クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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ベクターVSメラグ&ドルベ 下

赤黒の暗黒騎士の姿にドルベとメラグが絶句し、体から怒りを貯め込んでいる中、ベクターは手札を抜く。

 

「俺はダーク・グレファーを召喚、そして手札からヘルウェイ・パトロールを墓地に送りデッキからインフェルニティ・デーモンを墓地に送る」

 

 ドルベはベクターがこれ以上動かないだろうと予想する。

 元より長い間、バリアン世界で互いに腕を磨くために決闘をし続けてきた、その為彼がどのような行動をするのか予測がつく。

 

「さらに俺は魔法カード、テイクオーバー5を発動、デッキから5枚を墓地に、そしてこのカードがある限り俺はデッキからカードを墓地に送れなくなる」

 

 ドルベの知らないカードだ、そしてインフェルニティとの相性は良い。おそらくはこれもドン・サウザンドが作り上げたカードなのだろう

 

―――今回のターンは墓地肥やしのみか、それに墓地に落ちたカードは厄介な物ばかり、となると次のターンから動いてくる。

 

 ドルべが思考をまとめている間にベクターは自信満々の表情を浮かべ、そして手札を2枚だけ残して、

 

「そしてカードを5枚伏せてぇ、ターンエンドだ」

 

ベクター場  iCNo.101 S・H・Dark Knight ATK2800

LP4000   ダークグレファー ATK1700

手札2    伏せ5

 

メラグ・ドルベ場  

LP4000・4000    

手札6・5

 

「ベクター」

 

 手札はすでに6枚ある、その状況でドルベは構えず、まずベクターに話しかける。

 その様子を見、ベクターは鼻で笑いながら、

 

「ん、なんだドルベ? 今さら命乞いか?」

 

「いや、違う」

 

 苦しく何もない日々、ただひたすらにギラグやアリト達と決闘の腕を磨きいつか来るであろう戦いの機会を待っていた。

 だがその中で全く笑わなかった日々はない、悪いものであると言いきれるような記憶はドルベの中にはないからだ。

 その記憶の中でベクターも笑っていた、それも笑顔の裏で自分達の隙を窺っていたと信じたくはないのだ。

 

「何故このような事をした? 我ら七皇の絆を偽りだと切り捨て、我々を餌だとしか見ていないドン・サウザンドと手を組む、それほどまでに力が欲しいのか?」

 

 故にそうまでさせる理由を問う。

 ベクターは虚を突かれたように一瞬だけ目を見開き、視線を動かし何かを思い出すような動きを見せる、そして嗤った。

 

「ああ、そうだ。俺が王になる。気に食わねえものをぶっ潰してぶっ壊して、欲しいものを奪う、俺様はただそのためだけに力を手に入れた。そして絆、結束、なんてくだらねえ言葉を多用するお前らが目障りで仕方ないんだよ、きれい事なんて並べてんじゃねえ!」

 

 感情の高ぶりと共にベクターのカオスのエネルギーは増大していく、だがドルベはそのベクターの顔を見て笑っているようには何故だか見えなかった。

 無表情か何かに怯えるような表情に見えてしまった。

 

「力、ただ力、気に食わねえ連中全てを薙ぎ払える力が欲しい。何も考えず欲望のままに暴れ、壊し、奪う。それがカオスの力を使うバリアン世界に住まう者の本質だ、それなのに絆みたいなつまらねえ事を言う連中が目障りで仕方ねえ」

 

 叫ぶベクター、その様子からは嘘を言っておらず本心のように聞こえる。

 

「だが、決闘は嘘を吐かない、決闘で人は少しだけ分かり合える」

 

 触手に縛られていたナッシュが顔をあげたのがドルベには見える。

 そしてそれらの動きと感情の動きをベクターは呆れたように息を吐き、

 

「何を言っている? お前も遊馬に染められたか?」

 

「そうではない、だが私がそう思ったのだよベクター、私の運は今日、最高のようだ、デッキも力を貸してくれるようだ」

 

