戦真館×川神学園 【本編完結】   作:おおがみしょーい

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覇王様編になって感想がちょっと減ってきてて、
あーマンネリしちゃったかなぁ、とか悩んだんですが、
前々回、前回とたくさんの感想をいただいたのを見て、

……もしかして覇王様が人気な……いや、なんでもないです or2


第二十七話~結成~

 時間は少しもどる……

 燕と水希がペア契約を結んでいる頃、川神全体で次々と有力ペアが結成されていった。

 

 

―――――

 

 

 栄光は親しくなった大和田伊予の呼び出しを受けて指定の場所へと急いだ。

「あ、大杉先輩! こっちでーす」

 栄光を見つけた伊予が大きく手を振る。

「あ、わりぃわりぃ、やっぱまだ慣れなくってさ」

 そう言って栄光は手を縦にして謝りながら伊予のもとへやって来る。

「広いですもんねぇ、川神学園。でも、大丈夫ですよ。ねぇ、まゆっち」

「は、はい! そんなに待ってはいませんので、ご心配には及びません!!」

 伊予に話をふられこわばった顔で返事をする由紀江。

 

「まゆっちリラックス、リラックス……これからパートナーになるんだからさ」

「そうだぜ、まゆっち……生死を共にするバディ! だ……失礼があっちゃあいけねぇ」

「……なぁ、いま。その馬のおもちゃ、しゃべった?」

 松風の言葉に怪訝そうに聞く栄光。

「この子は松風っていうんです」

「そそ、松風、松風」

「オイラ、松風だ。よろしくなエイコー」

「お、おう……よろしく……な」

 由紀江と伊予の普通な返しと再びしゃべった松風にいつもの調子とはまるで違う返答しかできない栄光。

 

 深く考えてもしょうがないか、と切り替え栄光は由紀江に向き直る。

「取り敢えず伊予ちゃんの連絡できたんだけど、由紀江ちゃん?でいい?」

「あ、はい、大丈夫です」

「由紀江ちゃんタッグトーナメントでたいってことでOK?」

「はい、武芸者の大会ですし、武士娘として腕試しをしたいので……ただ……」

「ったく、タッグトーナメントなんていう、ふざけたルール考えたやつ誰だよ。クラスで『はい、好きな子どうしで班つくってー』って言って取り残されるやつの気持ち考えろってんだ」

 由紀江のあとを松風が引き継ぐ。

――あ、おまえ普通に会話に入ってくるのね、

と、若干引く栄光。

「と、とにかく、一年ではまゆっちの実力に見合うパートナーがいないんですよ。風間ファミリーの皆さんは他で組まれてしまってるそうですし」

 そこをうまい具合に伊予がフォローする。

――伊予ちゃん良い娘だねぇ、と松風が褒める。

「なるほどねぇ、んで、伊予ちゃんの知り合いのオレに声をかけてきた、と」

「ですです、大杉先輩は、あの覇王先輩撃破の一人じゃないですか! まゆっちと組めば絶対優勝できますよ!」

「で、由紀江ちゃんは? オレと組んでOK?」

「は、はい! 私も千信館の方々からは色々学べると思っていますので、大杉先輩がよろしければ、是非!」

「まー、オレに四四八とかと同じこと求められても無理だけど……」

 栄光はそう言うとすっと右手を出し、

「でも、出るからには優勝目指してば頑張ろうな! 由紀江ちゃん!!」

そういってニカッと笑う。

 それを見た由紀江も少し顔をほころばして、

「はい、ありがとうございます。黛由紀江、精一杯頑張ります!」

そういって栄光の手を取る。

「わー、まゆっちも大杉先輩も頑張って! 私、応援に行くから!ホームだし、ホームだし!!」

「大事なことだから二回言ったんだなぁ」

 伊予の声援と松風のツッコミに囲まれて、ここに大杉栄光と黛由紀江のタッグが完成する。

 

 

―――――

 

 

「与一ーー! 与一ーー!」

 義経はパートナー予定者である与一を探して歩いている。

 しかし与一は見つからず、花壇で一人途方にくれていた。

「うぅ……どうしよう、これでは義経はトーナメントに出れない……今回の大会は義経達のお披露目も兼ねてると、義経は自覚しているのに……」

 

 そんな義経にスススッと近づく影、

「お困りですか?」

京だ。

 

