暇つぶしに転生させられるって酷い   作:百鬼夜行

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ちょっと10日間ほどネット環境のない場所に行ってました。

帰ってこれたので更新します。



第六十二話

はやてside―

 

葵ちゃんに遭遇してから私達は海鳴市全体にサーチャーを展開してアリサちゃんが用意してくれたペンションで休んどった。今回の葵ちゃんとの接触は幸いなことに人的被害はゼロやった。だけど、ティアナが心を折られて今は不安定になっとるからシャマルに治療してもらっとる。ついでに何故か私の上着のポケットにキャベジンの瓶と太田胃散の箱がはいっとったけどありがたく頂いておいた。というよりも今すぐこの薬を服用したい。なぜなら・・・・

 

「八神総部隊長やなのは隊長、それにフェイト隊長達は浅上葵と昔から面識があるんですか?」

 

「わ、私も知りたいです!」

 

「ぼ、僕もいいですか?」

 

フォワード陣の精神的にも元気なスバル、キャロ、エリオが私、なのはちゃん、フェイトちゃんが話し合っているところにやってきてこんな質問をしてきたからや。はぁ・・・・・、まぁ?いつかは聞かれるとは思っとったんよ?なんせ葵ちゃんは私等のことを名前呼びしてるし、なのはちゃんとフェイトちゃんにはとことん甘いしなぁ~。だけど、少し早すぎんか?これはあれやな、すずかちゃんの呪いかもしれへんな。

 

「うふふふ、ねぇ、はやてちゃん?今何か変なこと考えなかった?」

 

「何も考えてへんで?すずかちゃん。だから、その手に持ってるナイフを置いてくれへんか?ちょっと首筋が怖いんよ。」

 

「だってねぇ?今日は葵ちゃんがずっと私と一緒にいてくれる予定だったんだよ?それをどこかの誰かさんが追い払っちゃって私はとっても寂しいんだぁ~。」

 

「うん、謝る。謝るからナイフで首筋を撫でんで下さい!はっきり言ってすずかちゃん変わり過ぎやろ!?小学校の頃のあの天使みたいなすずかちゃんはどこ行ったんや!?・・・・あぁ、胃が痛い。」

 

とりあえず、すずかちゃんをアインスに押し付けて宥めてもらうことにした。なんだか人選をミスったような気がするけど気にしたら負けやね。何はともあれ、ちょっと真剣な顔でこっちを見とるフォワード陣の方へと向き直る。なのはちゃんとフェイトちゃんも私の側に座ってくれとるから話がしやすいしな。ほな、私達と葵ちゃんの関係について簡単に説明しとこか。

 

「スバルの言う通りや。私やなのは隊長、フェイト隊長や副隊長達は皆、浅上葵とは昔からの顔見知りや。私が葵ちゃんに初めて会ったんは闇の書事件やな。」

 

「私は子供のころ葵ちゃんと一緒に住んでたんだ。」

 

「私はなのはと初めて出会ったAA事件、葵が犯罪者になった事件で出会ったんだ。」

 

「・・・・・それならなぜこんな部隊を?お友達なんですよね?捕まえるのが平気なんですか?」

 

「浅上葵を捕まえる、この指令は私がこの部隊を作る条件として上から言い渡されたもんや。まぁ、そこまでの過度な期待はされてへんと思うよ?なんせ葵ちゃんは1人で1個小隊を簡単に相手にすることが出来る強さを持っとるからな。」

 

「あはは、そう言えばまだ小学生だった頃に、当時まだ執務官だったクロノ提督となのは隊長、ユーノ司書長と30人近い局員を1人で倒しとるしてたなぁ・・・・無傷で。」

 

「そんなに強いんですか!?・・・それとなのはさんに聞きたいことがあるんですが、浅上葵と私ってリニアでの事件以前に遭遇してますか?」

 

「うん、会ってるよ。スバルとギンガ捜査官が巻き込まれた空港の火災事故の現場にいたからね。あの時にスバルが像の下敷きになりそうになってるのを止めたのは葵ちゃんだよ?後、ギンガ捜査官を助けたのもね。」

 