 そしてドルベは一つ姑息な手を使う。

 普通ならばしないような手であり、ドルベがベクターに負けられないフリー決闘で勝つ秘策のようなものだ。

 

「今、私の手札にはお前の伏せカードを全て破壊できるカードがある」

 

 ドルベは3枚をベクターに見えるように掲げた。

 

「!? ふっ、クラッシュトークとは、俺に腹芸を挑もうなんて千年早いぜ」

 

「そうだな、お前と腹の探り合いをしたところで私に勝ち目はない。だがなベクター、お前は1つ忘れている。私のターン、ドロー、私はサイクロンを発動、貴様から見て1番左を破壊する」

 

「ちっ」

 

 破壊されるのはスターライト・ロード。更に、

 

「更にサイクロン、貴様の1番左だ!」

 

「な⋯⋯なんだと!?」

 

 続けて破壊されるのは神の宣告だ。

 

「ドルベ、てめえ、何をやった!?」

 

 ベクターは声を荒らげる。

 それはそうだろう、ドルベが破壊したのは彼の伏せカードを守る防予用のカードばかりを的確に自信満々に撃ち抜いたからだ。

 

「ふっ、我々は長い間共にいた、たとえあの日々の中身が偽物であったとしても互いに切磋琢磨してきた決闘は偽物なのではない。貴様は動揺するとほんの1秒にも満たない1瞬だけ頼りになるカードを見る癖がある、そこを突かせて貰った」

 

「くっ、この俺にそんな癖が!?」

 

「さあ、貴様が一瞬だけ確認したのはその2枚だったな、ならば他はこれを妨害できるカードではあるまい、私は大嵐を発動!」

 

「ちくしょう! だが俺はスキル・プリズナーをDark knightに発動する! 確かに俺とお前は何百回と決闘してきた、そして俺はお前のエクストラデッキの中身を把握している、これでお前のデッキのモンスターではこいつを倒せないだろ!」

 

 ドルベは見る。赤黒のナッシュの偽物の切り札を。

 攻撃力は2800、それを超える手段がない訳では無い。だが、

 

―――戦闘破壊をしたら相手のライフを回復させることになる、そしてベクターの使った見覚えの無いカード、そして先ほどのバリアン兵のデッキ、ドン・サウザンドが凄まじい効果を持ったカードを与えている事は間違い無いだろう、つまり長期戦は不利となる。

 

 ドルベは一瞬だけナッシュを追いかける間に話しかけたバリアン兵の事を思いだし、

 

「さあ行くぞベクター、光天使セプターを召喚、そしてセプターの召喚時効果、さらに私の場に光天使モンスターが召喚されたことにより手札の光天使スローネの効果発動」

 

 ドルベの手札より光が溢れる、それを見たベクターは顔を嫌そうに歪ませる、それはそうだろう、今まで積み重ねた決闘においての敗北の原因、通称セプスロが炸裂したからだ。

 手札から何も発動させないベクター、それを見てドルベは、

 

「何もないようならばいくぞ。手札のスローネを特殊召喚しデッキから1枚ドロー、私、引いたのは光天使モンスター、光天使スケール、よって特殊召喚する。更にセプターの効果でデッキから光天使スローネをサーチする!」

 

 あっと言う間にレベル4が3体並ぶ、だがそれだけでは終わらない。

 バリアン七皇のナンバー2の実力はそのような容易い物では留まらないのだ。

 

「さらにスローネが特殊召喚された事により手札のスローネの効果が発動、このカードを特殊召喚しデッキから1枚ドローする、ドローしたのは光天使セプター、よって特殊召喚、更に特殊召喚されたセプターの効果でデッキから3枚目の光天使スローネをサーチする!」

 

 場を埋め尽くす黄色の光を放つ天使達、その中から天秤、玉座、球体型のモンスターがドルベの前に発生した渦へと吸い込まれる。

 

「私はセプター、スローネ、スケールのレベル4、光族モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 渦より漏れ出した黄色の光が全てを塗り潰す。

