と、言うわけで第9話です
「初めまして、今代の『赤龍帝』。私が『魔王』サーゼクス・ルシファーだ」
「私がセラフォルー・レヴィアタンよ☆よろしくね☆」
「ああ、これはどうも。『赤龍帝』兵藤一誠です。以後よろしくお願いします」
現在、俺達は駒王学園にいる。時刻は丁度午前0時を過ぎた位だ
「先日は私の妹が迷惑をかけたようだね。申し訳ない」
そんな風に聞き返すとサーゼクスさんは苦笑いをする。まあ、どれもこれも全部無能が悪いからな
「まぁ、オレも大人気なかった部分もあったんで。とりあえず、遺恨は無しにしましょう」
「そう言ってくれるとありがたいね.....それで、リアスの『騎士』の事なんだが.....』
生憎あの契約は双方の合意の上で交わした契約だからオレには何の非も無い。
そもそも、眷族があんな思いを抱いていた事に気付けなかったリアス・グレモリーが悪いのだからこちらが遠慮する必要は無い。ここはビシッと言っておく
「『祐斗をリアス・グレモリーに返せ』とかだったら聞く気は無いですからね?祐斗とはキチンと契約した上で、契約を持ちかけてきたのはアイツですから」
「いやいや、そんな事は言わないさ。それは下僕の不満を見抜けなかったリアスが悪い訳だからね。むしろ、はぐれにならなかっただけマシだと思っているよ」
あれ?違ったか?じゃあ、何で祐斗の事を言い出したんだ?
「なに、彼...今は彼女か。彼女は私の『騎士』の弟子でもあってね、彼が気にかけていたから様子を聞こうと思ったまでさ。悪魔は契約を厳守する存在だからね、キチンとした契約の上なら文句は言わないさ。それと、彼女の『聖魔剣』を私達にも少し呈出してくれないかな?」
なるほど、ソッチがメインか....まあ、別に構わないか。悪魔側への貸しになるし
「ええ、構いませんよ.....無論、貸し1つですよ?」
「ははは、抜け目が無いね...」
「悪魔との契約ならキチンと言質取っておかないといけませんから」
そんな感じで話していると、グレモリー勢がやってきたのだが、オレを見るなり突っかかってきた。まあ、全部スルーしてやったが。つーかお前ら来るの遅ーよ、何分待たせてんだ?お前ら一番立場下だろうが。
そんなイライラを抑えつつ、三勢力会談.....まあ、実際には『三勢力+赤龍帝の和平会談』が始まったのでそちらに意識を注ぐ。無能がこちらを睨みつけてくるが、コイツは自分がこの状況で何をしているか理解してるんだろうか?
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「.....これは」
会談が終わりかけた頃、突然、塔城小猫と姫島朱乃、ソーナ・シトリーとその眷族達の動きが完全に停まった。さらに、校庭に次々と魔術師達が転移してきた.....なるほど、テロか
「やれやれ、面倒な事になったモンだねぇ...サーゼクス!ミカエル!」
「わかっている!」
「任せなさい」
アザゼルさんが二人に声をかけ、強力な防壁結界を駒王学園の校舎全体を覆う様に展開させた。ふむ、取り敢えずこれでココは安全だな
「で?どうすんですか?これ『停止世界の邪眼』でしょ?」
「さーて、どうしたモンかね?一番てっとり早いのは『停止世界の邪眼』の持ち主ごと纏めて旧校舎を吹っ飛ばしちまう事なんだが...」
流石にそういう訳にはいきませんからねぇ...これから和平結ぼうとしてる相手の部下をムッコロスのは、ちょっとねぇ.....
そんな風にアザゼルさんと話していると無能が『私の下僕を武器にされるなんて...しかも、大事な会談を付け狙う戦力にされるなんて...これ程侮辱される行為も無いわッ!』とか偉そうに言ってた。
思わずぶっ飛ばしそうになるのを堪え、『俺が吸血鬼の回収に行く』と言ったら『そんな必要は無いッ!私が救出してくるッ!』とか抜かし出した
「は?お前バカだろ?自分が何しでかしたか解ってんの?
