クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード 作:TFRS
朝になり急に話したいことがあるとアリトより呼び出しを受けた遊馬、そして遊馬から連絡を受けた凌牙や小鳥が指定された場所へと集まる。居ないのは裕と真月だけだ。
そして遊馬はアリトを見つけた。
真剣な顔でこちらに歩いてきて、アリトは遊馬を真っ直ぐに見て、
「すまねえ、遊馬、みんな、俺はまず謝んなくっちゃいけねえ」
唐突に何の脈絡もなく、アリトは謝りはじめる、なんのことかわからないという皆を置き、
「俺は、俺はバリアン世界のバリアン七皇、アリトだ。遊馬、俺とナンバーズを賭けて決闘してくれ!」
●
「アリト、おまえ何言ってんだ、お前、まさかバリアンに操られて!?」
「いや違うぜ、俺は居たって正気だ、これを見ろ!」
決闘盤を展開し、アリトは叫ぶ。
手に握られるはRUM-バリアンズ・フォース、遊馬達に襲い掛かった決闘者が使ってきたものである。
額には操られている際に浮かび上がるバリアンの紋章らしきものはなく、その様子は真剣であり、嘘を言っている様子はない、
遊馬達は決闘を通してお互いがどういう人間であるか理解していた。だからこそアリトの本気が伝わってくる。
「アリト、どうしても戦わないとだめか、俺達は決闘で分かり合えた、友達にだってなれた、だったら!」
「ああ、お前達は俺のダチだ、俺達は分かりあえた、だがアストラル世界が俺たちを滅ぼそうとする、それを許してはおけない!」
WDC補填大会前に病室で言われた台詞、そして遊馬がアストラルに聞けなかった言葉がここで飛び出してくる。
「アストラル、それは本当なのか!?」
遊馬は傍らに立つ相棒へと叫ぶ、どうか間違ってほしい、違うといってくれ、という願いは、
「分からない、まだ私がどんな使命を帯びているか思い出せないんだ⋯⋯」
否定も肯定もされない、ある意味で最悪な回答が帰ってきた。
「さあ来い、俺とお前の、ダチとして最後の決闘だ!」
アリトの決意は変わらない。そう理解した遊馬は覚悟を決める。
「嗚呼、だが1つだけ違うぜ、俺とお前は、たとえ道を違えても、敵になったって親友だ!」
「待ってたぜ、その言葉、バリアンズ・スフィア・フィールド展っ開!」
赤黒のカード群が結晶体より放たれる。周りを包み込み外部からの干渉を弾く。
「決闘盤セット!」
目尻に浮かんだ涙を拭い、遊馬は構える。
アリトは赤とオレンジの鎧の様な装飾のなされた決闘盤を構成する。
「Dゲイザーセット!」
「「決闘!!」」
●
「行くぜ、遊馬! 俺のターンドロー! 俺はおろかな埋葬を発動、墓地にBKグラスジョーを墓地に送る。そして俺はBKスイッチヒッターを召喚、スイッチヒッターのモンスター効果で墓地からグラスジョーを特殊召喚する、そして!」
渦が発生する、それは遊馬達がアリトとの決闘で見慣れたものである。
「来るか、リードブロー!」
「ああ、行くぜ、俺はレベル4、BKグラスジョーとスイッチヒッターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 魂に秘めた炎を、拳に宿せ! BK拘束番兵リードブロー!」
拘束された大男は姿を現す、その能力は強力であるが今回の決闘ではさらに強力なエースが待ちかまえているのだから遊馬は心が躍ってしまう。
アストラルの命がかかっている、そう理解していても、情に熱い遊馬はどうしてもいつもの楽しい決闘の続きだと思ってしまう。
「俺はカードを2枚セットしターンエンドだ! さあ来い、遊馬!」
アリト場 BK拘束番兵リードブロー ATK2200 (ORU2)
LP4000
手札2 伏せ2
遊馬場
LP4000
手札5