 渦の中より現れるのは天使の様な輪のあるモニュメントだ。そこより灰色の人型の四肢が伸び、黄色の鎧、そして天使の翼が構築、そしてオーバーハンドレット・ナンバーズを示す数字が翼に刻み込まれる。

 

「光の使いよ、今、悠久の時を超え、輝きの衣をまといて、かの地に降臨せよ! No.102 光天使グローリアス・ヘイロー!」

 

 グローリアス・ヘイローにベクターは怯えることは無い。効果を見ればカイトの持つパラディオスの劣化版の効果しか持たないからだ。

 だがその次に来るであろうカードを予想し表情を硬くする。

 

「そしてエクシーズ素材となったセプターの効果発動、場のカードを破壊しデッキから1枚ドローできる、私は貴様の場のダーク・グレファーを破壊! 更に光天使モンスターが特殊召喚されたことにより手札のスローネの効果発動、このカードを特殊召喚だ」

 

 更に光天使の連打が炸裂する。

 伏せを丸ごとはぎ取られ、手札誘発を握っていないベクターにそれを妨害する事はできない。

 

「スローネの効果でデッキから1枚ドロー、私がドローしたのは光天使ブックス! よって特殊召喚する、更に私が手札から特殊召喚に成功したためエクシーズ素材となったスケールの効果発動、デッキから更にドローする!」

 

 オーバーレイユニットになった球体の天使より放たれた稲妻がベクターの場に降り注ぎ黒い戦士を砕き、更に椅子が3度出現した。

 流れる様に再び場が埋め尽くされ、あれだけのモンスターを呼び出したにも関わらずドルベの手札は4枚ある。

 

「くっさすがドルベ、だが俺の場の対象に取れないDark knightは倒せない筈だ!」

 

「甘いぞベクター、私はRUM-バリアンズ・フォースを発動、私の場のグローリアス・ヘイローをカオス化させる!」

 

「何の意味が、いや狙いはこいつのカオス・オーバーレイユニットか!」

 

「ああ、そうだ! グローリアス・ヘイローでオーバーレイネットワークを再構築、カオス・エクシーズチェンジ!」

 

 カオスに飲み込まれ天使は堕天する。

 黄色の部位は青黒の強固な物へ、肩や体の各所には牙や角が生え相手を威圧する。槍は101の様に巨大になり更に強化された。

 

「来るがいい、CNo.102、光堕天使(アン・ホーリーライトニング)ノーブル・デーモン! 更にバリアンズ・フォースの効果で貴様の場のオーバーレイユニット、iNo.101を奪う、カオスドレイン!」

 

「バカめ、こいつをお前が手にすると言うことはドン・サウザンドの力がお前に流れ込み魂が汚染されるんだぜ!」

 

「だがこれで貴様のDark knightは復活できなくなった、ぐっ」

 

 ドルベの手にベクターより投げ渡された101が握られる。それと同時にベクターの言う通りドルベの体の中へとドン・サウザンドのカオスが流れ込んでくる。

 だがうめき声を上げつつもドルベはエクストラデッキより1枚のカードを抜く。

 

「ならば、更にお前の力を使わせてもらう」

 

「その力、そのカードは!?」

 

 ドルベの手に持っているカード、そのカードからも101と同じようにカオスが溢れ出しドルベの体と魂を蝕む。

 急速に意識が塗り潰される感覚をドルベは感じながらも、

 

「バリアン兵から回収した、さあお前の能力で生み出したカードによって滅びろ、ベクター!私はスローネ、ブックス! スローネのレベル4モンスター3体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚、現れろ、iNo.16色の支配者 ショック・ルーラー!」

 

 現れるは黒赤に染まった異形の天使、そしてそれが現れると同時にドルベの侵食は更に早く深くなっていく。

 

「ぐぅおおおおおおああああ!」

 

「馬鹿め、ドン・サウザンドのカオスでお前を洗脳してやる!」

 

「ふっ、私は、バリアンの白き盾、たとえこの身が何色に染まりあげようとも私は、バリアン七皇とバリアン世界を守る!」

 

