そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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 海鳴自然公園。

 

ここではボートに乗って湖に出たり綺麗に整備さえた林道を遊歩したり、とよくデートコースに選ばれる場所である。

 

ユーノによれば、周りは木が鬱蒼としているとのことだったので自然公園の奥のほうだろう。

 

 念話で情報交換しながら俺にできることを纏めておこう、現場に着いたらすぐ動けるようにな。

 

まず俺が使える魔法、これは今のところ三つしかない。

 

一つ目は昨日の夜、晩飯を作っている時にユーノが教えてくれた防御の為の魔法。

 

いくつか種類があるようだが、俺が昨日使ったのは平らな障壁を前方に張るというもの。

 

これの適性も中途半端なので、実戦に耐えるほどの強度があるかどうかは実際に使ってみなければわからない。

 

二つ目は現在進行形で使っている念話で、通信用の魔法なので戦闘においては直接的な効果は見込めない。

 

三つ目は今朝、なのはを高町家へ送っている時に教えてもらった『ちゃんとした』魔力付与の魔法。

 

これは自分の身体や得物に魔力を流し込んで強化するというもので、近接戦闘用の身体強化魔法と捉えてしまっても問題はないだろう。

 

なぜこれを教えられたかというと、これが一番適性が高く『今は他を均等に伸ばすよりも一つでも得意な事を作ることを優先した方がいいだろう』という結論に二人ともが至ったから、というのが理由の一つ。

 

もう一つ理由は、俺が思念体と戦ったときに使った身体強化は無意識に使っていた為、どういう理屈で発動しているのかわからず不安だったからだ。

 

 三つの魔法しか知らない今の状態で戦闘を行うとなると、基本は魔力付与による身体強化状態をベースにして、防御の障壁を張りつつ近付いて殴るというかんじになるだろう。

 

野蛮な戦い方だなぁ……

 

 目的地の周辺に到着したのだが……詳しい場所がわからない。

 

ユーノに愚痴にも似た念話を送りそうになったが、その必要はなくなった。

 

大きな衝撃と地響きが俺の元へと届いたからだ。

 

その発信元を辿れば、いた。

 

 凶悪な顔に大きな牙、よく発達した筋肉が皮膚の下に隆々と見える、四つの足には鋭い爪が生えている。

 

あれ? 子猫っていう話だったような気がするんだけど。

 

こんなに立派に大きくなって……お前の願いは大きくなることだったのか?

 

 大きな子猫の周囲をなのはが飛んで射撃やら砲撃やら行っている、戦闘はすでに始まっていた。

 

なのはが注意を引きながら距離を取ったのだろう、今はあの大きな子猫から少し離れたところに例の飼い主である少女が倒れている。

 

 なのはがこちらに気付いたようなので指示を飛ばす。

 

「なのは、もうしばらくそいつ頼むわ。俺は倒れてる飼い主の子を安全な場所に寝かしてくる」

 

「あんまり遅いと徹お兄ちゃんが帰ってくる頃には終わっちゃってるかもだからねっ!」

 

なのはは調子の良いことを言いながら了承してくれた。

 

 大きな子猫、略して大猫の動きを警戒しながら少女へ近付いて抱きかかえる。

 

よかった、特にけがはしていないようだ。

 

大方、飼っている子猫を探している時にジュエルシードで大きくなった猫を見てびっくりして気絶、とかそんな流れだろう。

 

俺の記憶通りならここからちょっと行った所にベンチがあったはずだ、そこに寝かして置けば安全だろう。

 

「んぅ……なに、だれ……?」

 

 やべ、これは考えていなかった。

 

ここで起きて暴れられでもしてしまうと、なのはの援護に向かうのが遅れるだけでなくこの子も危険に晒すことになる。

 

きぃん、と頭の回転率を上げてどう言いくるめようかと答えを探す。

 

「彩葉ちゃん、だよね? 俺は君のお姉ちゃんの友達なんだ。俺が君のお家の猫を探してくるから君はもう少し休んでて」

 

 なるべく優しい声で喋るように心掛ける。

 

自分の名前を知っているのと自分の姉の友達ということが安心できる材料になったのか、小さく『うん』と答えるとまた眠りについた。

 

