そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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とうとう前回の投稿から一週間を超えてしまいました。徐々にスパンが長くなっていく……すいません。


《金色の美しき死神》

 時の庭園、そのエントランスに相当する場所でなのはとユーノ、アルフの三人は、クロノや武装局員たちと別れて別行動となった。

 

 クロノは並外れた個人火力でプレシア・テスタロッサの愚行を止めに単独で別ルートを進行。

 

 武装局員は傀儡兵と戦い、怪我人の搬送や背後の守り、伸びた戦線の維持や撤退経路の確保を割り振られた。オールラウンドな支援を担当する。

 

 なのはたち三人は、悪化し続ける魔導炉の停止が任務となった。

 

 庭園のおよそ中心部、大きく緩やかに上っていく螺旋状の回廊の最上階に魔導炉がある。アースラから送られてくる通信でも、そこから魔力反応を強く捉えているとの報告があったし、アルフの記憶にもこのルートで間違いはないそうだ。

 

 行くべき地点は明確になった。しかし、そう易々と辿り着けるほど甘くはない。

 

 至る所に数多く、種々様々の傀儡兵が配置されていた。

 

 プレシアの計画は、ジュエルシードの魔力に魔導炉の出力を上乗せしてやっと行われるような綱渡りとも言えるものだ。ここで魔導炉を停止させられたらプレシアが掲げている作戦はご破算、失敗に終わる。プレシア本人やジュエルシードが管理局側に押さえられるのは勿論、魔導炉も押さえられては困る重要な装置。魔導炉へ続く通路の防備に、プレシア側が躍起になるのは必然だった。

 

「数が多すぎるよ……キリがないの!」

 

 迫ってきた傀儡兵のアームにあたる部位を誘導弾で破壊し、中核を射撃魔法数発で貫いたなのはが、疲労の色を滲ませながら声を張り上げた。

 

「かといって、突っ込んで孤立すれば的になるだけ。柱とかの死角も少なくない。罠の可能性も捨て切れない。警戒しながらゆっくり進むしかないよ!」

 

 拘束魔法で数体の傀儡兵の動きを阻害しているユーノが、なのはに言い聞かせる。

 

 攻撃はなのはとアルフに任せ、ユーノは拘束や防御などの援護に回っていた。

 

 消耗戦になりつつある現状をもどかしく感じながら、なのはは建物の上部を見上げる。一番上、魔導炉のコントロール室がある部屋へと繋がる扉はまだ遠い。やっと中腹、といったところである。

 

 螺旋状の通路の真ん中は吹き抜けになっていて、いくら最下から頂点まで距離があるといえど、そもそもは建物なのだから飛行魔法を扱える魔導師であればひとっ飛びで行ける程度でしか離れていない。

 

 行く手を妨げる敵兵さえいなければ、だが。

 

「こんのっ! ちょこまかと!」

 

 後退しながら連射性の高い射撃攻撃をしてくる傀儡兵を、右に左に飛行し、時に廊下の手摺(てす)りを蹴って照準から逃れながらアルフが追い(すが)る。近づけたかと思えば、彼我との間に装甲が厚いタイプの傀儡兵が割って入り、アルフの打突を防いだ。

 

 攻撃を防がれたことで寸時生まれたアルフの隙を狙い打つように、他方向から別の傀儡が接近する。

 

 腕と剣が一体化したような傀儡兵は右腕を後ろへ振りかぶり、まさしく斬りつけようとしたその瞬間に淡い緑色の鎖が絡みつく。鎖に引っ張られた近距離戦型の傀儡兵は体勢を崩し、攻撃のタイミングを逃す。

 

 技後硬直から抜け出たアルフは振り向きざまに、ユーノの魔法によって自由を奪われた傀儡兵の腹部へと渾身の蹴撃(しゅうげき)を放った。

 

 彼女の尋常ならざる脚力によって傀儡兵は上下に分かたれ、機能を停止し落下、爆散した。

 

 突出してしまっていたアルフが二人の近くに寄ると、ユーノが端整な顔に渋面を貼りつけていた。

 

「アルフが言ったんじゃないか。このエリアの奴らは統制が取られているから注意しろ、って」

 

「ごめん……つい熱くなっちゃって出過ぎちゃったよ。でも、おかげで確信できた」

 

 魔導炉へと続く道を短時間で踏破できなかったことには理由があった。他の場所で戦った傀儡兵とはアルゴリズムが異なっていたためだ。

 

 アルフがつい先ほど引っかかったように、この空間に入ってすぐ、数体の傀儡兵が連携行動を取るようになった。誘導、防御、攻撃など、役割を振って襲ってくる。

 

 その行動パターンの変化の原因に、アルフは心当たりがあった。

 

「やっぱりこの周辺の傀儡兵のシステムには、リニスの手が入ってる。他のはもっと単純にできていたし、なによりこんな煽るような意地悪な動きをさせるのはリニスしかいないし、リニスにしかできないよ」