「おう! 俺のターン、ドロー! 俺はガガガマジシャンを召喚、そしてカゲトカゲの効果発動、このカードを特殊召喚する! レベル4のガガガマジシャンとカゲトカゲでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
「くるか、遊馬のエースモンスター!」
笑みを見せ、アリトも叫ぶ。
「現れろNo.39希望皇ホープ!」
遊馬は攻撃しようかとも考える、だが攻撃してもリードブローは破壊できず、微々たるダメージしか与えられない。
そう考えれば遊馬が取る手段は1つだ。
「俺はカードを3枚伏せる、そしてターンエンドだ」
遊馬場 No.39希望皇ホープ ATK2500 (ORU2)
LP4000
手札1 伏せ3
アリト場 BK拘束番兵リードブロー ATK2200(ORU2)
LP4000
手札2 伏せ2
「遊馬、俺はこの決闘に全てを捧げる、お前も全力でかかってこい! 俺のターンドロー、俺は増援を発動、デッキよりBKシャドーを加える」
攻撃力もあり自身を特殊召喚する効果のモンスターが手札へと加えられ、アリトの戦う事を喜ぶ獰猛な笑みと発せられる猛烈な気配から遊馬は身構える。
「そしてリードブローのオーバーレイユニットを取り除きシャドーを特殊召喚する、そしてオーバーレイユニットを失ったリードブローの効果発動、攻撃力をアップする」
片腕を拘束していた枷がオーバーレイユニットを失われた事により片腕が自由になった大男は片腕を調子を確かめる様にぐるぐると回す。
BK拘束番兵リードブロー ATK2200→3000
「そしてBKスイッチヒッターを召喚、効果で墓地からスイッチヒッターを特殊召喚し、刻み込め、遊馬、そしてアストラル! これが俺達七皇の魂の証明! 俺はレベル4のシャドー、スイッチヒッター2体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! その身に秘めるは燃え上がる熱い闘志、その拳で仲間との結束を力に勝利をつかめ!」
出現するのは∞を示すようなモニュメントだ。
そしてそれを中心にバンテージを拳へと巻いた腕、そして肩まで覆うアーマーが構築され、最後に目を赤く光らせ青と黄色の戦士が現れる。
「現れろNo.105BK流星のセスタス!」
ナンバーズは100枚しかない、それなのに遊馬の目の前にいるのは100を超えたナンバーズがいる。
その事実に一番驚きを見せたのはアストラルだ。
「オーバーハンドレッドナンバーズだと!?」
「テキストが表示されない!?」
遊馬は効果を確認しようとするも決闘盤の画面にはノイズが走るばかりで読み取れない。
「あー、なるほど、俺らがZWやナンバーズの効果を読み取れないのと一緒か、バリアン世界とアストラル世界の力が強すぎると反発するってベクターが言ってたっけ」
悩み、そしてアリトはいつもと変わらない笑みを浮かべ、
「お前らがこいつの効果を知らないってのも不公平だな、俺のセスタスはBKと名の付くモンスターが戦闘を行うときにオーバーレイユニットを1つ使い発動できる能力がある、戦闘するモンスターの効果を無効にしBKモンスターはバトルでは破壊されず、そして発生した俺へのダメージはお前が受ける!」
「なんだって!?」
つまりホープはリードブローと戦闘を行おうとも戦闘破壊されてしまう。
仲間に力を貸し与える姿は先陣を切り戦場へと突っ込んでいく王者の如き風格を持って居る。
「俺はエクシーズ・トレジャーを発動、場のエクシーズモンスターは3体、よってデッキから3枚ドローできる!」
「させるか罠発動、強制脱出装置!」
「それも甘い、カウンター罠、発動ギャクタン、これでお前の強制脱出装置は無効になりデッキへと戻る! そして3枚ドロー!」
ニヤリと笑みを浮かべ、アリトは叫ぶ。
「バトルだ! セスタスで希望皇ホープを攻撃! スターダスト・インパクト!」
肩アーマーより放たれる光雨、防ぐことを許さないその一撃はホープを砕こうとする。
