魔界の大魔王(笑)として転生したが、ドラクエ世界ではなく恋姫†無双の世界に転生したのはおかしいんじゃないかな!?   作:てへぺろん

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ミルドラース爺さんが連合軍へと赴くの巻き……っと言う事で……


それでは……


本編どうぞ!




反董卓連合に参加した魔王は一人で居心地が悪い……

 「あわわ、凄い数だね朱里ちゃん!」

 

 「はわわ、流石の連合軍でしゅ!」

 

 

 龐統と諸葛亮は軍師と言えどもこれだけの数が集まった光景を見たことがなかった。当然といえば当然のことだった。これから歴史に名を刻む将たちが一堂に会する場になるのだから……

 

 

 公孫賛達は連合軍に参加することになった。そしてミルドラースはなるべく史実を壊したくないと思っており、これからのことを考えればこちら側についた方が良いと判断した。だが彼自体がイレギュラーであるため史実を既に壊しているのは明らかであるのだが、それを言ってはいけないことだ。

 そしてたった今しがた公孫賛率いる白馬に乗った部隊と共に劉備達は反董卓連合の集結地まで赴いた。そこには数えきれないほどの鎧に身を包む者、武器の手入れをする者、馬を走らせる者など肉眼でわかるだけで溢れかえっていた。そんな中で深いフードに体全体を隠す人物ことミルドラースは気配を押し殺していた。

 

 

 ミルドラースは氣を操れるようだった。自身の氣を殺して身を隠さないと馬が逃げ出したり兵士が恐慌状態に陥ってしまうと判断したからだ。ミルドラースが連合に参加するべきと言った手前自分だけ安全な幽州で公孫賛達の帰りを待つなど無責任過ぎると思ったようで、隠れながらの参加になった。今では公孫賛の部下もミルドラースを恐れたりしなくなり、共に居てくれるだけで士気が向上すると言われるぐらいだ。崇拝の力は凄いと感じたそうだ。傍から見れば不審者である彼は部下達に紛れて陣営までたどり着くと天幕の中に入って一息つく。

 

 

 「……むぅ」

 

 「おや?主がお疲れとは珍しいことですな?」

 

 

 傍に居た趙雲が珍しいと彼を見る。彼の存在がバレたら厄介なことになるのは目に見えていた。そのことを想像すると疲れる様子らしく、来て早々やっぱ来なければよかったと密かに思い始めていた。

 そんなことを思っていると傍に小さな体の張飛が寄って来た。しかもその手には水が入った茶器を持っており……

 

 

 「ミルじい、これを飲むといいのだ!」

 

 

 笑顔いっぱいにミルドラースに水を差し出した。

 張飛はミルドラースのことをミルドラース+おじいちゃん=ミルじいと呼ぶようになった。不敬だと白蓮は最初怒ったが、ミルドラースが許したので食い下がった。純粋な張飛にとって魔王ミルドラースは単なる優しいおじいちゃんにしか見えていなかった。ミルドラースが長旅で疲れていると思って水を差し出してくれたのだ。

 

 

 「鈴々よ、主は食する必要がない故に水も飲まぬ。忘れたのか?」

 

 「あっ、そうだったのだ……」

 

 

 気を利かせたのに無意味となったことに気づいた張飛はがっかりした様子だった。そんな張飛の頭に感触が伝わって来た。それはミルドラースの手で、人とは違う爪が長く、緑色の手だったが優しく乗せられてまるで「気にするな」と言っているようであった。そのことに気づいた張飛はみるみる元気になっていつもの通りの張飛となった。

 

 

 「ミルじいはやっぱり優しいのだ♪」

 

 

 変わった手であったが、その手に張飛は温もりを感じていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――ッ!?ミルドラース様に纏わりつく害虫の気配がする!!

