クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

77 / 104
究極の銀河決戦 下

カイト場  ギャラクシーアイズ・FA・フォトン・ドラゴン ATK4000(ORU1)

LP1300 

手札0   

 

ミザエル場  

LP2300    

手札1     竜魂の城

 

「私のターンドロー! 私は死者蘇生を発動、私の墓地のレッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンを特殊召喚、更にレッドアイズの効果で墓地より甦れ、時空龍!」

 

 龍の呼び声が銀河に響き渡る。

 それに釣られこの決闘における何度目かの復活を遂げた三頭龍の口腔にエネルギーを凝縮させていく。

 さきほど破壊された事に対する意趣返しのつもりなのだろう、収束するエネルギーは通常よりも強く、輝きを増していく。

 

「バトルだ、時空龍でギャラクシーアイズを攻撃! アルティメット・タキオン・スパイラル!」

 

CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 VS ギャラクシーアイズ・FA・フォトン・ドラゴン ATK4000

破壊→ギャラクシーアイズ・FA・フォトン・ドラゴン

カイトLP1300→800

 

 上空より叩き込まれた光線は強固な装甲を溶断、竜の体を貫通し月に更なるダメージを与えていく。

 月の表面は無数の罅が走りいつ崩壊が始まってもおかしくない状況だ。

 そのような凄まじい戦場と化した月の表面だが、石柱は罅一つなく平然と立ち、2頭の龍が放つエネルギーを吸収し続けている。

 カイトの龍が破壊され爆炎がカイトを襲いかかり白いコートを焦がしていく。

 その爆炎を切り裂き闇鋼竜がカイトの前に降り立ち、その口に滾る炎球を叩き込もうとする。

 

「そしてレッドアイズで直接攻撃!」

 

「まだだ、俺は墓地のフォトン・スペクターのモンスター効果を使う、このカードを除外し墓地のフォトンモンスターの攻撃力を1000ポイント下げ効果を無効にし特殊召喚する、俺の場に現れろ、超銀河眼の光子龍!」

 

 カイトの窮地を救ったのは墓地より亡霊に招かれ迷い出た光子龍だ。

 攻撃力は下がりながらも闇鋼龍よりも上であり1睨みするだけで闇鋼龍はミザエルの場に戻った。

 

「……あのとき墓地に送ったカードか、攻撃を中止、メイン2に入る。私はカードを伏せてターンエンドだ」

 

ミザエル場  レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン ATK2800

LP2300    CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 

手札0     竜魂の城

        伏せ1

 

カイト場  超銀河眼の光子龍ATK3500 (ORU0)

LP800 

手札0   

 

                       ●

 

「さあ、口を開け」

 

 ハルトはマイクを口元に持ってきていた。

 無論、ハルトの意思ではなくドン・サウザンドが無理矢理やらせたものである。

 必死で抗おうとも力を籠めようとも、どれだけ祈り願ってもマイクは口元によって来る。

 既に電源は入っておりハルトの息遣いはカイトへと聞こえているだろう。

 

「カイト、何を遊んでいる? 次で目覚めさせ早く終わらせろ。そうでなければ」

 

 ドン・サウザンドはカイトへと囁くように言い放ち、そして1本、砕く。

 ハルトは口から出かかった苦悶の声を必死で堪えようとする。ここでまた兄に自分の声を聴かせてしまっては敵の思うつぼだ。

 そう理解はしている。だが、抑えきれるものではない。

 

「ギっ! ぅううっ…………」

 

「ハルト!」

 

 2本、3本と何度もドン・サウザンドによって行われた光景が繰り返されハルトの小さな口からは悲鳴が漏れる。

 それで満足しないのか、ドン・サウザンドはハルトにだけ聞こえるように呟く。

 

「声を挙げろと言ったではないか」

 

