【凍結】デート・ア・ライブ〜チートな転生神〜   作:夜叉猫

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最近腰が痛くなってしまった夜叉猫です……。

今回はちょっとした暴走回(私が)です。
何故こんな話になったのかは不思議ですが、温かい目で読んで頂けると嬉しいです♪

では、本編をどうぞっ♪


~準備の時と変態~

「では珠恵(・・)教諭。

また、明日お会いしましょう」

 

「はい~また明日夜鶴(・・)くん。

気をつけて帰って下さいねぇ~」

 

俺はそう言って珠恵教諭と別れた。

心なしか離れていく珠恵教諭が楽しそうだ。

 

「……さて、これからどうするのかな?琴里」

 

インカムを軽く押さえながらカメラを見詰める。

見詰めるといってもカメラの気配を感じてその方向を見ただけだが。

 

『それより夜鶴。貴方タマちゃんはどうするのよ』

 

「……いきなりフレンドリーなあだ名で呼び始めたね……。

まぁ、珠恵教諭については心配しなくて良いよ。

上手く纏まったしね」

 

上手く纏まったといってもただ俺の不本意ながら作ってしまったハーレムの一員になったと言うだけなのだが……。

それを琴里はどう勘違いしたかは知らないが良かった、と呟いていた。

 

『ともかく、夜鶴が女の敵だと分かったのはいいとして……』

 

「待って琴里。なんで俺が女の敵なのかな?」

 

『……あら、私たちのヘルプ無しに女性を一人完璧に落としたのは誰だったかしら?』

 

正直何も言い返せなかった。

皆から誑しだのなんだのと言われて挙句に琴里に女の敵…………

 

(……まぁ……自業自得なんだけどね……)

 

分かってはいるが悲しくなってくる。

俺が心の傷を癒していると、背後から人の気配を感じた。

 

「五河夜鶴」

 

振り返って見るとそこには鳶一がいた。

いつも通りその顔には無表情が浮かんでいる。

 

「ん?鳶一さんか……。

どうかしたの?」

 

「胸を押さえていたから気になった。

…………大丈夫?」

 

俺の胸を指しながらそういった。

どうやら無意識のうちに手で胸を押さえていたようだ。

……メンタルを鍛えないとな……。

 

「あ、あぁ。大丈夫だよ」

 

「……そう。なら良かった」

 

相変わらず無表情な鳶一だが、何処か安心したという雰囲気が感じられた。

心配してくれるなんて本当に優しい娘だね……。

そんなことを思っているとインカムに通信が入った。

 

『……ちょうどいいわ。夜鶴、彼女でもチェックしておきましょう。

同年代の娘でも大丈夫なのかをね。

…………(盛大に振られてしまいなさい……フン)』

 

俺は鳶一に背を向けてインカムを軽く押さえる。

 

「何?琴里。最後が聞こえなかったんだけど……」

 

『どうでもいいから早くやりなさいこの女の敵!』

 

琴里はそう叫んで通信を切った。

仕方ない……やらないといけないか……。

俺はそう思いながら鳶一の方を振り向いた。

 

「それにしても鳶一さんこんな時間に何をしてたの?」

 

「帰っていたら貴方が胸を押さえているのが見えたから戻って来た」

 

「……………」

 

帰っていたら俺が胸を押さえているのが見えたから戻って来た?

…………この娘本当にいい娘なんだなぁ……。

しみじみとそう感じていた。

 

「……ありがとうね鳶一さん。

本当に優しい娘なんだね」

 

「そんなことない、当たり前」

 

鳶一は淡白にそう答える。

謙遜しているのか、それとも本当にそう思っているのか……無表情だからかどちらか良く分からない。

 

「そっか……。

あ、そういえば鳶一さんに聞きたかったことがあるんだけど良いかな?」

 

俺は一つ思い出したかのようにすると、鳶一に確認を取った。

 

「構わない」

 

鳶一は思考時間零でそう言い、頷いた。

 

「授業中とかで俺のこと見てるけど……何かしたかな?俺」

 

「違う。貴方は何もしていない」

 

鳶一は首を横に振ると一言そう言い、続けるようにして口を開いた。

 

「―――見蕩れていただけ」

 

「……えっ?」

 

鳶一から発せられた言葉につい間抜けな声を漏らしてしまった。

み、見蕩れていた?……鳶一が……俺に?

