クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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燃え滾る思い 下

 遊馬達が決闘しているすぐそば、巨大な穴からもそれは起こった。

 赤黒の稲光が空へと上り地上へと降り注ぎ始めたのだ。頭上より叩き込まれる一撃から逃げ惑う最上達、その頭上に赤色の光が収束する。

 誰もが危機感を持ちその場から逃亡を図り、稲光が落ちる。その稲光に1人逃げ遅れた人影が見え小鳥達が悲鳴を上げかける。

 稲光が過ぎ去りその着弾地点にいた人間は形も残らないだろうと誰もが考えたが砂煙がは晴れた場所、そこに響子は無傷でたっていた。

 

「無事だと?」

 

「良い餌だな。みんなこちらに来い、私が守ってやろう」

 

 響子の内にいるリペントが世界を砕く稲光を吸収していく中、轟音が周囲を揺らしその度にバリアン世界へと通じる穴がさらに拡大していく。

 その中でアストラルはアリトの方へ、正確にはオーバーハンドレッドナンバーズへと叫ぶ。

 

「そこにいるのだろ、ドン・サウザンド!」

 

 モンスターより黒い靄が噴出しアリトの後ろで翼のある大男の姿を成す。それはただの力のほんの一部だと言うのに圧倒的な存在感を放ちその男が持つ強大な力絵を感じさせるには十分だった。

 

「久しぶりだな、アストラル、何故我の存在に気づいた?」

 

「サイコロだ、あれは不自然すぎた。だがあれは、まさか貴様は」

 

「ふふふ、そう、我も貴様と同じようにヌメロン・コードの力の一部を手に入れたのだ、我はサイコロの目が3が出たという結果を書き換えたのだ」

 

 黒い大男の存在に若干気圧されていた最上はドヤ顔で言い放った言葉に首を傾げる。

 

「サイコロの目の結果を書き換えたってすげえしょぼいな」

 

「ふっ、今はまだ、な あの浸食が進めば我は更にヌメロン・コードの力を手に入れることが出来る、そうすれば過去も未来も思うが儘だ」

 

「そんな事、させるかよっ!」

 

「ああ、なんとしてもアリトを救いドン・サウザンドの野望を阻止する! 行くぞ遊馬!」

 

「おう、俺のターンドロー!」

 

 遊馬はドローしたカードを見、一瞬だけ考えるがすぐさま考えを切り替える。

 

「俺は墓地のガガガシスター2体、ガガガガールを除外しガガガドローを発動、デッキから2枚ドローする! そしてエクシーズ・リボーンを発動、俺の墓地のホープを特殊召喚する!」

 

 ここまで何も発動させないアリト、それならばと遊馬は今引き当てた一発逆転を引き寄せるカードを発動させる。

 

「俺は大嵐を発動、相手の場の魔法罠カード全てを破壊する!」

 

「く、レクイエムが」

 

破壊→CNo.80葬送覇王レクイエム・イン・バーサーク(装備カード)

 ダメージ・オルトレーション

 バイ=マーセの癇癪

 

「俺はクリボルトの効果発動! 場にあるオーバーレイユニットを使いデッキからクリボルトを特殊召喚する、俺はアリトのリードブローのオーバーレイユニットを使う、更にもう1回発動デッキから最後のクリボルトを特殊召喚する」

 

 オーバーレイユニットを失ったリードブローの攻撃力は3800まで跳ね上がる。だがそれよりも強い攻撃力を叩き出せばいい、そう遊馬は判断し友友達を救うべくドン・サウザンドの呪縛を打ち払うナンバーズを呼び出す。

 

「そしてクリボルト3体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れろ、No.54! 熱き闘志の雄叫びが眠れる魂すらも震わせる!反骨の闘士ライオンハート!」

 

 アリトと関係のあるナンバーズと言われてよくよく目を凝らせば拳一つで相手に立ち向かい赤と黄色の衣装はアリトの持つ熱い思いを現しているようにも見える。

 

「そして俺はエクシーズ・トレジャーを発動、場のモンスターエクシーズは5体、よって5枚ドローする! そしてホープを素材にしてカオス・エクシーズチェンジ! 現れろCNo.39希望皇ホープレイ!」

 

 渦の中より現れる黒の剣士、その背中に背負った大剣を隠し腕が掴み振りかざす。

 

「ホープレイの効果発動、オーバーレイユニットを2つ使ってアリトのカエストスの攻撃力を2000ポイント下げる!」

 

