ハイスクールD×Dに転生した   作:ユウタロス

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遅くなって申し訳ありません!!


と、言う訳で第15話です




第15話 肌荒れでも起こしたらどうする!?

「うひゃー! うーーみーーだーー!!」

 

「海だーーー!!」

 

「海だぞーーー!!」

 

「海っすーーー!!」

 

「海ですーーー!!」

 

「ま、待ってくださーい!!」

 

「走っちゃダメだよーー!!」

 

 

 

 ヴァーリ、ゼノヴィア、ドライグ、アルビオン、ミッテルト、さよが叫びながら走り出し、アーシアと祐斗が慌てて追いかける。そして、その後ろを全員分の荷物を担いだ一誠がレイナーレ、イリナと共に歩いていく。五人娘達ほどではないが、この三人も楽しそうにしている。

 

 

 

「綺麗な海ねー」

 

「おお。人もそんなに多くないし、いい穴場だな。イリナ、どこでこんな所知ったんだ?」

 

「えへへー! この間商店街のおばちゃんに教えてもらったのよ!」

 

「「へー」」

 

 

 関心した声をあげる2人に、イリナはニコニコと満面の笑みを浮かべながらドヤ顔をしている。幼い頃にイギリスに移住して以来、久しく日本の海には来ていなかったので楽しみで仕方ないらしく、ちらちらと海の方を見ている。きっと自分も海に走り出したいのだろう。

 

 

「民宿は俺とレイナーレで行っておくから、お前も走ってきていいぞ。水着は着て来たんだろ?」

 

「えっ、いいの!?」

 

「そんなキラキラした顔しておいてダメなんて言えないわよ。早くいってらっしゃいな」

 

「オッケー!! キャーー、うーーみーーよーー!!」

 

 

 叫びながら走り出したイリナを見送った2人は民宿に歩いて行った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ほっほぅ? 中々良さげな民宿だな」

 

「オシャレね~。目の前が海で眺めも最高ね」

 

 

 今回一誠達が予約した『民宿まりん』は海や駅から近いながらもそこそこ程度のお値段である、穴場スポットだ。以前電話した際に月音に教えてもらった店である。

 

 中に入ると、奥の方から女将さんがやって来る。

 

 

「あ、予約してた兵藤です」

 

「はいはい、お待ちしておりました。女将のまりんです……なるほど、君がギンの言ってたイッセー君か、中々男前だねぇ。こっちの可愛いお嬢ちゃんは彼女?」

 

「妻です♡「抜かせアホ」あ~んもう、イケズなんだから♡」

 

 

 頬を両手で挟んでクネクネとするレイナーレに若干イラッとするが、せっかくの旅行なので怒らない様に自重する一誠。

 

 

「とりあえず、先に荷物だけ置きに来たんで部屋に案内してもらって良いですか?」

 

「かしこまりました。それでは、こちらへ」

 

 

 部屋に荷物を置いた2人は、海に向かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「お、いたいた……んん?」

 

「あら、もう友達作ったのかしら?」

 

 

 ビーチパラソルやらビーチチェアを担いだ一誠とレイナーレは、ヴァーリ達が見知らぬ少女達とビーチバレーをしているのを目撃する。

 

 参加しているのはヴァーリ、ゼノヴィア、祐斗の3人。

 

 対するはアホ毛が特徴の銀髪の少女、ツインテールの赤髪少女、そして三つ編みの金髪の3人。みんなかなりの美しさである。

 

 

「はああああああッ!」

 

「フッ、中々やりますねッ! 感動的です! だがしかぁしッ! この私の宇宙CQCの前では無駄無駄無駄無駄無駄ァッ! なんですよぉッ!!」

 

 

 銀髪少女のアタックをゼノヴィアがダイレクトに打ち返し、それをまた銀髪少女がダイレクトに打ち返して……と言う具合にお互い延々と打ち合っており、ヴァーリ達や相手の少女達は手が出せないでいる。

 

 

「なんという超次元ビーチバレー」

 

「どっちかと言えばテニヌじゃない?」

 

 

