンクロフュージョンを発動、俺は墓地の波動竜フォノン・ドラゴンとロード・ウォリアーを除外し波動竜騎士ドラゴエクィテスを融合召喚!」

 

―――エクィテスさえいればチェーンバーンやガトリング・オーガで死ぬことは無くなった、あとは次の俺のターンまで生き残れば、勝てる!

 

「俺はカードを4枚伏せてターンエンド」

 

裕場    シューティング・クェーサー・ドラゴン DEF4000

LP4000   波動竜騎士ドラゴエクィテス ATK3200

手札2    閃光竜スターダスト ATK2500

       伏せ5

 

黒原場

LP4000

手札5

 

最上場

LP4000

手札5

 

 そんな生温い壁では2人の行動を止められない。

 

「ドロー、やっぱり面倒だなその能力は、やっぱりあの場所で負かしとけばよかったかなぁ。ほとんど僕の思い描いた筋書き通りになっているって言うのに、僕はお前が羨ましい、そして邪魔で仕方ない」

 

「羨ましい、だと?」

 

「そうだとも、僕は絶対に諦めない主人公が見たいんだよ。主人公はどれだけ危機的状況に陥ろうとも諦めないんだろう。自分の目的の為ならば何度折れそうになっても、立ち上がり、眼の前の敵を殲滅するっ。それは凄い事だ」

 

 不可能、勝てない者に立ち向かう。それはどの時代に置いても何割かの人々を捉えて離さない物だ

 社会的立場、性別、社会の常識、金、実力、それがどれほどの物であろうとも、何度打ちのめされ敗北しようとも立ち上がるその姿は見るものにこうなりたいと言う願いを懐かせるだろう。

 

「あっちの世界じゃ画面の中にしかなかった()を見てみたい。理不尽な状況で、適当な所で妥協して、ゲームやアニメのキャラに成りきって自分を慰めるようなカスしかない無い世界なんていらないんだよ。僕が見たいのは、どれだけ打ちのめされ様とも自分の願いを捨てない()だ」

 

 そして現実が夢に惚ける頬を殴り飛ばすのだ。

 倒されないヒーローなどいない、志を強く持とうとも自分の手で折る、願いを持ったところで何かが欠けていれば掴めないと。

 

「最強なんていらない、無双なんてしなくていいんだ。上手く行かないから妄想に浸っている間だけは現実を忘れようなんてくだらない、どうせ現実は現実だ。逃げれもしないし砕く事も出来ないような理不尽ばかりだよ」

 

 裕や最上の様にこの男も狂っている。

 上から人を操りたいと、そしてその上で自分が立てたむちゃくちゃな筋書をぶち壊すような主人公の存在を願っている。

 

「だからこそ、だからこそッ、そういうのに立ち向かう人間が見てみたいんだ。ここにいるような自分の好きな者、理想、願いをドン・サウザンドに使える事なんて書き換えられそのままで居続けるような屑なんて人間じゃない。神から使った力を使って好き勝手しているような屑が、なんて思うかもしれないけどそれがどうした。貰った物を存分に振るって他人を使って自分の欲望を満たして何が悪いってんだよ?」

 

 黒原遊利をこの場に立たせている願いは酷く歪んだものだ。

 水田裕のように譲れない、こんな世界にさせてたまるか等という感情は無い。

 最上愛のように楽して他人を蹂躙する事を真剣に、それこそ命を賭けてまで愉しむような真っ直ぐな歪みを持つ訳でもない。

 

「願いも分かる。理想を求める心も分かる。それが他人を強くする事など重々承知だ、それこそが僕が求める物だよ。絶対的最強の敵が現れようとも、どれだけ最悪の事態に陥ろうとも諦めない心、それが素晴しいッ! だから原作という物を利用した、あんなただの脳筋バトルなんて見たくもない、強制脱出装置一枚で消飛ぶような切り札を使うラスボスなんて簡単すぎる、そんな敵に絶望感なんてある訳が無いじゃないか。だから僕が筋書を書いた」

 

 黒原が持つのは負けても良いという願いだ。己が持つ夢に対する真剣さが足りない。熱意が足りない。

 何もかもが半端だ。

 夢は影から皆を操る支配者です、でも負けても良いです、僕は本当はそれが見たかったから、なんて半端にもほどがある。

 

