機動戦士ガンダムSEED effect   作:kia

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第43話  終わらぬ激闘

 

 

 

 

 一条の閃光が人型の物体を貫く度に、大きな光の花のように宇宙を照らす。

 

中立同盟とザフトの戦いは拮抗した状態となっていた。

 

 瓦解しかけていた戦線はキラやラクスが厄介な新型を抑えに回った事。

 

 そしてイザークやフレイが部隊を立て直し始めた事でザフトの機体を押し返すまでに持ち直している。

 

 だが未だに気を抜けない状況である事になんら変わりはない。

 

 特にドムはその装備も含めて、同盟軍の誰もが手を焼いていた。

 

 縦横無尽に暴れまわるドムに対し、ジャスティスを駆るラクスが迎撃に向かう。

 

 ドムの突破力は危険であると判断したためだ。

 

 「貴方達にこれ以上はやらせません」

 

 ラクスは背中のリフター『ファトゥム01』に装備されたハイパーフォルティスビーム砲で牽制しながら、動き回るドムを狙う。

 

 「ジャスティスか!?」

 

 ヒルダ達も背中にリフターを背負っている特徴的な機体の事は当然知っている。

 

 前大戦で叩きだした戦果の事もだ。

 

 「チッ、散開しな!」

 

 フォルティスのビームがドムの陣形を崩し、その隙を突く形でジャスティスが飛び込んでくる。

 

 「ヒルダ!」

 

 「分かってる。相手は同盟の英雄だ。油断するんじゃないよ!」

 

 ジャスティスのビームサーベルをシールドで止めたヒルダは受け流すように機体を横に移動させる。

 

 「流した!?」

 

 「悪いねぇ、アンタとまともに斬り合いなんてやってられないんだよ」 

 

 いくらドムが新型とはいえ量産型の機体である。

 

 ジャスティスとは性能差があり過ぎる。

 

 まともな受け合いなど命取りになるだけだ。

 

 ヒルダは背後に回り込みギガランチャーDR1プレックスを構えて砲弾を撃ち出し

た。

 

 これは砲身上部に実体弾、下段にビーム発射口がある連装式構造の大型バズーカ砲である。

 

 「そう簡単に!」

 

 ラクスは無理やり機体の向きを変え、ビーム砲で砲弾を破壊する。

 

 しかし周囲に散開した他のドムと合流したヒルダは再びスクリーミングニンバス展開。

 

 ジャスティスのビームを弾き飛ばして突撃する。

 

 「そんなものは効かないよ!」

 

 「弾いた!? なるほど、あの装備は厄介ですわね」

 

 突撃してくるドムに幾度となく攻撃を撃ち込むがすべて弾かれてしまう。

 

 ぶつかる直前に機体を上昇させ、攻撃を回避したラクスはドムの動きを注視する。

 

 あの装備を展開している限りはまともにどうにかしようとしても無駄だろう。

 

 ならば―――

 

 三機の敵機は再び連携を組み、反転してくると武器を構えて再びジャスティスに向かってきた。

 

 「しつこい奴だね!!」

 

 「まったくな」

 

 「まあ、これで終わりだろ」

 

 スクリーミングニンバスを展開してジャスティスを狙ってギガランチャーDR1プレックスを一斉に発射した。

 

 仮に砲撃を避けられたとしても、背後に控えた二機がすでにビームサーベルを展開している。

 

 それで仕留められる筈。

 

 しかしヒルダ達の予想に反し、ジャスティスは回避運動を取らずシールドを構えて防御の姿勢を取った。

 

 「避けない?」

 

 「何かの作戦か?」

 

 「なんであれ、これで蹴りをつけるよ!!」

 

 三機は再びジェットストリームアタックを仕掛ける為、一気にジャスティスとの距離を詰め、ビームサーベルを振り抜いた。

 

 だが―――

 

 「なに!?」

 

 ドムの斬撃は敵を捉える事無く空を斬る。

 

 ジャスティスは背中のリフターを分離させ、こちらの視界の外に逃れたのだ。

 

 攻撃が直撃する寸前であった為にヒルダ達が油断していた事も見失ってしまった要因だろう。

 

 こちらの攻撃範囲から離脱したジャスティスを視線で追おうとした次の瞬間、ヒルダ機の腕が何かに掴まれた。

 

 驚く間もなく横に引っ張られ、ヘルベルト機に激突させられてしまう。

 

 「ぐぅ!」

 

 「一体何が!?」

 

 腕を掴んでいるものを確認しようと視線を向ける。

 

 ドムの腕を掴んでいたのはジャスティスのシールドから射出されたグラップルスティンガーだった。

 

 ラクスは思惑通りにいった事に笑みを浮かべる。

 

 確かにスクリーミングニンバスは厄介な武装だ。

 

 だがあの装備は常に展開されている訳ではない。

 

 特に攻撃した後はフィールドは消え、隙が多かった。

 

 ラクスはそこを突いたのである。

 

 ファトゥム01をドムの背後から向かわせ、両翼前縁に設置されているビームブレイドでマーズ機の下腹部を切断する。

 

