機動戦士ガンダムSEED effect   作:kia

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前に投稿しようとしていた外伝です。相変わらず出来が悪いのですが(汗
短い上に面白いかどうか分かりません。まあ、適当に流してください。


第45.5話 叫び

 

 そこは薄暗い会議室のような場所だった。

 

 部屋には入りきれないほどの人が集まっている。

 

 皆、白衣や整備服を着込んだ男ばかり。

 

 見ているだけでも非常にむさ苦しい面子だ。

 

 そんな中、皆の視線が中央に座っていた男に集まる。

 

 彼こそが今回皆をこの場に集めた張本人だった。

 

 注目された男は神妙な様子で両手を前に組み眼を閉じている。

 

 焦れた別の男がついに彼に質問する。

 

 「おい、今日はどんな―――」

 

 だが、重苦しい雰囲気は変わらず、何も言わない。

 

 再び問いかけようとした時、ようやく男が口を開いた。

 

 「……由々しき事態だ」

 

 「はぁ?」

 

 訳も分からず、そんな言葉が口に出る。

 

 一体何の事なのか?

 

 そんな疑問を全員が抱くが、男が漏らした一言で状況は一変する。

 

 「……奴が戻ってきた」

 

 「えっ、奴って―――まさか!?」

 

 「……アイツが! 我々の天使達を汚そうとするあの悪魔が!! アスト・サガミが戻ってきやがったんだ!!!」

 

 その名を聞いた瞬間、部屋の中が阿鼻叫喚に包まれた。

 

 「嘘だァァ!?」

 

 「ば、馬鹿な!?」

 

 「あの野郎が戻ってきただと!?」

 

 誰もがこの世の無常を嘆くかのように頭を抱え、叫び声を上げていく。

 

 そんな周りの状況についていけない若い整備士が同僚の袖を引く。

 

 「なあ、何なんだ? アスト・サガミって?」

 

 新人である彼が知っているのは、アスト・サガミが同盟のエースパイロットであるという事くらいだった。

 

 「ああ、そうか。新入りのお前は知らないんだったな。アスト・サガミってのはな、皆が言ってる通りの悪魔だ! 俺達の女神を! 天使を籠絡し、汚そうとする最悪の野郎さ!!」

 

 抽象的すぎてピンとこない。

 

 未だに良く分かっていない若い整備士に端末が渡される。

 

 その瞬間、彼は驚愕のあまり叫び声をあげてしまった。

 

 「えぇ―――!! な、な、な、何であのいつも、クールな、マ、マユちゃんが、こ、こんな笑顔を!?」

 

 端末にに写っていたのは、美しい容姿を持った少女マユ・アスカだった。

 

 整備班においてマユ・アスカと言えば非常にクールで有名である。

 

 いつも表情を見せず、限られた人間にしか感情を表さない。

 

 それがマユ・アスカという少女だった。

 

 しかしだからこそ時折見せる優しい気遣いや微笑みに皆、あっさりと落ちてしまう。

 

 そしてそうなった者は口を揃えて言うのだ、彼女こそが天使であると。

 

 つまりここに集まった者達はそんなマユの魅力に魅せられた者達。

 

 マユファンクラブ(非公式)に所属する者たちだったのだ。

 

 メンバーには最新機であるトワイライトフリーダムの開発陣も参加している。

 

 あの機体の武装の名前を音楽用語にしたのも彼らの提案であった。

 

 彼女の機体に無骨な名前は似合わない。

 

 それは他の研究者達との(乱闘という名の)話し合いの末に彼らが勝ち取った栄誉であった。(もちろん他の皆が呆れていたのは言うまでも無い)

 

 とにかくマユ・アスカはここに集った者達にとって犯しがたい聖域のようなもの。

 

 にも関わらず端末に映っている彼女は良くも悪くも女の顔をしているのだ。

 

 「そうだよ。奴がそんな顔をさせているんだ! 俺達もこんな顔、滅多に見た事無いってのに!!」

 

 醜い嫉妬丸出しの発言である。

 

 だが此処には賛同者しかいない。

 

 皆が一斉に力強く頷く。

 

 「それだけではない。こっちもある」

 

