クェーサー厨が行かされる難易度ちょっとハードモード   作:TFRS

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第3章 バリアン世界の侵略者達
バリアン組の動き 上


『これにてWDC補填試合の終了を宣言します!』

 

 長かった終了式がようやく終了し控え室に戻った裕達は椅子に座り一息休んでいるとドアがノックされた。

 一番近かった場所に座り込んでいた裕が応答に出ると、

 

「はい、誰ですか……ってあなた達は」

 

 そこにいたのはプロ組だ、出口へと部屋の皆が集まる中、堺は懐を漁り、

 

「とりあえずこれを君達に変えそう」

 

 帽子を取り堺が差し出したのはナンバーズだ。

 遊馬達から奪ったナンバーズとプロ達が回収し渡していなかったナンバーズがある。

 

「依頼されたとは言え君達からカードを奪ってしまって本当にすまなかった」

 

 堺はカードを手渡すと腰を九十度に折り曲げ、謝罪する。

 

「どんな場所だろうとも君がピンチになったらいつでも君の力になる事をここに私は誓おう、だから後ろの彼らだけは許してほしい。彼らは私の研究に付き合ってくれただけだ」

 

 裕はその言葉を聞き、最上を見る。

 不機嫌そうな表情の最上は裕と目があった瞬間に猛烈な速度で不機嫌さを増し、視線を逸らす。

 それを見て、最上だけは許しちゃダメな気がするな⋯⋯と裕は思う。

 そんなことを知らず、遊馬は腰を折ったままの堺へと慌てたように手を振り、

 

「気にしてねえよ、こうしてナンバーズも集まったし……って依頼されたって言ってたけど、誰に依頼されたんだ?」

 

「名前は確か……ベクターと言っていたか。もう腕輪も使えなくなってしまったし、私達は彼の居場所を知らない、集まって話し合いをしていた部屋ももぬけの空になったそうだ、もう私達は用済みと言うことなのだろう」

 

 堺がお手上げといった風にしぐさを見せる中、黙り込んでいた凌牙がぽつりと呟く。

 

「ゴルゴニック・ガーディアン。俺はあのカードを見たことがある気がする、あのカードはいったいどこで手に入れたんだ?」

 

 僅かに興味深そうな表情を見せ、堺は言葉を続ける。

 

「あれはあまり人前に出したことは無いんだが……まあいい。ゴルゴニック・ガーディアン、私はその話を君達にしにきたんだ。あのカードを手に入れた場所はとある海底にある空気のドームがある海底遺跡だ。だがどうしてそれが遺跡だと分かったと思う?」

 

 部屋に居た全員が悩むも、分からないと首を横に振り、

 

「それは遊馬君の父が、一馬君が実際にあの場所までたどり着いたからだ」

 

 行方不明の父の情報が飛び出し遊馬は真っ先に飛びつく。

 

「父ちゃんが?!」

 

「ああ、そして遺跡に使われていたタイルや遺跡の内部に書かれていた壁画等を手記を残してくれた。そこからあの遺跡の歴史が少しだけ分かったのだよ。私も船の上まで一緒に同行したが遺跡から戻って来た彼の表情は優れなかった、何故か酷い凍傷まで負っていて理由を尋ねても口を開こうとはしなかった」

 

 堺は懐かしむ様に目を細め、ため息を吐く。堺自身が長年考えても答えの出なかった物を遊馬達に話す。

 

「今思えばあの凍傷も、そして海底遺跡が今なお残っているのもナンバーズの仕業だったのかもしれない、彼はあの場所でいったい何を見たんだろうか、どうしてあんな悲しそうな表情をしていたのか、それが今でも分からない」

 

「遺跡の、ナンバーズだって!」

 

 アストラルが聞いたら喜びそうな話だと、遊馬は思い、詳しい話を聞こうとする。

 だがちらりと腕時計を見た堺は、

 

「もうすでに夜だ、日を改めてもう一度会い、その手記を見せよう。必要ならばその遺跡に行ける様に手配もしよう」

 

 そう提案した上で、

 

