【黒子のバスケ】に転生しただけの簡単な二次創作です   作:騎士貴紫綺子規

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 時間がかかってしまい申し訳ありません。口調難しいなあ……。


番外編 彼に対する気持ちとは2

  【緑の驚嘆】

 

 ……灰崎について、だと? そうだな、正直驚いたのだよ。中学時代から不真面目ではあったが、まさかバスケを止めるとはな。

 

 俺がアイツを意識したのは入学式の次の日だったな。入学してまだ間もないというのも当然あったが……正直なところ、オレは自分の頭の良さを自覚している。……なっ! 自惚れではない! オレは人事を尽くしているのだ。当然だろう! ……まあ、小学校では一番を譲ったことはなかったな。だがオレが帝光中学に入学した時だな、自分より上の存在にあったのは。そう、入学テストでオレを抜いて新入生代表の挨拶をした――赤司征十郎という存在を認識した、翌日だ。

 

 

 

「…………zzz」

「……何なのだよ」

 

 人事を尽くすオレは毎朝S(ショート)H(ホーム)R(ルーム)が始まる三十分以上前には教室に入る。これは小学校から変わらない習慣の一つだ。いつも通りオレが教室に入ると、そこにはすでに先客――本来ならば同じクラスの生徒なのだからこういう表現は相応しくないのだろうが――がいた。そういえば一人休んでいたなと昨日を思い出しながら寝ている少年の二つ後ろに座った。

 

「………………zzz」

「…………」

 

 なぜ教室で寝ているのか疑問に思いながらも教科書を取り出して鉛筆を持つ。中間テストこそは赤司に勝ってやるのだよ! と強く決意しながら。

 

 チャイムが鳴り担任が来てSHRが始まる。ふと思い出して前の席を見ると未だに寝入っている……何しに学校に来ているのだよ、お前は。

 

「今日は自己紹介から始めるぞー! まず先生からだな。俺は――」

 

 他人など正直言ってどうでもいいのだよ。そう思いながら聞き流しているとあの生徒の番になった。

 

「灰崎ー! おーい!」

「……あ゛?」

「自己紹介だぞー! 起きろー!」

「あー……灰崎祥吾」

 

 それだけ言ってすぐにまた机に伏せた。担任もいい顔はしなかったものの、時間が押していたのかすぐに次の生徒に回した。

 

「緑間真太郎。――」

 

 これが出会い――というか意識し始めた時だな。第一印象は『変な奴』だったのだよ。おそらく絶対にかかわらないタイプだと思っていたのだが――灰崎は目立っていた。いい意味でも、悪い意味でも。

 

 

 

「……zzz」

「またか……」

 

 本当にこいつは一体何しに学校に来ているんだ? ほとんどの授業――副教科を除く――ではいつも寝ている、そのくせして学校に来るのはオレより早い。噂によると、朝用務員の人が来るよりも早く来ているらしいが……。

 

 しかし、灰崎は成績は良い。一体いつ勉強しているんだと問い詰めたくなるレベルで成績がいい。

 

「ゲッ、灰崎また満点かよ!? くっそ~! 今度こそ一点は落とすと思ってたのに!」

「マジか!」

「悪ぃな。……っー訳で一週間昼飯お前らの奢りな」

「「チクショ~~!」」

 

 主要五教科はともかく副教科では満点を叩き出したことしかないらしい。……なぜなのだよ、俺は人事を尽くしたし、テスト当日はラッキーアイテムの殺虫剤まで持ってきた。……なのに! なぜ! 五点も落としているのだ! ……次はもっと本数を増やすべきか。要検討なのだよ。

 

 

 灰崎は顔見知りが多い。生徒のみならず、教師に用務員、警備員に近所の老若男女問わず顔を覚えているらしい。

 

「あら~、祥吾くんじゃない。これ、作りすぎちゃったからおすそ分けね」

「おっ、サンキュー! ばあちゃん!」

 

「よう! ショーゴ! 今度またゲーセンで勝負しようぜ!」

「臨むところだ!」

 