 さらに態勢を崩したヘルベルト機に分割したビームサーベルを叩きつけた。

 

 ジャスティスの光刃がシールドを構えたヘルベルト機の武装と片足をバラバラに斬り裂く。

 

 そして右足のグリフォンビームブレイドを蹴り上げてヒルダ機の腕を破壊した。

 

 「くそ!」

 

 「やられた!?」 

 

 これ以上の戦闘継続は無理だ。

 

 機体状況を確認したヒルダは即座に決断を下す。

 

 「あんた達、退くよ!」

 

 「くそ!」

 

 「チッ、了解!」

 

 ヒルダ達は生き残っているスラスターを使い、ジャスティスを牽制しながら後退を開始した。

 

 それを確認したラクスは息を吐くと周囲を見渡す。

 

 「かなりの被害が出てしまったようですわね」

 

 それでもドムが退いた事でこちらの部隊も反撃に移りやすくなった。

 

 しかしザフトの部隊も勢いは衰えていない。

 

 イザーク達が部隊を立て直すまでは時間をもう少し時間が掛かる。

 

 それまではこちらで敵機を食い止めるしかない。

 

 ラクスはファトゥム01を背中に戻すと敵部隊に向かって移動を開始した。

 

 

 

 

 ドムとジャスティスの戦いに決着がついた頃、ストライクフリーダムとヴァンクールは激突を繰り返していた。

 

 ハイネは翼を広げ光学残像を発生させ、凄まじい速度でストライクフリーダムに肉薄。

 

 キラは目の前に迫る刃に対し、ギリギリの位置で回避しビームサーベルを下段から逆袈裟に振りあげる。

 

 「やっぱり速い!」

 

 「くそ、そう簡単にはいかないか!」

 

 両者共、剣を交えながら高速ですれ違い弾け飛ぶ。

 

 ハイネは思わず舌打ちした。

 

 フリーダムのパイロットは強い。

 

 何度もタイミングを見計らい仕留めようとアロンダイトで斬りかかっているにも関わらず、敵機の動きを捉える事が出来ない。

 

 さらに猛攻で敵部隊の士気を挫いていたドムの撤退。

 

 部隊を迎撃しているジャスティスによって、同盟も態勢を立て直しつつある。

 

 この状況が続くようなら撤退を考えなければならないだろう。

 

 でなければこちら側に被害が増える一方だからだ。

 

 そしてハイネの懸念通り、同盟は勢いを取り戻しつつあり、それによってザフトの部隊は徐々に押し込まれていく。

 

 

 

 その時―――ザフトの援軍が戦場に介入する。

 

 

 

 それに気がついたのは部隊再編の指揮を執っていたイザークだった。

 

 周囲を確認しながら指示を飛ばしていると機影を捉えた。

 

 「アレは―――」

 

 形状はザフト特有の造形。

 

 全機が翼を広げ光を放出し両手に対艦刀『ベリサルダ』を構えている。

 

 「まさか、報告にあった新型か!?」

 

 イザークの視線の先、戦場に到着したザフトの援軍はシグーディバイドであった。

 

 モノアイが光を発すると同時にI.S.システムが起動。

 

 一糸乱れぬ動きで加速すると攻撃しようとしていたナガミツをベリサルダでバラバラに斬り裂いた。

 

 さらにガトリング砲、ビームライフルを巧みに使い分けながら次々と同盟軍を撃破していく。

 

 「速い!」

 

 そしてシグーディバイドは綺麗に横に並ぶと同時にビームランチャーを構えて一斉に発射する。

 

 強力な閃光が暗闇を照らし、巻き込まれたアルヴィトやヘルヴォルが消えていった。

 

 「チィ、ようやく立て直したと言うのに! 全機、あれと一対一でやり合うな! 連携を取りつつ迎撃しろ!」

 

 「「「了解!」」」

 

 「フレイ、俺達が前に出るぞ!」

 

 「了解!」

 

 イザークのシュバルトライテとフレイのオウカがシグーディバイドを迎撃するために前に出る。

 

 あの数をどこまで抑えられるかは分からない。

 

 しかしここで連中の介入を許せば、戦線は瓦解するだろう。

 

 それだけは阻止しなくてはならない。

 

 「泣きごと言っても始まらん」

 

 イザークはフレイと連携を取りつつ、敵機に向う。

 

 そしてシグーディバイドの介入はハイネと交戦していたキラも伝わる。

 

 「あの機体は―――」

 

 凄まじい速度で移動しつつベリサルダを振るい同盟の機体を斬り裂いていくシグーディバイド。

 

 交戦した際の経験からあの機体の力は良く分かっている。

 

 普通のパイロットではあの機体には敵わない上に数も多い。

 

 ざっと確認しただけでも二十機以上はいるだろう。

 

 イザーク達の援護に向かったジャスティスだけで押さえ切れる数ではない。

 

 キラも援軍に向かいたいが、ヴァンクールと決着をつけなければ動けない。

 

 焦るキラとは対照的にハイネは安堵のため息をついた。

 

 正直、自分だけでこの状況を覆せるとは思っていなかったから助かった。

 

