真祖の眷族   作:賢者神

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移ろう

 

 

 

 

 

 

「……はい。確認しました。ポートへどうぞ」

 

「ホ。ありがとうございますじゃ」

 

「そちらのお嬢さんもお気を付けて」

 

「ありがとうございます。では行きましょうおじい様」

 

「そうじゃのぉ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ザル過ぎワロス」

 

 

 草まで生やしたい気分だ。信じていないわけではなかったが彼女の偽装技術が凄いのか警備がアホなのか。

 

 

「おじい様? ……少しは演技しろ。どこで誰に見られているのかわからんのだぞ」

 

 

 オマエモナーと思ったが正論なので素直に言う事を聞く。ここでバレたら逃亡が面倒臭くなる上に警戒が強まって魔法世界に行くのも難しくなるかもしれない。

 魔法世界は今いる地球とは別の魔法が当たり前の世界。エヴァンジェリンに聞いただけなので詳しい事も知らないが、ファンタジー要素が濃い世界であるのは理解している。女騎士様ぺろぺろ!

 

 生憎、ボクとエヴァンジェリンはお尋ね者だ。こういう公共の場では警備の者が顔を知っているかもしれない。

 その前提を覆す為にエヴァンジェリン特製の変装術を使って警備を摺り抜け、魔法世界に行こうと考えた。エヴァンジェリン自身は何度もそれを使って魔法世界に渡っているのでそこは彼女に任せている。

 設定は幸先短い老人と孫のお淑やか孫。元々エヴァンジェリンはお嬢様なので口調もそれらしく、簡単に騙されているようである。おじい様とか呼ばれるのは少し癪だが。年齢はジジイでも心はまだ少年のままだもの。

 転送ポート、魔法世界に渡る唯一の方法である転送術もしくは転移術の効果がある魔法陣の上で少し待つ。空間固定をしているそうでここ、旧世界と魔法世界の転送ポートを繋げる作業に時間が必要なのだそう。

 

 ついでなので転移術の研究に使わせてもらおう。時間移動には空間を越える必要もあるので空間移動にはもってこいな技術のはずだ。

 

 

「おじい様。そろそろですので私に掴まってくださいませ」

 

「フォフォフォ。すまんのぉ」

 

 

(おい。何だそのヘンテコな笑い方は)

 

(ファファファがよかった?)

 

(怪しまれる事だけはするなとあれだけ……)

 

(ふざけてもバレないようにはするから安心してよ)

 

(安心できる要素がないわっ)

 

 

 コイツ、直接脳内に……!? もできる魔法マジパネェ。残念ながらまだファミチキは売られていないのでそこだけは残念である。

 中世時代だからメシマズだし現代の日本には必ずあって有名なものは美味しい料理とは言えないマズさだ。これを考えると未来って舌が肥えるんだなと変なところで納得してしまった。

 米はある。だが炊飯器がない。キャンプで炊飯はした事がないので試行錯誤をしてエヴァンジェリンと顔を顰めて飯を食らった事も何度あった事か。今ではカレーライスを作れるようになっているので丼もののレパートリーを増やそうと頑張っている次第だ。

 自分よりも長く生きているエヴァンジェリンも料理のレパートリーはあるので当番制で変わる変わるで料理をしている。エヴァンジェリンの場合は美味くて舌が肥えるんだよなぁ。

 

 

(あちらに着いたら解除魔法が使える奴等がいる。影の転移術で姿を消す。いいな?)

 

(こういうのはプロに任せるよ。信じてる)

 

(任せておけ)

 

 

 視界に光が広がる。瞳の色を誤魔化すメガネを使っているので某大佐のようにはならなかったが言い様のない気分の悪さというか方向感覚を狂わされている事に嫌になり始めた。

 

 

(エヴァンジェリンさんエヴァさん。気分悪いんだけど)

 

(我慢しろ。すぐに終わる)

 

 

 時々、ワープをする時は気分が悪くなる描写があったが自分が体験する事になるとは。自分に耐性がないのだろうか。

 あっちに着いたらゲロでも吐きそうだと思いながら浮遊感でなるべく吐き気を抑えられる事を祈る。

 

 

(動くなよ)

 

 

 エヴァンジェリンの脳裏に響く声を聞いてフリですかと返そうとしたが気分が悪いのでそんな余裕はなかった。

 エヴァンジェリンの肩に手を置いていたはずなのにいつの間にか逆に手と手が繋がっていて影の中に引き摺り込まれる。影の転移術もまた違った気味悪さがあるのは仕様なのだろうか。