「さて、では我々プロ組はWDC補填大会の打ち上げ会としゃれこむつもりだが、君達も来るかな?」

 

                    ●

 

「あったぜ、遺跡のナンバーズ、しかも凄え力だ」

 

 全身ずぶ濡れになりながらもバリアン世界に戻って来たベクターの第1声に他の七皇は湧き立つ。

 

「何それは本当かベクター!?」

 

「ああ、この目ではっきりと見た、あいつらはナンバーズだ」

 

 憎たらしげに吐き捨てるベクター、その瞳には復讐に燃えている。

 ベクターはあのナンバーズ達がどうしても気に食わない、それ以上の虫唾が走る何かをあのナンバーズからは感じていた。

 

―――2人、しかも男女ペア……まさかなぁ、そんな訳無い。あいつらは死んだ筈だ。 

 

 1人で思考の沼へと沈んでいたベクターをドルべの声が呼び戻す。  

 

「あいつらだと?」

 

「あ、ああ、ナンバーズを守る番人みたいなのがいた。しかもあいつら決闘を仕掛けてこないでナンバーズを持ち逃げしやがったんだ。逃げたあいつらを捕まえようと努力したが俺様も人間界ではフルパワーが出せねえから捕まえる事が出来なかった、だが今度会ったらただじゃおかねえ!」

 

 拳を握り、残念そうなそぶりをするベクターへドルベはねぎらいの言葉をかける。

 

「そうか、よくやった、ならば私達全員で遺跡にあるとされるナンバーズを探し出そう」

 

 ドルべの提案にベクターは手を上げ、

 

「待った、俺はこれから九十九遊馬達をあの町で足止めする。アリト、お前も手を貸せ」

 

 急に名指しされたアリトは自分を指さし、

 

「何で俺が?」

 

「お前が遺跡にナンバーズを探しに行ったら遺跡ごとぶっ壊して騒ぎになるかもしれねえか、そしたらあいつらに遺跡に何があるって感づかせる要因にもなっちまう、それに

九十九遊馬は強いぜ、お前よりも熱く強い魂をしているかもしれねえ」

 

 その真っ赤で引き締まった体躯が示す通り、アリトは暑苦しいまでに情熱的に戦いを求め、強い敵に会っては全力でぶつかっていく。

 半面、少しばかり考えない所があり遺跡に行かせるには心配が残る。

 それにアリトの性格や言動は遊馬達の生ぬるい友情ごっこにあうだろう、そうベクターは考えた上での提案だ。

 

「なんだとっ!? 聞き捨てならねえ台詞だな、ベクター。俺が九十九遊馬に負けるって言いたいのか。散々、計画計画云々言っておいて負けて帰ってきた臆病者が!」

 

 さんざん練りに練ったプロ組は最終目的である九十九遊馬からナンバーズを奪えず、気に食わないナンバーズ達に出し抜かれ水を被り、ベクターもかなり苛立っていた。

 そこに来てのこの挑発、普段ならば鼻で笑い飛ばすところなのだが、今回ばかりは腹の虫が収まらない。

 

「あぁん? 俺様の計画に抜け道はねえ! 次の最後の計画で本当に奴らを仕留めてやるんだよぉ!」

 

 険悪になり始めた二人を見咎め、ドルべは僅かに考えた後、

 

「……ではアリトとベクターは九十九遊馬の足止め、私とギラグ、そしてミザエルは遺跡を巡りナンバーズを探すことにするか」

 

 副リーダーであるドルベの言葉に拳を構えていたアリトは拳を開き、ぶつくさと不満をぼやく。

 

「なんで俺が、大体、人間世界では本気の力を出せないんだぜ、そんなつまんねえんだよ」

 

「ほう、アリトは人間界で本気が出せれば行ってくれるのか、ならばこれを渡しておく」

 

 ミザエルが取り出したのは赤い水晶体だ。

 

「これは、バリアンズ・スフィア・キューブ!?」

 

 ミザエルは水晶体の1つを摘み上げ、目と同じ高さまで掲げ、

 

