真祖の眷族   作:賢者神

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 ついにお気に入りが100を越えました! ありがとうございます!


























 見ればわかる事をいちいち書く。あるある。








逃げる

 

 

 

 

 

「ねーん。今日は早上がりだから少し早く始めなーい?」

 

 

 若干脚色しているが意訳すればこんな感じだ。クリムゾン展開的に悔しいでもビクンビクンを見事に見せてくれた司書のお姉さんはメロメロになっている。

 まさか処女だとは。遊んでそうだったけどこれが処女ビッチか。処女のくせにビッチみたいに振舞ってんじゃねーよと罵倒したボクは悪くない。悪くないはずだ。完全にプレイになってるよ。

 

 というわけで司書を陥落させたら禁書エリアはいとも簡単に入る事ができたわけだが。色々偽造しているからバレたらどうなるんだろうとベタベタしてくるメロメロになっているお姉さんを見て思う。

 当ててんのよ。も初めての体験だ。エヴァンジェリンの場合は絶壁だし当てるのは爪だし。おっぱいってこんなに柔らかいんですねと思いました(賢者)

 

 

「ねえ。ボクが頼んでおいてなんだけど本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫大丈夫。パパに頼んだら何とかしてくれるわ」

 

 

 うーんと禁書エリアにある本を捲っている最中に頬を擦りつけてくる。もうこのお姉さん、オレの女なんだぜ? と犯罪臭しかしない台詞が浮かんだボクはやはりゲスなのだろう。

 女性を陥落させて支配すると男は変わるのは既に同人誌以下、薄い本で証明されているようである。気弱なクラスメイトが最終的にはおねだりしてみろ! とか叫ぶんだぜ。信じられるか?

 どうやらこのお姉さんのパパはアリアドネー、もしくはアリアドネーに意見できるほど地位の高い人なのだろうと仮定する。やべぇ。選択肢を誤ったか?

 

 昨日は写したら駄目と言っていたのに今は手帳に写すのを見ても怒らない。寧ろ協力的で何冊かの本を持って来ては抱き着いてくる。

 禁書というからにはどんなにヤバイ情報があるのだろうかと思えば、エヴァンジェリンからすれば別に禁術でも何でもない魔法が書かれてあるだけだった。

 この魔法とか同じく未来から来た者がいるの? としか思えない名前や魔法の詳細があるんだけど大丈夫なのか? 色々な意味で。

 

 

「はい。これで全部ね。空間に作用する魔法が書かれている記述があるのは」

 

「うん。ありがとう」

 

「お礼は体で」

 

 

 アグレッシブだなぁと他人事のように積み重ねられた本の最も上にあるものを手に取る。分厚くて重いので開けるのも前の自分なら苦労したはずだ。

 吸血鬼の筋力、魔法発動の最適化による身体強化魔法の発動の容易さ。普通の本よりも重いのは盗難防止なんだろう。重力魔法なんてものもあるのでそれに分類される魔法がかけられていると感じた。

 

 空間とは即ち、時空間である。お姉さんの言う事を要約すればこうだと思いたい。

 空間に関係する記述がある本をお姉さんは覚えていたので手当たり次第に持ってきてもらった。司書の仕事を放り出して一緒に来ているのでダラダラとここで読んでいるわけにもいかない。

 司書は一人ではないし禁書エリアには監視をする人も付き添うのが決まりなのでおかしいところはないがあまり長くても怪しまれる。

 

 

「えっと、これは?」

 

「こうですね」

 

 

 というかこのお姉さんマジ有能。何で古代語呪文読めるんだよ。ハイ・エンシェントって言われるほど難しいんだぞ。

 

 

「読むだけなら。難しいのはその魔法を遺憾無く威力を発揮させて発動する事よ」

 

「ア、ハイ」

 

 

 ドヤ顔で言われると腹が立つかと思えば美人だと不思議と可愛げもあるんだねぇ。自分がやればドヤゲス顔になると思われ。

 外国語をマスターしたといっても読み方次第で意味も変わる……と思う。日本語に直すだけでも大変なんだぞ! 何でも読めるようになるこんにゃくはないのかっ!

 字もお姉さんの方が綺麗だし。男は汚い、女は可憐とか誰かが言ってた気がする。雰囲気もファンタジーの魔導書に書かれているような字そのものだからちょっと羨ましい。

 

 ああ、とにもかくにも。この大図書館では色々と収穫を得れた。空間に関する情報は一通りまとめられたのでよかったとしよう。後でゆっくりと解読して色々組み合わせてタイムマシンを作るんだ。

 名残惜しそうなお姉さんから情熱的なちゅーをもらって一旦別れる。どうせ夜は禁書エリアを案内してくれたお礼を体で払う必要があるんだ。ウェヘヘヘ。

 

 いかんいかん。折角顔が良くなったんだからキリッとしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『馬鹿かお前はー!』

 

 

