クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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最強の銀河決戦 上

 ミザエルは大気圏を抜け宇宙を移動していた。だが体から放出される黄色の光は弱くか細い物だ。

 それは当然だ、バリアン七皇の力の大半を他の事に使用してしまったが為、今のミザエルは一般決闘者と変わらない力しか持たないのだ。

 それでもミザエルは宇宙を飛ぶ。宿命のライバル、カイトとの決着をつけるために。

 ミザエルが周囲を見れば黒の世界の中、星が無数に美しく光り輝いている。

 それは時空竜(タキオン・ドラゴン)と同じ輝きを放っていて見慣れているものであるが、それでも自分の感性において素晴らしいと思えるものは何度見ても素晴らしいものだ。

 感嘆のため息を吐きながらも月へと目を移せばロケットが見えた。

 ミザエルは子供の様に逸る気持ちを抑えながらも更に速度を上げロケットへと近づく。

 声でもかけるべきかと僅かに考えるミザエル、その耳に時空竜の声が耳に響く。

 何事かとエクストラデッキに目を落とせばエクストラデッキより赤い光が溢れた。

 

「なんだ、これは!?」

 

 ロケットからも同じように竜の雄叫びが響き、青い光が噴出し二つの光は衝突した。

 赤と青、絡み合うように二つの光が宇宙を切り裂き月の表面に着弾する。

 着弾した音はない。ただ月の表面に膨大な砂煙を巻き上げるだけだ。

 そして呆気にとられるミザエルとカイトを置き、砂煙の中より赤と青の光に包まれながら巨大な石柱が月の内部よりせり上がりコロッセオを作りあげた。

 それを見、ミザエルは一目で気が付いた。

 

―――あそこが私達の決戦の場所か、銀河を背景に銀河眼対決をさせるとはここを作った者はなかなかにセンスがあるな。

 

 心の中で制作者を褒め称えつつミザエルは中心部に降り立ちカイトを待つ。

 決闘の余波で粉砕される可能性を考えたのだろう、ロケットは少し離れた場所でとまり宇宙服姿のカイトが降りてくる。

 カイトの姿はいつものセンスの良いコートではなく白く機械が所々に取り付けられた宇宙服だ。

 それを見、ミザエルはため息を吐く。そしてもう一度大きく息を吐き、カイトへと怒鳴る。

 

「カイト、今から私はバリアンズ・スフィア・キューブでフィールドを作り上げる、だが警戒するな!」

 

 ミザエルは自分のバリアン七皇の力の大半をつぎ込んで作り上げたキューブを空へ銀河へと投擲する。

 苦労して作り上げたキューブは簡単に砕け、破片からは膨大な赤紫のカード群が噴出する。

 月すらも覆い尽くし広がったスフィア・フィールドに警戒するように周囲を見回すカイト、それをミザエルは落ち着けと手を広げる。

 

「このスフィア・フィールドの中ならば呼吸ができる筈だ。さあカイト、そのような無粋な宇宙服ではなく私達が初めてであった時の戦装束に着替えろ!」

 

 過去にサルガッソでの決闘で2体の超銀河眼の対決が行われそうになっただけで決闘が一時的に中断しそうになった。

 カイトが着ている宇宙服がどれほどの強度が在ろうとこれから始まる激戦を耐えきれるものではないだろう。

 そうするとバリアン人ならば宇宙服が無かろうともデッキと決闘で敗北さえしなけれ死にはしないが人間であるカイトは危険な状況に陥る。

 いくら超一流の決闘者であるカイトであろうと宇宙服が無ければ宇宙で活動は出来ず死んでしまうかもしれない。そうすれば自動的にミザエルは勝利となるだろう、だがそれは本当の勝利とは言えないのだ

 

「私は貴様と真剣勝負を望む。約束しよう。私はバリアンズ・カオス・ドローを使わずこのデッキと私のドラゴンと銀河眼のみを信じ戦うと。今だけは、バリアン七皇の立場を捨て銀河眼という切り札を愛する一人の決闘者としてここにいる、どちらの銀河眼が至高か、ただそれだけをこの場で決めるために! さあカイト、構えろ!」

 

 宇宙服のヘルメットを脱ぎ、カイトはこちらを悲痛そうな面持ちで見る。

 それも酷く傷ついた様な表情だ。

 ミザエルはそれに見覚えがある。

 

―――見るに堪えない、これほど酷い事が在っただろうかとでも言いたげだな、なんだ、カイトが何故あのような表情を見せる!?

