※後書き参照。
ーーーーー人は、生きていれば必ず、壁にぶち当たる。
人生という道を歩けば、壁に当たるのは至極当然だ。それは人それぞれ。あなたにとっては壁でも、私にとっては、なんの壁でもない場合があり、逆に私にとっての壁が、あなたにとっては、なんの壁ではない場合も当然ある。それは個性だ。なんで、あの人はあんなに上手く出来るのに、私はこうも上手くいかないんだ、なんて考える必要などない。逆に、自分に出来て、その人には出来ないことがある。必ずある。だから、他者より出来ない、という考えは捨て、私はこれが苦手だな、と考える。そうすれば、幾分か心が晴れる筈だ。
「は、晴也さん。これは……?」
晴也たちの目の前には、山積みになっている多くの紙があった。どれも、人相書きや銭の金額が描かれていた。
「手配書だ。賞金首である盗賊たちのな」
そう言うと、晴也は手配書の一枚を手に取った。どうやら、晴也は多額の報酬金がかけられている盗賊たちに目をつけたらしい。本当なら、堺の町には傭兵が雇われており、盗みの心配は無いはずなのだが、松永久秀と三好三人衆が足利将軍家を滅ぼした騒動により、治安が悪化。雇われている傭兵の中には逃げ出してしまう者たちも少なくなかった。その隙をついて、盗みが一挙に増えてしまっていた。
「どれも凶悪な奴らばかりだが、その分、報酬金もかなり高い。この手配書の盗賊、全て役所に突き出せば、金は集まるはずだ」
なるほど、と皆がうなづく。ですが、と半兵衛が口を開いた。
「かなり危険じゃありませんか? もしかしたら、返り討ちに…」
「大丈夫! 俺らの他に、川並衆も手を貸してくれるし、なりより、これだけの面子が揃えば、まず盗賊なんかには負けないはずだ」
自信ありげに話す晴也に、半兵衛は今だに不安そうだったが、やがて納得したようにうなづいた。
確かに、現在・織田家最強と唄われる五月雨晴也。その他にも若き天才忍者・蜂須賀五右衛門。同じく若き天才軍師・竹中半兵衛。更に、槍使い天才・前田犬千代。それに川並衆が加われば、盗賊など敵ではないはず。
よし、と晴也は立ち上がった。
「それじゃ、一つずつ確実に行くぞ!」
その自信はどこから来るんだ、と言いた気な彼女たちだったが、結局、晴也に付いて行くことになった。
それから晴也たちは、洞窟や洞穴など、盗賊たちの住処を強襲。事前に、五右衛門に調べさせていた。
「な、なんだお前ら!?」
「おらぁ! 大人しくお縄につきやがれ!」
織田家の家紋は、盗賊たちに見せていない。後々、織田家の仕業だと、盗賊たち全員を敵にすることは少し厄介だ。「なんだ、ガキじゃねえか」と嗤い、油断する盗賊たち。
だが、
「……ガキじゃない」
「そうでござる」
「お、大人しくしてください」
五右衛門や犬千代が、油断した敵を確実に倒していく。もちろん、引っ捕らえるので、全て峰打ちだ。半兵衛も、式神を使って応戦する。応戦というか、ほぼ一方的だった。川並衆は、気絶した敵をお縄にかけている。「ええい、暴れるでないわっ!」と義龍はともかく、山賊の川並衆が盗賊を捕まえるなんて、おかしな光景だった。
「お前が頭か?」
「くそが!てめえら、生きて帰れると思うなよ!!」
流石に盗賊の親分、ということで中々強かったが、日々、勝家や犬千代と稽古を重ねている晴也にとっては、敵ではない。その場を逃げていく盗賊と、その場で戦う兵士との違いは大きい。
「五月雨流・陽炎包」
「え、ま、待てっ!?」
あっという間に盗賊の刀が叩き落された。親玉の盗賊は、なにか言い訳をしようと口を動かしていたが、既に晴也は木刀を振り下ろしていた。
「おし、次だ、次!」
盗賊たちを役所に引き渡した。後に、その盗賊たちに盗みを行われた商人が駆けつけるそうだ。その後、報酬をもらう手はずになっている。だが、報酬を受け取りは後にし、晴也たちは次の賞金首を狙っていた。