 魔法世界の転送ポートを去るようにボク等は光で目が眩んでいる間に姿を消す。後には他の利用者のみだった……かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら。これを舐めてろ」

 

「ああ、ありがと」

 

「すまんな。ここまで耐性がないとは思わなかった。影の転移術は大丈夫だから転送ポートも大丈夫かと思ったんだが」

 

「慣れるよ」

 

 

 原因は多分、エヴァンジェリンの変装魔法のはずだから練習をしようと思う。どう練習するかは後で考えるとしよう。

 エヴァンジェリンから貰った飴を口の中で転がしつつも幻想的な光景を目に焼き付ける。画面の中、本の中の描写でしか見た事がない景色に少し感動した。

 

 

「あれが魔法世界最大の都市、メセンブリーナ連合のメガロメセンブリアだ。初めて見た感想はどうだ?」

 

「凄い、かな? 軒並みの言葉だけどとにかく凄いとしか言えない。世界にはあんな景色もあるんだなって感動したよ。カメラでもあれば撮りたいほど凄い」

 

 

 思わず飴を舐めながら両手で四角を作って覗きたくなるほどに。携帯電話やらがあれば写真に興味がなくとも撮ってしまうだろう。

 気分を整える効果があるので徐々に気分の悪さが元に戻り始めているので景色を眺める余裕も出てきた。変装を解いて眺めていればエヴァンジェリンも隣で偉そうにふんぞり返りながら腕を組みながら立っていた。

 何故かお嬢様のままの姿でやっているので違和感しかないのだが。金髪から紫の髪へ、赤の瞳は緑の瞳へ。身長は変わらないままで別人に変装している彼女は魔法世界では有名なので変装は解けないそうだ。

 ボクは黒髪赤目のまま。吸血鬼のなりそこないだから黒から赤に瞳の色が変わっているので変装はしていない。

 というか不細工から美麗に変わった自分をボクだと判断できるはずがないと思ったからそのままにしている。ニキビの跡だらけの顔から女性受けする綺麗系の顔になるなんて誰が思うだろうか。

 

 

「偽名を忘れるなよ。本名はあまり知られていないだろうが万が一という事もある。別人になりきるように努力をしろ。いいな?」

 

「わかった。耄碌したジジイでも演じるよ。笑い方はファファファでいいよね?」

 

「怪しいだろうが!」

 

「冗談だよ冗談」

 

 

 コイツは全く、と頭を抱えるエヴァンジェリンは冗談は通じないようだ。今までも冗談を言っているが冗談にはならないらしい。地味に罰として飯抜きにされるのは痛い。自重するようにしよう。

 

 

「アリアドネーに行くんだっけ?」

 

「別行動をしたかったのだがお前は地理がないからな。道案内のついでに道を覚えてもらう」

 

「……ボク、子供じゃないんだけど」

 

「子供だろうが。好奇心に負けて捕まった事があるのは忘れたのか? ん?」

 

「すんませんでした」

 

 

 ボクの物語のそもそもの原因は自分自身なんだけど。魔法に触れて浮かれていたのが大きな原因だとわかっている。

 最終決戦のアイツと会う原因にもなっているから所謂、物語で言うフラグだったのだろう。

 分岐点でもあったから好奇心が旺盛でなければ魔法の普通の力は手に入れられなかったと思う。マギア・エレベアの術式もエヴァンジェリンに刻まれなかったかもしれない。

 

 

「ふん。まあ、好奇心がなれけば魔法の研究はするべきではないがな。何かを知りたい、何かを起こしたいという欲求がないとやる気も出ないだろ?」

 

「ボクの場合はタイムトラベルをしたい点だろうね」

 

 

 後はフィクションの魔法を再現したいのだろうか。人一倍の好奇心はあると自負している自分はエヴァンジェリンよりもあるのではないだろうか。

 

 

「アリアドネーで騎士を見つけたら処女の血を確保しておけ。和姦に持ち掛ける事くらい容易いだろ」

 

「ボクを性犯罪者か何かだと思ってんの?」

 

「……貴様、私にした事を忘れたのか」

 

 

 それを言われると弱い。エヴァンジェリンには謝っても一生許されない事をしているのでそこだけは茶化せないし自分が下僕である事を再認識する。

 それがあるから彼女の下僕、眷族として仮契約をした。それも物語上の重要なフラグであった。あれが無ければ絶対に負けて死んでいた自信がある。魔法を完全に使えないズブの素人のままだったはずだ。

 

 

「あー、ごめん。どうしたら許してもらえる?」

 

「処女の血を三十人分集めてこい。言っておくが奪う前に取っておけよ。お前の使用済みの女の血は飲みたくない」

 

