真祖の眷族   作:賢者神

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触れ合う

 

 

 

 

 

 

「まずい」

 

「24、まずいっと」

 

 

 バツ印を容器にマジックで書いた。顰めっ面のエヴァンジェリンにはお気に召さないようなので没ボックスに投入。

 残ったワインを捨てるとエヴァンジェリンは新しく注いでこちらに出してくる。半ば作業と化した動作を繰り返し行う。ワインの入ったグラスに25と数字が書かれた容器の中の血を少量だけ入れる。

 貴族らしく優雅に血の混ざったワインを飲む。コクリとエヴァンジェリンの喉が動くのを見届けて反応を待つ。

 

 

「美味い。Bだ」

 

「Bっと」

 

 

 B、取り敢えず美味い。アルファベット順に言えば二番目に美味いよとの意味。Aすらない現状からエヴァンジェリンはやはりこだわりがあるのだと改めて思った。

 Bは二つ目。他はクソまずいとまではいかんが処女の血の中ではまずい分類らしい。まずいというかマズイというか。ニュアンスもまた違うっぽい。

 

 

「ほら次だ」

 

「かしこまりー」

 

「……プククッ。似合うぞその格好。二週間はまだそのままでいろよ」

 

「罰ゲームだから受け入れますけどねー」

 

 

 ムカつくよ死ねとは思わん。エヴァンジェリンの罰ゲームの中ではまだ軽い方なのだから。どちらにせよ堅苦しい事この上ない。特に首は窮屈だ。

 

 

「何で魔法まで禁止なの? 体が重くて堪らんのだけど」

 

「罰ゲームにならんだろ。魔法あってこそお前の化け物スペックだからな」

 

「しかも執事とか」

 

「似合うぞ燕尾服」

 

 

 どうせなら羊のコスプレがよかった。角を装着してハリケーンミキサーをしたいんだ(錯乱)

 

 エヴァンジェリンの言うように罰ゲームの一環としてエヴァンジェリンに仕える執事として服装まで正してるんだ。作法無視の執事失格だけど。

 どんな形であれ執事として仕えさせて遊ぶのがエヴァンジェリンの目的。あれをしろこれをしろと様々な命令をしては食事当番は全部ボク。アリアドネーの一件を怒っているので逆らえない。

 アリアドネーの騎士を食いまくるクソ野郎=悪い魔法使いとはなっていないものの国際問題まで発展した今回の事件でアリアドネーはかなりピリピリしているらしい。完全にやり過ぎた。もとい、ヤり過ぎた。

 

 

「今日はどうする? まだ飲む?」

 

「いや、いい」

 

「わかった」

 

 

 エヴァンジェリンは一日に飲むワインの量は大体決まっている。ある範囲を越えれば可愛らしくケフッとゲップらしきものをするので見極める事は容易い。ゲップの匂いまで嗅ぎたい変態じゃないよボクは。

 

 

「さて。足を舐めろ」

 

「お嬢様。頭がイカれているようですので雷を落としましょうか? それに汚いから舐めたくない」

 

「汚いからお前の舌で清めるんだろう」

 

 

 ホラホラとエヴァンジェリンに足蹴りにされる。裸足のままで顔の頬を蹴ってくるので青筋が立つのが自分でもわかる。

 

 やっぱりエヴァンジェリンは処女厨だけじゃなくてマニアックな変態女王様なんだ。

 

 というか涎で余計に汚れるんじゃないの? 自分の舌は別にローションを生むとかボディソープ代用可能とかじゃないんだけど。エヴァンジェリンは基本的に裸足で別荘内を歩くから埃とかで汚いんだよ。

 人様の足を舐められる根性も無論、ない。背中と腹に胸とかは大丈夫だけどね!

 

 

「ならば湯浴みを手伝え。私の体を綺麗にしろ。今のお前は執事であると同時に私の奴隷でもあるんだからな」

 

 

 フハハハハと今にも言い出しそうだ。まあ、実質奴隷なんだけど。期間限定でエヴァンジェリンの奴隷に成り下がっている。

 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが命じる! とか言うと思ったけど普通に血を取られて一枚の紙に垂らされて名前を書かされただけで奴隷になったもんなぁ。魔法は不思議としか言えん。

 風呂を一緒にしろとの命令も拒む事ができないわけだ。別にボクは望んでいるわけじゃないよ、本当だよ。アリアドネーで何人の裸体を見たと思う!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エヴァンジェリンってさ。肌がスベスベだね」

 

「ふふん。そうだろそうだろ」

 

