炎の使い魔   作:ポポンタン

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少し間が空いてしまいました。
すいません~

今回ダラダラ気味ですがどうかよろしくです。ではどうぞ~


第21話

翌朝、『マリー・ガランド』号 船内甲板

 

「……どうしてこんなことになっちゃったの?」

 

ルイズはボンヤリと空を眺めながら呟いた。

覚悟を持って任務に就いたつもりだった。だが今、その結果として自分の使い魔であるエルクと学友達の命が危険に晒されている。

何に変えても姫様の期待に応えたかった。命など惜しくないつもりだった。その気持ちに嘘はないはずなのに、今の自分の心の中は後悔が浮かんでいた。

 

(エルク…皆…お願い、どうか無事に…)

 

そんなルイズの願いをよそに船は順調にアルビオンへと進んでいた。

 

「アルビオンが見えたぞー!!」

 

鐘楼の上に立った見張りの船員が、手に持った鐘を鳴らしながら叫んだ。船員の声にルイズは前方に顔を向けると、そこに広がっていたのはまだに圧巻の光景だった。雲の切れ間から、黒々とした大陸が姿を覗かせていた。大陸は遥か視界の続く限り延びている。地表には山がそびえ、川が流れていた。 大河から溢れた水が白い霧となって、大陸の下半分を包んでいる。それが『白の国』とも呼ばれている理由だ。

 

「浮遊大陸アルビオン…やっと着いたのね」

 

その時、鐘楼に登った見張りの船員が大声を上げた。

 

 

「右舷前方の雲中より、船一隻接近!!」

 

ルイズは言われた方を向く。確かに、大きな黒いフネが一艘近づいてくる。舷側に開いた穴から、大砲が突き出ていた。 どうみても商船には見えない。

 

「まさか…貴族派、『レコン・キスタ』の軍艦!?」

 

 

 

結果的に言うとその船は、ここら一帯を根城にする空賊のもので、ルイズ達の乗った船は停船させられ、あっというまに彼らに制圧されてしまった。

 

「ルイズ、分かっているとは思うけど抵抗してはいけないよ。僕も今は精神力を使い果たして魔法を使えない。いいね?」

 

駆けつけたワルドが釘を刺すと、ルイズは声を出さずに、ただコクリと頷いた。

続々と男達が乗り込んでくる。その手には短銃身の銃、クロスボウ、曲刀や斧等の武器を持っている。 最後に薄汚れた派手な格好をしている一人の男が荒々しく降り立つ。

 

「おう、船長はどこでぇ」

「……ククっ、私だが」

 

船長室から空賊たちに前後を挟まれ引きづらされるように船長が姿を見せた。だが、その顔からは恐怖など微塵も感じられず、むしろ奇妙な余裕が感じられた。

 

「何ニヤけてやがる!! まあいい…船名と積荷を言いな」

「トリステイン船籍『マリー・ガランド』号。積荷は硫黄だ」

 

おお、と空賊たちから声が上がる。空賊の頭領らしき派手な男は、にやりと笑う。

 

「よし! 船ごと積荷はもらうぞ。代金はてめぇらの命だ! ありがたく受け取りなぁ!」

 

だが、船長を含めて船員たちは身動ぎ一つ見せなかった。こちらが制圧している側であるはずなのに、この船員たちは冷静で、そして不気味な視線を見せていた。そこでようやく他の空賊たちも様子がおかしいことに気づき始めた。

 

(変だな……こいつら、いくらなんでも肝が据わりすぎている。ただの船乗りが、この状況で動揺しないなんてことがあるのか…? まさか、罠…?)

