川神書店と駅前の武蔵文太が経営する大型書店、この二つの本屋が持つ貴重な古書のコレクションをかけた決闘は、半分を消化した時点で川神書店の1勝2敗、駅前書店側に天神館の鍋島正がいることを考えると追いつめられた、と表現してもいい状態だ。
「うーん、あんまり形勢はよくないねぇ」
川神書店側、唯一の勝ち星を決めた弁慶が、御猪口を片手に川神水を飲みながら呟く。
「こちらの残ってるのが、世良さん、義経、俺。向こうの残りが龍辺さん、鍋島さん、武蔵文太、か……俺が敢えて鍋島さんとこに出て、勝ち星計算するって手もあったんだけど……そうすると、良くて引き分け。で、最終的には無傷の鍋島さんとラストの7戦――十中八九、7戦目は鍋島さんがでてくるだろうから――をやらなきゃいけないって考えると、あんまり変わらないんだよね。だから俺は、勝ち目のある武蔵文太とやるのがいいと思う」
大和が今の状況をまとめて自らの考えを口にする。
「そうなると世良さんと義経には、龍辺さんと鍋島さんを相手に1勝1敗以上を頑張ってほしいって思ってる。どうかな?」
そう言って、大和は水希と義経を見る。
「了解、それでいいんじゃない」
「うん、義経は頑張る、絶対に負けない!」
その言葉に水希と義経が力強く頷く。
「ありがと、じゃあ、次に対戦相手になるけど……」
大和が続けて口を開くと、
「歩美は私が相手をした方がいいと思う」
水希が答える。
「理由、聞いていい?」
「タッグマッチみてたらわかると思うけど、歩美は遠距離からの射撃が得意なんだけど、実はその他にもイロイロ小技がきくんだよね。だから、手の内のわかってる私がやるのがいいと思う」
水希の提案を聞いた大和が顎に手を当てて考えながら、
「なるほどね……でもそうすると、必然的に義経は鍋島さんとやらなきゃいけなくなるけど……いい?」
そう、義経に問いかける。
その問いに、
「大丈夫! これも修行だ、義経は頑張る!」
義経は力強く頷いた。
それを見た大和は、
「よし、じゃあ、これで決まりだ。世良さんは龍辺さんと、義経は鍋島さん、俺は武蔵文太とだ」
そう言って気合いを入れた。
「了解、頑張ろう!」
「うん、勝とう!」
残りの二人も気合いいを入れる。
話し合いが終わった大和に、弁慶がすっと近づいてくる。そして、大和の耳に口を近づけて呟く。
「なぁ、大和、今の感じで行くとさ、勝負の分かれ目になるのは義経だけど、必ず勝たなきゃいけないのは……」
その呟きを聞いた、大和は弁慶を見ながら、
「うん、俺の勝利が絶対条件……だよね」
「やっぱわかってたか……いいね、自分で退路を断つその根性、やっぱり大和も男の子だね」
弁慶はそう言うとフフフと小さく笑う。
「からかうなよ、というか、わざわざそれを言いに来たって事は、なんかあるんでしょ?」
「うーん、流石その辺も聡いよね。まぁ、裏技。使ってもいいけど反動があるから使うか使わないかは、大和が決めればいい」
そう言うと弁慶は、一層大和の耳に顔を近づけて小さく囁く。
「――――を、――――と――――が――――する……だけど――――くらい、あと――――で大変だよ」
「ふーん……OK、ありがとう弁慶。確かにシンドそうだけど……やばくなったらね」
「頑張ってね、大和」
弁慶は大和の肩に手をのせると、悪戯っぽくウインクをする。
「おー、おー、作戦会議は終わったかい? 次の一戦は重要だぞ、さぁ、4戦目だ!名乗り出なっ! ロックン・ロールっ!!」
ステイシーが両陣営に声をかける。
「んー、主催とメインの後ってわけにもいかないだろうし、流れで言うならわたしだよねぇー」
ステイシーの号令を聞いた歩美がトテトテと前に出てくる。
「って事は、私だね」
それを見た水希が前に出る。
「えー、みっちゃんが来るんだ。やりにくいなぁ」
「手加減してくれてもいいよ」
「みっちゃんがしてくれるなら、考える」
「やーだよ」
「じゃあ、わたしもやーだ」
