暇つぶしに転生させられるって酷い   作:百鬼夜行

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第六話

浅上葵side―

 

5歳の誕生日から2日後の夜、私は高台に魔法の練習をするために来ました。先生はリニスとアラクネにお願いすることにしていたのですが、私の武器や特性が特殊すぎるのであまり教えることはできないとの意見を出されて少し落ち込んでいたりもします。

 

「リニスって結界は出せるの?」

 

「ええ、できますよ。ということで。」

 

リニスが言葉を切ると同時に結界が張られ時間軸がずれた場所へと変わっていった。

 

「それではまず、セットアップをしてみてください。」

 

「アラクネ、セットアップ。」

 

<スタンバイレディ、セットアップ>

 

そう言ってセットアップした私の格好はシスターの修道服の頭巾とベールをとったような服装で、髪は黒いリボンでポニーテールのように結ばれ、手には黒地に白い線がはしった鉤爪のような爪のついた手袋がはめられ手の甲あたりにコアが付くような形になっていた。

 

「バリアジャケットまだ考えてなかったんだけど、なんでもう設定されてるのかな?」

 

<女神があの見た目ならやっぱりこれでしょう!とか言いながら設定していました。ちなみに変更はできませんのでご了承ください。>

 

「まぁ、いっか。戦えないわけじゃないし。考えるのも面倒だったから。」

 

<それはそれで悲しいですよ?マスター。>

 

「まあまあ、二人共そのへんでやめておいて練習の方に入りましょう。」

 

「リニスに賛成。で、何からやるの?」

 

<とりあえず基本となる飛行魔法でも使ってみるとしますか?>

 

「ちなみに呪文は?」

 

<スレイプニール羽ばたいて・・・ですね。>

 

「じゃあ早速。スレイプニール、羽ばたいて・・・。」

 

そう唱えると私の背中の部分から白い翼が一対はえて体が宙に浮く感覚があった。

 

「予想してたのよりもバランスが取りやすくていいねこれ。」

 

<いやいや、マスター。なんで一回目からさも当たり前のように飛んでるんですか?普通無理ですからね?>

 

「そうなの、リニス?」

 

「なんで私にふったのかよくわかりませんが、確かにここまで安定してるのはすごいですね。」

 

「ふーん?まぁ、次にいきましょうか。」

 

<マスター・・・。あまりにも軽すぎですよね?そこがいいんですけど。・・・次は魔力糸を出してみようですかね。なんせマスターの場合それ使えないと何もできないんで。>

 

「魔力糸位デバイスなしでも2,3本は出せるわよ?まあ、やってみるけど。」

 

そう言って私は指先に集中し、両手の指全てから一本ずつ魔力糸をのばしてゆるゆると波打たせながら伸ばしてみせた。ちなみに糸の色は私の魔力光と同じ色の黒だった。

 

「<あまりにも簡単に全ての作業が終わった!?>」

 

「?そうなの?」

 

「アラクネ。私は今までフェイトに教えてきたことがなんだかすべて無駄な努力だったように感じてきましたよ。」

 

<リニス。気をしっかりと持ってください。まだあなたにはできることが残ってますよ。>

 

「リニス?アラクネ?なんだかさっきから私の扱いがちょっとひどくない?」

 

「<そんなことはありません(よ)、マスター(葵)。>」

 

「そうなのかしら?で、アラクネ。次は何をしてみるの?」

 

<そうですね。あまりやることがないんですが・・・。>

 

「私と模擬戦でもしてみませんか?実戦で感覚を養っていくのは大事だと思いますよ。」

 

<そうですね。私もリニスに賛成です。やってやりましょう、マスター。>

 

「なんで私の周りは恭也さんみたいなのが多いのかしら?疲れるわね・・・。やるけれども。」

 

そう言ってリニスと私はお互いに距離をとって向かい合いアラクネの号令を待った。

 

<お二人共よろしいようなので始めたいと思います!始め!>

 

 

sideout

 

三人称side―

 

「はあぁぁ!」

 

「っ!!」

 

アラクネの開始の合図とともにリニスは4つのスフィアを作り出し葵の方へ飛ばした。葵はそれを躱しながらできるだけ細くして見えにくくした魔力糸をリニスの方へ伸ばしていった。その間もリニスからのスフィアでの攻撃は止まらずたえず体を動かし避け続けなくてはならなかった。

 

「葵。躱しているだけでは勝てませんよ?」

 

「ご心配なく!わかっているつもりだから!!・・・縛れ!!」

 

「くっ!?・・・でもこれくらいなら切れますよ!!」

 