 「悪いが、あんたにはまだ俺の相手をしてもらうぜ!」

 

 「くそ!」

 

 シグーディバイドの攻撃に晒されたブリュンヒルデ部隊は徐々に追い詰められていく。

 

 そこに駆けつけてきたジャスティスがビームブーメランを投げつけ、シグーディバイドのライフルを吹き飛ばした。

 

 「皆さん、一旦下がってください」

 

 「り、了解です」

 

 ラクスはハルバードモードのビームサーベルを上段から振り下ろす。

 

 器用に振う斬撃がシグーディバイドの腕を裂き、敵の反撃を後退して回避する。

 

 そしてファトゥム01を分離させビームブレイドを展開、突撃させてシグーディバイドを斬り裂いた。

 

 しかし撃破したのも束の間、別のシグーディバイドが襲いかかる。

 

 「くっ、この数は面倒ですね」

 

 ジャスティスはファトゥム01を背中に戻し、再び迎撃に向かう。

 

 同盟に傾きかけていた戦況はシグーディバイドの介入によって再び危機的状況に陥ってしまった。

 

 だが再び戦況は変わる。

 

 同盟にとっても―――そしてザフトにとっても予想外の存在が戦場に乱入してきたのである。

 

 

 凄まじい速度で動き、猛威を振るうシグーディバイド。

 

 連携を取っている事もあって普通のパイロットでは対応する事もままならない。

 

 今またシグーディバイドがアドヴァンスアストレイに対艦刀を叩きこもうとした時、側面から何条かのビームが撃ち込まれた。

 

 スラスターを使い機体を上昇させてビームを回避するシグーディバイド。

 

 向き直った先にいたのは、三機のモビルスーツだった。

 

 三機の内の一機はザフトにとっては良く知る機体ガイアだ。

 

 色は違うが間違いない。

 

 その横に立っているのは全身が紅く大型のバックパックを背負った機体。

 

 そして最後の一機。

 

 青と白を基本とし、両肩には特徴的な装甲がついている。

 

 モビルスーツのコックピットに座っていたのはアレックス、バルトフェルド、そしてセレネ。

 

 つまり戦場に駆けつけて来たのはテタルトス軍であった。

 

 アレックスが乗った紅き機体。

 

 LFSA-X003 『ノヴァ・エクィテスガンダム』

 

 テタルトスの最新試作モビルスーツであり、前大戦で投入されたイージスリバイバルをテタルトスの技術をもって発展させた機体である。

 

 武装は高出力ビーム兵器を基本とし、アレックスの特性に合わせ、近接戦闘用の武器が多く搭載されている。

 

 そしてセレネの機体。

 

 LFSA-X005 『エリシュオンガンダム』

 

 テタルトスの最新型モビルスーツ。

 

 この機体はテタルトス軍のタキオンアーマーやその他の特殊装備の実証機として開発されたが本体も非常に高い性能を持っている。

 

 「さて状況を見る限り相当不味い事になってるな」

 

 「ええ、間一髪といったところでしょうか」

 

 「バルトフェルド中佐、セレネ、俺達の目的はあくまでも情報収集と機体の性能テストだ。無理をする必要はない」

 

 「了解。まあ俺は援護に徹するから、後は頼むよ」

 

 相変わらずの物言いに二人は苦笑する。

 

 確かに機体の性能テストを行う必要があるのはセレネのエリシュオンである。

 

 専用のタキオンアーマーも装備してきているし、データも取らねばならないのだ。

 

 アレックスはエリシュオンを先導するように前に出ると戦場を見た。

 

 目標はザフトの新型。

 

 まずはあれの性能を確かめる。

 

 「では予定通りに行くぞ!」

 

 「「了解」」

 

 ノヴァエクィテスとエリシュオンがスラスターを噴射する。

 

 そして二機を援護する為、背後にガイアがついた。

 

 シグーディバイドも接近してくる機影に気がついたのだろう。

 

 ナガミツを一蹴、ビームランチャーで攻撃してくる。

 

 砲身から放たれた強力な一撃。

 

 それをアレックスはシールドを展開してビームを受け止めた。

 

 「強力な火器を装備しているな。だが通用しないぞ」

 

 腰に装備されたビームサーベルを抜きシグーディバイドに斬りかかる。

 

 「反応を見せてもらう」

 

 袈裟懸けの斬撃がビームランチャーの砲身を捉え、真っ二つに分断して破壊した。

 

 しかしアレックスは不満のそうに舌打ちする。

 

 今ので敵機本体を捉えたと思ったのだが、想像以上に反応が速い。

 

 「……なるほど。厄介な機体らしい」

 

 しかもパイロットの技量も普通ではない。

 

 それがこれだけの数いるとなると―――

 

 「さっさと決着をつけた方がいいな」

 

 振りかぶられたベリサルダを脚部に装備されたビームサーベルで破壊。

 

 同時に回し蹴りを叩き込む。

 

 サーベルがシグーディバイドの翼を打ち砕き、変形したガイアがビームブレイドで敵機を両断した。

 

 さらに今度はエリシュオンが動き出す。

 

