いつもなら早朝の肌寒さの中、布団に残るぬくもりを恋しく思いながら苦労して起き上がるのだが、今日は違った。
すぐ近くに、あたたかくて柔らかいものがあったのだ。
おかしいな、俺が寝る時この部屋には、俺とユーノの二人しかいなかったはずなのに。
ちなみにユーノは、俺の部屋にちょうど良さげな籐でできた籠があったので、それにタオルとかぶち込んで即席の寝床で寝てる。
いつの間にか、なのはが俺の布団の中にいた。
俺の腕に頭を置いて、くっつくように自分の頭を俺の胸のあたりに押し付けている。
腕がやけに痺れていると思ったら、お前のせいか。
叩き起こしてやろうと、なのはの顔に手を近づけてそこで気付いた。
涙を流した跡がある。
昨日ちょっと暗い話しちまったからかなぁ……
今は、気持ちよさそうな表情で眠っている。
起こさないようにゆっくりと、顔にかかった髪を払ってまじまじとなのはの顔を見る。
目を瞑って黙っていれば、こいつ意外と年齢以上に大人びて見えるな。
髪が触れて少しこそばゆかったのか、小さな鼻がぴくぴくと動いた、がまたゆっくりとした呼吸に戻った。
なのはの鼻を、空いている手でつまんでみた、突如湧いてきた好奇心を抑えられなかったのだ。
いきなり息ができなくなって、んにゅみたいな言葉に表しにくい反応をした。
これで起きちゃうかなーなんて思っていたが、まだ目覚めないようだ。
俺がつまんでいた鼻を離すと、なのはは身じろぎして少しうなるような声を出し、また寝に入った。
次はもう少し長く抑えてみよう。
また鼻をつまむ、んにゃぁ、や、ふにゅみたいな声を出すがまだつまみ続ける。
あ、なんかぷるぷるしだした。
さすがに、これで呼吸困難とか起こされても困るので離してあげる。
悪戯は引き際が肝心なのだ。
へぷしゅ、というくしゃみなのかなんなのかよくわからない音を出して、閉じられていた瞼がぴくりと動いた。
やっとお目覚めのようだ。
よく考えたら、すごい近くにいるな。
腕の上の方に頭を置いているせいで、顔と顔の距離がすごく近い。
なのはの長いまつげもしっかり見えるし、さっきまで俺が押さえてた小さなお鼻も間近だし。
柔らかそうなくちびるも、すぐそこにある。
やばい、なんか変なスイッチ入りそう。
まだ寝ぼけているのだろう、いつもの半分しか開いていない目をこちらに向けて、なんでここにいるの? とこちらに尋ねるように首をちょこん、と傾けた。
「おはよう、目覚めはいかがかな? お嬢様」
茶化して言うと、どんどん頭が覚醒してきたのか、顔は赤くなり目は見開いている。
「にゃあぁっ! な、なんで徹お兄ちゃんが! ね、寝込みを襲うのはっ、それはいけないことだと思いますっ!」
まだ寝てんのかなこいつ。
「何言ってんの。俺が起きたらお前がここにいたんだから、お前が俺の寝込みを襲いに来たんだろう」
はっとして、なのははきょろきょろと辺りを見やる、俺の部屋であることを確認しているのだろう。
未だ、考えがまとまっていないだろうなのはに追撃する。
「小三なのに男に夜這いかけるなんて……なのはったらはしたない子だな」
わたわたしてた手がぴしっと止まった、いろんなことがあり過ぎて脳が強制終了されたのか?