 

 プレシア・テスタロッサの使い魔、リニスがプログラムに介入しているとアルフは見ていた。

 

 この付近で出現する傀儡兵群は実にいやらしい戦術で対応してきている。

 

 三人が固まっていれば防御に秀でた傀儡を盾として遠距離から射撃し、誰か一人が突出すれば複数で取り囲む。全員で強行突破しようとすれば装甲の厚いタイプが壁となり、動きが止まったところを近距離戦型が狙い、遠距離型は邪魔されることのない位置でひたすらに撃ちまくる。

 

 これだけでも厄介だというのに、さらに顔の見えぬ敵は容赦なく手を打ってくる。傀儡兵の性能を最大限に発揮するだけではなく、なのはたちのパフォーマンスを下げるように戦闘を運ぶのだ。

 

 なのはの場合、砲撃で包囲網を突き破ろうとしても相手から研究され尽くしているのか、チャージする時間を与えないよう途切れなく攻め、一網打尽に破壊されぬよう兵群自体もあまり密集しないような陣形だった。そのせいでなのはは砲撃魔法を用いて一気に殲滅、という手段を取れず、射撃魔法か、威力は落ちるがチャージを短くした砲撃魔法で一体ずつ削るしかなくなっている。

 

 ユーノに対しての情報は少なかったようで、序盤は出方を(うかが)うような動きを見せた。しばらくしてユーノは攻撃手段が乏しい、と判明してからは矛先を向ける頻度が下がり、気が緩んだところをつけ込むように散発的に攻撃するようになった。やろうと思えば拘束魔法の鎖の力を強くし、絡みつけて捻じ切るなんてこともできるが、敵との数量的戦力差もあるし、傀儡兵のボディが硬いこともあり時間と集中力が必要になる。一体に意識を傾けている時に他から攻撃を受けてはどうしようもないので、結局後手に回るほかなかった。

 

 アルフには序盤から、あからさまに挑発するような、嫌がるだろう戦法を相手は組んできていた。性格を重々把握しているリニスだけあって、バトルレンジを巧妙に操り、アルフの最大火力である近接戦を封じたのだ。

 

 傀儡兵の個性だけでなく、相手によって攻め方を工夫する。そこまで臨機応変に対応するのは機械的なプログラムだけでは到底不可能。この空間にいる傀儡兵の手綱をリニスが握っているのは明白だった。

 

「でも、どうすればいいの? 進んではいるけど、このままのペースだとすごく時間がかかっちゃうよ」

 

「……たしかに、上に到達する前に計画が果たされたら、僕たちにはもうどうすることもできない」

 

「ならもう、魔力が残っているうちに突っ込むかい? だらだらと進んでガス切れを起こしてからじゃあ、なにもできなくなるよ」

 

 なのは、ユーノ、アルフの三人は互いに背中を守り合いながら正面の敵に対処しつつ、打開策を探る。

 

 数の多さを生かした波状攻撃と、巧みな間合い。それらにより、順調に進んできた足が鈍り、余計な時間を浪費させられている。

 

 一応魔導炉へと近づいてはいるが、その運びは遅々(ちち)としたものだった。

 

 この通路に入ってからは魔力の消費量も格段に増えてしまい、いずれは底をついてしまう。五月雨式(さみだれしき)に襲いかかってくる傀儡兵にじわじわと体力、魔力、気力を削られていくため、被弾のリスクも上がり続ける。

 

 終わりの見えない戦闘、張り詰めたままの緊張、早く成し遂げなければいけないという焦燥、視界の外から突如飛び出す敵影。スタミナや魔力の残量も心許ないが、それらより先に神経が擦り切れていくような戦況だった。

 

 何か手を打たなければ泥沼に沈むことになるとわかっていても、これという解決策を三人は見つけられずにいた。

 

 三人の意識が目の前の戦いから、ほんの僅かな時間だけではあるが打開案の模索に傾く。その瞬間を、傀儡兵群は――否、リニスは逃さなかった。

 

「ぐっ……いきなりっ……」

 

 ユーノの拘束魔法で捕らわれていた数体の傀儡兵が一斉に暴れ出す。

 

 考えを切り替えて速やかに鎖へと力を回すユーノだったが、解決策に気を取られて一歩出遅れたごく小さなタイムロスが明暗を分けた。

 

 数体のうち一体が、装甲の硬い表面を浅く抉るほどに強く縛り上げていたユーノの鎖から抜け出し、斧のような形状をした無骨な武器を投擲する。重厚感のある鈍い輝きを放つそれは高速回転し、なのはへと迫った。

 

「なのはっ!」

 

 傀儡兵から投げ放たれた巨大な凶器がなのはへと一直線に向かっていることはわかっていたが、ユーノにはその斧を防ぐ手立てがなかった。少しでも気を緩めれば、拘束している他の傀儡兵も鎖から這い出てさらに状況がさらに悪化することが目に見えていたのだ。