「灰崎くん、握力計を握りつぶしてどうするんですか」

「いやだってさ、リンゴとか見ると握りつぶしたくなるじゃん? 手動でリンゴジュース作るみたいな」

「意味が違うと思いますけど」

 

「ショーゴくん! ソフトボール投げ、どっちが遠くまで飛ばせるか勝負っス!」

「黒子としろよ。加速する(イグナイト)パスなら飛ぶんじゃねえの?」

 

「ショーゴ! シャトルラン勝負だ!」

「却下。オレ去年成績十だったし今年はパス」

「灰崎ー! 青峰に勝ったら成績十やるぞー!」

「……言ったな? それサボっててもくれんの?」

「んなわけないだろうが」

「……じゃあいいや」

 

「灰崎くん! ちょっといい?」

「あ? ……ったく、またあいつらかよ……」

 

「灰崎ー! お前また授業で寝てただろ! 指導室まで来い!」

「ヤダね。行く必要性一切感じねえし」

 

 好意的にみられている部分は多く、普通に考えるならば嫌われることは少ない奴だ……った、のだが。

 

 

 ある時――そう、あれは一年の三学期頃だったか。前から不真面目ではあったし、授業や部活をサボることなどしょっちゅうだった灰崎が本格的にやる気をなくしたのは。

 

 ……いや、正確には「やる気をなくした」のではないな。「無気力になった」んだろう。

 

 今でこそ分かることだが、あの頃の灰崎は開花後の青峰と同じだった――そう、すなわち「自分の強さに絶望した」のだ。

 

 日頃の練習から灰崎が日常的にセーブしていることなどすぐわかった。汗は掻いていたし息切れもしていた、だが疲れていなかったのはオレにもわかった。ということは、虹村主将や赤司にはお見通しだったろう、だから灰崎は毎日のように罰則を受けていた。それでもなお力を抑えていたのはさすがに気になったが。

 

 灰崎と仲が良かった、よく1 on 1をしていたのは青峰だな。と言っても青峰が一方的に強制連行していて一方的にボコボコにされて一方的に言いがかりをつけていただけなのだが。あの時は青峰が負けていても些細な事としか思わなかったが、今ではそのありえなさがよくわかる。と同時に灰崎が力を抑えていた理由もよく分かった。

 

 灰崎祥吾は異常(てんさい)だ。キセキの世代(オレたち)とはベクトルが違う、圧倒的に、淘汰的に、排他的にまで差があるほどに。

 

 

 W(ウィンター)C(カップ)でそれがよく分かった。アイツはオレたちとは根本的に違ったのだ。

 

 

 ……む? 最後に、「彼を一言で表すなら」だと? ……赤司とはまた別の意味で「関わりたくない奴」だな。もしくは――ああ、これはいいか。

 

 以上か? ああ、ありがとう。

 

 

 (だが……オレも本当は心のどこかで思っていたのだろうな。もう一度、全力でアイツに臨みたいと)

 

 

 

   ★   ★   ★

 

  【桃の歓喜】

 

 あ、灰崎くん(はーちゃん)について? まかせて! 何でも答えるから!

 

 灰崎祥吾。11月2日3時56分生まれの蠍座、血液型はB型だよ。身長は中学一年時代は174センチ、体重67キロ、現在は190センチ81キロ。好きな食べ物は肉系で、特に唐揚げやミートボールっていった小物系、いわゆる「お弁当のおかず」が好きなんだって。お母さんの作るお弁当、たまに持ってきてるけど、その時のはーちゃんすごく幸せそうだったな。趣味はナンパ……成功率は百パーセントだって本人は言ってたけど。特技はカンニング、と言ってもほとんど必要ないけどね。百八式まであるとか聞いたことあるけど……カンニングなんかしなくてもテストの成績は良いから。

 

 私が初めて会ったのはバスケ部で、かな。大ちゃん――あ、青峰くんのことなんだけど――の面倒を見るようおばさんに頼まれて入ったバスケ部のマネージャーで、相手校の情報を集めてたら主将(キャプテン)――虹村さんにひかれて一軍のマネになったって感じかな。まあそれでなくとも入部当初から好き勝手やってたあのガングロエロスケの面倒を、先輩や他のマネたちが見きれなかったってのもあると思うんだけど……