「これを使えばバリアン世界と同じ様にオーバーハンドレットナンバーズを使うことが出来る。ナンバーズの守護者とやらとも本気で決闘ができる。だが、決闘で負ければ酷い重傷を負い、そのまま目を一生覚まさないか可能性がある。十分に注意して使え」

 

 険しい顔をしたミザエルを中心にバリアンズ・スフィア・キューブが手渡しされる。

 本気が出せる様になり、アリトの不機嫌さも少しだけ解消された。

 それを見て、ドルベはアリトがすべきことを命令する。

 

「これでいつでも本気が出せる状況になった、時間を重ね九十九遊馬達を観察し、そして好機を見つけ奴らを九十九遊馬とアストラルを倒せ」

 

 その言葉にベクターも頷き、

 

「なぁに、心配するな、俺様がしばらく適当な人間達を洗脳して九十九遊馬に決闘を仕掛けるからその試合でも見て弱点を把握しておくなり、友達ごっこでもして近くで見守りなよ、人間なんて所詮は捨て駒だが情報収集のためにうまく使って奴らに勝とうぜ」

 

「…………自分の手を汚さない卑屈なベクターにアリトは僅かに眉をしかめるも、その言葉を否定しない。

 その様子を満足げに見つけドルベは手を差し出す。

 

「行くぞ、全てはバリアン世界のために」

 

「「「「全てはバリアン世界のために!」」」」

 

                        ●

 

 バリアン七皇であるギラグが向かうはとある町の近くにあるコロッセウム遺跡だ。

 なんとなくの勘で選んだが遺跡は湖の中に沈んでいた。

 バリアンの力を使えば遺跡の内部に入ることも出来るが、長時間詳しく調べるならば水を抜く必要がある。

 遺跡の近くまで来るも何も起こらず外れかもしれないと考えつつも、ギラグは調査のために近くにあった町でプロ決闘者を1人洗脳し大量の爆薬を購入させた。

 その上で目立たない夜になるまで待ち、湖を爆破。

 水を抜き、濡れて月光を反射するコロッセウムに足を踏み入れた。

 そこはだだっ広くなにもない場所だった。

 ベクターの実体験を聞く限りでは、自分達が踏み込んだだけで何か異常な事が起きると言っていたがそれが起こる様子もない。

 

「ちっ、手間をかけたわりには外れか」

 

 別の場所へ移ろうとした矢先、声が聞こえた。

 一応爆発音は最小にし、騒ぎを大きくしない様に心掛けてはいたが近くに居た人間に感づかれた可能性がある。

 だがギラグは辺りを見渡しても人っ子一人いない。

 夏になりかけの蒸し暑い夜、ギラグの息遣い以外聞こえず、静かだった。

 

「…………気のせいか?」

 

 歩き出そうとした矢先、またしても聞こえた。

 か細い声だ。

 ギラグが声の在処を探し出そうと周りへと目を動かせば、徐々に声は大きくなり、人の気配が感じられるようになった。

 夜が寒くもない気温、人間世界に来て天使のように羽を生やしスプリングで止めている微妙に目立つ服装の大男の人間形態になったギラグの体の震えが何故か止まらない。

 太い二の腕には鳥肌が浮かび、額には脂汗を書いている。

 人の気配は徐々に濃くなり、だが相変わらず人の姿は見えない。

 周りを見回しているうちにギラグの耳には息遣いが聞こえ、生暖かい息が耳元に吹き付けられる。

 それでも人はいない。

 まずいと危険を感じたギラグは走りだそうとすると足を捕まれた。

 

「なっ!?」

 

 バランスを崩したギラグが足元を見れば大量の手が生えている。

 大男であるギラグの力を持ってしても振りほどけないほどの力で無数の手が絡み合い、足を、手を、首を、顔を這い回り、拘束する。

 

「これはなんだっ!?」

 

 横を見れば洗脳してきたプロ決闘者も何十本もの手に拘束されている。

 振り解けず逃げる事もできない状況の中、目の前、コロッセウスの中央に古めかしい軽装の鎧を着た男が徐々に現れる。

 歩くわけでもなく、暗闇に紛れ姿を見せたのでもなく、地面の下より這い上がった男は仇敵にあったように睨み付け、口元を歪ませる。

 

