【黒子のバスケ】に転生しただけの簡単な二次創作です   作:騎士貴紫綺子規

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 とりあえずこの二人から。ストックがないので続きはまたあくだろうけど。


番外編 彼に対する気持ちとは1

  【黒色の驚愕】

 

 灰崎くんですか? ……そうですね。

 見た目は不良ですね、間違いなく。彼は――というより彼ら全員が、なんですけど――帝光中学入学当初から目立ってましたね。一年のころは僕も緊張していたのであまり良く覚えていないんですが……。分かりました。ちょっと思い出してみます。

 

 

 キセキの世代と言っても、全員始めは当然普通の中学生と何ら変わりありませんでした。……まあ、あの身長は今でも縮めとか思いますけど。昔から体格はよかったですよ。友人との約束を守るためにバスケを続けていた僕とは違い、昔からバスケ一筋でしたね。ただバスケ馬鹿の青峰くんと違うのは、「バスケが一番ではなかった」ことでしょうか。それでも僕が一軍に入って出会ったころから、彼は一番強かったです。それこそ――

 

 ――青峰くんを赤子の手を捻るように簡単に倒すくらいには。

 

 え? あ、はい。バスケ界最強の選手といわれている青峰くんも勝てなかった相手くらいいますよ。赤司くんがその例じゃないですかね。……まあ青峰くんは昔から赤司くんのあの威圧――というか威嚇というか――に怯えていた点もありますけど。青峰くんの強さはPFというポジションからも分かるとおり、「絶対的な強さ(フィジカル)」です。桃井さんから聞いたところ、昔からバスケ一本に絞ってきたようですね。……少しは頭にも回せばよかったのに。あ、すみません。

 

 そんな青峰くんが得意なバスケで勝てなかった相手、それが灰崎くんです。

 

 

 灰崎くんは子供のころ、それこそすでに父親がいなかった頃からバスケを始めていたそうです。具体的には知りませんが、お兄さんの影響があったようですね。中学一年で腹筋が割れているなんて知った時には思わず青筋が浮かびました。クラスが離れていたこともあり、合同体育でも接点はありませんでしたから、必然的に会うのは部活ぐらいでしたね。すでに百七十超えだった身長やその体格からも有名でしたし、容姿や人柄、性格もあったでしょう。一点の曇りもない澄んだキラキラと光る髪にキレ長のキツめの目、どこからどう見ても不良でした。……え? ああ、僕が初めて彼と会ったのは――

 

 

 

「借りまーす」

 

 カウンターに置かれている椅子に座って文庫本を開いているところにかけられた声に反射的に顔を上げる。しかしそこに見えたのは胸で、もう少し顔を上げてようやく顔がうかがえた。

 

「……なあ、聞いてんの?」

「え。あ、はい。すみません」

 

 気だるげな表情をして続けられた言葉に本を置いて立ち上がる。カードを取り出そうとして彼の名前を知らないのに気付いて振り返った。

 

「あの……学年とクラス、それから出席番号をお願いします」

「んあ? ……ああ、灰崎祥吾、一年三組、三十一番」

「……すみません」

「? 何が?」

 

 そこでようやく彼が同級生だと知った。失礼な話、はじめは先輩だと思っていたのだ。主にその身長と体格から判断したため、独断と偏見と主観の集まりだったが。

 

「お待たせしました。貸出期間は二週間です」

「ん」

 

 

 

 ――最初の邂逅はそんな些細なことだったんです。彼が去ってすぐ後に、「彼が僕を見つけた」という事実に若干の驚きがあったので、頭の端には残っていたんでしょうね。

 

 一軍に上がってしばらくしてから灰崎くんと会いました。それまでも結構な回数すれ違ったりはしていたんですが、僕と彼はやはりそれほど親しい間柄ではありませんでしたから。「あ、灰崎くん」とくらいしか思いませんでしたね。バスケ部一軍だと知ったのは三軍にいるころからですが。

 

 ご存じのとおり、僕には体力がありません。三軍の練習ですら倒れるぐらいです、一軍の、しかも白金監督の練習メニューをこなせるはずもなく、ほとんど毎日倒れていましたね。

 

 そんなときに決まって介抱してくれるのが灰崎くんでした。

 

「おい黒子、大丈夫か?」

「うぷっ、……はい、なんと、か……」

「無理するな、とは言わねえけどよ、無茶はするなよ。お前なんか抱え込むタイプっぽいし」

 

