そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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やっと本編に来れました。
先に話をどういう風に持って行くか考えていなかったらこんなことになるといういい例ですね。



2014/03/29 修正



魔法少女リリカルなのは 無印編 第一章
01


俺の家のリビングで、なのはがすがりつくように服をつかんで泣いていた。

 

「うぅっ、ひぅっ……ごめ、ごめんっなさいっ」

 

結果的に自分の部屋に連れ込んでいる状況だがやましいことはなにもない。

 

別に劣情のパトスがオーバーリミットしたわけでもない。

俺は決して小学生に欲情するような人間では……ない。

 

それよりも、ずっと謝りながら泣いてるなのはに心が痛んで仕方が無い。

 

今すぐにでも吐血できる自信がある。

 

「ごめんね、僕に力が無いせいで……。僕のせいで巻き込んでしまった……」

 

『申し訳ありません』

 

フェレットはフェレットで、なのはの肩の上で俺となのはに謝り続けているし、そういや何故か喋ってるし。

 

ってか赤い宝石も喋ってるし!

 

「だから何度も言ってんだろ、俺が一人でドジっただけだ。お前らはあの状態で、最適な行動を取った。よくやったと思う、これ以上はないくらいだ」

 

未だに泣き続けるなのはを、抱きかかえるようにして頭を撫でる。

 

ついでに、ひどく思いわずらっている様子のフェレットも引っ張り込む。

 

抱き寄せれなかった赤い宝石がぴかぴかと抗議してくるように瞬いているが、今は見えないふりをしておこう。

 

なのはは中々泣き止まないし、喋るフェレットもいろいろ抱えているものがあるのか、声を押し殺すようにして涙を流している。

 

仕方がない、二人が落ち着くまで少しこのままでいいか。

 

『どうしましょう、仲間外れにされている気がします』

 

空気台無しになるから、この宝石黙らせられないかな。

 

なんでこんな事になったのだろうか、少し思い返してみる。

 

幸か不幸か、時間はたくさんあるのだ。

 

 

 

 

 

「んにゃ……? にゃあ! と、徹お兄ちゃん! なんでっ、わっ、なななんなのこの状況!」

 

翠屋を出て少し歩くと、なのはが起きてしまった。

 

「あっ、歩くから! 降ろして!」

 

本人がそう言うので、仕方なくなのはを降ろすことにする。

 

あぁ、温もりが、柔らかな感触が逃げて行く……

 

「なのはが抱っこしてって言ったのにな、この甘えん坊さんめ」

 

「にゃあ! 言ってないもん! 知らないもん!」

 

まぁこいつ半分以上寝てただろうしな。

 

「わかったわかった、そうだな、寝てるなのはを俺が勝手に抱えて帰ってたんだった。忘れてたわ、ごめんな」

 

絶対わかってないーっと暴れるなのはの頭をぽんぽんと撫でる。

 

多少むくれているがおとなしくなった。

 

昔からなのははこうすると静かになるのだ、なのはに対する便利な技の一つである。

 

頬をふくらませながらそっぽを向いているなのはが、すすっ、と手を伸ばしてきた。

 

「手、繋いで」

 

こんな態度を取りながらも自分の要望を素直に口にできるなんて、ある意味尊敬します。

 

「はいはい、仰せのままに、お嬢様」

 

子供扱いに怒ったのか、少し顔を赤くしているが手を離そうとはしてこない。

 

本当にかーわいーなぁー。

 

「もう!それより今日ね、変わったことがあったの!」

 

この話では分が悪いと判断したのか、あからさまに無理のある話の変え方である。

 

それからはなのはは、まくしたてるように色々喋り始めた。

 

昨日見た不思議な夢や、学校であったこと、二人の親友の話や、学校から帰る時に怪我したフェレットを動物病院に届けたこと。

 

最初は戸惑いながら、次は楽しそうに、最後は心配そうに、表情をころころ変えながら俺に話してくれる。

 

こいつはほんと、見てるだけで面白可愛いなぁ。

 

ん、動物病院?

 

「その動物病院って愛さんのトコ?」

 

この辺りで動物病院というとそこくらいだったような。

 

俺の言葉になのはが首を傾げる。

 

「愛さん?どなた?」

 

「ほらこの近くの病院だ。槙原院長って言った方が分かりやすいか?」

 

説明すると、言葉の代わりに怪訝な表情で返事をしてきた。

 

「『愛さん』ね、随分親しいんだね」

 

あれすごく視線が冷たい、たしか君、今年で小学三年生だよね?