「ああ、死ね、見つ、けたぞ、見、つけた、返、せ、我が怨、敵の気配だ、これ、だ、こ、れだ、殺せや殺せ、我が英雄を奪った子、奴を殺し汚辱を血で注ごう、彼を返せ、我が親友を手に掛けさせた恨み忘れてなるものか、お前が、お前が、お前が」

 

 ひたすらに大量の人物が呟くように何種類もの声色でギラグに全くこれっぽっちも身に覚えのない事を呟いている。

 その姿は若く、身なりの整った昔の貴族風の男だ。

 口から漏れる身に覚えのない事を呟きながら決闘盤をこちらへと突きつけてくる男の姿にギラグは悟る。

 ここは当たりだという確証、そして自分が狩られる立場だと。

 人一人いなかった、人の気配もしなかったコロッセウスはいつの間にか人の様な形で覆い尽くされていた。

 半透明のそれらは手を振り上げ、ひたすらに呪詛を吐きながら中央の男とギラグを見つけている。

 あくまでも慎重に策を練り相手を攻略するギラグは相手のデッキのタイプも分からずにバリアンズ・スフィア・キューブは使う気にはならない。

 ましてや負けたらどうなるか分からないこの状況では賭けに出れる訳が無い、しかし都合よくこの場には町から連れてきたプロ決闘者がいる。

 だからこそギラグは様子見のためにも叫ぶ

 

「行け、奴のナンバーズを刈り取れ!」

 

 プロ決闘者は腕を掴まれていたが無理矢理に腕を動かす。

 元々バリアンの洗脳術は精神力の強い人間いは抵抗されてしまう、だがそれは並の力では抗うことは出来ない。

 デッキを装填したプロ決闘者の男は決闘盤を構えてみせると、中央の男も決闘盤を構える。

 

「ま、あ、前座とし、てはちょうどいいか、さあ皆の者よ、今宵の宴の羊だ、じっくりと味わおうではないか」

 

 時間が立てば立つほどに男の体は半透明から実体を得て、言葉をはっきりと喋れるようになる。

 そうしてゆらりと立つプロ決闘者へと構え、叫ぶ。

 

「「決闘」」

 

                   ●

 

 バリアン世界から人間世界に移動したアリトは道を歩いていた。

 褐色肌の少年の人間形態へと姿を変えたアリトはベクターの用意した隠れ家に用意してあった金を使い、食事を購入し町を歩いていた。

 町はWDC補填大会の話題で盛り上がっている人々を眺め、 

 

「しっかし、本気で決闘できねえってのもつまらねえよなぁ」

 

 ぼやきながら賑やかな方へ賑やかな方へと歩いていると路地から出てきた少女にぶつかってしまった。

 

「おい、危ね」

 

 言葉が途中で切れてしまう、

 

「ご、ごめんなさい」

 

 その少女の姿に見惚れてしまったからだ。

 利発そうな顔立ち、ちょっとだけ驚いた表情、すらりとミニスカートから健康そうに伸びた足、ノースリーブからちょっとだけ除く脇と白い腕、それら全てがアリトのハートを思い一撃を叩き込む。

 それでも熱い使命と強い相手を求めるアリトのハートは崩れ落ちそうになるも踏みとどまる。

 少女の顔を見たまま座り込んだアリトの手を少女の手が握る。

 

「大丈夫?」

 

「て、天使?」

 

 小さく柔らかい手に包まれ、そして僅かに微笑まれたその背にアリトはThe splendid VENUSの様な最上級天使の白く清らかな羽を幻視する。

 いつまでも見ていたくなるような笑顔にアリトのハートはノックダウン寸前だがまだ諦める訳にいかない、全てはバリアン世界の、

 

「えっ?」

 

 小鹿の様にプルプルと振るえるアリトのハートの足腰、それを僅かに首を傾げた少女の姿が薙ぎ払い、アリトのハートが崩れ落ちた。

 