 言葉と同時、2本同時にきた。

 こちらの心を折り砕き、徹底的に従わせようとするその行動、理不尽で残虐な行動がハルトを襲う。

 痛みより息を荒くし、しかしドン・サウザンドによって止められているため視界は涙でぼやけはしない。だがハルトは心の中で涙を流していた。

 自分を責め、ドン・サウザンドをなんとかして消し去り、兄の重荷から逃れたいと彼は心の内で叫ぶ。

 息遣いだけで何が起こっているのかカイトは分かるのだろう、冷たく決意に満ちた声で、

 

「ハルト……待っていろ、俺が必ず助けてやる」

 

 そう、それでいい。とドン・サウザンドはつまらなそうに呟く、そして最後にハルトの悲鳴を上げさせようと片手を挙げさせる。

 ハルトの目は恐怖と痛みから逃れたいという感情で頭の中がいっぱいになりかける。

痛みより逃れたい、その一心だけがハルトの心を覆い尽くす。

 しかし同時にこうも思っていた。

 このままでは兄が負けてしまうと、このままでは何も目覚めさせられず兄が敗北するとハルトは直感していた。

 それは長い間、バリアンの力を用いてアストラル世界を攻撃する合間にアストラル世界を見続けてきたハルトだからこそ分かる事なのだろう。

 今の兄は自分が考え決断し、それを何としてもやり遂げるという精神を持っていないのだ。どうする事も出来ず抗う事も出来ない強大な力に屈服している兄に崇高なる竜皇は力を貸さないだろうと分かっていた。

 故にハルトは決意を固めた。

 腕があらぬ方向に曲がり始め、筋肉の一筋一筋を丁寧に千切られ痛みがずるりと這い上がって来る。

 普段のハルトならばのたうち回り叫ぶ激痛だ。

 だが口から出たのは強い意志を持つ言葉だ。

 

「ッ、兄さん、僕が何とかするから、僕が自分で何とかするから兄さんは、兄さんはいつもの兄さんに戻ってよ!」

 

 腕の破壊は更に広がり痛みは更に強く蝕む。

 大人でも泣き叫ぶような痛みだがハルトは驚くほど強固な意志で叫びたくなる感情を押し殺し叫ぶ。

 

「いつもの暖かくて、だけど怖い顔をするし皆にはぶっきらぼうだけど仲間思いでッ、決闘の時、楽しそうに決闘する兄さんに戻ってよ!」

 

 ハルトの叫ぶ、それを祝福するように2頭の銀河眼が咆哮する。

 他人を思いやり支え合い、しかし寄りかからず自分の意思で立ち自分の思い描く未来へと進もうとする少年に竜皇は応えた。

 ハルトの体を蒼い光が包んでいく。

 それは優しくいたわる様に、そして強要する邪悪なる者を蒼い光が打ち払い始める。

 

「こ、こんな、こんなの兄さんじゃない! 決闘中なのに怖い顔ばっかりする兄さんなんて嫌いだ!」

 

「嫌っ!?」

 

 ドン・サウザンドは徐々にハルトよりその存在を引き抜かれていく、ショックをうけたような声を挙げるカイトを置き、オービタルが動き出す。

 

「今でアリマス、かっとビングだ、オイラ!!」

 

 オービタルはドン・サウザンドの注意がハルトに向いた瞬間を見逃さない。

 非常用のパネルより配線を引き出し自分へと接続、そしてハルトを抱えこむと正面に広がるガラスをぶち破り宇宙へと身を躍らせた。

 

「なっ!? 貴様ぁ!」

 

 ドン・サウザンドが残った力を使いオービタル7の動力源たるバリアライトへとバリアンの力を流し込み破壊しようとする。

 だが、

 

「何故!?」

 

 オービタルの体より暴走するエネルギーは漏れない、代わりに背後のロケットより火の手が上がる。

 オービタルの体に繋がれたケーブルを伝いロケットへと流れ込んだエネルギーが暴走を始めたのだ。

 