 

 「ぱ、白蓮ちゃん落ち着こう……ね?」

 

 

 ギリッと唇を噛みしめる公孫賛を落ち着かせようとするのは劉備だ。二人は今、軍議のため一つの天幕に集められていた。隣でミルドラースがいる方角に射殺すような殺気を向けているのを(なだ)めている姿は中々ないだろう……天然の劉備ですら公孫賛を放っておけない程に重症化していた。

 公孫賛は軍議に出たくなかった。軍議の間はミルドラースと離れ離れになり、その間は趙雲がミルドラースの傍で守ってくれているが心配なのだ。どこの誰かもわからない馬の骨が馴れ馴れしく彼に近づいて不敬を働くのではないか、彼に刃を向けるのではないかと妄想が頭の中で膨らんで居ても立っても居られない状態だ。一刻も早くこの軍議を終わらせてあの慈愛に満ちた瞳に自身の姿を映し出してもらいたいと心から慕っていた。そして今、公孫賛がミルドラースに近づく気配を感じ取り天幕は殺気に満ち溢れた。

 

 

 外に居た見張りの兵士が中から漂って来る気配を感じたが恐ろしくて見ることができない。今様子を見に行けば八つ当たりされる……そんな感じがしたからだ。そして中には公孫賛と劉備以外にも集まっていた。天幕内で殺気を放つ公孫賛に全員の視線が注目する……初め各諸侯は自分に向けられた殺気かと身構えたが、その殺気が別の外へと向けられているのだと理解すると警戒をしたままだが困惑した状態だ。一体誰にそれほどの殺気を放っているのだ?彼女の事情を知らないため致し方ないことであった。

 

 

 「なんなの……あれ?」

 

 「あれとは失礼よ雪蓮、あの方が公孫賛殿よ」

 

 「私が言っているのはあの子なんであんなに怖いの?」

 

 「そこまでは……ただ公孫賛殿は気性が優しく、素直な性格だと言われています」

 

 「……どこが?」

 

 「……」

 

 

 天幕内で孫策は傍に控える周瑜に聞いた。だが、呉の軍師である周瑜でもわからないことはあった。

 

 

 「ひっ!七乃、あれはなんなのじゃ!?」

 

 「お嬢様、あれは嫉妬と言って自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと……つまりやきもちです」

 

 「なんでもいいが怖いのじゃ……!七乃なんとかしてたも!」

 

 「自分では何もできない怯える美羽様可愛いです~♪ですが……お嬢様、あれには私も関わりたくないです」

 

 「なんじゃと!?」

 

 

 公孫賛の放つ殺気に怯えている袁術は張勲にどうにかしてもらおうとするが、流石の張勲もあの状態の公孫賛に物申すのは危険だと判断した……怯える袁術をこのまま見ておきたいと思っていたことなど秘密である。

 

 

 「なによあれ……なんであんなのがここにいるのよ……」

 

 「桂花、思っていても口に出さない方がいいと言う事もあるわよ」

 

 「は、はい!華琳様!」

 

 

 曹操の言葉に背筋をピンと伸ばして返答するのは荀彧(真名は桂花)は曹操の軍師である。彼女は曹操に絶対の忠誠を誓い、身も心も彼女に捧げている。とにかく口が悪い毒舌家で、主人とみとめた華琳以外とはなにかと喧嘩を起こすこともある。そして大の男嫌いである。荀彧は曹操に諭されてしまえば素直に従うのが彼女だ……公孫賛に鋭い視線を向けたままであるが……

 椅子に座りながら曹操はチラリと公孫賛を見た。曹操は公孫賛の人柄も知っており比べてみると今の彼女は自分が知っている彼女ではなかった。一体彼女を変えたのは何か……?