 

 ミザエルはその表情の訳を問い質したかった。だがミザエルの次の言葉を遮る様にカイトが口を開く。

 

「ミザエル、すまない…………フォトン・チェンジ!」

 

 カイトの一言目は謝る言葉だ。そして決意を入れ直す様に、鬼気迫る表情で宇宙服を脱ぎ捨て白いコートを纏った。

 その様子は尋常ではなく、とても会話ができる様子ではない。

 ならば、とミザエルは決闘盤を構える。言葉を使わずとも決闘者ならば互いを理解する方法が一つだけある。

 それは決闘をすることだ。

 水田裕の頭の中が自分の切り札とデッキが素晴らしいとしか考えていない事が理解し共感した事、堺という初老の男が、アンナやロビン、ⅣとⅤが遊馬を思い自分が捨石になる覚悟で助けようと決意していた事をミザエルは決闘を通じて理解することが出来た。

 だからこそカイトの内に秘める何かを理解できるはずだと考え、

 

「さあ行くぞカイト、今こそ、最強の銀河決戦をここに始めよう!」

 

「ああ、行くぞ、ミザエル!」

 

 始まる前、スフィア・フィールドは二つの信念が衝突、二つの力の摩擦で稲妻を作り上げる。

 轟音が炸裂し流星が煌めく宇宙を背に、

 

「「決闘!!」」

 

 2人の叫びが重なった。

 

                     ●

 

「先攻は私か、行くぞカイト! ドロー!」

 

 決闘盤に表示された先攻はミザエルは勢いよくカードをドローする。

 

「私は青き瞳の乙女を召喚。そして乙女を対象に魔法カード、エクシーズ・レセプションを発動、さらに乙女が対象になった事により乙女の効果が発動する!」

 

「俺はその効果にチェーンし、増殖するGのモンスター効果発動、このカードを墓地に送りお前が特殊召喚するたびにデッキから1枚ドローする!」

 

「ほう、だがそのような事では私は止まらん! 私は乙女の効果でデッキより青眼の白龍を特殊召喚する、更にエクシーズ・レセプションの効果で手札より乙女と同じレベルの伝説の白石を特殊召喚する!」

 

 新しく現れる2体のモンスター、そしてカイトは2枚カードをドローする。

 だがミザエルは止まらない。

 

―――いくらでもドローするがいい。だが最後に勝つのは私だ!

 

「私はレベル1の伝説の白石にレベル8、通常モンスター、青眼の白竜をチューニング、シンクロ召喚!」

 

 白き龍の卵が輪と成り銀河へと昇る。

 それへと白い龍が恐れる様子もなく突進、咆哮する。新しき光によって伝説の白龍は更なる進化を遂げていく。

 輪は徐々に九州され白い躰は輝きを増し銀へ、青い瞳は鮮やかな蒼へと変わり太陽の輝きを反射しながらその龍は翼を広げる。

 

「強靱にして無敵! 最強の伝説が新たな力で敵を粉砕する! 降臨せよ! 蒼眼の銀龍! 蒼眼の銀龍、更に墓地に送られた伝説の白石の効果発動、デッキより青眼の白龍を手札に加え銀龍に対象を取るカード効果を受け付けずカード効果で破壊されない! そして青眼の白龍を墓地に送りトレード・インを発動、デッキから2枚ドローする」

 

 ミザエルは手札を見、場に輝く銀の髪の乙女、そして銀龍を見て、

 

「私はカードを4枚伏せてターンエンド」

 

ミザエル場  蒼眼の銀龍 DEF3000

LP4000    青き瞳の乙女 ATK0 

手札0     伏せ4

 

カイト場  

LP4000   

手札7

 

「俺のターンドロー! 魔法カード、フォトン・トレードを発動、手札のフォトンモンスター、銀河眼の光子竜を墓地に送りデッキから2枚ドロー、そして銀河眼の雲篭(ギャラクシーアイズ・クラウドラゴン)を召喚」

 

 カイトの場に現れるのはカイトのエースカード、銀河眼の光子竜を幼くした竜が現れる。

 雲を纏う幼き竜はこちらへと威嚇する様に鳴き、雲と空より降り注ぐ星の光を体へと吸収し始める。

 