……い、いやいやいや!それはない!うん。何かの間違えだ。

 

「それってどういう意味かな?鳶一さん」

 

事の真偽を問うためにそんな質問をする。

すると、鳶一は一拍開けると口を開いた。

 

「貴方の顔に見蕩れていた」

 

「あ、これ口説くとかそれ以前の問題だ」

 

俺がそう呟いたからか、鳶一は首を傾げている。

しかし、この呟きも仕方がないだろう……。

だって……既にこの娘落ちてるよね……?

 

「琴里この場合どうしたら良いのかな?」

 

俺がインカムを押さえながらそう言うと、ちょっと時間をあけて声が聞こえて来た。

 

『……すまないヨル。琴里は「予想外よ~!!!!」と言って何処かに行ってしまってね。

これからは私が手助けしよう』

 

「そうでしたか……。所でこんな時はどうしたら良いですかね」

 

『……ふむ、私の言葉を復唱して対応したまえ』

 

俺は分かりましたと言って鳶一を見詰めた。

 

「そっか嬉しいよ鳶一さん。

俺も鳶一さんに見蕩れていたんだ。

だから付き合わない?」

 

一言一句誤ることなくそう復唱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれ?

俺は一旦冷静になり言葉を思い出してみる。

 

―――『そっか嬉しいよ鳶一さん。

俺も鳶一さんに見蕩れていたんだ。

だから付き合わない?』―――

 

「何突然の告白させているんですか?!」

 

つい、そう叫んでしまった。

すると、インカムから令音からの声が聞こえて来た。

 

『……ふむ……ノリだ』

 

「……………」

 

これから令音に助けを求めるのは止めよう。

そう決意した俺だった。

 

「ご、ごめんね鳶一さん。

さっきのは―――」

 

ともかく、先程のいきなりの告白について弁解しないといけないと思い鳶一の方を振り向いた。

すると、鳶一は俺の言葉を聞く前に口を開いた。

 

「構わない」

 

「……………………はぃ?」

 

俺はまた間抜けな声を漏らしてしまった。

目が点になり、口が力なく開かれ、手足が弛緩する。

まぁ、つまりは身体全体を使って呆然とした。

 

「な……なんて言ったのかな?」

 

「構わない、と言った」

 

「えっと……何がかな?」

 

「付き合っても構わない」

 

俺は顔中に汗がぶわぁっと吹き出すのを感じた。

理由としては……彼女を増やしてしまったという事。

つい、先程珠恵教諭を彼女にしたというのに今度は鳶一さん?

冗談でしょう……?

皆になんて言われるか……。

 

―――――いや待て。もしかしたら鳶一さんは何か勘違いをしているのではないだろうか。

 

「あ、あぁ……何処かに出掛けるのに付き合ってくれるって事だよね?」

 

「………………?」

 

鳶一は俺の言葉に小さく首を傾げた。

 

「そういう意味だったの?」

 

「えっと……鳶一さんはどういう意味だと思ったんだい……?」

 

「男女交際のことかと思っていた」

 

「…………ッ!!」

 

俺は頭に雷が直撃したかのように全身が震えた。

何というのだろう、鳶一の口から【男女交際】なんて言葉が出るのは、恐ろしく背徳的な感じが…………って、この思考回路原作の主人公と同レベルな気がする……。

俺は頭を左右に振って冷静になる。

すると、鳶一が少し、ほんの少しだが残念そうな雰囲気を纏わせながら口を開いた。

 

「違うの?」

 

「その……違わ…………ない……かな」

 

「そう」

 

鳶一が、何事もなかったかのように首肯した。

そこに残念そうな雰囲気などはもうなかった。

……あぁ……またハーレムのメンバーが……

などと頭を抱えていると、

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥ―――――――

 

瞬間何の前触れも無く、辺りに警報が響き渡った。

それとほぼ同時に、鳶一が顔を軽く上げた。

 

「―――急用ができた。また」

 

踵を返して廊下を走り去る鳶一。

やはり【AST】の仕事だろうか。

 

ほどなくして、インカムに通信が入った。

 

『夜鶴、【空間震】よ。

一旦〈フラクナシス〉に移動するわ。戻りなさい』

 

「琴里戻って来ていたんだね」

 

『う、うるさいわねっ!!

それよりも早く戻りなさいっ!