 

 

 「(彼女を変えたのは……ミルドラースね。中々変わったことをしてくれる……面白いじゃない!)」

 

 

 曹操はほくそ笑んだ。公孫賛をここまで変えてしまう程の存在がこの場にいると言うことに笑みを浮かべられずにはいられなかった。

 

 

 「おーほっほっほっほ、それでは軍議を始めますわよ!」

 

 

 この殺気が籠った天幕内で堂々と高笑いを上げたのは袁紹だ。彼女は公孫賛が放つ殺気に対して全く気づいておらず、華麗に高らかに宣言した……この場で一人だけ気づかないのも凄いことである。

 

 

 それから董卓軍に対して様々な戦略や準備についての話し合いが行われるかと各諸侯は思っていたが、結局は袁紹が総大将になったということだけである。これには多くの諸侯が呆れた様子だった。そんな時に袁紹から意外な発言が飛び出した。

 

 

 「そう言えば公孫瓚さん、あなたのところにいる……み、みーと「ミルドラース様だ!!」んなっ?!いきなり大声を出さないでくれるかしら!!」

 

 

 袁紹は話題となっているミルドラースなる存在が公孫賛の元にいることを知った。自分よりも目立っていることが何よりも気に入らない彼女は公孫賛に対して一つ二つの文句を言おうとしたが、名前が出て来なかった。それっぽい名を言おうとしたら天幕内に公孫賛の声が響き渡る……

 

 

 「ミルドラース様の名を間違うだと……貴様恥を知れ!!」

 

 「なぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇ!恥を知れですって?!名門たる袁家当主であるわたくし袁本初に向かって無礼ですわ!!」

 

 「袁紹殿よりもミルドラース様の名を間違う方が無礼だ。何が名門だ、ミルドラース様の威光の前ではそんなもの塵にも等しい」

 

 「な、な……なぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 螺旋ドリル(髪)が逆立つほどに怒りを露わにする袁紹に涼し気な表情をする公孫賛……彼女を知っている曹操などは袁紹に対してこれほどの無礼を働く姿を見て驚きを隠せない。隣にいる劉備もあわあわと慌てふためいており、傍に控えていた文醜と顔良が袁紹を止めに入る程に場は混乱する。そんな時に曹操は一つ思いついたことがあった。

 

 

 「そこまで言うならばそのミルドラース()をこの場に連れてこれば袁紹も納得するんじゃないかしら?」

 

 

 曹操の言葉に一同が静まり返る……曹操は後で自身で直接ミルドラースに会いに行こうとしたが、この場を鎮めるには丁度いいし、姿を拝見することができるので利用することにした。しっかりと様付けまでして……

 曹操の提案に袁紹は少し落ち着きを取り戻して髪の乱れを直し言い放つ。

 

 

 「よろしいですわ。そこまで言うならその方をここに連れて来てもらえます……公孫賛さん」

 

 「ふむ、この際にみんなにわかってもらった方がいいかもしれないな。ミルドラース様の偉大さに気づかない者が多いようだし……」

 

 

 その言葉に数名がイラっと怒りを感じた。公孫賛は悪気があって言ったわけではないが、周りからすればカチンとくる言い方である。

 

 

 「よし桃香、私の代わりにミルドラース様を呼んで来てくれ。本来ならば私が行かなければいけないのだが、袁紹殿の相手をしないといけないのでな」

 

 「え、ええっと……」

 

 「……桃香

 

 「――ッ!い、いってきますー!!!」

 

 

 公孫賛に睨まれる形で急いで出て行った劉備が帰って来るまで天幕内は険悪な雰囲気に包まれていた……

 

 

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 「おやおやこれはこれは♪」

 

 「むにゃ……なのだ……」

 

 「……」

 

 

 俺はミルドラース……王の中の王なんだが、鈴々の奴が俺の膝に乗っかって来てそのまま寝てしまった。星はその光景をニヤニヤと見つめている……おいなんだその顔は!?まるで「孫が膝の上で眠ってしまって動けないお爺ちゃん」だと思っていないか!?見た目が爺さん故にその通りなのが腹立たしい……星って俺が主だよな?原作でも一刀君相手におちょくっていたから許してやるけどその顔はやめろムカつくから。