「だがまだ我の計画は」

 

 月へと視線を移しハルトの体よりはじき出されたドン・サウザンドが見たのは黄金の三頭龍、乳白色の神影龍、赤く輝く光子龍、そしてその3体の後ろに並び立つ黒と蒼く輝く竜皇だ。

 それぞれの龍達は口腔に力を蓄え、声を挙げる暇さえ与えずドン・サウザンドへと叩き込んだ。

 銀河さえも割断するほどの5光は地球にいる人々の目にも確認できるほどの眩い光となり敵を消滅させた。

 

                      ●

 

「兄さん!」

 

 カイトは自分の腕の中に飛び込んで来たハルトを受け止める。

 そしてよく頑張ったと声をかけ、労り、頭を撫でる。

 

「カイト、これで私たちの戦いの邪魔をするものは居なくなった、究極のドラゴン使いを決める決闘を今、始めるぞ!」

 

「ああ、今まですまなかった、ミザエル、そして光子竜。だが俺ももう迷わない、俺のデッキと光子竜が最強だと証明する!」

 

 2頭の龍が互いに自らが最強だと吠え叫ぶ中、決闘が再開される。

 

「俺のターンドロー、俺は墓地のフォトンモンスター、ギャラクシーアイズ・FA・フォトン・ドラゴン、フォトン・リザードを除外しフォトン・サブリメーションを発動、デッキより2枚ドローする、更にエクシーズ・トレジャーを発動、場にはモンスターエクシーズが2体、よって2枚ドローする」

 

 カイトは今、ドローしたカードを見、ハルトへと見せる。

 ハルトはそのドローしたカードを見て顔を輝かし、兄の横に並ぶと共に叫んだ。

 

「「魔法カード未来への思いを発動!」」

 

 墓地より湧き上がるは皆の未来への願いを託した星の輝き、そして吹き上がるは光を纏う3体のモンスターだ。

 

「「このカードは墓地のレベルが違うモンスターを3体を攻撃力を0にし効果を無効にして特殊召喚する、現れろ、銀河眼の光子竜、クリフォトン、銀河魔導師! そして魔法カード、ギャラクシー・クイーンズ・ライトを発動、俺の場のモンスターのレベルを8にする!」」

 

「レベル8が3体、いったい何が…………いや、この輝きは!」

 

 ミザエルも時空龍が警戒するように吼えるのを見て、何が現れるのかを悟った。

 先程のドン・サウザンドを消滅させた光は5本、一際強力な一撃を放った竜皇が、ヌメロン・コードに深く関係する最後のナンバーズが今、月で誕生しようとしている。

 月が感極まり打ち震える様に地響きが連続していき、月の中心より光が水の様に吹き上がっていく。

 

「ダークマターが光の裏に潜む闇だとすればこのカードは光、崇高なる竜皇だ! 俺はレベル8となった銀河魔導師と銀河眼の光子竜でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚」

 

 カイトの手に現れた細い剣、カイトは石柱を駆けあがりコロッセオの中心へと投げ入れる。

 石柱より光が放出され、2体のモンスターを飲み込んだ渦が眩い光に飲まれていき、銀河眼の光子竜が銀河の光に飲まれていく。

 他の願いを受け止め、力と成しその体は更なる力を手に入れる。

 緑色の宝玉を散りばめた力の結晶が、その願いと希望を散りばめた竜皇が今、巨大な翼を広げこの世界に誕生する。

 

「現れろ! 銀河究極龍、No.62! 宇宙にさまよう光と闇。その狭間に眠りし哀しきドラゴン達よ。その力を集わせ真実の扉を開け! 銀河眼(ギャラクシーアイズ・)の光子竜皇(プライム・フォトン・ドラゴン)!」

 

 産声を上げる竜皇、その呼び声は宇宙を揺らしビッグバンを巻き起こしていく。

 眩い光に照らされた宇宙の中、竜皇が光を集め始める。

 

