クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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因縁 下

 ベクターはジャッジ・バスターの放った光に包まれ、自分の目的を達成した事を理解した。

 遺跡のナンバーズがオーバーハンドレッド・ナンバーズを倒すとき何かが起こる事だけはギラグやアリトが行った決闘を見て理解していたベクターはドルベとメラグを使ってそれが何を齎すのかを確かめた。

 その結果分かったのは、遺跡のナンバーズが戦闘で破壊したときドン・サウザンドの力が遺跡のナンバーズに宿る何かと対消滅を起こしドン・サウザンドの呪縛より解き放たれたという事実だ。

 ドン・サウザンドの力にどっぷり染まって正気を取り戻せるはずの無いメラグやドルベがあのあと正気を取り戻しサレンダーなどと言うふざけた終わり方を選んだのはベクターにとっては予想外の行動だった。

 

―――だからこそ俺様からドン・サウザンドの影響を消し去らせるために俺様はワザと手を抜いていたんだがな。

 

 だがナッシュによってベクターの体からドン・サウザンドの力は取り除かれつつある、もはや手加減することなくナッシュを殺すことが出来る。

 解放された記憶がベクターにどのような過去を見せるのかが少しだけ問題ではあったが、どうせ碌でもない物であると予想が出来ていたし、事実、その通りだった。

 ドン・サウザンドによて偽りの記憶を与えられ善良で平和を愛する王子は残虐非道な皇子になり各国を侵略し最後には国民も臣下も全てを殺しつくすという普通の人間ならば全てへ許しを請い罰を願うか、これは俺じゃねえドン・サウザンドが全て悪いんだと責任転換するだろう事実をベクターは鼻をほじりながら見て思う。

 

―――前世の記憶なんてどうでもいいなぁ、俺様は今を生きてるんだ。人間だったころの自分がどれほどみじめで哀れで滑稽な存在だったとしてもその人生と今を生きる俺様には全く関係ない。…………だがようやく理解したぜ、どうして俺様がナッシュの顔を見る度に不快になったのか。

 

 ドン・サウザンドによって記憶を改変される前の、正義だの良い子ちゃんぶっていた自分の姿とダブって見えたから、だから気に食わず、自分と同じ場所に堕ちればいいとずっと、ずっと思い続けてきたのだと言う自分の本当に思っていた感情を見つけた。

 今迄は何となく見ればイラつきぶっ殺したくなる程度だったがようやく理由を理解して、だからこそ本当に殺したくなってきた。

 ベクターは本当の記憶を見るのを止め、動きを止めているナッシュ達を見る。

 何故かは分からないがベクターの生前の記憶を遊馬達も見たらしくこちらを見る目は可哀想な悲劇のヒロインでも見るような目で見て来ている。

 そこでベクターは少しばかり殊勝な態度をとってやろうかとも考えたが、目の前で溶岩掌へと暗黒騎士が槍を叩き込んだのを見てその考えは吹っ飛んだ。

 

「そしてDarkknightでジャイアント・ハンド・レッドを攻撃!」

 

「な、え、ちょっ!? うぉおおおお!」

 

Cna101 S・H・Dark Knight ATK2800 VS CNo.105溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド ATK2600

破壊→CNo.105溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド

ベクター LP950→750

 

 破壊された溶岩掌の破片は部屋の壁へと飛び散り装飾品を炎に包んでいく。

 遊馬のベクターの記憶を見てベクターへ同情したのだろうか、ナッシュへと怒りの声を上げる。

 

「シャーク、お前!」

 

「遊馬、俺は確かにこいつをドン・サウザンドの呪縛から解放した。だが俺はこいつが過去にどんな事をされていようが、それがどれだけ悲惨な結末を生んだかなんて俺にはどうでもいい。俺は絶対にこいつの言う事を信用などしない、する価値も無い」

 

 遊馬の非難する声が聞こえたがナッシュ達を一度無害であると思わせてから寝首を掻けるようなカード等デッキには入っていないためベクターは色々練っていた計画を諦め当初の目的通りナッシュを倒す事にする。

 壁や床で擦り傷を負った体を動かしベクターは呆れたようなジェスチャーをする。

 

「あーあ、なんだっていうんだよ。こちとら今の今までドン・サウザンドに偽りの記憶を入れられて操られてた可哀想な奴なんだぜ、同情ぐらいしてくれてもいいじゃねえか。な、ほら言うじゃねえか、今までは敵同士だったけど共通の敵をぶっ倒すために手を組んむって、ドン・サウザンドを倒して俺と一緒に3世界を総べる王になろうぜ」

 