『会談の障害になるかもしれない強力で不安定な力を持った眷族を単独で放置し、その上でソイツをテロに利用された』んだぞ?直接的では無いにせよ、お前のせいで会談止まったんだぞ?くだらない意地張ってんじゃねぇよ。
いいか?お前の面子なんざどうでもいいんだよ『俺が行った方がより速く、確実に解決出来る』だから行くって言ってんの。
つーか、そもそも身の丈に合わない奴を眷族にするなよ。お解り?」
「くッ!あなた...ッ「待ちなさい、リアス」お兄さまッ!?」
「.....兵藤一誠君、キミにできるのかい?」
「できないとでも?少なくとも、あなたの妹が一人で乗り込むよりは遥かに成功率高いですよ?」
「.....わかった、キミに頼もう。極力、傷つけないであげてくれ」
ハイハイ、解ってますよ。これで悪魔側にさらに貸し1っと....
祐斗達に校庭の魔術師達の相手を任せ、『禁手化』してから影を使った転移魔法で直接ギャスパーが居るであろうオカルト研究会の部室に転移する
「はろはろー♪」
『何!?』
おお、驚いてる驚いてる。さて、ギャスパー君は...お、いたいた。イスに縛り付けられてら
「ギャスパー・ヴラディだな?救出に来たぞー」
「ヒィィィィィィィィッ!また知らない人がぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
ギャスパー君、ちょっとビビリ過ぎじゃないかい?まあいいや、とりあえずーーー
「『風花 武装解除』!!」
オレの周囲からブワッ!!と凄まじい暴風が発生し、魔女達の服と武装を吹っ飛ばす
『き、キャアアアアアアアアアアアアアア!?』
「はいはい、『魔法の射手・戒めの風矢』」
顔を真っ赤にしながら体を隠してうずくまった魔女達を『戒めの風矢』でサクサク捕縛していく
「お前ら...テロリストなんだろ?服脱げたくらいで動揺するなよ...」
「うるさいばかぁ!!何なのよアンタは!?」
捕縛されて床に転がされてる魔女の一人が半泣きで怒鳴りつけて来たので『赤龍帝ですけど?』と明かしたところ、みんな一斉に『え?ウソ!?さ、サイン下さいッ!!』とか抜かしてきた。どういう事か聞いてみたところ、どうもオレは魔法使いの間ではかなりのカリスマ的存在になっているらしいのだ。なんで?
「『赤龍帝』様は魔法使いの間で凄い話題になっているんですよ!?今までに無い画期的な魔法をわずか15歳で生み出した希代の大天才だって!」
そりゃあ、
「だって魔術師ゲンドゥルが『私は今まで彼ほど優秀な男子は見た事がありません。あんな教え子を持てて、私も鼻が高いです』って言ってましたもん!あの魔術師ゲンドゥルがッ!」
...ゲンドゥルさん....認めてくれてたんですか.....正直、怒られてばっかりだったからなぁ...やべぇ、かなり嬉しいわ...っと、こんな事してる場合じゃなかったギャスパー君止めないと。
ギャスパー君にアザゼルさんから預かった腕輪を付けさせ、数回倍加してから腕輪に譲渡する
「どうだ?制御できそうか?」
「は、はい...なんとか...」
「よし、じゃあいくぞ」
念のためにギャスパー君に目隠しをし、床に転がってる魔女達は操影術の影布で縛り上げてから転移魔法で連れていく
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「ただいまーっと」
「お、戻ったかいイッセー。どうなった?」
聞いてきたアザゼルさんに、影からギャスパー君と魔女達を引っ張りだして見せる
「ほう、さすがだな。ところで、なんでこいつ等素っ裸なんだ?」
武器とか隠し持ってたら危ないから、武装は服ごとまとめて吹っ飛ばしたんです。あと、なんかオレ魔法使いの間で有名になってたんですけど
「え?アンタ知らなかったのかい?『希代の天才魔術師 赤龍帝』ってかなり有名だよ?」
「えーオレ全く知らなかったん「そこのあなた、何者です」あ?」
振り向くと、そこにはやたら胸元の開いた派手な服装で、額に青筋立てた女がいた。あー...何だっけコイツ?