「うん。アリアドネーの女の子よりも綺麗だし」

 

「……」

 

 

 すると唇を尖らせて拗ねるエヴァンジェリン。他の女の子の話題は何とやらという法則がエヴァンジェリンにも適用されているのだろうか。素っ裸だけど服を着ていれば抱きしめてたね、きっと。

 エヴァンジェリンの代名詞でもある綺麗な金髪はまるで絹糸の如く。変な表現しかできないがサラサラしている。指も髪の毛に引っ掛からないので洗うのも楽である。長いので手間は掛かるが飽きない。

 

 

「背も伸びたね。もう少しすれば大人の体になれるんじゃない?」

 

「お前以上の身長を目指してるからな」

 

 

 暗にチビと言いたいのかコラ。これでも170以上はあるんだぞ。できれば180は欲しかったけど無い物強請りをするのも親に悪いのでそこはもう諦めよう。オカンにオトン、元気にしてるかなぁ?

 エヴァンジェリンはモデルロリなので将来は高身長モデルになると思われる。妬ましい。

 シャンプーはこの時代にないが手帳と一緒に商店街の景品の中にあったメ○ット一式があってよかった。コピーするというか複製できてよかったわ。魔法万能説。

 できるならツ○キの方がエヴァンジェリンを更に映えさせる事もできたかもしれないのに。

 

 

「相変わらず未来の道具は凄いな。これ以外にもあるんだろ?」

 

「うん。知ってるだけでも10以上はあると思うよ。女性ならシャンプーやらリンスとか髪の毛は大事にする習慣があるから」

 

 

 特にモデルは。コマーシャルでも出演する女性って髪の毛がエヴァンジェリンみたいだ。だけどエヴァンジェリンには勝てないと思うかねぇ。吸血鬼の恩恵と相まって絶世の美少女って感じだもの。

 シャワーがないのは不便かと思ったがまたもや魔法万能説。水の魔法と火の魔法を組み合わせればお湯は作れるし何かの漫画で見た水が球体を作って浮いているのも再現できる。二つの魔法を組み合わせる練習も兼ねられる。意外と42度のお湯を作るの難しいんだよ。

 少しでも熱かったり冷たかったりするとエヴァンジェリン、怒るし。一番上手な魔法がお湯生成って情けない気もする。

 

 

「流すよー」

 

「ああ」

 

 

 目を閉じるエヴァンジェリン。そういえば最初はシャンプーを流す時にお湯と一緒に目に入ってムスカ状態になってたなぁ。やべ。思い出し笑いしてきた。

 ギュッとプルプルと瞼が震えながら閉じていれば萌え得点は満点以上だったんだけどね。昔は……じゃなくて今も可愛いなエヴァンジェリン。こんな可愛い子はビッチにはならないで欲しいものだ。

 執事専用衣装、燕尾服を折って素っ裸のエヴァンジェリンを洗う姿は犯罪真っ只中に見えるが主人が言うのだから仕方ないね。

 変な指の立て方、人差し指と薬指だけを立てるのは疲れるが火と水のストックはここなのでしょうがない。適度に引き出しつつ魔法と魔力を混ぜ合わせて浮かべさせる。指を突っ込んで温度を確かめた……ぬるい。少しアップ。

 

 

「纏めるよ」

 

 

 泡を洗い流した後は邪魔にならないように髪の毛を上げてポニテにしてからお団子に。あーっとアップスタイルだっけ? 手帳は読めないから思い出そうとした。

 

 ……さて。問題はここからだ。エヴァンジェリンのロリボデーを洗う事になるのだがロリコン紳士諸君に殺されそうだ。スポンジも洗う用はない上、エヴァンジェリンが嫌うので当然素手で洗う事になる。

 アリアドネーで女性の神秘には触れまくったのにエヴァンジェリンの場合は未だに肌を洗う時はドキドキする。もしや魅惑の魔法でも使っているのか?