 『まあ、どっちにしろヌポーツだよな』等と話している一誠とレイナーレの元に、盛り上がってる2人を放置してヴァーリと祐斗、赤髪少女と金髪少女、更にその連れと思われる少年がやって来た。

 

 

「すみません、ウチのニャル子がご迷惑を……」

 

「いえいえ、ウチの方こそゼノヴィアと遊んで……あ、こないだのフォーク少年じゃないか」

 

「え? えっと……」

 

 

 連れの少年は、先日スーパーにて大量の金属フォークを購入していた少年だった。

 

 余りにも大量にフォークを購入していたものだから一誠はよく覚えていたが、少年の方はそうでもなさ気な様子である。

 

 

「ほら、先週の特売日に大量にフォーク買い込んでたでしょ?」

 

「…ああ! イチゴ牛乳の人か!」

 

「そうそう。俺は兵藤一誠、高校2年だ」

 

「ああ、僕は八坂真尋だ。僕も高2だよ」

 

 

 自己紹介をした所で、同い年だと知って会話の弾む2人はそのまま何やかんやと話し込み始める。すると、なんとお互いに『民宿まりん』に泊まる事が判明。

 

 

「一誠達も『まりん』に泊まってるのか…」

 

「そう言う真尋達も「あれ? イッセー?」うん? …って、白野じゃん」

 

 

 聞き覚えのある声に振り向くと、岸波白野が居た。白野も一誠がいるとは思っていなかったのか、驚いた表情を浮かべている。

 

 

「いや〜、なんか見覚えのある奴がいるなぁ…って思ったんだよね。イッセーも泳ぎに?」

 

「まあね。いつも別荘(あそこ)じゃあ、皆飽きちゃうからな。息抜きも兼ねて来たんだわ。って言うか、1人? タマモさんは?」

 

 

 普段は常に白野の3歩後に付いている良妻賢母の狐様がいない事に気付いた一誠が、不思議そうに周囲を見渡す。

 

 

「タマモ達なら『着替えてから行きますので、先に行ってお待ち下さいませ♡』って」

 

「へ〜…あ、真尋。コイツは岸波白野って奴で、俺の友人だ。白野、こっちのは八坂真尋って言ってな、さっき友達になったんだ」

 

「あ、どうも。八坂真尋です」

 

「あ、ご丁寧にどうも。岸波白野です」

 

 

 ぺこりぺこりとお辞儀をしあう2人を余所に、一誠は自分の娘達の為に浮き輪やサンオイルを用意していく。

 

 膨らませるのは大変だろうと浮き輪に空気を入れ、冷たいのは嫌だろうとサンオイルを人肌位まで温める。

 

 サンオイルは『市販品のサンオイルなんて何が入ってるか分からんもの、ウチの娘達に使えるか! 肌荒れでも起こしたらどうする!?』と言って一誠が作った自家製サンオイルで、全員それぞれの肌質に最も適した材料を使っている。

 

 当然UVB100%カットである。

 

 普段のしごきっぷりとはエラい違い。レイナーレはそんな親バカ全開の一誠を苦笑しながら眺めている。

 

 

「これでよし」

 

「準備終わったの?」

 

「うん。レイナーレ、みんなにサンオイル塗っといてやってよ。俺向こうで釣りしてるからさ」

 

「あら、イッセー君は塗ってくれないのかしら?」

 

 

 一誠は、イタズラっぽく言うレイナーレをチラ見すると、持っていた麦わら帽子を深く被る。

 

 

「おバカ、男にそう言う事を言うんじゃありません。襲われたらどうすんだ」

 

「フッ、イッセー君ならウェルカムよ! 大歓迎ね! 他の男? 串刺しにします」

 

「……アホか」

 

 

 それだけ言うと、一誠は釣り具を持って堤防の方へ向かって行った。

 

 ちなみに、レイナーレは『アホか』と言いつつ、ちょびっとだけ嬉しそうな顔をした一誠に全力で萌苦しんでいた。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「師匠、スイカ割りをやろう」

 

 