No.105BK流星のセスタス ATK2500 VS No.39希望皇ホープATK2500
「くっ」
「攻撃宣言時何もないんなら、オーバーレイユニットを使いセスタスの効果を使うぜ、このバトルでセスタスは破壊されない!」
光はセスタスの額に吸い込まれ光が放たれる、このまま遊馬が何もしなければホープだけが戦闘破壊される、そして遊馬が動く。
「ダメージステップ、禁じられた聖槍をセスタスに発動、これでホープは戦闘では破壊されない!」
「だが発生する戦闘ダメージは受けてもらうぜ!」
No.105BK流星のセスタス ATK2500→1700 VS No.39希望皇ホープATK2500
遊馬LP4000→3200
「そしてリードブローでホープを攻撃! ライトニング・ファースト!」
「くっ」
肩アーマーより発せられる光雨がホープを砕いていく、盾となる翼も相対する者を切り伏せる剣も砕かれホープは自由になった片腕の思い一撃で沈められる。
BK拘束番兵リードブロー ATK3000VS No.39希望皇ホープATK2500
破壊→No.39希望皇ホープ
遊馬LP3200→2700
遊馬とアストラルは壁に叩きつけられ苦悶の声を上げる。
壁を構成しているカード群は高密度のエネルギーだ。そんなものに生身の人間や精神態であるアストラルが触れれば痛いだけでは済まない。重症と言ってもいい。
アストラルはその衝撃をモロに受けたのか点滅する速度が普段の決闘よりも速い。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだぜ!」
アリト場 BK拘束番兵リードブロー ATK3000(ORU1)
LP4000 No.105BK流星のセスタス ATK2500 (ORU2)
手札2 伏せ2
遊馬場
LP2700
手札1 伏せ1
「どうした、俺とお前の楽しい決闘もこれでおしまいか?」
ホープの破壊時に発生した爆風で壁へと飛ばされた遊馬を見てアリトは心にもない事を言う。
アリトは分かっていた。これで遊馬が終わるわけないと、自分の認めた男がこんな簡単に諦める訳がないと。
燃えるような情熱はアリトの中で燃え滾り、遊馬をも飲み込まんと手を伸ばしている。それを打ち払わんと遊馬はゆっくりと立ち上がる。
「ま、だ終わるわけねえ! 俺のターンドロー! 俺は魔法カード、エクシーズ・リベンジを発動。墓地の希望皇ホープを特殊召喚し、アリトのリードブローからオーバーレイユニットを1つ吸収する!」
「だがこの瞬間、リードブローの効果が発動する、破壊を免れオーバーレイユニットを失ったリードブローの攻撃力は更にアップする!」
BK拘束番兵リードブロー ATK3000→3800
「俺もエクシーズ・トレジャーを発動、デッキから3枚ドロー!」
遊馬は引いたばかりの手札を見て、
「俺はガガガシスターを召喚、効果でデッキから魔法カード、ガガガボルトを加え、ガガガボルトを発動、セスタスを破壊する!」
ピンク色の幼女の携帯より発射された雷撃がアリトのナンバーズを砕く。
だが切り札であるはずのオーバーハンドレッド・ナンバーズを破壊されたのにアリトの余裕は崩れない。
「まだだ、俺はワンダー・ワンドをガガガシスターに装備、そしてZW-風神雲龍剣をホープに装備する! 希望皇ホープでリードブローを攻撃!」
No.39希望皇ホープ ATK3800 VS BK拘束番兵リードブロー ATK3800
破壊→ BK拘束番兵リードブロー
「ぐぅ!?」
ホープはナンバーズのみが持つ戦闘破壊耐性がありリードブローのみが破壊される。
リードブローの破壊による爆発による余波、そして吹っ飛ばされた際にバリアンズ・スフィア・フィールドへと叩きつけられたアリトをピンク幼女の追撃が来る。
「さらにガガガシスターで直接攻撃!」