軽口を交わしながら水希と歩美は対峙する。
二人とも武器は持ってない、素手だ。
「おっと、源氏同士の後は千信館同士の対戦か! いいじゃねぇか、ロックじゃねぇか! 第4戦だ! 始めるぜっ! ロックン・ロールッ!!」
ステイシーのマジンガンが空に向かって試合開始の合図を放った。
―――――
試合開始と同時に水希が歩美との距離を一気に詰める。
歩美は戦真館の仲間の中でも突出したアタッカーだ、集団戦闘において歩美がいるかいないかは、その戦闘における方向性を決めてしまう場合もある。しかし、その反面、防御という面においては非常に脆弱というデメリットも持っている。同じくアタッカーである鳴滝よりも、さらに攻撃に特化した尖ったアタッカー、それが龍辺歩美なのだ。
それ故の水希の速攻。
歩美が攻撃する前に一撃にて終わらせる、それが水希とった作戦だった。
水希は放たれた矢のような速さで距離を詰めると、その速度のまま一気に歩美の懐に潜り込もうとした。
その時、横からものすごい速度で水希の顔面めがけて飛んでくるものがあった。
それに気づいた水希は直前で急ブレーキをかけ、さらに頭を振って飛んできたものを躱す。水希の頬を飛んできた物体――河原の石――が掠りながら飛んでいく。
「あー、おっしい。気づいてなかったら今ので勝てちゃったかなぁ、とか思ったんだけど……流石に甘くないか」
歩美が悔しそうに言う。
そんな歩美を中心として、先ほど水希の頬をかすって飛んでいった石が衛星のようにぐるぐると回っている。
「なるほど、そう来たか……」
歩美の意図を察した水希が、先ほど石がかすめていった頬を撫でながら呟く。
「これで、わたしの勝ちは厳しくなったけど、みっちゃんの勝ちも厳しくなったよね。つまり引き分け。そうなると、俄然こっちが有利ってことだよねー」
そう言うと、歩美は手にもっていた――おそらく試合前から握りこんでいたであろう――石をピンっと指で弾く。
すると、その石も先ほどの石と同じく、歩美の周りを衛星のようにぐるぐると回り始めた。二つの石が歩美を中心に球体を描くように縦横無尽に飛び回る。歩美は自らの弾丸を操る能力を攻撃ではなく防御に使ったのだ。
水希の突撃に対して歩美が石の弾丸で攻撃することは可能だっただろう、そして、その一撃が躱されても、その弾丸を追尾させることも可能だったはずだ。
しかし、その場合、自分自身が完全に無防備になってしまう。これが自分のことを何も知らない相手なら返す弾丸で仕留められるが、その手の内を知っている仲間である水希には効果が薄い。ならばいっそリスクを回避して、負けぬ戦いをしようと歩美は判断したようだ。
その理由も明白だ。なぜなら、歩美の後ろに鍋島正が控えているからだ。
現在川神書店側は1勝2敗、この4戦目が引き分けになった場合、勝つためには『鍋島正から勝ちをもぎとる』事が絶対条件になってしまう。つまり引き分けでも川神書店側は圧倒的に不利な状況に置かれてしまうということだ。それを踏まえたうえでの歩美の選択なのだろう。
「相変わらず、いやらしいなぁ」
「戦略的って言ってほしいなぁ」
水希の言葉に、歩美が返す。
(さて、どうしたもんかな……)
そう思いながら、水希はゆっくり歩美の周りをまわりはじめる。それに合わせて歩美も向きを変える。
歩美から目をそらさずにゆっくりゆっくり水希が歩く。
歩美も水希から目をそらさずに同じペースで向きを変える。
(……これ……もしかして)
「ほらっ! 残り一分だっ!」
ステイシーの声が響くのと、水希が何かに気づき、歩みをピタリと止めたのはほぼ同時だった。
同じく歩美の動きも止まる。
(なら――)
その気づきに賭けてみようと、水希はすぅと大きく息をすると、
「――よしっ!」
と、ひとつ気合を入れる。
そして次の瞬間、水希はなんのためらいもなくトンッと石が縦横無尽に飛来している射程内に飛び込むと、飛来している石を掌で受け止めた。
――ガンッ!