 次に渡されたのは金髪の美女レティシアの写真だった。

 

 こちらも見た事が無いほどの優しげな表情を浮かべている。

 

 「あ、嘘だろ、あの女神様がぁぁ!!」

 

 レティシアもマユ同様に女神と崇拝されている存在である。

 

 その容姿と穏やかな性格に惹かれ好意を持つ者も多い。

 

 しかし彼女はすべて素気なくあしらっている。

 

 そんな彼女までこんな顔をさせるなど、絶対に許してはならない。

 

 ていうか羨ましく、妬ましい。

 

 「さらにはアネットさんやエルザさん達とも関係があるという噂もある!」

 

 「最悪の女たらしじゃないですか!!」

 

 「そうだ! だからこそ我らの女神を、天使を、悪魔の手から守らねばならないのだ!!」

 

 

 「「「「おおおおおおお!!!」」」」

 

 

 会議室に集まった勇士達が一斉に雄たけびを上げ、拳を天に突き上げる。

 

 「俺達が守るんだ!!」

 

 「ああ、これ以上奴の好きにさせてたまるかよ!!」

 

 「そうだ! たとえこの手を汚そうとも、必ず魔の手から守り抜くぞ!!」

 

 ここに皆の気持ちが一つになる。

 

 だがそれに水を差すように誰かの端末が鳴り響いた。

 

 「やば、マードックのおやっさんだ!」

 

 急いでスイッチを入れると怒鳴り声が部屋に響き渡った。

 

 《どこで油売ってやがんだァァァァ!!! さっさと仕事に戻りやがれェェ!!》

 

 「うわ!」

 

 「やべぇ!」

 

 マードックの怒鳴り声に皆が顔を青くして部屋を飛び出していった。

 

 

 

 

 当然そんな出来事が起こっていたなど知らないアストはヴァルハラの食堂でキラ、シン、トールの四人で朝食をとっていた。

 

 パンを齧りながら手元のミルクを口に含む。

 

 それをシンが不思議そうに見ていた。

 

 「何だ、シン?」

 

 「あ、いや、アレンっていつもミルクですよね?」

 

 「……問題でもあるか?」

 

 「え、いや、別に」

 

 その様子を見ていたキラとトールが笑いを堪えている。

 

 アストはそんな二人を恨めしそうに睨んだ。

 

 「ま、まだ気にしてたのかよ、身長の事」

 

 アストははっきり言って小柄である。

 

 二年前から結構気にしていたのだが、それはプラントに行っていた間も変わらなかった。

 

 「お前らには俺の気持ちは分からないよ」

 

 キラもトールも二年の間にすっかり身長が伸びていた。

 

 特にキラはかなり背が伸びている。

 

 アストは全然変わらないというのに。

 

 やけ気味にコップに残ったミルクを一気に煽る。

 

 そんなアストの様子にシンはやや頬を引き攣らせながら話題を変える事にした。

 

 「えっと、そういえば、アレン。マユの事なんですけど……」

 

 「なんだ?」

 

 「いや、最近声を掛けても、その、そっけないっていうか」

 

 マユとシンはぎこちないとはいえ和解している。

 

 この前も一緒に食事をしていたし、仲良く話をしていたように思う。

 

 ≪兄さん、ちゃんと制服を着てください。だらしないですよ≫とか。

 

 ≪兄さん、もっと健康に良いもの食べてください。好き嫌いは駄目です≫とか。

 

 仲良く話していた、と思う。

 

 なんか厳しくなったセリスみたいだと思わなくもないが、とにかく兄妹仲良くしていると思っていた。

 

 「分かった、今度話を聞いてみるよ」

 

 「後もう一つ、最近整備班の人達が変な噂してたんですけど……」

 

 「噂? どんな噂だ?」

 

 シンから聞かされた噂はアストにとって寝耳に水な話であった。

 

 曰くアスト・サガミは女たらしであり、常に修羅場に巻き込まれているとか。

 

 女性の着替えを覗いているとか。

 

 まったく身に覚えが……無い事ばかりだった。

 

 「なんでそんな噂が整備班で流れているんだよ!!」

 