 手がエンドフェイズに移行しようとするのを必死で抑えながらドルベはベクターへと笑いかける。

 

「行、くぞベクター! 私が汚染されるというのならば私と共に地獄へ行け! ショック・ルーラーの効果発動、モンスター効果を使用できくさせる、これで速攻のかかしやバトル・フェーダーは使えなくなった!」

 

「ドルべ!?」

 

「止めろ! ドルベ!?」

 

 ナッシュとメラグは同時に叫ぶもドルベは止まらない。

 

「私はエクシーズ・トレジャーを発動、場には3体のモンスターエクシーズ、よってデッキから3枚ドロー、更にエクシーズ・ギフトを発動する、私はノーブル・デーモンとショックルーラーのオーバーレイユニットを1つずつ取り除きデッキから更に2枚ドローする」

 

 ベクターは彼の中に荒れ狂う感情を凄まじい精神力で押さえつけベクターへと今引いたカードを見せ付ける。

 

「良いカードを引けたぞ、私は魂の解放を発動、貴様の墓地のインフェルニティ・デーモン、ヘルウェイ・パトロール、スキル・プリズナー、インフェルニティ・ネクロマンサー、インフェルニティ・ネクロマンサーを除外する!」

 

「くっ、ちくしょう」

 

 対ベクター用に入れたカードが猛威を振るう。

 ベクターの墓地にある重用なカードを除外され次のターン、もしもベクターが生き残れたとしても容易に展開できない状況になる。

 

「バトルだ、ナッシュの偽物の切り札を今こそ打ち取れ! ノーブル・デーモンでDark knightを攻撃!」

 

 堕天使は暗黒騎士へと切りかかる、何度も互いの身を斬り合いながらもぶつかり合い堕天使の召喚した亡霊が暗黒騎士を飲み込んだ。

 

CNo.102、光堕天使ノーブル・デーモン ATK2900 VS iCNo.101 S・H・Dark Knight ATK2800

破壊→iCNo101 S・H・Dark Knight 

ベクターLP4000→3900

 

「ぐぅ」

 

「更に光天使セプターで直接攻撃!」

 

「甘いんだよ、カオスの、ドン・サウザンドの深淵はこんなに浅くねえ! 俺の場にカードが存在しないとき、俺は手札から罠カード、女教皇の錫杖を発動する」

 

「手札から罠だと!?」

 

 そのようなカードをドルベは知らない、おそらくはドン・サウザンドの力によって作り上げたのだろうが凶悪な効果にドルベは驚きの声を上げる。

 

「相手モンスターの直接攻撃を無効にしバトルフェイズを終了させる、そして」

 

「だがそのカード効果、速攻のかかしと同じ効果だな、ならば攻撃を無効にできなければバトルフェイズは終了しない、とどめは刺しきれないがライフを削り取らせてもらう、速攻魔法、禁じられた聖槍をセプターに発動する」

 

光天使セプター ATK1800→1000

 

「これで貴様の罠カードの効果を受け付けない、よってバトル続行だ! セプターで直接攻撃!」

 

「何!? ぐぅううううう!」

 

ベクターLP3900→2900

 

「更にショック・ルーラーで直接攻撃!」

 

「がぁああ!?」

 

ベクターLP2900→600

 

 床を大きく転がったベクターはすぐさま身を起こす。

 その瞳には憎悪が煌めき、彼の背よりあふれ出るカオスは更に強力な者になっていく。

 ドルベはそれらを終わらせるために今もこのままエンドフェイズに向かわせようとする手を強靭な精神力で押さえつけ、

 

「メイン2、私はカードを3枚伏せてターンを終了する」

 

メラグ・ドルベ場  CNo.102、光堕天使ノーブル・デーモン ATK2900 (ORU4)

LP4000・4000   iNo.16 色の支配者ショック・ルーラー ATK2300 (ORU1)

手札5・1      光天使セプター ATK1800

          伏せ3

 

ベクター場  

LP4000   

手札1   

 

