魔界の大魔王(笑)として転生したが、ドラクエ世界ではなく恋姫†無双の世界に転生したのはおかしいんじゃないかな!?   作:てへぺろん

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遂に呂布とミルドラースの戦闘回です。


それでは……


本編どうぞ!




一騎打ち!大陸最強VS魔界の王

 『「……誰も死ななければいいのだろ?」』

 

 

 とある一匹の魔王がそう言った。魔王は天幕から出て行きとある人物の元へと向かった。

 

 

 「……聞きたいことがある」

 

 「――ぬわぁ!?こ、こいつは!!?」

 

 「文ちゃんどうし……きゃあ!?」

 

 

 出陣の準備をしていた文醜と顔良の前に現れたのはミルドラースだった。気配を感じさせぬ登場の仕方に二人は驚いてしまう。

 

 

 「袁紹はどこにいる」

 

 「な、なにか麗羽様に用があんのかよ!」

 

 

 文醜は袁紹に危険が及ぶかもしれないとミルドラースを睨むが全く怯む様子もない。逆に怯んでいるのは文醜の方で腰が引けているのがわかる。顔良はどうしたらいいのかわからずにオロオロとしているところに彼女は現れた。

 

 

 「なんですの騒々しい……!?あ、あなたは!!?」

 

 

 騒いでいるのを兵士が気づき袁紹に報告したようだ。やってきた袁紹はミルドラースを見るなり驚いていた様子ではあったが、頬が若干赤色に染まっていることに気づけた者は誰もいなかった。

 

 

 「袁紹よ」

 

 「な、なにかしら……ミルドラースさん」

 

 「話がある」

 

 

 案内され誰にも邪魔されずに袁紹と対談したミルドラースは去って行く。文醜と顔良から何があったと問われてもしばらくの間は上の空だったと周りの兵士が話していた。

 

 

 ようやくいつもの袁紹に戻った際に彼女は突如として意外な命令を下した。

 

 

 「ミルドラースさんが一騎打ちを申し出ますわ。それを私達は邪魔してはなりませんわよ!皆さんはこの場で待機していてください!

 

 

 多くの諸侯が袁紹の言葉に耳を疑ったが、興味を魅かれるものであった。ミルドラースの実力を測る良い機会にもなると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(……ミルドラース……あなたは私の敵となるのかしら……それとも……)」

 

 

 小覇王は戦場に出向くミルドラースの背中を眺めていた。遠くなるにつれて自身が抱いた恐怖心が静まっていくのを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(孫策さんよりもあれだけは相手にしてはいけませんね……お嬢様にも目立たぬよう言い聞かせておきましょうか)」

 

 

 張勲は贅沢三昧な日々を送る愛しい袁術に目立つ行いをさせないように言い聞かせることにした。あれには目を付けられたくないと震える体を隠し続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(大魔王か……全てを支配する強大な存在……それがミルドラース……)」

 

 

 曹操は一刀から教えてもらったことを思い出していた。大魔王と言う存在の意味を教えられ彼女はずっと考え込んでいた。そんな時に袁紹の命令が下された。曹操はこの一騎打ちに何を思うのであろうか、そして彼女はミルドラースに対して何を感じるのか……

 

 

 「(……私達が敵う相手なの……)」

 

 

 一度芽生えた不安は拭えない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「魔界の王であるミルドラース様自ら一騎打ちをご所望だ!呂布奉先を御指名だ!ミルドラース様を待たせるなど無礼者の証!早々に姿を現せ!!」

 

 

 ミルドラースは公孫賛と趙雲を引き連れて戦場に立っている。ミルドラースはほとんど喋らないので通訳代わりとして二人がついてきたが、公孫賛が苛立ち始めていた。一騎打ちを申し込んでから随分と時間が経っている。ミルドラースを待たせている無礼な行為が許せないらしいが、趙雲がそれを(いさ)める。

 

 

 「白蓮殿落ち着かれよ」

 

 「だが星、ミルドラース様をこれほど待たせるなど許されるものではない!」

 

 「確かにそうですが相手も動揺しているようで……おや、どうやらこれ以上は待たなくて済みそうですぞ」

 

 

 趙雲が言うようにこれ以上待つ必要はなさそうだ。何故なら門が開き一人の手に武器を持つ少女がやってきたからだ。その人物こそ大陸最強の武人……呂布奉先であった。

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 

 呂布とミルドラースは向かい合い無言で視線が交差する。呂布の瞳には恐怖など宿っておらず闘志を感じさせる程に燃え上がっている。連合軍も董卓軍も両方がこの対局を見守っている状態で、これから誰もが予想だにしない戦いが繰り広げられると予感させる。

