川神勢の女子力が圧倒的に足りなかったでござるの巻
「~~、いざぁーーーーー……♪」
「お疲れ~、水希、ほいコレ」
「いぇーい」
「水希は歌が上手いな」
「えへへ、ありがとう」
此之命刻刹那を歌いきった水希が晶からを受け取りながら千花とクリスにお礼を言う。
歌い始めて、大体1時間ぐらいがたっているだろうか。次の曲が入っていないこともあり、なんとなく小休憩という感じになった。
「ねぇねぇ、神座万象シリーズっていえばEinsatzよね?アレは歌わないの」
「あれは歩美の十八番だからとっといてるの、もうすぐ来るんじゃないかなぁ」
「あゆのヤツ、さっき賞品持ったドヤ顔のメールが来たから、そろそろ来んだろ」
「相変わらずよね歩美、ゲームとかアニメとか何が面白いのかしら」
「あ、私、我堂さんと同じ。ゲームとかアニメとか全ッ然ダメ!龍辺さんはよく師岡とか大串とかと付き合えるわよね」
「え~、小笠原さん、それは偏見だよ。見ると結構面白いよ」
「私は世良さんがそういうの見てるほうが意外だったわ。なんか全然見ない感じするもん」
「自分は見てるぞ、神座万象シリーズ。侍が好きだから宗次郎が一番好きだな」
「アタシは爾子、可愛いじゃないモフモフで」
「なんかそれは……犬つながり、って感じね」
「なぁ、それより黛さん?大丈夫かよ、なんか鈴子みたいな顔になってるよ?やっぱ先輩ばっかじゃ緊張しちゃうか?」
「ちょっと、晶、それどう言う意味!」
「まぁ、言葉通りの意味なんだろうけど……なんか、すごい引きつってるわよ?具合悪い?」
水希達の気遣いに顔と身体をガチガチに固まらせて、両手でグラスを握りしめている由紀江が慌てて答える。
「いえ! いえいえいえいえ!! 全然そういうのではなくてですね。友人でカラオケというなんというか、リア充のイベントに慣れていないといいますか。むしろカラオケというものに来るのが初めてといいますか……と、とにかく具合とかが悪いわけではないのでご心配には及びません!!!」
「そ、そう……ならいいんだけど」
「でも、なんていうか、意外よねー」
「え? なにが?」
思い出したように千花が言う。
「いや、最初鎌倉から来るっていうし。柊くんはいきなり一位でなんかバリバリ優等生!って感じだから。一緒に来る人たちももっと固いのかなぁとか思ってたんだけど、なんか全然普通だからさー」
「そりゃそうだよ、同じ世代なんだしノリなんかあんまり変わらないよ」
「それに四四八だって、全部が全部ガッチガチ! って感じでもないんだぜ」
「意外と子供っぽいのよね、アイツ」
「鈴子には言われたくないと思うけどなぁ、柊くんも……」
「で、でも、柊先輩の子供っぽいところとか、なんか想像できませんね」
多少雰囲気にも慣れてきたのか、由紀江が幾分固さの取れた表情で聞いてきた。
「そうそう、柊くんってなんかすっごい大人! って感じするし」
「負けず嫌いだったり、意地っ張りだったり、結構あるぜー」
「ふふっ、子供っぽいっていうか、なんていうか‘男の子’って感じなのよね、柊くんは。そういうとこは微笑ましいというか、可愛いところだと思うけど」
「淳士にもあるわね、そういうとこは。要するに男なんてみんなバカなのよ」
「まぁまぁ、そういうとこ解ってあげるのが女子力ってやつだよ鈴子」
「「はー」」
「「へー」」
それを聞いていた川神の面々が関心したような声を上げる。
「な、なによあんた達、変な声出しちゃって」
「い、いや、大人な会話だなと思いまして……」
「え? いや、普通じゃないかなぁこれくらい」
「わ、私はこれくらい普通だけどさ、一子やクリスには刺激が強すぎたかもねぇ」
「エ、エロい話じゃなかった……よね?」
「今の話のどこをどう聞きゃあエロい話に聞こえんだよ!」
「自分は男の人は強いほうがいいと思うぞ、うん!」
「そ、そう……」
なんとも噛み合わない会話の途中、部屋の扉が勢いよく開かれた。
「はぁい! お待たせしました、あゆちゃん登場――!みんな、盛り上がってるかーい!!」
「おう来たか、あゆ。優勝おめでと、なんか飲むか?」
「あっちゃんありがとーー! じゃあ、取り敢えずコーラで」
「んじゃ、そろそろ再開しますか」
「よ~し、次は何を歌おうかなぁ」
「ワン子、そこにある曲表とってくれ」
わいわいと再び歌うモードに突入しようとしたとき。
Prrrrrr Prrrrr
携帯の音が鳴る。
「あ、ゴメン、私だ。うげ、家からじゃん。ちょっとゴメンね」
ポケットから携帯を取り出しながら千花が申し訳なさそうに電話に出る。