二、三秒経って次はぷるぷると震え出した、再起動したのかな? などと考えていたら、寝転がっていた俺のベッドの上でいきなり立ち上がり、
「わ、私っ! はしたない子じゃないもんっ!」
と宣言した。
おそらくなのはは忘れていたのだろう、正直俺も忘れていた。
自分が、どんな格好で寝ていたのかを。
寝間着になりそうな服を探してはみたものの、見つけたその時にはなのはは寝てしまっていたので、結局こいつは今、
それに加えて、寝起きでさらに乱れてしまって、肌を露出している割合が昨日よりも増えている。
そんな姿で、いきなり立ち上がるし俺は寝転がっているしで、俺の視界が大変な事になってしまっている。
誓って言うが見ていない。
何を、とまでは言わないが見ていない。
ワイシャツの裾が、立ち上がった勢いでふわっと広がって、きれいで柔らかそうで、かぷっとかぶり付きたくなるようなふとももの付け根あたりまでは見てしまったが、大事なところは見ていない。
顔を下に向け見ないようにしたからだ。
若干、手遅れな気がしないでもなかったけど。
無理に首をひねったせいで、首の骨がぱきっと文句を鳴らした程だ。
「へっ……にゃああぁぁっ!?」
宣言したはいいが、俺が顔を下に向けた事で気付いたのだろう、己の姿に。
悲鳴を上げて、いろいろ露出しまっている身体を隠すようにしゃがみ込む。
場所と距離の都合、しゃがみ込んだ時についた膝が、俺の腹部に突き刺さるように決まったが今は我慢しておこう。
「これじゃほんとにはしたない子なの……」
蚊の鳴くような声で呟いているなのはの方が、ダメージ大きそうだからな。
お互いに、色々ごめんなさいして先程のことは水に流した。
今日も学校があるし、準備もしなければいけない。
朝食を摂ろうとベッドから出て、もぞもぞと動くユーノを掴んで肩に乗っける。
「なのははちょっと待ってろ。服、もう乾いてると思うから取ってくる」
「う、うん。わかった」
まだ少し恥ずかしかったのか、ちょっと言葉に詰まっていたが俺が平然としていれば馬鹿馬鹿しくなって、すぐ調子を取り戻すだろう。
昨日着てたものは洗濯機に入れて、寝る前に乾燥機にかけておいたからもう乾いていた。
服を取り出していくが、今さら下着程度でどうこうなるような俺ではない。
姉の服も下着も俺が洗濯してんだからな、このくらいは慣れたものである。
なのはは昨日、店の手伝いに来る前に一度家に帰り、制服を着替えてから来たようで私服だった。
よかったよかった、制服だったらアイロンがけしないといけないところだったぜ。
ぱんぱん、と少しでも皺が取れるようにのばしながら、あいつが着ていた全ての服を取り込み、乾燥機を閉じる。
こういう時はほんと便利だなー、なんて適当なことを考えていて思い出した。
レイジングハートいないな。
まぁ後でいいか、いたらいたでやかましいから。
部屋に戻り、なのはに着替えるように指示をしてすぐ部屋を出る。
お着替えを覗く趣味はございません。
台所にて、手抜きの朝ごはんを作り終えたくらいの時になのはが入ってきた。
「徹お兄ちゃんのお家では朝はパンなんだね。私の家はいつもご飯だから、なんだか新鮮な感じっ」
こいつは何が出てきても嬉しそうにするなぁ、こちらとしてはそこまで喜ばれると、手を抜いたことが少々後ろめたい。
別にこれで、いただきますでもいいのだが我が家の家訓では"家にいる時はみんなでご飯を食べる″というものがあるのでこれでは始められない。
「なのは、レイハ連れてきてやってくれ。姉ちゃんの部屋に置きっぱなんだろ?」
なのははあからさまに、今思い出したという顔をして急いで部屋に向かった。
『起きたら部屋に私一人、扉越しにかすかに聞こえる楽しそうな声。私がどのような気持ちだったか、理解できますか? できないでしょうね』
盛大にいじけてらっしゃった。
「悪かったって。別に、わざとのけ者にしようとしたわけじゃないんだぜ?」
『ふんっ……どうだかわかりませんね』
「ごめんね、レイジングハート……私が忘れちゃってたから……」