「黙れベクター、アリトやギラグ達もドン・サウザンドによって偽りの記憶を植え付けられ深い負の感情を持ちバリアン世界に堕ちた。だが彼等には仲間を思いやり他人の為に泣き、一所懸命に努力できる心を持っていた。だからこそ俺達はバリアン七皇として強い絆で結ばれ、今までアストラル世界とも戦ってこれた。だがお前はどうだ! 上っ面では信じてると言いながら、本心では他者を妬み、蹴落とし、策略に嵌め自分の良い様に操る、そのような卑劣な者が王になろうなど俺は絶対に認めない」

 

 遊馬がそれを否定しようと声を挙げ欠ける、だがベクターの背後、黒いシミのように吹き上がる存在を見て、眼を見開く。

 その男が存在するだけで圧倒的なカオスが嵐の様に吹き荒れ、外壁が無くなりつつあるバリアン城の最上階を更地にしていく。

 

「それは違うぞ、ナッシュ」

 

 バリアン世界の神、ドン・サウザンドが遊馬の背後に浮かぶアストラルを同じようにベクターの背後に立ち腕を組んだ。

 

「ベクターこそバリアン世界に生まれた瞬間からバリアン世界の王になるにふさわしい存在なのだ」

 

「どういう事だ、ドン・サウザンド!」

 

 遊馬はドン・サウザンドへと一歩足を踏み出し怒りと困惑の声を挙げる。

 それをちらりと視線の端で捉えたドン・サウザンドは口を開く。

 

「ベクターは生前、純粋に一図に、ただひたすらに何かを信じる心を持っていた。あのような愚かで残虐な父親と共に暮らそうとも平和を信じる心は変わらなかった。それは素晴らしい物だろう、喝采されるべき信念だ。だからこそそのような平和と言う概念を信じる純粋な心の中核に破壊、強奪、妬みで満たせばどのような存在が出来上がるか、そしてその存在が強い恨みを持ちながら死ねばどうなると思う?」

 

 そこに自分を倒そうと口に出した者がいる、その場にはドン・サウザンドを倒そうと集まって来た者達が居る。一人一人の力は強力であり不完全な今のドン・サウザンドでは苦戦どころか敗北をも覚悟しなければならない様な状況、それでもドン・サウザンドはそこに堂々と立つ。

 

「感情に突き動かされるがままに自分の望む物を欲し、他人を妬み奪う。ベクターこそがバリアンとして本来あるべき姿、ベクターこそが生まれながらにしてバリアン世界の象徴だ」

 

 ちらりとドン・サウザンドは何かを見、口元を緩める。その動きは不吉でありアストラル達を警戒させるには十分だ。

 そしてドン・サウザンドはわざとらしくベクターへと聞く。

 このあとベクターが何をしてくるか等、原作知識を知っている彼からすれば予測する事等造作もない事の筈だ。だがドン・サウザンドはベクターが何を考えているのかを知らないフリをし、

 

「ところでベクターよ、苦戦しているようだがまた、我の力を貸してやろうか?」

 

「ああ、そうだな」

 

 ベクターの了承したというような言葉を引き金とし周囲を荒れ狂うカオスが一枚のカードとなりベクターのデッキの上に集まっていく。

 それが十分に集まった所でベクターはドン・サウザンドへと振り向き、

 

「って言うとでも思ったか、もうお前は用済みなんだよ!」

 

 手をかざす。

 ベクターの掌からは炎が溢れ出しドン・サウザンドの巨体を包み込んでいく。

 炎に焼かれる肉の臭いや音が微かに耳や鼻に届いてしまい小鳥や遊馬は顔をしかめる。

 ドン・サウザンドは炎に焼かれもだえ苦しむように身をよじり、ベクターへと怒鳴る。

 

「ベクター、貴様! 忘れたか貴様の心臓は私が握っている。この心臓を握りつぶせばお前は!」

 

「やらせねえよ、バリアン七皇を取り込んだ俺様は今、お前よりも遥かに上の存在なんだよ!」

 

 ベクターの心臓を握りつぶさんとドン・サウザンドが一度開き握る動きを見せ、ベクターの胸に痛みが走った。

 おそらくはドン・サウザンドがベクターの心臓を握りつぶそうとしているんだろうが、そうはさせまいとベクターは更に力を強め、炎に更に力を流し込みその火力を挙げていく。

その火力は肉体を炭化させ骨すらも灰にすると言わんばかりのまさに地獄の炎の様に赤黒に燃え盛る。

 脚も下半身も燃え尽きかけその場に立っていられなくなったのだろう、ドン・サウザンドは崩れ落ちる。

 

「ば、ばかな、貴様がこれほど前の力をぉおおお!」

 

 外見すらも残さず灰へと変えた焔は収まりを見せ、その場に残るのは大量の灰の山だけ、とても先ほどまで大男が立っていたとは思えないような光景が広がり場には静寂が戻った。

 そしてそのドン・サウザンドがどれほど強大であったかを理解しているアストラルもその場に呆然と立ち尽くし呟いた。

 

「ドン・サウザンドを葬ったのか…………?」

 