 

 ユーノに出来ることといえば、一時的に自由を与えてしまった傀儡兵にもう一度鎖を掛けて拘束し、なのはへと注意を呼びかけることくらいであった。

 

「えっ……?」

 

 縦長の建物の上部から近づいてくる傀儡兵をディバインシューターで撃ち落としていたなのはは、ユーノに大声で呼ばれてちらりと視線を向ける。

 

 首を回して確認した時には、なのはの小さな身体を叩き斬らんとする斧がもう、目の前にあった。回避どころか、障壁さえも間に合いそうにない距離にまで近づいていた。

 

 諦めそうになり、なのはが目を瞑りかけたその刹那、周囲が金色に埋め尽くされる。

 

 スパーク音を迸らせるなにかが、なのはを断つ寸前だった斧に直撃し、斧を木っ端微塵に消し飛ばした。

 

「この光……っ!」

 

 自身を傷つける間際まで迫った斧だというのに、もはや意識から外れているかのように、なのはは表情を明るくさせ、上方を仰ぎ見る。

 

 アルフを取り囲んでいた傀儡兵たちも、ユーノが自由を奪っていた傀儡兵も感電するように小刻みに揺れて暴れることを止めた。それらの装甲の表面に走るのは金色の火花。

 

 美しくも気品があり、華やかでありながらどこか繊細な光が周囲に満ちる。

 

「サンダー……」

 

 なのはの視線の先、上空に魔法陣が描かれていた。その魔法陣の上に、黒を基調としたバリアジャケットに身を包んだ少女、フェイトが立ち、両手で持つ杖の先端を下方へ指して突き立てる。

 

 フェイトの力強い声が響く。

 

「レイジ!」

 

 フェイトが足場としている魔法陣が輝きを強め、少女のデバイスであるバルディッシュが幾筋もの雷を放出した。

 

 空間に雷撃が通って空気が焼けた跡を残しながら、フェイトの魔法は傀儡兵目掛けて突き進む。なのはにもユーノにも、傀儡兵の近くにいたアルフにすら掠りもさせずに、高エネルギーの雷は傀儡兵だけを射抜いた。

 

「遅くなってごめんね?」

 

 どこか申し訳なさそうに笑みを浮かべる少女には、以前までの、(ひび)の入ったガラスのような危うさはもうない。黒のマントをはためかせるフェイトの瞳には、確固たる意志が灯っていた。

 

 

「派手に復活したもんだな、フェイトのやつ」

 

 俺は力任せに開け放たれた扉から、緩やかに上る傾斜の通路へと出て手摺りにもたれ掛かる。下を覗き込み、眼下の傀儡兵を一閃のうちに薙ぎ払ったフェイトを見遣る。

 

 空中に浮遊するフェイトになのはが近づいて話しかけ、次いで感極まった様子のアルフがご主人様に抱きついている。アースラの艦橋では俺がいる手前ばしっ、っと格好つけて、フェイトと離れて行動していたアルフだが、やはりどうしようもないほどにフェイトのことが心配だったのだろう。

 

 ユーノも戦線に舞い戻ったフェイトを見て少し固くなっていた表情を緩めていたが、フェイトたちとは若干の距離を置いて周囲を警戒していた。どこから傀儡兵が湧いて出てくるかわからないので、奇襲されないよう気をつけているといったところか。常に注意を怠らないユーノがなのはやフェイトたちのそばにいれば、俺としても安心である。

 

「フェイトはもう、俺の手助けは……いらないな」

 

 アースラの一室から時の庭園へと転送してからのフェイトの戦いぶりたるや、それはもう、凄いの一言につきた。

 

 なのはたちがいる場所をオペレーターさんから教えてもらい、この道に達するまでに打ち倒した傀儡兵の数はもはや数え切れない。雷撃で撃ち貫き、大鎌で斬り伏し、突撃していく様は鬼気迫るものがあった。綺麗ではあったが、それと同時に心胆寒からしめる恐ろしさもあったので、そこは忘れずに注釈しておく。《金色の美しき死神》とでも命名しよう。無論、褒め言葉である。

 

 フェイトが合流するために全力で駆けていたおかげでなのはの危機を救うことができたのだから、その鬼神の如き振る舞いにもやはり、意味はあったと言うべきだろう。

 

 後はエイミィから送られてきた情報に基づいて、この円筒形の建造物の最上階へと向かい、魔導炉を破壊するか停止させるかすればいいのだが、そう簡単に事が運ばない予感をひしひしと感じている。

 

 相手は一般魔導師とは一線どころか二線も三線も画す超級魔導師プレシアさんに、その使い魔で実力の程は俺の身体に痛いほど染み込んでいるリニスさんなのだ。一筋縄でいくわけがない。そんな甘い相手なわけがない。

 