「...その方は先代レヴィアタンの末裔の『カテレア・レヴィアタン』です」
カテレ.....あー、ハイハイ!アザゼルさんにソッコーで負けたあの噛ませね。グレイフィアさんの説明聞いてようやく思い出した。あー、コイツが気分良く語ってる最中に出てきたのか
「んで?その旧レヴィアタン様が何の御用で?」
「フン!そんなもの決まっています。私から『レヴィアタン』の座を奪い盗ったそこのセラフォルーとサーゼクス、並びにミカエル、アザゼルを抹殺す「うん、それムリ」...あ、貴方...ッ!このカテレア・レヴィアタンを侮辱するつもりですかッ!?」
「イヤ、侮辱云々抜きに不可能に決まってんだろ。あんた自分の実力過信し過ぎじゃね?
『魔王』二人に『天使長』と『堕天使総督』、ついでに『赤龍帝』だぞ?勝てる訳無いだろ。つーか、そんなに強いんならあんたが『魔王』になってるハズだろうが」
言っちゃなんだけど。アザゼルさん一人にも勝てないヤツがそれと同等以上の相手を同時に6人なんて不可能に決まっている
「フン...まあ、確かに私だけの力では貴方達を同時に相手取る事は不可能でしょう。そう、
そう言うとカテレアは懐から小瓶を取り出し、中に入っていた小さい黒い蛇を呑み込んだ。瞬間、ヤツから凄まじいプレッシャーが放たれる。なるほどアレがオーフィスの『蛇』か、凄いな.....
その後、カテレアが調子に乗っているのでボコりに掛かろうとしたが、アザゼルさんが『今更だけど、アンタはゲストなんだから下がってな。後はアタシがやる』との事だったので、祐斗達校庭組の援護に向かう事にした
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校庭に出ると同時に、背後からゼノヴィアに放たれた魔法の炎をアロンダイトで叩き斬る
「ゼノヴィア、油断すんな」
「すまない師匠。旧魔王の方は?」
「アザゼルさんが潰すって。オレ達は雑魚の掃除」
「そうか、了解した」
そう言うと、ゼノヴィアはデュランダルを構え直して、敵陣に突っ込んで行った。
その後、オレもアロンダイトで魔術師達を薙払っていたのだが、いかんせん、相手は無尽蔵にどんどん湧いてくるので、きりがない。
しょうがないので校庭ごと纏めて吹き飛ばす事にした。丁度アレも習得出来たんだし。そう思ったオレは呪文の詠唱を始める
「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 契約により 我に従え高殿の王! 来たれ! 巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆よ!!」
あ、ヤバい。三人を下がらせねぇと
「祐斗!ゼノヴィア!イリナ!オレの後ろに!!」
『了解です(だ)(よ)ッ!』
『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
三人がオレの後ろまで下がってきた事を確認してから倍加を始め、詠唱を再開する
「百重千重と重なりて 走れよ稲妻!!」
『Explosion!!』
オレが詠唱している事に気付いた奴等が攻撃してきたり、障壁を張ったりしているが、もう遅い。食らえ、雷系最大呪文!!
「『千の雷』!!!!」
ーーーードガアアアアアアアアアッッッンンンン!!!!ーーーー
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「その程度ですか、アザゼルッ!!」
「ハッ!借り物の力で漸くアタシ等と戦える様になったヤツがよくほざくねぇッ!」
カテレアの奴と戦い始めて数分が経ったが状況は余り芳しく無い。
ヤツがオーフィスから手に入れた『蛇』によって得た力は想像以上だった。
これ以上イッセー一人にやらせる訳にはいかなかったから、代わりに相手してるんだが....やれやれ、中途半端に強くなりやがって。
しょうがない、アレを使うかね?出し惜しみしてやられでもしたら目も当てられないしねぇ....
