浅上葵side―
「葵、私今日母さんの所に定期報告に行こうと思うんだけど、確かついてくるんだよね?」
フェイトの家に泊まった翌日に急にそんなことを言い出したフェイト。せめて昨日のうちに言って欲しかったな。まぁ、ついていくんだけどさ。学校?さぼりますよ?勿論。明日あたりなのちゃんに何か言われそうだけど・・・。
「じゃあ、準備していきましょうか。リニスはバルディッシュの整備で忙しいんだっけ?」
「えぇ、ここまでボロボロだと少し時間がかかりますからね。後、ついでにメンテナンスもしておこうと思いまして。機材がないので時間がかかるんですよ。」
「時の庭園って場所に持っていって直せばいいんじゃないの?」
「果たして私の研究室が残っているかどうか・・・。」
「そこのところどうなの?フェイト。」
「確か母さんがリニスの部屋は片づけてないって言ってたような気がする。」
「じゃあ、一緒に行きましょうか。」
「わかりました。準備してきますね。」
結局全員で時の庭園に向かうことになった。フェイトがケーキを買いに行ったりアルフがピリピリしたりしてたけど・・・・一体感ないなぁ~。そんなことを思って待っていたら準備ができたようなので屋上へ登って転送魔法で時の庭園へGO!
――――――時の庭園―――――――
ついたのはいいんだけどさ。何ここ。雰囲気暗すぎだし。なんか某空の城ってこんな感じかな?もう少しまともかな?フェイトはプレシアに報告のために大広間みたいなところに行っちゃったし扉の前でアルフと一緒に待つことにした。・・・リニス?ついた瞬間自分の研究室に走って行ったよ?
「今回はジュエルシードを3つも持ってきたんだ。きっとフェイトも何もされないと思うんだよ。」
「ん?いつもは何かやられているかのような言葉ね。それにそういうのをフラグというそうよ?」
「えっ!?そうなのかい?」
「現になんだかフェイトが捕らえられたみたいだし。・・・・なんか鞭の音が聞こえるんだけど止めてきていい?」
「悪いけど頼むよ。あたしはここには入れないんだ。フェイトを助けてきておくれ。」
よし。了承もとったから全力でフェイトを助けに行きますか。とりあえずこの邪魔な扉は吹き飛ばせばいいかな?
「アラクネ、セットアップ。魔力糸出力50%、全糸を結合、槌状形成。」
両手の糸をすべてより合わせて一本にし、その先端部分にかなり大型の槌を形成する。それをそのまま振りかぶって
「ぶちぬけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
――――――――ドッゴーン!!!
「なっ!?」
両開きの扉の片方が室内に吹き飛んでいった。まさかそんな方法で入るとは思っていなかったらしいアルフが開いた口が塞がらないといった顔で見ている。
「あなたは一体誰なのかしら?」
部屋の中央にはフェイトが倒れていて、先ほど吹き飛ばした扉は紫色の露出の高いバリアジャケットを纏った女性がバリアで防いでいた。その女性の問いに私は
「こんにちは。プレシア・テスタロッサさん。私は浅上葵。フェイトの友達でリニスの現マスターです。」
よどみなく、にこやかに答えた。
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プレシアside―
すごい音とともに扉が飛んできたから咄嗟にバリアで防いだけどこれをやった元凶が現れたわ。もう少しでフェイトに当たるところだったじゃない。もう少し考えて扉を壊しなさい。っていうか普通に開けなさい。
「あなたは一体誰なのかしら?」
「こんにちは。プレシア・テスタロッサさん。私は浅上葵。フェイトの友達でリニスの現マスターです。」
扉を吹き飛ばしたのは赤紫色の髪をポニーテールにして黒い礼服のようなバリアジャケットを纏ったフェイトと同じくらいの年の女の子だった。すごくニコニコしてるけどあれはうわべだけね。目が全く笑ってないわ。というか一ヵ所聞き捨てならない言葉があったんだけど?