盗賊たちのアジトと言える場所は、五右衛門の調査によって明らかになっている。晴也たちは電光石火の勢いで、盗賊団一つ一つを確実に潰していった。
その調子であっという間に『二日』が過ぎ、約束の期限まで残り二日。
「も、もう無理だぁ~!」
結局、金は想像以上に集まったが、もう、限界に近い。川並衆も体力の限界というやつだろう。無論、晴也自身も半兵衛たちもだ。それを見た五右衛門は、うむむ、と頭を捻り始めた。
「か、かくなる上は……いや、しかし」
どうした、と晴也が声をかける。
「実は……」
その後、五右衛門が珍しく長文を話した。もちろん、いつもの噛み噛み口調でなにがなんだがわからないので、翻訳する。
『もう、報酬金があり得ない額になっている盗賊がいます。そして、盗賊なら金銀財宝を沢山所持しています。その盗賊たちを捕まえるか、財宝を盗れば、もしかしたら残りの金はどうにかなるかもしれない』
とのことだ。
どうにも、今までの盗賊たちのように上手くはいかなそうだ。だが、今の晴也たちにはすがる他ないだろう。
「……いい案だな」
「しかし、奴らは手強いでござる」
「手強い? 強いのか?」
もちろん、と五右衛門は大きくうなづいた。
「我ら川並衆とは、犬猿の仲でござる」
「親分、それは」
川並衆がなにかを言おうとしていたが、五右衛門が睨んで止めてしまった。
「そうか……川並衆と、犬猿の仲……か」
「奴らとは一度だけ争ったでごじゃあう」
遂に噛んでしまった、と五右衛門が頭を抱えたが、晴也は特に気に止めていない。
「それで? どうなった?」
「そこで同じ獲物を求めて争ったでごじゃある」
結果は引き分け、と川並衆の一人が口に出すと、五右衛門はあからさまに嫌な顔になった。なるほど、川並衆と同等なのか。それは手強い。
「そいつらの頭は?」
晴也が聞くと、五右衛門はいかにも恨めしそうに声を出した。
「『五郎吉』(ごろきち)という子供が束ぬているとうじょくでごじゃる」
五郎吉?、と晴也の頭になにかが引っかかった。確か、誰かの幼名だったような気がするんだが、思い出せない。いや、というか子供が頭なのか。川並衆しかりたが。
「う~ん。まあ、いいか。それじゃ、そいつらの居る場所に案内してくれ」
御意、と五右衛門が顔を引き締めた。それほど因縁深い相手なのだろうか。
「なんだ、ここか」
意外にも、その盗賊団の住処近くにあった。珍しくもない、普通の洞穴だ。といっても、もう日が暮れてしまっている。だが十二万貫を渡す期限は明日。もたもたしている訳にはいかない。
意を決して、晴也たちがその洞穴に乗り込もうとした、その時。
「お、川並衆の奴らじゃねえか。よぉ、久しいな」
逆に、洞穴から厳つい盗賊たちが出てきた。晴也は咄嗟に、木刀に手をかけた。しかし、川並衆は胸を張って前に出た。
「おう。お前ら、元気そうだな」
川並衆は笑って手を振り、盗賊たちも笑って振り返した。
「あれ? お前ら、仲良いのかよ?」
五右衛門の説明とは裏腹に、やけに打ち解け合っている様子だった。晴也の言葉を聞いて、川並衆と相手の盗賊たちが一斉に口を開いた。
「「ああ。それは、そっちとこっちの親分たちのせいだ……」」
はぁ? と思わず声をもらしてしまった。犬千代も半兵衛も、首を捻る。唯一、川並衆の新入りで、事情知らない義龍は、大きなイビキをかいて、木陰のそばで寝ていた。やがて、ものすごい速さで、転がるように女の子が洞穴から出てきた。
「あ!? なにいってやがるんだ!」
その女の子は、ぶかぶかの狼の被り物を被り、その小さな胸にはサラシを巻いていた。歳は、
五右衛門と同じくらいだろうか。