「くっ、俺のターンドロー、スタンバイフェイズ、墓地のテイクオーバー5のもう一つの効果発動、墓地のこのカードとデッキ、手札・墓地の同名カードを除外する事でデッキから1枚ドローする」

 

「なんだと!?」

 

 1枚ドローされる事により、ドルベのベクターを完封する計画は狂ってしまう。

 

「俺は大嵐を発動!」

 

「甘いぞベクター! 私はカウンター罠、大革命返しを発動、大嵐を無効にし除外する」

 

「くっ」

 

 ベクターの手札は残り2枚。

 そしてドルベの伏せカードは1枚はそれを確実に防止できる。

 

「命削りの宝札を発動、俺は5ターン目に手札をすべて捨てなければならない、だがその代わりにデッキから5枚ドローする!」

 

「それも読んでいた、私は手札の魔法カード、サイクロンをコストに封魔の呪印を発動、お前はこの決闘中、そのカードを発動できなくなった!」

 

 妨害に次ぐ妨害

 とどめをさしたつもりになっていたドルベは思わず大きく声を漏らす。

 テイクオーバー5さえなければ墓地の厄介そうなカードは根こそぎ除外し手札は0、モンスター効果も発動できない、こうなれば勝利は確実だと考えていただけに悔しさがにじみ出る。

 

「俺は運命の宝札を発動、このカードはサイコロを振り、出た数だけデッキからその数だけドローしその数と同じ枚数を墓地に送る!」

 

「なんですって!?」

 

「なんだその効果は!?」

 

 誰がどう見てもぶっ壊れの性能、ドローできるだけでなく墓地を肥やすことの出来る優れたカード、それだけの性能ををベクターは乱射する。

 

「出た目は3、よって3枚ドローし3枚を墓地に送る、驚くのはまだ早い、俺は手札からサイクロンを発動、貴様の伏せカードを破壊する」

 

 破壊されるのは強制脱出装置。

 これによってベクターの動きを妨害するカードは無くなってしまう。

 

「そして流転の宝札を再び発動、サイコロの出目は6、よって6枚ドローし6枚を墓地に送る、そして魔法カード、幻魔の扉を発動ぉ!」

 

 そのカードの発動と同時におるべのモンスターの足元より闇があふれ始める。ベクターの背後、カオスは巨大な扉の形へと変化した。

 

「なんだ、この圧倒的な力は!?」

 

「相手の全てのモンスターを破壊し、俺の墓地からモンスターを1体特殊召喚する!」

 

 扉の中より巨大な手が現れる、その手はドルベのモンスターを握りつぶそうとし、

 

「なっ!? まだだ、ノーブル・デーモンはオーバーレイ・ユニットを2つ取り除き破壊を免れる!」

 

「だが他のモンスターを生け贄に再び現れろ、Dark knight!」

 

 セプター、ショック・ルーラーの魂を生贄に扉の中より再び偽物のナンバーズが姿を現した。

 だがベクターとして予想が外れ舌打ちをする。

 

「ちっ、101を意地でも返さねえつもりか、ならば俺はを永続魔法ドン・サウザンドの契約を発動、そして俺の場にカオスと名の付くモンスターが1体だけの場合、ドン・サウザンドの契約を墓地に送りカオスの狂宴を発動、エクストラデッキよりカオスと名の付くモンスターを3体効果を無効にして特殊召喚する、現れろお!」

 

 ミザエル達が見たら確実に激怒し殺しに行くような光景がドルベたちの前に広がっている。

 玉座が砕け散り内包されていたカオスが噴出、3体のモンスターエクシーズを作り上げる。

 黒の体は赤黒のエネルギーラインによって汚染されオリジナルを知る者は違和感しか覚えない様な形だ。そして

 

「iCNo.105BK彗星のカエストス、iCNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド、iCNo.107超銀河眼の時空龍!」

 

 金色の暴君龍、だがその姿さえも赤黒に汚染されている。

 だがその身に宿る暴君の力だけはオリジナルと遜色ない力だ。

 

