すずかのヒロイン入りが決定しました!
のですずかヒロイン化計画
始まります。
浅上葵side―
あれから走るワゴン車の上空を認識阻害魔法を使いながら追いかけて飛んでいたが、ようやくたどり着いたらしい。ここは町はずれの廃工場。目の前には海が広がっている。正直すずかを攫った犯人達の狙いがよくわからない以上あまり派手なことはできないよね。そうそう、シャマル達には念話で遅くなるって伝えておいたけど・・・・。シャマルがやたら張り切ってるような気がしたのは気のせいかな?
「やれやれだよね。全く。すずかを目の前で攫われるなんて私も鈍ってるのかな?でも、誘拐犯なら殺してもいいかな?・・・・流石にすずかの前じゃまずいか。はぁ、やり辛い。」
こんな独り言を言っている間にすずかが廃工場内に連れ込まれてしまった。まぁ、正直工場内の方が戦いやすいから私的には最高ですね。外に見張りを残すこともなく全員で工場内に入っちゃったよ。実行犯は今ので確認できたけど5人か。目的は何かな?とりあえずバリアジャケットもデバイスもいらないね。久しぶりに鋼糸を使ってみようかな。さぁ、願い通りに助けてあげるから少し待っててね?すずか様♪
sideout
すずかside―
私が葵ちゃんと別れたすぐ後に急に目の前にワゴン車が急ブレーキで止まったと思ったら誘拐されてしまいました。でも誘拐される瞬間に葵ちゃんに助けてって言えたから多分大丈夫かな?葵ちゃん頷いてるように見えたし。
「おい、何よそ見してんだ?随分と余裕じゃないかよ、お嬢さん?」
「何が目的なんですか?」
「目的ねぇ。なぁ、嬢ちゃん。ヴァンパイアハンターって知ってるか?」
なっ!?この人達ってヴァンパイアハンターだったの!?やばい。私は今まで皆を騙してきたけど確かに吸血鬼。化け物って呼ばれるような存在だ。皆にそんな風に考えられるのも嫌だし私のことをもしかしたら拒絶しちゃうんじゃないかって思うと怖くて何も言えなくなってしまったせいでこれまで話せなかった。でも、たまにこういうハンターのような人が存在する。私達を狩って満足するような裏社会の人達。正直に言うとすごく怖い。でも、葵ちゃんがきっと助けに来てくれるから・・・。
「へへっ、怖がって何も言えてねーでやんの。なぁ、こいつ殺す前に楽しんじゃうか?」
「ちっ、お前の趣味はわからん。こんな子供を犯して何が楽しいんだか。」
「勝手にしろ。その代わりさっさとしろよ。こいつは殺さなきゃいけない存在なんだから。」
「う~ん、下衆だらけ。すずかを助けに来たら下衆の巣窟に来ちゃったみたい。」
「確かにこいつの性癖は下衆だが・・・・・お前どこから入ってきた!?」
あれ?なんかもうすでに葵ちゃんが目の前にいる。早すぎないかな?っていうか普通にこの雰囲気をぶち壊していったよね。流石の私でもちょっと唖然となっちゃうよ。
「すずか様、お迎えに上がりました。さぁ、私と一緒に帰りましょう。」
「えっ!?あ、うん。そうだね。」
葵ちゃんは全く持って周りを気にしていないみたい。視線は完璧に私だけに注がれている。しかも縄で縛られて床に転がされている私を見て少し楽しそうなんだけど・・・。葵ちゃんってもしかしなくてもS?何でだろ?助けに来てくれた人が一番危ない気がするよ。
「無視すんじゃねぇよ!ガキが!!お前もこの化け物の仲間なのか?」
「化け物?私の天使的存在2柱のうちの1柱であるすずかに向かって何が言いたいの?」
うん、ほめてくれるのは嬉しいんだけどすごく空気が読めてない上に私がかなり恥ずかしいよ。それにしてももう1柱って誰のことなのかな?って、そんなこと考えてる暇なかった!私のことが葵ちゃんにばらされちゃう!絶対に止めなきゃ!