「椎名京さん?」

「ふふふ、話は聞かせてもらった!ここは私、天下五弓の一人、椎名京が助太刀します!」

「ほ、本当か? それはとても心強いんだが……でも、与一が……」

「もう、すぐ大会だよ? こだわってる場合じゃないんじゃないかな?」

 そんな京の言葉に考え込む義経。

 

「……うん、そうか、そうかも……」

 そして、うん!と頷いて京を見る。

「椎名さん、義経と組んでくれるか?」

「もちろん、与一には飛距離じゃ負けるけど、命中精度じゃ負けない自信がある」

「おお! 凄い! では義経が切り込んで、椎名さんは援護をお願いする」

「らじゃー」

 そういって京はビシッと敬礼をした後、口に手を当てていやらしく笑う。

「あの調子だと松永先輩が勝ったら十中八九、大和とくっついてしまう……くっくっく、大和の協力しているペアなど、私の情愛で叩き潰してやるのさ!!」

「な、なんだかわからないが、気合十分だな。よし、義経も負けないぞ!」

 こうして源氏と天下五弓のペアが完成する。

 

 

―――――

 

 

 放課後の屋上、夕日が屋上を赤く、朱く照らしている。

 そんな紅一色の屋上に与一は一人、柵に寄りかかり夕日を見ていた。

「夕方は逢瀬の時……俺の魂が疼くぜ……」

 与一は義経を避け続けて今に至る、九鬼に帰ればまた義経や弁慶と顔を合わせることになりそうなので、出来る限り学園で時間を潰している。

 

「まったく何がタッグトーナメントだ、面倒くせぇ……黄昏はこんなにも、美しいのにな……時よ止まれ、君は誰よりも美しいから……」

 黄昏と言う言葉から連想し、与一は神座大戦の中でもトップクラスに入るであろう名台詞を呟く。

 その時――

「あなたに恋をした――」

 与一の後ろから芝居がかった少女の声が聞こえる、

「あなたに跪かせていただきたい、花よ……」

自らの台詞を受けて紡がれたであろう台詞の終わりに与一が振り向くと、そこには一人の少女――龍辺歩美が立っていた。

 

 再び歩美が口を開く。

「俺達は永遠になれない刹那だ。どれだけ憧れて求めても、幻想にはなれないんだよ……」

 そう言って与一の方をチラリと見て一歩、与一へと進む。

 その視線を受けた与一は、

「飽いていればいい、飢えていればよいのだ。生きる場所の何を飲み、何を喰らおうと足りぬ。だがそれでよし……」

そう言って与一も一歩前に出る。

 

 今度は与一が口を開く、

「魅せろ新鋭――主役を気取りたいんだろうが! その何たるか、先人 (おれ)が教えてやるから掛かって来い!」

それを言い終わると一歩前に出る。

 それを受けて次は歩美が口を開く、

「信の在処は互いの裡だ。示すための言動さえ、人は容易く偽れる。与えられた言祝ぎの数々、その真贋をどうやって見極める。思い上りではないのだと、証明することができるのか……」

そう言って歩美一歩前に出る。

 

 歩美の目の前に与一がいる。

 与一の目の前に歩美がいる。

 そして――

 

 ガシッ! と二人の右手が重なる。

 固い……硬い握手だ……

 二人の視線がぶつかる。

――やるね。

――お前もな。

 そんな言葉を視線で語る。

 

 ここに、最強の遠距離タッグが完成した……

 

 

―――――

 

 

 九鬼の鍛錬所、李が床に暗器を並べて手入れをしている。

 そこにクラウディオが通りかかる。

「おや、李。暗器の手入れですか?」

「あ、こんばんは。ステイシーにタッグトーナメントに誘われましたので」

「おお、あなたも出場されるのですね、良いことです」

 直属の部下のトーナメント出場を聞き、クラウディオは相好を崩す。

「私は暗殺専門ですので、本当は人前で技を使うのはあまりよくないと思うのですが……」

「見られて防がれるようでは三流ですよ、李。それにあなたはもう、かつてのあなたではない。自らの技のことだけを考える必要もありません」

 そっと目を伏せる李に、クラウディオは諭すように言葉をかける。

「そう……ですか。そう……ですね」

「今回のタッグトーナメント、なかなかに面白い人材が集まっています。きっと良い勉強になると思いますよ」

「楽しみです」

「どれ、私も手伝いましょう。どれをやればよろしいですか?」

「ありがとうございます。ではその含針をお願いします」

 そう言って上司と部下、二人の従者は和やかに暗器の手入れに勤しんだ。

 