 釣りをしていた一誠の元にゼノヴィアがやって来て、そんな事を言い出したのはちょうど昼食時であった。

 

 

「スイカ割り?」

 

「うん、さっき放送で『夏といったら海でスイカ割り。コレをやらなきゃ始まらない!』って言って、海の家でスイカの大安売りを始めたんだ」

 

 

 ゼノヴィアは『だからスイカ割りしよう』と言って『運営の思うツボだな~…』なんて思っている一誠をグイグイと引っ張る。

 

 

「わかった、わかった。今行くから先に行っとけ」

 

「よし、絶対だぞ師匠!」

 

 

 面倒くさがっていたが、ゼノヴィアの並々ならぬ熱意に根負けして釣具を空間倉庫に放り込んでいく一誠。

 ゼノヴィアは一誠が片付けを始めたのを確認すると、一目散に海の家の方に駆けて行った。

 

 

「スイカ割りか〜…たぶん、前世含めて30年振り位だな…みんな元気にしてっとぉ!?」

 

 

 久しぶり過ぎる出来事に、ふと前世の家族や友人達の事を思い出していると、まだ揚げていなかった釣り竿に大物がヒットして慌ててリールを巻く。

 

 

「ぬぉぉぉ……ッ! 何だこれホオジロザメでも食い付いたか!?」

 

 

 身体能力の強化をしていないとは言え、自分が釣り上げられないと言う、どう考えても普通の魚とは思えない引きの強さに困惑する一誠。

 その後も粘り続けるが、一向に釣り上げられそうに無い獲物にしびれを切らし、【感化法】を最大出力で展開。

 

 

「どりゃあああああっ!!」

 

 

 流石に抵抗出来なかったのか、海中から凄まじい勢いで釣り上げられた―――人魚が。

 釣り上げられた人魚はそのままビタン、と堤防に打ち上げられる。

 

 

「痛か〜! 痛か〜!」

 

 

 何故か博多弁で『痛い痛い』と叫ぶ人魚。まさか人魚を釣り上げる事になるとは思っていなかったため、どうすれば良いのか分からずに只々人魚を見つめる一誠。すると、不意に人魚と目が合う。

 

 

「……」

 

「……釣り針外しとってくれなか?」

 

「…アッハイ」

 

 

 ごもっともな要求に、慌てて転移魔法で人魚の舌に刺さっている釣り針を取り除くと、【治癒(クーラ)】で傷を治す。

 

 

「おぉ〜、舌ん痛みのちゃっちゆう間に無くなりよったちゃ! あんだ魔法使いなん?」

 

「あ〜、まあ、はい。一応、魔法使いやってる兵藤一誠って者です」

 

「うちはむろみばい、よろしゅうね!」

 

 

 釣り上げられた事は特に気にしていない様でホッとする一誠。

 

 

「いや〜、たっくん以外に釣り上げられるっちは思わなかったちゃ」

 

「あ〜、その、何かすみません」

 

「よかよ、よかよ、気にしとらんから。そいや、うちはもう来るたい! やいね!」

 

 

 軽く言葉を交わすと、むろみは海に飛び込んで泳ぎ去って行った。何故かバタフライで。

 ばっしゃばっしゃと凄まじい速度のバタフライで泳ぎ去って行くむろみを見ながら、ぽつりと、一誠は呟く。

 

 

「……何で博多弁?」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「師匠、遅いぞ!」

 

「すまんすまん…って言うか、何玉買ってんだよ……」

 

 

 プンスカしながら駆け寄ってくるゼノヴィア。 だが、一誠はゼノヴィアの背後に積まれたスイカの山に顔を引き攣らせている。

 

 

「どうだ、凄いだろう? 一玉500円だったからな、20玉も買ってしまったとばぁっ!?」

 

「バカヤロウ、こんな買い込んでどうする気だ!」

 

 

 胸を張りながら自慢してくるゼノヴィアの頭にゲンコツを振り下ろす一誠。別にゼノヴィアの胸を見ながら『立派なスイカだ』なんて思って無い。無いったら無い。

 

 