 自分の記憶が飛び散った原因ともいうべき仇敵がこんなにあっさりと消えた事を信じられないと言う様にアストラルはそのドン・サウザンドが燃え尽きた場所を眺め続けた。

 それでもその場には肉体の焼けた臭い、飛び散った脂が残っておりその場に居たという証明だけが残っている。だがその脂も臭いも灰の山も全てが強風に煽られて空へと消える。

 

「さあ邪魔な神を名乗る変質者は消えた。あとはこのドン・サウザンドの残した力を吸収するだけだ!」

 

 ベクターの体を包み込むように6つの光が取り囲んでいく。そられはナッシュを除いた七皇の力だ。

 それらとドン・サウザンドの残したカオスがベクターの体に吸収され分解、ベクターの体を再構成していく。

 それはまるでベクターの体を書き換えるようにベクターの細い肉体は太く筋骨隆々の肉体へと、着ていた服装も暴君のような動きやすい戦装束へと書き換えられていく。

 

「さあナッシュ、邪魔な神も消えた。あとはお前を倒し九十九遊馬の持つナンバーズを奪い取りヌメロン・コードを使って俺様が新しい世界を再構築するだけだ!」

 

「…………俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

ナッシュ場  CNo.101 S・H・Dark Knight ATK2800 (ORU0)

LP3950   CNo.65裁断魔王ジャッジ・デビル ATK1600 (ORU2)

手札1    伏せ2

 

ベクター場  CNo.106彗星のカエストス ATK2800 (ORU0)

LP750    CNo.102堕光天使ノーブル・デーモン ATK2900 (ORU0)

手札1    魂魄の挌闘場

       属性重力-アトリビュート・グラビティ

 

「俺のターン、ドロー! もうお前は用済みなんだ、さっさと消えろ、俺は運命の宝札を発動、出目は当然6、よって6枚ドローし6枚を除外する!」

 

「だがこの瞬間、手札よりドロール&ロックバード、及び罠カード逆転の明札を発動、このカードは相手がドローフェイズ以外にカードを手札に加えた時、自分の手札が相手の手札と同じ枚数になるようにドローする! よって6枚ドロー。その後、このターン、俺達はデッキからカードを引くことは出来ない!」

 

「十分だ! サイクロンを発動! おまえの最後の伏せカードを破壊する!」

 

「チェーンし和睦の使者を発動、このターン俺はダメージを受けない!」

 

「そして俺は死者蘇生を発動」

 

「またワンハンドレッド・アイ・ドラゴンか」

 

「違うぜ、俺はお前の墓地に存在するアビス・スプラッシュを特殊召喚する、そしてRUM-バリアンズ・フォースを発動、アビス・スプラッシュをカオス化させる!」

 

「なんだと!?」

 

 闘技場に巣くう怨霊達が生贄として捧げられ激瀧神を邪悪なる意志で支配されていく。

 門より噴出したカオスが激瀧神の体を包み込むと同時に自らを封じるように周囲に散っていた聖なる水が門ごと包み込んだ。

 それは激瀧神の最後の力なのだろう、主を傷つけまいとする立派な心がけだが、そんな物でカオスは止まることは無い。

 

「混沌より生み出されしバリアンの力が全てを塗りつぶし、新たな世界と秩序を再構築する! 混沌を浄化しようとする雫も、復讐に燃える王も、俺様を利用しようとした邪魔な神も全てを塗りつぶし、俺様の望む世界へ導け!」

 

 その水は徐々に邪悪な力と意志に汚染され赤黒に染まっていく。そしてそれを突き破り浮上するはカオスに飲まれた激瀧神だ。

 その巨体はカオスに侵され聖なる力など一滴も残されていない。そこにあるのは荒々しく荒れ狂う嵐の様な激しく全てを攻撃する意思のみがある。

 

「飲み込む物、全てを粉砕する絶望の大瀑布の底より浮上し、全てを砕け! CNo.73激瀧瀑神(げきろうばくしん)アビス・スープラ!」

 

 赤黒のエネルギーラインを鈍く輝かせ巨大な錫杖を手にし、激瀧瀑神はかつての己の主と相対する。

 

「何故、貴様がアビス・スプラッシュのカオス化を!?」

 

「忘れたか、俺様はドン・サウザンドを取り込み本当の神になった。ナンバーズに隠された力を理解しそれを自由に進化させる事も出来るんだよ! バリアンズ・フォースの効果でお前のジャッジ・バスターのオーバーレイユニットを奪う、これによってジャッジ・デビルはただのカスカードになった。俺は更にフィールド魔法、カオス・フィールドを発動」

 

「カオス・フィールドまで!?」

 

 遊馬は広がり始める赤黒の水晶を見て驚愕の声を挙げる。 

 No.96との決闘でその猛威を振るったカードを遊馬達は忘れる事が出来ないだろう。

 