 その横では李の相方であるステイシーが自らの上司であるヒューム・ヘルシングに画面端に叩きつけられ、ピヨっていた……

 

 

―――――

 

 

 九鬼の大食堂。

 珍しくクローンだけでなく、九鬼の人間も混じって食事をしていた。

 豪華絢爛な食堂とは反比例して、各人に並べられている食事は白米と味噌汁におかずが数種類となんとも質素……というか家庭的だ。

 この辺が他の成金と九鬼の大きな違いなのかもしれない。

 

「おお、そういえば皆はもうタッグトーナメントのパートナー選びは終わったのか?」

 中央に座っている揚羽が秋刀魚を綺麗にほぐしながら口を開く。

「はい、姉上。我は井上と出場します」

「兄上! 我は兄上を応援します!」

「そうか!紋の声援があれば百人力だな!フハハハハーーー!」

「まぁ、確かに井上のやつは紋の声援があれば百人力だろうな、物理的に」

 英雄と紋のやりとりを聞いた弁慶は苦笑しながら呟く。

 

「義経たちはどうなのだ、タッグが決まっていないなら従者部隊の誰かを連れて行っても良いぞ」

 揚羽は次に源氏の面々に話を振った。

「義経は天下五弓の一人、椎名京さんと組みました!」

「ほう、義経と天下五弓かなかなか相性のいいペアじゃないか」

「私は板垣辰子って逸材を見つけましたよ。私、今回、結構自信あります」

「弁慶がそれほどまでに自信を見せるとはな、これは面白い」

 そして、揚羽は黙っている与一に声をかける。

「おい、与一。お前はどうなんだ。流石にペアが決まってなくて不出場などとは言わせんぞ?」

「俺は今日……同志に出会った……あのレベルの魂の邂逅は、兄貴以来だ……」

 与一は味噌汁の茶碗を持ったまま恍惚といった表情で虚空を見つめる。

「そ、そうか……ま、まぁ、ペアが組めているならそれでいい」

 

 そして揚羽は最後に清楚に、

「清楚は……百代を倒した柊四四八と組むのであったな。随分と競争も激しかったろうに」

 その言葉に、

「ふふふ、情報提供者がいたんです。私、絶対優勝しますよ。なんたって柊くんと一緒ですからね」

そう言って自信有りげに胸を張る。

「それで、清楚さん。優勝してどうするの?温泉、柊と行っちゃうわけ?」

 ニヤニヤと笑いながら弁慶が茶化す。

「そ、そんなのわからないよ、柊くん、一緒に行ってくれるか……わからない……じゃない」

 清楚はモジモジとしながら返答する。

「って事は、誘うことは決定なのねー」

「ちょ、ちょっと弁慶ちゃん!」

 その言葉に顔を真っ赤にして立ち上がる清楚。

 

「おい、清楚はしたないぞ。お前らしくもない」

「そうだぞ。それに確かに柊は強い、だがこれはタッグトーナメント。どんな不確定要素があるかわからない。皮算用をしている暇があるのか?」

「……ごめんなさい」

 揚羽と英雄の言葉に、清楚はバツが悪そうに座りなおす。

 そして、思い出したように、

「あ、そうだ、それで私、柊くんと練習するために九鬼の鍛練場を使いたいんですけど、いいですか?」

その清楚の質問に、

「ふむ……通常は九鬼の関係者しか使えないのだが……」

と、揚羽が少し考えるような素振りを見せると。

「よろしいのではないでしょうか。最近九鬼は柊様に随分とご迷惑をおかけした経緯もありますし、なにより彼の強さは従者の若手のいい刺激になると思われます」

 そう、英雄のお代わりをよそっていたクラウディオが提案をする。

「なるほど、クラウディオが言うのなら……。確かに我も噂の柊四四八、間近で見たいという気もする……よし、清楚、父上と母上には我から伝えておこう。鍛練場好きに使うといい」

「ありがとうございます!」

(なんということだ! 未だ学生の身でありながらクラウディオさんからこんなにも高い評価をもらっているとは……柊君! 俺は、俺は、君を尊敬する!!)