 

その年齢の女の子が出せる気迫じゃないぜ。

 

「前にあそこでちょっとの間、バイトしてた事あったからな、その時に仲良くなったんだよ」

 

なんで俺は、言い訳みたいなこと言ってるんだろう。

 

「そうなんだぁ、意外と徹お兄ちゃんって交友関係広いよね!」

 

意外とってなんだ、とは言えない。

 

他人に対する、自分の愛想の無さはよく理解しているつもりだ。

 

そんな他愛もないお喋りの最中だった、

 

『…れか……助……さい』

 

ノイズにまみれた音声のようなものが、頭に響いたのは。

 

「徹お兄ちゃん今の聞こえた?!助けてって!」

 

どうやらなのはにも聞こえたようだった。

 

だが俺は、何か言ってるのはわかるけどノイズの方が強く、何を言ってるかはわからなかった。

 

「動物病院の方だよ!早く行かないと!」

 

俺の手から離れて、なのはは走り出した。

 

『助けて』という要請から考えると物騒なことになるのは目に見えているというのに、なのはには一切迷いがない。

 

こうなってしまっては、今更止めようがない事を俺はうんざりするほど知っている。

 

高町家は全員、揃いも揃って善良な精神を持つと同時に頑固な面も併せ持つのだ。

 

仕方が無い、と諦める。

 

危なくなれば、俺が守ればいいだけだ。

 

 

 

動物病院の方に近づくに連れ、頭に届く音声も明瞭になってきた。

 

なのはは、距離があっても声が聞こえた上に、音声が送られてくるおおよその方向までわかるようだ。

 

その証拠に、進める歩みに淀みが無い。

 

この聞こえ方の違いはなんだろうとも思うが、今考えるべきことではないと切り捨てる。

 

今、頭を使うべき事柄は、≪なのはを守ること≫これだけだ。

 

呼吸を荒くしながらも、走り続けていたなのはの足が止まったので俺も止まる。

 

現場である動物病院とその付近は、もはや俺の記憶にある光景とは全く異なっていた。

 

瓦礫が散乱し、敷地の入り口にあったはずの金属製の門はへしゃげて転がっている。

 

なによりも記憶と違うのは、今現在も破壊を続けている黒の塊。

 

その黒の塊は、人間が腕を振るうように一心不乱に側部から生えている触手を何かに振るっている。

 

なんだよあの黒いの、生き物?

 

「助けなきゃ! あの子が死んじゃう!」

 

軽く思考停止に陥っていた俺を呼び起こしたのは、なのはの声だった。

 

全くもう、本当に全くもう、この子は今の異常事態を理解しているのだろうか。

 

自分の安全を二の次に、救助を優先したなのはと自分を比べると、少し情けない感情が心に溢れてくるがそれを反省するのは後回し。

 

今は自分のやるべき事を考えろ。

 

数少ない俺の誇れる長所である、頭の回転の速さを存分に駆使しながらこの非日常的な状況で何をすべきか、多角的に考えていく。

 

あの黒いのが執拗に追ってるのは、さっきちらっと話に出たなのは(とその親友たち)が、学校の帰りに助けたという動物なのだろう。

 

どうせなのはのことだ、あの小動物を助けるまでこの場から退こうなどとは微塵も考えないだろう。

 

よし、まずはなのはがあのちっこいのを助けるまで時間を稼ぐ。

 

なら俺は、なのはの方へ黒い塊が向かわないようにすればいいだけだ。

 

黒いのの注意を俺へ向けておくだけでいい、それだけの……簡単な話だ。

 

「俺があの黒いのの注意を引きつけるから、なのは。お前はぴょんこぴょんこ跳ねながら逃げているあの小動物連れて下がってろ」

 

ここで逃げろとは言わないのがミソだ。

 

どうせ俺を見捨てて逃げられない、とか言い出すのはわかり切っている。

 

なのはがこっちを見る。

 

大変見目麗しいお顔を驚愕に染めているが、俺を信頼してくれたのだろう。

 

「徹お兄ちゃんありがとう! 気を付けてね、怪我しちゃダメだよ!」

 

心配されてしまってはもう後には引き下がれない、もとよりなのはが関係している以上、引き下がる気などないが。

 

ちなみに、なのはなどの身近な人間が関係していなかったら、一も二もなく逃走のコマンドを選択している。

 