と、硬い物同士がぶつかり合うような音が同時に響く。
通常ならば手を弾き水希の身体に当たっていたであろう石の弾丸は、水希の掌がしっかりと止めていた。水希の掌には創法で生み出された水晶が展開されていて、石はそこにめり込んでいる。
「あーーーーっ!!」
歩美の声が響く。
「ごめんね、歩美」
水希はそう言うと、再び創法で生み出したビー玉サイズの水晶を、思いっきり指で弾く。
その水晶は真っ直ぐに歩美の方へと飛んでいき、
「ふぎゃ!」
見事に、歩美の額に直撃した。
「いったーーい、みっちゃんのバカーーーーっ!!」
歩美は額を押さえてペタリと座り込む。
「バカってなによ、バカって」
いつの間にか歩美の目の前まで来ていた水希が、とんッと、ごく軽く歩美の頭に手刀を落とす。
水希の勝利が宣言された。
「むー、唯でさえ容量少ないわたしの頭をポコポコ叩いたら、期末のテスト大変なことになるんだからね! 四四八くんに怒られるよ!」
(それ怒られるの、歩美なんじゃないかなぁ)
それを聞いた水希は心の中でツッコム。
そんなふうな愚痴をぶつぶつ言いながら、歩美は立ち上がり文太達の方へ戻ろうとする。
「ねぇ、歩美――」
そんな歩美の背中に、気になる事があった水希が声をかける。
その声を聞いた歩美は首だけ後ろを向くと、水希だけにわかるようにウィンクをしながら、小さくペロリと舌を出した。
「――やっぱり」
それを見た水希が小さく呟く。
水希から見ると、歩美はこの戦い随分と“らしくない”行動が目立って見えた。能力を守りに使ったこともそうだし、操った石も二個と大分少ない、速度こそなかなかのスピードだったが動きが単調でタイミングが読みやすかった、水希が飛び込む際になんのリアクションも起こさなかったのも明らかにおかしい、なにより手の内を知り尽くしている水希を対戦相手にするあたりでかなり違和感があった。
しかし、全て今の表情で解決した。
歩美はわざと負けたのだ。
与一に声をかけられてきてみたが、事情を察するとこちら側が勝つのは、あまりよろしくないと歩美は判断したのだろう。故に武蔵文太や他のメンバー、そして九鬼の審判が見ても違和感がないような負けをするために、水希相手にこんな“らしくない”戦いをしたのだろう。なんというか、実に歩美“らしい”聡い戦い方だ。
向こう側に目を向けると、目があった鍋島がニヤリと笑っていた。流石に天神館の館長の目はごまかせなかったのかもしれない。しかし、この時点で物言いがついてないということは見逃すということなのだろう。もしかしたらあの豪胆な鍋島の事だ、随分とうまくやったと内心面白がっているのかもしれない。
とにかくこれでイーブンに持ち込めた。
「さて、くず餅パフェか、テスト勉強か……いや、次の休み前で、神座大戦完徹コースかなぁ」
歩美に払わねばならないであろう勝利の報酬を考えながら、水希は大和たちのもとへ戻っていった。
川神書店 2 ― 2 駅前書店
―――――
「おっと、ここで並んだか。じゃあ5戦目の開始だ、名乗り出な! ロックンロールッ!!」
ステイシーの言葉がマシンガンと共に放たれる。
「まぁ、普通ならミッテーニアムな僕は大将が好ましいんだけどね。今回に関しては保険は取っておきたいし、ファーストクラスな僕がでようじゃないか」
そう言って文太が前に出てくる。
「よし! 武蔵文太が来るなら、俺だな。いってくる」
それを見た大和が続いて前に出る。
「大和、頑張ってなー」
「直江くん! ファイトだ! 義経は応援してるぞ!」
「直江くん、頑張って」
自陣から、弁慶、義経、水希が声をかける。
しかし、それだけでなく文太の側からも、