 あまりの声量に耳を突き抜けて脳まで揺さぶられている気がする。電話、この場合は念話の相手はそうとうお怒りのようだ。

 開幕一言目がこれなのだからよっぽどの事をしたのだと思うわけだが心当たりが全然ないのだが。

 

 

『貴様……その様子だとわからんと惚けるようだな? ん? この戯けッ!!』

 

「え。ボク、何かヤバイ事でもした?」

 

『寧ろ国際問題にでも発展しそうなヤバイ事だ馬鹿者! 確かに頼み事をした私も悪いが貴様はやりすぎだ!』

 

「あ。頼み事といえば血、集まったよ。五十本じゃ納まらなかったから小さな瓶に入れたものが後十四本あるよ」

 

『おぉ! でかした……じゃないっ! “頑張りすぎたのが”問題なんだ!』

 

「……どゆこと?」

 

 

 頑張りすぎたのが何が悪いのだろうか。血が多ければ多いならエヴァンジェリンも喜ぶはずなんだが。

 確かに約束の一月を通り越して一ヶ月半もアリアドネーにいたのはちょっと悪いと思っているけどそこまで怒る必要はないと思う。

 禁書エリアの本が思いの外、面白いのがあったから熱中してしまったんだよ。そのせいで血を集めるのをそっちのけにしたせいで半月伸びるハメになったのが経緯だ。後は司書のお姉さんとグチョグチョネチョネチョしてたからだな、ウン。気持ち良かった。

 

 

『貴様、アリアドネーの男性騎士を敵に回してるんだよ! 好きだったあの子を奪われた鬱憤を晴らすとか言って戦争の準備をしてるんだ!』

 

 

 一瞬、脳裏を朗らかに笑う猫が浮かんだ。またまたご冗談を。

 

 

『それにメガロメセンブリアの重役の娘とも交わっただろ! アリアドネーとメセンブリーナ連合との間に国際問題になりそうなんだぞ!? あれだけ問題を起こすなと言ったのに!』

 

「え」

 

 

 すぐにメガロメセンブリアの重役の娘と聞いて思い当たる人が浮かんだ。

 

 あのお姉さんかよ……!

 

 ナンテコッタイと頭を抱えて落ち込んだ。たった一つの過ちが全てを台無しにするのは本当だったようだ。ぶっちゃけピンチ過ぎて思考が止まりそう。

 メガロメセンブリア、メセンブリーナ連合にいつの間にか喧嘩売ってるよボク……。

 

 

「マジか」

 

『いいから早く逃げろ。こっちで準備はしてあるから、な?』

 

 

 エヴァンジェリンが優しくて泣きそうです。完全にボクが悪いのに気遣ってくれるエヴァンジェリンだけがボクのジャスティス。やはりナンパをした女の子がいいかと思ったけどそんな事はなかったぜ!

 うん。完全に外道だボク。

 

 取り敢えず逃げる準備をする。だらしないエヴァンジェリンの荷物を纏める事に慣れていたおかげで散らかっていないが服も洗濯している物が多いので魔法で乾かす時間が必要だった。濡れたままだと後始末が面倒だもの。

 うーむ。女の子と寝たりする事が多かったけどテクニックは磨けたのが唯一の収穫にも思えてならない。

 一ヶ月半の調べ物の結果がエヴァンジェリンの魔法の基本的な理論をしっかりと理解しただけだった。わけのわからない例を出せば昔の作曲家の楽譜の裏に隠された当時の気持ちを何とやらみたいな。

 魔法の射手の応用法も更に広がったので戦闘力は変身した第一形態のフリーザ様より第二形態寄りにパワーアップしたと思う。ふふ。まだ私の変身は残されてますよ。

 マギア・エレベアなら千変万化とも言える変身はできるんだけど敢えてそこは伏せておこう。

 

 

『転送ポートは封鎖されるかもしれん。別れた場所に転送魔法陣を描いておくから急いで来い。言っとくが今まで寝た女に別れを言う時間はないぞ?』

 

「あっちは本気でもボクは半分お遊びだからね。ヤる前にどうなのかは一応聞いたと思うんだけど偶に本気になる子もいるからねぇ。スッパリとキッパリと諦めてくれると嬉しいんだけど対処はどうしよう」

 

『どうせいなくなる。ほっとけ』

 

 

 これはネタ振りなのか? 言え! 何でそんな事を言った!

