真祖の眷族   作:賢者神

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交わる

 

 

 

 

 

 

「これでアリアドネーの大方の案内は済んだな。騎士の多くはアリアドネー騎士養成学校か騎士団本部にいる。遠征をしている者もいるようだが探すならそこだ」

 

「おー。理解した」

 

「問題だけは起こすなよ。吸血鬼殺しに特化した騎士団の隊もいるんだ。目を付けられたら逃げるのにも苦労するからな」

 

 

 どちらかといえば喧嘩を売ってどこまで今の自分の力が通じるか試してみたいものだ。マギア・エレベアの力でできなかった事ができるようになっているので色々使えるものがないかを探したい。

 実戦に勝る訓練はないと誰かが言っていた気もするし、吸血鬼殺しに特化しているなら極度の緊張感を持ちながら戦える。

 生きるか死ぬかの瀬戸際であれば生きる為に足掻き、生き残る為に本能と脳が最善の方法を導き出して更に洗練された実力を生み出せる……はず。あくまでも勝手な思いと根性論に自己論だもの。

 

 

「異性を堕とす吸血鬼の誘惑も体で覚えておけ」

 

「え。そんな素敵特典があるの?」

 

「そもそもお前も以前に引っ掛かっていただろうが。流し目に吸血鬼の魔力をほんの少しだけ漏れさせて誘惑する事は簡単にできる。練習して習得すれば後々、役に立つかもしれんだろ」

 

 

 モテモテハーレムでも作れるわけだ! だが催眠である。

 

 

「それを使えば女はお前の虜。ついでに従者でも探したらどうだ?」

 

「普通の人間だったら死ぬんじゃないですかねぇ」

 

 

 普通の吸血鬼なら探せばいるだろうが吸血鬼の真祖となれば数は少ない上にエヴァンジェリンだけというオチになるかもしれない。

 従者がいれば戦術の幅は広まるし長い時間を一緒に過ごせるかもしれない。だが普通でない自分達は同じ普通ではない者を見つけなければならないのだ。非常に面倒臭い。それに今はどうしても欲しいというわけでもないし。

 

 

「お前専用の娼婦を見つけると思えば……」

 

「表現が生々しい」

 

 

 生々しいかどうかは置いとくとして手付きが妙にエロいエヴァンジェリン。見た目は少女でも中身は汚いオッサンのようだ。具体的に言えば援交する中年太りしたオッサン。

 同人誌の定番ネタだろうが現実でやるとどうもなぁ。幼気な女の子を調教して自分だけの物にするとかされたら許せん。

 

 似たような事をしようとしているボクが言う事じゃないけどねー。

 

 

「エヴァンジェリンも男婦でもいんの?」

 

「昔は奴隷がいた。言っとくが悪魔以上にクズな奴だけで囮に使ったくらいだ。血は不味いし五月蝿いし臭いし」

 

「……ボク、臭う?」

 

 

 もしかしたら加齢臭でも出ているのか? と着替えた服の匂いを嗅いでみた。これでも臭いには気遣って湯浴みとかしてんだけどと思う。

 昔の人はお湯を贅沢に使わない習慣があるので一杯に満たした浴槽のようなものに浸かる事もないため、初めはエヴァンジェリンにも変な目で見られた。ドラム缶風呂、慣れれば開放感があって気持ち良いと思うんだけどさ。

 石鹸もわざわざ自作して洗ってるんだけど臭ったらショックだ。そこんところどうなのだろうか。

 

 

「臭う事はないが……寧ろ私は好きな匂いだぞ」

 

「……う、うわぁ」

 

「おい。何でドン引きをしてるんだお前は」

 

「だ、だってさ。男の匂いが好きって言うと暗に匂いも全てが好きだと言ってるようなもんだよ」

 

 

 特にヤンデレさん。自分だけを見てくれる点以外は生理的に受け入れない部分が多い。最後に勘違いで殺されるのは絶対に嫌だ。

 共にある時間が長ければ長いほどヤンデレになる確率が高いと俺氏からの報告がある。エヴァンジェリンがそうならない事を祈るしかない。もしそうなれば世界を股に大逃亡劇が始まるぞ。

 

 その言葉に何を勘違いしたのかわからないがエヴァンジェリンは顔を真っ赤にして違うと弁明を始めた。可愛い。

 別に好きである事は否定しないが匂い云々はそういう意味じゃないとのこと。必死に弁明する姿がとてもチャーミーでラブリーでした。

 まあ、時々寒いからといって一緒に添い寝しながら寝るもんな。もう洗脳の領域で匂いも覚えてるんじゃないかと思うんだが。エヴァンジェリン、氷に適性があるからか寒い時は寒いらしいからねぇ。