 

「くそ! ショーゴ、もう一回だ!」

「ウゼエ。メンドい。却下」

「何でだよ!」

 

 一軍のマネになってからすぐだったと思う。はーちゃんを見たのは。ちょうど青峰くんがコテンパンにやられていたところだったんだけど、初めて会った時は驚いた。だって大ちゃんに勝ってたから。

 

 昔から大人たちにも混じってバスケしてた大ちゃんだからそれなりに力はあったし、中学に入るころには近場ではほとんど負けなしだった。

 

 その、大ちゃんを、地面に、這いつくばらせていた人、それがはーちゃんだった。

 

 それから何となく観察していると、はーちゃんがバスケ部の中でだれよりも強いってことがわかった。……え? いやですね。一軍のマネ舐めないで下さい。ただでさえ情報関連は得意なんだから。長所・短所に性格・クセ――分析する材料なんて山ほどあるんです。……ただ。

 

 大ちゃんは読みやすいけどテツ君は読めない。情報分析も完璧なんてないんです。でも灰崎くんは――そうですね、「底が知れない」んでしょうか。あ、もちろん伸びしろはあるんですよ? 誠凛のカントクさんみたいに読みとる眼(アナライザー・アイ)なんてなくてもわかります。はーちゃんは確かに「最強」です。……でも、「無敵」じゃないんですよ。

 

 ゾーン状態の青峰くんにも余裕で勝ってみせる、くせして性格や言動がキツイせいかよく敵を作る。彼のことを客観的に答えるなら「悪いヒト」なんです。主観的に答えるなら「良いヒト」なんですけどね。

 

 校内全体に広まっている噂自体は多いんだけど、その中でも一番多いのが「女遊びが激しい」、それに類する「彼女を取られた」ってやつかな? まあ確かに、バスげ部一軍だし身長高いし顔もいわゆる「美形」だけどさ。私たちまだ中学生だったんだよ? あの時。確かにはーちゃんは小学校で童貞卒業してるけど、それでも「遊んでる」ってわけじゃないし。まあ何人かは『告白→玉砕→「身体だけでも!」』って言って抱いてもらったらしいけど、それでもちゃんと避妊はしてたらしいし……それより! 絶対大ちゃんの方がおかしいよ! だって人のこと見て、……お、おっぱいが大きいとか言うんだよ!? はーちゃんの方が断然ましだよ! なんで皆、堂々とセクハラ発言かましている大ちゃんの方がいいの!? 絶対はーちゃんの方が分け隔てなく優しいし丁寧だし気も配れるし親切だしデリカシーあるし頭良いし空気読めるし多才だよ!? なんで大ちゃんはよくてはーちゃんはだめなの!?

 

 ……まあ多分そこ(・・)なんだろうけどね、好かれると同時に嫌われる理由は。

 

 はーちゃんは周りの機微には敏感だ。そして優しすぎる。

 

 私が気づいたときにはもうそう(・・)だった。だからはーちゃんがバスケ部を辞めたって聞いたとき驚いたと同時に納得もした。自分と似たスタイル、自分と同じポジション、そして――自分より日当りのいい彼。

 

 黄瀬涼太(きーちゃん)

 

 多分予感はしてたんだと思うよ。きーちゃんが入ってきてから灰崎くん、なんか難しそうに考えることが多くなったし、練習にも今まで以上に来なくなったし。来てもただひたすら基礎練ばっかりしてたし。大ちゃんの練習相手がはーちゃんばっかりだったのに嫉妬してか、よくはーちゃんに突っかかってたけど……そしてボロ負けしてたけど。

 