「俺は更にエクシーズ・トレジャーを発動、デッキより3枚ドローする…………バトルだ、光子竜皇(プライム・フォトン)で時空龍を攻撃! この瞬間、光子竜皇の効果発動、オーバーレイユニットを使い場に存在するランクの合計×200ポイント攻撃力を上げる! 場のランクの合計は25、よって攻撃力は5000ポイントアップする!」

 

 全ての光を飲み込んだ竜皇が七つの宝玉を煌めかせ莫大な光量を体より放ち、全てを溶断する閃撃が放たれる。

 

「!? させる物か、勝つのは私の時空龍だ! 速攻魔法、禁じられた聖杯を発動、貴様の銀河眼の効果を無効にする!」

 

「何!?」

 

 膨大な熱量を孕んだ閃撃は光子竜皇と時空龍との間にぶちまけられた聖杯によって光子竜皇の閃撃が拡散させられていく。

 絶対的な破壊力を持つ光は拡散しある程度の物ならば破壊できるだけの威力となった。だがそれでは時空龍の光線に僅かに及ばない。

 

No.62銀河眼の光子竜皇ATK4400 VS CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500

破壊→No.62銀河眼の光子竜皇

カイトLP800→700

 

 閃撃を穿ち、光子竜皇に叩き込まれた一撃が光子竜皇を光へと変える。

 だがカイトはまだ未来を諦めたりなどしない。

 

「だがこの瞬間、光子竜皇の効果発動!」

 

 残ったオーバーレイユニットに集い光の破片は宇宙へと昇っていき姿を消す。

 幻想的で美しい光に見られながらもカイトが言った言葉をミザエルは戸惑いと警戒を隠せない。

 

「なんだと!?」

 

「光子龍皇は俺を勝利へ導くために未来へ跳んだ、あとは俺がその未来をつかみ取るだけだ、光子龍を守備表示に変更し、俺はモンスターをセットしカードを伏せてターンエンド」

 

カイト場  超銀河眼の光子龍 DEF3000

LP700   セットモンスター

手札1   クリフォトン DEF200

      伏せ1

 

ミザエル場  レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン ATK2800

LP2300    CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 

手札0     竜魂の城

 

「私のターン、ドロー! 私はエクシーズ・トレジャーを発動、デッキより2枚ドローする、そして私は龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)を発動、墓地の青目3体を除外し現れろ究極にして最古の三頭竜、青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン)

 

 墓地に眠る3体の白き龍、それらが鏡に飲み込まれ最古の究極融合体へと進化する。

 鏡より放たれる白き光より現れるのは3つ首の白き龍だ。

 それだけでミザエルの行動は止まらない。

 

「更にレッドアイズの効果発動、私の墓地より聖刻龍―ドラゴンヌートを特殊召喚、そして蒼眼の銀龍を除外し竜魂の城をドラゴンヌートを対象に発動、更にカード効果の対象になったヌートの効果発動、墓地よりラブラドライドラゴンを特殊召喚」

 

 カイトの布陣を崩すべく、ミザエルが龍達を呼び出していく。

 

「レベル4のドラゴン族、聖刻龍―ドラゴンヌートにレベル6のラブラドライドラゴンをチューニング! ドラゴンの呼び声は新たな暴虐なドラゴンを呼び覚ます、紅蓮を纏い敵味方もろとも全てを砕け! シンクロ召喚、レベル10、トライデント・ドラギオン!」

 

 星と輪が並び、吹き上がるは紅蓮、全てを燃やし尽くし決して消えない龍の炎だ。

 その焔は竜達の眠る城へと燃え広がっていく。

 城が紅蓮に包まれ、その龍達の亡骸と魂、そして白の残骸より現れる真紅の巨龍、三つ首をそれぞれ動かし獲物を見定め、龍は炎をまき散らしながら咆哮する

 

