暇つぶしに転生させられるって酷い   作:百鬼夜行

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ホテル・アグスタ事件です。




第六十三話

浅上葵side―

 

「ただいま、皆。帰ってきたわよ。」

 

1週間ぶりに地球から研究室に帰ってきた。あぁ~、久しぶりだったからすずかの甘え方が凄かったなぁ~。四六時中私から離れなかったしね。大学はいいのかって聞いたら講義はいつも出てるから偶に休んでも大丈夫って言われたんだけど本当に大丈夫なのかな?ちょっとわかんないや。

 

「あら、葵。帰ってきたんですか。丁度よかったです。あなたに頼みたいことがあったんです。」

 

「ん?今度は何をとってくればいいの?リニス。」

 

「えぇっとですね・・・・あぁ、これですね。」

 

そう言ってリニスはあるオークションに出品されるらしい商品の1つを空間ディスプレイに展開してきた。う~ん、私にはただの鉱石にしか見えないんだろうけどきっと特別なものなのかな?まぁ、リニスの考えてることすべてがわかる訳じゃないしいいけどね。えっと?オークションの場所はホテル・アグスタ?・・・・なんか備考に機動六課出動って書かれてるんだけど?

 

「リニス?あなた狙ってやってる?」

 

「偶々です。」

 

「いや、わざとでしょ?あなたに頼まれた仕事で機動六課とぶち当たるの2回目よ?」

 

「気のせいしょう?私は欲しいものを頼んでいるだけですよ。それとも今回はこの仕事はパスしますか?」

 

「ちぇっ、わかったわよ。やってくる。今回はティーダとレヴィを連れて行こうかな?・・・・・思いっきり荒らしまわってやる。」

 

「八神はやての胃の安寧を願います。・・・というよりもティーダを連れて行って大丈夫なんですか?」

 

「ん~?大丈夫でしょ。今回の地球行きでティアナちゃんの心をブレイクしてきたから♪」

 

「どこも大丈夫じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

急に横に現れたティーダに耳元で叫ばれた。とりあえず左腕に闇蛇を1体だけ展開して絡めとってつるし上げてさかさまにしてみた!全力でもがいて逃げようとしてるみたいだけど、闇蛇を舐めない方がいいよ?闇蛇って私の黒糸の数倍の強度あるからね♪

 

「とりあえず話が進まないので降ろしてあげてください。それにその蛇には常時魔力吸収が発動してるはずですよね?」

 

「あれ?そうだったっけ?まぁ、いっか♪じゃあ、とりあえず降ろしてあげるよ。」

 

「ゼェ・・・ハァ・・・。と、とりあえずティアナの心をブレイクしたってどういうことだよ!葵!」

 

「そのままの意味だけど?ティアナちゃんの壊れそうだった精神を軽く揺さぶってあげただけよ。」

 

「軽く揺さぶって精神がブレイクするかぁ!!!いったい何やったんだよ!!!」

 

「えぇ~、味方気にせずに突っ込んできたからそれを利用して副隊長捕まえてその現実を見させただけよ。」

 

「ティアナ自業自得じゃん!!!」

 

魔力吸収されたダメージとショックでorzになってしまったティーダは置いておいて、レヴィを呼んだ後にリニスと今回の作戦について話し合っていたら何故かクイントさんがレヴィを連れてやってきた。あれ?この2人って仲良かったっけ?確かこの前の事件の後から私が出て行くまでの間には特に何も起こらなかったような気が・・・・。

 

「それでね!それでね!その時王様がって、葵ぃ~!お帰り~!」

 

「あらあら、レヴィは元気ねぇ。」

 

「・・・・・・・・・・・親子?」

 

見た目が全く似てないのに親子にしか見えてこないという不思議な現象が今私の目の前で起きている。少しレヴィの歳が行き過ぎてる気がするけど、そこはレヴィの子供っぽさが上手いことカバーしている。特にクイントさんの浮かべている柔らかい微笑みがもう保護者のそれにしか見えない!・・・・家族ってこういうことなのね。あっ、そう言えばスバルちゃんからの伝言があったんだったわね。

 