「ぬぉぉぉぉぉおおお……!」

 

 

 涙目で頭を抑えてうずくまるゼノヴィアを、苦笑しながらアーシアが治療している。

 

 

「つーか、祐斗は何してたんだよ? 止めなきゃ駄目だろゼノヴィアはアホッ娘なんだから!」

 

「す、すみません! ちょっと僕が目を離した隙に……レイナーレとヴァーリに、頼んでおいたんですけど…」

 

「「ちょ、ま」」

 

有罪(ギルティ)

 

 

 雲ひとつ無い青空に、2つの嬌声が響き渡った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「しっかし、どうするかコレ…」

 

「凄い数ね〜」

 

 

 一誠は積み上げられたスイカの山を前に唸っていた。スイカは水物で長期保存には適さないので、とっておく事は出来ない。氷漬けにでもしてしまえば保存は出来るが、そうすると解凍した時に味がおちてしまう。

 

 

「5個旅館にあげて今7個食うとして、残り8個か…」

 

「イッセーさん、キシナミさん達にもあげたらどうですか?」

 

 

 考えていると、アーシアからの画期的な意見が入る。

 

 ちなみに。アーシア、ヴァーリ、さよは紺色のスク水(もちろん、胸のゼッケンには平仮名で名前が書いてある。ココ重要)、ドライグとミッテルトはセパレート、アルビオンとイリナはワンピース、ゼノヴィアとレイナーレ、祐斗はモノキニ型の水着を着ている。

 

 

「…そうだな、そうするか。じゃあ、早速配りに行ってくるわ。アーシア、ドライグ達と先に遊んでてやってくれ」

 

「ハイッ!」

 

 

 一誠はヒョイっとスイカを8玉抱え上げると、白野達の方へと歩いて行った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「お〜い、白野〜」

 

「おや、イッセーさん」

 

「イッセー、どうかしたのか?」

 

 

 両手にスイカの山を抱えてやって来た一誠を訝しげに迎えたのはタマモと白野であった。

 

 

「いや、ウチのゼノヴィアがアホみたいにスイカ買い込んじゃってさ、お裾分けに」

 

「え、良いの?」

 

「あら、ありがとうございます!」

 

 

 『こんなに沢山食べ切れないしね』と言いながらスイカをタマモに差し出す。

 

 可愛らしい姿をしていても、流石は九尾。それなりの重さがあるスイカ4玉を片手で軽々と受け取った。

 

 

「タマモよ、誰だそやつは?」

 

「アンタの知り合い? どことなくシンパシー感じるんだけど…」

 

 

 見れば、犬っぽい雰囲気の金髪美少女とスイーツ(笑)っぽい雰囲気の美少女が居た。二人とも興味深そうに一誠の方を見ている。

 

 

「ああ、貴女達はまだお会いした事がありませんでしたね……

 一誠さん、コチラ我が家の居候の音痴達です」

 

「誰が音痴よ!? エリザベー……ランサーよ!」

 

「そうだぞ! この至高の芸術たるネロ・クラウディ……セイバーに向かって何と言う!」

 

「ホント声だけは良いんですけどねぇ……あ、この方ガッツリ『裏』のヒトなんで、本名で大丈夫ですよ?」

 

 

 心の底から残念そうに話すあたり、本当に音痴なんだろうなぁ……と少々哀れみの目を向ける一誠。実に失礼な男である。

 

 

「あら、そうなの? じゃあ、エリザベート・バートリーよ」

 

「余はネロ・クラウディス・カエサルだ!」

 

「あ、どうも。赤龍帝の兵藤一誠です」

 

 

 一誠が赤龍帝である事を話すと、とたんに驚いた表情をする2人。

 

 

「なんと! 『カイザーハーレムドラゴン』と名高き赤龍帝か!?」

 

「え!? アナタが『拷問魔龍赤龍帝』!?」

 

「ちょっと待って」

 

 

 不穏すぎる単語にストップをかける一誠。その一誠を尊敬の眼差しで見ているネロとエリザベート。

 

 

「え? カイザー? 拷問魔龍? 何それどこ情報?」

 