「雲篭の効果発動、このカードをリリースし手札、または墓地より銀河眼の光子竜を特殊召喚する!」

 

「来たか!」

 

「輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!光の化身、ここに降臨! 現れろ、銀河眼の光子竜!」

 

 カイトが手にした槍を幼竜へと投擲、吸収され、更に銀河より降り注ぐ光を受けた幼竜は体に銀河の光を蓄える成体竜へと成長する。

 それはミザエルが待ち望んだこの決戦の主役の一体だ。

 

「そして俺は手札から速攻魔法、禁じられた聖杯を青き瞳の乙女に発動!」

 

―――カイトほどの決闘者が乙女の効果を知らないはずは無い、とすれば、

 

「何かを狙っているな、カイト! 私はリバースカードオープン、禁じられた聖槍を乙女に発動、このとき乙女の効果は発動させない」

 

「バトルフェイズ、銀河眼の光子竜で乙女を攻撃! 破滅のフォトン・ストリーム!」

 

 星の光を吸収し銀河眼は口より閃光を放出する。

 それは真っ直ぐに乙女へと伸びる。だが、

 

「ほう、何を狙っているか知らないが私は乙女の効果発動、このカードが攻撃対象になった時、その攻撃を無効にし守備表示になり、デッキ、墓地、手札より青眼の白龍を一体、特殊召喚する、私はデッキに眠る最後の青眼の白龍を特殊召喚する!」

 

 白き乙女の危機を感知し白い体が先攻の前に立ちふさがる。

 相対する同じ攻撃力の龍の咆哮は月を揺らしていく。

 それはまるでこれより起こる戦いの凄まじさを物語る様に強く、強く轟いていく。

 

「さあ、次はどのような動きを見せる?」

 

「メイン2、俺は場の銀河眼とお前の場の白龍を対象にデステニー・オーバーレイを発動!」

 

「デステニー・オーバーレイだと!? なるほど二段構えの策だったか!」

 

 デステニー・オーバーレイは選択したモンスターを素材にしてエクシーズ召喚できる効果の魔法だ。

 カイトはミザエルが青眼の白龍を呼び出させるために対象をとるカードを発動し攻撃したのだ。

 ミザエルの表情は喜び一色、それに対しカイトは無表情だ。

 

「俺はレベル8、ドラゴン族の銀河眼の光子竜と青眼の白龍でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 どこかより遠くミザエルが懐かしいと感じる声が聞こえた。

 それは遠くより響きわたり木霊のように反響する。そして乳白色の龍が現れる。

 

「顕現せよ、No.46! 神影龍ドラッグルーオン!」

 

 陽光に照らされる乳白色の龍、姿は西洋のドラゴンではなく東洋の龍に似た姿だ。

 その姿にミザエルは心奪われる。

 

「美しい。これがあの遺跡でカイトが手に入れたナンバーズ!」

 

「俺はカードを3枚伏せ、ドラッグルーオンのモンスター効果を発動する、オーバーレイユニットを使い3つの効果の中より一つを選択し発動できる、俺が選択するのは、相手のエンドフェイズまでミザエルの場のドラゴン族モンスターはカード効果を発動できない!」

 

 オーバーレイユニットがドラッグルーオンに吸い込まれ、ドラッグルーオンを中心に

八卦が月の表面に刻み込まれる。

 

「なんだと!? なんと強力なモンスター効果なのだ……」

 

 ドラゴンを主軸としエクストラデッキもほぼ全てがドラゴンのミザエルにとってそのカード効果は強烈だ。

 だが手が無い訳では無い。

 

「俺はこれでターン」

 

「待て、私はカイトのエンドフェイズ、永続罠、復活の聖刻印を発動、デッキより聖刻龍―トフェニドラゴンを墓地に送る」

 

「……俺はこれでターンエンドだ」

 

カイト場  No.46神影龍ドラッグルーオン ATK3000(ORU1)

LP4000   

手札1   伏せ2

 

ミザエル場  蒼眼の銀龍 DEF3000

LP4000    青き瞳の乙女 DEF0 

手札0     伏せ2

       復活の聖刻印

 

「私のターンドロー、私は永続罠、復活の聖刻印を墓地に送りマジック・プランターを発動、デッキより2枚ドロー、そして墓地に送られた復活の聖刻印の効果発動、墓地より聖刻モンスター、トフェニドラゴンを特殊召喚する」