「クイントさん、スバルちゃんからセットへ伝言よ。『次は絶対負けません!』だって。」

 

「へぇ~?スバルがねぇ・・・。昔はあんなに泣き虫だったのに・・・・・勇ましくなったわね。」

 

「本当に似た者親子よね。あなた達は。・・・・ほら、そろそろ仕事に行くわよ。ティーダ、レヴィ、準備しなさい。」

 

「わかったよ!それじゃあ、僕は準備してくるねぇー!!!」

 

「お、俺魔力殆どとられたんだけど?」

 

「ちゃんと返すから安心しなさい。」

 

準備のために自分の部屋に走っていったレヴィは置いておいて、とりあえず今はティーダから吸い取った分の魔力を回復させる。ちなみに闇蛇で吸い取ってしまった分は闇の書の闇に食べられているので黒糸で以前吸い取ったものを返している。・・・・なんだか今の私って魔力タンクみたいな扱いになってないかな?

 

「さて、これくらいでいいわね?それじゃあ、さっさと行くわよ。ホテル・アグスタへ。」

 

「おぉ~!!!」

 

「ティアナ!待ってろよ!今お兄ちゃんがお前を慰めに行くからな!!!」

 

「いや、あなたが顔出してどうするのよ、ティーダ。あっ、ちゃんとマントと変声機使ってね。」

 

「ちぃくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

sideout

 

 

ティーダside―

 

 

畜生。結局俺はティアナを救いに行けないのか・・・・。結局あの後も葵の命令通りにホテル・アグスタ周辺の敵を倒して攪乱する係りに任命されたしな。まぁ、別にそれはいいんだよ。一番重要な役目をレヴィに任せたのは不安が残るがそれも別にいい!だけど何で、何でこんな場所にまで・・・・

 

「≪ガジェットがいるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!≫」

 

そうなのだ。何故か俺達が到着したときには既にガジェットが何体もホテルの周りを徘徊していた。あちこちで戦闘が起きているようにも見える。ちなみにレヴィは既に今回のターゲットを目指して地下へ、葵は気になる反応があるということで別行動だ。俺への指示は適当に敵を殲滅すること、なのだが・・・さっきからガジェットしか壊せてない。ここら辺、全然局員がいねぇ。おっ?あっちで戦闘してるみたいだな。行ってみるか!

 

「行けます!今度こそ!絶対にぃぃぃぃぃ!―――クロスファイヤ・シュート!!!」

 

「≪なっ!?なんちゅう無茶な撃ち方をっ!?レクス!!!≫」

 

<ソニックシュート。>

 

俺が近づいて見つけたのはティアナが無茶な射撃をして、クイントさんに似た青髪の女の子に魔力弾を当てそうになっているところだった。俺は急いでスピード重視の魔力弾を発射。どうやらティアナの一撃はそこまで重くなかったらしく何とか相殺できた。うむ・・・、逸らせれば御の字だと思っていたんだが・・・。にしても弾をそらしたことで俺の存在がばれちまったな。赤髪を三つ編みにしてツインテールにした少女が上空から俺の方へと近づいてきた。手に持ってる武器がハンマーなことから恐らくベルカ式だな。しかも、古代ベルカ式か?

 

「先程スバルを救ってくれたことは感謝する。だが、おめぇは何者だ?さっきの弾はコントロールはボロボロでも一応カートリッジ8発分をロードされた弾だぞ?それを簡単に相殺するなんて・・・・。」

 

「≪俺は“黒蜘蛛団”のNo.6、スィスだ。≫」

 

「げぇっ!?今回の件“黒蜘蛛団”も関わってんのかよっ!?というかメンバーがいるんならどこかにいるんだろうな、葵も。」

 

「≪今は変な気配を見つけたからと言って単独行動してるぞ。≫」

 

「・・・・・・・・喋ってよかったのか?」

 

「≪お前が葵をどうこうできるとは思えない。そんなリミッターがかかっている状態ではな。≫」

 

「ちっ、リミッターのことわかってやがったのか・・・・。」

 

「≪情報は何よりも強い武器になるんだぜ?≫」

 