 そう言ってそっとドリンクとタオルを置いて、練習に戻って行ったんです。その時からでしょうか、「灰崎祥吾」という人物を観察対象にし始めたのは。

 

 

 一年の頃から「不良」「ヤリチン」などとよくない噂ばかり飛び交っていた灰崎くんですが、観察してみるとその本質が若干見えてきました。

 

「わっ!」

「……っぶねえな、気を付けろ」

「ゴ、ゴメン……」

 

 階段ではしゃいでいた女生徒二人の片方が落ちそうになったところをさりげなく助けてたのもそうです。髪色や体格、その言動も相まって不良呼ばわりされていたことに気が付いたんです。他にも授業はサボっているのに成績はいいとか、人のミートボールをとったりと何かと行動自体見れば人間として最低な人種にしか見えません。ですが。

 

「……ったくババアも考えろよ、定食にご飯のミニ作るとかさ」

 

 奪ったミートボールを食べた後にボソッと呟いたのを聞きのがしませんでした。その後、食堂に意見箱が置かれるようになったのも灰崎くんの影響があると思います。

 

 まあキセキたちの中では仲のいい部類に入るでしょうね。……シャララワンコやおは朝電波と違って。

 

 え? 青峰くんとではですか? ……どうでしょう。ベクトルが違いますから。青峰くんは僕にとっては「光」です。灰崎くんは……そうですね。「希望」、といったところですか? ちょっとクサイですけどね。

 

 彼が退部命令を出されたときは「嘘だ」と思いました。追いかけて焼却炉にたどり着いた時、もうすでに遅かったんです。

 

「世の中いい奴ばっかじゃねーんだよ」

「残ったお前らの方がかわいそうな目にあわねーとは限らねーんだぜ」

 

 彼の言葉は、それを予期していたのかもしれません。誰よりもキセキ(僕たち)に近かったからこそ気づけたのでしょう。キセキだった僕でも気づかなかったことにいち早く気づいたことも相まって退部したんです。いえ、させられた(・・・・・)んです。

 

 彼が去ってから、一段と彼の悪評は増しました。ストッパーがなくなったこともあるんでしょうが、僕には「切り捨てた」ように思ったんです。

 

 「灰崎祥吾」という人間が「バスケ」という事柄を。

 

 それでも校内で会った僕や桃井さんと話をすることから、それなりに踏ん切りは付けていたようですけど。それでも心の中までは分かりません。念のためというか、一応僕の進学先である誠凛高校も勧めたんですが……断られてしまいました。

 

 

 同じ学校に進んでいたらですか? ……そうですね。彼のことですから、全力で身を隠すと思いますよ。全力で隠れたら僕よりすごい人ですから。ですがそうですね……。桃井さんにバレてそれが広まって、カントク直々に勧誘しそうです。僕も彼のことは気に入っているので入部してほしいですが……たぶん無理でしょうね。一度決めたことは曲げない主義の人なので。

 

 学校が違っても、それなりに連絡は取り合うと思います。都内からは離れると思いますから……それで、何かしら凄いことやらかしてそうですね。オリンピック出場とか、ノーベル賞受賞とか。……まさか。彼ならできるかもしれないと思っているだけです。本心ですよ。在学中はテストで遊んでたくらいですから。成績はいいんですよ、彼。全教科一度は百点でしたから。その後に七十五点というのはふざけているとしか思えませんでし。副教科満点は僕も素直にすごいと思いましたけど。

 

 ……まあ結局のところ、どうなっても僕は彼とは縁は切らないでしょう。濃い中学生活で、親しかった部類に入る人です。

 

 はい? 最後に「彼を一言で表すなら」ですか? そうですね……。

 

 「凄い人」もしくは「尊敬できる人」といったところでしょうか。はい。大丈夫です。ありがとうございました。

 

 

(まさかその予想が当たるなんて。思ってもみませんでしたけど)

 

 

 

   ★   ★   ★

 

 

 

  【黄色の焦燥】

 

 ショーゴくんのことっスかぁ? しょーじき思い出したくないんスけど。……分かったっス! 分かったっスから!

 

 ……話を聞いたのは一年の……夏位っスかね。女とっかえひっかえしてる男がいるって聞いて気になったんス。とっかえひっかえできるほどの男ってことは美形でしょ? それで興味を持ったんスよ。……まさかそれがショーゴくんとは思わなかったっスけど。

 

 

 

 オレがバスケ始めたのは青峰っちに憧れたからっス! 青峰っちのプレイに感動したんスよね!