「大和ー、泣き虫文太なんかに負けんじゃねぇぞー」
「大和くーん、ガンバレー」
咲と辰子から声がかかる。
「大和ーーー!! 愛してるーーーー!! 結婚してーーーっ!!」
橋の方からは間違いなく京であろうという声が響く。
「……君、随分と人気があるんだね」
そんな大和への声援を苦々しく聞きながら、文太が言う。
「そちらはそんなにいないんですか? 友達」
そんな文太に大和がニヤリと笑って返す。
「……君ほどじゃ、ないかもね」
「人徳の違い――なんじゃないですか?」
そんな文太の答えに、大和が挑発的に返す。
「……言うねぇ。まぁ、あの声援もファーストクラスな僕が、この試合の後には黙らせてあげるよ」
「俺の方もここ勝たないと形勢不利なまんまなんで、勝たせてもらいますよ」
「これはこれで面白そうな組み合わせじゃねぇか。おっしゃあ! 5戦目だ! 気合い入れなっ! ロックンロールッ!!」
5戦目開始の合図が、ステイシーのマシンガンから鳴り響いた。
―――――
「あっ!」
試合開始と同時に距離を詰めようとした大和に、文太が思いっきり足を振り上げて、砂を蹴り上げ叩きつける。大和はそれを止まって顔を腕でかばってやり過ごす。
しかし、その隙に文太は大和に攻撃――する訳ではなく、大和に背を向けると一気に駆けて距離をとると、距離を保ったまま大和と対峙する。
このまま距離をとって逃げ切り、引き分けに持ち込もうとしているようだ。
確かにこの戦いで引き分けに持ち込まれた場合、次の鍋島と義経の戦いの勝者が、試合の勝者となる。川神書店としてはあまり好ましい展開ではない。
「ミッレーニアムな僕は一時の感情に流されるなんて、エコノミーな事はしないのさ。最終的に勝つために、一時的に汚名を被るなんてなんてことない」
そう言いながら、文太は大和を見下すように見る。
「文太の野郎、昔っから逃げ足だけは速かったからなぁ……」
咲が呆れたように呟く。
「くそぉ……しくじったなぁ……」
フィールドに取り決めはなかった。3分間と言う時間で逃げようと思えばいくらでも逃げられる。
大和は文太をプライドの高いだけの人間だと思っていた。だから試合前にあえて挑発的な言葉を投げつけたのだ。そうすれば、絶対に向こうから大和をつぶしに来てくれると考えていた。そういう展開になったら、持ち前の回避力で隙を見つけて叩く事が出来た。
しかし大和は文太の勝利への意気込みを完全に見誤っていたようだ。今から思えば試合前の文太の言葉も、フェイクだったのだろう。
「でも、このまま諦めるわけにもいかないしね――勇往邁進だ! やってやる!」
大和は気合いを入れると、文太目掛けて走り出した。
「はっ! これだけ距離があるんだから追いつけるわけないだろう! エコノミーは無駄な努力が好きだね!」
文太はそういうと、大和に背を向けて逃げ始める。
「フャック! あんま遠く行くんじゃねぇぞー……ったく、フィールドの取り決めしとけばよかったぜ」
それを見たステイシーがぼやく。
そんな鬼ごっこを始めてすぐ、大和は奥の手を出した。
それは先ほど弁慶から教えられた身体の潜在能力を強制的に開花させるツボ。
『腕のこの部分のツボを、力いっぱい押すと身体の潜在能力が一気に開花する……だけど時間は1分くらい、あと次の日は酷い筋肉痛で大変だよ』
リスクはあるが、それはこの試合の流れを見誤った自分自身の責任だ、甘んじて受け入れよう。
大和はそう心に決めて、教えられた部分を力いっぱい押しこんだ。
「な、なにぃ!」
文太が驚愕の声を上げる。
先ほどまで殆ど詰まらなかった二人の距離が、どんどんと近くなってきたのだ。