 腰に装着されていた中型の対艦刀『イシュタル』を両手に構えると刃が縦から横に変化する。

 

 ライフルモードになった対艦刀から放たれたビームにシグーディバイドも虚をつかれ肩を撃たれる。

 

 損傷して体勢を崩す敵機をセレネはライフルモードから戻した対艦刀で斬り裂いた。

 

 「良し、いける!」

 

 肩の装備されたタキオンアーマーのスラスターが噴射され、機体を加速させる。

 

 急激にGが掛かりシートに押し付けられるがセレネは構わずフットペダルを踏み込んだ。

 

 「タキオンアーマーの調子も良い」

 

 タキオンアーマーとはテタルトスが開発した特殊装備である。

 

 各勢力の追加装甲は基本的に機体の防御力と機動性を高めるのが主な役目となっている。

 

 しかしこのタキオンアーマーは機動性強化の方を優先したものとなっていた。

 

 ただ欠点もある。

 

 元々タキオンアーマーはSEEDを発現させたパイロットの動きに機体を追随させるために開発が企画されたもの。

 

 大幅な機動性強化に重点を置いた事から一般パイロットでは扱いきることが出来ないのだ。

 

 その為、エース級、もしくは特殊部隊専用の装備として扱われている。

 

 さらにエリシュオンが装着しているのは専用タキオンアーマーで通常とは機動性のみならず武装も異なっていた。

 

 「セレネ、このまま一気に押し込むぞ!」

 

 「了解です!」

 

 二人のSEEDが同時に弾けた。

 

 感覚が普段とは比べものにならないほど研ぎ澄まされる。

 

 アレックスとセレネはガイアが敵機をビームライフルで牽制した所を見計らい突撃した。

 

 「「はああああああ!!!」」

 

 エリシュオンが肩の二連装ビーム砲を撃ち出して敵機を誘導。

 

 ノヴァエクィテスが一気に懐に飛び込みビームサーベルをシグーディバイドのコックピットに突き刺した。

 

 「次!」

 

 アレックスは背中のシューティングスターからドラグーンを射出する。

 

 射出された砲台が四方に飛びシグーディバイドに向けて三連ビームが放たれた。

 

 強力なビームが敵機の脚部を吹き飛ばし、大きくバランスを崩す。

 

 そこにセレネが対艦刀を横薙ぎに振り抜いた。

 

 

 

 

 敵の攻勢を防いでいたイザークは予期せぬ援軍の方を見る。

 

 するとすぐにその正体を看破した。

 

 「あいつ! フレイ、ここを頼む!」

 

 「えっ!?」

 

 イザークは敵機を牽制しながらノヴァエクィテスの方へ移動すると通信機に向かって怒鳴りつけた。

 

 「貴様、こんな所で何をやっている!?」

 

 近づいてくるシュバルトライテから発せられる声を聞いた途端、アレックスの口元に自然と笑みが浮かんだ。

 

 「相変わらずだな、イザーク」

 

 「そのセリフは前も聞いたぞ! それで?」

 

 「援護に来ただけだ。まあそれだが目的じゃないが、一応味方だ」

 

 シュバルトライテはノヴァエクィテスと背中合わせになるとビームライフルを構える。

 

 「……ならきちんと働いてもらうぞ」

 

 「了解した」

 

 並び立つ二機を見たセレネは思わず呟いた。

 

 「仲が良いですね」

 

 「まあ、元は同じ部隊の仲間だからねぇ。ヤキモチかな?」

 

 バルトフェルドの言葉にしばらく呆然とするセレネだったが、すぐに噴き出したように笑い出した。

 

 「違いますよ。ただ―――アレックスは友達少ないですから」

 

 「……ああ、なるほど」

 

 思い当たる事があるのかバルトフェルドは納得したように頷く。

 

 見事な連携を組む二機にエリシュオンとガイアもシグーディバイド迎撃に加わった。

 

 

 

 

 再び状況が変化した戦場にハイネは思わず毒づいた。

 

 「今度はテタルトスかよ。まったくどうなってんだ」

 

 押し返したと思いきや再びの横やりで戦場はさらに混乱している。

 

 状況は決して良くない。

 

 どうするべきか考え込んでいたハイネの前にストライクフリーダムが飛び込んできた。

 

 両腕に握るビームライフルからの連続射撃をハイネは咄嗟に展開したシールドで防御する。

 

 「チィ!」

 

 後退しながらビームライフルを叩き込み、フラッシュエッジを両手構えて投げつけた。

 

 そこでキラのSEEDが発動した。

 

 「はああああ!」

 

 左右から挟む様に迫る刃を機体をバレルロールさせながらすり抜けると、速度を乗せてサーベルを横薙ぎに振り抜いた。

 

 ギリギリのタイミングでシールド防御に成功するハイネだったが、動きの変わったフリーダムにより危機感を募らせる。

 

 「動きが格段に良くなりやがった」

 

 この急激な変化には覚えがある。

 

 自分を落としたイレイズがダーダネルスの戦いで見せたあの動きだ。

 

 「退くにしても、時間稼ぎくらいはしないとな」

 

 フリーダムを攻撃を前にハイネは味方機に指示を飛ばしながら、応戦する。

 