束の間の現実逃避をやめて、現場を改めて見る。

 

小動物は疲れてきたのか動きが鈍っている。

 

もうあまり猶予は残ってなさそうだ。

 

両手で太ももを叩いて覚悟を決めて、一気に走り出す。

 

近くにあった瓦礫を思い切り蹴り飛ばして、小動物を狙っていた触手に当てる。

 

ある程度の衝撃はあったのか、触手の照準がズレて小動物のすぐ横に突き刺さった。

 

そこでやっと黒い塊の注意が俺に向いた。

 

ぐるり、と振り向く黒い塊の正面側には、赤々と細く伸びる目が光っていた。

 

怖い、超怖い。

 

威圧感に押しつぶされそうだ、心が逃げてしまえと揺らめく、足が震える、呼吸が荒く浅くなる、ちゃんとまっすぐ立てているかもわからない。

 

俺が、今まで感じたことがない恐怖に飲み込まれそうな時だった。

 

視界に、俺の方向を向く黒い化け物の後ろで、小動物を抱きかかえるように助けたなのはが映った。

 

よく見ていなかったから気付かなかったが、赤い宝石のようなものを首にかけているフェレットっぽい小動物だった。

 

それを胸に抱きよせながら、なのはが心配そうにこちらを見ている。

 

その姿を見ただけで、心は重心を取り戻し、足に力が戻り、一回深く深呼吸をしただけで呼吸は常態に復し、身体に一本芯が通る。

 

心なし、胸の奥から力が湧いてくるような気までする。

 

守らなきゃいけないものがあるんだ、しっかりしろ、俺。

 

情けない自分を覆い隠しながら格好付けて、早く行けと、なのはに手で合図する。

 

大丈夫だ、俺はまだ……強がれる。

 

見栄でも空元気でもなんでもいい、なのはを安全な場所まで逃がせることができるなら、自分に嘘くらいいくらだってついてやる。

 

黒い化け物はこっちを見たままで、なのはの存在には気付いていない。

 

後はなのはが、この場から遠ざかる時間を稼ぐだけだ。

 

黒い化け物が動く、その巨体からは予想できない程の俊敏さで触手を振るってきた。

 

その触手をギリギリのところでしゃがんで躱し、懐に入り込みその胴体のど真ん中、人間でいえばちょうど鳩尾のあたりか、そこに力一杯蹴りをぶち込んだ。

 

化け物が仰け反る間に、カウンターを警戒して下がる。

 

数瞬前まで俺がいた空間に触手が突き刺さった。

 

微かに空いた間で、先ほどの応酬で分かった良い事と悪い事について考える。

 

良い事は、あの化け物も一応、普通の生き物のように身体を動かすということ、さっきの右の触手を振り払う時も重心を、僅かにだが動かすような挙動をとっていた。

 

これならばある程度なら、攻撃のタイミングが分かるし躱すことも不可能ではない。

 

悪い点は、あの化け物が見た目以上に硬かったこと。

 

俺の掛け値なしの、本気の蹴りを仰け反るだけで、すぐに攻撃を返してきたことだ。

 

いつもより力が込められているという自負もあったにもかかわらず、だ。

 

大型犬くらいなら、一撃で気を失うくらいの威力はあったと思うんだけどなぁ。

 

くそっ、なのはを見て一時的に心が落ち着きを取り戻したが、やはりまだ、怖い。

 

幼い頃に習っていた武道の心得を頼りに、なんとか立ち回っているが、そんなもの、一つ間違えれば命を落とす綱渡りだ。

 

基本は一応修めたが、家族に不幸があったため途中でやめ、それからは習い直す時間も余裕もなかったので中途半端なままだ。

 

親友の恭也が、剣道を(流派はなんだったか忘れたが)父親である士郎さんから習っていることを知り、負けじと俺も空いた時間にトレーニングくらいはしているが、本気の戦闘を考えていた訳ではない。

 

結局のところ俺は、並みの高校生より少し動ける程度の人間でしかないのだ。

 

だが弱音を吐いても仕方がない。

 

目の前のこいつに、ただの高校生なんで許してください! 、と言っても許してはくれないだろうから。

 

なのはの姿ももう見えないし、今すぐにでも逃げ出したいところだが、さっきの俊敏性を鑑みて逃げてもすぐに追いつかれるだろう。

 

なら答えは一つ。

 

「相手を弱めて、それから逃げる!」

 

こんな化け物相手に勝てるなんて端から微塵も思っていない。

 

でも弱めるくらいは、もしかしたらできるかもしれない。

 

それしか生き残る術が無いのなら、その選択を迷わず取る。

 

今はリスクなんて考えない!