「うん……うん……え、今から?……うん、わかったー、はいは~い」
明らかに落胆した顔で電話を切る。
「なんかあった?」
「なんか、あしたウチの方で急な注文入っちゃったから手伝ってくれってさ、あ~、よりにもよって今日じゃなくてもいいのにーー」
「それはしょうがねぇなぁ、どうするお開きにするか?」
「いや、龍辺さん来たばっかだからそれは悪いよ。でも、私は先にあがらせてもらうわ。お金、世良さんに渡しとくね」
「OK,また来ようね」
「ねぇ、大丈夫? なんかこの辺、あんまいい雰囲気じゃないけど……私送るわよ?」
「大丈夫大丈夫、だって私、地元だよ? 問題ないって、そんな遅くないし」
「まぁ、あなたがそう言うならいいけど……」
「いいのいいの! じゃあお先にー」
荷物をまとめて千花は出て行った。
「うっし、んじゃ、気を取り直して誰からいく?」
「隊長! 自分、Einsatzいっていいでありますか!!」
「んじゃ、あゆからだな、一子、マイク渡してあげてくれ」
「はーーい、じゃあ次はアタシ!!」
「おい、ずるいぞワン子、自分も歌いたい!!」
次の曲を入れようと二人がリモコンを取り合う中、曲は始まった。
「いくぜ、ヴァルハラー! ついてこいよーーッ!!」
歩美が歌い始める。
「わーー、まってましたーー」
「相変わらず無駄にうまいわね……」
「ま、松風、流石に次は私も歌わなきゃダメでしょうか」
「腹を決めろー、まゆっちー。大人の階段登ろうぜ……」
「黛さんなにひとりでブツブツいってんだ?」
ボックス内は再び賑やかしさを取り戻していった。
そんな店を後ろ髪引かれる思いで出てきた千花は、
「あ~あ、もっと歌いたかったなぁ。ほんと災難だわ」
と、一人愚痴をこぼしていた。
だが、千花はまだ知らない、カラオケから出てきたところを偶然見られてこんな会話がなされてたことを、
「へへっ、おい、今の女結構良くなかったか」
「ああ、いいんじゃねぇの、もうそれなりだったら何でもいいよ」
「こんな所で、女の子が一人歩きとは物騒だよなぁ、保護してやんなきゃ」
5、6人の見るからに質の悪そうな男たちが千花の後を追っていったことを、
千花は思い違いをしていた、本当の災難はこれからおこるのだ……
――――― 川神市繁華街 某所Bar ―――――
四四八達3人は駅から少し歩いたビルの地下にあるBarにきている。
程よく明度を調整した照明に、落ち着いた音楽、統一感のあるインテリア、中央に鎮座する大きなアクアリウムが何とも言えない非日常感を醸し出している。
3人はアクアリウム付近の丸いテーブルへと通された。
「いかがですか? 時々つかうお店なのですが、結構気にいってるんです」
「時々って……こんな店、一体何に使ってんだよ」
大和のつぶやきに四四八は全く同感だというふうに苦笑した。
「もちろん、いろんな方を口説き落とす時ですよ」
そんなつぶやきに、さも当然のように冬馬は答えた。
「だとするなら、今日は連れてくる相手を間違えてるんじゃないのか」
「いえいえ、間違えてなどいませんよ。私は結構本気なんですけど」
「そういう冗談って、それを聞く第三者がいてこそ面白いと思うんだけどな」
「おやおや、つれないですね二人共」
そんな話をしていると、ウェイターが音もなくやって来た。
「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」
「ああ、そうでうすね。少々お腹にたまるものが欲しいので何点か見繕ってきていただけますか? あと、乾杯はせっかくなんで川神水にしましょうか」
「俺はいいよ、それで」
「川神水? なんだそれは?」
「ああ、四四八くんは初めてですか、えーと、まぁ、説明するより試してみたほうが早いですよ。心配しないで下さい、変なものじゃありません。弁慶さんなんていつも飲んでますしね」
かしこまりました、と一礼してウェイターは来た時と同じく音もなく去っていった。
程なくして、皿に盛られたオードブルと3人分の川神水がグラスで運ばれてきた。
「では、四四八くん、ようこそ川神へ。乾杯」
「「乾杯」」
3人でチンッとグラスを鳴らし、中の液体を口に運ぶ。
「ん? なんだこれは?? 酒か??」
「いえ、お酒じゃないです、川神水です」
「いや、だって、これ。酒じゃないのか?直江」
「これは川神水、酒じゃないよ」
「そ、そうなのか……」
なんとも釈然としないものを感じながらグラスの乾していく、まぁ、正体は別にしてなかなか美味しいものであることは確かだ。