アリトLP4000→3300
「そして俺はガガガシスターとワンダーワンドを墓地に送りデッキから2枚ドロー、カードを2枚伏せて俺はこれでターンエンドだ」
遊馬場 No.39希望皇ホープ ATK3800 (ORU1)
LP2700 伏せ3
手札0 ZW-風神雲龍剣 (装備魔法)
アリト場
LP3300
手札2 伏せ2
「へへへっ、はははははっ、お前たちの本気を感じることが出来て最高だよ、遊馬、アストラル、俺も俺の全ての力をぶつけてやるぜ!」
エースが破壊されるもアリトは笑みこぼす。
楽しくて仕方がないと言わんばかりに輝く笑顔を見せ、そして何かに気づいたようにとある方角へと顔を向ける。
「ミザエルか、あいつも誰かと戦っているんだな⋯⋯俺も俺の全てをさらけ出すっ! うおおおおおおお!」
アリトの腕に腕輪が構築される。真っ赤な宝石がついた腕輪だ。
「俺の真の姿を見せてやる、バリアルフォーゼ!!」
赤黒の力がアリトを包み込む。
猛るカオスが、炎を作り出し体の内面を、外側を燃やしていく。人間形態を燃やし尽くし本来の姿へと変える。
細く絞られた体、赤とオレンジの鎧のような姿、それがアリトの本当の姿だ。
「これがアリトの真の姿か!」
「へへへっ、これで全て揃った、お楽しみは、これからだ!!」
笑い声を響かせアリトはデッキへと手をかざす。
「遊馬、他のみんな、今まで楽しかった、あのときの俺の感情に嘘偽りはねえ、だがバリアン世界を救うため、俺はナンバーズが必要なんだ、いくぞ、遊馬!」
その身に宿る感情を抑えずアリトは解き放つ。
「俺のターンドロー、俺もエクシーズ・リベンジを発動、墓地のセスタスを特殊召喚しホープのオーバーレイユニットを奪い返す!」
墓地より現れる青き戦士が雄たけびを上げる。そして遊馬によって奪われていたオーバーレイユニットを取り戻した。
「そして俺はヘッドギアを召喚、ヘッドギアの効果でデッキからBKカウンターブローを墓地に送り、そして伏せていた死者蘇生を発動、墓地のスイッチヒッターを特殊召喚する」
「またリードブローか?」
「いや違うぜ、セスタスの効果を忘れたか?」
「なっ!?」
「受けろ! ただのアリトの、七皇のアリトの、俺の本気を! バトルフェイズに入る!」
「攻撃される前に罠発動、ブレイクスルースキル! セスタスの効果を無効にする!」
「甘いぜ、カウンター罠、2枚目のギャクタンだ!」
「くっ」
先ほどと同じ展開を防ごうと遊馬が罠を発動するもアリトのカウンター罠によって阻まれる。
「そしてバトルフェイズ、ヘッドギアでホープを攻撃!」
ボクサーは己の攻撃力の2倍はある戦士へと果敢に特攻する。背後より自らの王の助力を信じて、
BKヘッドギア ATK1100 VS No.39希望皇ホープ ATK3800
「さあこれをどう防ぐ!」
「くっ……!?」
「俺はセスタスの効果発動! オーバーレイユニットを1つ使い相手モンスターの効果をエンドフェイズまで無効にし戦闘で発生するダメージは相手が受ける!」
「俺は罠発動、ガードロー! ホープを守備表示にしデッキから1枚ドローする!」
BKヘッドギア ATK1100 VS No.39希望皇ホープ ATK3800→DEF2000
「戦闘ダメージを少しでも抑えようって魂胆か、だがダメージは受けてもらう!」
遊馬LP2700→1800
「うわあああ!」
「そしてその希望を砕く! セスタスでホープを攻撃! スターダスト・インパクト!!」
青装甲の王より放たれる拳は守りに入る戦士へと放たれる。
だがその拳が直撃する寸前、ホープの手に握られていた剣が独りでに飛び上がり、ホープと拳の間に割って入る。
No.105BK流星のセスタス ATK2500 VS No.39希望皇ホープDEF2000
「ZWー風神雲龍剣の効果発動、装備モンスターが戦闘で破壊されるときこのカードを代わりに破壊する! しのぎ切ったぜ!」