「馬鹿な! 何故っ!!」
そんな不意の事態に晒されながらも走るのをやめなかった文太の対応力は、なかなかのものだと言っていいかもしれない。
しかし、それでも大和はどんどんと近づいてくる。
そしてついに――
「よっし! 捕まえたっ!!」
「ぐわあっ」
大和は後ろから思いっきり文太の足にタックルをして一気に両足を捕まえると、文太を地面へと転がす。
「どう? 降参する?」
足を抱えた大和が聞く。
「馬鹿な! ミッレーニアムな僕がこの程度でっ! ええい! 離せっ!!」
文太はそういうと力任せに片足を抜くと、そのまま大和の顔を蹴り始める。
「そう言うと思った……」
文太からの蹴りを、半分は喰いながら、半分は顔を振ってよけながら大和が呟く。
「じゃあ――悪いけどっ!」
大和はそういうと、掴んでいた足を離して、一気に文太の上に覆いかぶさる。
「くっ!」
文太も抵抗するが、潜在能力を引き出している大和の方が単純な力でも上になっている為、ついには大和に抑えられてしまった。
マウントポジション――そんな体勢になっていた。
「もう一度聞くけど、降参は……」
「誰が、するかっ!!」
大和の質問に即答すると、下に居る文太は地面の砂をつかみ大和の顔に叩きつける。
それを、大和は腕で防ぐと、
「じゃあ、いくよ!」
そういって、上から文太の顔面に拳を落とす。
――1つ
――2つ
「わかった! まいった! やめてくれっ!!」
3つ目の拳が落ちる前に文太から、ギブアップの声が掛った。
「お疲れ、大和」
「直江くん、お疲れ様!」
「うわー、顔、血出てるよ」
自陣に戻ってきた大和を仲間達が迎える。
「おーう、大和、凄かったじゃねぇか。なんだあれ、超サ○ヤ人みたいなやつ! 俺にも教えてくれよ!!」
大和の試合中に気がついたのか、キャップも声をかけてきた。
「ああ、弁慶に教えてもらった裏技……いててて、なんか身体全体が痛いっていうか、熱いっていうか……」
「まぁ、完全にオーバーワークだからねー、明日大変だぞー」
それを聞いた弁慶がおかしそうに、ツンツンと大和の身体をつつく。
「弁慶、くすぐったいって……筋肉痛は甘んじて受け入れるよ、試合の流れを読み間違えた俺の完全なミスだからね」
「それで、そのツボ押せるんだから、やっぱり大和も男の子だねぇ」
「勝つ方法があるのに使わないのはみんなに失礼だろ。ヒゲ先生なんて筋肉痛どころの騒ぎじゃなかったんだし」
そういって大和は向こうで身体を横にして休んでいる宇佐美に目をやる。
「とにかく、これでリード! 次の試合引き分け以上で私達の勝ちだね!」
水希が今の状況をまとめるように、声をかける。
「そう、だから……」
それを引き継いで、大和が最後の人に目を向ける。
皆もそれにつられるように最後の一人――義経に視線が集まる。
「うん! 大丈夫! 義経は頑張るっ!!」
その視線を真正面から受け止めて、義経は力強く頷く。
向こう側では鍋島が大きな身体をのそりと動かして前に出てくるのが見える。
日は既に沈みかかり、あたりは若干薄暗くなってきていた。
川神書店と駅前書店の貴重な古書をかけた決戦は、最後の一戦を残すのみとなった。
川神書店 3 ― 2 駅前書店
如何でしたでしょうか。
この作品二回目(一回目は歩美と栄光)の戦真館同士のじゃれあいを書いてみました。
前にも書いたかもしれませんが、この源氏編での戦真館側のメインは四四八じゃありません、
てか、このままほとんど四四八でない……かも?
少々ペース落ちてきましたが、あまりお待たせしないで書けるようにします。
お付き合い頂きまして、ありがとうございます。