掛け声とともにリニスを縛り上げるも糸が細かった分切れやすかったらしくすぐに切られてしまった。更にリニスは畳み掛けるようにスフィアを大量に展開し放ってきた。

 

「これでどうですか!?」

 

「避けるの面倒になっちゃったから全部弾く!!」

 

「なっ!?あなたそれでも魔法初心者ですか?」

 

「魔法初心者でも糸の扱いには慣れてるのよ!というか、なれなきゃ高町家ではやっていけないのよ!!」

 

葵はある程度太くした魔力糸を振るい全てのスフィアを撃ち落とした。これぐらいはできないと恭也さんの飛針よけられないんだよね。恭也さん最初の試合からずっと私のことを鍛えようとしている節があるし・・・。私5歳なんだけどなぁ。なんてことを頭の中では考えていたりする。

 

「戦いの最中に考え事は駄目ですよ!!」

 

「なっ!バインド!?」

 

「サンダー、レイジ!!!」

 

リニスは隙を見逃さずバインドをかけ黒雲を呼びそこから葵めがけて雷撃を放ってきた。凄い爆発音とともに当たった場所からは煙が立ち込めていた。

 

「これで駄目なら・・・。」

 

「ごめん、それなんだか言わせちゃいけない気がするんだっ!」

 

「しまった!?」

 

リニスが言うには早すぎる気がするセリフを発していいるのを止めるかのごとく煙の中から伸びた魔力糸がリニスを縛り上げた。それに続くように出てきた葵の姿は少しバリアジャケットに焦げ目がついているだけの無傷のような状態だった。

 

「しかし!このくらいならなんとか切ることがっ・・・できない!?」

 

リニスはまたも糸を切ろうとするが意外な硬さにあっさり捕まっていることしかできなかった。

 

「ごめんね、リニス。・・・マジックドレイン。」

 

「えっ!?あぐぁぁぁ!!?」

 

リニスは自分の体からどんどん魔力が抜けていくのを感じた。糸を切ろうと一生懸命もがくものの全く切れる様子はなくもがいたぶん消費が激しくなるだけだった。

 

<そこまで!!・・・マスター、リニスに魔力を返しましょう。>

 

「そうなことできるの?ドレインしかできないと思ってた。」

 

<相手から吸い取った魔力はマスターの好きな時に好きなように使えますからどうぞお試しを。そうでなくても魔力ラインの繋がっているリニスならやりやすいと思いますよ?>

 

「私・・・実験台なんですね・・・。」

 

「ご、ごめんねリニス。落ち込まないで、すぐに魔力返すから。」

 

そう言ってさっきまで吸っていた魔力を今度は糸を通してリニスに返していくが、これが思ったよりも気持ちいいらしくリニスはまた違う意味で悶えることになるのはまた別の話だったりする。

 

 

sideout

 

リニスside―

 

訓練からの帰り道に猫形態になり葵に抱っこされながら聞きたいと思っていたことを聞くことにした。

 

「そういえばあのバインドから後どうやってほぼ無傷で出てこられたんですか?」

 

「実に簡単だよ?まずバインドをドレインして、それから魔力糸を私の体の周りに展開。その糸を常時ドレイン状態にしていただけだもの。」

 

「・・・全く簡単には思えなんですが?」

 

「でも失敗はしたのよね。だからあの雷撃少しは食らっちゃったわけだし。」

 

「私は少しですんだことに驚きなんですが・・・。」

 

<マスターの糸使いはすごいですね。正直本当に5歳児なのか疑いたくなりますね。>

 

「生前からやってればこうなるわよ。一応経験の積み重ねなのよね。」

 

「<納得ですね>」

 

「・・・そんな簡単に納得されるとは思わなかった。」

 

「そのぐらいうまいんですよ。あなたの糸の使い方は。」

 

<そうですよ、マスター。胸を張っていいと思いますよ?>

 

「ありがとリニス、アラクネ。これからもこんな感じの訓練でいいかしらね?」

 

「今日の戦い方を見てそれに適した訓練のメニューをアラクネと一緒に考えますので明日からはそれになると思いますよ。」

 

「わかった。決まったら教えてちょうだい。」

 

そうこういっているうちに家にたどり着き葵が桃子さんに見つかり少しお叱りを受けていたのは印象に残りました。

 

 

sideout

 

 

こうして日常は過ぎて行きとうとう物語はその幕を上げることとなる。

 




次次回から無印にはいろうと思います。
ちなみに次回はキャラ設定紹介の予定。

感想と評価お待ちしてます。

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