 

 

 ミルドラースの膝の上で幸せそうに寝ている張飛のせいで動くことが出来ずにいる。だが本人は別に悪い気はしていない。ミルドラースは鈴々の幼い寝顔を見ながら頭を撫でていると入って来たのは関羽と諸葛亮と龐統だった。

 

 

 「失礼するミルドラース殿……なっ!?こ、こら鈴々!失礼だぞ!」

 

 「……よい」

 

 

 連合軍の様子を観察して帰って来て早々に張飛を引き離そうとした関羽……それを止めたのはミルドラース本人だった。

 

 

 愛紗は真面目だから俺に迷惑がかかると思っているみたいだが……これも中々悪い気がしない。鈴々に好かれている証拠で嫌われるより断然いい。さっき腹立っていたのは星のせいで鈴々のせいではないからな……こいつ本当に俺を崇拝しているのか?面白がって俺を崇拝しているフリしているだけじゃね?って思うわ。

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 

 そして朱里と雛里が俺の膝で寝ている鈴々に対して羨ましそうな瞳で見つめていた。そんなに羨ましいのか?

 

 

 「朱里、雛里……手が空けば撫でてやる」

 

 「はわわ!?」

 

 「あわわ!?」

 

 

 俺がそう言うと二人は顔を赤らめて恥ずかしそうに顔を隠している……お口が言う事聞いてくれていいものを見れた。この二人は天才的軍師だが、お子様なところもあるようだ……しかし騙されてはいけない。俺は知っている……隠れて夜な夜な如何わしい書物を読み漁っていることを!見た目に騙されてはいけないと言う事だ。特にこの世界ならば女だと思って甘く見たら痛い目を見るからな。

 

 

 そんな時にドタドタと天幕に入って息を切らした劉備が入って来た。

 

 

 「はぁ……はぁ……ミルドラースさん一緒に来てくれませんか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここに白蓮ちゃん達がいるんですけど……」

 

 「ふむ」

 

 

 走って来たのだろう……息を切らして桃香が現れた時はどうしたものかと思ったが、桃香が言うにはまた白蓮が暴走しているらしい……大人しくしろよと思った。それで何故か俺の話題となり、袁紹が俺をここに連れてこいと命令したそうだ。隠れる意味が無くなってしまった……このまま俺が姿を現していいのかと思ったが、それよりも前に桃香が俺を引っ張って軍議会用の天幕へと連れて来られてしまった。鈴々がその拍子に転げ落ちて「痛いのだ?!」と叫んでいたがそれを心配する余裕もなく連れていかれた。あの場には愛紗達がいるから問題ないだろうが、義妹である鈴々にも目もくれないで俺を連れて行くとはそれほど余裕がないということだ。相手があの暴走した白蓮ならば無理もないが……

 

 

 「どうしました主?早く中へ入りましょう?」

 

 

 さり気なく星が付いてきた。桃香に連れて来られ見張りの兵士達が俺のことを不思議そうに見ていた。フードを被って顔が見えない状態なので口元だけが露わとなっている姿に「老人?」とでも思ったのだろう。中から「早くお通ししなさい!」と少し怒っているような声が聞こえてきて入ることを許されたが本当に姿を現していいのかと中々足を踏み出せない。もし正体を現した瞬間に攻撃でもされたらどうしようかと……武勇が優れた星が傍にいるから守ってはくれるだろうけど……反応が予測できずに不安しかない。それに中から気配を読まずとも不穏な空気が漂って来ていた……

 

 

 「ミルドラースさん、早く入りましょう。白蓮ちゃん待っていますから……」

 

 

 何故か俺を見つめる瞳は必死に訴えかけているように見えた……ああもうわかったよ!覚悟決めたわ!俺はミルドラースなんだからこの程度でビビってるのバレたら大魔王(笑)になっちまうからよ!