セスタスのオーバーレイユニットはもうすでになく、ナンバーズモンスターは他に居ないためにアリトはホープを破壊できない。
これで攻撃は終了する、そう思っていたが、
「それはどうかな!」
アリトん得意げな表情によって砕かれる。
「なっ!?」
「遊馬、お前は知らないかもしれないがアストラル世界にはランクアップという概念がある。そしてバリアン世界はアストラル世界とは違う進化を遂げたランクアップがあるんだ。俺達の世界だけが持っている新しいランクアップ、それがバリアン七皇のみが持つもう1つのランクアップマジックだ!」
手札より抜かれるは一枚の速攻魔法だ。
「見ろ遊馬、そしてアストラル世界の使者、アストラル。これがバリアン世界の可能性、バリアン世界で進化した攻めのランクアップだ、俺はセスタスを対象に速攻魔法RUM-クイックカオスを発動!」
「速攻魔法のRUMだと!?」
アストラルはランクアップと言う概念を知っており、RUMの存在も理解している。だが速攻魔法のRUMという者を彼は知らない。
「ナンバーズをランクアップさせると言うのか!?」
内側への力と、外部カからの鎖が門を砕き、内側より発生する赤黒のエネルギーを鎖が絡め、引き摺り出し、セスタスを塗り潰していく。
門の中より飛翔するは強力に煮えたぎるカオスと攻め砕く、相手に勝つという強力な意思だ。
拳を強化させる手甲、Xの巨大な装甲、セスタスをより強力に禍々しく新たに構築していく。
赤黒のエネルギーが溢れ出す中、その身に宿した激情を叫ぶように腕を振り降臨する。
「闇を飲み込む混沌を! 光を以て貫くがよい! カオスエクシーズ・チェンジ! 現れろ、CNo.105BK彗星のカエストス!」
「これがアリトのカオスナンバーズ!?」
遊馬のもつカオスナンバーズとは違い、RUMを使用しランクが1つ上がったモンスターエクシーズ、その体から発せられる力は間違いなくバリアンの物だ。
「そうだ、これが俺の最強の拳だ! カエストスには2つの効果がある、カオスオーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスターを破壊、その攻撃力分のダメージを与える効果。そして戦闘で破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える効果だ!」
「まずいぞ遊馬、このままでは!」
「行くぜ、ファイナルブローだ! 彗星のカエストスでホープを攻撃! コメット・エクスプロージョン!!」
自分の力の源となる赤黒に光り輝く結晶を置き去りに王者は拳を振るう、手甲を握りしめ熱い情熱を持って叩き込む。
CNo.105BK彗星のカエストス ATK2800 VS No.39希望皇ホープ DEF2000
破壊→No.39希望皇ホープ
「カエストスの効果発動、戦闘で相手モンスターを破壊したときその攻撃力分の半分のダメージを相手に与える!」
「ぐうあああ!?」
遊馬LP1800→550
爆風で遊馬はカード群へと叩きつけられる。
遊馬のライフとリンクしているアストラルの体は透け今にも消えそうな苦しげな表情を見せる。
「そしてこれが本当の最後の一撃、スイッチヒッターで遊馬を直接攻撃!」
「罠、カード! 発動、エクシーズ・リボーン。墓地のホープを特殊召喚する!」
何度でm現れ、遊馬を守る希望。スイッチヒッターの攻撃力ではそれを突破する事は出来ない。
「凌いだか、だがカエストスの効果発動、カオスオーバーレイユニットを1つ使い相手モンスターを破壊しその攻撃力分のダメージを相手に与える!」
拳を打ち鳴らし結晶体は胸へと吸い込まれ破壊エネルギーへと変換、X上の装甲より放たれるエネルギー砲が黒剣士へと叩き込まれようとする。
「させるか! 手札からエフェクト・ヴェーラーの効果発動、このカードを墓地に送る事で相手モンスターの効果を無効にする!」