「ドラギオンの効果発動、私の場にある竜魂の城を破壊し2回の攻撃を可能にする、更に破壊された竜魂の城の効果、除外されているドラゴン族モンスターの蒼眼の銀龍を特殊召喚し私の場のドラゴン族に加護を与える!」

 

 カイトへと向かっていくドラギオンの後に残された城の残骸より銀の粒子が噴出する。それは仲間達へと加護を与える銀龍の力だ。

 砕かれず(破壊されず)選ばれない(触れられない)加護を得たシンクロ、融合、エクシーズ、3つの龍の最強レベルの一撃がカイトへと放たれる。

 

「バトルだ、トライデント・ドラギオンでセットモンスターを攻撃!」

 

トライデント・ドラギオン ATK3000 VS 銀河魔鏡師 DEF800

破壊→銀河魔鏡師

 

「セットされていた銀河魔鏡師のリバース効果発動、俺の墓地のギャラクシーと名のついたカードの枚数×500ポイントライフを回復する! 俺の墓地には4体のギャラクシーモンスター、よって俺のライフは2000ポイント回復する!

 

カイトLP700→2700

 

「そして銀河魔鏡師が墓地に送られた時、デッキ、または墓地からレベル4以下のギャラクシーモンスターをセットできる、俺はデッキの銀河魔鏡師をセットする」

 

「ならば私は蒼眼の銀龍で攻撃!」

 

蒼眼の銀龍 ATK2500 VS 銀河魔鏡師 DEF800

破壊→銀河魔鏡師

 

「銀河鏡面士の効果発動、俺のライフを更に2500ポイント回復する!」

 

カイトLP2700→5200

 

「だがその銀河魔鏡師は墓地に送られず除外される、よって次は無い! レッドアイズでクリフォトンを攻撃! そして私の銀河眼でカイトの銀河眼を攻撃! アルティメット・タキオン・スパイラル!」

 

 2体のモンスターは爆炎と光線により爆散する、これでカイトの場に残るカードは伏せカードのみだ。

 

「そして青眼の究極竜で直接攻撃!」

 

「永続罠、デステニー・ブレイクを発動! 相手の直接攻撃宣言時、デッキより1枚ドローしそのカードがモンスターカードならば攻撃を、無効にできる、モンスター以外ならば攻撃を無効にできない」

 

「ほう、デッキに全てを託すか」

 

 息を吐き、カイトは思いっきりカードを引き抜く。

 

「ドロー!」

 

 カードを見、そしてミザエルへと見せる。

 

「ドローしたのはモンスターカード、銀河騎士だ。よって攻撃は中止される」

 

 究極竜が吐き出した滅びの息吹を戦士が受け止める。

 ミザエルは落胆した様子を見せず

 

「私は更に私はトライデント・ドラギオンで直接攻撃だ!」

 

「俺はもう一度、デステニーブレイクの効果発動、デッキからカードをドロー!」

 

 カイトはカードを見る。

 

「ドローしたのは魔法カード、異次元からの埋葬、モンスター以外のカードをドローした場合、そのカードは墓地に送られる!」

 

「トライデント・ドラギオンで直接攻撃だ!」

 

「くぅうううううっ!」

 

 守るべきハルトを自分の背に画しカイトは自分の体を盾にハルトを守る。

 紅蓮の炎はカイトの体を容赦なく焼き、その肉を焦がしていく。

 

カイトLP5200→2200

 

「私はカードを伏せこれでターンエンドだ」

 

「この瞬間、デステニーブレイクのもう1つの効果が発動する、バトルフェイズ終了時、このカードは破壊されこのカードの効果によってドローしたモンスターを特殊召喚する!」

 

ミザエル場  レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン ATK2800

LP2300    CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 

手札0     蒼眼の銀龍 ATK2500

        トライデント・ドラギオン ATK3000

        青眼の究極竜 ATK4500

        伏せ1

 