 その背には冷ややかな汗が滲んでいた。

 

 

 

 

 宇宙の戦況が変わった頃、オーブでの戦いは未だ激しく続いていた。

 

 損傷したアカツキを着地させたカガリはコックピットから飛び出すと国防本部の中に駆け込んた。

 

 「ジブリールは!? 状況はどうなっている!?」

 

 「カガリ様。情報にあったルートを調査させていたところ、ジブリールの部下らしき者達から妨害に遭い、現在交戦状態です。数はこちらが圧倒的に勝っていますのですぐに鎮圧出来るかと」

 

 「奴らはどこに向っている?」

 

 ショウが端末を操作するとモニターにジブリール達が向っている場所が表示された。

 

 「マスドライバーとは反対の方向に向かっているだと……」

 

 もはや地上にジブリールが逃げ延びる場所など無い。

 

 行く場所があるとすれば宇宙しかないのは誰の目にも明らかだった。

 

 だからこそマスドライバーを狙っていると思っていたのだが。

 

 「確かあの辺りは―――」

 

 「はい。モビルスーツのカタパルトがある場所ですね」

 

 モビルスーツを奪って逃げるつもりか。

 

 いや、逃走用の機体を奪ったとしても最初から奴には逃げ場は無い。

 

 「……念の為だ。何機かのモビルスーツにあの辺りを警戒させろ」

 

 「了解」

 

 カガリは戦場の方に視線を移す。そこには似通った二機のモビルスーツが睨みあっていた。

 

 

 

 

 空から舞い降りた機体を見たジェイルは激しく動揺し、胸中には強い疑問が浮かんでいた。

 

 目の前にいるデスティニーに似た機体。

 

 そこから聞こえてきたあり得ない声。

 

 すべてが彼の感情をかき乱す。

 

 「シン……なのかよ」

 

 「ジェイルか」

 

 目の前の機体リヴォルト・デスティニーから聞こえてきた声は間違いなくシンのものだった。

 

 疎ましく思いながらも、超えたいと願い、そして仲間として認めていた存在。

 

 それが何故宿敵を守る様に立ちふさがるのか。

 

 「生きてたのか。けど、ザフトに戻らず、何故フリーダムを守る!?」

 

 ジェイルの言い分にシンは顔を顰めた。

 

 言いたい事は分かる。

 

 彼からすれば当然の疑問だった。

 

 「さっきも言った通りだ。これ以上はやらせない」

 

 シンの言葉にジェイルは操縦桿を固く握り締める。

 

 「裏切ったって事かよ」

 

 「そうじゃない! ジェイル、俺の話を聞け! 俺達は―――」

 

 シンの言葉は最後まで続かない。

 

 途中でベルゼビュートが割り込んで来たのだ。

 

 急速に接近しビームライフルを連続で撃ち込んできた。

 

 「ジェイル、惑わされちゃ駄目! 裏切り者が邪魔だよ!」

 

 「なっ、リース!?」

 

 連射された攻撃をシールドで防御しながら後退する。

 

 マユ達から話を聞いてはいたがベルゼビュートは想像以上に速い。

 

 冷静にベルゼビュートの攻撃を捌きながら、こちらも反撃の構えを取る。

 

 だがその前にマユのトワイライトフリーダムがベルゼビュートに攻撃を仕掛けた。

 

 「下がって、兄さん!」

 

 「マユ!」

 

 「お前は、邪魔ァァ!!!」

 

 横薙ぎに払われるビームクロウをかろうじて避けたマユはサーベルを叩きつける。

 

 鋭く袈裟懸けに振るわれたサーベル。

 

 強烈な一撃をギリギリ止めたリースは、笑みを浮かべてトワイライトフリーダムを見た。

 

 「ホントにしつこいねぇ、マユは。早く死んでよ!」

 

 「貴方は一体何がしたいんですか!?」

 

 弾け飛び、位置を入れ替える様にすれ違う。

 

 「私はただアレンに纏わりつく害虫を駆除しようとしてるだけだよ!!」

 

 リースは両肩のビームキャノンを放ち、ビームソードを斬りつける。

 

 「アストさんがそんな事を望んでるって本気で思っているんですか!?」

 

 フリーダムは強力な斬撃を上昇して回避、ライフルを連射した。

 

 そして敵機がライフルの射撃を避けたところを見計らいラジュール・ビームキャノンを撃ち込んだ。

 

 計算通りの攻撃。

 

 敵はマユの思惑通りに動いてくれた。

 

 後は動きを鈍らせた瞬間を狙うのみ。

 

 しかしベルゼビュートは揺るがない。

 

 避ける事無く腕を突き出し、ビームシールドで弾き飛ばしてしまう。

 

 「アストって言った? 今アストって言ったよね? アレンの本名を―――馴れ馴れしい! お前は殺す! マユ・アスカァァァ!!!」

 

 「なっ」

 

 リースは両腕にビームクロウをマウントすると激しいばかりの光刃を生みだし、マユに突進する。

 

 両腕が野獣の口のようにトワイライトフリーダムを食いちぎらんと襲い掛かった。

 