【精霊】が出たのよ!!』

 

琴里はそう声を荒らげるとこほん、と咳払いをしもう一度口を開いた。

 

『そして、出現予測地点は―――【来禅高校(ここ)】よ』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

時刻は、十七時二十分。

 

避難を始める生徒の目を避けながら、街の上空に浮遊している〈フラクシナス〉に移動した俺たちは、艦橋のスクリーンに表示された様々な情報に視線を送っていた。

軍服に着替えた琴里と令音は、時折言葉を交わしながら意味ありげに頷いていたが、正直俺には画面上の数値がなにを示しているか分からなかった。

まぁ、【検索】したら分かるのだが別段するほど重要なことではないのだから【検索】はしない。

 

「なるほど、ね」

 

艦長席に座りチュッパチャップスを舐めながら、クルーと言葉を交わらせていた琴里は、小さく唇の端を上げた。

 

 

「―――夜鶴」

 

「何かな?琴里」

 

「早速働いてもらうわ。準備なさい」

 

「ん。わかったよ」

 

琴里の言葉にそう返した俺は軽く準備運動をする。

まぁ、俺が全開の身体能力を使う事態なんて起きないだろうけどもね。

 

「―――もう彼を実戦登用するのですか、司令」

 

艦長席の隣に立っていた神無月さんが、スクリーンに目をやりながら不意に声を発した。

 

「相手は【精霊】。

失敗はすなわち死を意味します。

それなのに彼は恐怖しないぎげふッッ!!」

 

言葉の途中で神無月の鳩尾に琴里の拳がめり込む。

 

「私の判断にケチをつけるなんて、偉くなったものね神無月。

罰として今からいいと言うまで豚語で喋りなさい」

 

「ぶ、ブヒィ」

 

神無月さんを見ていると背筋が凍ります。

たまに俺に変な視線を向けてくるのだからね……。

……ここで女体化するのはやめておこう。

神無月さん以外もたまに変な視線を向けて来るからね。

 

「まぁ、何にしても……」

 

琴里は咥えているチュッパチャップスの棒をピンと上向きにしてスクリーンを示した。

 

「夜鶴、貴方かなりラッキーよ」

 

「ん?」

 

琴里の視線を追うように、スクリーンに目を向けた。

そこにはやはり意味不明な数字が踊っていたが―――右側の地図に、先程はなかったアイコンが出現していた。

来禅高校に赤いアイコンが一つ、そしてその周囲に、小さな黄色いアイコンがいくつも表示されていたのである。

 

「赤いのが精霊、黄色いのがASTよ」

 

「何がラッキーなのかが全然分からないんだけど……」

 

「ASTを見て。さっきから動いていないでしょう?」

 

「そうみたいだね」

 

「精霊が外に出てくるのを待っているのよ」

 

その言葉に一瞬思考すると、すぐに結論が出た。

 

「なるほど……彼女たちは屋内戦闘向けの武装じゃ無いんだね。

確か……【CRーユニット】だったかな?」

 

「まったく……夜鶴は本当になんでも知っているのね……。

【CRーユニット】は、狭い屋内での戦闘を目的として作られたものではないのよ。

いくら【随意領域(テリトリー)】があるとはいっても、遮蔽物が多く、通路も狭い建造物の中ではでは確実に機動力が落ちるし、視界もさえぎられてしまうわ」

 

「何でもは知らない知っていることだけ」

 

事実、俺は知らない事は【検索】しているのだから。

 

「あら?知らない事は無かったんじゃないのかしら?」

 

そう皮肉を言いながら琴里がパチンと指を鳴らした。

するとそれに応じるように、スクリーンに表示されていた画像が、実際の高校の映像に変わった。

校庭に浅いすり鉢状のくぼみができており、その周りの道路や校舎の一部も綺麗に削り取られている。

 

「校庭に出現後、半壊した校舎に入りこんだみたいね。

こんなラッキー滅多にないわよ。ASTのちょっかいなしで精霊とコンタクトが取れるんだから」

 

俺は琴里の言葉に疑問を抱き口を開いた。

 

「……もし精霊が普通に外に現れていたら、どうやって俺を精霊と接触させるつもりだったのかな?琴里」

 

「ASTが全滅するのを待つか、ドンパチしている中に放り込むか、ね」

 

「なかなか極端な二択だね……」

 

俺はハァ、と溜息を吐いて琴里を見詰めた。

 

「とりあえず、早いところ行きましょうか。

―――夜鶴、インカムはまだ付けているわよね?」

 