「・・・・・やっぱり、そう・・・ですか。」

 

さっきまでエリオやキャロに変わって私達に質問しとったスバルがなのはちゃんの言葉で落ち込んでしもうた。まぁ、あの事件で救ってくれた人に今でも憧れとるっていっとったもんな。その憧れの人が犯罪者だったっていうのはちょっと辛いかもしれんな。落ち込んで質問を続けられそうにないスバルに変わって今度はエリオが質問してきた。

 

「あの、浅上葵さんってなんで犯罪者になったんですか?なんだかあの人は余り犯罪者に見えないんですけど・・・?」

 

「そうやなぁ~、それは本人から聞くのが一番なんやけどなぁ~。はぁ・・・・、やり辛いわぁ~。」

 

「ん?じゃあ話そうか?」

 

「ええの?ほな、お願いしようかな?・・・・・・って、ちょい待ち!何で葵ちゃんがここにおるん!?」

 

声に対して横を見てみると葵ちゃんが優雅に紅茶を飲んでいた。一気にフォワード陣が後ろへ跳び下がりヴィータとシグナムがフォワード陣を守るように前に出た。・・・・・最悪や、1日に2回も会う羽目になるなんてな。ハハハハハ、胃が痛い。

 

「えっ?すずかと一緒にいる約束してたからだけど何か?」

 

「何か?じゃないわ!どう考えてもおかしいやろうが!なんで管理局の人間が大量にいるところに普通に入ってきて紅茶まで飲んでるんねん!管理局を恨んでる設定はどこ行ったんねん!」

 

「やだなぁ、はやて。私は別にあなた達に恨みはないよ?だからここにいるんだし。というかここにいる人物がほとんど顔見知りなんだから別にいてもいいじゃない。」

 

「よかないわ!葵ちゃんは犯罪者!私達は管理局!本来なら葵ちゃんを捕まえなきゃならんのや!というかどうか私の胃の安寧のために捕まってください!」

 

「絶対に嫌だ。というよりも胃の安寧のために胃薬あげたでしょ?」

 

「あれは葵ちゃんだったんかい!!!はぁ・・・・、もういやや。」

 

そうだ、簡単に予測できた回答だっていうのになんで私はこんなに落ち込んでいるんやろうな?あははは、やっぱ辛いわぁ~。流石の私ももう限界で床に手をついてorzの恰好になってもうとる。もうしばらくこの状態から動きたくないわぁ~。・・・・後は頼んだで?フェイトちゃん。

 

 

sideout

 

 

フェイトside―

 

うん、任されたよ、はやて。だから今はゆっくり休んでね?はやてが行動不能に陥ったのでここからは私が葵への質問役を引き継ぐことになった。でもね?いつの間にか葵にしがみついてたすずかと目の前でイチャイチャされるのは流石に私でもイラッと来るなぁ・・・。なのはだって目からハイライトが消えてるし・・・。あっ、スバルがすっごく怯えてる。

 

「それじゃあ、本当にフォワード陣に話しちゃってもいいの?葵。」

 

「別にいいわよ?私が犯罪者になった理由でしょ?簡単じゃない。家族を管理局に殺されただけなんだから。」

 

「「「・・・・・・・・・・・・えっ?」」」

 

フォワード陣が葵の言葉で呆気にとられている。まぁ、私達はそれよりも葵の体から漏れ出ている殺気にびくびくしてるけどね?フォワード陣でその殺気に最初に気が付けたのはキャロだった。そもそもなんでフォワード陣が葵の殺気に気が付けないかというと全員葵のことをまっすぐ見てないからだ。キャロはフリードが葵を見て怯えてるのに気が付いて初めて葵を直視した。そしてキャロが震えだしたことでエリオが見て次に空気がおかしいことに気が付いたスバルが見た。結果、全員震えることになっちゃった。まぁ、そろそろ止めてあげないと可哀想だね。

 

「葵、殺気を収めてくれない?ちょっと漏れちゃってるよ?」

 

「ん?おっと、いけないけない。それで?なんだったっけ?・・・・あぁ、そうそう。私の家族が管理局に殺されちゃったところまで話したんだっけ?元々私の父は管理局の人間だった。そして管理局の裏に触れちゃったんだよね。」