 「マユ!」

 

 シンは苛烈な攻撃に晒されるトワイライトフリーダムの援護に向かおうとするが、その前にデスティニーが立ちはだかる。

 

 「ジェイル、どけよ!」

 

 デスティニーがアロンダイトを構え、リヴォルトデスティニーがコールブランドを抜く。

 

 「奴は敵だ! 落すのは当然だろうが!!」

 

 「ふざけるな!」

 

 牽制し合っていた二機はどちらからともなく刃を振るい、互いの斬撃が空を切った。

 

 「このォォォ!!!」

 

 デスティニーの翼が広げアロンダイトをリヴォルトデスティニー向って振り抜いた。

 

 「速い!?」

 

 シンは速度の乗った斬撃をシールドで流す。

 

 デスティニーの攻撃は強烈だ。

 

 あの速度から放たれる斬撃をまともに受ければ、シールドごと両断されるだろう。 

 

 「やられてたまるかァァァ!!」

 

 アロンダイトの攻撃を凌いだシンは反撃に転じる。

 

 同じく光の翼を展開し、速度を上げてコールブランドを袈裟懸けに振う。

 

 斬艦刀がデスティニーの装甲をなぞる様に掠め、斬り返すようにジェイルはアロンダイトを振り上げた。

 

 斬艦刀と対艦刀がビームシールドに阻まれ火花を散らす。

 

 「くそォォ!!」

 

 「そこをどけェェ!!」

 

 弾け飛ぶと同時に二機ともビームライフルに持ち替えトリガーを引く。

 

 高速で動き回りながら二機のデスティニーの放った閃光が空中で交わる。

 

 形状のみならず特性まで似たニ機の攻防は絶妙に噛み合い、見事な攻防を生み出していた。

 

 「流石だな、シン!」

 

 「ジェイル、ここまで腕を上げていたなんて!」

 

 正確な射撃と鋭い斬撃。

 

 機体の動きにも全く隙がない。

 

 流石に一度はマユを倒しただけの事はある。

 

 だが今度はそうはいかない。

 

 シンは通信機に向け、さっきの言葉の続きを口にした。

 

 「ジェイル、聞けよ! 俺もミネルバもデストロイを撃破した後の任務で特務隊から攻撃を受けたんだ!」

 

 「ハァ?」

 

 「デュルクとヴィートの二人が―――」

 

 「……もういい」

 

 ジェイルはシンの言葉を最後まで聞かなかった。

 

 まさかそんな嘘でこちらの動揺を誘おうとするとは。

 

 怒りで操縦桿を強く握る。

 

 特務隊がミネルバを攻撃した? 

 

 仮にそうなら当然議長もそれを知っている事になる。

 

 デュランダル議長はミネルバに期待を掛けていたのだ。

 

 そんな事はあり得ない。

 

 シンはジェイル達の信頼を裏切ったのだ。

 

 そして何よりもデュランダルの期待を裏切った。

 

 それだけは絶対に許せない事だった。

 

 「お前の戯言はもういい! ここで決着をつけてやる!!」

 

 「ッ!? ジェイル!!」

 

 距離を詰めて剣を振るう両機。

 

 激突と離脱を繰り返し、距離を取ってビームを放つ。

 

 技量は互角。

 

 いや、機体に慣れていない分、シンがやや不利だろうか。

 

 しかしその差は僅かだ。

 

 この戦闘中にもシンは機体に適応してくるだろう。

 

 その前に決着をつけるべきだとジェイルは一気に勝負に出た。

 

 ビームライフルでリヴォルトデスティニーを誘導しながら、距離を詰めアロンダイトを下段に構える。

 

 当然シンは回避しようとする。

 

 だがジェイルはその瞬間を狙っていた。

 

 アロンダイトを振り上げず、左手のパルマフィオキーナ掌部ビーム砲をリヴォルトデスティニーに向け叩きつけたのだ。

 

 「なっ、掌にビーム砲!?」

 

 完全に虚を突かれてしまった。

 

 防御は間に合わない。

 

 「なら!」

 

 デスティニーから光を放つ掌が突き出される。

 

 シンは機体を傾けながら手に持ったビームライフルを盾代りにパルマフィオキーナ掌部ビーム砲の前に投げつけた。

 

 掌から放たれたビームがライフルを撃ち抜き、二機の至近距離で爆発が起こった。

 

 「何!?」

 

 「ぐううう!「

 

 「あんな避け方をするとはな!」

 

 これで虚を突く形でのパルマフィオキーナ掌部ビーム砲は使えない。

 

 シンは同じ手が通じるほど甘くはないからだ。

 

 なんとか切り抜けたシンもまた驚愕していた。

 

 あんな武装を持ってるとは驚かされた。

 

 もう少し反応が遅れていたらやられていただろう。

 

 「やってくれるじゃないか! だけど俺だって!!」

 

 リヴォルトデスティニーも背中の翼が開くと同時に光を放出。

 

 光学残像を伴いながら両手にコールブランドを構えて斬り掛かる。

 

 「チッ!」

 