 「さあな。俺も整備班の人が話しているのを聞いたけど」

 

 「うん。僕もそうかな」

 

 シンがジト目でこちらを見てくる。

 

 「アレン、もしかして……」

 

 「そんな訳ないだろ! み、身に覚えなんて全然ないぞ! なあ、キラ、トール?」

 

 「う、うん」

 

 「お、おう」

 

 キラもトールもこちらから視線をそらしながら頷く。

 

 「ちょっと待てよ。そんな反応されたら、肯定してるみたいじゃないか!」

 

 「あ、あははは、えっと、あくまで整備班の人達の一部が話してたみたいだから、マードックさんに聞けば何か分かるかもしれないね」

 

 「そ、そうだな。でも最近機嫌悪いんだよな。何か一部の人達がサボり気味だとか言ってたし」

 

 「……とにかく後で格納庫に行って聞いてみる」

 

 こんな噂が流れているとなると、嫌な予感がする。

 

 急いでここから逃げた方がいい。

 

 戦場で培われた直感に従いアストはすぐさま立ち上がる。

 

 「アレン?」

 

 「悪いな、嫌な予感がするんだ」

 

 「奇遇だね。僕もなんだ」

 

 キラと頷き合い食器を片づけ食堂を後にしようとする―――が一足遅かった。

 

 食堂の入口には素敵な笑顔を浮かべた女性陣が仁王立ちして立ちふさがっていた。

 

 代表してレティシアがにこにこ笑いながら前に出る。

 

 目が全く笑ってないが。

 

 子供が即泣きだしてしまいそうな怖さがある。

 

 現に隣に立つキラや後ろからついてきていたシンやトールも震えている。

 

 「アスト君、お話があるのですが」

 

 怖っ!

 

 アストは顔を引き攣らせた。

 

 何故か寒気が止まらない。

 

 この前もアネットから話があるとか言われて説教されたばかりだというのに。

 

 「えっと、な、何の……お話でしょうか?」

 

 そう言うと今度はアネットが前に出る。

 

 こちらも満面の笑みを浮かべていた。

 

 「言わなくてもアンタなら分かってるわよね? さっ、行きましょうか?」

 

 拒否権はないらしい。

 

 最近こんなのばっかりだ。

 

 「あ~丁度良いわ、キラ、あんたも来なさい」

 

 「えっ!?」

 

 「アストとは前に話をしたけど、アンタとはまだだったからねぇ。良いわよね、ラクス?」

 

 「もちろんですわ」

 

 「と言う事よ。早く来なさい」

 

 キラが顔を青くして立ち上がるとフラフラしながら歩いてきた。

 

 二人は逃げる事もできず、連行されてしまった。

 

 

 

 

 なんというかどこかで見たような光景である。

 

 展望室に連れて行かれた二人は正座させられていた。

 

 またも晒しもの。

 

 展望室に出入りしていた人々は全員、ドン引きした表情をうかべて皆出ていく。

 

 それならまだマシだが、中には必死に笑いをこらえている人もいた。

 

 「何も笑う事ないのにね」

 

 「事情を知らない人間からすれば、いい笑いものだろうさ。勘弁してくれ」

 

 そんな彼らの耳にはアネットのお話しと言う名の説教が聞こえてくる。

 

 というかアストは二回目だ。

 

 「結局こうなるんだね、僕達」

 

 「そうだな。ハァ」

 

 通り過ぎる人達がクスクス笑い、少し離れた場所にはついてきたシンとトールが気の毒そうに見ている。

 

 そんな目で見るなら助けてくれ。

 

 「ちょっと聞いてるの!?」

 

 「「は、はい! 聞いてます!!」」

 

 「全くアンタ達は!」

 

 呆れたように腕を組むアネット。

 

 説教はまだまだ続くようだ。

 

 そう諦めかけたアスト達に流石にやりすぎかと思ったのかマユが苦笑しながらアネットを制止する。

 

 「アネットさん、二人も反省している事ですし、お説教はこの辺にして本題に入りませんか?」

 

 「むぅ。ハァ、仕方無いわね。罰は他に考えるとして、アンタ達、もういいから立ちなさい」

 