CNo.105BK流星のカエストスATK 2800→800

 

CNo.39希望皇ホープレイ ATK2500→3500

 

「さらにゴゴゴジャイアント、ゴーレム、速攻のかかし、DZW、Vサラマンダーを選択し貪欲な壺を発動、選択したカードをデッキに戻し2枚ドローする。くっ、ZW―阿修羅副腕をホープレイに装備、バトルだ、リードブロー、BKグラスジョーを攻撃! ホーブ剣・阿修羅・スラッシュ!!」

 

「俺は効果で破壊されたグラスジョーの効果発動、BKベイルを手札に加える」

 

 腰の2刀、更に新たに赤黄の明るい装飾の副腕がホープレイに装備され、BK達へと殴りかかる。

 1刀目の斬撃は拘束番兵を易々と両断、そして副腕がグラスジョーの体を拘束する。

 だがグラスジョーは掴まれた瞬間、ガラス細工の様にグラスジョーの体が崩壊しアリトの墓地に吸い込まれる。

 吸い込まれる寸前、グラスジョーがアリトへとカードを投げ渡したのを見、それがアリトの決闘で見た事の無いカードだったためにアストラルは遊馬へと警告を送る。

 

「気をつけろ、遊馬」

 

「おう、だけど、ビビッていられねえ、バトルだ、いっけぇホープレイ、偽物のカエストスをぶった切れ!」

 

CNo.39希望皇ホープレイ ATK4500 VS iCNo.105BK流星のカエストス ATK2800

破壊→iCNo.105BK流星のカエストス

アリトLP3600→1900

 

 赤黒のカエストスへとホープレイは躍りかかる。

 2刀の斬撃を拳によって致命傷だった物を撃ち逸らし一撃を入れようと試みるが副腕に阻まれる。

 そのまま拘束され動けなくなったカエストスへ頭上より黒い半円を描くように大剣がブチ込まれた。

 爆風はアリトの体を容赦なく打ち付け、だがアリトは痛みすらも愉しいといわんばかりに爛々と眼を光らせ、

 

「だがこの瞬間、BKベイルの効果発動、戦闘ダメージが発生したときこのカードを特殊召喚し戦闘ダメージを回復する!」

 

「ダメージを無かった事にし更にモンスターを展開した!?」

 

「だったらホープレイでベイルを攻撃! そしてこの一撃でアリトを元に戻す! 俺はライオンハートでカエストスを攻撃!」

 

 このターンでアリトのライフを削り切ることは出来ない。いやホープレイの効果を使わなければカエストスにライオンハートで自爆特攻させれば勝敗は決していた。だがそれではアリトを呪縛から救えずギラグから託された願いを砕いてしまう。

 遊馬はそれが出来ず、だが遺跡のナンバーズとオーバーハンドレッドナンバーズとの激突で何かが起こる事を期待しライオンハートを走らせる。

 それを受けたアリトの後ろ、ドン・サウザンドはアリトの墓地にあるカードを勝手に発動させる。

 

「させるか! 我は墓地からBKリベンジ・ガードナーの効果発動、このカードを除外しBKモンスター、カエストスをこのターンの終わりまで除外する!」

 

「く、やはり戦闘破壊を指せないつもりか」

 

「だったらライオンハートで直接攻撃だ、目を覚ませ、アリト!!」

 

 異次元へと逃げるカエストス、それは明らかにドン・サウザンドが二体のナンバーズの接触を忌避する動きだ。

 だが逃れた今の状況で出来る事は少ない。それでも遊馬は今できる事を行う。

 ライオンハートの攻撃力はたったの100、アリトの腹へと吸い込まれた拳が与える衝撃もほとんど無い。

 

アリトLP3600→3500

 

 だが効果はあった。

 アリトの様子が明らかに困惑した物へと、背後のドン・サウザンドが薄くなったのだ。

 

「こ、この記憶は!? うっ、うぉおおおおおおお!?」

 

 自分の中にある矛盾した記憶に、湧き上がるベクターへの憤怒に、困惑したアリトは叫びを上げ、それが急に止まった。遊馬を見たアリトの目は無感情で今までの全てが芝居だったかのように感じられる。

 アストラルは不安に思う遊馬を励ます様に言葉をかけてくる。

 

「遊馬、もう少しだ。あと少しで彼を呪縛から解放できる」

 

「ああ、俺はカードを3枚伏せてターンエンドだ」

 

遊馬場    CNo.39希望皇ホープレイATK3500 (ORU0)