「むろん、僕がやっている事が屑で三下以下の悪党だってのも分かってるよ。筋書は素人が書いた適当、僕が好きな要素を詰め込みました程度かもしれない、ああ、そうだよ。僕はどこにでも転がっているような自分が偉いなんていう勘違いをするような屑じゃない。僕が僕の望むままに、あるがままに三下以下の悪役である。そこに後悔などある訳が無い。僕は見たい物を見るために全力を出しているだけだ!」

 

 それの何が悪いと黒原は胸を張る。

 自分の為に他人を利用し遊ぶことを黒原は罪悪感を抱かない。その部分だけは最上と同じなのだ。

 我欲のままに暴れ他人を害そうともそれをどうでもいいと切り捨てるような男、それが黒原の中身だ。

 

「さあ、甚だ不本意ではあるがここまで理不尽な状況に打ちのめされても立ち上がるお前も主人公の器があるのかもしれない。だから見せてくれ。僕が仕掛けた策に抗い、立ち向かう君の夢と信念を、その輝きを。それがメッキなのか本物なのか!」

 

 言い切り黒原は一息入れる。

 その上で気持ちの悪い物を見る様な最上の視線を無視し黒原は手札から1枚のカードを抜き出す。

 

「僕は強欲で謙虚な壺を発動」

 

 捲られるはエクストラ・フュージョン、チャリオット・パイル、そして溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムだ。

 この決闘は裕が発揮している能力により普通の決闘になっており、互いに決闘盤によってカードテキストが表示されている。

 そして一枚一枚、テキストを読んだ裕はどれも書いてある効果がおかしい事に絶句する。

 

「ラヴァ・ゴーレムを加えるよ。そしてカードを5枚伏せてターンエンド」

 

黒原場  

LP4000  伏せ5

手札1

 

最上場

LP4000

手札5

 

裕場    シューティング・クェーサー・ドラゴン DEF4000

LP4000   波動竜騎士ドラゴエクィテス ATK3200

手札2    閃光竜スターダスト ATK2500

      伏せ5

 

「私のターン、ドロー。伝説の白石をコストに調和の宝札を発動。デッキから2枚ドロー、更に伝説の白石の効果でデッキより青眼の白龍を手札へ」

 

 墓地に捨てられたカードを見て裕の顔色が変わった。

 てっきり二人ともガトリング・オーガワンキルを仕掛けてくるのだろうと油断していた。

 それを油断と呼べるのかはさておき、裕の耳に聞こえるのは8体の龍の声だ。

 

「さて更地にするか、私は一撃必殺居合ドロー発動」

 

―――クェーサーで……いやドローされた方が問題か、でも墓地肥しをさせたら…………。

 

 裕はその一撃を止めようかと迷う、だがドローされた方が問題だろうと割り切り別の手を打つ。

 

「っ、閃光竜スターダストの効果発動、ドラゴエクィテスを破壊から守る!」

 

 これによってもしも最上が一撃必殺居合ドローをドローしたとしてもエクィテスの効果で最上にダメージが跳ね返る。そうなればなんとかなる。

 だから一撃必殺居合ドローを引け、と裕は願ってしまう。

 

「水田裕の場には8枚のカード、よってデッキ上より8枚のカードを墓地に送りカードを1枚ドロー、残念、ドローしたカードは運命の宝札だ」

 

「ここにきてドローカードかよ!?」

 

「そして墓地に送られた伝説の白石2枚、エクリプス・ワイバーンの効果発動、デッキよりレッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴンを除外、更にデッキの青眼の白龍2枚を手札へ、墓地よりエクリプスと伝説の白石を除外し巌征竜レドックスの効果発動、このカードを墓地より特殊召喚する!」

 

 裕の手札に増殖するGは無い。防ぐカードは在るがそんな事をしたところでこの竜達の暴走を止める事など出来はしない。

 

「ほう、何もないのか。では除外されているレダメを回収、手札から瀑征竜タイダルと炎征竜バーナーを墓地に送りバーナーの効果発動、デッキより焔征竜ブラスターを特殊召喚する。そしてレベル7のレドックスとブラスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚。私の元に現れろ、全てを誘惑するその瞳で私に、わたし、わ、たしにっ、ドン・サウザンドに勝利を齎せ、iNo.11ビッグアイ!」

 