「このカードは場のCNo.と名の付いたカードのカオス・オーバーレイユニットを使い相手のエクストラデッキよりNo.と名の付いたモンスターを俺の場に特殊召喚する、俺はアビス・スープラのオーバーレイユニットを使う!」

 

 ナッシュのエクストラデッキよりモンスター達が飛びベクターの前に並ぶ。

 それを指差し、どーれーにしよーかな、と歌いながらベクターは気楽にカードをつかみ取る。

 

「ほう、現れろ。No.94極氷姫クリスタル・ゼロ!」

 

 呼び出されるはメラグの本当の記憶を所持していたナンバーズ、その美しき巫女は赤黒の宝石に包みこまれ苦悶の表情を浮かべる。

 

「更にカオス・フィールドのもう1つの効果だ、この効果で特殊召喚したモンスターよりもランクの1つ上のカオスと名の付いたモンスターエクシーズにすることが出来る、現れろ、iCNo.5朦朧龍カオス・キマイラ・ドラゴン! 更に更に、墓地に居るオーバーレイ・イーターの効果だ、ジャッジデビルのカオス・オーバーレイユニットを奪いキマイラ・ドラゴンの物にする」

 

 巫女は取り込まれ赤黒の龍へと変貌を遂げる。

 オリジナルの時点で黒と赤の体色であり目立った変化はないがその瞳には燃え盛るような欲望も殺意も見つけることは出来ない。

 墓地より現れたカメレオンが裁断魔王のカオス・オーバーレイユニットを奪い与え、攻撃力を上げようともその龍は咆哮一つ上げすにいる。

 

「バトルだ、キマイラ・ドラゴン、カエストスでジャッジ・デビルを攻撃、アビス・スープラで、ノーブル・デーモンでDarkknightを攻撃!」

 

 ナッシュの場に攻撃は連打されるもモンスターは破壊されない、だがその余波で発生した衝撃はナッシュの体を打ち据えていく。

 

「そしてバトル・フェイズが終了したこの瞬間、キマイラ・ドラゴンの効果が発動する、俺のライフを半分支払い、俺とお前の墓地からカードを1枚ずつ選んで1枚は持ち主のデッキトップへ、もう1枚はカオス・キマイラ・ドラゴンのカオス・オーバーレイユニットにする。俺様が選ぶのはナッシュ、お前の墓地にあるRUM―七皇の剣と俺様の墓地に存在するRUM―七皇の剣だ」

 

 2つの七皇の絆は墓地より飛び上がると1枚はナッシュのデッキトップへと、もう1枚は偽物のカオスナンバーズへと吸収された。

 

「どうだナッシュ、互いに七皇のき・ず・なが力になるんだぜ。嬉しいだろう! だがそれだけじゃねえ。俺様はもう1枚、カオス・フィールドを発動、キマイラ・ドラゴンのカオス・オーバーレイユニットを使いナッシュのエクストラ・デッキからモンスターを特殊召喚する、さてさて何が出てくるのかなぁ?」

 

 周囲を取り囲むように展開された水晶の空間が崩壊、再構成された。

 次に選ばれたナンバーズを目にし、ドルベは価値を確信したように笑みを浮かべる。

 

「おっと、こりゃまた奇遇だな。お前の最後のナンバーズだ。現れろ、海咬龍シャークドレイク、そしてカオス化、現れろ偽りのナッシュのカード、iCNo.101 S・H・Dark Knight」

 

 海咬龍すらも水晶の中へと幽閉され偽物の暗黒騎士となる。

 貪欲な壺を使ってしまったナッシュはもうナンバーズ達をエクストラデッキへと戻すことが出来なくなりエクストラデッキに眠る最後のナンバーズ、シャーク・ドレイク・バイスも無用の長物と化したと言っても他言ではない。

 

「Darkknightの効果だ、お前のDarkknightをカオス・オーバーレイユニットにする! ダークソウル・ローパー!」

 

「まだだ、俺は手札よりエフェクト・ヴェーラーの効果を使う」

 

「させねえよぅ、俺は墓地から最後のスキル・プリズナーの効果を使う、そのカードの効果は無効だ!」

 

「そうはさせない、俺はスカル・マイスターの効果を発動する、相手が墓地で発動したカード効果をこのカードを墓地に送る事で無効にする!」

 

 繰り返されるカード効果の押収、ベクターのこの一撃を防がないとナッシュには本当に勝ち目が無くなってしまうからだ。

 

「ちっ、俺はこれでターンエンドだ」

 

ベクター場  CNo.106彗星のカエストス ATK2800 (ORU0)

LP375    CNo.102堕光天使ノーブル・デーモン ATK2900 (ORU0)

       CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラ ATK3000 (ORU1)

       iCNo.101 S・H・Dark Knight ATK2800 (ORU0)

       iCNo.5朦朧龍カオス・キマイラ・ドラゴン ATK2000 (ORU2)