『いえ構いませんよマスター。ただ徹に文句を言いたかっただけですので』
お前、本当に俺となのはで態度が全然違うよな。
ここまではっきりしてると、ある意味清々しいよ。
「あれ、なんでリビングに? あ、みなさんおはようございます」
ユーノ用の小さな器を置いた時に、今日初めてユーノが喋った。
お前朝弱いんだな、やっと起きたのか。
「飯冷めちまうぞ。はい、手を合わせて。いただきます」
いただきますの唱和で朝食が始まった、俺は小学校の先生かよ。
「ただいまーっ!」
母さんが作ってくれた朝食を食べ終わったくらいで、昨日は帰ってこなかったなのはが元気な声で帰りを報せてきた。
「お邪魔しまーす」
その少し後で、親友の声が聞こえた。
出迎えようと玄関に向かうと、なのはが母さんに抱きつきながら楽しそうに喋っている。
昨日徹の家に泊まったからその事を話してるんだろうな。
「それでねっ、一緒に寝たの!」
その一文が耳に入ると同時に身体が動いた。
考える前に身体が動くとは、毎日の修行の成果だな。
近くにあった木刀を掴み、徹目掛けて振り下ろす。
徹は驚く様子もなく、一、二歩下がり上半身を後ろに反らすことで木刀を回避した。
二撃目に移行しようとした時に、徹が掌をこちらに突き出して動きを抑える。
「はぁ、落ち着け
よくよく話を聞けば、なのはが寒そうにしていたから一緒の布団で寝た、というだけだった。
いや、その話を聞いて冷静にはなれなかったが、母さんに頭を
他の誰でもない徹のことなので信用しているが、俺にもしてくれないことをこいつにしているというのは、どうしても嫉妬の対象になってしまうのは仕方ないと思う。
母さんが、徹になのはを泊めてくれてありがとうという旨の会話をしているので、俺はなのはの様子を見ることにした。
「なのは、久しぶりに徹と遊んでどうだった? 楽しかったか?」
「うんっ! いっぱい遊んで、いっぱいお喋りして楽しかった!」
どうやら、徹の家に泊まらせるという母さんの策略は大成功だったようだ。
最近のなのははどこか元気がなくて、水を貰えないひまわりのようだった。
ここ何ヶ月か徹は忙しかったからな、ゆっくりとなのはと過ごす時間は取れていなかったようだ。
翠屋で徹と会える時は、すごく元気になってテンションも上がるようだがバイトで来ている上に、徹はほとんど厨房にいるから喋ることも満足にできないし、いつもなのはは早めに帰るので結局そういう日は家で少し落ち込むのだ。
だからこそ母さんも、泊めようなどと提案したのだろう。
きっとそうだろう、他に意図はないはずだ、そうに決まっている。
母さんとの話が終わったようだ。
こちらに来た徹に、尋ねておかねばならないことがある。
「何もなかっただろうな」
「何もなかった、というのは嘘になるな。なのはと一緒に遊んだのに、何もなかったとは言えねぇよ」
またこいつは、恥ずかし気もなく恥ずかしい台詞を吐く。
なのはは赤くなってるし、母さんはあらあらーなんて言って笑っている。
こういうところが徹の良いところではあるんだが。
嘘をついているようには見えなかったから良しとしたい所だが、なにか本当の事も言っていないような気配がする。
追及しようとしたが玄関のチャイムが鳴ったので、出鼻をくじかれたようになってしまい言い出せなくなってしまった。
「たぶん忍だろ? 早く行こうぜ、学校に遅れたら面倒だし」
徹は、母さんとなのはに行ってきますと言って――なのはには頭も撫でて――家を出た。
仕方がない、どうせ徹のことだ、俺達に害があるようなことならすぐに言うだろう。
俺に言わないということは取り敢えず、今は言う必要のない事なのだろう。
それなら、俺が気にしたところでどうもならん。
俺も、母さんとなのはの二人に行ってきますと告げ、学校に向かった。
普段徹は徒歩通学だが、今日は俺たちに合わせて、学校が出しているバスに乗って通学した。
家から結構な距離があるのだが、徒歩ってどうやって学校に来ているのか。
教室に入ると、騒がしくしていた生徒が一様に静かになった。
徹は小さく舌打ちして、自分の席に着く。
