浅上葵side―
「あのフェレットが間違いなく念話の発信源だよね。」
<それは間違いないと思いますよ、マスター。>
「なにか面倒事でも拾ってきたんですか?葵。」
急に念話が聞こえてきたこと、なのちゃんがあの怪我をしたフェレットを助けて近くにあった槇原動物病院まで連れて行き、治療してもらったこと、その後なのちゃん達は塾へと行ったことなど今日あった出来事をリニスに報告していた。ちなみに現時刻は夜の10時くらいであり場所はいつも一人で糸の練習を行っている近くの林の中である。一応恭也さんに了承は頂いているのでこんないい子は寝ているような時間でも外に出ていられる。
「なるほど、面倒事を拾ってきたのはなのはの方でしたか。」
「私はそんなに面倒事は拾ってこないよ?ただ面倒事が向こうからやってくるだけだし。」
<マスター、あまり変わらないことを自覚してください。>
こんな感じで話しながらも私は鋼糸を操作して木に巻きつけたり罠を張ってみたりとせわしなく手を動かしていた。
「そんなこと言わr【助けてください!】・・・はぁ、また来たよ面倒事が。」
「でも助けてくださいだけでは何をどう助けるのかさっぱりわかりませんね。」
また急に念話が聞こえてきて呆れるとともになんだか少し疲れた。しかもリニスの言うとおり何をどう助ければいいのか更には何処に行けばいいのかさえもが全くわからない。
「どうしようk【僕の声が聞こえる方!僕の場所まで!】・・・・いっそ殺してやろうかしら?(ブツブツ)」
「危ないこと言ってないで行くかどうか決めたほうが良くないですか?」
「しょうがないか。リニスは先に帰ってていいよ。アラクネ、セットアップ&スレイプニール、羽ばたいて。」
<スタンバイレディ、セットアップ。マスター、さくっと終わらせてさっさと帰りましょう。>
私はバリアジャケットを展開し、背中から一対の白い羽をはやして念話が聞こえてきた方へ飛んでいった。
sideout
なのはside―
【助けてください!】
そんな声が頭の中で聞こえたからか私は全力で帰り道に拾ったフェレットを預けた槇原動物病院へと向かっていた。
【僕の声が聞こえる方!僕の場所まで!】
その声に急かされるようにしてようやくたどり着いたそしてそこで見たものは、半壊した病院と黒い化物だった。
「来てくれたんだ!」
「えっ!?誰!?どこにいるの!?」
「僕はこっちだよ!君の足元!」
その声に従い下を見てみるとそこにはフェレットがこちらを見上げていたって・・・・・。
「フェ、フェレットが喋ったぁ!!??」
「僕に力を貸してください!魔法の力を!」
「ま、魔法?・・・ってそんなことより逃げなきゃ!」
先ほどの化物が自分のほうを見ているのに気がついてとにかくフェレットを拾い上げ逃げることにした。ある程度走ってから電柱の影に隠れてまたフェレットとお話することにした。
「何がどうなってるの!?後なんで喋ってるの!?」
「喋ってるのは置いといて。あれを封印するために君の力が必要なんだ!君の力を貸してください!」
「えっ!?急にそんなこと言われても。ま、まぁいいけど。」
「ありがとう!とりあえずこれを持って僕の今から言うセリフを繰り返して!」
「わ、わかったの!」
そう答えた瞬間さっきの化物が私達の方に飛びかかってくるのが目に入りここで死ぬかも知れないと思い私は咄嗟に目をつむった。しかし、本来なら訪れるはずの衝撃やダメージがいつまでたっても襲ってこなかった。そしてゆったりとしていながらもかなり暗い怒気をはらんだ声が聞こえてきた。
「私の可愛いなのちゃんに、何をしようとしたのかなぁ~?このゲテモノ野郎は。」
その声に聞き覚えがあった私はその声の方を見上げそこに白い一対の羽を生やして飛んでいる親友をみて安堵のあまり泣きそうになった。そういつも私に優しくしてくれた親友を見て。
「葵ちゃん!!」
と叫んだ。
sideout
浅上葵side―
間に合ってよかった。あともう少し遅かったらなのちゃんがあのゲテモノに殺されてしまうところだった。とりあえず魔力糸で地面に縫い付けてやったけど、アレなんなんだろ?見てもわからないけど正直倒しても何ら問題なさそうだね。とりあえずなのちゃん+αに合流しよう。
「なのちゃん、怪我はない?あの物体Xどのくらい痛めつければいい?むしろ殺したほうがいい?というかなんでフェレット抱き抱えてるの?」