カイト場   銀河騎士 ATK2800

LP2200

手札1 

 

「俺のターンドロー! っ、俺は絶望の宝札を発動、俺のデッキから3枚を選択し手札に加え他のカードを全て墓地に送る」

 

「なんだと!? 凄まじいカードだな、だが私がこのターンを凌げば、いやそれほど甘くはないか」

 

 ミザエルはカイトの顔からカイトにまだ策がある事を理解し警戒を強める。そしてカイトは全てを終わらせるべく動く。

 

「俺が手札に加えるのはサイクロン、オネスト、銀河再誕だ、そしてサイクロンを発動、ミザエルの伏せカードを破壊する!」

 

「甘い、私は蒼眼の銀龍をリリースし神秘の中華鍋を発動、守備力分ライフを回復する!」

 

ミザエルLP2300→5300

 

 これでカイトがオネストを発動してもミザエルの敗北は無くなった。

 計算外のカードの発動にカイトは苦悩の色を示す。

 カイトの計算ではガードローなどの他のカードで逃れようともフェルグラントなどを用いてオネストの一撃で終わらせようとしていた、だがその計算は狂い、カイトはこのターンを適当なモンスターを攻撃し次のターンにオネストを残すか、それともこのまま攻めるか悩み、そして決めた。

 

「俺は速攻魔法、銀河再臨を発動、俺の墓地に居るギャラクシーモンスター、銀河眼の光子竜を特殊召喚する、そしてレベル8のモンスター3体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚、現れろ、超銀河眼の光子龍! そして光子竜のエクシーズ素材にしてエクシーズ召喚を成功したとき、全ての場の表側カードの効果を無効にする!フォトン・ハウリング!」

 

 光子龍の咆哮は全てを無効化していく。

 そして僅かでもダメージを与えるべくカイトは光子龍に指示を送る。

 

「そしてバトルだ、光子龍でレッドアイズを攻撃! アルティメット・フォトン・ストリーム!」

 

 光子龍と闇鋼龍が宇宙で激突する。

 体重の軽い闇鋼龍はヒット&ウェイで首などの柔らかい部位を狙い攻撃を重ねていくが光子龍はものともせず、後頭部を切り裂こうとした手足を掴み、月の表面に叩きつけ3つ首より光の渦を叩き込んだ。

 

超銀河眼の光子龍 ATK4500 VS レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン ATK2800

破壊→レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン

ミザエルLP5300→3600

 

「俺はこれでターンエンド」

 

カイト場   超銀河眼の光子龍 ATK4500 (ORU3)

LP1800   

手札1    

 

ミザエル場  CNo107超銀河眼の時空龍 ATK4500

LP3600   トライデント・ドラギオン ATK3000

手札0    青眼の究極竜 ATK4500

 

「私のターンドロー! ドラギオンをリリースしアドバンスドローを発動、デッキより2枚ドロー! 更にエクシーズ・トレジャーを発動、デッキより2枚ドローする!」

 

 ドローしたカードに目を落とし、ミザエルはカイトを見る。

 

―――あれぐらいで諦める男ではない、なにか必ずデッキ切れを回避する策が在る筈、あの伏せカードが何かが問題だな。

 

 手札にあるのは必殺とも呼べるカード、だがこの状況ではあまり来てほしくないカードだ。だがミザエルは相手を信じる。

 デッキ切れを防ぐ何らかの策をカイトが持っている事を、

 

「バトルだ、究極竜で光子龍を攻撃!」

 

「っ、まさか…………俺は手札からオネストを発動!」

 

 莫大な光量の翼が究極竜の背に生まれ光子龍の放つ光は爆発的に膨れ上がる。

 普通ならば勝利を確信してもいいカード効果だ、だがカイトの表情は悪い。

 

「そう、カイト、貴様が予想している私がドローしたカードは、カウンター罠、タキオン・トランス・ミグレイションだ!」

 