「……付けてはいるけど助けは求めないと思うよ?」

 

令音をジト目で見詰めてそういった。

 

「大丈夫よ。〈フラクナシス〉クルーには頼もしい人材が一杯居るわよ」

 

「……そうなのかい?」

 

正直疑いしか浮かんでこない。

むしろ俺の方がここにいる誰よりも良い案を出せそうだ。

そんなことを思いながらも琴里を見詰めていると、上着をバサッと翻しながら立ち上がった。

 

「例えば」

 

そして、琴里は艦橋下段のクルーたちを指さした。

 

「五度もの結婚を経験した恋愛マスター・【早過ぎた倦怠期(バッドマリッジ)】川越!」

 

「少なくとも四回離婚してるまるで・駄目な・男、略して【マダオ】だね。

ゴミにも勝るとも劣らないよ」

 

「グハァッ?!!」

 

「夜のお店のフィリピーナに絶大な人気を誇る、【社長(シャチョサン)】幹本!」

 

「お金で魅力なんて最低。まさに下衆の極み!」

 

「カフゥッ!??」

 

「恋のライバルに次々と不幸が。午前二時の女・【藁人形(ネイルノッカー)】椎崎!」

 

「全国の恋する乙女に謝って下さい。そして、呪返しに掛かって下さい」

 

「酷いっ!??」

 

「百人の嫁を持つ男・【次元を越える者(ディメンション・ブレイカー)】中津川!」

 

「痛い人なんですね。やはり変態さんは変態さんなのですね」

 

「ゲホォッ!?!?」

 

「その愛の深さゆえに、今や法律で愛する彼の半径五百メートル以内に近づけなくなった女・【保護観察処分(ディープラヴ)】箕輪!」

 

「……………………」

 

「せめて何か言って!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全員を沈めたねヨル」

 

令音の言葉でハッと我にかえり周りを見回す。

そこには今まで紹介されていた〈フラクナシス〉のクルーが一人残らず突っ伏していた。

 

「わ、私も流石に驚いたわ……夜鶴ってなかなか言うのね……私ですら言ったこと無い事を……」

 

琴里ですら頬をピクピクと引きつらせていた。

 

「い、いやちょっと……色々と―――」

 

「夜鶴君!!私も罵って下さいっ!!」

 

俺が令音と琴里に弁解しようとしていると神無月さんが俺に近寄って来てそんなことをいい始めた。

そんなとき、

 

―――――プツン

 

俺の中で何かが切れた音がした。

 

 

「黙って下さい変態さん……いえ変態。

俺の前に現れないで下さい。不快です。

むしろ俺と同じ大地に立たないで下さい汚れます穢れます。

貴方と同じ種族だというのが嫌です種族を変えてください。

貴方ならミジンコで十分です。……いや、それではミジンコに失礼ですね。

ともかく貴方の全てが嫌いです。

大気が汚染されますから息を吐かないで下さい吸わないで下さい俺が死んでしまいますから。

あと動かないで下さい有害です。俺の目が腐り落ちます。

ともかくこの世に存在しないで下さいゴミ」

 

そういった俺は神無月……いや、ゴミを蹴り飛ばした。

 

「ありがとうございますっ!!!」

 

ゴミはそういいながら吹き飛んで行った。

 

そして、そこから辺りを静寂が包んだ。

この時、ふと冷静になった俺は思った。

 

―――やってしまった、と。

 

 

閑話休題

 

 

しばらく静寂が続いた後、俺はしっかりと頭を冷やして口を開いた。

 

「……と、ともかく行って来るね琴里」

 

「う、うん……行ってらっしゃいおにーちゃん」

 

琴里はあまりの衝撃でいつもの琴里に戻ってしまっているが気にしないでおこう。

 

「……頑張りたまえヨル」

 

令音のいつも通りの言葉に何故か心が軽くなった。

 

「……ありがとうございます令音さん。

頑張ってきますね」

 

そういった俺は転送装置に向かった。

 

 

 

 

あぁ……俺は本当にメンタルを鍛えないとね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は微妙にネタを入れて見ましたが分かった人は居ましたでしょうか?

次回の更新は【問題児】を予定しています♪
これからは【問題児】と【デート・ア・ライブ】を交互に更新していきますね♪

感想などもお待ちしています♪
私に感想という名のエネルギーを~!!


では皆さん、また次回お会い致しましょう♪

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