「おーい、小鳥、早く行くぞ! 今から堺さん達と一緒に飯に行こうぜ!」

 

「あっ、待ってよ遊馬! ぶつかっちゃって本当にごめんね」

 

 アリトを引き上げ、小鳥は走っていく。アリトの視線は小鳥と呼ばれた少女の背中を見えなくなるまで追い、

 

「よし、俺は必ず天使のハートを射止めてみせる!!」

 

 アリトは人間世界に来た本来の目的を放り投げた。

 

                   ●

 

 ナンバーズを賭けた決闘は数ターンで亡霊の勝利で終わった。

 街でプロ決闘者を選び洗脳したがそれよりも亡霊の方が圧倒的に強かったためだ。

 ナンバーズの守護者といっても本気を出さなくても勝てるだろうと踏んでいたギラグは認識が甘かった。相手はナンバーズを出さずに勝利したからだ。

 倒されたプロ決闘者を見れば亡霊が取り囲まれる。

 死体を貪り食うハゲワシや野犬の群れに取り込まれたようになっている男の姿を見てギラグはぞっとする。

 それでも生き残るために、そしてバリアン世界のために勇気を持ちサイドデッキを取り出し本来のデッキと混ぜていく。

 決闘に勝った男は決闘中にプロ決闘者から記憶でも奪ったのか言語がはっきりとし、しっかりとした知性を持っている。

 

「ああ、やっと見つけたぞ。私を、全ての民を怪しい術で騙した詐欺師め、貴様を殺さなければ私は死んでも死にきれんッ」

 

 罵る声、観客は声を合わせる様にそれぞれが怨嗟の叫びをあげる。観客の中には子供や老人姿もあり、それらの視線がギラグを射殺すように向けられている。

 当然、記憶にない罵倒にギラグは叫ぶ。

 

「何の話だ、お前等はいったい何の話をしている!?」

 

「黙れ、とぼけた所で無駄だ。貴様のその他者の意識を塗りつぶす術、私は見覚えがある、私達にかけられたのと同じ術だ!」

 

 亡霊達はスタジアムをぐるりと取り囲み見せ物のようにはやし立てる。英雄と化け物の試合を見ているように湧き上がり、叫び狂う。

 

「さあ今宵の本命は貴様だ。大方、彼のナンバーズを狙ってきたのだろうがそうはさせない、あれは彼の持つべき物、貴様等のような薄汚い連中に渡してなるものか」

 

 スタジアムの中央、地面が砕け隆起し人の手が現れる、1枚のカードを掲げているその石像はまさしくチャンピオンの様な風格があった。

 その頂上に男は立ち、カードをつかみ取る。

 

「そのカードはナンバーズ!?」

 

「そうだ、貴様はこれを求めてここに来たのだろう。貴様を殺し、私は彼への贖罪の第一歩とする。彼のナンバーズに群がる詐欺師共を殺し続ければいつかはあの男とも再び会える筈。さあ構えろォ!」

 

 エクストラデッキにそのカードを収納した男の声にギラグを拘束していた手は離れる。

 ギラグは逃げ出すことはできない、すでに周りは取り囲まれている。

 ギラグは覚悟を決め、ミザエルより渡されバリアンズ・スフィア・キューブを取り出し、一瞬だけ自分の敗北を想像してしまい躊躇、そして仲間であるバリアン七皇、そしてバリアン世界の現状を思い浮かべ、

 

「おまえ等がなにを言っているのかは分からねえが良いだろう、おまえ等全員俺が握り潰してやる、バリアンズ・スフィア・フィールド展開!!」

 

 スフィアキューブを床に叩きつける。

 赤いカードの束が展開しコロシアムごと包み込みエネルギーを発生させる。これで亡霊も自分も逃げる事の出来ない状況になった。その上で、

 

「バリアルフォーゼ!!」

 

 ギラグは自分の持つ最大限に発揮させるため人間形態を捨て本来の姿へと戻る。

 

「本性を現したな、この化け物め、貴様はこの私が討ち取らせてもらう」

 

 二人は決闘盤を構え同時に叫ぶ。

 

「「決闘!」」


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