 カイトの手にオネストというカードは存在しなかった。

 そう未来は改変され、2頭の龍と竜が放つ息吹が中心で膨れ上がり2頭のドラゴンを巻き込み、銀河を焼く。

 

青眼の究極竜 ATK4500 VS 超銀河眼の光子龍 ATK4500 

破壊→青眼の究極竜 超銀河眼の光子龍

 

「時空龍で直接攻撃!」

 

「させるか、俺は墓地からフォトン・スペクターのモンスター効果を使う、俺の墓地から光子龍を呼び戻す!」

 

「だが攻撃続行だ!」

 

 時空龍の放つ砲撃、それに光子龍は飲み込まれる。

 そしてその龍は己の身を守らず、主とその肉親を守るために体と翼を広げ砲撃を受け止める。

 

CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 VS 超銀河眼の光子龍 ATK3500

カイトLP1800→800

 

「そして私は速攻魔法、時空浄化(タキオン・リフレッシュ)を発動、私の場のモンスターを除外しフィールドに戻す! 特殊召喚されたモンスターは攻撃可能、もう一度攻撃だ!」

 

「まだだ、俺は速攻魔法、禁じられた聖衣を時空龍に発動、攻撃力を600ポイントダウンさせる!」

 

 一度、異次元に姿を消した時空龍が出現し、再び砲撃を叩き込んでくる。

 

CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK3900 VS 超銀河眼の光子龍 ATK3500

カイトLP800→400

 

 光子龍がすでにボロボロになった翼と体をもう一度広げる。

 聖衣が時空龍の一撃を僅かに遮断するもその砲撃の威力は凄まじく月の表面を削り轍を作り上げてく。

 ハルトを全力で守ったカイトと光子龍は膝を突き、荒く息を吐くもその瞳にはまだ勝利への執念と未来への希望が燃えている。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

ミザエル場  CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 

LP3600    

手札0     伏せ1

 

カイト場   超銀河眼の光子龍 ATK3500

LP400    

手札0    

 

 

「俺のターン、ドロー前にセメタリー・リバウンドの効果発動する、このカードがカード効果によって墓地に送られた次のターンにデッキの上に戻す」

 

「なるほど、それが貴様の策か」

 

 強制的にではあるがデッキトップに戻るセメタリー・バウンド、カイトはこれを使いデッキ切れを免れようとしていた、だが今回ばかりは裏目に出た。

 このままドローしていればオネストを引く事が出来、勝敗が決まっていたかもしれないのだ。

 だがそのような事を気にする局面ではないのだ。

 

「そう、そして俺のターンドロー! そしてスタンバイフェイズ、今こそ蘇れ、未来を操る光の化身! No.62!」

 

 カイト達の上、銀河よりオーバーレイユニットの光が流星の様に煌めきながら月に着弾した。

 銀河の光を吸収した光子竜皇がオーバーレイユニットを中心に再構築されていく。

 誕生したよりもはるかに膨大な光、それはまるで超新星の輝きだ。

 ミザエルはカイトが言った言葉の意味を理解した。

 

「未来か、だがカイト、そのモンスターにオーバーレイユニットは無い、それでは私の時空龍を突破することは出来ない!」

 

「それはどうかな、光子竜皇は光子竜をオーバーレイユニットにしているときに破壊された時、2ターン目のスタンバイフェイズに特殊召喚され、そして光子龍皇の攻撃力は2倍となる!」

 

「ほう」

 

 莫大な光量を放つ光子竜皇に怯まないミザエルの様子を不審に思ったカイトは僅かに考え、

 

「そして俺はセメタリーリバウンドを発動、このカードは俺の墓地の魔法、罠カードの効果を得る、これで俺の勝ちだ!」

 

「それはどうかなと、言わせてもらうぞカイト! 私はライフを500ポイント支払いオーバー・タキオン・ユニットを発動! タキオンと名の付くモンスターエクシーズのオーバーレイユニットを使う効果を発動する、タイムタイラントッ!」