よかった、なんとかなった。

 

彩葉ちゃんをベンチに寝かせて、身体が冷えると大変なので俺が着ていた上着を掛けておく。

 

 失礼とは思いつつ、寝ている彩葉ちゃんの顔を覗きこむ。

 

姉妹とはいえ顔のつくりとかパーツ似過ぎだろう。

 

鷹島さんが小さくなっちゃったんですとか言われたら信じそうなレベル。

 

 可愛い女の子の寝顔は名残惜しいが、踵を返すように戦場へ戻る。

 

あそこにはなのはがまだ一人残って戦っているんだからな。

 

 魔力付与を足にまわして駆けると、木々が恐ろしい程の速度で俺の横を流れていくが気にせず走る。

 

今さらこの程度で怯む俺ではない。

 

魔法も使って全力疾走したのですぐに現場に着いたのだが、どうしよう……俺の出番なんてないかもしれない。

 

 なのはは一人で――とは言っても一応ユーノの助言やフォローもありながらだが――大猫を追い詰めていた。

 

大猫を見下ろすように空中を浮遊している。

 

なんかSっぽい空気が出てない? なのはさん大丈夫?

 

 大猫の自慢だっただろう牙は片方折れているし、身体には浅くはない傷がついている。

 

爪もなのはの障壁に阻まれたのかボロボロになっている。

 

 俺いらねぇじゃん……と落ち込んでいたが、ちらりとなのはの背後に光が見えた瞬間、俺の身体は考えるより先に動いた。

 

「えっなにっ?」

 

 驚いた様子を見せるが俺には言葉を返す余裕はなく、地面を蹴って跳躍しなのはの背後に迫り来る魔法弾を障壁を張って防いだ。

 

だが俺の張った障壁は一発目を弾き、二発目で罅が入り、三発目で砕けた。

 

脆い、脆すぎるぜ俺の防御魔法っ!

 

まさか遠距離から放たれた射撃魔法三発で綺麗に四散するとは……使い物にならんな。

 

 どうやら射撃魔法は五発あったようで、残りの二発のうち一発は照準がずれたのか逸れていったがもう一発は俺の障壁の残滓を掻き分けながら俺の脇腹に突き刺さった。

 

飛行魔法を使えない俺は空中で踏ん張ることもできず、射撃魔法の勢いに押されてなのはの横を通り過ぎるように落ちた。

 

 俺、かっこわるいなぁ。

 

真っ青な空を背景にしているなのはを見上げ、心の底から情けない気持ちになる。

 

地を這う虫は、優雅に空をはばたく鳥をこんな心境で見ているのかな。

 

「徹お兄ちゃんっ!」

 

「ダメだなのは! 油断しないで!」

 

 俺を心配し、寄ってこようとするなのはをユーノが窘める。

 

そうだ、それが正しい。

 

襲撃を受けたのだ、ここから追撃される恐れがある。

 

大猫も傷付いているとはいえ封印はまだされていない、動ける状態なのだから。

 

 それよりも、だ。

 

さっきの射撃魔法はジュエルシードを封印しようとしていたなのはを狙っていたのだから、それはつまり。

 

「なのは、第三者の介入が入った。俺がその未確認の相手をするから、お前はさっさとその猫のジュエルシードを封印しろ」

 

「そんな……徹お兄ちゃんケガしてるのに……わ、私がどっちも倒すからっ」

 

「いや、今のなのはじゃどちらも相手するのは不可能だ。未確認の敵は徹兄さんに任せてなのはは早くジュエルシードの封印を!」

 

 ユーノは今のこの状況をよく理解している。

 

俺が使える魔法ではジュエルシードを封印することはできない。

 

なら俺が大猫の相手をするのは時間の無駄にしかならない。

 

先ほどの射撃魔法の質や威力をかんがみて、未確認相手に俺が勝てる可能性はほぼゼロだろうが時間稼ぎに集中すれば、俺の力でもなのはが封印する位の時間は作れるだろう。

 

ジュエルシードを封印し、なのはが合流すれば勝てる見込みもあるかもしれない。

 

とまぁこういう、穴だらけの計算なわけだ。

 