LP875    No.54反骨の闘士ライオンハート ATK100 (ORU3)

手札1    ZW―阿修羅副腕 (装備カード)

       伏せ4

 

アリト場  CNo.105BK流星のカエストス ATK2800 (ORU0)

LP3500 

手札1  

 

 無表情のままアリトの拳に黒いカオス集まっていく。それはギラグと裕との決闘で切り裂かれたバリアンズ・スフィア・フィールドの破片であり、今なお猛烈に噴出するエネルギーだ。

 靄がかかったような思考の底、アリトは頭の中に浮かんできた言葉を声に出す。

 

「呪われし過去が俺の拳を漆黒に染める! 俺が切り開くのは悲しみの闇地獄!! 俺のターンドロォオオオオオッ! レクイエム、ベイル、グラスジョー2体、スイッチヒッターを選択し貪欲な壺を発動、デッキから2枚ドローする!」

 

 引き抜かれし一枚、ギラグのデッキよりアリトが借りた七皇の剣はカオスに飲み込まれ塗り潰され別のカードへと変貌を遂げる。

 

「RUM―千死蛮行を発動、お前の墓地のホープ、俺の墓地のラプソディ、リードブロー2体、セスタス2体でオーバーレイネットワークを再構築、カオス・エクシーズチェンジ! CNo.80葬送覇王レクイエム・イン・バーサーク!」

 

 再び現れる呪われし覇王外装、6つのひし形を煌めかせながら拳へとカオス・オーバーレイユニットを取り込み大地を踏み砕き走り来る。

 

「レクイエムの効果だ、お前の伏せカードを除外しろ!」

 

「罠発動スキル・プリズナー! 今対象になった伏せカードを守る! 更にディメンションUターンを発動、除外されているガガガシスターを守備表示で特殊召喚する!」

 

「本命はライオンハートか、だったらレクイエムの効果発動、お前の最後の伏せを除外しろ!」

 

「罠発動、セッションドロー! 俺のドローフェイズ、通常ドローに加えもう1枚ドローする、そしてドローしたカードが同じレベルのモンスターカードならばそれらのモンスターを使ってエクシーズ召喚できる!」

 

「次のターンか、ならばガガガシスター、ホープレイ、ライオンハートを除外だ!」

 

「くっ、ディメンションUターンのもう一つの効果発動、このカードを除外する事でライオンハートをこのターンの終わりまで除外する」

 

 覇王外装の拳はガガガシスター、ホープレイへと打ち込まれ異次元へと送り込みライオンハートも除外しようとするがライオンハートは自ら異次元へと姿を消した。

 そしてアリトは手札を見、少し考える。

 

―――手札のカードはカイザーコロシアム、そしてBKグラスジョー、ここでカイザーコロシアムを使うべきか、いや、だが相手は遊馬だ。まだ手札がから何かを使うだろうしグラスジョーは召喚せずに持っておこう。

 

「バトルだ、カエストスで直接攻撃」

 

「まだだ、俺は手札からガガガガードナーの効果発動、このカードを特殊召喚する!」

 

「だよな、遊馬だったらこんな所で終わる訳ないもんな、カエストスでガガガガードナーを攻撃!」

 

CNo.105BK流星のカエストス ATK2800 VS ガガガガードナー DEF2000

破壊→ガガガガードナー

 

「カエストスの効果でガガガガードナーの攻撃力の半分、750のダメージだ!」

 

「くっ!」

 

遊馬LP825→75

 

「メイン2、俺は永続魔法カイザー・コロシアムを発動、そしてレクイエムをカエストスの装備カードにする! レクイエム・クロス! 俺はこれでターンエンド」

 

「この瞬間、ライオンハートは俺の場に戻る!」

 

アリト場  CNo.105BK流星のカエストス ATK4800 (ORU0)

LP3500   CNo.80葬送覇王レクイエム・イン・バーサーク(装備カード)

手札1   カイザー・コロシアム

 

遊馬場    No.54反骨の闘士ライオンハート ATK100 (ORU0)

LP75    

手札0    伏せ1

 

 アリトと遊馬の周囲をコロシアムの壁がぐるりと取り囲んでいる。

 このカードがある限り遊馬はライオンハートをどかさない限りモンスターを展開できない。

 セッションドローによってレベルを揃えたとしてもそれらの行為には何も意味を成さない。

 

「俺のターンドロー」

 

 1枚目、モンスターカードだ。

 だがもう一枚モンスターカードを引いても意味を成さない事を理解している遊馬は目を閉じ、そしてしっかりと大地を踏みしめ空へとかっとビングする。

 