 

 ミザエルの命を吸い上げた時空龍の場を制圧する咆哮、それと共に広がるは鮮やかな赤色の空間が広がっていく。それは暴君の支配する空間だ。

 それの中では暴君が許可した物以外に己の能力を振るうことは出来ない。

 

「これで終わりだカイト、貴様の光子龍皇も攻撃力も効果を無効にされた事により4000に戻る」

 

 光子竜皇の放っていた莫大な光が消えていく。

 それは希望も望みも絶たれる瞬間のように、蝋燭の火が吹き消される瞬間の様に儚く消え2頭の龍のみが残る

 そしてミザエルは勝ち誇り静かにカイトの目を見る。そしてミザエルは目を驚きの感情で見開いた。

 

「それはどうかな?」

 

 カイトの瞳には勝利への確信があった。

 そしてカイトの足元より小さな光が洩れ雲が吹き上がっていく。

 

「俺は墓地にある銀河眼の雲篭を効果発動、このカードをギャラクシーと名の付くモンスターエクシーズのオーバーレイユニットになる!」

 

 雲に紛れた幼竜が丸くなりオーバーレイユニットとなり光子竜皇の周囲を回り始める。

 それだけではミザエルは怯まない。

 

「だが時空龍の効果ですでに光子竜皇の効果は使えない!」

 

「そうだ、そして墓地より更にそして墓地に存在するオーバーレイ・ブースターの効果を使う。このカードを除外する事で俺の場のオーバーレイユニット1つにつき、攻撃力を500ポイントアップさせる、俺はこの2枚のカードを除外し光子龍皇の攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

「なっ!?」

 

 墓地より射出された4つの赤いブースターが光子竜皇の背に装着されていく。ブースターを得た光子竜皇は銀河へと飛翔していく。

 七つの緑玉より光線を銀河に刻み込み、陽光の中、黄金に輝く三頭龍へと突進する。

 

「バトルだ!光子竜皇で時空龍を攻撃!」

 

 太い腕の膂力をフルに使い時空龍を突きへと殴り倒し光子竜皇が打撃を加えていく。だが時空龍も負けてはいない。

 三つ首より砲撃をばら撒き光子竜皇を遠ざけるのに成功、そして自分が得意な砲撃戦へと持ち込もうとする、それでも光子竜皇は止まらない。

 ブースターより得た加速により砲撃を避けながら銀河を駆け時空龍へと接近していく。

 時空龍は逃れられない事を悟ったのだろう、3つ首より自分が自分のライバルを葬って来た大砲撃をぶち込んだ。

 

「アルティメット・タキオン・スパイラル!」

 

 その大砲撃を光子竜皇は避けない。

 星の表面を破壊できるエネルギーを秘めた一撃の中を突き進んでいく。

 破砕のエネルギーと膨大な熱量をものともせず、背中のブースターが破壊されようとも光子竜皇は前に進み続ける。

 そして抜け出した。

 

「エタニティ・フォトン・ストリーム!」

 

 ゼロ距離、どのような事をしたところで逃れる事も出来ない絶対的な距離で光子竜皇は口を開き、その光閃を放った。

 その一撃は時空龍の分厚い装甲を溶し抉り抜き、そのまま月を貫通し銀河の果てに消えた。

 

No.62銀河眼の光子竜皇 ATK5000 VS  CNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500

破壊→CNo.107超銀河眼の時空龍

ミザエルLP1800→1300

 

 爆散した時空龍を見て、ミザエルは涙を零した。

 

「ああ、私の、負けか」

 

「ああ、俺の勝ちだ! 超銀河眼の光子龍で直接攻撃、アルティメット・フォトン・ストリーム!!」

 

 カイトは何か声をかけようかと悩み、だが決着をつけるべく攻撃を叩き込んだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。