手札1    属性重力-アトリビュート・グラビティ

       カオス・フィールド

 

ナッシュ場  CNo.65裁断魔王ジャッジ・デビル ATK1600 (ORU0)

LP3950    CNo.101 S・H・Dark Knight ATK2800 (ORU0)

手札4    

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 引くはRUM-七皇の剣、これでいつでもDarkknightを呼び出せる、なんて事をナッシュは言うことは無く、右手が更に汚染されるのを覚悟で手札よりカードを抜き放つ。

 

「俺は幻魔の扉を発動、貴様の場のモンスターカードに存在する全てのモンスターを破壊し俺は貴様の墓地より」

 

「増殖するGのモンスター効果発動だ!」

 

 扉より放たれる瘴気がベクターの場に存在するモンスター達を食らっていく。

 右手の浸食はこのカードの発動と共に更に強くなりとなりナッシュではなければベクターに支配されているかもしれない。

 そしてナッシュは自分の墓地ではなくベクターの墓地を見てもう一度問題となるカードが無いか確認する。

 一度、前のターンに死者蘇生によって確認はしたが念には念を入れてもう一度確認し、増殖するGを使われた事を考慮し、特殊召喚すべきモンスターを決める。

 

「超電磁タートルを特殊召喚する……ッ!? 何故、アビス・スープラが破壊されていない!」

 

「アビス・スープラはアビス・スプラッシュをカオス・オーバーレイユニットにしているときカード効果では破壊されないんだよ、ざーんねんだったなぁ。ナッシュ、お前の決闘タクティクスは素晴らしかった! 俺の最後の守りの要、超電磁タートルを特殊召喚しこのまま直接攻撃でとどめ! だが! しかしっ! まるで全然っ!! この俺を倒すには程遠いんだよなぁ!」

 

 ナッシュが心を痛めつつも倒したⅣの口調を真似しベクターはナッシュを煽る。

 

「だったら、Darkknightの効果発動、アビス・スープラを」

 

「モンスターカード、エフェクト・ヴェーラーをDarkknightに使う、これでDarkknightの効果は無効だ!」

 

「くっ、俺は運命の宝札を発動させる、出目は」

 

 転がるダイス、そしてそこに表示された出目は、

 

「1打とよ、はっはぁ! ついに運にまで見捨てられたようだなぁ!」

 

「…………っ、まだだ。カードを2枚伏せて、ジャッジデビルとDarkknightを守備表示に変更、そしてターンエンド」

 

ナッシュ場 CNo.65裁断魔王ジャッジ・デビル DEF0 (ORU0)

LP3950   CNo.101 S・H・Dark Knight  DEF1500 (ORU0)

      超電磁タートル DEF1800

手札2   伏せ2

 

ベクター場  CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラ ATK3000 (ORU1)

LP375    属性重力-アトリビュート・グラビティ

手札0    カオス・フィールド   

 

「俺のターンドロー!」

 

「…………ベクター、俺はお前がどんな人間か理解している」

 

 ドローしたポーズをとりカードテキストも見ず、だが望むカードをドローできたという確信を持ちベクターはこれからナッシュをいたぶり続けそして勝ち得るであろうと思い笑みを浮かべていた。

 だがナッシュの意味深な言葉を聞き首を捻る。

 

「何を言っているんだ、お前は?」

 

「俺はずっとと共に戦ってきた七皇の絆を信じている、そしてお前の底はもう見切っていると言う事だ! Darkknightをリリースし水霊術―葵を発動する!」

 

「ちっ」

 

―――そっちか! 読みが甘かったなぁ。

 

 ベクターはナッシュがあえて水霊術―葵を伏せず他のカードを伏せているという可能性を読みドローしたカード、それが今捨てられようとしている。

 それが捨てられてしまえばベクターにはナッシュをたおすことは出来なくなってしまう、だからこそベクターはドン・サウザンドを吸収する事によって得た最強の力、ドローカードを書き換えるという所業に出る。

 ベクターのドローしたカードにカオスが集まっていく、その力はカードテキストを書き換えベクターの望む者へと変貌させる。

 カードを書き換えるという所業を使ってでもベクターは勝利を欲していた。

 

「俺様の底を見切っているだと! いつまでも同じ手ばかり使うお前に言われたくはねえな! 手札にあるのはカウンター罠、超高速。よってこれは墓地に送られる。そして手札より墓地に送られた超高速の効果だ、デッキから1枚ドローする」

 

 額に浮かべた冷や汗をナッシュへと悟らせない様にベクターはワザと大きな声を挙げ馬鹿にする。

 だが超高速を捨てると言う可能性を考慮していたのだろう、対して悔しがるような様子を見せず、

 

「なら俺はドロール&ロックバードを使う、これで貴様はドローできなくなった!」

 