「覚悟を決めてもらいましょうか、アザゼル」
ヤツが嘲笑を向けてくるが、それを無視して懐から短剣ーーー傑作人工神器『堕天龍の閃光槍』を取り出す
「それはーーー」
「アタシは自他ともに認める神器マニアでね、こうして自作したりもするのさ。ま、殆どのモンが屑でどうしようも無いんだけどね。『神器を開発した』って所は唯一
「ーーーそれで?その屑でどうするつもりなのです?」
「こうするのさ!『禁手化』ッ!!」
短剣のパーツが分離し、光が噴き出す。光はアタシの身体を覆い、黄金の鎧になる。これが『堕天龍の閃光槍』の擬似禁手『堕天龍の鎧』だ
「ーーーそんな!?神器の研究はそこまで進んでいなかったはずです!」
カテレアはこの鎧を見て動揺している
「なるほど、その様子じゃあ、
アタシが皮肉気に言ってやると、ヤツは舌打ちをしながら青黒いオーラを噴出させる。どうやら、そろそろ決着を着けるつもりのようだね
「私は偉大なる真のレヴィアタンの血を引く者!カテレア・レヴィアタン!貴女ごとき忌々しい堕天使に負けは」
ーーーードガアアアアアアアアアッッッンンンン!!!!ーーーー
カテレアはヤツが吠えている最中に突然降ってきた凄まじい雷に捲き込まれて、一瞬でアタシの視界から消え失せた
ーーーーアレ、ナンカオチテキタゾ?ーーーー
ーーーーマスター、コノヒトキュウレヴィアタンデス!!ーーーー
ーーーーア、ホントダ。ヤベェ、ジュツニマキコンジャッターーーー
.....下の方から聞き慣れた声がーーーーって言うか、イッセーの声が聞こえてくる。どうもカテレアはアイツの魔法に捲き込まれてやられたらしい.....
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ドーモ、イッセーです。ちまちま魔術師達を倒すのが鬱陶しくなってきたので『千の雷』でまとめて吹き飛ばしたのだが、カテレアが上空に居たのに気付かずにまとめてブッパしちゃいました。
『擬似禁手』を無駄に使う事になってしまったアザゼルさんから文句を言われ、ズッタズタになった校庭を見たシトリー眷族からも怒られました
まあ、そんな訳で『禍の団』の襲撃犯たちは全て返り討ちにしたので、現在アザゼルさん達首脳陣は『禍の団』とギャスパー君、並びにリアス・グレモリーの今後について話し合っている
『禍の団』のやった事とは言え、眷族がテロに利用されたと言う事は到底看過出来る訳が無く、『恐らく、ギャスパー・ヴラディの眷族解除、並びに領地の没収等があるだろうさ』とはアザゼルさんの弁である。
まあ、それ位しないと懲りないだろうからな、あの無能は
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暫く待っていたのだが一向に話し合いが終わる気配が見えないので先に帰ってしまおうと思い、会議室を出ると匙君がオレの事を出待ちしていた。
何か用でもあるのか?と聞いてみた所、『頼む!どうか俺の事を鍛えてくれ!!』と、いきなり土下座された。
流石にいきなりそんな事を言われても困るので詳しい話を聞いてみた所、『冥界に、身分に関係無く誰でも通えるレーティング・ゲームの学校を建てる』というソーナ・シトリーの夢を叶える手伝いがしたいのだそうだ
『別に眷族なんだから、普通に手伝う事になるだろう?』と言ったら
『少しでも早く会長に夢を叶えて欲しい。その為には強くなって、レーティングゲームに勝ち、会長の評価を上げなくちゃならないんだ!!頼む!俺に会長を助けられるだけの力をくれ!!』.....だそうだ。
いやぁ、熱いねぇ...青春だねぇ...若いって良いねぇ...こういう愚直な奴は嫌いじゃないので手伝ってやる事にする
「ほい、これ持ってろ」
「これは?」
「オレの連絡先と紹介状。アザゼルさんにも話は通しておいてやるから、時間が出来たら連絡しな」
「?アンタが鍛えてくれるんじゃないのか?ってゆーか、紹介状?」
匙君が怪訝な顔をしてくる
「現在最も神器の研究が進んでるのはグリゴリだからな。そこに行って特訓受けた方がお前の為になるはずだ。せいぜい頑張れ」
ぶっちゃけ、オレは匙君と違って直接戦闘型だからな。オレの修行じゃ『黒い龍脈』は活かしきれないのだ。もちろん、オレとの戦闘経験は無駄にはならないだろうが....
オレがそう言うと匙君は納得した様で、何度も『ありがとう』と言って感謝してきた。うんうん、ちゃんとお礼が言えるのは良い事だ。どっかの無能と違って
はい、という訳で第9話でした
描写はしていませんでしたが、『アスカロン』はイリナが使用しています
とうとうイッセー君が『千の雷』を習得しました。本編では使ってませんが、既に『燃える天空』も習得しています。
まあ、あっちは天界勢がいる時は呪文詠唱でヒンシュク買うので使えませんが....
そして立ち上がる匙君強化フラグ(笑)
作者は匙君や原作一誠君みたいな泥臭いヤツは大好きです