「おのれ、ナッシュのカードだけではなくミザエル達のカードまで!!」

 

「それだけじゃねえ! 俺は更にRUM-七皇の剣を発動、エクストラデッキより現れろ、No.104 仮面魔踏士シャイニング、そしてカオス化する! 現れろCNo.104 仮面魔踏士アンブラル!」

 

 ベクター自身のナンバーズまでもが場に現れる。この決闘の場に偽者とは言え七皇のオーバーハンドレット・カオス・ナンバーズが揃った。

 その威圧感は凄まじく手の汗が止まらない。

 

「さあ、バトルだ! 超銀河眼でドルべのノーブル・デーモンを砕け!」

 

「くっ、ノーブル・デーモンはオーバーレイユニットを2つ取り除き破壊を免れる!」

 

iCNo.107超銀河眼の時空龍 ATK4500 VS CNo.102 光堕天使ノーブル・デーモンATK2900

ドルベLP4000→2400

 

「アンブラルでノーブル・デーモンを攻撃!」

 

「くっ」

 

CNo.104 仮面魔踏士アンブラル ATK3000 VS CNo.102光堕天使ノーブル・デーモン ATK2900

ドルベLP2400→2300

 

「そして、そしていざ感動のクライマックス! ナッシュのカードで攻撃!」

 

「すまないっ、みんな、ナッシュっ……!」

 

ドルベLP2300→0

 

 ドルベは暗黒騎士の投じた槍に貫かれた。

 

「ドルベっ、ベクタァアアアアア!」

 

ナッシュは触手に拘束されながらも気が狂わんばかりに体を動かしベクターへと向かおうとするもびくともしない。

 

「ふっ、メイン2に入る、オーバーレイ・リジェネレートを発動、Dark knightのカオス・オーバーレイユニットにする、そしてターンエンドだ」

 

ベクター場  iCNo101 S・H・Dark Knight ATK2800 (ORU1)

LP4000    iCNo107超銀河眼の時空龍 ATK4500 (ORU0)

手札2     CNo104 仮面魔踏士アンブラル ATK3000 (ORU1)

       iCNo105BK彗星のカエストス ATK2800 (ORU0)

       iCNo106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッドATK2600 (ORU0)

 

メラグ

LP4000   

手札5

 

              ●

 

「私のターン、ドロー」

 

ドルベはまだ消滅せずにボロボロの姿で漂っている。それから目を離しメラグはベクターを絶対に倒すと誓う。

 手札を見ていたメラグはベクターのデッキを一瞥、そして墓地を確認する。

 墓地にあるのはインフェルニティカードばかりだ。

 運命の宝札でどれも墓地に落ちてしまったからベクターはインフェルニティモンスターを展開しなかったのだろう。

 そしてオーバーレイ・イーターなどの見慣れないカードがあるがこれは七皇を狩るためカードのようだ。そしてそれらは全て墓地に落として利点のあるカードばかりだ。

 だがこれらもカードではこれからメラグがしようとするワンキルを妨害出来る物はスキル・プリズナーだけだ。

 

「デッキは何枚かしら?」

 

「ああん、そんな事教えてどうするんだ?」

 

「公開情報なのですが、教えてもらえないのかしら?」

 

「ちっ、残り3枚だ」

 

 その言葉を聞いてメラグは笑みを浮かべた、それは冷たい見る者をぞっとさせるような死者に向ける別れの笑みだ。

 

「私は手札抹殺を発動」

 

「なんだと!?」

 

 メラグは手札4枚を捨て4枚ドロー、ベクターは手札2枚を捨て2枚ドロー、これによってベクターのデッキは残り1枚になる。

 そしてメラグは再び墓地へと目を落とし、問題となるカードが在る事を確認し、口元を冷たく歪ませる。

 

「これであなたの女教皇の錫杖はなくなった、そして貴方のデッキは残り1枚となった!」

 

「くっ、てめえら!」

 