 少しだけ言い澱み、なにか気持ちの悪い物でも見て吐き気を抑える様に口元に手を置いた最上はその感情ごと噛み砕く様に叫ぶ。

 赤黒の触手が蠢い一つの巨大な目玉を構成していく。それは九十九遊馬が今所持するオリジナルよりも力は落ちる物の厄介すぎるカード効果を持っている裕のトラウマたる敵。

 その虚無とカオスによって構築された目玉に黄色い球が吸い込まれていく。

 

「オーバーレイユニットであるブラスターを取り除きビッグアイの効果発動、まずはクェーサーを狙う」

 

「俺は墓地よりスキル・プリズナーを除外し発動! クェーサーを対象とするモンスター効果を無効にする!」

 

 知ってた、と小さく呟き最上にはカードを連射し始める。

 

「運命の宝札を発動。サイコロを振り出た眼の枚数だけデッキよりドローしその数だけデッキ上より除外する、さあどうする?」

 

「…………っ、クェーサーの効果で無効にする!」

 

「そこで止めるか、なら2体目だ。墓地よりバーナーと墓地の幻水龍を除外しタイダルの効果発動、タイダルを特殊召喚。更に風征竜ライトニングと青眼の白龍を手札より墓地に捨てライトニングの効果発動、デッキより嵐征竜テンペストを特殊召喚」

 

 舞い踊るは緑と青の竜、死と生を繰り返す4竜が裕の息の根を止めにかかる。

 

「そして再び征竜2体でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚。現れろiNo.11ビッグアイ」

 

―――ま・た、お前かっ!

 

「オーバーレイユニットであるテンペストをコストにビッグアイの効果発動、波動竜騎士ドラゴエクィテスのコントロールを奪う!」

 

「通すか! 俺は手札からエフェクト・ヴェーラーの効果発動、このカードを捨ててビッグアイの効果を無効にする!」

 

「墓地から伝説の白石2枚を除外し嵐征竜テンペストの効果発動、このカードを特殊召喚。更に墓地より伝説の白石と風征竜ライトニングを除外し焔征竜ブラスターの効果発動、このカードを特殊召喚する。そして3体目、ビッグアイ」

 

 3連射のビッグアイ、いずれも守備表示であるその姿に、そしてそれを支える竜達に裕は前の世界のトラウマを盛大に抉られていた。

 

「更にエクシーズ・トレジャーを発動、場には3体のモンスターエクシーズ、よって3枚ドロー、ビッグアイの効果発動、ドラゴエクィテスを奪う」

 

「ドラゴエクィテスを対象に罠発動、スキル・プリズナー! その効果を無効にする!」

 

「へえ、なら青眼の白龍と水征竜ストリームを捨てストリームの効果発動、デッキより瀑征竜タイダルを特殊召喚する、そしてガード・オブ・フレイムベルを通常召喚、チューニング、レベル8、琰魔竜レッドデーモン!」

 

 2体の竜が星と輪になり昇って行った空、輪の中より爆発する様に紅蓮の花が咲いていく。

 全てを砕く焔が雨の様に降り注ぎその竜の降臨に大地は揺れていく。

 同時に山の頂点より放たれた3つの神の光がその竜の誕生を祝福するように竜を背後より照らし地上に影を落とす。

 

「レッドデーモンの効果だ。攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

「罠カード、スターライトロード、場の2枚以上のカードを破壊するカード効果を無効にし破壊する!」

 

 琰魔竜より投じられた炎は星の輝きによって受け止められ終息、熱も逃さず消滅した。そして役目を終えた星屑はその場に集い一体の龍を呼び出す。

 

「そしてエクストラデッキよりスターダスト・ドラゴンを特殊召喚する!」

 

「凌ぐか、なら次だ」

 

 一枚のカードを手に持つ少女を境に白の光と黒の闇が溢れ出す。

 それはまるで終わりの始まり、それを見た裕はその少女の手に持つカードが何なのか分かる。

 あのようなカード効果は一度見れば忘れられるものではない。

 

「私は墓地の闇属性、悪魔族クリバンデットと光属性戦士族のカオスエンド・ルーラー -開闢と終焉の支配者-を除外しカオスエンド・ルーラー -開闢と終焉の支配者-を特殊する」

 