 

頭領が疑問を感じ始めていると、少女の張り上げた声が聞こえた。

 

「下がりなさい、下郎!!」

「ええイ! ズがたかイ、ヒカえおろウ!」

 

その場の注目が、その少女一人にに向いた。頭領もその貴族の少女、ルイズに向かった。…横にいる何かには目も呉れずに。

 

「おう、これまた随分と別嬪さんな客もいるじゃねえか、しかも貴族と来たもんか。ハハッ、聞いたか? 下郎だってよ」

「ルイズ……君という娘は…」

 

ワルドは呆れ半分だったが、何故かもう半分はホッとしている様子だった。

その後、船長を含め、船員達は空賊船の人足として連れて行かれ、ルイズとワルドは船長室へ連れて行かれた。ちなみにヂークベックは船底の倉庫にしまわれた。

 

「おい、お前ら、頭の前だ。挨拶しろ」

ルイズは頭領を睨むばかりだった。頭領はにやりと笑う。

 

「気の強い女は好きだぜ。さて、名乗りな」

「大使としての扱いを要求するわ。そうじゃなかったら、一言だってあんたたちになんか口を利く者ですか」

「王党派と言ったな?」

「ええ、言ったわ」

「一体なにしにあんなとこへ行くんだ? あいつらは、明日にでも消えちまうよ、全滅さ」

「あんたたちに言うことじゃないわ!」

頭領は、笑うような口調でルイズに言う。

「貴族派につく気はないかね? あいつらは、メイジを欲しがっている。たんまり礼金も弾んでくれるだろうさ」

「死んでもイヤよ!」

 

ルイズは震えながら頭領の男を見つめる。怖い、怖いけど誇りに掛けて引くわけにはいかない。囮にしてしまったエルクや皆の事を思い、まっすぐに頭領の男を睨みつけた。 こんな所で折れたくはない。

 

「もう一度言う。貴族派につく気はないか?」

頭領が一段声のトーンを落としてルイズたちに尋ねる。

「お断りよ!」

 

ルイズがきっぱりと否定の言葉を口にする。 すると頭領の大笑いが部屋中を支配した。

 

「ハーハッハ、トリステインの貴族は、相変わらず気ばかり強くてどうしようもないな。 まぁ、どこぞの国の恥知らずどもより何百倍もマシだがね」

 

男はそう言うと、再び笑い出して立ち上がる。ルイズはあまりの豹変ぶりに戸惑った。

「いや、失礼した。名乗らせて頂こう。アルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官…もっとも本艦『イーグル』号しか存在しない無力な艦隊だが…」

言いながらカツラと眼帯を取り付け髭を剥ぎ、凛とした声で堂々と名乗った。

 

「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」

 

それを見たルイズはポカーンと開いた口が塞がらなかった。だが、ワルドがニヤリと顔を歪め笑っていたことに誰も気がつかなかった。

 

「ハハハッ、その顔だと何故、王族の私が空賊風情に身をやつしているのか? というところか。敵の補給線を断つのは戦いの基本だ。それに奪った物資がこちらの補給物資にもなる。空賊を装ったゲリラ活動というところかな。 まだ信じられないかな? ならばこれが証拠だ、我が王家に伝わる風のルビーだ。君がその指に嵌めているのは、アンリエッタの水のルビーだね?」

「コのみずのルビーがメニはいらヌか!」

「アンタはどっから出てきた!?」

ボゴンッ!

 

ルイズはヂークを鉄拳で黙らせると、自分も黙って頷いた。ウェールズは苦笑してルビーを近づける。

 

「水と風は虹を作る。王家の間にかかる虹をね」

 

するとその言葉の通りに二つの宝石は共鳴を起こし、虹色の光を振りまいていた。

 

「失礼を致ししました。殿下、トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長ワルド子爵。アンリエッタ姫殿下より密書を言付かって参りました」

 

まさかこんな所で目的の人物に会えると思っておらず、未だに混乱していたルイズに変わりワルドがそう言った。 ようやく正気を取り戻したルイズは慌てて一礼し、手紙をウェールズに差し出した。ウェールズはそれを愛おしそうに取り出して読み始めた。しばらく真剣に読んでいたが、そのうちに顔を上げた。

 

「結婚? そうか…あの愛らしいアンリエッタが…私の、可愛い従妹が」

 