 このエリアに、というよりも魔導炉に近づくごとに傀儡兵の動きは洗練されたものになっていたし、他の傀儡兵との連携攻撃も確認できた。十中八九、リニスさんが後ろで手を回している。まさしく傀儡師のように、背後で糸を引いて兵士の人形を操っているのだ。

 

 だとすれば、きっと彼女はこの場を監視下に置いているはず。フェイトの前線復帰と合流を受けて、なんらかのアクションを起こすだろう。

 

 その前に危険の芽は摘んでおこうと、俺がわざわざ残しておいた傀儡兵(・・・・・・・・・)に近寄ろうとした時、下方から轟音が聞こえた。

 

「……あんなんありかよ……」

 

 俺たちがいる建物は、円柱状の建物の内径に沿うような形でぐるぐると回りながら上へとのぼる通路があり、その最上階に魔導炉の制御システムを集めた部屋がある(と、フェイトは言っていた)。驚くべきことに、その建物自体をぶち壊すように、なのはたちのすぐ下の側面の壁を破壊して新たな傀儡兵が現れた。

 

 他の個体とは、一回りとか二回りとかそんな規模の小さい比較では比べられないほどに巨大な機械仕掛けのお人形。背面から蜘蛛の足のように伸びるアームは左右に三つずつ。巨体の割に頭部は小さくスリム。人間で例えると下半身に該当する部分には、流線形の円盤とでもいえばいいのか、近未来的造形を思わせる形状の脚部がついている。

 

 建物の瓦礫を散乱させながら領域内に侵入した大型傀儡兵は、なのはやフェイトを視界に収めると三対のアームを少女たちに伸ばし、切っ先に光を蓄えた。恐らくは射撃系の攻撃の準備モーションだろう。

 

 咄嗟に障壁を張ろうとしたなのはたちとは違い、ユーノだけは違う種類の魔法を使っていた。

 

 大型傀儡兵の側面に陣取ったユーノは拘束魔法を展開し、六本の鎖を構築。大型の三対のアームへと鎖を伸ばして巻きつかせ、あらん限りの力で引っ張った。

 

 照準が逸れた大型傀儡兵の射撃魔法――いや、射撃魔法というにはその砲弾はあまりに大きすぎる。六本のアームの先端から放たれた『砲撃』はなのはたちからわずかに外れ、後方へと流れた。

 

 大型の反対側の壁、なのはたちの背後の壁面に砲撃が着弾すると、壁はいとも容易く抉り取られ、どころか風穴まで穿(うが)つ。六つの穴のおかげで風通しが良くなってしまった。傀儡兵の図体と砲弾の直径に見合った、かくも恐ろしい威力である。

 

 大型傀儡兵の火力には驚愕したが、ここはユーノの機転に救われた。ユーノは一瞬のうちに、障壁で防いだ時のリスクや未確認の攻撃に対する不安要素を計算し、防御ではなく回避に努めたのだ。

 

 もちろん、なのはの頑強な障壁で防げなかったことはないだろうが、その場合、魔力を大幅に消費することには確実になったはずだ。それではこの場の戦闘をどうにかできたとしても、後にまだ控えているであろう普通サイズの傀儡兵との散発的な遭遇戦が厳しくなる。

 

 魔力の温存と後々のことを考えたユーノのファインプレーだった。

 

 再び狙われないように、四人は散開する。

 

 大型が現れる際に破壊された壁から、数体の普通サイズ傀儡兵が這い出てくるのが離れた位置からでも小さく見えた。

 

 四人は大型の攻撃を警戒し、各々の間に距離を取りながら作戦を立てる。フェイトが真っ先に一歩踏み出し口を開いた。

 

 話の流れと口の動きとなのはのリアクションから察するに、どうやら大型の相手はなのはとフェイトの二人が担い、大型の取り巻きをユーノとアルフが片付けてフォローするような戦法を取る算段になったようだ。その作戦をフェイトが自分から提案したという事実に、俺はとても嬉しく思う。

 

「不気味なのが……リニスさんの対抗処置だな……」

 

 ここにきてなのは、ユーノ、アルフの三人にフェイトが落ち合った。これでは戦力が不足する、と判断したリニスさんが追加で大型傀儡兵などの兵隊を投入してきたのだろう。その考え方自体は理解できる。

 

 しかし同時に疑問も残るのだ。

 

 フェイトが合流する前、三人の状態の時に大型を向かわせておけば、簡単になのはたちを退けられたのではないのか。

 

 必要最低限の力で勝利条件を満たすという、リニスさんの性格を俺は知っている。俺とフェイトがこの場に来た時、先に庭園に到着していたなのはたちは縦長の建物の真ん中あたりで苦戦していた。そのままの流れであれば当初の計画の邪魔にはならない、これ以上の戦力は過剰である、とリニスさんが結論を出した可能性は否定できない。

 