 

 銀河を黄金の体、薄白に輝く翼をはためかせ一頭の竜が墓地より復活した。そしてその龍の背に青と金の龍が降りて来る。

 

「そしてトフェニドラゴンをリリースし聖刻龍―シユウドラゴンを特殊召喚する、さらにリリースされた墓地にあるトフェニドラゴンの効果だ、デッキより通常モンスター、レベル6のラブラドライドラゴンを特殊召喚する、更に蒼き瞳の乙女に装備魔法、ワンダー・ワンドを発動、そして乙女の効果だ」

 

 続々とミザエルの場が龍で埋まっていく。

 

「ワンダー・ワンドの効果で乙女とこのカードを墓地に送り2枚ドロー! 良い引きだ。流石は私のデッキだな」

 

 自分のデッキを褒め、ミザエルはカイトを見る。

 真っ直ぐに見つめ、

 

「さてカイト、私の場のドラゴンたちは本来の力を発揮できない、だがドラゴン族でなければどうだ、私はレベル6のシユウドラゴンとラブライトドラゴンでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れろ、セイクリッド・トレミスM7!」

 

 2頭の龍が吸い込まれた渦より現れるは星座の輝きをその身に秘める機械仕掛けの龍だ。

 

「トレミスの効果発動、オーバーレイユニットを使いドラッグルーオンを手札に戻す!」

 

「罠発動、スキル・プリズナー! 対象を取るモンスター効果を無効にする!」

 

 機械竜より放たれる光線は薄い膜で弾かれる。

 ミザエルはそこまで予測していた。お互いに大量の伏せカードがある中でいかに相手の予想を上回るか、それが大事となる。

 

「ならば次の手だ! エクシーズ・トレジャーを発動、場のモンスターエクシーズは3体、よって3枚ドローする! 相手の場に攻撃力2000以上のモンスターが存在するとき手札より限界竜シュバルツシルトを特殊召喚する! そしてレベル8の青眼の白龍と限界竜シュバルツシルトでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 ミザエルは両手を掲げ己が信じ愛するエースの名を叫ぶ。

 2体の龍が吸い込まれた渦の底、紅と蒼の宝石のはめ込まれたモニュメントが昇る。それより溢れるは時空を掌握する竜の意思だ。

 光子竜とは対極となる機械の体、金属と金属がぶつかり合いながらも展開しミザエルの至高の竜が現れる。

 

「宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時をさかのぼり銀河の源より甦れ! 顕現せよ、そして我を勝利へと導け! No.107 銀河眼の時空竜!」

 

「来たか、オーバーハンドレッド・ナンバーズ!」

 

 だがその翼にはいつも見せる輝きは見当たらない。

 神影龍の制するこの場において時空竜も全力を発揮することは出来ないのだ。

 

「銀龍を攻撃表示に変更しバトルだ、時空竜でドラッグ・ルーオンを攻撃!」

 

 バトルステップに入る、だがお互いに動きは無い。

 龍と竜は互いに咆哮しそれに呼応する様に石柱より莫大な光が溢れカイトのエクストラデッキへと流れ込んでいく。

 宇宙へと羽ばたき戦いの場を移した2頭、神影龍の口腔よりは炎が、時空竜の口よりは光が放たれ衝突すする、攻撃力は互角でありこのままでは同時に破壊される。

 そして互いに動きが無いためミザエルがまず動いた。

 

「この瞬間、私は時空竜を対象に永続罠、竜魂の城を発動! 墓地の伝説の白石を除外し攻撃力を700ポイントアップさせる!」

 

「負けるか! 速攻魔法禁じられた聖槍を時空竜に発動! これで」

 

 ミザエルの背後に現れる龍の魂の眠る城より意思と力が時空竜へと譲渡されようとする、それを払う様に黄金の槍が時空竜へと突き刺さった。

 黄金の槍の輝きは譲渡される筈の力を払い去り、攻撃力が僅かに弱まった時空竜の光線が神影龍の炎に押し負け時空竜を直撃、

 

「甘いぞ、カイト、裕からこのカードの存在を知らされていなかったのか?」

 