 逆に氷の適正以上に火の適性があるボクは冬は快適だけど夏は死にたくなるもの。火に適性があれば逆に夏に強くなると思ったのだが、今までのフィクション知識は変な場所で役に立たなかったようだ。

 

 

「ほ、ほら! いいからさっさと仕事をしてこい!」

 

「了解」

 

 

 遊びは終わりのようだ。プンスカと怒る可愛いエヴァンジェリンの変装している姿の髪の毛をサラサラと撫でるように触れた。照れ隠しに蹴られた。

 

 

「演技するなら乱暴な真似せずにお淑やかにしてれば?」

 

「五月蝿い五月蝿い五月蝿いうるさーい! 黙っていればいい気になりおって! 三十人じゃなくて五十人集めてこい!」

 

「げっ。マジ?」

 

 

 賄賂にお小遣いを増やすからと言ってみたがお怒りのようで聞き入れてくれず。ノルマが三十人から五十人に増えてしまった。

 三十人も集めるのは大変なのに五十人って何日かかるんだよ。一日に何人ナンパできるのだろうか。

 

 

「待て。小遣いだけは貰う」

 

「最低だねー相変わらず……三十人で勘弁してくれない?」

 

「駄目だ」

 

 

 追加で容器を二十本貰う事になった。不幸すぎて泣けてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしよければボクとお茶でもしませんか?」

 

 

 ナンパなんかした事がないからありきたりな言葉しか吐けない。多分、笑顔も引き攣っていると思われる。

 だってナンパしている相手の女の人、少し引いている感じがするもん。クソ、こうなる前に彼女でナンパの練習していれば……それも怒られるか。

 

 

「申し訳ありません。騎士の身なので忙しいので。お誘い、ありがとうございます」

 

 

 無論、振られた。畜生。

 

 好みのクールな女騎士をナンパしたものの、一瞬で振られた。催眠も使わずに顔とナンパテクだけで勝負したのは間違いだったか。

 これで二人目だ。一人目はナンパ成功したものの、清楚を被ったビッチだった。処女ビッチならまだしもヤリマンビッチという最悪なパターン。死ねばいいのに。

 

 アリアドネー魔法騎士団の女はこうもガードが固いのだろうか。薄い本ネタ的に性な目覚めた騎士様に最適なキャラクターはおらぬのかっ。

 エヴァンジェリンは血が欲しい。ボクは女の子とえっちしたい。セックスしたい。どちらも正常な人間なら外道、異常な行動に見えるだろうがボク等は悪い魔法使いだし(悟り)

 今は騎士団養成学校でテストがあるらしく、外を出歩く者は少ない。更に女性限定なので更に厳しくなる。ナンパをした数は二人、女性を見たのは五人のみ。省いた三人は好みではなかったので。

 ファンタジー要素が詰まった魔法世界は流石だ。色とりどりの髪色やら瞳の色やら。現代の日本なら無理であろう女性が多くいるのでファンタジーフェチには堪らない世界だ。ケモ耳フェチやらケモナーも大歓喜のはず。

 

 エヴァンジェリンは時間には厳しい。朝は弱くて寝坊は多いのに何かと時間にルーズな部分がある。

 ケータイデンワーに似た通信機と同じ性能を持つマジックアイテム、魔法具とも呼べるものでエヴァンジェリンと会話と相談ができるものがある。見た目はタロットカードのようなものなのに魔法ってスゲーと改めて思う。

 

 

「ナンパ師はおらぬのか」

 

 

 自分で口説き落とすよりも誰かから助言を頂こうと作戦変更をした。ナンパが仕事なチャラ男がいれば首を掴んで脅せばいいだろうし。ゲス顔を披露すれば誰でもポロリと喋りそうな気もした。

 無駄に凄みあるし。変身して脅せば悪役も真っ青だと思うよ? 火と氷とバリエーションも豊富だもの。

 

 ファンタジー要素に溢れる魔法世界さんはボクを飽きさせないようだ。行く人、すれ違う人の中には亜人と呼ばれる人間とは違う姿を象る生物がいる。

 犬と混じる亜人、猫と混じる亜人、蜥蜴と混じる亜人。リザードマンとか生で見れて感動ものだ。もっと凄いのと一緒にいるけどまた違った感動に胸を打たれざるを得ない。ファンタジー万歳。

 取り敢えず騎士団に猫耳少女とかいないかなぁ。

 

 ナンパはすれども釣れるのはビッチのみ。もうビッチでエヴァンジェリンを騙そうかなと邪な考えが過ぎるが逆に自分が貧血になるまで吸われるので努力はせねば。機嫌の善し悪しで量が変わるんだ。

 今頃エヴァンジェリンは欲望の赴くままに衝動買いとかしているんだろうなと暢気な彼女に恨み言を綴った。

 自分で血を集めろよとナンパをする度に思ったが手配されている彼女は簡単に動けないだろうし弱みを握られているから逆らえんし。

 一人よりもゼロを借りればよかった。中身は残念だが見た目だけはいいのでナンパにも役立ちそうだったのに。

 

 ボクも従者に人形を持とうかね?

