暇つぶしに転生させられるって酷い   作:百鬼夜行

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第四十四話

 

浅上葵side―

 

「水を差してしまってすまないんだが、まだ戦いは終わっていない。これからあの闇の書の闇と戦わなきゃいけないんだ。こちらの話を聞いてくれないかい?」

 

「ここで私の用事は終わりかな?帰っておいた方がいいな。それじゃあね♪」

 

そう言って帰ろうとした私のことを後ろからフェイト、なのちゃん、はやて、ヴォルケンリッター達に羽交い絞めにされた。あれ?まさか私この人数から逃げなきゃいけないの?っていうか私が戦う必要性ある?

 

「いやいや、あるからね!?というより最高戦力になりうる葵があっさり帰らないでよ!」

 

「いや、ユーノ?私一応管理局の敵だから。正直ここにいる必要性ないから。」

 

「お前に帰られるとこちらの戦力低下が激しすぎる。頼むからアレを倒すのに協力してからにしてくれ。」

 

「私達が頼める筋合いではないが頼めないだろうか、浅上。」

 

「おめぇがいねぇと始まらないだろうが!だから帰らないでくれよ、葵!」

 

「そうですよ、葵ちゃん!」

 

「いやいやいやいや、何これ?なんてあなた達まで来るのかな?騎士でしょ?頑張れよ。」

 

何故かユーノとヴォルケンリッター達からの静止が酷い。子狸ちゃんもヴォルケンリッター達の後ろで頷いてるし・・・。後で苛めてやろう。これは絶対だ。そんなことを考えていたらフェイトとなのちゃんが側にやってきていた。なんかすごい上目遣いで迫ってくるんだけど?・・・・これはキツイ。

 

「葵ちゃん・・・・。駄目?一緒に戦おう?」

 

「葵・・・・。お願いできないかな?」

 

なぜだ!内容がこんなにも危ないことなのになんでこの上目遣いには私は逆らえないんだぁぁぁぁ!!!畜生!管理局め!私を陥れるための作戦としては酷すぎやしないだろうか?そう言えばこの2人さっき私殲滅用のコンビ技を見せてくれたけど・・・。あれってこの上目遣いあればいらなくない?

 

「あぁ~~~。わかったわよ。手伝うからそんな目で見ないで。それでいいの?最高戦力君(笑)?」

 

「あぁ、本来なら犯罪者の手を借りるのは問題しかないんだが・・・。まぁ、君が一番強いしな。」

 

「それでいいの?管理局。」

 

「しょうがないだろ?正直、今回は君に罪はないし・・・。もう公務執行妨害は今更だしね。それと今回はこちらにもかなりの非がある。リーゼ姉妹のことは誠に申し訳なかった。」

 

「思い出させると殺すかもよ?忘れたままでいさせなさい。」

 

「すまない。それじゃあ、何かアレを倒す作戦はあるだろうか?管理局としては2種類の方法しか手がないと思っている。1つは強力な凍結魔法での封印、もう1つは正直やりたくはないがアルカンシェルだ。」

 

クロノがそう告げるとシャマルが手を上げて封印は無意味だと告げた。そしてヴィータとなのちゃんがアルカンシェルについては全否定した。方法すべて消しちゃったよ、この人達。・・・一応やれないことはないんだけど、やった後にどうなるかわからない方法があるっていえばあるんだけどね。

 

「あぁ~、もう!ドカッと殴っちゃえばいいんじゃないのかい!?」

 

「ドカッと殴るって・・・。アルフ、それはどうかと思うよ?」

 

「ドカッと・・・」

 

「殴る・・・・?あっ!そうだ!エイミィさん!アルカンシェルってどこでも撃てるんですか?」

 

「例えば宇宙空間とか・・・?」

 

「成程、考えたわね。フェイト、なのちゃん。後でご褒美上げようか?」

 

「「うん!!!」」

 

結局この作戦で決定した。闇の書の闇に全力で攻撃してリンカ―コアを露出させそれを軌道上の戦艦アースラの前に転送。その後、アルカンシェルで吹き飛ばす。ちなみに私は砲撃魔法が使えないのでみんなの技を出すための土台固めを手伝うことになった。ちなみに指揮はリンカ―コアを摘出できるシャマルがとることになった。そんなことを相談しているうちに闇の書の闇が姿を現した。蒐集した全ての魔力生物の特徴を無理矢理集めたような恰好をしている頭のあたりに女性の形のコアがあった。

 

―――ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!