 する寸前、世界の時は止まる。

 時空竜はモニュメントへと回帰し、それと時を同じくする様に余波で罅が入り始めていた月の表面は元に戻り、砂煙が立つ前の状態へと回帰していく。

 

「私は手札よりカウンター罠、タキオン・トランス・ミグレイションを発動、私が許可するカード以外の効果を無効にしデッキへと戻す!」

 

 両者の一撃が激突する瞬間へと時は回帰し、時空竜は自分に都合のよい未来をつかみ取る。

 黄金の槍はそもそも存在せず城より譲渡が問題なく行われたという未来、その未来より得られる結果は1つだ。

 

「これでドラッグ・ルーオンの攻撃力を時子竜が上回った、やれ! 殲滅のタキオン・スパイラル!」

 

「ぐっ、すまない、ドラッグ・ルーオン……!」

 

No.107 銀河眼の時空竜 ATK3700 VS No.46神影龍ドラッグルーオン ATK3000 

破壊→No.46神影龍ドラッグルーオン 

カイトLP4000→3300

 

「まだ終わらないだろう、カイト、お前の力はこんなものではないはずだ! 更にトレミスで直接攻撃!」

 

 まだ終わらないだろう、ミザエルにその確信はある。

 カイトの持つアストラル世界側の銀河眼のナンバーズ、崇高なる竜皇の力、それが目覚めていないのだ。

 その担い手のカイトがこのような所で負ける筈が無い。

 

「俺は永続罠、リビングデットの呼び声を発動、墓地より甦れドラッグ・ルーオン!」

 

 墓地より再び現れる龍、その姿にミザエルは予想が的中したと笑みを見せ、

 

「ほう、攻撃を中止、ならばRUM―クイック・カオスを発動、私の場の時空竜をカオス化させる! 混沌より生まれしバリアンの力、ナンバーズに宿りて新たな混沌を生み出さん。カオスエクシーズ・チェンジ!」

 

 ミザエルの背後、銀河の光を覆い尽くす様に門が出現し内部より鎖が伸びる。

 その先にある時空竜はモニュメントへと回帰、門の内側より放出されるカオスに飲まれ新しい力を手に入れる。

 黒紫の体は黄金の重厚な輝きを、1つだった体の各部位は3つへ増え、ミザエルのデッキに眠る究極竜を彷彿させる。

 

「顕現せよ、CNo.107! 我が魂に宿りし粒子! 今、光を超えた力となりて時を逆巻け! 超銀河眼の時空龍!」

 

 その龍が姿を現しただけで周囲は歪みスフィア・フィールドと月は悲鳴を上げるように波打っていく。

 だがミザエルが全力を込め作り上げたスフィア・フィールドは崩壊する様子を見せずミザエルは安どの息を吐き、

 

「これで終わりかカイト? バトルだ、時空龍でドラッグルーオンを攻撃! アルティメット・タキオン・スパイラル!」

 

 3つ首より放たれる砲撃は一旦、収束し宇宙を叩き切る大砲撃となって神影龍へとぶち込まれる。

 光も、時空さえも歪めるその砲撃、抗いの意思を見せ炎を吐く神影龍だが直撃すれば再び爆散するだろう。

 じりじりと拮抗している砲撃が近づいてくる。

 だがカイトは、

 

「終わりだと、とんだロマンチストだな」

 

 危機感をまるで感じていないと言う様子で手札に残る最後の一枚を掲げてみせる。

 それと同時に神影龍の背に白い翼が出現する。

 

「ダメージステップ、俺は手札よりオネストを発動! ドラッグルーオンの攻撃力を時空龍の攻撃力分アップさせる!」

 

「私の時空龍の攻撃力をドラッグ・ルーオンが上回っただと!?」

 

「迎撃だ、ドラッグ・ルーオン!」

 

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ATK4500 VS No.46神影龍ドラッグルーオン ATK7500

破壊→CNo.107 超銀河眼の時空龍

ミザエルLP4000→1000

 

 白い光の翼にブーストされ神影龍は迫る砲撃を回避した。

 そのまま銀河を泳ぐように身をくねらせ飛翔し時空龍へと接近していく。時空龍が三つ首より砲撃をばら撒くも月の表面に新たなクレーターを刻むだけだ。

 神影龍は白い翼に後押しされその魂の底より力を振り絞り主を卑劣な男の呪縛より解放するべく突き進み、時空龍の体をぶち抜いた。


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