ホープレイを守る魔法使いの姿にアリトは笑みを見せ、
「そうか、お前も負けられないんだったな、だけど俺が勝つ! ギラグ、力を借りるぜ、レベル4モンスターで2体でオーバーレイ、現れろNo.44白天馬スカイ・ペガサス!」
現れたのは白き翼を持つ天馬だ。
その体より発せられるのは正真正銘、ナンバーズとしての力だ。
「これは、ナンバーズ!?」
「このナンバーズから何か凄まじい気迫を感じる……気をつけろ遊馬!」
「行くぜ、スカイペガサスの効果発動、オーバーレイユニットを1つ使い、相手の場のモンスターを破壊する。ただしお前はライフを1000ポイント支払う事でこの効果を無効にできる、だけど遊馬、お前のライフは1000未満、ライフを支払う事が出来ない、ホープは破壊だ!」
破壊→No.39希望皇ホープ
「さあ! 次はお前たちの番だ! もっとだ、もっと、お前たちの本気をもっとぶつけてこい! 俺はこれでターンエンド!」
はしゃぎ笑うその姿はいつものアリトだ。異形の姿に変わっても、変わって同じ行動をするからこそ遊馬は悲しくなってくる。
「こんなに熱い決闘なのに、お前はバリアンで、俺は、俺は⋯⋯!」
「そんな顔すんじゃねえよ遊馬、俺達の決闘を最後の最後まで楽しもうぜ!」
最後というアリトの言葉に遊馬の眼は潤み、それを見たアストラルは苦しそうに膝をつきながらも顔を上げ遊馬に笑いかける。
「彼の思いに応えよう、遊馬」
「アストラル……」
アリト場 CNo.105BK彗星のカエストス ATK2800 (ORU0)
LP3300 No.44 白天馬スカイ・ペガサス DEF1600 (ORU1)
手札0
遊馬場
LP550
手札0
「今度は俺とアストラルの全力を見せてやる!」
「行くぞ遊馬」
「おう! かっとビングだ、俺!」
「俺と!」
「私で」
赤と青がカード群を揺らし飛翔する。
「「オーバーレイ!」」
遊馬の失敗を恐れない情熱を掲げる赤、アストラルの純粋で清らかな白の二つを合わせ持つ光り輝く戦士へと姿を変える。
「遠き2つの魂が交わるとき語り継がれる力が現れる、エクシーズチェンジ、ゼアル!」
「遊馬、アストラル、これがお前らの全力か、かっけえ、かっけえぞ!」
アリトは半身になって構える。最高の一撃を撃ってこいと、そういうジェスチャーを取るアリト。
「俺のターンドロー、エクシーズトレジャーを発動、デッキから2枚ドローする、エクシーズ・リベンジを発動、蘇れ希望皇ホープ!」
何度も何度も墓地より呼び出されるホープ、心なしか鎧の装飾が傷だらけに見える。
「スカイ・ペガサスのオーバーレイユニットを吸収し、そして希望皇ホープをエクシーズ素材としてカオスエクシーズチェンジ、混沌を光へ帰る使者、CNo.39希望皇ホープレイ!!」
渦より現れる黒き剣士、その姿にアリトは拳を握る。
「ホープレイの効果発動、オーバーレイユニットを2つ使いカエストスの攻撃力を2000ポイント下げホープレイの攻撃力を1000ポイントアップする、オーバーレイチャージ!」
大剣よりそぎ落としの光が放たれ万遍なく全てを照らし出す。
だがそれではアリトのライフを削り取れない。
「俺はZW-不死鳥弩弓のモンスター効果、発動! このカードを攻撃力を1100ポイントアップさせる装備カードとなる! バトルだ。ホープレイでカエストスを攻撃! フェニックス・フィニッシュ!」
「突っ込め、カエストス、コメット・エクスプロージョン!」
CNo.39希望皇ホープレイ ATK4600 VS CNo.105BK彗星のカエストス ATK800
炎をまとい飛翔する機会仕掛けの不死鳥、それに捕まり黒剣士は加速する、目指すは熱くたぎる感情を抑えない孤高の王者だ。
十分な加速をとり黒剣士は2刀を抜き放ち王者へと飛ぶ、黒剣士の光によって力を弱らせるも王者は自慢の拳を振り抜く。