 しかし今は大詰めも大詰め。本来であれば全戦力でもって、なのはたちを潰しにかかるのが定石というもの。失敗の許されないこの状況で、安全策を講じずにいるのはリニスさんの性分と反するのではないだろうか。

 

 まったくもって(いびつ)でありながら、まったくもって絶妙な匙加減(さじかげん)である。

 

 なのはたちを倒してしまわないよう、かといって容易に突破されないよう、それでいてこのルートの侵攻を諦めさせない程度に足を進めさせる。それらの事柄から見えてくる答えは、安全な時間稼ぎ。

 

 リニスさんの本意は、きっとそこにある。きっと、そこにあった。

 

 リニスさんにとって、おそらくプレシアさんにとっても、フェイトの戦線復帰はイレギュラーだったのかもしれない。身体の線も神経も細いフェイトなら、母親からあれだけぼろくそに悪罵を叩きつけられ、心を引き裂かれれば、精神的な傷から当分の間はまともに動けないと踏んでいたのだろう。

 

 しかしこの場に戻ってきてしまった。母親に逢うため、温かな時間と場所を取り戻すためにフェイトは戻ってきた。

 

 覚悟と決心を胸に秘め、帰ってきたのだ。

 

 さすがにフェイトほど実力のある魔導師が加われば、少しばかり連携を覚えた程度に過ぎない傀儡兵群では話にならない。そこで()むなく投下したのが大型。仕方なしの次善策だったろう。

 

 彼女たちのシナリオに狂いが生じているのが感じられる。

 

 攻め入るとすれば、付け入るとすれば今なのだ。

 

 傀儡兵が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している現況の時の庭園内では、目的の場所まで行き着くことは難しい。リニスさんの監視の目がなのはたちに向けられているこの瞬間に、厄介極まりない操り人形の兵隊たちを黙らせる。

 

 その為の手段を俺は持ち合わせているし、その為のアイテム(・・・・)も調達済みだ。あと必要なのは、時間だけである。

 

 俺はユーノへと念話を送った。

 

 

《ユーノ、悪いんだけど一つ頼みを聞いてくれないか?》

 

 なのはへと照準を合わせていた傀儡兵や、フェイトの後方で狙いを定めていた傀儡兵を縛りつけて動けなくさせ、身動きを取れなくなったところをアルフが仕留めるという手筈でなのはたちをフォローしていたユーノの脳内に、聞き馴染みのある声が響いた。

魔力を使いすぎたから、という理由でユーノたちと同行していなかった徹からの念話である。

 

「えっ、兄さん?! 今どこにいるんですか、庭園内にいるんですか?!」

 

 突如届いた声音(せいおん)に驚いたユーノは、つい傀儡兵を縛っていた鎖を緩めてしまった。

 

 拘束力が弱まった隙に傀儡兵は逃げ出すが、同じミスを二度も繰り返すことはできないとばかりにユーノは気を引き締め直し、完全に抜け出る前に傀儡兵の足(らしき部位)に鎖を絡め、力一杯引っ張った。

 

 体勢を崩された傀儡兵は壁に打ちつけられ、追い打ちをかけるようにアルフの蹴りが叩き込まれてついには沈黙した。

 

 同じ(てつ)を踏まずに済み、ユーノが安堵の溜息をついていると徹からの返信が届く。

 

《おう、庭園内でお前たちが戦っている姿がよく見える位置にいるぞ。さっきは少し危なかったな》

 

「危なかったな、じゃないですよ! 誰のせいだと思ってるんですか! ていうかこっちに来てるんなら手伝ってくださいよ! 指揮を取るのも士気を上げるのも僕には荷が重いんですから!」

 

《あっはっは、上手いこと言うな》

 

「冗談を言ったわけじゃないですよ!」

 

《悪い悪い。でもまあ、念話を送った理由が、手伝うことに直結してると言っていいな》

 

「……はい?それはどういう……」

 

 あまりに動転し過ぎて念話だというのに口を動かしていたことに、ユーノは今さら気づいた。

 

 声を張り上げていたおかげでユーノたちの付近にいると思われる徹にも声が届いていたわけであるが、大型を相手取っていたなのはやフェイト、アルフにも聞こえてしまっていた。

 

 年上の兄的存在である徹へ並々ならぬ感情を寄せているなのはは、戦場の真っ只中だというのに瞳をきらきらと輝かせて頬を綻ばせている。なのははユーノへと顔を向けていた。視線が口以上に物を語る。『わたしも徹お兄ちゃんと喋りたい』と。

 

 対してフェイトは、なのはと打って変わって落ち着き払った様子だった。時折左手をグーパーと閉じたり開いたりしてにこにことする以外は、であるが。

 

 ユーノが壁に叩きつけた傀儡兵の息の根を止めたアルフは、壁際から離れて周囲を警戒しながらも、どこか安心したように笑みを浮かべる。これでもう大丈夫、とでも言うように。

 