 

「それじゃあ、みなさ~ん。準備はいいですか?」

 

「「「「「勿論!!!」」」」」

 

「それでは、アルフさん、リニスさん、ユーノ君、ザフィーラ、葵ちゃん!お願いしますね!」

 

「ドラグルバインド!!!」

 

「ライトニングバインド!!!」

 

「チェーンバインド!!!」

 

「縛れ!鋼の軛!!!」

 

「動きは私が完全に止めて見せる!―――黒糸舞踏!黒糸監獄!!!」

 

アルフのドラグルバインド、リニスのライトニングバインド、ユーノのチェーンバインド、ザフィーラの鋼の軛が闇の書の闇の触手を全て抑え込む。私の魔方陣が闇の書の闇の真下に展開されて大量の糸が吐き出され魔力吸収のおかげでバリアに邪魔されずに本体に絡みついていく。

 

―――ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!

 

「それじゃあ、次はなのはちゃんとヴィータちゃん!!」

 

「合わせろよ?高町なのは!」

 

「ヴィータちゃんこそね!」

 

「轟天爆砕!ギガント・シュラ――ク!!!!」

 

「エクセリオン・バスタァ――!!!!」

 

ヴィータの巨大化した槌で闇の書の闇の障壁を割りその後に続いたなのちゃんの砲撃がもう1枚の障壁をも貫いていく。もう本当になのちゃんの砲撃は人に撃っていいものじゃなくなってるよね。それにヴィータの攻撃って非殺傷設定関係あるのかな?

 

「次はシグナムとフェイトちゃん!よろしく!」

 

「行くぞ!テスタロッサ!」

 

「はい!シグナム!」

 

「翔けろ!隼!!!」

 

「貫け!雷刃!!!」

 

シグナムの放った火の鳥が障壁を貫いた。更にフェイトの斬撃でとうとうバリアが破られて刃が届いた。闇の書の闇はそれでも障壁を再構築しようとしたがそれは私がさせない!さっきから吸い取ってた闇の書の闇の魔力を使ってバリアを内側から伸ばした黒棘糸で貫いて張らせない。

 

「お願いしますね、はやてちゃん!」

 

「彼方より来たれ、ヤドリギの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け!石化の槍、ミストルティン!!!」

 

子狸ちゃんの撃った大量の槍が刺さったところから闇の書の闇を石化させていく。しかし、石化しなかった部分からすぐに再生しようとする。そこから魔力を吸い取って再生を少しでも遅らせるけど・・・。正直、焼け石に水程度の効果しかない。

 

「永久なる凍土、凍てつく棺のうちにて、永遠の眠りを与えよ、凍てつけ!」

 

<エターナル・コフィン。>

 

最高戦力君(笑)が石化した上から更に凍結させて闇の書の闇の動きを止めていく。その間に技を溜めていたなのちゃん、フェイト、子狸ちゃんが最大威力の技を撃ち込む。

 

「全力全開!スターライト・・・」

 

「雷光一閃!プラズマザンバー・・・」

 

「ごめんな?おやすみな?・・・・終焉の笛、ラグナロク・・・」

 

「「「ブレイカ――――!!!!!」」」

 

―――ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!

 

3本の最大威力の砲撃が闇の書の闇に叩き込まれどんどん体を削り灰にしていく。そこを旅の鏡でのぞいていたシャマルがリンカ―コアをとうとう見つけた。

 

「捕まえ・・・・・った!!!」

 

「長距離転送!」

 

「目標、軌道上!」

 

「「転送!!!」」

 

そのリンカ―コアを私とリニス、アルフ、ユーノの4人がかりで一気に転送する。これでここでの戦闘は終わったかな?そして数分後にアースラから闇の書の闇を消滅させたとの報告があって私達はこの戦いに勝利した。まぁ、私とリニスは一足先に離脱させてもらったけどね。だって、あれだけ魔力消費して管理局と戦いたくなんてないもん。でも、なんかまだ終わらないような気がするな・・・。

 

 

sideout

 

 

フェイトside―

 