 連続する罠とモンスター効果の応酬、そしてドローされたベクターの手に輝くのは七つの星すらも飲み込まんとする強欲なる男の野望を結晶化させたカードだ。

 

「だからどうしたって! ナッシュ。お前が信じてる七皇の絆なんてみーんな俺様の腹の中だ、そんなもんにしがみ付くなんてお前は最後まで愚かで愚図だなぁ! RUM―千死蛮行を発動! 俺とお前の墓地に存在するランク5、Darkknight2体、ラグナ・インフィニティ、ノーブル・デーモン、アンブラル、カエストス、ジャイアント・ハンドレッド、ついでにクリスタル・ゼロでオーバーレイネットワークを再構築、ダイレクトカオス・エクシーズチェンジィイイイイイイイイイイッ!」

 

 紫、赤、緑、紫、水色、そして海のように澄んだ蒼がモニュメントへと吸い込まれ一頭の巨龍を造り上げていく。

 その龍に貪り尽くされる様に取り込まれてしまったDarkknightを通じてナッシュの体からもバリアン七皇の力が抜けていく。

 

「ぐ、うぉおおおお!」

 

 力と言う力は無くなり、もはやバリアン形態を維持する事すらも出来な程に力を搾り取られナッシュ、いや凌牙は膝を折り苦悶を浮かべる。

 ナッシュのエネルギーをも吸い取ったその龍は赤々と燃えたぎるカオスは紅蓮の体を、オーバーハンドレッド・カオスナンバーズが身につけていた装備品は解け合わされ強固な鎧へと変貌を遂げ、完成した我が身を喜び、そしてまだ足りんと不服の大咆哮をまき散らす。

 

「現れろCNo.5! 混沌なる世界の亡者ども!今、その魂をひとつに溶かし、混濁とした世界に降臨せよ! 亡朧龍カオス・キマイラ・ドラゴン! カオス・オーバーレイユニットの数は8、よって攻撃力8000だぁ! バトルだ、キマイラ・ドラゴンでジャッジ・デビルを攻撃!」

 

 朦朧龍の胸の宝玉より放たれるは虹色の輝き、その光を浴びた裁断魔王は抗う時間すらも与えられることなく爆散する。

 そしてそれだけでは朦朧龍の攻撃は止まらない。

 

「そしてキマイラの効果だ、オーバーレイユニットを使う事でこいつはモンスターに攻撃することが出来る、俺様は偽物のDarkknightを使い超電磁タートルへと攻撃!」

 

 超電磁タートルも光に飲まれ爆散する。

 そして激瀧瀑神が杖を掲げる。

 その杖に集うは大水だ。

 赤黒に染まったその大水に誰も抗うことは出来ない。誰もが押し流され圧殺される膨大な質量、それが凌牙1人を討つために叩き込まれる。

 

「こいつで終わりだ、アビス・スープラで直接攻撃!」

 

「うおぉおおおおおお!」

 

 その一撃は凌牙ごとバリアン城の床をぶち抜き、その下で戦っているだろうアストラル人やバリアン兵をも飲み込み、なおも止まらない。

 城の基礎となる区画をも破壊しその破壊はバリアン城に深刻なダメージを与えた。

 

「跡形もなく消し飛んだか? ……いや、まだ生きてるかっ」

 

 完全に崩壊した床より一本の手が伸びる。

 それは凌牙の手だ。紫色の服はボロボロになっているがなんとか床の一部を掴み、腕の力で這い上がって来た。

 

凌牙LP3950→950

 

「は、力を全て失いそれじゃもうバリアンズ・カオス・ドローも出来ないような絞りカスが、だがそう、そうだ、その姿こそが俺様が見たかったものだ。見ろ! これがバリアン七皇の力全てを取り込んだ俺様の姿だ!」

 

 キマイラ・ドラゴンよりナッシュの力を奪い取りベクターの姿は更に変化してく。

 腕についていた決闘盤は金の矛と紅い盾を融合したような姿へ、ベクターの灰色の髪はそのままに後方へと黒龍の尾の様に幾筋もの房が伸びていく。

 

「俺のライフを半分にする事で貴様と俺様の墓地からカードをそれぞれ1枚選び、1枚をキマイラのオーバーレイユニットに、そしてもう一枚をお前のデッキトップに置く、俺様が選ぶのは時空龍とレフトハンド・シャークだ」

 

 紅と黒紫の体をぴっちりと張り付くような大鎧、そしてその関節部にはカオスのエネルギーラインが走り額には中央にバリアンの紋章が輝き金と赤で彩られた兜が構築される。

 それと同時にカオス・キマイラ・ドラゴンの全身も七皇の力が漲り七色に輝いていく。

 体の各所に存在する七色の宝玉には本物のオーバーハンドレッド・カオス・ナンバーズが収められその輝きは北斗七星よりも眩い輝きを放っていく。

 