 

「か、管理局の裏、ですか?」

 

「そうだよ、スバルちゃん。管理局にはね正義を謳う表と、欲にまみれて違法なことを行う裏がある。私の家族はその裏に殺された。」

 

「う、嘘です!裏なんてあるはずが!」

 

「へぇ~?あなたがそれを言うの?エリオ・モンディアル。」

 

「ぼ、僕の名前を!?」

 

「まぁ、この部隊全員の名前くらい知ってるよ。それよりもあなたとフェイトが生まれた要因、プロジェクトFはそもそも管理局の裏が作ったものだったのよ?それにあなたが連れて行かれた違法な研究所も同じくね。」

 

「そ、そんな・・・・・。」

 

「エリオ君!?大丈夫?」

 

葵の言葉でエリオがかなり落ち込んでしまった。葵もかなり意地悪だよね?まだエリオにはその話は早すぎるからって話してなかったのに!とりあえず私もエリオに近付いて背中を撫でて宥めてあげた。葵はエリオの方をチラッと見てから話を続けた。

 

「まぁ、管理局の裏の話はまた今度でいいや。で、私が犯罪者になったAA事件は・・・・フェイトを庇った結果なんだよね。あ、後プレシアさん。」

 

「フェイトさんを庇った?それは一体どういうことですか?」

 

「詳しい話は私じゃなくて当事者に後で聞いてちょうだい、キャロちゃん。あぁ~、めんどくさくなってきちゃった。そろそろ私は帰ろうかな?すずか、あなたもそれでいい?」

 

「うん、そうだね。帰って久しぶりの葵ちゃんを堪能しなきゃね!」

 

それだけ言って葵とすずかは立ち上がった。それを見たはやてが凄く幸せそうな顔をしているから私からは何も言えないね。・・・・・寂しいけど。なのはやアインスも同じことを考えてるみたいで少し物足りなそうだ。扉から出て行こうとした葵がふと止まって私の方に何かを投げてきた。

 

「おっと・・・・。葵?これ何?」

 

「今回の騒ぎのお詫びの品よ。あなた達が探していたロストロギア、封印処理もしっかりしてあるから安心していいわ。」

 

「そうなの?ありがとうね、葵。はやて、任務終わっちゃったよ?」

 

「そうやな、私からもお礼を言わせてもらわんとな。ありがとな、葵ちゃん。」

 

「いいわよ、別に。それとティアナちゃんに伝言頼むわ。あなたのお兄さんを殺したのは私じゃない、どちらかというとあなたは私と似たような境遇よ、ってね。」

 

「うん、ティアナが起きたら伝えておくね。」

 

なのはの答えを聞いてから葵ちゃんはまだ落ち込んで立ち上がれていないエリオの方へと歩いてきた。そしてエリオの側にしゃがみ込むとびっくりしたことにエリオを励まし始めた。

 

「後、エリオ君。落ち込む気持ちはわかるけれどあなたには頼れる仲間がいるでしょ?フェイトなんていい相談相手になってくれるわよ?だから仲間を頼って強くいきなさい。」

 

「・・・・・・はい。」

 

エリオの返事を聞いて納得した顔になった葵が今度はスバルの方を向いた。

 

「そう言えばスバルちゃんにはセットからの伝言があったわね。『もっとしっかり鍛錬してもらいなさい。』だそうよ?」

 

「あの人がですか?・・・・わかりました!こちらからも伝言お願いします!次は絶対に負けません!」

 

「いいわよ。・・・・絶対似た者親子ね(ボソッ)。」

 

何か葵ちゃんが呟いたような気がしたけれど私達は全員よく聞き取れなかった。葵はもう用事は全て済んだらしく扉から出て行った。すずかもそれについて行ったからきっと向かう先は月村邸だと思う。でも、私達は誰も葵を追うようなことはしなかった。

 

 

sideout

 

 

 




はやての胃はお亡くなりになったのだ!

フェイトは過保護・・・・なイメージがあるんですが私だけでしょうか?


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