「あ、葵ちゃん。質問が多いの・・・。」
「とりあえずそこのフェレット。事情を完結に今しなきゃいけないことを話しなさい。」
「フェ、フェレットって・・・。今はあれを封印しないといけないんです。力を貸してくれませんか?」
「絶対に嫌だけど?」
「え、えぇ~!?じゃあなんであれを拘束してくれたんですか?」
「なのちゃんに手を出そうとしたから、なんか目障りだった、訳のわからない念話でイライラしてたから、後は「もう結構です!」・・・まだまだあるしやり足りないのに。」
「にゃはは。やっぱり葵ちゃんは葵ちゃんなの。」
「とにかく今はあれの封印だったっけ?アラクネ、あなたに封印術式入ってる?」
<すいません、マスター。ちょっと入れてないですね。>
「いいわよ。ないものねだりはしない主義だし。・・・じゃあそこのフェレット。」
「な、何かな?」
「私があれをボコボコのグチャグチャにしている間になにか打開策を練って実行しなさい。」
「わ、わかったけど・・・。やりすぎないでね。」
「一応考えておくわよ。」
そこまでいうと私はさっき地面に縫い付けておいたゲテモノに向かっていった。縫い付けられてからずっと暴れていたらしく魔力糸が切れかかっていた。
「ある意味では初陣ね。行くわよ、アラクネ。」
<何時でもどうぞ、マスター。>
「魔力糸展開出力30%、更に糸弾4つ作成。」
各指の部分から1本ずつ魔力糸が展開されそのうちの4つが野球ボールのような玉状に丸まっていく。ゲテモノはとうとう魔力糸を切ることに成功したようでこちらへ飛びかかってきた。それを躱し着地したのを見たと同時に
「糸弾、シュート。」
糸弾を飛ばして打ち抜く。穴が4つあくが再生するのが早くすぐにふさがってしまう。拘束するのが一番と判断し魔力糸を地面に全て打ち込むそして
「縫いつけろ!黒糸!!」
地面を通してゲテモノの下から糸を出し地面に縛り付ける。そこで一旦糸を切り離し今度は普通に縛っていき動きを少しでもにぶらせるために糸は繋げたまま
「マジックドレイン。」
魔力吸収をゆっくり開始してなのちゃんの方を見るとちょうど桜色の柱が目に入った。そして白いバリアジャケットをまといデバイスを手にしたなのちゃんが出てきた。
「葵ちゃん。遅れてごめん。今から封印するから!」
「じゃあ、あとは任せたよ?なのちゃん。」
「うん!・・・リリカルマジカル、ジュエルシールド№XXI封印!!」
その掛け声とともにコアの部分から飛び出てきた光の帯が私が押さえ込んで魔力吸収を行っていたゲテモノを包み込みそれが終わったところには青い宝石が落ちていた。
「それにレイジングハートで触れて。」
なのちゃんがフェレットの指示通りにすると宝石はデバイスの中に収納されていった。こうしてなんとかこの事件は幕を下ろした。
sideout
なのはside―
さっきまでの葵ちゃんと化物の戦闘を思い出す。無駄のない的確な動きでどんどん相手を追い詰めていく葵ちゃんの姿はとても印象に残り見ていてうっとりとするような動きだった。なんであんな動きができるのか今度聞かないといけないの。
「さてと、なのちゃん怪我はないかな?」
「葵ちゃんが守ってくれたおかげで無傷だったの!」
本当にあのタイミングで助けに来てくれた葵ちゃんは女の子にいうのはなんだけどとってもかっこよかったの!
「とりあえずそのフェレットを連れてここから逃げましょうか。」
「えっ!?なんで逃げなきゃいけないの?」
「はぁ、なのちゃん周りをよく見てみなさい。」
そう言われて周りを見回してみるとそこには今の戦闘によるダメージが・・・。うん、なんかパトカーのサイレンまで聞こえてきてるのような気がするの。とりあえずここは、さっきのフェレットさんを抱っこしてっと・・・。
「ご、ごめんなさ~~~い。」
ダッシュで逃げようと思うの。ちなみに葵ちゃんも少し苦笑しながら後ろからついてきてたの。
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というわけで初戦闘でしたが・・・。
葵の武器が武器なだけに戦闘シーンが書きにくい。
しかも全く歪曲眼が使えない。使ったら間違いなく死ぬしな~。
そのうち使えるような機会を儲けようと思います。
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