「見ろよ、ナッシュ。これが七皇の全てを吸収した俺様の真の、本当の姿だ! 俺はこれでターンエンド」

 

ベクター場  CNo.5朦朧龍 デスキマイラドラゴン ATK8000

LP188    CNo.73激瀧瀑神アビス・スープラ ATK3000 

手札0    属性重力-アトリビュート・グラビティ

       カオス・フィールド

 

ナッシュ→凌牙場 

LP950   

手札1   伏せ1

 

「俺のターンドロー!」

 

 ドローされるは当然レフトハンド・シャーク。ライトハンド・シャークと一緒に居る事によって召喚権を使わずにランク4のモンスターを並べることが出来る素晴らしいカードだ。

 手札にレフトハンド・シャークが来ようとも場にライトハンド・シャークが居れば特殊召喚出来るという性質を持つが、ライトハンド・シャークのレベルは4、そして手札から特殊召喚されたレフトハンド・シャークのレベルは3でありそのままでは噛み合うことは無い。

 それを理解した上でベクターはそのカード達をバウンスしたのだろう。

 

「俺は墓地からライトハンド・シャークを特殊召喚する」

 

「だからどうしたってんだよ、お前がそんな屑カードを呼び出したってそいつらのレベルはあってないじゃねえか、そもそもナンバーズを全てを奪われたお前に何が出来るっていうんだよ!?」

 

 ベクターのいう事は正しいだろう、ベクターのキマイラ・ドラゴンは効果を無効にされれば攻撃力は0になる、だがベクターの墓地には超電磁タートルが存在する。

 更に言えば凌牙は分からないだろうが超電磁タートルを除去しようともアビス・スープラの効果、自分のモンスターが戦闘を行う際、オーバーレイユニットを使う事で相手モンスターの攻撃力を自分の攻撃力に加えるという効果がある、これではいくら攻撃を使用ともベクターのライフを削り切ることは出来ない。

 そしてベクターは最後のカードがドローブーストのカードでは無いと確信していた。

 

―――前のターンで使わないって事はそういうたぐいのカードじゃねえな、あの出目が外れた時点で使う筈だ、そうなるとあのカードはなんだ? また幻魔の扉か? それとも何か別のカード…………。

 

「そう俺がドローしたのはレフトハンド・シャーク、そして伏せられているのはRUM―七皇の剣だ」

 

「だったら」

 

「そして俺はお前の墓地に超電磁タートルが居る事を知っている、墓地にはブレイクスルー・スキルも何もない。だがお前は決定的な過ちを犯した」

 

「過ちだと?」

 

「ただ気に食わない相手へと襲いかかり、奪うばかりの決闘、それがお前だ。どれだけ策を弄したところでドン・サウザンドによって歪んじまったそれからは逃れる事は出来ないのだろう」

 

 憐れむような視線を投げかけ、凌牙は手札にドローしていた最後のカードを使う。

ベクターによって殺され、アビス・スプラッシュによって死にかけていた幼い神代陵牙と璃緒として生きてきたこの人生の全てを、最愛の妹を殺され抱いた凌牙個人としての憎しみと悲しみを込めた最後の一撃を放つ。

 

「これがナッシュとしてお前によって殺され人間世界に転生し神代凌牙として生きてきたその積み重ねの一撃、受けろ! 俺の場にライトハンド・シャークが存在するときこのカードは手札、または墓地から特殊召喚出来る、現れろレフトハンド・シャーク! そしてビッグ・ジョーズを召喚」

 

 最後に現れるは自分が憑依した肉体、神代凌牙が父親から貰ったカード。

 

「俺はレベル3のビッグジョーズとレフトハンド・シャークでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 そして呼び出すは神代陵牙として生きてきた人生で一番召喚回数が多いであろうモンスターエクシーズ。

 

「深き水底から浮上せよ、潜航母艦エアロ・シャーク!」

 

 2体の鮫は渦の底より機械の体を得て光の底より浮上する。

 そして翼より魚雷をベクターへと放った。

 

「お前の墓地に効果ダメージを無効にするカードは存在しなかった、そしてお前の手札は0、これで終わりだ!」

 

 ナッシュが幻魔の扉によって確認したのはベクターの墓地にバーン対策のカードが存在するかだ。

 そしてそれがない事を理解し、Darkknightを使ってでも水霊術―葵を発動したのは超高速を使わすためだ。そして追加ドローをドロール&ロックバードによって阻止する。

 だがそれによって幻魔の扉からワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを特殊召喚される可能性もあった。だが凌牙は分かっていた。

 ベクターは絆という言葉を否定し、バカにしたがり、そして七皇の力を使いナッシュをいたぶって殺しに来るだろうと。

 

「エアロ・シャークの効果発動、オーバーレイユニットを使い除外されているモンスター×100のダメージを相手に与える!」

 

「除外されている、モンスターの数、だと……!」

 