 

 

「ええっと……お茶くらいなら」

 

「本当ですか? ありがとうございます。アリアドネーには観光できたんですが地理もよく知らないので地元の人に美味しいお茶が飲める場所を聞きたかったのですが」

 

 

 今まで振られましたと。

 

 

「あ、あー。それは……騎士団には不純異性行為禁止というルールがあるので皆断ったんだと思います」

 

 

 マジでか。ガチガチの教頭でもいるのか養成学校。

 

 

「そうでしたか。いやはや、騎士団の女性の方は冷たいものだと」

 

「あはは。ナンパされたんだと思いますよ? 貞操理念に厳しい人もいますから」

 

 

 ……何だろう。少し胸が痛む。

 

 通算二十人目でナンパに成功した。優しそうな性格をしてそうな可愛い顔、赤い髪の女の子なのだがどうもエロゲーのヒロインでいそうな感じの子なんだよね。

 レイプ目が似合いそうな……いや、何でもない。

 

 

「あの。時間は大丈夫でしょうか? アリアドネーは広いので案内するにしても時間が必要なんですが」

 

「観光名所は一通り見ました。できればお洒落なテラスに案内してくれると嬉しいです」

 

「あ。それならいい場所があります。同業者、アリアドネー騎士団の皆も利用しているんですよ」

 

 

 あ。この子チョロイわ。そう思ったボクは死ねばいいと思う。

 それにしても騎士団がよく利用する店なら普通にナンパするよりもそこで撒き餌をすれば効率は良さそうな気がしてきた。

 ここでこそ吸血鬼の魔性の誘惑を使うべき場所だろう。女性を惹きつけるフェロモンでも出せば誰かしらホイホイ釣れるかもしれない。マジチョロイわと草を生やしたくなるが完全にクズ野郎になるので黙っておく。

 一度だけ誰かと寝れば噂大好きな女性はあの人凄いよマジ。って股を開いてくれるかもしれない……ふへへ。

 

 

「じゃあ行きましょうか。空は飛べますか?」

 

「大丈夫です。少し早くても追い付けますんで」

 

「すいません。ここからは遠い場所にあるので飛んだ方が早いんです。飛行禁止区域はありますけど少し複雑に行きます」

 

 

 そこは素直に最短じゃなくても安全なルートでもいいんじゃね?

 

 

「はい。構いませんよ。アナタと少しお話もしたいので」

 

「あはは。口が上手ですね」

 

 

 吸血鬼になってもニコポナデポはないようだ。あれがあれば話ももう少し容易く持ち込む事もできただろうに。

 吸血鬼の誘惑の魔法は効能は期待できるが下手すれば眷族化するリスクがある。要はモテすぎてヤンデレ化するかもしれないし、依存し過ぎて崇拝するかもしれないとエヴァさんが言ってた。

 少し練習しておけという言葉の意味がようやく理解できた気がする。説明は受けたのに忘れるのはアホだけど。

 

 

「へー。騎士見習いなんですか」

 

「はい。念願の騎士になれたんですが仕事仕事大変で。今日も見習いになって以来初めての休みなんですよ」

 

「では今日はボクの為に時間を取らせてしまったようで。よければ今日はご馳走させてもらえませんか?」

 

「えっ!? でも申し訳ないですよ!」

 

「構いません。少し多めに給料を貰いましたので余裕はあります」

 

 

 エヴァンジェリンのムダ遣いから財布を守っていると自然に貯まったし。浪費家ではなかった自分を褒めてやりたいところだ。

 ナンパした女の子騎士と並んで飛びながら会話を交わす。女の子と会話で吃る事はしなかったものの、彼女ができてすぐに今の時間に来たのでやはり女性と会話するのは未知の次元である。可愛い笑顔に逆に堕とされそうだ。

 今からこの子に血をくださいとか言うのかボク。ただのカニバリズムならぬ血液中毒じゃないか。

 

 吸血鬼だけどね。ボク。

 

 

 

 

 

 

 







 はいはいエロゲエロゲ。

初めはこんなかんじのキャラです。後で誰だコイツ!? って突っ込まれるキャラにはしたいけどノリとかで正常なのが病気とか言われそうなんだよなぁ。

 あ。別にエロゲのキャラとか参考にしてないのであしからず。しいて言えばレイプ目は似合う。




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