 

 

 ミルドラースは天幕内へと足を踏み入れた。待っていたのかその場にいる全員の視線が一点に注目される。フードを深く被り顔を隠した辛うじて見える白い髭が老人であることを証明する。まだ各諸侯にはミルドラースの一部しか見えないが、違和感を持つ者が大半だ。このような老人が救世主やら象徴として崇められているのかと。

 

 

 見たことあるキャラいっぱい……曹操じゃん!それに猫耳荀彧も一緒か!孫策に周瑜、袁術可愛いなおい!腹黒張勲も一緒とは……そして螺旋ドリルこと袁紹に文醜&顔良もいるとかこれ全員本物なんだよな……眼福眼福♪俺は感動した!!

 

 

 「ミルドラース様、申し訳ありません……本来なら私が出向くはずなんですが……」

 

 

 跪いて許しを請う公孫賛の姿が目に入る。感動していたはずの心が何やら悲しみに変わったのを感じた。

 

 

 もうあの目立たないからいじけて酒に溺れ愚痴をまき散らす可愛い白蓮はどこかに行ってしまったのか。ごめんなさい白蓮ファンの皆さん……俺の責任だから最後まで面倒みるから許して……

 

 

 心の中で悲壮感に浸りながらも表情は変わらぬミルドラースに対して苛立っている様子の袁紹が言い放つ。

 

 

 「あなたが公孫賛さんが言っていた方ですの?このわたくしの前で顔を隠すのは許しませんわ!早くそれを脱ぐのです!」

 

 

 袁紹の発言に公孫賛が睨むがミルドラースが制止する。趙雲にも目配せしてもしもの時に対応しろと意思表示をしておく。コクリと軽く首を縦に振った趙雲はいつでも動けるように力を抜いた。

 

 

 ……覚悟を決めたぞ。見たいと言うならば見せてやろう……魔界の王である大魔王の存在を!!!

 

 

 フードに手をかけてゆっくりと脱いでいく……次第に今まで噂でしか聞いたことのない人物像を各諸侯は思い浮かべていたがそれらを全て崩壊させることになった。

 

 

 「「「「「――ッ!!?」」」」」

 

 

 この場にいる全員が思わず立ち上がった光景を見た。あの曹操や孫策ですらその衝撃を抑えることなどできなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「魔界の王にして王の中の王 ミルドラースとは私のことだ

 

 

 大魔王ミルドラースの存在が明確に知れ渡ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ッ!!」

 

 「ど、どうしたのですか恋殿?!」

 

 「な、なんやどないしたん?」

 

 「何かあったのか?」

 

 

 小柄な女の子に「恋殿」と呼ばれた褐色肌の大きな2本のアホ毛が特徴的な娘は椅子から急に立ち上がった。幼女以外に周りにいた者からも心配される。

 

 

 「……」

 

 

 アホ毛の娘は何も言わずにそのまま部屋を出て行った。ポカンとする3人であったが、我に返った女の子はその後を急いで追いかけていく。

 

 

 「……なんやったんや?」

 

 「……わからん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……」

 

 

 アホ毛の娘は居城から下町が見える場所へとやってきていた。だが彼女は下町など目もくれずに遠くの方……視線の先には連合軍が詰まっている方角へと向けられていた。

 

 

 「あっ!恋殿見つけましたよ……恋殿?」

 

 「……」

 

 

 小柄な娘に声をかけられても彼女は何も語ることなくただ眺めていた。

 

 

 彼女の本能が知らせていた……体の奥底から今まで一度も感じたことのないもの……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……こわい……

 

 

 傍にいた小柄な娘にも聞こえぬ程に感じたことを呟いてしまっていた……

 

 

質問です。魔王は一匹で十分ですか?

  • もう一匹で十分だ!
  • 最低もう一匹仲間が欲しいぜ!
  • そんなことよりも次話投降しろ!

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