 名前が出ただけで切迫した雰囲気を払拭する彼の影響力に、ユーノは苦笑いを浮かべた。

 

《全傀儡兵の機能を停止させる。ただ時間がかかるし集中しなきゃいけないから、その間邪魔されないように奴さんを引きつけておいて欲しいんだ》

 

《全傀儡兵……全部を一度に、ですか? そんなのどうやって……》

 

《手はもう用意してある。ちゃんと説明したいところだがそれだけの余裕はなさそうだ。今は俺を信じてくれ》

 

《いつだって信じています。了解です》

 

《『いつだって信じてる』……とか言われると、若干どころじゃないプレッシャーを感じるな……。でもありがとう、ユーノ。他のみんなにもうまいこと伝えといてくれ。勇姿はちゃんと見てるから頑張れってな》

 

 あと、大型の攻撃を障壁で防がせずに、砲身に鎖を巻きつけて砲弾を逸らしたのはいい裁量だった。さすがだな。

 

 念話の最後、徹はユーノへと賛辞を呈し、そして切られた。

 

「…………」

 

 魔法の飛び交う戦場の真っ只中だというのに、一瞬ユーノの頭は真っ白になった。

 

 前に出て戦えないのにちゃんと自分を見てくれていたこと、攻撃的な魔法に乏しい自分がどうすれば役に立てるか考えて創意工夫した結果を褒められたこと。ユーノはそれが嬉しくて、喜びに打ち震えた。

 

 僕にできることは限られている……。だからこそ、僕ができる範囲のことなら全力でやる!

 

 徹の激励と賛美は、ユーノのモチベーションを跳ねあげさせた。ユーノの魂に気炎が灯る。

 

 ユーノは、大型を破壊するだけの火力なんて持ち合わせていない。だからユーノの役割は、大型を(ほふ)らんとするなのはとフェイトの支援だ。

 

 大型の隙を窺っているなのはとフェイトに、取り巻きの傀儡兵を近寄らせないことが重要になる。だが、取り巻きの傀儡兵を倒し切る手札さえ、ユーノにはなかった。

 

 そこで取った手法がユーノとアルフが協力して傀儡兵を倒していくというもの。ユーノが傀儡兵を誘導し、魔法で絡め取り、アルフが止めを刺す。それを繰り返して取り巻きを減らしていた。

 

 しかし、それではもはや追いつかないのだ。

 

 強い魔力を持つ傀儡兵を多数縛りつけておくことはとても難しいし、暴れる傀儡兵を無力化するほど強く締め付けるのは魔力の消費も激しい。

 

 それに散らばっている傀儡兵をその場で拘束すると、破壊担当のアルフがいちいちあっちへ飛んだりこっちへ走ったりと移動するのに時間がどうしてもかかる。広い上に高さがある建造物の中というシチュエーションは、敵に散らばられると非常に厄介だった。

 

 このままでは、いつ取り巻きの傀儡兵がなのはとフェイトに銃口を向けるかわからない。二人のうち、どちらかでも墜ちれば大型の打倒は困難になる。それだけは絶対に阻止しなければいけないことであった。

 

 大型の相手をしている二人の邪魔はさせない。僕にできることは全部するって決めたんだ。多少のリスクには目を瞑る。兄さんは……いつもそうしてきたんだ! なら、僕だって!

 

 ユーノは強く拳を握り締め、覚悟を決める。円筒形の吹き抜けになっている空間のど真ん中に、無謀にもその身を晒した。

 

 あえて周りから見つけられやすい、格好の的となるような位置でユーノは浮遊する。

 

 敵性対象の存在を認識した複数の傀儡兵が、ユーノへと無機質な冷たい敵意を浴びせる。次の瞬間、全方位からユーノ目掛けて集中砲火がなされた。

 

 それらは巨大な斧のような刃物であったり、長い剣状の物体であったり、射撃魔法であったりと傀儡兵の種類に応じた遠距離攻撃が繰り出される。狙いやすい場所で、しかも動き回ることもしないユーノへと、逃げ場を埋めるような密度で各々のロングレンジ攻撃が行われた。

 

 一糸乱れず放たれた攻撃は、寸分違わずユーノへと殺到する。攻撃は重なるように着弾し、ユーノの姿を隠すように爆煙が舞う。

 

「ユーノ君っ!」

 

 大型傀儡兵の弾幕じみた対空砲火を回避しながら、反撃の機会を探していたなのはが、悲鳴をあげるように少年の名を呼ぶ。

 

 なのはの不安を拭い去ったのは、噴煙から延びる淡緑色の鎖であった。一本二本などというちんけな数ではない。全方位に向かって、遠距離攻撃が飛来した数と同じ本数、遠距離攻撃が飛来した方角と同じ方向へと大量の拘束魔法が射出された。

 

「心配いらないよ、なのは。賭けは……僕の勝ちだ」

 