 

 入部してから、オレと同じ二年が、一年のころからスタメン扱いされてたっていうのは正直驚いたっすねー。ま、でも「青峰っちだし」ってことで納得したんス。……けど。

 

 

「ショーゴ! 1 on 1しようぜ!」

「いやだから――」

「あ?」

「――ああ、もう! 分かったっつーの!」

 

 

 オレが青峰っちに憧れているのと同じく、青峰っちもショーゴくんに憧れてたんス。

 

 

 え? ……まあ、分かってるっスよ、この感情が嫉妬ってこと位。でもしょうがないじゃないっスか、嫌なもんは嫌なんスよ。

 

 

 校内で良い噂は聞かないのにバスケのセンスはピカイチ、それってなんなんスか? しかも本人はその自分の誇るべき実力を忌み嫌ってる節があったんスよね。訳分かんないっス。

 

 

 それもあって何となく避けてたんスよ。もちろんそれだけじゃないっスけど。初対面の挨拶の時に思ったっスよ。

 

「……灰崎祥吾」

「……黄瀬、涼太っス」

 

 直感的に思ったんス。「あ、コイツとは合わない」って。ショーゴくんもそう思ったんじゃないっスか? だからお互いに「よろしく」なんて言わなかったんスよ。よろしくなんてしたくないから。子供っぽいって思われてもいいっスよ、でも心の底から「嫌い」だなんて感情が俺から出るなんて思わなかったっス。

 

 

 はい、明らかにこの感情は「嫌い」だったっス。オレがっスよ? 「気に入らない」って思う奴なんて何人もいたけど明確に嫌悪を感じたのは初めてだったんで、正直オレも驚いたっス。

 

 

 ……だから余計に思ったっス。「コイツをブッ潰したい」って。

 

 

 まあそれは叶わなかったっスけどね。オレが入部してしばらくしてから退部したっス。いやさせられた? まあどっちでもいいっスけど。オレには関係ないし。むしろショーゴくんが退部してくれてよかったんスよ、オレがスタメンになれたのもそのおかげだし。赤司っちも素行がひどいってこぼしてたから、まあ自業自得なんじゃないんスか? ……どうせならバスケでボコボコニしてから無様な顔さらしてから退部してほしかったっスけど。

 

 ……だからっスかね。W(ウィンター)C(カップ)で再会した時にチャンスだって思ったのは。

 

 「キセキの世代」と言われているのは赤司っち、青峰っち、緑間っち、紫原っち、そしてオレの五人、そして黒子っちは「幻の6人目(シックスマン)」なんて呼ばれてるのは知ってるっスよね? でも厳密に「キセキの世代」なんて呼ばれ始めたのはオレが一年の冬、オレが入部する前なんスよ。……つまり、オレが入部した時にはもう「キセキの世代」は確立されていた、そしてオレはある意味でその座を奪ったんスよ。ショーゴくんが退部して似てるスタイルを持つオレにその座が流れ込んできた(・・・・・・・)ってことっスね。

 

 それがオレには許せなかった。おざなりだったなんて耐えられなかった。だから思ったんス。「ここでショーゴくんをブッ潰す」って。

 

 ……結果は知っての通りっスけどね。あれはズルくないスか? 勝ち逃げなんて許さねえっス。絶対に次こそは叩きのめしてやるんスよ!

 

 

 え? 最後に「彼を一言で表すなら」? ……「ムカツク奴」っス。それ以外にはないっスよ!

 

 

 

(……本当は心のどこかでは憧れてたなんて。絶対に言わないっス!)

 

 

 




 黒子とは仲は良いけど黄瀬とは最悪。まあとりえず原作通り、かな? 成り代わり主は「キャラ」としての「黄瀬涼太」は好きだったけど、リアルだと完璧に一目で嫌悪した。たぶん波長が合わなかったんだと思う。……にしても、黒子様になった気がする。どうしようか。

 誰が質問しているのかは作者にも不明。たぶん読者のみなさんだよ、きっと! ←

 って言うか黄瀬の「~っス」入力超面倒。そして黒子と黄瀬で長さが違うという……ま、いっか!

 どちらの学校に進学してても大丈夫にした、はずです。はい。

 書いてて分かった。これは「勘違い」のジャンルじゃない。というか私に勘違いジャンルは不可能だ。
























































 どうでもいいことなんですけど、仮に恋愛ルートだったら誰と結ばれるのがいいんでしょうか? 虹色と?

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