炎の使い魔   作:ポポンタン

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ちょっとこの話に内容を詰め込みすぎたかも……
駄文申し訳ございません
もう少し原作展開が続きます



第3話

「ホラッ、朝だ! もう起きな」

 

「んあ? あ、あんた誰っ……て、そうそう昨日喚びだしたんだっけ……」

 

そう言って起きるルイズの顔色はあまり良くなさそうだ。目元に隈が出来ており不機嫌オーラも丸出しである。

 

「しけた面してんな~。あまり眠れなかったのか?」

 

ルイズはキッっとエルクを睨み、

 

「誰のせいだと思ってんのよ!! 着替えるから手伝いなさい!!」

 

(外見だけじゃなく、中身までガキなのか……そういやこいつ幾つだよ、ったく)

 

これ以上がなりたてられても面倒なのでしぶしぶ着替えさせた。

着替え中も散々文句を言われたがどうにか着替えさせた後、ルイズがドアの前へと来て扉を開く。

 

 

「じゃあ着いてきなさい」

 

 

そう言うルイズの後ろをついて行こうとした時だった。

 

 

「あらルイズ。おはよう」

 

突然誰かが後ろからルイズに声をかける。

 

声をかけてきたのは赤い髪の女性だった。褐色の肌に大きな胸、それを隠そうともしない胸元が開かれたブラウス。その女性はイタズラっぽい笑みを浮かべている。

 

「……おはよう、キュルケ」

 

「その隣にいるのがあなたの使い魔?アッハハハ、本当に平民なのね!お似合いじゃない~。よかったわね~ゼロのあなたのところに来てくれるなんて」

 

(この女、わざわざからかうために待ち伏せていたのか? いい趣味してるな……)

そんなことをエルクが思っていると、キュルケと呼ばれた女性はエルクの顔をチラッと見た後、ルイズの顔を見てニヤリと笑って話しかける。

 

「やっぱり使い魔にするならこういうのじゃないとね~。ね、フレイム」

 

そういってキュルケが振り返ると扉の向こうから熱気を放つ巨大なトカゲがのそりと近づいてきた。

 

「これって、サラマンダー!? あんたの使い魔?」

 

「そうよ~、火トカゲよ~、立派でしょ……フレイム?」

 

自分の使い魔のフレイムがおかしいことが気づいたキュルケはフレイムに声をかける。みるとフレイムはエルクの目の前に近づいたとも思ったら足元に擦り寄ってきた。戯れついているように見えなくもない。

 

「なんだコイツ? やたら人懐っこいな」

 

「ちょっと、どうしたの~フレイムったら、ごめんなさいね。フフッ、なんだかわからないけどあなたのこと気に入ったみたいよ」

 

キュルケはもう一度エルクの顔を向き話しかけた。

 

「改めて自己紹介するわ。私は、キュルケ・アウグスタ・フレデ リカ・フォン・ アンハルツ・ツェルプストー よ。キュルケって呼んでね。で、ミスタの名前は?」

 

「俺はエルク。どうやらルイズに使い魔として召喚されちまったみてぇだ」

 

「エルクね。ルイズのところが嫌になったら私のところへ来る? フレイムとも仲良くやれそうだし歓迎するわよ?」

 

そこにルイズが割り込んで話しかけた。

 

「ちょっと!! なに仲良く話し込んでいるのよ!! こいつは一応私の使い魔なんだから近寄らないで。あんたもボケッとしてないで食堂に行くわよ!」

 

そう言うとエルクの腕を掴み強引に歩き出す。

 

 

 

 

「……まさか食事を抜かれるとはな」

 

エルクはトボトボと歩いている。『アルヴィーズの食堂』と呼ばれる無駄に派手な内装の建物に連れて行かれたが、ルイズは怒りながら「あんたは食事抜き!」と言われてしまった。どうやらさっきのキュルケとは仲が悪いらしかった。だったらなにか調達しようと怒鳴るルイズを背に外に出たわけであるが

 

「と言っても、そんな都合よく飯にありつけられる訳が……」

 

「あら、エルクさん、どうなさったんです?」

 

通りかかるエルクにシエスタが声をかける。

 

「あ、シエスタか。いや何、ルイズの腹の虫どころが悪いらしくてな飯を抜かれちまって」

 

「そうなんですか……、あの、よろしかったら私たちもこれから食事なのでよければご一緒します?」

 

そのありがたい申し出にエルクは喜んで受け入れた。

 

 

 

「どうですか? お味は」

 

「ああ! こんなうまいものを食ったのは久しぶりだ!!」

 

よかったと、シエスタは満面の笑みを浮かべる。厨房にいる使用人たちも笑顔を浮かべている。コックのマルトーという料理長も事情を聞くと快く食事を振舞ってくれた。用意してくれた料理はどれも一品で大災害前でも食べたことがない程のものだった。