「除外されているモンスターは30体、よって3000ポイントのダメージだ! エアー! トルピードぉおおおおおおおお!」

 

「ば、バカな、七皇の力を全て吸収した俺様が、こんな事で!」

 

 魚雷の先端がパージされそこに居並ぶは30の小型の魚雷。

 それらはベクターへと隙間なく包囲し着弾、大爆発を起こした。

 

ベクターLP188→0

勝者 凌牙

 

                      ●

 

「マジか、私はこいつと戦わないとダメなのか……」

 

 最上はバリアン城の中腹、最上階へと上る階段付近で立ち止まり絶句していた。

 そこに至るまでの道のりは危機もあったがなんとかなるものだった。

 遊馬達と別れバリアン兵を蹴散らす中で、プラネタリーやその村に居たバリアン兵が助太刀に来てバリアン兵とバリアン兵が殴り合ったりするまさに混沌とした戦場、その戦場を頭上より赤と黒の大水が叩き込まれ、あの場に居たほぼ全ての者が流されたり水に巻き込まれ転がって来たバリアン城の破片が直撃したりして皆が散り散りになった。

 その中で最上はなんとか大水から避けることが出来た。

 まだそこまでは良かった。

 決闘する相手が全て流されてしまい、しょうがないから野次馬根性で遊馬達の戦いでも見ようか、と思い、最上階で激戦が繰り広げられその余波で時たま壁の破片が崩落してくるも最上はなんとかバリアン城を上っていき、そこでまた大量のバリアン兵に取り囲まれてしまった。

 それもまだ楽勝だ。何も問題は無い。

 6人同時に相手をしハンデとし手札30枚を要求、ガトリングオーガ、そしてエンド・ルーラーをぶちかまし勝利することが出来た。

 倒しても倒しても無限に湧き出て来る敵に若干うんざりしつつも最上は勝利し続け、そして最上階へと至る階段へとたどり着いた。

 そしてそこで最上はドン・サウザンドと出会った、出会ってしまった。

 赤の体に黒い髪をなびかせその男は立ってこちらを見おろしていた。そして最上が逃げようと踵を返すもその通って来た通路がまるで存在しなかった様に消えてしまっていた。

 逃げる道は無い。そして階段にはドン・サウザンドが決闘盤を向け立っている。

 

「さあ逃げ場はない、我と決闘しろ」

 

「…………」

 

 最上は黙っていた。 

 内心では焦りまくりどうしようかと考え続けるも助けなど来るわけが無く、最上は誰も自分を助けに来ない事を恨みながら決闘盤を構えるしかない。

 

―――ラスボスが私になんの用事だって言うんだ! 私に用事なんて……あ、あれかアポクリファの力か!

 

 思い出すのはアポクリファに勝利し自分の体に流れ込んできたアポクリファの力だ。だがそれらはバリアン世界から人間世界へと移動したときに無くなっていた筈だと思い最上は口を開く。

 

「アポクリファの力が欲しいんだろ。こんな用済みの力なんてくれてやる!」

 

 最上はアポクリファの力が宿っていた腕輪を放り投げる、だがドン・サウザンドは微動だにしない。

 

―――違うのか、だったらこいつのデッキか?

 

 最上はアポクリファの使っていたクリフォートデッキをドン・サウザンドへと投げつけ、そのカードはドン・サウザンドの体に吸い込まれていく。

 だがドン・サウザンドは動かない。

 

「なんだっていうんだよ、私にはもう用事は無い筈だ!」

 

「そうかもしれん、だが我は暇なのだ。ベクターが敗北しようが勝利しようがどうでもよい、最終的に我が勝利するためにあらゆる可能性は消去する、その為にここに来た」

 

 ドン・サウザンドは一歩、最上へと階段を下がる。

 

「その魂の髄までに刻み込まれた自己愛を持つ少女が我に何を齎すのかは分からんがその身に宿る力全てを我が取り込ましてもらう」

 

 ドン・サウザンドが更に一歩下がる。

 もはや諦めて決闘するしかない、そう最上は諦め決闘盤を構える。

 デッキに装填するは羽箒、サンダーボルト、押収、そしてガトリング・オーガ等のぶっ壊れにも程があるようなカードと禁止カード満載のまさにわたしがかんがえたさいきょうでっき、だ。

 飛行船の中で見つけた観賞用のカードなのだろうかそれとも遊馬の父親辺りがカードコレクター精神でも持っていたのだろうか、それは分からないが禁止カードの棚より最上はそれらのカードを拝借した。

 もはや仁義も、最低限の礼儀も、暗黙の了解も無視し、最上はただ自分が生き残るためだけに誰からも禁止された最強のデッキを使う。

 

「取り込まれてたまるかよ、更地になりやがれ!」

 

 最上は決闘盤を構え、ドン・サウザンドと共に叫んだ。

 

「「決闘!」」


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