「ヴィータ副隊長!その人は敵です!すぐに交戦を!!!」

 

俺とヴィータっていうのか?まぁ、このベルカの騎士が話していたらティアナが怒ってきた。・・・・あれ?どこか怒られるような部分あったか?しかも、凄い睨まれてるんだけど、俺。・・・・お兄ちゃんは悲しいぞ?ティアナ。それよりもある程度言っておかないと後々困ったことになるな。少しアドバイスをしておくか。

 

「≪おいおい、そこのお嬢ちゃん。俺はお前の味方を助けてやったんだぜ?というか何だいさっきの乱射は。はっきり言ってみてるこっちが驚いたぜ。コントロールできないような弾を撃つんじゃねぇよ。危なっかしい。≫」

 

「くっ、私は・・・・私は強くならなきゃいけないのよ!あんたなんかに・・・犯罪者であるあんたなんかに言われる筋合いはない!!!」

 

「≪おいおい、葵に壊された精神が全く回復してねぇじゃねぇか。しっかりしろよ、機動六課。≫」

 

「私はっ!たとえ自分が凡人だったとしてもっ!浅上葵を倒してっ!ランスターの弾は相手を貫けるということをっ!証明するんだぁぁぁ!!!」

 

その言葉と共にティアナがカートリッジを4発ロードして魔力弾を大量に展開して撃ってきた。元々俺はこんな攻撃でやられたりはしない。そうでなくても葵に嫌がらせのように鍛えられているんだ。こんな攻撃でやられてたまるか。でも、ティアナの言葉を聞いた俺はそんなことはどうでもよくなった。レクスのカートリッジを2発ロードして飛んでいる全ての魔力弾+ティアナに狙いを定める。

 

「≪クロス・エクスターミネイション・シュート。≫」

 

「なっ!?なんだよ、この量は・・・。」

 

「ティアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

結果は勿論俺の勝ちだ。ティアナの弾は全て相殺し、中には撃ち落としてもまだ動く奴もあったが、残りの弾全てを使ってティアナを攻撃した。あぁ、安心してくれ。ちゃんと非殺傷設定だ。流石に妹を手にかける趣味はない。ティアナは俺の弾を避けることもできずに全て着弾して地面を転がっていき、気絶した。俺はそんなティアナを呆れて見つめた。

 

「こんのぉぉぉぉぉぉ!!!よくもティアをぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「≪正直言ってうるさい。少し黙ってろ。―――バインド・シュート。≫」

 

「うわっ!?これ、バインドっ!?でも!こんなのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「≪まぁ、1発で抑えられるとは俺も思ってないさ―――バインド・クロス・エクスターミネイション・シュート。≫」

 

そもそもバインド・シュートを思いついたのは、葵の黒糸を見たからだ。葵の黒糸は大抵魔力吸収を付与させている。なら魔力弾にも何か他のものを付与させることが出来るのではないかと考え、作り出したのがこの技だ。そしてこのバインド・シュートをクロス・エクスターミネイション・シュートに付与させて打ち出せばどうなるか・・・。勿論、相手に凄い量のバインドがかかるんだ!

 

「≪さて、そっちの副隊長さんは戦うのかい?≫」

 

「いや、こいつらを守りながらリミッター付きでおめぇを相手にするほど馬鹿じゃねぇよ。」

 

「≪そうかい。ならそこの勘違いしてるお嬢ちゃんに伝えておいてくれ。ランスターの弾は敵を貫くものじゃなく、誰かを守るものだったはずだとな。≫」

 

「なに?まさかお前はっ!?」

 

「≪あばよっ!≫」

 

それだけ言って俺はヴィータとかいう副隊長の前から離脱した。う~ん、ちょっとヒントがわかりやすすぎたかな?あぁ~、絶対後で葵に大目玉喰らうだろうなぁ。・・・ティアナ、仲間を信じてもっと強くなれよ?

 

 

sideout

 

 

 




今回はある意味ティーダ回でした。

そして、ばれてしまったかもしれないティーダの生存!

果たしてヴィータが気が付いたのは何なのか・・・・。

そしてそれはティアナに伝えられるのでしょうか・・・・。


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