 

 

 「白蓮、星よ……下がっておれ」

 

 「「はっ!」」

 

 

 公孫賛と趙雲は命令に従い、馬を走らせて距離を取る。これで呂布とミルドラースの周りは誰もいなくなり気兼ねなく力を発揮できるようになった。

 

 

 「呂布よ、私がだれであるかそなたにはすでに分かっておろう」

 

 「……()()()()()()?」

 

 「そうだ。魔界の王にして王の中の王 ミルドラースとは私のことだ

 

 「――ッ!?」

 

 

 その名乗りを聞いただけで呂布の体中に重くのしかかる重圧……今までに感じたことのない威圧感を放つミルドラースを最大の強敵と本能が認識した。

 

 

 「……負け……ない!」

 

 「良い心がけだ。袁紹との話し合いは済んでおる故、私を倒せたらそなたらは自由だ。しかし倒せたらの話だがな」

 

 「勝つ……恋は……友達のため……みんなのために……勝つ!」

 

 

 呂布が戦闘態勢に入った。それを見たミルドラースの瞳に鋭さが増し、更なる威圧感を与える眼光が呂布を睨みつけた。

 

 

 「よかろう……さあ来るがよい。私が魔界の王たる所以を見せてやろう」

 

 

 戦いの火蓋が切って落とされた!

 

 

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 戦場に佇む人と魔王……その様子を遠くから見ていた袁紹は自分の元へとやってきたミルドラースを思い出す。

 

 

 二人っきりで話すことなど周りは許さなかったが袁紹が黙らせた。襲われる可能性だってある何もかもが不明な相手と二人っきりになるなど危険な行為だ。しかし不思議と袁紹はそうは思わず二人っきりになりたいと思ってしまった。気づいた時には既に自身専用の豪華な天幕へと案内して机越しに対面していたのを憶えている。そして彼が袁紹に要求してきたのは呂布奉先との一騎打ちを申し出る許可、そして勝敗に付く条件であった。一騎打ち自体は別に構わないものであったが、勝てば董卓側が降伏し投降、こちらが負ければ即時撤退し連合軍は解体され二度と董卓には関わらないとの条件であった。普通ならば許可できるものではなかったが、袁紹はあっさりと許可を出してしまったのだ。無能な判断であると周りから思われるかもしれないが、彼女は何故か信じられた。

 

 

 このお方なら……ミルドラースさんならば勝利してくれるはず……いいえ!ミルドラースさんならば必ず勝ってくれますわ!

 

 

 交渉を終えたミルドラースが去って行くのを袁紹は名残惜しそうにしていた。そして現在、大陸最強の呂布を相手取ろうとしているミルドラースに視線が向いていた。

 

 

 頑張ってくださいミルドラースさん。わたくしが……応援してますから……!

 

 

 ギュッと胸の前で両手を祈るようにしてミルドラースの勝利を願っていた。

 

 

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 最初に動いたのは呂布の方だった。目にも留まらぬ速さで接近して方天画戟が振り下ろす。人間では捉えることのできぬ一撃を繰り出して来た……常人ならば即死、連合軍の優れた武将でもこれ程の速さの攻撃を逃れるすべはないだろう。しかしミルドラースには見えていた。

 

 

 「――ッ!?」

 

 

 ミルドラースは空へと浮かびそのまま呂布から少し離れた場所に着地した。飛んだと言うより浮遊して大地に降り立った。人間では決してできぬ行為に呂布ですらも驚かされるが彼女はすぐに持ち直す。

 再びミルドラースに接近して方天画戟が振り下ろされる……またしてもミルドラースは空へと回避しようとしたが、二度同じ手は呂布には通じない。振り下ろされた方天画戟が向きを瞬時に変えそのまま斬り上げられた。

 

 

 「――ッ!?」

 

 

 今度はミルドラースが驚く方になるのだった。なんと今まで誰にも触れることすらできなかったミルドラースに傷を負わせたのだから。咄嗟に庇った腕に一線の傷痕ができた。傷痕からは血が流れ出ずに傷口を見ればそこはまるで闇が広がっているようであった。血は出なかったが攻撃が通じることを理解した呂布は手を休めることなく追撃する。ミルドラースの方もそうはさせまいと距離を取り、腕を伸ばして指先を呂布に向ける。その光景を見た呂布は急に停止し身構え、彼女の勘が危険を察して追撃することを断念した……その判断は正しかった。