「更に私の墓地に闇属性3体がいる、よって私はダーク・アームド・ドラゴンを特殊召喚する」

 

「くっ、だが俺の場にはアンブラルが!」

 

「手札から禁じられた聖杯を発動、アンブラルの効果を無効にする、そして墓地のシュラを除外しダーク・アームド・ドラゴンの効果発動、お前のカエストスを破壊、更にブリザードを除外しジャイアント・ハンド・レッドを破壊!」

 

 漆黒に染まった武装竜の両腕の刃にエネルギーが溜まっていく。それらは闇の力、全てを切り砕く力だ。

 十分に溜まったエネルギー刃を武装竜は腕を振るう事で放ちカオスに汚染された拳闘士の王を、真っ赤なエネルギーラインによって支配された巨大な腕を切り砕いた。

 

「私はBF―黒槍のブラストを召喚、そして更にもう1体のブラストを特殊召喚、更に収縮を超銀河眼に発動、攻撃力を半分にする!」

 

「くっ、まずい、このままじゃ」

 

 ベクターもこれから現れるモンスターのことを知っているのだろう、そしてそれを防ぐ方法も存在しないのか焦った様子のベクターを酷く穏やかな気分で見、メラグは自分のオーバーハンドレット・ナンバーズを呼ぶ。

 

「そしてレベル4のブラスト2体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚、現れなさい、No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ!」

 

 黒い鳥達は渦へと飛翔する、そして吹雪が吹き荒れる。

 メラグの感情を代弁する様に冷たい殺意と絶対に許さないという意思が全てを氷に閉ざしていく。

 その中で現れるのは両刃の剣を両手に持つ女性型のモンスターだ。

 

「ラグナ・ゼロの効果発動、禁じられた聖杯で攻撃力が変化しているアンブラルを破壊しデッキから1枚ドローする、ガイダンス・トゥ・フューネラル!」

 

 ベクターのナンバーズは氷によって閉ざされていく、そして手に持った2刀が煌めきバラバラに切り刻まれた。

 

「更に私はRUMーバリアンズ・フォースを発動、私の場のラグナ・ゼロでオーバーレイネットワークを再構築、カオス・エクシーズチェンジ」

 

 黒赤の渦に自ら身を投げた令嬢、それはまるでメラグのようだ。

 渦の中へと身を投げ、新たな本来の姿へと変わる。

 月の様に輝く光を背中に浴び渦の中より飛翔するは三日月のような大鎌を持ちいて全ての敵の命を刈り取る神殺しの令嬢だ。

 

「現れなさい、CNo.103! 時をも凍らす無限の力が今、よみがえる。神葬零嬢ラグナ・インフィニティ! 更にバリアンズ・フォースの効果でDark knightのカオス・オーバーレイユニットを奪う」

 

 これによってメラグの必殺の状況が完成した。

 ベクターの墓地のカードあるのはスキル・プリズナーが1枚のみ、発動した所でラグナ・インフィニティが攻撃すればベクターのライフは50しか残らずダーク・アームド・ドラゴンの追撃は手札から発動する罠によって防がれるだろう。

 だがそれによってベクターは次のターンでメラグを倒さないといけない状況になる。一応、手札抹殺の際にスキル・プリズナーを墓地に送っているためワンキルはされないだろう。

 

「そしてラグナ・インフィニティの効果発動、カオス・オーバーレイユニットを1つ使い相手モンスターを除外する。そして変化していた攻撃力の差だけ相手にダメージを与える! 超銀河眼の攻撃力の変化の差額は2250よって2250のダメージよ!」

 

 大鎌を振り回し令嬢が力を失った暴君龍へと接近する、そして一閃した。

 その一撃は魂と体を切り離す一撃だ。

 力と魂を失った体は氷に閉ざされた世界へと葬送され、残った魂はベクターへと向けられる。

 

「終わりよ、ベクター! ガイダンス・トゥ・パーガトリィ!」

 

「ぐぅああああああああああ!?」

 

 氷は真っ直ぐにベクターを直撃し爆発した。

 

ベクターLP600→0


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