「? 何処と言われてもな…そう言う風に伝わっているぞ? のうエリザ?」

 

「ええ。堕天使をつま先からハムの様にスライスして、死ぬ寸前にフェニックスの涙で完全回復させて精神崩壊するまで拷問したんでしょう?」

 

「イッセー…そんな事してたのか……」

 

「Oh…」

 

 

 『そんな事はしていない!!』そう言いたかった一誠だが、何割かは身に覚えのある話だったので強くは否定できず。まさかそこまで悪名が響いているとは思っておらず、顔を手で覆い天を仰いだ。

 

 

「それで、そのハレム達はどこの居るのだ? 噂に名高き赤龍帝のハレム、是非一目会っておきたいのだが」

 

「いや、別にハーレムじゃ……まあ良いや。うん、皆は向こうでスイカ割りやってるよ。参加する?」

 

「ほほう、スイカ割りとな? 面白い、是非参加させて貰おう! 征くぞ奏者よッ!!」

 

 

 ローマ育ちの為にスイカ割りなど今まで体験した事が無いネロは、一気にヴァーリ達の方に走り去って行った。

 

 

「あ、ちょ、ネロ! はぁ、全く…イッセー、本当に参加していいのか? 今日は家族サービスの旅行なんだろ?」

 

「いいよいいよ、あの手のイベントは人数多い方が楽しいからさ。あ、タマモさん。そのスイカ俺が持ってくから」

 

「そうか……うん、じゃあ、俺達も参加させてもらうよ。行こうタマモ、エリザ」

 

 

 タマモからスイカを受け取ると、一誠は真尋達の方に向かう。

 何気にスイカ割りを楽しみにしている白野が、タマモとエリザベートと手を繋ごうと両手を差し出す。

 

 

「はーい♡ タマモは何処までもお供いたしまーす♡」

 

「あら、子ブタの癖に私と手を繋ごうなんて、10年はや「そうか…じゃあ、行こうかタマモ」「はい♡ それじゃ、エリザさんはお独りでどうぞ♡」あ、う、ウソ! ウソだからぁ! 私とも手ぇ繋いでよぉ!」

 

 

 タマモはデレデレで、手を繋ぐどころか恋人の様に胸を押し付ける様に腕を組む。

 エリザは気恥ずかしさからツンデレ気味になってしまい、危うく置いて行かれそうになった為、泣きそうな声で白野の腕を掴み取るのだった。 

 

 その様子を離れた場所で見ていたハゲとメガネの男子高生が『爆死しろおおおおおお……』と、冥府の底から響いてきたかのような怨鎖の声をあげていたとかなんとか。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 白野と別れた一誠は、引き攣った表情を浮かべていた。原因は単純にして明快。

 

 

「まっひっろさ〜ん! ちょ〜っと背中にSANオイル塗って下さ「クー子、塗ってやれ」「任せて少年…!」ええい、アンタは呼んでね〜んですよ、この変態が! 気化爆弾で自爆してなさい!!」

 

「あ、あの、マヒロ君ッ! 僕にもSANオイルを……」

 

「みーっ!? み、みみ、みーっ!? みーっ!?」

 

 

 ―――混沌(CAOS)だったから。

 

 真尋に怪しげな薬品(サンオイルらしい)を手渡すニャル子。

 

 その薬品をクー子に手渡す真尋。

 

 手渡された薬品を頭からぶっ被り、全身ヌルヌルでニャル子に絡み付くクー子。

 

 海パンに手をかけながらサンオイルを塗る様に真尋に要求するハス太。

 

 浮き輪に乗っかったまま、引き潮で沖に流されて行くシャンタッ君。

 

 

「いや、引き潮はアカンやろ」

 

「みーっ!? ……み?」

 

 

 転移魔法でシャンタッ君を回収してから真尋達の方に向かう。

 

 

「お〜い」

 

「ん? ああ、一誠か。なんか用か?」

 

「ん、スイカ割りやるから一緒にどうだ?」

 

「「ほほう?」」

 

 