 

次は、俺から行動(アクション)を起こす。

 

俺が一歩踏み出した瞬間、化け物の身体の両側から俺を串刺しにしようと触手が飛び出てきた。

 

その反応速度に舌を巻きつつ、両触手の間を右肩を前に出す形で、身体を縦にして躱す。

 

思い出せ、俺の出来のいい脳みそなら憶えているだろう。

 

道場で習ったこと、武道の基本は見ることだ。

 

相手の動きをいち早く察知して、何をしてくるか予想しろ!

 

今までにないくらい思考をフル回転させながら考え続ける。

 

相手の動き、周囲の条件、使えそうな障害物、俺の動きを妨げるもの、自分の退路の確保も常にしておく。

 

躱した勢いのまま、右の拳で殴りつけようとしたが、化け物の真ん中あたりから新たな触手が生み出されようとしたのが見え、慌てて身体を反らす。

 

腹部を掠めたがなんとか避けることに成功する、が無理に身体を動かした為体勢が崩れた。

 

このような明確な隙を逃してくれるほど甘い相手ではないようだ。

 

化け物が伸ばしていた触手を引き戻し、こちらに向けてきた。

 

相次いで放たれる触手の槍を、無様に地べたを転がりながら紙一重で避ける。

 

避けるといっても直撃を避けているというだけで少しずつ、しかし確実に体力は削られている。

 

もはやこいつを弱めることが出来たとしても、逃げきるだけの体力は残ってはいない。

 

もう少しなんとかなるかと思っていたが、考えていた以上になんともならねぇ。

 

黒い化け物の一挙手一投足を逃さぬよう、視線を逸らさぬまま、なのはの事を考える。

 

ちゃんと遠くまで逃げたかなぁ、俺を心配して戻ってこなけりゃいいけど。

 

はぁ、笑えてくる。

 

あれだけなのはに見栄を張っておいて、どんだけ弱気になってんだよ。

 

死ぬその瞬間まで、生き続ける努力をする。

 

これで俺が死んじまったらそれこそなのはが悲しむだろうし、自分のせいだと思い詰めることになる。

 

なんとかするんだ。

 

思考停止を起こすな、考え続けろ。

 

息を吸って、長く吐く。

 

胸の奥から力が湧いてくる。

 

頭の回転率を上げろ、腕や脚に力を込めろ、覚悟を決めたら特攻あるのみ!

 

さっきよりクリアになった気がする視界で、相手を見据える。

 

右から迫り来る触手の側面を、右拳で弾く。

 

腕に、肩に、上半身全体に、衝撃が襲いかかるが、膝をクッション代りに使って可能な限り受け流す。

 

身体が軋むが歯を食いしばって我慢!

 

右の触手を弾いたことで、空間ができた化け物の右側に身体を押し込む。

 

ショートレンジだが身体全体を捻り、その力を右の拳に乗せて放つ。

 

さっき蹴り飛ばした時と比べると化け物の表面、皮膚とでも言うべきか、それが柔く感じる。

 

死の淵に立って、俺の感覚がおかしくなりはじめているのだろうか。

 

くの字に歪んだ化け物に右の膝を追加する。

 

3mほど化け物が吹き飛んだ。

 

効いている……相手の動きも目が慣れてきたのか、わりかし見えるようになってきた。

 

何とかなるかも、なんて希望を持った時だった。

 

頭上から二つ何かが降ってきた。

 

咄嗟に後ろに下がるが、刹那の差で間に合わなかった。

 

あらたに二体、似たような化け物が現れ落下しながら触手を伸ばしてきた。

 

避けきれずに、左肩と右脚の大腿部に浅いとは言い難い傷を負った。

 

左肩はまだいい、問題は脚をやられたことだ。

 

一体だけでも死に物狂いだというのに、それが二体も増えて、あまつさえ脚を負傷し、頼みの綱で最大の武器である機動力が大幅に失われた。

 

確実に先程までの動きは出来ないし、受けた傷から流れる出血も無視できない。

 

三体は囲むように、俺の退路を防ぐように、じわりじわりと距離を詰める。

 

後ずさりしながら下がっていたが、とうとう壁に追い詰められた。

 