 扉の前に控えている小十郎が拳を握りフルフルと震わせている。

 

「なら、我も井上を呼び鍛練場に赴こう! 柊と練習というのも悪くない」

「私は手の内ばらしたくないしなぁ、どこでやろうかなぁ」

「義経は学園で練習するぞ!」

「魂と魂は惹かれ合い、そしてお互いを認識するんだ……」

 

「フハハ、皆、気合十分じゃな!」

「うむ!いい傾向だ!」

 九鬼の賑やかな食卓はこうして過ぎていく……

 

 

―――――

 

 

 川神市、工業地区にあるアパートの一室に板垣兄弟が食卓を囲んでいた。

「ふん、こんな大規模な大会がある時にリュウが帰ってきてるとはね、なかなか運がいいじゃないか」

 亜巳が茶碗を傾けながら言う。

「まぁ、パートナー探す暇はなかったからな、アミねぇと組むことになっちまったが、まぁ、変な奴と組むより良いだろう」

「リュウ、足引っ張るんじゃないよ」

「へいへい、わかってるよ」

 竜兵は亜巳の言葉に素直に頷く。

 

「わたしわねぇ、武蔵坊弁慶と組むことになったよー」

「ウチは羽黒って奴だ!結構骨のある奴だったぜ!!」

 残りの二人の姉妹もそれぞれにパートナーを決めたらしい。

 

「おう、揃ってるじゃねぇか」

 そこに無精ひげの男――釈迦堂がのそりとやってきた。

「なんだよ、師匠、飯時にきやがって!いくら師匠と言えどやるおかずはねぇぞ!」

 そう言ってがるると天使が自らの皿を抱えて威嚇する。

「ちげぇよ、ちょっとタッグトーナメントで臨時収入が入ってな、まんじゅう買って来てやったんだ」

 そう言って釈迦堂は手に持つ紙袋を掲げる。

「おう! なんだよ、それならそうと早く言えよ! ヒャッホー! 愛してるぜ、師匠!」

 目にもとまらぬ早さで釈迦堂の持つ紙袋を奪い取ると、ガサガサと中身をあさる。

「おい、天。食べ終わってからにしな」

 亜巳はそう言って天使を諌める。

 

「師匠も出場……は出来ないだろうから。審判か何かかい?」

「ああ、まぁ、審判兼観客のボディーガードだな」

「どうだい、なにか有力チームの情報とかはないのかい?」

「俺は雇われだからな、そこまで詳しい事はわからんが。まぁ、今話題の千信館の連中も出るらしいってのは知ってるぜ」

 その言葉を聞いた竜兵が、

「ほお、んじゃ、あのデカブツも出やがるのか」

そう言ってニヤリと笑う。

「むぐむぐ、んっぐ、あのちみっこ当たったらぶっ殺す!」

 天使はまんじゅうを頬張りながら顔を真っ赤にしている。

 

「おうおう、気合い十分じゃねぇか。ま、賞品目指してせいぜいガンバンな。応援ぐらいはしてやるぜ」

「えー、師匠もでよーよー」

「いや、年齢制限あるからな」

「えーー……Zzz,Zzz」

「いや、この会話の流れで寝るなよ!」

 

 板垣兄弟全員の揃ったの食卓はいつもと同じく賑やかだった……

 

 

―――――

 

 

「へー、キャップはクッキーと組むんだ……なんか意外。もうちょっと、インパクトあるところ攻めてくると思ってた」

 風間ファミリーの基地でキャップのパートナーを聞いた大和が素直な感想を述べる。

「まあ、確かにチョイスとしては面白くなかったかもしれないけど、優勝したいからな!」

「なんだよなんだよ、面白くないって酷いじゃないか!」

 その言葉にクッキーが反応して変形する。

「私の鍛え抜いたクッキー・ダイナミックの最初の餌食になりたいのかマスター」

「……クッキー、パートナーやっつけちゃだめでしょ」

 変形してライトサーベルを振り上げるクッキー2を京が諌める。

 すると、先ほどと同じく機械音をさせながらクッキーは再び変形する。

「まぁ、京がいうならしかたないけどさ……」

「キャップもさ、パートナーになるんだから仲良くしなよ」

「ヘーイ」

 大和の言葉にキャップが返事をする。

 

「それにしてもガクトのパートナーはあの長宗我部だったとはなぁ」

「ふん、筋肉と筋肉は惹かれあうのさ……」

「……やだな、その惹かれあい方」

「でも、長宗我部も男気あるよね。どう見ても姉さんいるし東方の方が厳しいのわかってるのにガクトの要請に答えたわけでしょ?」

「大和、筋肉でつながった友はそんな打算は存在しないのさ」

「……それもいやな繋がり方だな」

 