ワルドは黙ったまま頷き、肯定の意を表した。再びウェールズは密書に目を落とし、最後の一行まで読むと頷いた。

 

「…用件はわかった。アン、いや姫は、あの手紙を返して欲しいとの事を私に告げている。もはや姫から貰った唯一の思い出の品ではあるのだが……いや、姫の、トリステインの未来のため。了承した」

 

ウェールズの言葉に、ルイズの顔が輝いた。

 

「しかし、残念ながら件の手紙はこの場にはない。我らが本陣、ニューカッスルの城にある。多少面倒ではあるが、君達にもニューカッスルまでご同行願おうか。そろそろ、最終決戦が近い。貴族派どもの艦隊が近づいてくる。急がなければな」

 

 

 

 

一方、エルク達もアルビオン大陸へ到着間近であったが

 

「キュイ、キュイ!」

「ここから先は無理みたい」

 

シルフィールドの訴えを聞いてタバサが呟いた。

タバサが杖を上空へ向け、その先を見ると、禍々しい雰囲気を放つ巨艦と艦隊が降下して来るのが見える。

 

「あ、あれは、もしや…」

「貴族派の軍艦。それも、あの規模だと恐らく旗艦」

「なんで、あれが敵の軍艦だってわかるんだ?」

 

タバサの答えに、エルクが問うとギーシュが答えた。

 

「そりゃあ君、王党派は敗北寸前で追い詰められているんだろう? こんな所で堂々と航空してるとしたら?」

「勢いに乗っている貴族派しかないってことか。だとすると尚更急がねぇと。最終決戦とやらが始まっちまうぜ」

「でも、これ以上近づいたら気づかれちゃうわよ? もしかしたら哨戒中の竜騎兵もいるかもしれないし」

「そうだな、タバサ。何とか奴らから見えない位置に上陸できるか?」

 

タバサは頷くと、シルフィールドは艦隊の方向から大きく旋回し、森の付近に降下し、ようやくアルビオン大陸へと着陸した。

 

「ここからならば、そう簡単には見つからないだろう。さて、王党派の陣地とやらはどこなのやら」

「さあてね~? 艦隊が向かってた方向じゃないの? もう王党派の所しか用はないでしょ」

 

キュルケが答えると、タバサは地図を取り出し、艦隊の向かった方向から目的地を割り出した。

 

「王党派の最後の陣地、ニューカッスル」

「よし! 決まりだな、出発だ」

 

一同は頷き、戦地へ向かった。

 

 

 

ニューカッスルへと続く、秘密の航路をたどり、『イーグル』号を先頭に『マリー・ガラント』号が後に続く。しばらく昇ると白い光るコケに覆われた鍾乳洞に出る。 これが港らしく、舫いの縄が飛び岸壁に引き寄せられるようにして係留され木でできたタラップが取り付けられた。まさに秘密基地だ。その光景を感心した様子でワルドが頷く。

 

「まるで空賊ですな、殿下」

「そう、空賊なのだよ」

ウェールズがいたずらっぽく笑った。 タラップを降り、久しぶりの地面の感触を得る。 すると、兵隊達が集まり、その中の背の高い年老いた老メイジが近寄りウェールズの労をねぎらう。

 

「ほほう、いや、これはまた大した戦果ですな! 殿下!」

老メイジが『イーグル』号の後ろにある『マリー・ガラント』号を見て顔をほころばせている。

 

「ああ、情報通りだったよ! バリー、みんな、喜べ! 硫黄だ!」

 

ウェールズが戦果を声高らかに叫ぶと、兵達は大歓声を上げた。中には泣き出す者もいる。バリーと呼ばれた老メイジも突如崩れて泣き出す。

 

「おお…これぞ始祖の導き、これで我々の名誉も、守られるのですな!」

「うむ! これで王家の誇りと名誉を叛徒へ示しつつ、敗北する事ができるだろう」

「栄光ある敗北ですな! この老骨、武者震いさえしてきておりますとも!」

 