 舌打ちしながらジェイルもまた負けてたまるかとばかりにアロンダイトを構えて応戦する。

 

 二機が残像を残しながらも空中で激突した。

 

 

 

 

 トワイライトフリーダムの援護にシンが駆けつけた頃、アストのクルセイドイノセントもまた地上に降下していた。

 

 少し離れた場所に降り立ったアストは周囲を見渡す。

 

 ザフトにオーブ本島ギリギリの位置まで攻め込まれているのを確認した。

 

 「不味いな」

 

 奮戦してはいるが、物量の差か徐々に押し込まれている。

 

 さらに別の方向にではアークエンジェルとミネルバの同型艦が激しい砲撃戦を繰り広げていた。

 

 「ラミアス艦長達なら遅れはとらないだろう。あちらの援護はまた後だな」

 

 アストは苦戦している味方を助ける為、苦戦している場所へ突っ込んでいく。

 

 ムラサメを撃ち落とそうとしているグフに肉薄するとビームカッターを展開、真っ二つに斬り裂いた。

 

 その姿を見たザフト機は皆、立ち竦んでしまった。

 

 「イノセントだと!?」

 

 「また同盟の新型か!?」

 

 怯えを振り払うようにザクがオルトロスを、バビがビーム砲をイノセントに向け撃ち込んできた。

 

 連続で繰り出される何条もの砲撃。

 

 それらすべてを余裕で避けつつ、ビームサーベルを抜き次々斬り捨てた。

 

 さらに下から狙撃してくるザクの攻撃を宙返りして回避するとヴィルト・ビームキャノンを構えてトリガーを引く。

 

 放たれた閃光が近くにいた機体を巻き込みながらザクを破壊した。

 

 「次!」

 

 さらに機体を加速させたアストは舞うように光刃を振るっていく。

 

 そんなイノセントの動きに付いていけないザフト機には為す術も無い。

 

 「くそ!」

 

 「イノセントを落とせ!!」

 

 一斉に砲口をイノセントに向けて発射する。

 

 しかし動き回る機体を捉える事はできない。

 

 そんなイノセントの戦闘に感化された同盟軍は勢いに乗り、徐々にザフト機を押し返していった。

 

 「良し。後は……」

 

 アストが視線を周辺を向けるとマユとシンが敵機と交戦しているのが見える。

 

 あちらはシンに任せておけば大丈夫だろう。

 

 別方向にいるのはレティシアのヴァナディスだ。

 

 敵はザフトの新型三機。

 

 いかに彼女と言えどもあれは厳しいだろう。

 

 アストはレティシア達の方へ移動を開始した。

 

 

 

 

 「死ね!!」

 

 「はああああ!!」

 

 「くっ」

 

 ザルヴァートルとアルカンシェルの猛攻に晒されていたヴァナディスはシールドを展開しながら後退を図る。

 

 「強い!」

 

 セリスはもちろんの事、後から援軍に駆けつけた黒い機体のパイロットも十分強い。

 

 敵機の攻撃を避けつつ、ライフルを構える。

 

 そこに背後から迫ってきたヴィートのシグーディバイドが対艦刀を振り抜いてきた。

 

 「早く落ちろ!」

 

 「まだです!」

 

 腰部のビームガンを背後に向け、剣を振り抜こうとするシグーディバイドを迎撃する。

 

 だが今度はアルカンシェルのビームクロウが迫っていた。

 

 目の前の光刃を機体を傾け何とか回避する。

 

 しかし側面から襲いかかるザルヴァートルがロングビームサーベルを振ってきた。

 

 「ま、だまだ!」

 

 ヴァナディスのシールドが展開、光刃がシールドに阻まれる。

 

 なんとか防御には成功したが同時に体勢が大きく崩されてしまった。

 

 「きゃああ!!」

 

 「終わりだ!」

 

 姿勢を崩したヴァナディスにシグーディバイドがビームランチャーのトリガーを引いた。

 

 閃光がヴァナディス目掛けて撃ち出される。

 

 タイミングは完璧。

 

 しかしビームの射線上に白いのモビルスーツが割り込み、砲撃を止めてみせた。

 

 「何!?」

 

 「あれは」

 

 現れたのはイノセントガンダム。

 

 それを見たレティシアは安堵の笑みをこぼした。

 

 「アスト君!」

 

 「大丈夫ですか、レティシアさん」

 

 「ええ」

 

 レティシアの声にアストもまた口元に笑みを浮かべる。

 

 正面には知っている機体と見た事も無い機体が二機。

 

 イノセントを睨みつけていた。

 

 「新型と例のI.S.システムを搭載した機体か」

 

 「アスト君、あの可変機に乗っているのはセリスです」

 

 「セリスが!? 説得は?」

 

 「しましたが、途中から様子がおかしくなって……」

 

 おそらくはI.S.システムの影響だろう。

 

 という事は説得は無意味。

 

 救出するにはあの機体を破壊するしかない。

 

 そこにシグーディバイドが攻撃を仕掛けてくる。

 

 「たとえ新型だろうが!!」

 

 ヴィートはベリサルダをイノセントに向け袈裟懸けに振り抜いた。

 