 若干痺れた足で立ち上がる。

 

 酷い目にあった。

 

 ていうかまだ何かさせるつもりなのか。

 

 「さて本題は、マユの事です」

 

 「マユ?」

 

 二人がマユの方を見ると、本人は視線を泳がしながらと周囲を見ている。

 

 何というか落ち着きがない。

 

 「どうしたんです?」

 

 「最近誰かから見られているらしいんです」

 

 それに一番反応したのはシンだった。

 

 「な、なんですか、それ!! マユ、本当なのか!?」

 

 「落ちついてください、兄さん」

 

 「これが落ち着いていられるか!! それってストーカーかもしれないじゃないか!! そんな奴をマユには絶対に近づけさせないぞ!」

 

 意気込むシンの様子に呆れながらもマユはため息をついた。

 

 「あくまでもたまに視線を感じるくらいです。アストさん達は何か心当たりはないですか?」

 

 「う~ん、具体的にどの辺で視線を感じたりするんだ?」

 

 「……そうですね。格納庫の辺りが一番多かったかな」

 

 格納庫。

 

 アストの噂も整備班の一部で聞いたとか言ってたが。

 

 「噂の事もあるし、マードックさんに話を聞いた方が良いんじゃない?」

 

 面倒な事になる前にさっさと誤解を解いておく事にする。

 

 また正座は御免だ。

 

 「言っておきますけど、あの噂は根も葉もない事ですから」

 

 「……ええ、もちろん、分かってますよ」

 

 だったら何で正座させたんだよと言いたかったがやめた。

 

 多分聞いてくれないだろうし、「アンタの日頃の行いが悪いんでしょ」とか言われるだけだろう。

 

 理不尽だと訴えかけても無駄だろ。

 

 今度、男だけで飲みに行きたい。

 

 「とにかくこんな噂が流れるのは良くないですからね。今は整備班の一部だけですが、ヴァルハラ全体に広がるのも嫌でしょう?」

 

 「当たり前ですよ!」

 

 そんな噂が広まったら―――

 

 冗談じゃない。

 

 青筋立てたカガリとが楽しそうに笑みを浮かべているアイラ王女の姿が光景が目に浮かぶ。

 

 「シン、トール、噂も整備班の人から聞いたって言ってよな」

 

 「ああ、機体の調整をしている時に整備士が話してた」

 

 「俺も格納庫で聞きました」

 

 他の人も皆格納庫やその周辺で話を聞いたらしい。

 

 となれば答えは出ている。

 

 皆で格納庫に向かった。

 

 

 

 

 再び部屋に集まった男達は皆、笑いを堪えていた。

 

 少し前に女性陣にアストが連行されていく姿を目撃していたからだ。

 

 「これで奴も少しは懲りたはず」

 

 「俺達の天使に近づくからこうなるんだ」

 

 これで奴が反省し、少しでも自重してくれればいいのだが。

 

 「マユちゃんに近づく男もいなくなったし、ハッピーエンドだな」

 

 「全くだなぁ」

 

 皆が満足そうに笑みを浮かべていたその時、唐突に部屋の扉が開かれる。

 

 そこには―――

 

 「ここですか」

 

 マユ達女性陣とアスト、シン、キラ、トールとマードックが立っていた。

 

 呆然としていた男達が正気に戻るとそろって叫び声を上げる。

 

 「な、な、な、なんで!!」

 

 「仕事もせず、こんな場所に集まって何やってやがんだぁ!!」

 

 「ヒィィ!!」

 

 「お、おやっさん、その、これはですね」

 

 「で、でも近くでマユちゃんが見れる」

 

 「本当だなぁ」

 

 (一部おかしな事を言っている奴もいたが)そろっていい訳を口にする男たちマードックが一喝して黙らせた。

 

 格納庫に向かったアスト達は非常に機嫌が悪いマードックや他の整備士から話を聞いた。

 

 その際数人がとある部屋に集まっていると噂を聞き、此処へ辿りついたのだが暗い部屋で男だけで何をしていたのだろうか。

 

 「こんな場所に集まって一体をしていたのですか?」

 