「そしてもう1枚ドロー!」

 

 引き抜いたカードを見る。それはモンスターカードではない。だが勝利の方程式が整った。

 

「遊馬、これでアリトを救い出す方程式は整った!」

 

「おう! 行くぜアリト、これが俺と仲間たちのファイナルアタックだ! 俺は墓地のホープレイVを対象にアーマード・エクシーズを発動!」

 

 墓地が展開、そこより赤黒の覇王がせり上がってくる。

 覇王は鎧姿へと分解され王者を打ち倒そうとする闘士の力となっていく。

 その腰に剣はない。肩から拳まで覇王の腕鎧が重ね合わされ、しっかりと大地を踏みしめる為に脚に装甲が追加される。

 

「ライオンハートに墓地のホープレイVを装備させる、そしてライオンハートはホープと同じ攻撃力になる! そして手札からZW―極星神馬聖鎧をホープレイ・ヴィクトリーとして扱うライオン・ハートに装備させる! いくぜ、ライオンハートでカエストスを攻撃!」

 

「迎え撃て! カエストス!」

 

 神馬に跨り闘士は空を駆け王者は戦いから逃げず自慢の拳を打ち鳴らし自分に向かってくる邪魔者を排除にかかる。

 まず第一打、互いに燃え滾る思いを込めた拳を顔面に叩き込んだ。カオスとアストラルエネルギーは干渉し周囲へと衝撃波を齎していく。

 そのエネルギーの大きさは凄まじい物で吹き上がる稲光も空に輝く赤黒も切り裂く物だ。

 周囲へと放たれる影響をかんがえずただひたすらに思いを乗せ2体のモンスターは避け、フェイントを織り交ぜ拳を打ち合う。

 

No.54反骨の闘士ライオンハート ATK3600 VS CNo.105BK流星のカエストス ATK4800

 

「この瞬間、俺はライフを半分支払い、罠カード、魂の一撃を発動!」

 

遊馬LP75→37

 

 連続で打撃を受けるようになってきたライオンハート、そこへ遊馬は最後まで守り抜いた最後の一枚を使う。

 

「そのカードは!」

 

「このカードは俺のライフが半分以下の時発動できる、選択したモンスターの攻撃力は相手のエンドフェイズ時まで、自分のライフのポイントが4000より下回っている数値分アップする、これで攻撃力は!」

 

「カエストスの攻撃力を超えただと!?」

 

No.54反骨の闘士ライオンハート ATK3600→7563 VS CNo.105BK流星のカエストス ATK4800

アリトLP3500→737

 

 神馬の背を蹴り宙へと飛び出した闘士、撃破し操られている本当の持ち主を開放すべく必殺の拳を叩き込む。

 ホープレイVの翼が展開し闘士へと更なる加速を付与し闘士は赤い一筋の槍となって空を割る。

 勢いを殺しきれず地面を抉りながらも撃破したか銅貨振り向き確認する闘士、その顔に拳が叩き込まれた。 

 

「更にレクイエムを墓地に送る事で破壊を免れる!」

 

 覇王外装を囮に自身の破壊を免れた王者の拳だ。

 それをまともに食らった闘士の脚は一歩崩れ落ち賭け、持ち主を救うと言う思いから踏みとどまる。

 

「逃がさない、遊馬!」

 

「おう! アーマード・エクシーズの効果だ!装備されているモンスターを墓地に送る事でもう1度攻撃が出来る!」

 

「なんだとぉおおおおお!?」

 

 闘士を屈服させるべく王者は更なる拳を繰り出す。それを受け止めたのは闘士の腕を覆うホープレイVの副腕だ。

 王者の拳を受け止めその場に繋ぎとめ、そのまま分離し体を取り戻したVは崩れかけている体で王者を羽交い絞めにする。

 神馬が闘士を乗せコロシアムを駆け加速を与え、垂直に放った。

 

「いっけぇ、ライオンハート! カエストスをぶっ倒せ!! ファイナル・ストレート!!」

 

 飛ぶような加速を得、闘士は王者の懐に飛び込み、顎下へと最後の右ストレートをぶち込んだ。

 クリティカルヒットを受け王者はうめき声をあげ、その場に崩れ落ち赤黒の粒子に分解され消えた。

 

No.54反骨の闘士ライオンハート ATK4063 VS CNo.105BK流星のカエストス ATK2800

アリトLP737→0

勝者 遊馬


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