突発的な非常時に私情を挟まない判断ができるのは冷静に状況判断が出来ている証だ、ユーノはやはり優秀だな。

 

「ユーノの言ったとおりだ。心配すんな、お前が速攻で大猫のジュエルシードを封印したらいいだけなんだからな。最悪、第三者とは戦う必要もないんだぜ」

 

なのはが空にいて、俺は地上にいるため見上げる形になっている。

 

これが実力の差を表しているようで、心に暗い感情が顔をのぞかせた。

 

心の裡を悟られぬように笑顔をつくる、引きつってなければいいけど。

 

「俺は俺に出来ることをするだけだ。だからなのは、お前はお前にしか(・・)出来ないことをしろ」

 

 なのはは少し口を開けて何かを言おうとしたようだが、結局何も口に出すことはないまま力強く頷いた。

 

言いたいことがなくはない様子だが俺の意を尊重してくれたのだろう。

 

「よし、じゃあ反撃だ。ユーノはなのはについていてくれ、フォローを頼む。レイハ、二人を頼んだぞ」

 

「ん……わ、わかりました」

 

『誰に向かって言っているのですか、任せてください。そちらも決して油断しないように』

 

 ユーノはすこし躊躇したようだが是としてくれた。

 

どうせ俺の身を案じているのだろう、ユーノは心配性だからな。

 

レイハはいつものように不遜な態度を取りながらも、こちらを心配してくれた。

 

いつもこのくらいの物腰なら俺のガラスのハートも傷付かずに済むのだが。

 

「ユーノ、なのはを任せる。レイハぁ、いつだって俺には油断できるほどの余裕なんてねぇんだよ。じゃ、そういうことだ。頑張れよなのは」

 

 重たくなる空気を軽い言葉で取っ払い、おのおの自分のすべきことを成すため動く。

 

なのは達は大猫に、俺は突然現れた乱入者に。

 

さぁて、せいぜい頑張りますか。

 

 

 

 

 魔力付与を全身に行き渡らせ木を蹴りあがってそのてっぺんに立ち、闖入者の姿を捉えた。

 

わお、思った以上に若い子でした。

 

どのくらいだろう、だいたいなのはと同い年くらいかちょっと上か?

 

年下の子ほど俺より優秀という事実、泣きたくなるぜ。

 

整った顔立ちで金髪のツインテールのロリっ子とか、キャラ詰めすぎだろ。

 

可愛いんだけど、でもなんだろう……なんか、な。

 

その子の服装は……どう言えばいいのか。

 

黒のスク水にベルトで前が開いているスカートを取り付けて、その上から裏地が赤のマントを羽織っている、そんな感じの衣装(バリアジャケット)

 

目の毒だな。

 

その華奢そうな手には、冷たい敵意を感じる、斧のような黒いデバイス。

 

「君がさっきの射撃魔法を使ったってことでいいんだよな」

 

「気付かれる前に堕としたかったけど、仕方ない。バルディッシュ」

 

 言い終わると同時にその手に携えた斧のデバイスが形を変え、金色じみた魔力刃を長く伸ばして死神の鎌のような形状になった。

 

 会話が成立していませんな。

 

だが俺の最優先事項は時間を稼ぐことなので、望みは薄くとも話しかけ続ける。

 

「問答無用で攻撃したことは気にしていない。一番良い勝ち方は戦う前に勝つ、だからな。でもこうやって姿を現したのならもういいんじゃねぇの? 説明くらいしてくれたってさ」

 

 かすかに俯きしばしの間、沈思黙考し顔を上げた。

 

「ジュエルシードが必要、ただ……それだけ」

 

 なんか事情があるんだろうな、こんな小さいのにこんなことしてんだから。

 

でもこちらとしても退くわけにはいかない。

 

「それだけじゃなんもわからねぇよ、ひとまず下りてゆっくり話そう。俺たちにもなにか出来ることがあるかもしれねぇから」

 

 それとなく武器を収めて話し合いに持ち込もうとするがたぶん無理だろうな、この子の目を見れば分かっちまう。

 

すべてを失ってでもやり遂げなければいけないことがある、そういう決意を秘めた瞳。

 