 きーちゃんははーちゃんと違って社交的で認知度・知名度ともに高い。だから今まで以上に「嫌われ始めた」んだと思う――まあ、もう今更なんだけどね。多分、もう関係は修復できないよ。あ、私たちの関係じゃなくて、あの二人の関係。多分あれは一生治らないんじゃないかなあ~……。まあはーちゃんが面白がってからかって弄んでる節もあるんだよね。それにきーちゃんは気づかないで琴線に触れて喧嘩になって……のエンドレス無限ループって感じ、かな? あの二人は一生相容れないと思うよ。それこそ、どっちかを性格矯正でもしない限り。

 

 ……まああの二人、お互いに不器用なんですよ。いうなら子供の喧嘩ってやつ? ……あ、これ、オフレコでお願いしますね? ……フフフ、はい。分かってますって。女はみんな大人なんですよ、男と違って。

 

 

 ……最後に、「彼を一言で表すなら」? ……やっぱり、「底が知れない人」ですかね。はい、ありがとうございました。

 

 (でもやっぱりはーちゃんはきーちゃんのこと、本心では嫌ってなかったと思う。精神的嫌悪感はあったとしても、なんて。今更だよね~。本当、男の子って単純なんだから)

 

 




 とりあえず原作で名前が出た順番? 的な。ストックある人すごく羨ましい。

 原作よりもチート、ってことで身長や体重に変化が見られます。些細な違い、ということでなにとぞ……。(黄瀬より身長高くしたかったとかそんなことではない、決して)

 ……あれ? 桃井ちゃんって灰崎のことなんて呼んでたっけ?
























  以下、おまけ

 あ、私的にははーちゃんは総攻めキャラか流され・淫乱受けだと思う! 普段が不良系だから基本的に誰とのCPも合うんだよね。虹村さんは根が優しい暴君系、しかも先輩っていうおいしいオプションがついてるし、暴君×流され不良は定番じゃない? はーちゃんって何気に面倒見良いタイプだから絆されやすいし。虹村さんがドSキャラで流されるままに……ってのもありだよね! あ、でも逆もありかも。その場合虹村さんは病みそうだよなあ~――

『なあ灰崎。オレもうダメだ、我慢できねェ。なんでお前はいつもアイツら(キセキ共)といるんだ? オレよりもアイツらの方がいいのか? なあ、そうなのか? だったらオレはどうすればいい? お前をオレだけのものにしたい、お前を誰にも触らせたくない。お前の目にオレ以外を映させたくない。なあ、オレはどうすればいい? お前の両手、両足を切り取って一生逃げられないようにしようか。それとも殺してその肉ごと食べて血肉を共にしようか。ああ、お前を氷漬けにして一生閉じ込めておくのもいいか。……なあ灰崎。灰崎? 灰崎、灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎灰崎!

 オレハドウスレバオ前ヲ手ニ入レラレル?』

 ……なんて。最近ヤンデレ物が増えてきているけどBLになるなら攻めでも受けでもおいしいよね! 人によっちゃ「ヤンデレは攻め」とかってポリシー持つ人がいるけど私は基本雑食だし! ヤンデレ攻めを手玉に取る小悪魔受けもヤンデレ受けを思いっきり甘やかせる天然包容力攻めとかいい! 虹村さんがヤンデレ攻めでもリードははーちゃんが持ってると思うし、ヤンデレ受けなら気づきながらも嫉妬させた後にドロドロに甘やかしてそうだよね……あ! ヤン(キー)デレ×()ンデレCPもありかも! よし、今度はこれで一冊書こうっと! フフ腐……。

 基本バスケ部って(どこの学校もそうだけど)皆「キャラ」が確立されてるでしょ?

  赤司くん→王様
  むっくん→高身長二面性
  大ちゃん→俺様傍若無人
  ミドリン→電波系ツンデレ
  きーちゃん→モデルワンコ

 、みたいな。しかも全員美形だからもうこれは本が厚くなるってもんだよね!



 ――なんてのも考えたけどカット。腐食系女子ってことは匂わせたけどそこまで描写をする気はない。作者的にも灰崎くんは攻めでも受けでもおいしいと思う。食種を広げることって大事じゃない?



 ……今年中には完結させたいなあ……。

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