 

 とはいいつつもエヴァンジェリンは寂しがり屋だからねぇ。諦めの感情も含まった言い方をしていると思う。

 吸血鬼になりたては心を許せる者がいたらしいが死んでどうせ人は死ぬのだと悟りを開いたんだと思うよ。幼気な少女に味方した奴はロリコンやペドフィリアかと思ったのは内緒だ。良い人は一応、いるんだね。

 

 心が汚れていてごめんなさい。

 

 

『あー、何だ。闇の魔法で雷の術式兵装があっただろ。それか光が』

 

 

 ありますね。雷帝と光帝が。シンプルで中二ネーミングだが割と素早く動くなら雷か光だと理科で習った気がするので使っているだけだ。

 雷と光は同じものに思っていたが稲妻の速さと光の速さは別物なのだとマギア・エレベアの術式兵装で実験して初めてわかった。取り敢えず光速は捉えるのは無理ゲー。

 エヴァンジェリンほどの実力者でも一秒の間に何度ボコれるだろうか。逆に速すぎて思考が追い付いていないから光は使い物にならんけどな。雷は恩恵なのかは不明だが生体電流? に作用するから思考速度も上がる。それでようやく暴れ馬を御せる事ができるのが現在の最強戦法。

 一瞬しか使わないから相手は何をしるのかされてるのかわからんだろう。ポルナレフコピペさん、出番です。

 

 

『おい聞いてるのか? とにかくその術式兵装で一気に離脱しろ。囲まれたら今のお前の顔もバレて面倒になるぞ』

 

「お面でも使うよ。雷なんか使ったらカバン燃えそう。ボク、エヴァンジェリンみたいに影に荷物を仕舞うのはまだ無理だよ? 手帳も燃やしたくないしお気に入りの服も」

 

『私が作ったのを大事にしてくれるのは嬉しいが捨てるべき時は捨てろ。燃やして手帳と血の入った容器だけ持って帰って来い』

 

「血だけは譲らないのがエヴァンジェリンらしいよね」

 

 

 言われずともと既にその二つだけはエヴァンジェリンの裁縫技術を頼りにして作ってもらったカバンに入れてある。センスのいいエヴァンジェリンだからこそ抵抗もなく使えるが素材を知れば絶対に嫌がる。間違いなく。

 切った髪の毛や髭に体の垢がどうなっているか知れば誰だってうわぁと思うはずよ。昔の人が生贄とかで悪魔を呼び出したりとか妖刀を作ったりとかの概念に似ている気がする。

 

 

『というかお前、普通に私の名前を呼ぶなよ。もしこれが盗み聞きでもされていたらどうするんだ』

 

「携帯念話を持っているのボク等だけだと思うよ?」

 

 

 そもそもの発想が未来のものだから同郷の人間がいなかったら盗聴も思い付かないと思うんだが。携帯電話の概念はないはず。きっと。

 元々ある念話システムを現代の携帯電話のシステムを付け加えてわからないようにしてあるはずだから携帯電話を知らないと絶対に仕組みがわからない。盗聴も考えられないと思うんだが。

 

 荷物をまとめて準備を済ませた。エヴァンジェリンとの会話もある程度で切り上げて指にストックしている雷の魔法を発動させる。雷だからパチッと電流が指にまとわりつくのが視界の端に見える。

 うわ。やっぱりだけど雷を使うと変な感触だ。ビリビリパチパチと体の底から湧き上がるように感じる。静電気よりも強い静電気が体の中を走っているイメージだ。

 

 ―― 解放 白き雷

 

 術式兵装の名前はない。命名の義務もないし雷帝よりも一回り弱い術式兵装だから使う機会も多いしエヴァンジェリンのように後の世に残そうとも思っていないので名無しの雷の術式兵装と呼んでいる。

 威力次第で性能も違う。名前を付けるのも億劫だし。

 電気を纏いながら外に飛び出す。飛ぶ事が苦手でも建物から建物へ飛び移れる事ができれば雷の速さで飛び移る事が可能だ。誰かに見られないように遅くないようにするのも苦労しそうだが案外できるものだ。

 残念だがどこぞのテンプレのように足を踏み外したり敵に囲まれるなんて事はなかったので無事にエヴァンジェリンの魔法陣に辿り着く事ができた。

 

 もうローチは許してやれよ。

 

 

 

 

 

 

 







 ただの嫉妬で指名手配。だが娘を取られた親は大激怒。一度の快楽で大問題になるのは割とあること。だが許されない。

 普通ならこの後に捕まってなんちゃらかんちゃらでヘラスのじゃじゃ馬に会ったりナギの嫁に会って寝取る展開になるのも割とあること。だがこのオリ主は逃げる。ローチはもう許してやれよ。



 ここで一つ。マギア・エレベアの扱いは最終決戦のネギ以上です。しかし総合戦闘力はネギが上。英雄と王家のハイブリッドだからしょうがない。元のスペックが違うだけでここまで差が出るのはあるんだもの。

 まあ、ネギの肝を抜く戦い方をするので互角かね? 元ネタをたくさん知る事はネギに似た戦い方をする者の天敵も知ってるわけですから。



 報告を一つ。題名を変えたのはただの釣りです。察しのいい人はまさかこの後……とか思ってる人は多分正解です。やる気が続けばやりますが適当に書き殴るとこうもスラスラできるとは思わなかった。もうこのスタイルでやろう。





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