はぁ、ここまでかなぁ、いや自分でもよくやった方だと褒めたいぜ。

 

一撃受けたらそれで終了、ゲームオーバーだってのに幼少期に少しかじった程度の武芸で、数分位か? はっきりとした時間はわからないが、ここまで長引かせる事ができたんだから。

 

壁に背をつき、ここまで追い詰められた状態でも、どうにかならないか突破口はないかと考えるが、残念ながら手詰まりのようだ。

 

高速回転を続ける頭脳により、13通りの逃げ道が候補に上げられたが同時に却下される。

 

どれも脚を怪我した状態では現実味に欠ける。

 

一番生存率の高そうなのが、俺の背後の壁を破壊して逃げるというものなのだから、どれほど追い詰められているのかが伺える。

 

そんなもん壊すことがまず困難だし、壊したその瞬間に化け物共の槍のような触手で串刺しだ。

 

はぁ、とため息をついて目を閉じて、一番最初に思い浮かぶのは茶色の髪を二つに結った女の子のこと。

 

「ごめんな」

 

口をついて出たのは謝罪の言葉。

 

本人(なのは)に言えないのが心残りだが、それもやむなしだ。

 

いろいろ思う所はあるが、意外と後悔はしていない自分に、自分で驚いた。

 

目を閉じた暗闇の中、身体を突き刺す痛みが来ると覚悟していたのだが、俺に届いたのは、瞼を通して眼球に突き刺さるような光だった。

 

それは痛いほど眩しくも、どこか優しく暖かい桜色の光。

 

何事かと思い、眩さに耐え目をこじ開けると、俺を取り囲んでいた三体の化け物が消え失せていた。

 

代わりに化け物どもがいた位置に、三つの青っぽい宝石のようなものが浮かんでいる。

 

この急展開にどうしたもんかと立ち尽くしていると、上空から人が降ってきた。

 

空から人って頭の悪い感想だなー、なんて自分に突っ込んでいる間に化け物を退治したと思しき人が、俺の前に着地した。

 

「徹お兄ちゃん! い、生きてる?! 大丈夫?! ごめんなさい私のせいで……こんなに、傷だらけに……ごめ、ん、なさぃ……」

 

というか、なのはだった。

 

いつのまにか服まで変わってるし、近未来的な杖っぽいの持ってるし、あ、フェレットは肩に乗ってた。

 

お前も無事だったのか、よかった。

 

主張するように、なのはが持ってる杖についている赤い宝石が輝いたように見えたのは、きっと気のせい。

 

俺を見たなのはの台詞は、どんどんしりすぼみに力が無くなっていく、ていうか泣きそう、どうしよう。

 

なのはの肩に乗ってるフェレットも、あたふたして頼りにならない。

 

どうしようもないので、比較的綺麗な左手でなのはの頭を撫でる。

 

「お前が無事で良かった。それとありがとう、助かったぜ」

 

俺の行動がトリガーになったのか、なのはが大泣きしてしまった。

 

このまま、なのはを泣かしている状態をお巡りさんにでも見つかっては、逮捕待った無しである。

 

瓦礫も散乱したままだし、これでは俺が容疑者筆頭だ。

 

 もうここには用はないのだからすぐ離れよう、この年で前科一犯とかいやだ。

 

それにみっともなく転げまわるように逃げていた為、服もぼろぼろだし怪我したところから血も流れている。

 

こんな格好で高町家には行けないので、服を着替えるためにもここから近くにある俺の家へ向かうことにした。

 

この二人にも聞くことがいっぱいあるからな。

 

 

 

そうだった、こんな経緯で冒頭になるのだった。

 




いまいちキャラを掴めておらず勢い任せな所があります。
その辺りは読者様方の優秀な脳内変換をご活用ください。
ちなみに本作では、
なのはさんちょっと情緒不安定、
レイハさんちょっとお茶目、
などいろいろおかしな点がありますがそこは慣れて頂く他ありません。
ご了承ください。
ちなみにデバイスの音声は英語にするのが手間という問題が噴出しましたので普通に日本語になりました。



なぜだかこんなに長くなってしまった…
もっと短い時間で早く書けるようになれないもんかね


2014/03/29 修正
主人公がなぜ戦えるのかを取ってつけたかのように作中にて追加説明をいれました。
自分の文章力の無さに情けなくて泣きたくなってきた。
もっと自然に物語を進めれるように日々精進します。

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