「話し合いに……意味はないから」

 

 だよね、分かってましたよ。

 

その言葉を皮切りに、俺と謎の少女との本格的な戦闘が始まった。

 

まったく、俺の知ってるちびっ子は全員なにか抱えてんなぁ。

 

「ケガさせちまったらごめんな!」

 

 飛行魔法による急加速で俺の目前まで接近してきた彼女は、鎌の形を成した魔力刃で袈裟切りに斬りつけてきた。

 

なので俺は木のてっぺんを蹴り、恐怖を飲み込み、鎌の攻撃範囲のさらに内側に入り柄の部分を握りこむ。

 

そして相手の動きに合わせて後ろに倒れこみ、地面に叩きつけるつもりで思いっきり投げた。

 

 少女は飛行魔法を使い、地面に激突しないよう勢いを殺すがさすがに落下エネルギーも加えた勢いを殺しきれなかったのか、軟着陸するもたたらを踏んだ。

 

地面に大きな穴をあけるくらいの気持ちで投げたのだけれどこの程度とは。

 

 俺の攻撃手段に遠距離も中距離もない、あるのは両の拳が届く程の超近距離しかないのだから突っ込んでいく。

 

もともと、さっきの無茶な行動は地に足を着かせるためだ。

 

少しでも隙ができたのなら重畳、この流れを掴まなければ時間稼ぎすらできなくなってしまう。

 

 木を蹴り少女の元まで勢い良く落ちて、その落下エネルギーを乗せた飛び蹴りを叩き込む。

 

しっかりと直撃した感触があった、硬い感触が。

 

「この、無茶苦茶な人っ」

 

 俺の乾坤一擲の流星キックは二枚の障壁に阻まれ、少女まで届かなかった。

 

あのタイミングで障壁を張ったのかよ、判断も発動も早いな……

 

一枚目の障壁は蹴り砕いたが二枚目はひびが入る程度だった。

 

当然ながら身体強化の魔法は使っているが、少女の障壁と俺のにわか仕込みの魔力付与じゃそもそも練度が違う。

 

「フォトンランサー!」

 

『お任せください』

 

 少女は障壁を張りつつ射撃魔法を展開した。

 

全然喋らねぇからただの武器かと思ったが、あれもレイハと同じようなインテリジェントデバイスなのだろう。

 

 障壁を足場にすることで後ろへ宙返りし、放たれた魔力弾を回避する。

 

あの子は自分の周囲に魔力弾を連射する砲台のようなものを置いておけるのか、厄介だな。

 

距離を取ると不利になる。

 

ならば多少の被弾は覚悟して、障壁を展開しつつ接近する!

 

もう少し障壁の色を透明に近付けることができれば不意打ちにも使えるかもしれないが……今の俺では戦闘中、咄嗟には構築が間に合わず半透明くらいにしかならないのが悔しいけどそれを反省するのは後だ。

 

 俺が障壁を張りつつ近づいてきたのを見て少女が動いた。

 

発射体を増やして弾幕の密度を上げたのだ。

 

恐らくこう考えているのだろう。

 

「さっき数発受けただけで砕けたのだから弾幕で押し切れる、そんなところだろ?」

 

 少女はここで初めてクールな表情が崩れた。

 

なんだよ、そんな顔も出来んじゃねぇか。

 

「人間は常に進化し続けんだよ、その情報(データ)はもう古い!」

 

少女が放つ魔力弾、それをもう五発は受けたがまだ俺の障壁は破られない。

 

「障壁がさっきのより小さい……? まさか……っ」

 

 この子冷静な上に賢いな、頭の回転も早い。

 

この年でこれ程までに動けるんだから怖いなぁ。

 

「あぁ、だいたい君の想像通りだ。防御魔法の術式をいじった。表面積を減らして密度を上げたんだ、魔力の弾丸の射線上に障壁を合わせるのには気を使うけどな」

 

「そんなことっ……いつの間に……」

 

 俺は知らないことがあったらすぐに調べたくなる性分だ。

 

同じように、問題が発生したらすぐにそれを解決したくなる。

 

「君に障壁を破られた時から構築し直してた。間に合うかどうかはぎりぎりだったけど、なんとかなったぜ」

 