 だがアストは最小限の動きで斬撃を避け、瞬時にビームサーベルを抜く。

 

 逆手で引き抜いた一撃は対艦刀の刀身を見事に叩き折った。

 

 「何ィ!!」

 

 「この白い奴がァァァ!!」

 

 怒りに燃えるステラのアルカンシェルが収束ビームガンを放った。

 

 鞭のように伸びたビームが二機に襲いかかる。

 

 アストとレティシアは横っ跳びでそれを避け反撃を開始する。

 

 二機から放たれたビームが三機の連携を崩した。

 

 「逃がすかァァ!!」

 

 「しつこい」

 

 動き回るイノセントを捉えようと収束ビームガンを連射する、ステラ。

 

 「アスト君!?」

 

 アルカンシェルに追い回されるイノセントの援護に向かおうとするが、ザルヴァートルがそれを許さない。

 

 「死ねェェ!」

 

 「セリス、私の話を―――」

 

 「うるさい!!」

 

 レティシアはアインヘリヤルを構えザルヴァートルもまたサーベルを抜く。

 

 両者は再び一対一の戦いにもつれ込んだ。

 

 

 

 

 アストは操縦桿を巧みに動かし、追尾してくるアルカンシェルの収束ビームガンを回避していく。

 

 だが進路に回り込むようにヴィートが待ち構えていた。

 

 ああも容易く対艦刀を折られてしまった事は特務隊のパイロットとして屈辱。

 

 やられっぱなしでは帰れない。

 

 「横から割り込んできて、好きにやらせるかよ!!」

 

 しかしイノセントの動きがここで変わった。

 

 動きに鋭さが増していく。

 

 アストのSEEDが発動したのだ。

 

 シグーディバイドのガトリング砲をすり抜け、すれ違う瞬間にビームサーベルを一閃。

 

 一瞬の内にガトリング砲ごと右腕を叩き斬った。

 

 「な、に!?」 

 

 ヴィートは腕が落とされるその瞬間まで、全く反応できなかった。

 

 戦闘中でありながら驚きを隠せない。

 

 しかし次の瞬間、さらに驚愕する事になる。

 

 「邪魔だ」

 

 「ッ!? お前はまさか―――アレン?」

 

 「ヴィートか!? 悪いがお前に付き合っている暇はない」

 

 イノセントの背後から展開されたワイバーンによってシグーディバイドの両足が切断されてしまった。

 

 その事実にヴィートは頭が沸騰するほどの怒りを覚えた。

 

 「貴様ァァァァァ!!!!」

 

 残った腕でビームランチャーを構える。

 

 だがそれすらも通用しない。

 

 イノセントはサーベルを投擲、ビームランチャーの砲口に突き刺して射線を逸らす。

 

 その隙に距離を詰めてバルムンクを振り上げた。

 

 斬艦刀は容易く腕ごとランチャーを両断、シグーディバイドを海上へと蹴り落とした。

 

 「くそぉぉぉぉ!!!」

 

 抗う術はない。

 

 ヴィートは屈辱と憎悪の叫びを上げる事しか出来ず、海面に落下していった。

 

 

 

 

 オーブの激戦は佳境に差し掛かろうとしている。

 

 そんな中、とある二機のモビルスーツが静かにこの戦場に近づいていた。

 

 アオイのエクセリオンとルシアのエレンシアである。

 

 「流石に凄い激戦ですね」

 

 「本当にね。少尉、あくまでも情報収集を優先しますから」

 

 「了解です」

 

 アオイとて無茶するつもりはない。

 

 ステラの事は心配ではあるが―――

 

 「それにしてもステラが少し羨ましいわね。そこまで思って貰えるなんて」

 

 「えっ! いや、その、ステラはもちろん大切である事は間違いないですけど、大佐が思っているようなものでは……」

 

 「ふふふ、照れちゃって」

 

 「からかわないでくださいよ」

 

 「そうね。冗談はこの辺にして、情報収集を始めましょうか」

 

 アオイとルシアが戦場の情報を収集し始める。

 

 戦場では同盟の機体とザフトの機体が入り乱れて激しい戦いを繰り広げている。

 

 しばらく様子を窺っているとルシアがあの感覚を感じ取った。

 

 「これは!?」

 

 「大佐?」

 

 「少尉、敵が来るわ」

 

 ルシアの言葉に身構えると見覚えのあるモビルスーツが近づいているのが見えた。

 

 ユウナ達を保護した時に交戦したザフトの新型に相違ない。

 

 「アオイ・ミナトの方は任せました。もう一機を俺がやります」

 

 「了解した。今日こそ仕留めさせてもらうぞ、アオイ・ミナト」

 

 デュルクとレイは剣を構えると二機に向け攻撃を開始した。




忙しくて書く時間が無い(汗 オーブ戦も全部書ききれずに中途半端になってしまいました。すいません。明日から出張なので、また時間が取れないし。

機体紹介2更新しました。

エリシュオン、タキオンアーマーは刹那さんのアイディアを使わせてもらいました。
ありがとうございました。モデルはダブルオーガンダム、専用タキオンアーマーはオーライザーかな。


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