「止めて!!!それ以上言わないで!!!」
「ハッハ~ン?こいつお前に教えてなかったのか?最悪だな。こいつはお前が言う天使みたいな存在じゃなくてどちらかというとその逆、吸血鬼っていう化け物なんだよ!!!」
言われてしまった。とうとう葵ちゃんに真実を知られてしまった。もう私はけなされるのかな?それとも怖がられて距離を置かれるのかな?・・・・葵ちゃんは引っ越してから距離が離れてる気がするけどそこは気にしたら駄目なところだよね。あれ?何で私ってこんなこと考えられるくらい余裕なのかな?今まで知られたくなくて必死に隠してきたことを思いっきり隠していた人の前で言われちゃってるのに。
「で?何?要するにすずかが天使じゃなくて小悪魔だって言いたいの?私は別にそれでもかまわないけど・・・。っていうかそっちの方がすずかには似合ってるかもしれないわね。よし決定。」
「うん、ちょっと待とうか?葵ちゃん。私は流石にこの年から小悪魔って言われたくはないな。」
「「「「「お前ら少しは空気読めよ!!!!」」」」」
おかしいなぁ?何でこんなにシリアスからかけ離れていくんだろうか・・・。やっぱり葵ちゃんだからかな?っていうか葵ちゃんに私が吸血鬼なことちゃんと伝わってるかな?全く持って話が違う方向に進んでる気がするよ。
「お前さっきの話聞いてたのか?聞こえてなかったみたいだからもう一回行ってやるよ!こいつはお前らを騙してた吸血鬼で化け物なんだよ!!!」
「うるさいなぁ。聞こえてたよ。正直だから何?って感じなんだけどさ。」
はぁ、とため息をつきながら紫の髪を手櫛で整える葵ちゃん。見るからに対応がめんどくさいって感じで流石の相手も焦っている。実は私もかなり焦ってるけど・・・。だってこんな反応が返ってくるのは流石に想定外だったんだもん。正直これじゃあ何が何だかわからないよ。
「じゃあ、すずかに質問。あなたは吸血鬼ですか?はいかyesで答えなさい。」
「はい・・・・って否定させる気ないの!?」
「無視して次。吸血鬼と人間の違いを答えなさい。これは正直にね。」
「う~んと、人より身体能力がかなり高い、定期的に血を吸わなきゃいけない、くらいかな?それ以外はちょっとした能力があるくらいだよ。」
「じゃあ、最後。あなたは今まで見ず知らずの他人に襲い掛かって無理矢理吸血行為を行ったことがありますか?」
「ううん、ないよ。大抵は輸血パックで血を補給してたし。見ず知らずの他人から吸血使用だなんて考えたこともなかったよ。」
「はいこれで終わり。すずか、あなた化け物っていうには余りにも貧弱だわ。」
「・・・・・・・・・えっ?」
流石にこれは予想外にもほどがある。私が化け物っていうには貧弱?でも血を吸うし身体能力高いし後少しだけど能力まであるのに、化け物じゃない?私が反応しようとするのを葵ちゃんが腕を振ることで止めてしまった。その目は今は私を見ていなくて私を誘拐した犯人達をじっと見つめていた。
「さぁ、下衆共。あなた達が何を考えて何の目的で何がしたくてすずかを攫った上に化け物呼ばわりしたのかはわからないしわかりたくもない。特にすずかを犯そうとした奴の思考回路なんて覗きたくもない。でも、1つだけいいことを教えてあげる。化け物っていうのはね?私みたいなのを言うんだよ?」
「ふざけるな!お前は人間だろう!?なぜ化け物を庇うんだ!」
「だから言ってるじゃん。私みたいなのが化け物だって。証拠が見たいなら見せてあげる。」
「なっ!?目の色が変わった!?なんだその目は!?」
「すずかを私の前で攫った自分たちの不幸を呪いながら死ね―――凶がれ。」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!??俺の腕が!?腕がぁぁぁぁぁぁ!!??」
葵ちゃんが曲がれって言っただけで一番前に立っていた犯人の左腕が曲がり始めた。その腕はそのまま捻じれて雑巾を絞ったような形になって止まった。はっきり言って何が起こってるのかさっぱりわからない。犯人達の1人がさっき目の色が変わったとか言ってたけど葵ちゃんはこっちに背を向けてるから目の色は見えない。
「汚い悲鳴聞かせないでよ。―――凶がれ。」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!??あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!??」
今度はさっきの人の右腕が曲がり始めた。他の犯人達は私と同じで今の状況に全くついていけてないみたいでただ呆然と仲間の腕が曲がっていくのを見ている。葵ちゃんが曲がれというたびに犯人の体の一部が曲がっていき最後には胴体が曲がることによって犯人は血の海を残して死んでいった。そこになってようやく他の人たちが意識を取り戻した。
「お前!いったい何をした!?なぜ触れてもいないのに人の一部が曲がるんだ!?」
「ならあなたの体で体験してみたら?―――凶がれ。」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
叫んだ人が右腕を曲げられて悲鳴を上げる。他の人もようやく葵ちゃんがまずいと感じたのか必死に逃げようとするが体がさっきからピクリとも動いていない。右腕を曲げられた人も右腕が曲がってるのに体が全く動いていない。一体なんで?そういえばお姉ちゃんの話では葵ちゃんって私の家の防犯システムを糸で全て潜り抜けてくるって言ってたような気がするけど・・・。まさかその糸で?
「すずかの考えは多分あってるよ?そうもうすでに縛らせてもらいましたってね♪だってあんなに呆然としながら見てるんだもん。隙だらけだよね。」
それからはただの殺戮劇だった。葵ちゃんが曲がれというたびに犯人の体の一部が曲がり最後には胴体を曲げられて死んでいく。最後の1人は必死に命乞いをしていたみたいだけど葵ちゃんはそんなのお構いなしに体を曲げて殺してしまった。最後の1人を殺してから振り返った葵ちゃんの姿は返り血で汚れているにもかかわらずすごく綺麗だった。でも、目の前で殺戮劇を見せられた私の意識はそこで途絶えてしまった。
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浅上葵side―
一言。・・・・・やりすぎた。すずかが見ている前で5人も殺しちゃった。しかもあんなに大量に血が出る拷問のようなやり方で。うん、すずかは私に嫌われるとか考えてたみたいだけど嫌われるっていうか怖がられるの完璧に私の方じゃない?そんなことを考えながら途方に暮れていると誰かが工場内に侵入した気配を感じた。というよりも私が張っておいた糸の結界に誰かが掠っていった。
「ちっ!新手?本当に面倒。早く殺してすずかを家に連れていかなきゃ。」
「殺すのは僕かい?」
後に急に現れた人を振り返るとそこに立っていたのは小太刀を2本持った戦闘態勢の恭也さんだった。やばい。私って今血の海の中に突っ立ってるんだよね。しかも返り血も浴びてるし・・・。絶対に言い逃れできない状況を自分から作り出してその中に自分から入っちゃった。
「色々と話があるし、この状態の説明もしてもらうからな。」
そう言って私はすずかを背負った恭也さんに月村邸へと連れていかれた。強制的に。
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次回は温泉回以来久しぶりに出てくる忍さん。
勿論弄ります。