 傀儡兵たちを鎖で捕らえると同時に、ユーノを覆い隠すように張られていた煙が晴れる。服はところどころ破けていたり、顔には(すす)がついていたりと無傷ではないにしろ、戦闘の継続が可能な程度には、まだ余裕があった。

 

 ユーノは全身を包むように展開されていた防御魔法を解除し、拘束魔法の維持に力を注ぐ。

 

「攻撃の瞬間、攻撃が成功したと思った瞬間は隙が生まれる……でしたよね、兄さん」

 

 ユーノがわざわざ危険を冒して敵の砲口の前に出たのは、敵の居場所を正確に見つけ出すことも理由の一つであったが、一体残らず拘束魔法にかけることも目的であった。攻撃の着弾点から逆算し、敵の座標を割り出したのだ。

 

 相手がなかなか油断を見せてくれないのなら、こちらが仕掛けて機会を作るまでのこと。絶好のチャンスが目の前を転がったら、誰でもものにしようと考える。電子情報のアルゴリズムで行動を決定する傀儡兵にそんな考えがあったかはわからないが、統制をリニスという人間が(つかさど)っているのであれば、力んで間隙が生じるのも当然だった。

 

「思った通り、長くは持たないかな……」

 

「ユーノ! この数じゃ、さすがにすぐには片付けられないよ!」

 

「考えがあるんだ! アルフは少しだけ下がってて!」

 

 大型とともに再度出現した傀儡兵のほぼ全てを、ユーノは捕らえることに成功した。

 

 しかし、いかにユーノが支援魔法に長けているとはいえ、Aランク魔導師相当の魔力を持った傀儡兵群を縛り続けるのは不可能である。また、拘束するだけでは傀儡兵を破壊することもできない。拘束魔法は絞めつける力を上昇させることによって対象を捻じ切るようにも使えるが、傀儡兵の装甲は鎖の絞力を超えて頑丈で、やはりユーノには破壊する手立てがなかった。

 

 そんなこと、ユーノ自身も理解していた。

 

 ユーノは慌てず冷静に、自身の魔法の腕に対する落胆も、策が綺麗に嵌ったことに対する昂揚も抑え、準備していた次の作戦に移行する。

 

「動きを止め続けることも、このまま絞め付けて戦闘不能にすることも僕にはできない。でも、全力を出し切れば……このくらいはできるんだ!」

 

 ユーノの手のひらの先、数センチ離れた魔法陣が一際強く瞬いた。

 

 傀儡兵へと伸長している鎖が、一気に引っ張り込まれる。猛烈な速度で収縮する鎖は、先端に抵抗する傀儡兵を釣りながら、なおも長さを縮めていく。全方位に向かって放たれた鎖すべてに同様の操作が行われた。

 

 距離を挟んで取り囲んでいた傀儡兵たちは抗う間もなく引っ張られ、中央で浮遊するユーノの元へと集められる。

 

「ここっ!」

 

 ユーノは短く息を吐いて跳躍し、猛スピードで迫りくる傀儡兵たちを眼下にやり過ごした。引き寄せられた傀儡兵たちは互いに勢いよくぶつかり、装甲が擦れあって火花を散らす。

 

「やっぱりこれじゃあ壊れない、か。わかってたけど」

 

 十体を超える傀儡兵が一塊となり、その塊から抜け出せないようにさらにユーノは外側から鎖を巻きつかせた。傀儡兵たちでできた球体に乗りながら拘束魔法を行使し続ける。

 

 かなりの速度をもって傀儡兵たちは接触し、何体かは破損しているが行動不能に陥った個体は一体もない。いくら強固な装甲を持つ傀儡兵同士がぶつかったとはいえ、その程度で戦えなくなるほど貧弱なコアでも、脆弱なシステムでもないようだ。

 

 しかしユーノも、これで破壊できるなどという安易な期待はしていない。中央で浮遊したのは、取り巻きの傀儡兵の目を引くためだけではなかった。

 

「火力がないなら、持っているところから引っ張ってくればいいだけだよ」

 

 わざわざ危険な場に身を投げたのは、もう一体の傀儡兵、大型の銃口と注意を自身に向けさせるためでもあった。

 

 六つあるアームのうち四つは、要注意人物にして大きな魔力を小さな身体に秘めているなのはとフェイトを追い続けているが、残り二つは無防備に遮蔽物のない場所で姿を見せているユーノへと向けられている。ユーノが狙った通りに、大型はアームの先端に光の球を生成して砲撃の準備を整えていた。

 

 ここも、一つの賭けであった。

 

 なのはやフェイトに現在も行われているような、連射性に特化した攻撃を大型が繰り出してきたらユーノの策はご破算もいいところだったが、きっと最初に放ってきたような砲撃が来るだろうと、ユーノは予想していたのだ。

 

 もちろん楽観論で考えていたわけではない。隙だらけの敵がいれば、なるべく一撃で倒しきるために大振りの攻撃を振ってくるだろうと推察した結果である。

 