女の子は、だんっ、と地団駄を踏んだ。そして、右手を突き出し、左手は後方に、そして首を捻った。まるで、歌舞伎のようだ。
「おうおうおう! この石川衆の頭!五郎吉こと、石川五右衛門とは………あたいのことだぁぁぁぁい!!」
その言葉に乗り、おおお! とその石川衆?の奴らが、拳を突き上げた。
「い、石川五右衛門!? 」
誰? と犬千代たちが呟く中、晴也だけが驚いていた。
もちろん、嘘ではなく、それは事実だった。石川五右衛門……安土桃山時代に出没した盗賊。都市部である京都を中心に荒らしまわり、天下人である豊臣秀吉の手勢に捕えられ、家族や仲間と共に、事実かはわからないが、釜茹でという形で処刑された。……ということになっている。無論、それだけではない。
石川五右衛門については様々な伝説がある。「手下や仲間と共に、義賊として暴れまわった」「名古屋城や大阪城の、金の鯱を盗もうとした」などが有名である。まあいづれにしても、現代でも、謎が解き明かされない人物だ。
「だからな、あたい等は盗賊じゃないんだよ。義賊さ、義賊!」
「あー、わかったわかった」
晴也たちは、盗賊団の拠点である洞穴に案内され、飯を振舞われていた。というか、川並衆と相手の義賊?たちとお祭り騒ぎだ。
そして驚いたことが、やはり石川五右衛門は義賊だったことだ。もしかして、いるとしたら、女じゃないか、という目論見は大体できていた。
当時は豊臣政権が圧政や朝鮮出兵の失敗で嫌われていた。のらりくらりと逃げるその様に、民たちは夢を見たのだろう。というのが、晴也の考えだった。事実、五右衛門が捕まった後、五右衛門の家を捜索したところ、銭があまり見つからかったらしいが、それは女に貢いでいたから……という説もある。
しかし事実は、石川五右衛門は本当の義賊だった。
どうやら、この石川衆と呼ばれる盗賊……いや、義賊たちは、公家のような銭を独占し、民の生活を苦しめているやつらの、財宝や宝を盗んでいるらしい。そして、奪った宝を高値で売りさばいて、その売った銭を貧しい民たちに配っているらしい。確かに、ここにくる前、京の町民から少し話しは聞いていたが、ただの気まぐれな盗賊だろう、と思っていた。
「なぁ、お前らが義賊だってことはわかったから、協力してくれって」
晴也は事情を話して、協力を仰いでいた。なぜか川並衆全員(義龍を除く)が、こいつらは話しがわかると、事情を話すことを進めてきたからだ。それに、民たちに人気がある義賊なら、いささか織田軍と関係があると言われても、そこまで不味い事態にはならないはずだ。
「う~ん、だってなぁ」
五郎吉は、唇を噛みながら五右衛門のほうをみた。
「なんだ、五右衛門……蜂須賀五右衛門のことが気になるのか?」
「ああ、そうだ。苛つく!なんで、あいつとあたいの名が一緒なんだ!!」
「……は?」
「おかげで、こっちは今だに改名できねえ!そのせいで、いまだに幼名の『五郎吉』で通ってるんだぜ!」
ああ、なるほど。五郎吉とは石川五右衛門の幼名だったか。すっかり忘れていた。
「そうだ……お前ら、確かお宝を恵んで欲しいんだよな?」
「ん、ああ……というか、売りさばいてばかりなら、宝や財宝はないんじゃないか?」
「大丈夫だ。前代の頭が残した遺産はたっぷりある。しかも、どれも超が付く程の一級品だ」
先代……か。
確か、石川五右衛門は、伊久知城という城を本拠とした豪族石川氏の出であるとする説があった筈だ。石川氏は守護大名である一色氏の家老職を務めていたが、天正十年に、一色義定の代の頃、石川左衛門尉秀門(五右衛門の父)は豊臣秀吉の命を受けた細川藤孝の手により謀殺され、そのすぐ後に伊久知城も落城した。落城の際、秀門二男である五良右衛門が落ち延び、後に石川五右衛門となったとされている。