一応明言しておくが、徹は決して嫌われているわけではない。
入学して早々に、忍にしつこく絡んできたやんちゃな先輩達を殴り飛ばしてしまったことが原因で、すこし距離を置かれているだけで、そこまで酷い印象を持たれているということではないのだ。
だが、入ってすぐの一年生が三年生達を一方的に殴りつけたのと、少し怖く見える顔と雰囲気のせいで、あまり近づく人がいないのもまた事実。
結局、徹の近くにいる人間は学校内では基本、俺と忍の二人しかいない。
たまに何かを話しに近付く物好きな生徒もいるが、それはごく少数派だ。
徹の事を格好いいと褒める生徒もいるのだが、こそこそと小さい声でそのやりとりをしてしまっているため、本人は悪口を言われているとしか思っていないようだ。
本日の授業の前半を消化し、今は昼休み。
窓際の後ろの端っこが徹、その前の席が俺なので、いつも忍を加えて三人で昼食を摂っている。
飲み物を忘れたので、自販機でお茶を買い教室に戻ると、なにやら二人は窓の外を見るようにして話し込んでいるようだった。
「はぁ、徹はほんと小さい子が好きね」
「その言い方だと深刻な勘違いをされかねないから、一刻も早く訂正してもらおうか。俺は子どもが好きなだけだ」
どうやら昨日、なのはを泊めた時の話をしていたらしい。
忍の発言に、教室に残っている生徒が少しざわつき、更に徹の言葉でざわめきが大きくなった。
教室の反応に興味がないのか聞こえてないのか、二人は話を続ける。
「それあまり意味変わってないじゃない。なんなの? 小さい子にしか興奮できないの?」
「それだと俺、変質者じゃねぇか。可及的速やかな撤回を求める。俺が言いたいのは小さい子って可愛いなってだけだ。性的に興奮するか、なんて話はしてねぇよ」
もう教室はパニック寸前なのだが、反応が面白いので見守ることにしよう。
二人は淡々と話すのに、周りが動揺している光景は見ていてすごく面白い。
「背が低かったら可愛いってこと? なら鷹島さんは? あの子、小さくて可愛いわよね」
「鷹島さんは可愛いな。背の低さもそうだがあの人、ちょっと前に校内で迷子になって涙目になっちゃってて、すごい可愛かった。もう高校に上がって二日も経ってるんだから、早く覚えなきゃ駄目だよって注意して、案内したこと憶えてるわ。俺超良い人じゃね?」
「高校全体の見取り図を、入学時点で記憶しているあんたと比べるのは酷な話よ」
急に自分の話になって、その上、恥ずかしいエピソードを暴露されてしまった鷹島綾音さん(身長おそらく150cm以下と推測される)は、弁当箱を持ったまま顔を真っ赤にして俯いてしまった。
このクラスのマスコットキャラになりつつある、鷹島さんの武勇伝が挟まれたことで教室内は少し和んだ。
徹は記憶力もそうだが、計算の速さにも目を見張るものがある。
つくづくそう感じたのは、バイトの説明の時だった。
翠屋でバイトを始めた当初にはレジ打ちも教えたのだが、幾つもある商品とその値段を一回見ただけで記憶し、会計ではレジを打たずに会計金額を出した。
俺が、レジで入力するよう指示を出すと、徹は事もあろうに″あっそうかレシート出さなきゃいけないんだ″と言ってレジを打った。
そのでかい機械はレシートを出すためだけの機械じゃない、と突っ込んでやりたかったが、お客さんの手前、できなかったのが今でも心残りなくらいだ。
当然のように会計は、最初に口にした金額で合っており、それは何回やっても変わらなかった。
持って来られた商品を見て、即座に暗算で値段を弾き出してお客さんがお金を用意している間に、レジをかたかたと打ち、代金を受け取りレシートとお釣りを渡す、という限りなく高効率で仕事をこなした。
だが、あいつがレジ打ちをしたのはその日が最初で最後だった。
顔が怖くて愛想がない(ように見える)ので、お客様が怖がってしまったのだ。
その事を説明した時の徹の顔が目に焼き付いてしまい、それから数日間は思い出すたび笑ってしまった。
少し話がずれてしまったが、それほどまでにあいつは見かけによらず優秀ということだ。