 スイカ割りと言う単語が出た瞬間、ぴくりとアホ毛とツインテールを反応させるニャル子とクー子。

 

 

「フッフッフ、一誠さん。私の前でスイカ割りの話題を出すとは……」

 

「少年、やりに行こう」

 

「ぼ、ボクもやりたいなっ!」

 

「うん、まあ。やらせてくれるって言うなら、参加させてもらおうかな」

 

「ん、じゃあ行くか……と、コイツ真尋達の」

 

「おや、シャンタッ君。見ないと思ったらこんな所にいたんですか!」

 

「みー! みー!」

 

 

 ノリノリの少女達にシャンタッ君を手渡すと、スイカ割りをしているゼノヴィア達の所に歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「盛り上がったな〜…」

 

「いや〜、凄かったわね〜」

 

 

 シャクシャクとスイカを咀嚼しながらレイナーレと会話をしている一誠。その視線の先にはキャイキャイと騒いでいるロリっ娘達と、頭だけ出しながら砂浜に埋っているヴァーリとゼノヴィアがいた。

 

 

「イッセーくーん、そろそろ出してよ〜!」

 

「師匠〜、私にもスイカを〜……」

 

「食べ物を粗末にするようなアホ共に食わせるスイカはありません!」

 

 

 生首2つが恨めしそうに声をかけるが、一誠はピシャリと言い放つと、構わずにスイカを食べ続ける。

 

 ――スイカ割り大会は、大半が外国人…と言うか、人外だった為にそれなりに盛り上がった。まあ、そこまでは良かったのだが、そこでヴァーリとゼノヴィアがやらかした。

 

 人生初のスイカ割りと言う事でテンションが上がり過ぎたのだ。

 

 秒間30回転と言う常人ならば確実にブラックアウトするであろう高速回転から開放された2人は、あろうことか回転した際の遠心力を利用して、全力でスイカに木刀を振り下ろしたのである。

 

 ただでさえ常人離れしている二人がそんな事をしたせいで、スイカは見事に消し飛んでしまったのである。それはもう、種1つ残さずに。

 

 

「フハハハハ! 無様だなヴァーリ! ……あ、イッセー! スイカおかわりだ!」

 

「おぉ、アルビオンちゃんも中々食べますねぇ…あ、マヒロさん、ほっぺたにスイカが付いてしまってますよ! 私が丁寧に舐め取っ…あ、はい冗談ですからそのフォークをお納め下さい」

 

「いや〜、砂浜で西瓜をたべるなんて風情がありますねぇ…」

 

 

 ワイワイキャアキャアと非常に騒がしい。女3人寄れば姦しいとはよく言ったものである。皆最初は初対面で若干気不味そうにしていたが、スイカ割りをしている間にすっかり仲良くなっていた。

 

 

「……ん? なあ、一誠。そのスイカ、ちょっとおかしくないか?」

 

「あれ? 言われてみれば確かに…なんて言うか、固そうだな?」

 

 

 真尋と白野が不思議そうな顔をして一誠に問い掛ける。

 注意して聞いてみると、真尋達が食べているスイカはシャクシャクと水々しい音をたてているが、一誠が食べているスイカからはガリガリと固そうな、それこそ煎餅を齧っているような音が聞こえているのである。

 

 

「ん? ああ、凍らせてるからな。知り合いに教えてもらったんだけど、シャーベットみたいで中々ウマいぞ。やってやろうか?」

 

 

 一誠の言葉に白野は納得し、自分もやってもらおうとスイカを手渡す。真尋は怪訝そうな顔をして見ている。

 一誠が受け取ったスイカに手をかざし、一言『こおれ』と呟くと、パキンっという小気味良い音と共にスイカ内部の水分が凍り付き、スイカシャーベットが出来あがる。

 

 

「な……ッ!?」

 

「ほい。ちょっと重くなってるぞ」

 

「おぉ〜、冷たくて美味しそうだな!」

 

 

 驚愕する真尋を余所に、ガリガリとスイカシャーベットを食べ始める白野。

 

 

「真尋もやるか?」

 