そこからは、運ばれてきた料理や飲み物を前に歓談が続く。四四八と冬馬はもともと知り合いだし、気遣いのできる大和もこういう席は苦手じゃない。3人の会話は盛り上がりすぎず、かと言って止まらず静かに流れていく。
それなりに時間が過ぎ、直近の会話もあらかた終わったタイミングで。
「それにしても、これはちょっと意外だったな」
大和が手にあるロンググラスのカクテルを口に運びながら言った。
「何がです?」
葵が大和の問を耳にしてワイングラスを傾けながら聞いた。
「いや、さっき葵が酒頼んだとき。俺、てっきり柊は止めるかと思ってたからさ」
それを聞いた四四八は手にあるショートグラスを弄びながら答える。
「これはプライベートだ、俺だってそこまで野暮じゃない」
「それが意外だって言ってんの、学園だと優等生の見本みたいになってるからさ」
「公私を分けてるだけさ、徹頭徹尾それじゃつまらんだろう」
「意外と話せる人ですよ、柊くんは」
「二人して意外と意外とって失礼だな――」
「ははは、すみません」
大和が言ったように、現在は食事も大方終わり酒に移行している。葵が常連だからか、はたまた3人が大人びて見えるのか店の方も特に何も言ってこない。因みに現在は四四八がショートカクテル、冬馬が赤ワイン、大和がロングカクテルといった具合だ。
「むしろ僕は四四八くんがこの雰囲気に慣れてる感じが意外でしたね、さっきも言いましたが、やはりそれなりに遊んでたりしますか?」
「あ、俺もそれは思った。全然違和感ないよね」
「そうか? まぁ、そう見えるならバイトでバーテンやってるからだろうな」
「バーテンダーですか? これまた、度々になりますがなんとも意外なバイトですね」
「なんか塾の講師とか家庭教師とかその辺だとしっくりくるけどな」
「単純にバイト代が良かったんだよ。うちは母子家庭だったからな、まっ、そういうことだ」
母子家庭‘だった’過去形だ。
冬馬も大和もその部分には気付いたが、話題には上げなかった。
「悪いな――」
「いえ、こちらの方こそ――」
最後まで言わない、この場合言わないのがお互いに礼儀だろう。
「でも、こうやって話してみるとやっぱり優等生というか、完璧超人! ってかんじがするよなぁ」
大和が絶妙のタイミングで話題を変える、流石に大和はこの辺の機微にはとても聡い。
「そう感じてくれるのは正直ありがたい。俺の信念みたいなものでもあるから、その結果がそういう評価だというのなら単純に嬉しい」
「ほう、四四八君を支えている信念ですか、それは是非とも聞きたいものです、ね、大和君」
「ああ、完璧超人柊四四八の根本、是非とも知りたいな」
「なんだよ、二人して……そんな面白いもんじゃないぞ」
「面白い面白くないは、こちらが判断しますよ」
「そうそう、酒の席っつうことで、さ」
「まったく……」
そう言って、観念したように四四八はグラスの残りを一気にあおるとその勢いのまま口を開いた。
「俺は強くありたい……俺の大事な人たちのために、そいつらが誇れる俺であるために……そういうふうに、考えている」
「……」
「……」
四四八の言葉を聞いたとき、葵冬馬は理解した。自分がなぜこれほどまでに柊四四八が気になるのか。
自分は憧れているのだ、この柊四四八という男に。
自分は眩しすぎる親友・九鬼英雄へ抱いている感情と同じものを、目も眩むほどに輝かしいこの柊四四八にも感じていたのだ。
自分は半年前まで悪事……いや、犯罪に手を染めていた。
周りの環境が……親に強要されて……言い訳はそれこそ星の数ほどある、だが同時にそれを辞める理由も同じ数だけあったはずだ。だが、そこから自らの力で足を洗えなかったのは自らの弱さだったと、今では理解している。
今、この場でこうしていられるのは九鬼の『クローン計画』の前段階である川神浄化作戦のおかげであって、自らの力で別の道を歩き始めたわけではない。
そんな中、常に自分の傍にいてくれた準と小雪。
二人には本当に悪いことをしたと思ってるし、どうやって償えばいいのかと思っている、が、同時に二人がそんなことを望んでいないことも十分わかっていた。
だからこそ、悩んでいた、苦しんでいた。自分はどのようにすれば、二人に……いや、図らずも自分を救ってくれた英雄も含め、自分の仲間に報いることができるのだろうか……と。
そして今の四四八の言葉を聞いて確信した。自分の求める答えはこれなのだろう。
自らが変わり、準が小雪が英雄がそしてなにより自分自身が、これこそが葵冬馬だと誇れるようになる。それが、どんな道にも共に沈んでくれた仲間たちへ報いる方法なのではないか……