 皆が威圧する為、竦み上がっていた男達にラクスが優しく声を掛ける(声は優しげだったが、ラクスもまた笑顔で威圧している)

 

 流石に逃げ切れないと降参したのかポツポツと話を始めた。

 

 その内容に皆が呆れたように頭を押さえた。

 

 「わ、私のファンクラブ、ですか?」

 

 「そうです!」

 

 「最近視線を感じていたのは……」

 

 「不埒な奴が貴方に近づかないように見張っていたのです」

 

 呆然としていたシンが我に返って怒鳴り散らした。

 

 「ふざけんな! やっぱりただのストーカーじゃないか!!」

 

 「そんな連中と一緒にしないで欲しい! 私達は純粋な気持ちで―――」

 

 「同じだろうが!!」

 

 「全然違う!!」

 

 相手に掴みかかって喧嘩するシン達。

 

 というか部屋の中で暴れまわったら端末とか備品が壊れる。

 

 「落ちついてください、兄さん!」

 

 「これが落ち着いていられるもんかよ!!」

 

 熱くなっているシンを止める為にアストも部屋に入ると一斉に睨まれた。

 

 「何で睨まれるんだ?」

 

 とにかくあの噂をしていた事を問いたださないと。

 

 「なんであんな噂をしていた?」

 

 「うるさい、この女ったらしが!」

 

 「なっ」

 

 「そうだ、俺達はアンタが羨ま―――いや、許せないんだよ!」

 

 「このチビ!」

 

 「こ、こいつら!」

 

 好き勝手なことを。

 

 「背の事は関係ないだろう! ……人が気にしてる事を」

 

 女性陣が冷たい視線を向けつつ、机の上に置いてあったものを手に取った。

 

 「あっ、それは」

 

 「これって」

 

 それはマユ達の写真だった。

 

 談笑している場面や食事を取っている所など色々な写真が置いてある。

 

 当然こんな写真を撮られた覚えなど無い。

 

 「盗撮」

 

 「ち、違いますよ。私達はただ純粋に皆さんの良い笑顔をですね―――」

 

 女性陣の視線が一層鋭くなる。

 

 特にマユの視線はそれだけで人を殺せそうな勢いである。

 

 正直この中で一番怖い。

 

 「兄さん、少し黙っていてくれませんか?」

 

 あまりの迫力に掴みかかって喧嘩していたシンも顔を青くして震えあがる。

 

 「マ、マユ、俺はただ―――」

 

 「黙りなさい」

 

 「……はい」

 

 「とにかく貴方達には話を聞かせて貰いますからね」

 

 レティシア達に冷たい言葉に異論がある筈も無い。

 

 全員がコクコクと頷いた。

 

 

 

 

 結局、今回の件でマユファンクラブは(強制的に)解散させられた(ただし未だに存続しているという噂も根強くある)

 

 参加していた者達は全員が罰として宇宙服を着てヴァルハラ外壁の補修をさせられる事になった。

 

 そして―――

 

 「何で俺まで!!」

 

 ファンクラブとは別にアスト、キラ、そしてシンまで参加させられていた。

 

 今までの罰という事らしい。

 

 説教までされた挙句にこの扱いとは。

 

 「お前が熱くなって暴れまわった挙げ句、備品を壊したからだよ」

 

 「うっ」

 

 「二人とも愚痴ってないでやろう。でないと終わらないし」

 

 周囲を見るとまだまだ終わりそうもない。

 

 ファンクラブの連中はまったく懲りていない様子で嬉々として作業を進めている。

 

 はっきり言ってかなりイラつく。

 

 だがこの状況では怒る気にもならない。

 

 「「「ハァ」」」

 

 三人はため息をつきながら、作業を再開した。

 

 

 

 余談だが今回の罰はマユのファンクラブに参加していた者達に課せられた。

 

 なのにアストとキラ、そしてシンまでも参加していた事に、何も知らない周囲の者達は首を傾げ―――

 

 新たな噂が流れ始めるのだった。

 

 彼らこそがファンクラブの首魁ではないかと。




今回の話は刹那さんのアイディア、フリーダム強化案に含まれていたネタです。

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