「それで、クリがマルギッテでしょ、アタシはお姉さまと、キャップがクッキー、ガクトが長宗我部くんでまゆっちが……」

「大杉くんだったな!」

 一子の整理をクリスが引き継ぐ。

「大杉かぁ、あいつどんな感じなんだろうな。強いって感じも傍から見るとしないんだけどな」

「覇王先輩の一戦見ると、なんというかトリックスターって感じだよね」

 大和は自分の持っている感想を口にする。

「いーじゃねーか、トリックスター。オンリーワン! って感じでさ!」

「……と言う事は前衛のまゆっちとは相性がいいかもね」

「はい! がんばります!!」

「テレビデビューで友達ゲットだぜ、まゆっち」

 京の感想に由紀江が嬉しそうに答える。

 

「それにしても、京さんがまさか義経さんと組むとは」

「……クックック。大和の好きにはさせないよ」

「なに? 弟、お前出場するのか?」

 京の言葉に百代が身を起こす。

「しない。出場はしないよ、ただ、燕さんのサポートさ」

 百代の質問に大和が答える。

 それを聞いた百代はクイッと眉毛を上げて、

「ほう……それで、燕は誰と組むんだ?」

「世良さん。千信館の世良水希さんだよ、たぶんね」

「なにーーーっ!!燕先輩と水希さんのペアとか最強じゃないか!! 容姿的に!! や、やばい……対戦したら俺様は自分を抑えられないかもしれんっ!!」

ガクトが鼻の下をのばしながらハァハァと荒い息を上げる。

「確かに絵になる二人だね」

 ガクトの言葉にモロが反応する。

「なるほど……燕に水希ちゃんか……そこに大和がサポートに入るという事だな。燕の奴め、本気で柊を獲りに来たな」

「あ、やっぱわかるんだ」

「まぁな、私が見た限り布陣としては隙がない。柊の相方が清楚ちゃんと言う事も考えるとチャンスはあると思う……大和、お前が動いたんじゃないのか?」

 そう言って百代は大和を見る。

「その辺はノーコメント。柊倒すだけじゃなくて優勝狙ってるからね、そうしたら姉さん達も倒さなきゃならないわけだし」

「ほう、柊だけじゃなく私も獲りに来るか。ふふ、燕らしいな」

「だからーーっ!」

 その百代の言葉の後に京がいきなり声を上げる。

「だから、私は義経と組んだのさ。クックックッ、大和、大物ばかりに目が言ってると足元すくわれるよ」

 そう言って京はニヤリと笑う。

「ご忠告ありがとう、気をつけるよ」

「え!? お礼に結婚してくれるの!! ありがとう!! 大和っ!! 私も愛してるっ!!」

「いや、言ってないからね、落ち着こうね」

 グググッと詰め寄る京から身体をそらせながら大和は逃げる。

 

「こうやってみると僕だけ完全な外野なんだね」

 少し寂しそうにモロが言う。

 それを聞いた大和は、

「いいじゃないか、完全外野。それにモロは有力ペアとこんなに近いんだ。こんな大きなイベント、内情知りながら外から見れるなんてなかなかないぜ。それにファミリー内で誰も応援がいないってのも寂しいしな」

「そっか……そうかもね。うん、皆の分も僕が応援してるから頑張ってね」

 

 はい! おう! よっしゃ! 任せとけ!

 モロの言葉に反応してファミリー内から了解の言葉が飛び交う。

 

 様々な思いが交錯しながらタッグトーナメントは近づく。

 トーナメントまであと10日……

 

 

―――――おまけ

 

 

タッグチームまとめ。

1、 柊四四八・葉桜清楚(西楚の覇王)

2、 川神百代・川神一子

3、 松永 燕・世良水希

4、 黛由紀江・大杉栄光

5、 源 忠勝・鳴滝淳士

6、 不死川心・我堂鈴子

7、 ステイシー・コナー・李静初

8、 クリスティアーネ・マルギッテ

9、 九鬼英雄・井上 準

10、 板垣辰子・武蔵坊弁慶

11、 源 義経・椎名 京

12、 島津岳人・長宗我部宗男

13、 那須与一・龍辺歩美

14、 風間翔一・クッキー

15、 板垣亜巳・板垣竜兵

16、 板垣天使・羽黒黒子

 

以上

 

 




何か足りないと思ったら四四八が2話ぶっ続けで一言も話してない……

歩美と与一のシーンは書きたくて書きたくてたまらなかったのを、
やっと書くことができました。
感想のコメントで頂いたアイディアを使わせていただいてます。

お付き合い頂きまして、ありがとうございます。

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