 

 

 『メラ』

 

 

 何かを口にした瞬間に火球が放たれた。小さな火球であったが、本能が避けろと命じて真横に飛びのいて避ける……破裂する音と焦げる臭いが漂ってきて後ろを確認すると地面が黒焦げになっていた。もしも避けずに受けていたらどうなっていたことか……呂布は警戒を最大レベルにまで引き上げて火球を放ち終えたミルドラースに接近して薙ぎ払う。

 

 

 ザシュッ!

 

 

 音を立ててミルドラースの体を傷つけた。今度は服を裂いて腹に一撃を加えることができた。常人ならば今の一撃で絶命しているだろうが瀕死の様子でもない……人間とかけ離れた耐久を持っていると見て理解することができた。だからと言って隙が出来たこの絶好のチャンスを見逃すことはしなかった。呂布は更に手に持つ武器を振るい一撃ならぬ二撃、三撃を加えることに成功した。

 

 

 「……むぅ!」

 

 

 ミルドラースは堪らず距離を取った。そして今度は大きく息を吸ったと思ったら……

 

 

 カァッ!

 

 

 一気に気温が下がり口から放たれた白い霧のようなもの……『こおりつくいき』が放たれた。大地を凍りつかせながら呂布へと向かっていくが、それを間一髪のところで回避した呂布は流石だ。高い俊敏性と反応力に優れた勘が彼女を生かしている。しかし彼女も無事ではない……間一髪で回避した時に左肩が接触した。その左肩が少し凍りついていた。痛みなど感じずにただ感覚が麻痺して動かしにくい……常人ならばこの異常な状態に取り乱したりするだろうが、彼女は冷静に判断する。この程度ならばまだ戦えると判断し、すぐさま攻撃に移り肉体を切り裂いていく。

 一度、二度ならぬ三度……否、それ以上にここまで傷を与えてきた呂布に対してミルドラースは感心すらしてしまう……だからミルドラースは己の隠していた力を引き出すことにした。

 

 

 「ふん!」

 

 「ぐっ!?」

 

 

 ミルドラースは呂布に体当たりして吹き飛ばした。当てられただけなのに呂布の体は宙に浮き遠くまで飛ばされる……それほどミルドラースの力が強いと示すことであった。しかし驚くのはそれだけではない……吹き飛ばされた呂布が地面に着地し、ミルドラースを視界に入れるとそこには驚く光景が広がっていた。

 

 

 ミルドラースの両手に集まる炎……それが次第に大きさを増し、その両手を天へとかざすと炎が球体となり大きさは人よりも巨大な火球へと姿を変えた。遠く離れている呂布がいる場所からでもわかるぐらいに熱気が伝わって来る。先ほどの火球よりも断然熱く、あれを受ければ人間の体など塵一つとして残らないだろう……凍りついた左肩を気にしながら火球を注視する。

 

 

 「受けてみよ……!」

 

 

 『メラゾーマ』

 

 

 メラ系上位呪文であるメラゾーマが呂布に向かって放たれた。あれを受ければ待っている未来は死……

 

 

 「――ッ!!」

 

 

 呂布は動かない。巨大な火球が迫って来てもそれでも動こうとしない……城門の方から呂布の名を呼ぶ声が必死に聞こえてくるがそれでも彼女はただ火球を睨み返し、手に持つ方天画戟を振りかぶり……

 

 

 「うわぁあああああああああああ!!!」

 

 

 呂布の咆哮と共に振り下ろされる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 メラゾーマを切り裂いた。

 

 

 文字通り巨大な火球は真っ二つに割れて火球は形を維持できずに四散していく。これには誰もが驚きを隠せなかった。ミルドラース本人ですら唖然としているぐらいだったのだから。

 

 

 「――ッん!!」

 

 

 唖然としているミルドラースは無防備の状態で今が攻撃するチャンスであった。呂布は足を走らせミルドラースに接近する。我に返ったミルドラースは息を吸い込み今度は『こおりつくいき』ではなく、『かがやくいき』を放った。今の呂布に対して出し惜しみしている暇はないと判断し、最大の威力をぶつけることにした。ここまで自身を追い詰めた相手に対しての敬意を証を込めて……

 

 

 カァアアアアッ!!!!!