四四八の言葉を聞いたとき、直江大和は思い出していた。川神百代と交わした約束を。
百代の横に並ぶために総理大臣になると言い放ったあの頃。
確かに子供の戯言だ、だが、年を経るにつれ勝手に自らに限界を作り、諦めてはいないだろうか……
風間ファミリーという居心地のいい揺り籠の中でゆっくりと腐っていってはいないだろうか……
今の自分は、風間ファミリーの仲間にとって誇れる直江大和なのだろうか……
現状を否――と、言えるほど今の自分は強くない、
しかし、
現状を是――とするには、今の自分は柊四四八を知ってしまった。
ならばどうするか。
直江大和は踏み出そうと決意した。何に向かってかはわからない、見えていない。だからと言って今、その一歩を踏み出すことを躊躇したら、もう動けない、そんな核心があったから決意した。踏み出そうと。
これまで漫然とした不安の中で停滞していた自分にこの言葉は楔を打ち込んでくれた。
ならばこの機を逃すなと大和の中のなにかが言っている。
自分はこんなに単純だったかと思いながらも、大和は何か大事なものを見つけた、そんな気分に浸っていた……
二人の沈黙に耐え兼ねて四四八が口を開く。
「おいおい、言わせておいて黙るなよ。恥ずかしいだろう」
その言葉に二人は我に返る。
「いや、スミマセン。とても素晴らしい言葉だったもので。少々感銘を受けてました、ねぇ、大和くん」
「ああ、なんていうか、ズシンと来たな。正直、結構耳が痛い――」
「おや、大和くんもですか、実は私もです。本当に耳が痛い……」
「うん、でも耳が痛いから塞ぐってこともしちゃいけないと思うから。自分で耳を塞がないようにちょっと宣言する」
そう言って大和は四四八がしたようにグラスにのこった液体をグイッと乾して冬馬に向かって宣言した。
「俺、次のテストでS組を狙う。んでもってその次は葵の席を狙う」
それを聞いた冬馬はビックリしたような表情を見せたあと、とても嬉しそうに笑って言った。
「ライバル宣言、と取らせていただいていいですか?では自分も――」
そう言って冬馬は前の二人と同じようにグラスを乾して宣言する。
「私は学園卒業まで今の順位を一度たりとも逃しません、絶対にです」
「……ははっ」
「……ふふっ」
柄にもない宣言の往復、どちらともなく思わず笑みが漏れた。
「おいおい、何二人で盛り上がってるんだよ」
そんな二人を見てた四四八が呆れたように言ってきた。
そんな四四八に、誰のせいだと大和と冬馬が非難の目を向けながら口々に言う。
「さっきの葵じゃないけどさ、柊って絶対知らないとこで女の子泣かせてるよな」
「ああ、大和くんもやっとわかってくれましたか。人の心を揺さぶるというのは本当に憎らしいですよね」
「わかる、わかるなぁー、しかも自分じゃ全然自覚してないんだろうしなぁ」
「そう、そうなんですよ。本当に罪深いですよね」
「おいおい、なんだよ酷い言われようだな」
「まぁまぁ、これくらいは言わせてくれよ。柊は今日、俺達にそれくらいの事をしたんだから」
「そういうことです、まぁ、甘んじて受けてください」
「なんなんだ……意味がわからん」
丁度その時、ウェイターが追加のドリンクを持ってきた。
「そうだ、もう1回乾杯しませんか?」
新たなグラスが手元に配られると冬馬が提案してきた。
「え? なんでだ?」
「いいじゃん、俺は賛成」
「直江が言うならいいが……何に乾杯する」
「そうですね、少々クサいですが『私達の未来に』というのは如何でしょう」
「ははは、いいじゃん葵、それ最高」
「ありがとうございます、じゃあ、発声は四四八くんお願いします」
「いや、なんで俺なんだ?普通言いだしっぺがやるもんだろ」
「そうなんですが、私は四四八くんに言っていただきたいんですよ」
「俺からも頼むよ、柊」
「はぁ、なんだかわからんがしょうがない、準備はいいか?」
「ええ」
「OK」
「よし、じゃあ」
「俺たちの未来に」
「「「乾杯」」」
チンッと3つのグラスが鳴る。
冬馬も大和もこの夜のことを忘れないだろう。
Barの時間はゆっくりと流れていく……
同じように、夜もゆっくりとふけていく……
千信館の女子たちとガールズトークできる川神の女性陣は
燕、清楚先輩、弁慶?、あと普通の娘枠で伊予ちゃん位かなぁ
逆に四四八達の方に「女性というのは面倒くさい」みたいな話題が出てきたら、
すげー盛り上がるんじゃないかなぁ
四四八の言葉は自分が四四八のセリフで一番気に入ってるものを使わせていただきました
お付き合い頂きましてありがとうございます