闇の書の闇は倒したのにリーンフォースの中から防衛プログラムは消えきらなかったらしい。このまま放置するとまた同じ結果になる。そう言ってリーンフォースは私となのはに自分を消してくれるように頼んできた。折角助けられたと思ったのに・・・。海鳴市を見下ろせる小高い丘の上で私となのは、ヴォルケンリッター達、そしてリーンフォースは闇の書を破壊する儀式を行ってたんだけど、そこに眠っていたはずのはやてがやってきた。

 

「あかんで!折角助かったのに消えるなんて!闇の書の闇は私が何とかする!だから、消えんといて、リーンフォース!!」

 

「いいのです、我が主。私は世界で一番幸せな魔導書でした。この名は新しいあなたのデバイスにつけてあげてください。」

 

「リーンフォース!!!!」

 

「やってくれ、高町なのは、フェイト・テスタロッサ。」

 

「それはやらせないかな?―――縛れ、黒糸。」

 

「え?きゃ!?」

 

「これは!?」

 

儀式を完成させようとしていた私達の下に魔方陣が展開されて黒糸が私達を縛り付けた。私達が縛られたことで儀式は途中で止まり魔方陣も消えてしまった。よく見たらヴォルケンリッター達にはやて、それにリーンフォースまで縛られている。

 

「何のつもりだ、浅上葵。私は消えなくてはならない。だからこの縛っている糸を外せ!」

 

「駄目だよ?折角人が家でおいしい料理を作って待ってたのにそれを食べずに消えようだなんていい度胸じゃない。それにあなたにはあんな悪夢を見せられた仕返しをまだしてなかったからね。そのために来たよ。」

 

「そんなことのために儀式を止めたのか!?それに私は危険な存在なんだ!はやくんむっ!?」

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁ!!??」」

 

黙らせる目的なのかどうかわからないけど葵がリーンフォースとキスをした。しかもよく見たらし、舌を入れている!私だってあんなことされたことないのに!あぁ、もうっ!!この糸が邪魔でバルディッシュがザンバーフォームにできないしリーンフォースに切りかかれない!なのはの方を見ると私と同じ状況みたいでどうにか魔法を使おうともがいていた。リーンフォースとのキスを終えたらしい葵が離れるとリーンフォースが信じられないといった顔で葵の方を見ていた。

 

「お前・・・今自分が何をしたのかわかっているのか!?浅上葵!!!」

 

「何って・・・。大人のキス?」

 

「違う!お前なんてことを・・・。それがどれだけ危険な行為かわかっているのか!?」

 

「な、ナニをされたんや?リーンフォース?」

 

うん、なんかはやての何の発音がおかしかったかな?後できっちりO☆HA☆NA☆SHIしないとね。なのはと2人がかりでやれば短時間で終わるから大丈夫だよ?・・・それにしてもリーンフォースは何をそんなに焦っているんだろうか?葵のキスにおかしなところなんてないと思うけどなぁ?

 

「我が主。浅上葵は私の防衛プログラムをコアごと奪っていきました。」

 

「「「えっ!?」」」

 

「正直、私にもコアを奪った浅上葵がどうなるかがわかりません。下手をしたら暴走したプログラムに喰われて死に至ります。」

 

「葵!?なんてことを・・・。」

 

「大丈夫よ。こんな奴に私が負けるわけがないでしょ?」

 

「でも、葵ちゃん!」

 

「さぁ、これで私の仕返しは終わったよ?リーンフォースの初めてを貰ってついでに防衛プログラムも頂いちゃったからね♪・・・あぁ、家には料理がたくさん置いてあるからリーンフォースの助かったお祝いでもすれば?なのちゃんとフェイトあわせてね?私とリニスは管理局につかまる前に消えるけどね♪じゃあね、皆。」

 

そう言って葵は私達の前から歩いて行ってしまった。この後、黒糸は自動で解けて私達が一応はやての家に行ってみたけどそこには葵の姿はなく料理だけがたくさん置いてあった。私達はそれでリーンフォースの歓迎会を葵が言った通り行った。これで後に『闇の書事件』と呼ばれる事件は葵の手によってある意味幸せに終了した。

 

 

sideout

 

 

 





リーンフォースを助けたかった。

後悔も反省もしていません!

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