 メ○ットさんは万能だなぁ。頭に体も洗えるんだもの。手に垂らして少し泡を立ててから腕から洗い始める。首とか性感帯を擦るとぶっちゃけ我慢がならん。逆に襲われる事もあった。

 

 

「ほら」

 

「股を開くな股を」

 

 

 うむ。少し生えてたな。意外な場所で成長が見られたものだ。いや、やっぱり何でもない。

 

 

「ああ、まだ話していなかったがお前の留守の間に客人が来てな」

 

「また正義馬鹿?」

 

「いや、のらりくらりとしていた掴めん奴だ。名前は確か……アル、アルベ?」

 

「……もしかしてアルビレオ?」

 

「そんな名前だった」

 

 

 ワオ。アリアドネーで知った名前が早速ここで聞けるとは。

 地の属性の亜種、重力魔法の使い手で過去最高と謳われている魔法使いだ。消息不明で死んだとも噂されている人物がエヴァンジェリンに接触した? 何か怪しい気がする。そのアルビレオの残したと言われている本の題名もヤバイし。

 確か……ネクロペドフィリア? 変態としか思えない名前だった印象がある。

 

 

「何でエヴァンジェリンに?」

 

「知るか。私の顔を見るなり落胆した顔をしてたのは気に食わん」

 

 

 もしかするとロリコンなのか? それともペドフィリア? 天才と変態は紙一重と言うしあながち嘘じゃないかもしれない。読み方のニュアンスも似ている。

 ……嫌な予感がする。変態は見境がないらしいからな。気が付くとホモになってる事も有り得る……わけがないか。

 

 

「ところでアリアドネーでの成果はいつ教えてくれるんだ? ……んっ」

 

「羊皮紙にまとめて提出するつもりだから完成していないだけ。終われば見せるからもうちょい待って」

 

「収穫はあるんだろうな? あふっ」

 

「勿論。タメになる魔法がいっぱいでお腹もいっぱいです」

 

「一体何を目指しているんだお前は」

 

 

 大賢者です。今も少し賢者モードですが。アリアドネーでの経験は女性慣れしてテクニックも磨きましたから。もう指だけでイかせられるぜ! だけどわざわざボクの手を股に導こうとするのはやめてくれないかな?

 レポート提出のようになっているがこの魔法がボクの知る魔法と似たようなものがないかを調べるのにも時間は必要なんだ。たくさんあるから思い出すのにも大変なんだよ。

 忘れている事はあれど、脳には記憶という形で絶対に覚えている。エヴァンジェリン直伝の記憶を覗き見る魔法で思い出す作業をしている。ホームシックになりそう。オカンのカレーが食べたい。

 

 

「終わったよ」

 

「ご苦労。どうだ? お前も一緒に湯に入るか?」

 

「命令?」

 

「……うむ。なら湯の中で私を膝に乗せて抱き締めろ」

 

 

 おいギアス行使すんな。

 

 ギアスと読んで強制執行と書く。契約にある規定をどれだけ嫌がろうとも絶対に従わなければならない。幸いなのは期間限定。

 死ねとは言わんが死ねと言われたら死ぬと思う。どこぞの皇子みたいに死ねとかエヴァンジェリンには言われたくない。

 

 

「え、エヴァンジェリンエヴァンジェリン! せめて服を脱がさせて!」

 

「んん? どれ。私が脱がせてやろうか?」

 

 

 これも罰ゲームだと羞恥プレイをさせられる事になった。やる人とやられる人が逆だよ。普通は野郎が涙目の女の子を押し倒して脱がせるもんだろ? わがまま坊ちゃんがグヘヘとか言いながら。

 素っ裸で何もかもが丸見えのエヴァンジェリンに馬乗りになられて。服が濡れるのも構わずに首筋に牙を立てられて吸血されて。貴族のエロビデオか何かかよクソったれ。抜けそうで抜けないシチュエーションになりおって。

 吸血鬼式マーキングなのはわかるが酷い時は発情するからやめてほしいとあれほど言ったのに……。

 

 嫉妬とかしてないと言うが帰って来た時のエヴァンジェリンの一言目が嫌そうな顔をした上で鼻を摘んで臭いだもんな。気にしないと言ってもセックスしまくって臭いをプンプンさせられるのは嫌だったのだろう。

 自分では臭わなくても同じ女性には鼻が曲がるほど臭いらしい。香水でも振り掛ければよかった。

 

 

「お前は私のモノお前は私のモノお前は私のモノお前は私のモノお前は私のモノお前は私のモノお前は私のモノ」

 

 

 わかってるわかってる。わざわざ洗脳までしなくとも契約をしたからエヴァンジェリンの奴隷である事は変わらないのに。

 少し離れていて寂しい思いでもしたのかね?

 

 取り敢えず滅茶苦茶イチャイチャした。肌がスベスベで触っているだけで飽きなかった。

 

 

 

 

 

 







 エロ(くない)回。大体暇な時はこんな感じの二人。

 ここで更に報告を。原作基準で言う、大分列戦争までは一日一更新しますが本格的に介入するとなるとストックもしたいので二日か三日に一回の更新になります(嘘だと思う?)

 まだ終わらないは原作ブレイクしますんで。




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