 

 

 大気全てが凍りつくような強烈な息が呂布を飲み込もうとする……冷気に触れてしまう瞬間に彼女は大地を蹴り空へと飛び上がった。しかしそれだけでは逃れることはできない……ミルドラースの『かがやくいき』は呂布を捉えたままで空に飛びあがった彼女目掛けて放たれていた。このまま勝敗が決してしまう……だが大陸最強の名は伊達じゃないと言うことを思い知らされる。

 

 

 呂布は両腕を前へと突き出して方天画戟を回転させた。そして『かがやくいき』を跳ね除けてしまった。人間では耐えることはできないはずの『かがやくいき』をヘリコプターのプロペラの遠心力のように高速で回すことで跳ね除けたのだ。それほどの遠心力など人間では発生させることなどできないし、腕自体が耐えられない……しかしこれは呂布だからこそできたことであり、彼女だからこそできる技量であった。まさしく最強の名に相応しい。この光景にミルドラースも見惚れてしまうばかりであった。

 

 

 「私の……勝ち……!」

 

 

 そのまま空から急降下する呂布とミルドラースが交差する……二人はそのまま動かなくなった。辺り一面は戦いの激しさが静まり返り沈黙した状態が流れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぐふっ!?」

 

 

 そして膝を付いたのはミルドラースの方であった。

 

 

 ------------------

 

 

 呂布は堂々と立っていた。先ほどのメラゾーマの熱で凍っていた左肩も元に戻り痺れは残るが受けた傷の量は遥かにミルドラースの方が多かった。そしてすれ違いざまに受けた一撃がくっきりと体に痕を残している。呂布が()()()のだ。連合軍の方からは信じられないと驚愕する兵士の姿が見え、城門の方からは呂布を称える声が聞こえてくる。

 

 

 「……やるな呂布よ」

 

 「……そっちも……できる」

 

 

 立ち上がったミルドラースと呂布はお互いに称え合う。本来ならば呂布が勝者であろう……

 

 

 すげぇ……呂布ってこんなに強いんだな。メラゾーマやかがやくいきで終わると思っていた。だがそうはならなかった……呂布はそれらを全て乗り越えて俺に一撃を加えて膝をつかせた。まさに大陸最強の武人で誰もが恐れる呂布奉先だ。正直舐めていた……()()姿()()()()でも十分だと思っていた。そう……()()姿()()()()であったならば。

 

 

 ミルドラースは不敵な笑みを浮かべていた。その不敵な笑みにゾクリと呂布の本能が刺激され汗が流れ落ちる。

 

 

 俺は今や魔界の王ミルドラース……これで終われるわけはない。魔界の王ミルドラースとしては負けたが、大魔王ミルドラースとしてはまだ負けていない。俺もここまで強い呂布に感化され本気で相手をしたくなった。全力で相手をするのに相応しい存在……俺の真の姿を見せる時が来た!!

 

 

 呂布は何かを察知し身構える。ミルドラースはその様子を楽し気に見つめている……

 

 

 「さすがだな。呂布奉先よ。しかし不幸なことだ……なまじ強いばかりに私の本当のおそろしさを見ることになるとは……泣くがいい 叫ぶがいい その苦しむ姿が私へのなによりのささげものなのだ。大陸最強の武人などというたわけた存在を私が今ここで断ち切ってやろう!!

 

 

 ミルドラースの肉体に変化が起きる。肉体が光り輝き、その光は天が放つ光かと思うかもしれない……だがそれは全くの真逆のものであった。深淵より何かが現れる……そんな光だった。天候もそれと同時に雲が太陽を遮ってまるで大地が闇に覆いつくされたように薄暗くなった。薄暗くなった中で光り輝くミルドラースの肉体がみるみるうちに大きくなり元の倍以上になったかと思えば形自体が変わっていく。そして長い尾っぽのようなものが現れて輝きは失われていく……

 

 

 「――ッ!!?」

 

 

 呂布の頭上から影が差す……目の前には彼女の肉体よりも何倍も大きい赤く黒い斑点模様を持った腕が四本生えており、巨大な翼が二対、棘の生えた尻尾を生やした太った怪物がそこに存在していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「我は大魔王ミルドラース……魔界の王にして王の中の王である。さぁ呂布よ、我にその恐怖と嘆きを捧げるがいい!!!

 

 

 この世に大魔王(恐怖)が姿を現した瞬間であった。

 

 


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