 

「すまねぇな、借りを返さないうちにまた世話になっちまって」

 

「気にしないでください。さっきも言いましたよね。同じ平民同士、助け合うのは当然ですよ」

 

「ありがとう、そろそろ戻らないとな。シエスタまたな」

 

「はい! 食事の時はまたいらしてくださいね。それでは頑張ってくださいね」

 

「兄ちゃん頑張れよ!」

 

気のいい使用人たちに見送られエルクは厨房を後にした。

 

 

 

 

その後エルクはルイズに合流し(どこいってたの! と散々怒られた後で)授業を見てみることにした。そもそもルイズのところに留まることにしたのも情報収集のためである。エルクはそこでルイズの置かれている立場を知ることとなる。

 

錬金の授業

 

教室には生徒たちが様々な生き物を連れていた。元の世界のモンスターと似たような生き物もいれば全く見ないものもいる。生態は大分異なるようだなと改めて異なる世界に来たことえお実感した。

(リーザがこの光景を見たら喜ぶかな?)

眺めていると教室の扉が開いた。いかにも魔法使い風の紫色のローブを纏った中年女性が入ってくる。どうやら教師のようだ。

 

「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、さまざまな使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」

 

その言葉を聞いたルイズは表情を曇らせる。

 

「おやおや、変わった使い魔を召喚したのですね。ミス・ヴァリエール?」

 

教室がドッと笑いに包まれる。

 

「おいゼロのルイズ! 召喚できないからって、平民なんか用意するなよ!」

 

「違うわ! きちんと召喚したけどコイツが来ちゃっただけよ!」

 

不毛な口喧嘩が始まる。ここの世界の貴族ってこんな奴らばっかりかと、エルクは呆れた表情で様子を眺める。時折ルイズに向かって『ゼロ』と罵るような声が聞こえるがどういうことだろうか。

ひと段落したあとでシュヴルーズが授業を始めた。

 

エルクが興味を引いたのは魔法についてだ。

この世界においても基本的な魔法の分類は火水土風であるようで光と闇はないようだが、それ以外に失われた『虚無』という属性が存在するらしい。

中でも土が文明に密接しているらしく、生活のほとんどは土の魔法に密接しているらしい。

元の世界では魔法を使えるのは一部の人間やモンスターぐらいで、それも用途は限られたものであった。

 

(一見便利そうだけど人力で行っている分、限界が見えるよな……)

 

魔法学院の中を見る限り科学的な道具はみられない。貴族が使用しているものであるのだから、ここだけ問わけだはないだろう。やはり発展には限界があるようだ。

 

「それでは誰かに『錬金』をやってもらいましょうか……そうですね、ミス・ヴァリエール、あなたにやってもらいましょう」

 

シュヴルーズがそういった時辺りが騒然となった。

 

「危険です! ルイズがやるくらいならあたしが……」

 

先ほど会ったキュルケが慌てて叫ぶ。その傍らでフレイムがエルクの方を向いて尻尾をユラユラ揺らして挨拶していた。

 

「危険? 『錬金』の何が危険なのですか? ミス・ヴァリエール。失敗を恐れていては何もできませんよ。やってごらんなさい」

 

「はい! やります!!」

 

ああっ……と辺りの恐怖にかられたクラスメイトたちが、一斉に机の下に潜った。その様子はまるで、攻撃に備えているようであった。

(なんだこいつら……何に恐れているってんだ?)

疑問に思っている中でもルイズは立ち上がり教壇に向かった。

ルイズは教壇に立ち、石ころ目掛け呪文と共に杖を振るった。

エルクが心配そうに近づき声をかける。

 

「お、おい大丈夫なのか?」

 

「……黙って見てなさい」

 

ルイズは隣のエルクに構うことなく呪文を唱えると杖を振り下ろした。瞬間、石ころが危険な光を放ち始めた。

(まさか、これが……爆発するのか!?)

直感で危険を感知したエルクは石ころをつかみ窓に向かって投げ捨てたようとした。

(くそ、間に合わねぇ!)

 

 

炎よ!全てを打ち消す力となれ!

 

 

ボムッ!!

 

……?何かが爆発したようだがいつもとは様子が違うことに生徒が気がつき始めた。

恐る恐る見ると教壇には呆気にとられるシュヴルーズとルイズの傍に、握られた手からモクモクと黒煙をあげている使い魔の青年が立っていた。

 

「っつつ、大丈夫か?おい」

 

「え、え、あんた?」

 

そこで何が起こったのか知るのはルイズに優しく声をかける使い魔の少年のみであった。




……出しちゃいました。あのぶっ壊れ魔法;

ゲームのままの魔法出すと後の展開も壊れそうだから防御魔法くらいなものと思ってくださいw

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