あの二人はどうやらまだ、鷹島さんの話を続けているようだ。
「以前、鷹島さんに数学を教えて欲しいって言われてさ。俺、高校に上がって頼まれたことなんてなかったから快く了承したわけよ」
「あんたにものを頼む人なんて、中学でも、なんなら小学校にもいた記憶がないわね。すごいわね鷹島さん、私ならできないわ」
「喧嘩売りたいんならそう言ってくれ、いつでも買うから。そんで、鷹島さんノート持っててこてこ歩いてきたんだけどさ、開いてみたら数学じゃねぇの。さすがの俺も驚いたぜ、連絡帳だったんだ。しかも、表紙みたらvol.10って書いてあった。たぶん一年に一冊って感じで使ってんだろうな。あの時の鷹島さん、顔真っ赤にしちゃって超可愛かったなぁ」
お前が口を開くたびに、お前の後ろにいる鷹島さんが現在進行形で顔真っ赤にしてるんだけどな。
お前ら2人は、窓の外を見てるせいで気付いてないだろうが。
それよりも鷹島さんの話しすぎだろう、どれだけお前ら鷹島さん大好きなんだ。
彼女の話になってから、教室の空気緩みっぱなしだぞ。
「なんでもメモするなんていいことじゃない。でも、高校生で連絡帳持ってて許されるのは彼女くらいね、すごく可愛らしくて好印象だわ。そういえば私も似たような話あったわね」
「そっちの話も聞かせろよ」
「前、自販機に飲み物買いに行ったのね。そしたら鷹島さんがいて、勉強教えてもらったお礼に奢りますって言うのよ」
「あぁ、結局お前に教えてもらったのか。俺の時は連絡帳持って走って帰っちまったから、どうしたのか心配だったんだ」
「いえ、私の時は確か古文だったと思うけれど。数学はどうしたんでしょうね」
「数学まさか放置しちゃったのかよ、また今度聞いてみるわ」
「えぇお願いね」
話が脱線しても、鷹島さんに傷が入る仕組みなのか。
もうそろそろやめてあげてくれないか、鷹島さん恥ずかしそうに縮こまってる。
「話戻すけど、彼女が奢るって言うから断るのも悪いなって思って私、それじゃあ紅茶をお願いねって頼んだのよ。それなら自販機の下の方にあったし、届くかなって思って」
「忍、そこまで考えて紅茶にしたのか、優しいな」
優しい人は、鷹島さんがこんなに小さくなってしまうまで、人の赤っ恥エピソードを話し続けたりはしない。
公開処刑みたいなものだろう。
「そこまでは良かったんだけど鷹島さん、こっち向いて喋りながらボタン押すものだから間違えちゃってね。でも彼女それに気付かないで、すごくいい笑顔で渡してくるものだから私も、ありがとうって言って受け取る他なかったわ」
「そら無理もねぇよな。俺だって、鷹島さんに笑顔で渡されたら熱湯だって飲んじまうわ。で、渡されたのは何だったんだ?」
「おでん缶」
「くふっ、な、なんでそんなもん置いてんだよこの学校っ。鷹島さんもなんで気付かないんだっ。注文と正反対過ぎるぞ」
「ありがたく全部頂いたわ」
もともと小柄な鷹島さんが小さく縮こまってしまったせいで、さらに小さく見える。
そのうちこのまま小さくなって、消えてなくなってしまうかもしれない。
そろそろ終わらせないと、と動いた時に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
鷹島さんは一命を取り留めたようだ。
「あれ? なんの話してたんだっけか」
元の話も大して中身のない話だったから、忘れたままで構わんだろうが。
「さぁ? 早く片付けましょ。それにしても恭也遅いわね、どこまで買いに行ってるのかしら。お昼休み終わっちゃったのに」
あ、俺が昼飯食うの忘れてた。
何が理由かわかりませんが無駄に長くなってしまいました。
一応戦うばかりではなくて、日常があって戦いもあるというのを表現したかったのにどうしてこうなったのでしょう。
主人公のクラスでマスコットキャラ化している鷹島綾音さんについて
背が低く、それに引っ張られているのか少々子供趣味。
天然さん。妹がいる。
ふわふわした人。
もしかしたら主人公の日常感を出したい時にはまた登場するかもしれません。
少なくとも次の話には出てきます。