「リニス?リニスは消えたはずよ?あなたがマスターになるのは無理があるわ。」
「そこら辺は本人から後で聞いてください。私はそういうの得意じゃないんです。」
「そうね。後でリニスを私の所に連れてきて頂戴。いろいろ言いたいこともあるから。」
「リニスは最高の使い魔ですよね。」
「否定はしないわ。私でも維持が難しい子だけど、とても優秀な使い魔だわ。それで?本題は何かしら。」
「やっぱり気が付きますか。そこに倒れてるフェイトのことなんですがあなた何やってるんですか?」
そういって倒れているフェイトを指さす。ちょっとやりすぎたかしら?いくらあの子を娘として見ないためとはいえやりすぎてしまった感が否めないわ。
「駄目な子にはお仕置きが必要でしょ?当たり前のことをしただけよ。」
「そうですか。とりあえずフェイトは私がいったん預かりますね。きちんと回復させときますので。後でリニスと一緒にまた会いに来ますよ。」
「そう。勝手になさい。」
それを聞くと彼女はフェイトを黒い糸のようなもので包みお姫様抱っこで出ていった。・・・・悔しいほど似合ってるわね。まだ、フェイトはあげないわよ。・・・・これはもうあの子を娘として見始めているわね。ごめんなさいね、アリシア。
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浅上葵side―
酷い蚯蚓腫れができてると思ったけどたいしたことなかったわね。とりあえず黒糸で体を包んで治癒魔法を流して体を包み込むようにする。大体治ってからアルフに渡して寝かせておくように指示してからリニスを呼びに行く。
「リニス、プレシアと話し合いに行くわよ。」
「わかりました。機材がすべて残っていたお蔭でバルディッシュの修理もメンテナンスも早く済みましたから。」
「じゃあ、行きましょうか。プレシアの説得に。」
「お願いします、葵。」
さぁ、家族のために頑張りますか。それとフェイトのためでもあるからね。フェイトの涙はあまり見たくないのよ。気分的な問題で。
「という訳で来たわよ?プレシアさん。」
「歓迎はしないわ。あなたはかってに来ただけだからね。」
「プレシア、相変わらずですね。」
「リニス・・・。どうやって生き残ったのか聞いてもいいかしら?」
まさか歓迎されてないとは思わなかった。私が落ち込んでいる間にリニスがフェイトにしたような説明をプレシアさんにもする。それを聞いて理解はあまりできないけど納得はしてもらえたようだ。
「さてと、本題の話をしましょう。」
「全てにおいていきなりなのね、あなたは。」
「そうでもないよ?これでもちゃんと空気は読める人間ですから。」
「私は席をはずしましょうか?葵。」
「別にいいわよ?いても。ただこれからの話は刺激が強いから気を付けてね?」
「じゃあ、いさせてもらいますね。」
リニスとの話をしてからプレシアさんの方に向き直る。そしてとりあえずドストレートに
「あなたフェイトのことをどう思ってるの?」
爆弾を落としてみた。
「っ!?・・・どういう意味かしら?」
「リニスから大体の話は聞いてるよ。あなたがアリシアという最愛の娘を失ったことも、そしてアリシアのクローンとしてフェイトを作ったことも。そのうえで聞きたいの。あなたはフェイトをどう思ってるの?」
「あの子は人形よ。あの子はアリシアじゃなかった。アリシアはもっと「もう結構よ。」・・・それでこれを聞いてあなたはどうするつもりなのかしら?」
「あなたにとって人形ならフェイトいらないよね?私に頂戴?いいえ、殺してもいい?」
「なっ!?葵、一体何を言い出すんですか!?」
「駄目よ。あの子はジュエルシードを集めるのに必要なのだから。」
「それなら私が集めてあげるわよ。私のほうがフェイトより強いし現地の魔導士も簡単に倒せるから。ほらフェイトもういらなくなっちゃったね。だから・・・いらないよね?」
「葵!!さっきから何を言っているんですか!?」
「ちょっと黙ってて、リニス。」【少し話を合わせて黙ってみてなさい。】
「くっ!!わかりました。」【信じてますからね?葵。】
騒ぎすぎなリニスを念話も使って黙らせた。さぁ、どんな選択をするのかな?プレシアさん。あなたは鬼になり切れるかな?