そして、もう一つの説。石川五右衛門は伊賀流忍者の抜け忍であり、伊賀を出て、その後に盗賊になったという説。
どちらも、断定はできない説である。本当は、どちらでもないのだろうか。
しかし、相手が義賊でなく盗賊だったら、間違いなくお縄にしてやろうと思っていたが……。どうやら、こいつらは他の盗賊たちとなにかが違う。どこが、とは言えないが、川並衆とどこか似ている。
「譲ってもらえないか……?」
「だったら、あいつと勝負させろっ!」
そう言うと、五郎吉は五右衛門を指さした。むっ、と五右衛門は怪訝な顔つきになる。
「もし、そいつが勝ったら宝は全部やるよ。その代わり……」
「お、おう。なんだ?」
「あたしが勝ったら、そいつが五右衛門という名を名乗ることを禁ずるっ!」
は、と思わず声が出てしまった。そんな、名前が被るなんて、この時代ではよくあることじゃないのか。
「お前が新しい名を考えればいいんじゃないか?」
「やだやだ!五右衛門が一番しっくりくるんだっ!」
五郎吉は泣目でこっちをみてきた。思わず後退りしてしまう。それに反応して、石川衆の奴らは、親分を泣かせるなんて……と言いそうな眼つきでこっちを睨んできた。
五郎吉の格好は、犬千代のように派手にカブイてはおり、眉毛がやや太いのが気になるが、茶髪である綺麗な髪がよく似あっている美少女だ。ロリコン集団である川並衆までもが目を奪われていた。
「ど、どうする、五右衛門?」
そそ、と静かに五郎吉から離れ、五右衛門に耳打ちした。しかし、耳打ちの意味はなかった。
「いいでござる! 五郎吉! 今日こそけっちゃうをつきぇてるでごじゃる!」
「あはははは! や~い、噛んだ噛んだ~」
「むうううううっ!」
ああ、なるほど。やっと理解した。川並衆と石川衆が犬猿の仲じゃなくて、このロリ親分二人が犬猿の仲なんだな………。
同じロリ集団である川並衆と石川衆の奴らは仲良くできるだろうが、この二人がこうでは、どうにもいかない。
川並衆、石川衆、犬千代たち、そして晴也の溜息が重なった。
「「いざ、勝負っ!」」
結局、対決となってしまった。
勝負はどちらかが負けを認めるまで。制限は特になし。死んでも文句は言えないらしい。そして、勝負は外で行う。
「いくでござるっ!」
五右衛門の武器は特に変わってない。手裏剣やらクナイやらを投げたり、短刀で斬りつけたりしている。しかし、五郎吉はそれを全て避けている。
「おらおらおら!」
一方、五郎吉の武器は……
「斬・鉄・剣!」
そう、『あの』斬鉄剣だ。これもまた、現代では色々なネタとして使われていた。
どこぞの怪盗の一味である石川五右衛門の十三代末裔が使っていたり、『織田信長公の野望』では足利義輝の必殺技。攻城戦時に「斬鉄剣!」という叫びとともに、城門を一撃で破壊することができる。などなど、どれも、なんでも斬れる刀と評される程、強力に扱われている。
「そんなもの、当たらないでござる!」
しかし、五右衛門が普通に短刀で弾いているところをみると、それほどの斬れ味はないようで、安心した。流石に小さな五郎吉が使うので、短刀よりやや長い位の長さだ。
「ああ、もう! 当たれっ!」
二人のスピードはかなり早かったが、時間が経つにつれ、更に速くなった。晴也が服部半蔵と戦った時ほどではないにしろ、かなりのスピードだ。
「これで……!」
「隙ありだっ!」
五右衛門は、通常より大きい、巨大たどんを投げようとしたが、五郎吉はそれを見逃さずに刀を振るった。それを避けると、五右衛門は姿勢を崩してしまった。
巨大たどんが、ころころと、火がついている状態で、二人の真上を舞う。
「「……あ」」
二人はすっかり硬直して、動けない。
「あぶないっ!」
誰かが叫んだ。半兵衛だろうか。だが、その声とほぼ同時に晴也は二人の間に割って入っていた。
(いけるか……!?)