振るわれる一刀を拳で砕き、反対側より振るわれるもう一刀を撃ち落とす。
武器を失い始まるのは肉弾戦だ、拳と体の撃ち合い、互いに防御などいっさい行わない。
「俺は、負けられねえ! 俺は墓地からBKカウンターブローの効果発動、墓地からこのカードを除外しBKモンスターの攻撃力を1000ポイントアップする!」
仲間より行われた応援を力へと換え王者は黒剣士へと最後の拳を放つ、そして黒剣士もあわせるように拳を伸ばす。
クロスカウンターが互いの顔へと突き刺さり王者は崩れ落ちた。
CNo.39希望皇ホープレイ ATK4600 VS CNo.105BK彗星のカエストス ATK800→1800
破壊→CNo.105BK彗星のカエストス
アリトLP3300→500
「しのぎ切ったぞ、これで次のターン、スカイ・ペガサスの効果を使えば!」
「それはどうかな!」
「なに!?」
「ZWー不死鳥弩弓の効果発動、戦闘で相手モンスターを破壊したとき相手に1000ポイントのダメージを与える!」
「そ、そんな馬鹿な!?」
上空で待機していた不死鳥は黒剣士の背へと降り立つ。そして背中の剣と合致を始める、
作り上げられるはホープレイの全身を使った巨大な弩弓だ。カエストスの爆発したエネルギーを集束 放たれる赤い閃光矢はアリトへとたたき込まれ大爆発を引き起こした。
「う、うわぁあああああああああ!?」
アリトLP500→0
勝者遊馬
●
バリアンズ・スフィア・フィールドは崩壊していく。
そして最後の一撃を受けた吹っ飛ばされたアリトは起き上がらない。
「おい、アリト、大丈夫なのか!?」
駆け寄り起こすとアリトは遊馬の服をぎゅっと掴む。
もっと、もっと決闘がしたいと言わんばかりに握りしめられる。
そして、アリトは顔を上げる。浮かぶのは負けた悔しさと満足げな笑みだ。
「へ、へへっ、楽しかったな、遊馬」
「ああ、ああっ。俺もだ、またやろうぜ」
アリトは静かに首を横に振る。
「アストラル、持っていけ、俺の魂を」
「アストラル!?」
アストラルは無言で手をかざす。スカイペガサスが浮き上がりアストラルに吸収されるも、オーバーハンドレットナンバーズは回収されない。
「オーバーハンドレットナンバーズを回収できない?」
疑問を口にしている間にアリトの背後、黒い渦が発生する。
「……どうやらお迎えみたいだ、遊馬、じゃあな」
またな、ではなく、じゃあな、という別れの言葉に遊馬は駆け寄るもアリトは吸い込まれてしまう。
それに皆の眼が奪われる中、アストラルが突然、目を見開き、膝をつき苦しみだした。
「おい、大丈夫かアストラル、アストラル!?」
●
渦よりアリトが吐き出されたのは廃工場だ。
「おい、ギラグか、余計な真似しやがって」
周囲を見回すも親友の姿は見えない、そのことを不審に思っていると笑い声が響く。
アリトは振り向き、目を見開いた。
●
「アリト、何処だ!?」
ギラグは叫ぶ。
バリアン世界に帰ったとばかり思ったがそうではなかった、それほどまでにナンバーズとアストラル世界の使者、アストラルと九十九遊馬が作り出したZWの与えた傷が深いのだろうか、そう心配し転移したと思われる場所に着いたギラグはアリトの叫ぶ声を聞いた。
先ほどの声はなんなのか、嫌な予感ばかりが膨れ上がり、
「アリト、おい大丈夫か!?」
そしてアリトを見つける、人間形態となったアリトはボロボロで、そして目は閉じかけられようとしていた。
抱き起こし、そしてバリアン世界へと運ぼうとした矢先、アリトの手がギラグをつかむ。
「真、月」
一言、途切れ途切れにいい、そして意識を失ったアリトを抱きギラグは吠える、
それは喪失を後悔する叫びだ、そして同時に復讐を誓う決意の声だ。
あふれる涙を拭い、遊馬たちのいる方角を睨みつけ、ギラグはアリトを治療するためにバリアン世界へと急いだ。