バリーが打ち震えていると、一人の兵が前に出て敬礼をし、報告をした。

「殿下! 明日正午までに降伏を受け入れぬ場合、攻城を開始するとのことです! 殿下が戻らなければ一矢報いることもできぬところでした!」

「そうか。まさに間一髪というところだな。皆の命預かるものとして、これで責務もはたせるというもの!」

伊達にそう言ったウェールズと共に、兵士達は愉快に笑った。

 

笑いあうウェールズ達をルイズはどこか哀しい気持ちで眺めていた。

どうして彼等は笑えるのだろう。この場で敗北とは死ぬ事のはずなのに。もう愛する人と会うことは叶わなくなるのに…。

そんなルイズの心中を知ってか知らずか、ウェールズはパリーの前に二人と一機を呼び寄せる。

「バリー、この方達は客人だ。トリステインからはるばる密書を携えてきてくれた大使殿に無礼のないようにな」

「はっ、大使殿。アルビオン王国へようこそ。もはや大したもてなしはできませぬ。ですが、今夜はささやかながらも祝宴を開くつもりです。是非とも、ご出席願います」

 

老メイジはそう言って深く頭を下げた。

 

 

 

城の一番高い天守の一角にあるウェールズの居室は、とても王子の部屋とは思えない、質素な部屋であった。 ウェールズは椅子に腰掛けると、机の引き出しから宝石が散りばめられた小箱を取り出した。首からネックレスを外し、その先についていた鍵で小箱を開ける。

「宝箱でね」

ルイズがその箱を覗き込んでいるのに気づいたウェールズが、はにかんで言った。小箱の中には一通の手紙が入っていた。 その中からボロボロになった手紙を取り出す。幾百と読まれてきたであろう手紙をもう一度だけ読み、手紙を丁寧にたたみ封筒に入れルイズに手渡した。

「これが姫からいただいた手紙だ。この通り、確かに返却したぞ」

「ありがとうございます」

「明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル号』がここを発つ。それに乗ってトリステインに帰りなさい」

 

ルイズがその手紙を食い入るように見ていたが、やがて意を決したかのように口を開いた。

「あの……殿下…。王軍に勝ち目はないのでしょうか?」

「開戦当初は反乱軍に遅れを取っていなかった我が軍も今や三百。それに対する敵軍は五万。それに奴らは得体の知れない戦力を抱えている。勝つ可能性など万に一つもありはしない。我々にできる事は勇敢な死に様を連中に見せつけるだけのことだ」

「殿下の討ち死にされる様も、その中には含まれるのですか?」

「当然だ。私は真っ先に死ぬつもりだよ」

 

ルイズはウェールズの迷いなき言葉に俯きつつ、言葉を紡いだ。

「……殿下、失礼をお許し下さい。 恐れながら、申し上げたい事がございます」

「なんなりと、申してみよ」

「失礼をお許しください、恐れながら申し上げますがこの受け取った手紙の内容は……」

「ルイズ」

 

ワルドがルイズの肩を掴み、その先の言葉を制した。

 

「その先はいけない……我々の任務はあくまでも手紙の回収、それ以上でもそれ以下でもない」

 

しかし、ルイズはワルドの制止を振り切って、ウェールズに尋ねた。

 

「この任務を仰せつかった際の姫様のご様子、それこそ尋常な物ではございませんでした……それに手紙を読んでいた時の殿下の物憂げなお顔といい、もしや姫様と殿下は……」

「君は……この私が従妹のアンリエッタと恋仲であったと、そう言いたいのだね?」

「…はい、わたしはそのように想像いたしました。であるならば、やはりこの手紙の内容は」

「お察しの通り恋文だよ、君の想像している通りの物さ」

 

尚も態度を崩さないウェールズに向かって、ルイズは熱の篭もった叫びに近い声で訴え始めていた。

 

「殿下!! どうか亡命を、トリステインに亡命なされませ! わたしたちと共にトリステインにどうかいらしてくださいませ!」

 