「美味しいぞ?」

 

「いやいやいや、ちょっと待て! 今のどうやったんだよ!?」

 

「どうって……見てただろ?」

 

「見てたから言ってるんだよ!」

 

 

 『お前は一体何を言っているんだ?』とでも言いたげな表情の2人に、キィィィーーーッ!! とヒステリックに頭を抱える真尋。

 

 

「……あれ? ひょっとして真尋って『裏』の人じゃ無いんじゃ……」

 

「え? いや、それは無いだろう? 人外を4人も連れてるんだし……」

 

「……え?」

 

 

 一誠と白野の会話が耳に入った真尋は、ピタリとヘッドスパンキングを止める。

 

 

「え? いや、なん、人外…え?」

 

「いや、あの4人。ヒトじゃ無いだろ?」

 

 

 一誠が離れた場所で志村○んばりの勢いでスイカを食べているニャル子達を指差しながら言う。

 

 

 何の前振りもなく、いきなりニャル子達の正体がバレてしまったのだから当然と言えば当然の事なのだが、真尋はかなり動揺していた。

 

 

「な、なんで…」

 

「何でって言われても……まあ、『裏』に関わったことがある奴なら普通は分かると思うぞ? って言うか、あの超次元ビーチバレーを見れば一般人にも分かるだろ」

 

 

 ニャル子の余りにも

 

 

「まあ、そんな焦る必要は無いよ。って言うか、今ココにいる人なんて、大半が人外だしね」

 

「そうよ、私だって堕天使だもん。ハクノ君なんてイッセー君と同じ魔法使いだし」

 

「レイナーレ、俺をイッセーと同列にしないでくれない? 俺はまだ人間辞めてないよ?」

 

「おい、どういう意味だザビエル。

 つーかお前、戦術眼は並の人外より遙かに人外じゃねえか。何で七尾のタマモさんの攻撃が予測出来るの?」

 

「え? え? 魔法使い? 堕天使? 邪神じゃなくて?」

 

 

 進む会話に付いて行けず、真尋は狼狽える。

 

 

「あの娘達邪神なのか……名前的にニャルラトホテプとクトゥグア、それに、ハスターとシャンタク鳥か?」

 

「そ、そうだけど……何で分かったんだ?」

 

「いや、前に知り合いの宇宙人に『イッセー殿、ニャルラトホテプ星人とクトゥグア星人には気を付けるであります! アイツら真剣(マジ)で他人の迷惑なんて一切気にしないんだよ!! 人様の軍事基地で勝手に喧嘩おっ始めるんだもの!!』……って言われたからさ」

 

 

 一誠の言葉に、あぁー…と遠い目をする真尋。苦労しているのだろう。

 

 

「ほら見てよレイナーレ。イッセー宇宙人とも友達なんでしょ? 立派な人外だよ。俺とは格が違うね」

 

「イッセー君ごめんなさい、私にはフォローしきれないわ」

 

「ブッ飛ばすぞお前ら……まあ、そんな訳だからさ。別に無理して隠さなくてもいいよ? 民宿にも2人妖怪いるし」

 

 

 民宿にも人外がいると知り、自分がいかに人外の存在に囲まれて生きていたのかを自覚して顔の引きつる真尋。

 

 そんな真尋の顔を見ながら『転生者もいると知ったらどうするんだろうなぁ…』と思う一誠であった。

 

 

 

 





ハイ、と言う訳で第15話でした


今回は水着回になりましたね。前回から3日後の話になります。



投稿遅れてホントに申し訳ありません!! ORZ

いえ、ホントはもっと早く更新するはずだったんですよ? ウソじゃないヨ?

実は8割ほど(14000字位)書いてあったデータがアボンしまして……しばらくアウアウアー(^p^)状態になってました

気晴らしに他の作品更新したり、新作書いてたりしたらあっという間に二ヶ月も…(汗)

次話は1週間以内にあげますので、なにとぞお許しくだせぇ m(;∇;)m

 次回も引き続き旅行回です。みんな大好きなあのヒトも登場するよ!



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