「・・・・駄目よ。」
「えっ?何か言いました?」
「あなたにフェイトを、私の娘を殺されてたまるもんですか!!―――サンダーレイジ!!」
「っ!?」
危ないな!?作戦的にはうまくいったけどまさかここまで過剰に反応するとは思ってなかった!!紫電が私の横を通り過ぎた時はさすがに冷や汗ものだった。・・・かわせてよかった。
「ちっ!それなりにやるようね。ならこれで終わらせるわ!――――フォトンランサー・ファランクスシフト!」
えっ!?何これ、私の周りにスフィアがたくさん、って!防御しなきゃさすがにまずいわよね。
「アラクネ!黒糸バージョン・纏!!」
<イエス!マスター!>
魔力糸を使って私の周りに球体を作り出す。これがリニスとの初めての模擬戦で使ってから改良を加えた最強防御!これで駄目ならあきらめよう。一応計算上は大丈夫なはず。
「打ち砕きなさい!ファイヤー!!」
その声とともに大量のフォトンランサーが私に降りかかりすごい爆発が起きた。
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リニスside―
葵がさっきまでたっていた場所からは煙が立っている。でも、葵ならたぶん生きてるでしょうね。それにしてもフェイトを殺すといってプレシアの心を揺さぶるとはなかなかやりますね。私も全く気が付きませんでしたし。プレシアも今さっきの魔法で消耗して息が切れてますね。病気のはずだからあまり私としては魔法を使って欲しくはないのですが・・・。
「全く、確かに私が煽ったのがいけないけどここまでやらなくてもよかったんじゃない?」
やっぱり生きてましたね。というよりも無傷ですね。私との模擬戦の時はバリアジャケットに多少の焦げ目がついてたのに、今回は焦げ目すらありませんね。あの技も改良してあるんですかね?というよりあれにこもってたら葵に勝てる人いないんじゃないでしょうか?
「そんな!?あれをくらっても平気だったとでもいうの!?」
今回はプレシアの反応がすごくまともに聞こえますね。確かに初見であれを防がれると絶望感が酷いでしょうね。
「こっちは穏便に話し合いで解決しようとしたのに喧嘩を売ったそっちが悪いんだからね?――――縫い付けろ、黒糸。」
「なっ!!??下から糸が!?」
あぁ、プレシアが床から飛び出てきた葵の魔力糸に縛られましたね。多分纏を使ったのと同時進行で床を突き破ってプレシアの下まで通していたんでしょうね。それにしても全身を縛らなくてもいいんじゃないでしょうか?
「10分くらいで勝手にほどけるからそのままじっとしてなさいな。」
あぁ、そのまま放置する気だったんですか。道理でデバイスを少し離したところに縛り付けたわけですね。
「全く、リニス帰るわよ。それとプレシアさん。さっき自分で言った言葉よく考えておいた方がいいと思いますよ?」
「考えるまでもないわ。私はどうやってもアリシアを生き返らせる。そのためにフェイトは必要なのよ。」
「そのことじゃないわよ。あなたが娘といったことよ。それともう一つ言っておくわ。アリシアはそれで本当に喜んでくれるの?」
「えっ!?」
「じゃあ、フェイトも連れて帰るわね。また会いましょ?プレシアさん。」
「待ちなさい!どういうことか言ってから行きなさい!!」
葵が出て行ってしまったので私も後を追いかけることにしました。葵は本当にもう用がないらしくフェイトの部屋へ向かっていますね。
「さっきはすいませんでした、葵。」
「別にいいわよ。むしろリニスもごまかせたから万々歳ね。さっさとフェイトを連れて海鳴市に帰りましょ。」
「えぇ。」
その後アルフとまだ寝ているフェイトと合流して海鳴に転移しました。
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色々と駄文な気がする話でした。
感想評価とともに誤字脱字などのミスも教えていただけると幸いです。
次回、とうとう管理局が介入するかも?