「それは出来ない、出来ないんだよ」

「そんな、姫様の願いだとしてでもですか? 姫様のご気性からしてご自分の愛した人を見捨てるとは思えませぬ! おっしゃってくださいな殿下! 姫様は、その手紙の末尾にあなたに亡命をお勧めになっているはずですわ!」

「そのような事は一行たりとも書かれていない」

「殿下!」

ルイズがすがる様に詰め寄る。

「私は王族だ。嘘はつかぬ。姫と私の名誉に誓って言うが、本当にそのような文句はない」

そう言うウェールズは苦しそうだった。その口ぶりから、ルイズの指摘が当たっていたことがうかがえた。

それを見てルイズは肩を落とす。 ウェールズへの説得は無駄だとわかった。

自分が亡命すれば、反乱軍にトリステインを攻撃する絶好の口実を与える、そう考えてのことだろう。

そして、アンリエッタが国事よりも私情を優先させる女と見られるのを避けようとしているのだ。

「ラ・ヴァリエール嬢、君の正直なところは嫌いではない。だが忠告しよう。そのように正直では大使は務まらぬよ。しっかりなさい。そして願わくば姫を支えて欲しい」

 

悲しそうに俯くルイズにウェールズは肩を支えて微笑んだ。これから死地に赴くものとは思えない優しい微笑みだった。

「さて、そろそろパーティーの時間だ。君達は我らの王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してほしい」

 

ルイズ達は部屋の外に出る。 ワルドは居残って、ウェールズに一礼した。

 

「まだ何か御用がおありかな、子爵殿?」

「おそれながら、殿下にお願いしたい議がございます」

「何かな? 申されよ」

 

ワルドはウェールズに、自分の願いを語った。 ウェールズはにっこりと笑った。

 

「なんともめでたい話ではないか。喜んでそのお役目を引き受けよう」

 

 

 

城のホールでとり行われているパーティは、簡易式の玉座に腰掛けた年老いた王であるジェームズ一世の下で実に賑やかに進んでいた。皆、明日には滅びる身だというのに、いや、だからこそなのか皆、楽しそうに談笑している。

その一方で、月が見える窓辺では、涙を浮かべる一人の少女の姿があった。ルイズである。彼女はとても見ていられなかった。明日、死地へ赴く兵達の、最後の晩餐なんてものを。

 

「嫌…あの人達…どうして、何で死を選ぶの? 訳わかんない。姫様が逃げてと言っているのに…恋人が逃げてと言っているのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」

 

それは独り言であった。あの日、サモン・サーヴァントの日からずっと、自分を守ってくれていたエルクは今はいない。出来れば彼にそれを問いたかった。やりきれなさを受け止めて欲しかった。

だが、意外なところから返答がきた。

 

「人の営み。その中で生まれる掟、矜恃は己が己として生きるための信念の指針となる。そして人は多かれ少なかれ覚悟を持ち、生きていかなければならない」

「………………えっ?」

 

いつの間にか隣にはヂークが突っ立っていた。何やらいつもと雰囲気が違う。

 

「だが、時としてその覚悟は、己を縛る鎖となる時もあるのだろう。自身の本当の想いまでをも縛り、進むべき道すらも誤らせる…な。少女よ、もし彼らが間違っていると思うのであれば、其方は己の誇りに振り回され惑わされず、其方自身の正しいと思う道へと進んで欲しい。決して誇りを言い訳に身勝手な欲望に進んではならない。もし進むべき道を誤ってしまったとしたら、彼らは明日の其方だ」

 

それだけ言うと、またいつもの雰囲気に戻り去っていった。

 

「……なんだってのよ、もう。私があの人達と同じに…? 冗談じゃないわよ。私は、違うわ…」

 

だが、もうルイズの呟きに答えてくれる者はいなかった。

月は煌々とルイズを照らし続けていた。

 




話を急いだせいか、エルクの影薄くなってるような~

それと前回の話でサイト君登場でいろいろ感想をいただきました。酷い扱いしつつ、やはりいい主人公だな~っと思っております。また登場させたい…そのためには続けなければw

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