晴也はたどんが舞う位置まで飛ぶと、くるりと空中回転。そして、脚を広げた。
「届けえぇぇぇぇぇ!!」
晴也はたどんめがけて、オーバーキックを繰り出した。ギリギリ、爪先で当たった。すごいスピードで、たどんが飛ぶ。三人から十分離れた位置まで飛んでくれた。
そして、間もなく、大きな轟音が鳴り響いた。
よし! と晴也はそれを見届けると、顔面から地面に落ちてしまった。
「いててて……お前ら、大丈夫か?」
晴也は泥がついた顔を拭うと、座り込んでいる二人をみた。怪我はなさそうで、安心した。
「……も、申し訳ない」
「あ、ああ……」
大丈夫ですかい、と川並衆と石川衆が二人に駆け寄り、晴也の下へは、犬千代と半兵衛が駆け寄った。
「だ、大丈夫ですか?」
「おう、まあな」
「……無茶し過ぎ」
つーん、と口を尖らす犬千代に、涙目な半兵衛。晴也は二人の頭を撫でると、立ち上がった。
「ふぅ~。火薬強すぎるぞ、五右衛門。もう少しで大惨事だ」
「も、申し訳ないでござる……」
五右衛門は縮まって頭を下げた。
「ま、無事ならいい」
五右衛門の頭を、わさわさと撫でた。うにゅう、と五右衛門は声をもらし、顔が真っ赤になっていた。
そんな様子をみた五郎吉は、
「……わかったぞ」
そう呟き、立ち上がった。
「一千のお宝より、一のお宝……この意味が、今わかった……!」
五郎吉は顔真っ赤にして、興奮を抑えられないように、ぶんぶんと腕を回した。
「ん、どうした?」
「お宝は、全て持ってけ! だから、お宝を一つ、あたいにくれ!」
「宝なんて、ないぞ」
五郎吉は、ふっふっふ、と妙な笑い方をした。自然と晴也は後退りした。
「お宝は……お前だあぁぁぁぁぁ!!」
五郎吉は晴也の袖を掴むと、思いっきり晴也に抱きついた。
「ちょ、おい!?」
「お、親分!?」
「あたいは見つけたぞおぉぉ! 将来のお宝を!!」
ええええ!? と五郎吉以外の全員が声を荒げた。五右衛門含め、半兵衛と犬千代は、むむ、と口を尖らせた。
「は、晴也さんは渡しません!」
「……そうだそうだー」
「しゃ、しゃみだれうじはせっしゃのあるじでじゃる!」
犬千代たちが、ぶーぶー、とブーイングを送った。五郎吉の顔がどんどん真っ赤になる。
「なんだとぉぉぉぉ!!」
「お、おい、煽るな煽るな!」
もう、面倒だっ、と五郎吉は地面に降り、地団駄を踏んだ。
「石川衆! この……将来の……あたいの……お、お、夫を捕まえろぉぉぉぉ!!」
「えええええ!?」
そ、そんな……と石川衆は膝から崩れ落ち、絶望したかのように顔を伏せた。
「うぅ……おねがいだよぉ……」
すると、五郎吉は涙声でそう言った。間もなく、石川衆は一斉に立ち上がり、晴也を睨みつけた。
「え、俺……?」
「こいつを……捕まえろおぉぉぉぉ!!……そして、殺す!!!」
「くっ、この、ロリコン共がぁぁぁぁぁ!!」
晴也は絶叫しながら逃げ出し、石川衆と五郎吉も後を追い始めた。
ポツンと、半兵衛たちと川並衆が取り残された。
「と、とりあえず……」
「……盗っちゃおう」
「で、ござるな」
どうせそう簡単に、晴也は捕まらないだろう、と信頼?していた半兵衛たちと川並衆は、洞穴の金銀財宝をありったけ持って、京へと帰った。
そして、多くの金銀財宝を金に換え、見事に七万貫文、丁度だった。
期限最終日、朝方。
半兵衛たちは十二万貫文を信奈に届け、信奈は直ぐにやま役所へと約束した金額を収めた。
まさか、田舎侍が……と近衛前久は、唇を噛むことしかできなかった。
投稿が遅れました。申し訳ないです。受験が近いので、しばらくは机と睨めっこです。次の投稿は、早ければ一月。出来れば、早めに出します。この話も、時間をかけた割に、勉強の空いてる時間を使って書いたものなので、あまり良いとは言えないかも。とにかく、これを見ている受験生がいたら、一緒に頑張りましょう!!
とか言いつつ、感想欄はしっかり見るようにするので、普通に返します。落ち着いたら、もう一作書こうと思いますので、アドバイスや作品の感想は非常にありがたいです。
以上!