 あの時からずっと思考を回転させ続け――ユーノ曰く、俺がやってるように同時にさまざまな作業を行うことをマルチタスクと呼ぶらしい――喋りながら、戦いながら防御魔法の再演算と再構築を行っていたのだ。

 

いじれるところがありそうだなぁとは思っていたけど、まさか戦闘中にやることになるとは思っていなかった。

 

 少女が放つ魔法弾の連射を躱せるものは躱し、直撃するものは障壁で防ぎ、身体の末端部分に当たる程度のものなら我慢して突き進む。

 

もう拳が届く、この距離は俺の距離だ。

 

右の拳を振るう。

 

弾丸の雨を突き進んでつけた慣性と、全身の筋肉を駆使した捻転力と、残りの魔力のほぼすべてを注ぎ込んだ魔力付与、全部乗っけた拳を振るう。

 

「これが俺の全力だ! 持ってけぇ!」

 

 正真正銘、今俺が出せる力全てを使った一撃は、少女が慌てて張った三重の障壁を食い破った。

 

だがそこまでだった、障壁を破るのに掛かった一秒の十分の一程の時間。

 

その刹那で反撃されたのだ、そしてそれは少女自身が行ったものではない。

 

少女のバルディッシュとかいうデバイスが独断で、周囲に漂わせてあった魔法弾の発射体を暴走、爆発させたのだ。

 

当然少女にも爆発の影響はあるはずだが、俺の一撃と比較した時どちらのダメージが大きいかは明白だった。

 

それに加えて、薄いとはいえバリアジャケットを着用している少女とそうでない俺とは、爆発の影響が大きく異なっていた。

 

 まぁいろいろ言い訳を取り繕ったが、有り体に言って負けた。

 

少女は咄嗟の機転もしくは勘で、空中に逃げることにより爆発の衝撃のほとんどを流したようだ。

 

身体の中はわからないが、見る限りではバリアジャケットの一部を焦がした程度か。

 

 かたや、宙に浮かび多少ダメージはあったようだがまだまだ十分戦える少女。

 

かたや、直撃は避けていたとはいえ魔法弾を身体中に浴びた上に至近距離で爆発を受けた俺。

 

もはや勝負はついていた。

 

 今にも折れそうな膝を叩いて気合を入れなければ、身体が痺れて満足に立ってさえもいられない。

 

ふいに乾いた笑いがこぼれた、ほんと今日はいいとこねぇなぁ俺。

 

「逢坂徹だ。今度会う時はもう少しお喋りできるといいんだけどな」

 

「フェイト……フェイト・テスタロッサ……です」

 

 俺が自己紹介すると少女、フェイトも名前を教えてくれた。

 

「フェイトか…良い名前だな。今回はフェイトに勝ちを譲るが次は勝つからな、首洗って待っとけよ。バルディッシュ、だったか?お前もだ」

 

「ふふ、うん。楽しみにしてる」

 

『はい、了解しました』

 

 小さく笑う彼女はすごく輝いていた。

 

最初見た時の寂しそうな瞳は、少なくともこの瞬間だけはしていなかった。

 

俺から視線を外して地面を蹴り、宙を舞うように上昇していく。

 

バルディッシュがさようならと挨拶するように光を点滅させ、一人と一つは彼方へと飛んでいった。

 

方角からしてなのはのところだろう、ジュエルシードのこと忘れてなかったんだな。

 

「ユーノ、聞こえるか? 負けたわ、奴さんそっち行ったから」

 

ユーノへ一言念話を送り、木を背にしてしゃがみこみ俯く。

 

自分の力のなさや不甲斐なさにこれ以上、耐えられなかった。

 




もっといろいろ書きたかったしやりたかったこともあったのに表現出来ませんでした。
自分の語彙力の無さにうんざりする日々です。

主人公の障壁ですが魔力を行き届かせなければちゃんと透明にならないということにしました。

え、主人公は当然負けますよ?実力も才能も経験すら劣っているのに勢いだけで勝てるほど甘くはできていません。



次の更新は四月七日くらいを考えています。遅くなってしまい申し訳ありません。

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