 深く深い闇の底、一筋の光が差し込んでいく。

 闇を切り裂き伸びるその光が徐々に大きくなっていく。

 光の底、現れるのは巨大な角と羽のある悪魔の様な姿をした戦士、終焉を始める事も終わらせることもできる最強最悪のモンスターだ。 

 ただでさえ攻撃力3500の凶悪なモンスターだが、そのモンスターの特殊召喚にカード効果を発動させる事など許さない。

 故に光臨するのを見守るしかない。そしてその効果が一度放たれてしまえば相対者は敗北が確定してしまう。

 その戦士の両手、白と黒のエネルギーが蓄積されていく。その余波だけで空気が悲鳴を上げるように軋み、赤黒の大地は色を失っていく。

 

「私はライフを1000ポイント支払いカオスエンド・ルーラーの効果発動、相手の手札、場、墓地のカード全てを除外しその除外した枚数×500ポイントのダメージを相手に与える! 更地になれ!」

 

「させるかよ! 罠カード、ブレイクスルー・スキルだ!」

 

―――これを防がれたらもうどうしようもない、だから頼む、そのまま終われ!

 

 裕の必死な願いが通じたのだろうか、最上は露骨に舌打ちを見せ、不機嫌さを隠さず、

 

「ちっ、エンドフェイズ、超再生能力を発動」

 

 このターン墓地に捨てられたドラゴン族は7枚、よって7枚をドローされる。それを止める手段はある。

 

―――いや、そうしたいけど黒原が静かすぎる、なにかを待っているのか……!

 

 裕が見たのはニヤニヤとこちらの動きを窺っている黒原の顔、それは隠す気が無いほどに嗤いに満ちている。

 そして不気味すぎる黒原の5枚の伏せカード、アレがバーンカードと言う可能性は十分にある、だがもしもそういうカードではなく、和睦やミラーフォースといった防御カードやまだ自分も知らない鬼畜性能のカードだったら、そう思うと裕は伏せカードを開くことを止めた。

 そして、黒原の凶悪な一撃がぶち込まれる。

 

「その効果にチェーンして僕は時の跳躍を発動。水田裕のターンをスキップして僕のターンのバトルフェイズとなる」

 

 その瞬間、水田裕を支えていた2番目に重要な柱に罅が入った。

 それでも何とか踏みとどまり、裕は叫ぶ。

 自分の意思を通すために声を挙げ、拳を握る。

 

「ライフを半分支払いカウンター罠、神の宣告を発動!」

 

「そうか、僕は何もない」

 

 カード処理が行われ最上は7枚ドローされる、だがそれしか方法は無かった。

 これを止めていれば時の跳躍は止められず黒原のターンにラヴァ・ゴーレムによってドラゴエクィテスとクェーサーをまとめて除去られおそらく伏せてあるであろうバーンカードによって焼かれる。

 防いだとしても次の最上のターンになればビッグアイからのコントロール奪取、そしてカオスエンドルーラーの効果が叩き込まれて直接攻撃で敗北が確定してしまう。

 だからこそ最悪の状況だけど生き残れたと裕は安堵の息を吐き、

 

「じゃあ僕は相手がドローフェイズ以外でデッキよりカードを加えたから罠カード、逆転の明札を発動、相手が手札に加えたのと同じ枚数だけドローする」

 

 裕の心の柱がへし折れかけた。

 理不尽だろうが何だろうが裕は今まで立ち上がって戦ってきた、眼の前の敵を倒してなんとかしてきた。だがこれはそういう志でどうなるものではない。

 一発でも返し損ねれば敗北する状況、バーンの黒原が静かに裕の防御札が無くなるその時を待ち、最上が8征竜を全力で使い殴りかかってくるこの頭がおかしいと言う言葉では表現できない様な現実に。

 

「じゃあ私は手札制限だから3枚、竜の霊廟、竜の渓谷、飛竜天舞を捨てる。そして私はターンエンド」

 

最上場   iNo.11ビッグアイ DEF2000 (ORU1)

LP3000   iNo.11ビッグアイ DEF2000 (ORU1)

手札6    iNo.11ビッグアイ DEF2000 (ORU1)

      カオスエンド・ルーラー -開闢と終焉の支配者- ATK3500

 

裕場    シューティング・クェーサー・ドラゴン DEF4000

LP2000   波動竜騎士ドラゴエクィテス ATK3200

手札1    閃光竜スターダスト ATK2500

      スターダスト・ドラゴン ATK2500

      伏せ1

黒原場  

LP4000  伏せ3

手札8


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