 そしてそれは正しかった。

 

「ふふ……ごちそうさま、かな?」

 

 二条の光が、ユーノの頭上に迫る。

 

 ユーノは発射を確認すると、まだ幼さを残す端正な顔に笑みを刻みながら、全力で傀儡兵の塊の上から退避する。

 

 ユーノが退避してから一秒と経たぬうちに、ついさっきまでいた空間を大型傀儡兵の巨大な魔力砲弾が貫いた。

 

 直進しかできない砲弾は、ユーノが回避したからといって方向を変えることはできず、その場で急停止することもできない。射線上にあった取り巻きの傀儡兵で作り上げられている塊に着弾、貫通した。

 

 大型が撃ち放った二つの砲弾は傀儡兵群の壁を突き破ったことで多少勢いを弱めたが、それでも途中で消滅することもなく、円筒形の建物の最下層にまで届いた。地を震わせるような轟音が空気を叩き、衝撃が建物全体に伝わる。

 

 一方、フレンドリーファイアを受けた傀儡兵たちは一拍の間を置いてから、全員揃って爆発した。

 

 ユーノの計略にいいように使われたことを悟った大型は、怒り狂うような挙動を見せる。三対のアームからの射撃は苛烈さを増す。

 

「くぅっ、なんて……量なんだ……」

 

 取り巻きが全滅したことで形振(なりふ)り構わなくなった大型が、射撃魔法を辺り一面四方八方へばら撒いていた。流れ弾に当たらないように警戒するユーノに、一発の魔力弾が走る。

 

 ユーノは自分に直進する弾丸を視界に捉えつつも、回避することができない。大量の傀儡兵を縛りつけていた疲労がユーノの動きを鈍らせていた。

 

 心許ない魔力で障壁を張っても威力の低減にしかなりはしない。多かれ少なかれ怪我を負うことを、ユーノは覚悟した。

 

「えぅっ!」

 

 顔の前で腕を交差させ、眼前に迫る衝撃に備えていたユーノだったが、いきなり、くんっと強い力で引っ張られる感触が腹部を襲う。おかげで変な言葉が喉から飛び出た。言葉以外にも、内臓的なにかも一緒に飛び出しそうになっていたが、それは懸命に飲み込んだ。

 

 ユーノの黄土色の髪を掠めるほどぎりぎりではあったが、大型が放った魔力弾を回避することに成功する。

 

 二〜三秒ほど引っ張られ続け、ユーノは背中に柔らかな質感を覚えると同時に静止した。

 

「やったじゃないか、ユーノ。大活躍だね。ただ、ああいう危ないやり方はもうしないほうがいいよ。いつか怪我をするからさ」

 

 何事か、とユーノが後ろを振り返ると、そこにはオレンジ髪の女性がいた。

 

 アルフは手摺りの上に立ちながら、窮地にいたユーノの腹部に拘束魔法の鎖を巻きつけて強制脱出させたのだ。

 

 疲労感からぐったり気味のユーノを抱え、アルフは大型から無作為に放たれる魔力弾を回避していく。

 

「あぁ、アルフ、ありがとう。助かったよ。言われなくてももうしないよ。僕にはとても向いてるとは思えないからね」

 

 苦笑いを浮かべつつ、ユーノはアルフへ返した。

 

 アルフに身を任せながら、ユーノは最後に残った大型の傀儡兵と、その周囲を飛翔する桜色と金色の輝線を見やる。

 

 ユーノが敬愛している徹からの要請は『時間を稼いでくれ』であったが、もはや時間を稼ぐ必要もなさそうだった。徹が戦域に来たことで活力の炎を燃え(たぎ)らせているなのはと、内側にやる気を溜め込んで解き放つ時を今か今かと静かに待っているフェイトが、ただ時間を稼ぐだけで終わるわけがない。

 

 徹が来る前に全部片付けてしまおうと、ユーノはさらに二人を焚きつける。

 

「二人とも! 『勇姿はちゃんと見てるから頑張れ』って、兄さんが応援してたよ!」

 

 徹が言っていたことをそのまま二人の少女にユーノは伝達したが、その言葉は二人に劇的な変化をもたらした。

 

 なのはとフェイトは伝言を受け取ると、明らかに機動性が変わり、数秒のうちに大型の背面から伸びていた六本のアームを斬り飛ばし、消し飛ばした。

 

 そんな光景と、現金な少女二人を眺めて、ユーノは呆れながらぽつりと呟く。

 

「そんな動きできるんなら早くやってよ……」

 




思えばこれまで長々と書いてきましたが、ユーノくんが表立って活躍するところを書いていなかったように思います。なので終盤も終盤ですが、いっちょ見せ場を作ってあげよう、ということに相成りました。
おかげで一話のうちで大型傀儡兵を討滅することはできませんでしたが。

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