「でもボクの血は結構欲しがるよね?」

 

「……」

 

 

 無言で蹴ってきた。痛い痛い。

 

 

「三十人も処女いるの? 勝手なイメージだけど戦いで発散してそうなんだけど。ストレートに言えばヤリマン?」

 

「ストレート過ぎだ」

 

 

 できるならヤリマンじゃない騎士が多いといいなと淡い期待を持つ。最悪なパターンが既に調教済な騎士多いこと。もしいればご主人様とか呼ばせてる奴ぶっ殺してやる。

 

 

「安心しろ。女騎士は処女であれば非処女と比べると魔力は多い事が多い。逆の場合なら体が柔らかくなる、痛みに強くなると特徴があるな」

 

 

 破瓜は痛いらしいからねー。痛みに強くなると聞けば少し納得できる。

 エヴァンジェリンの場合は五十年使わなければ膜が復活するそうな。吸血鬼の超速再生で傷と一緒に治る事もあると前に聞いた事がある。

 痛いのが嫌なので性行為をその周期の間に行って発散もするらしい。寝ている間に息子を使われたと知って男として情けなくなったのもつい最近の事だ。

 

 

「それとな。強い部類の騎士は締まりがいいらしいぞ」

 

「何かエヴァンジェリン、オヤジ臭いよ。普通は中年のオッサンが言う言葉じゃないの?」

 

「別にいいだろ。長く生きていればこうなる」

 

 

 なりたくねーと思ったのは内緒だ。

 

 できるならもう少し紳士的でありたい。エヴァンジェリンに対しては自分でもクズだと思うが女性には優しくありたい。

 今から強姦紛いな事をしようとしている人間の言う台詞じゃないけど。

 

 

「ほら」

 

 

 エヴァンジェリンから注射器らしき物を渡される。昔のうろ覚えな知識からエヴァンジェリンが作ったもので主に血を保存する用途で使っているわけだが。

 文字通り三十本、三十人分渡された。血を抜いた後に血が貯まる細長い容器を器用に指で挟みながら。小さく見えるのであまり量は必要ないのだろう。

 

 

「じゃ、頼んだ」

 

「というかさぁ。ボクが他人の女性と性行為するの抵抗ないの? 嫉妬したりとかさ」

 

「嫉妬? ふん。それは人間だからだろう。人は何時か死ぬ。永遠に近い命で私の眷族であるお前が取られる事を何故嫉妬しなければならん? ……お、お前はもう私の物なんだからな!」

 

 

 お嬢さん、可愛いですね。

 

 

「お前とは肉欲に溺れる毎日よりも家族のように過ごしたいんだよ。ムラムラするなら他の極上の女を抱けばいい。私は特に気にせんよ」

 

 

 ヤリチンだけは勘弁な。陵辱系の主人公だけは嫌だ。

 

 それにしても三十人の処女の血ですかい。別にセックスをしろというわけでもあるまいし殺して血だけを抜き取る事もできるが女子供は殺さない契約をエヴァンジェリンと交わしているからなぁ。

 殺すのだけは駄目。致命傷を与えるのは正当防衛なら可。容器を満たす血の量といえばちょっとの傷では無理そうだ。

 首筋に噛み付いてペッ以外は不可能そうだ。ダバーと唾を入れるように血を満たす方法が考えられるが、ウチのご主人様はそれを許すかどうか。

 

 

「ふむ。構わんぞ。お前の血液も一緒なら更に美味くなりそうだ」

 

 

 吸血鬼って皆変なフェチでもあるのだろうか。エヴァンジェリンの趣味が異常なのではないかと心配になってきた。

 というかセックスした後の女の血は駄目で血と混ざったボクの唾液は大丈夫なのだろうか。変にこだわっているというかもうフェチの領域だよねこれ。

 

 

「アリアドネーを一通り案内したら私は前に隠したワインを回収する。熟成しているはずだから絶品になっているはずだしな」

 

「酒かぁ。どうもアルコールは苦手なんだけど。炭酸の飲料とかも」

 

 

 子供の頃に間違って飲んだビールの味というかパチパチシュワシュワする感じ? あれはコーラとか炭酸飲料も同じだけど苦手で嫌いなんだよね。

 酔いやすい体質は変化しているかどうかわからんが変わらないならエヴァンジェリンを襲う以前に飲まない選択をするよ。

 

 

「食材も揃えておく。というわけで金をくれ」

 

「余計なの、買わないでよ」

 

「買わん」

 

「そう言いながら前にクソ高いシャンデリア買ってたじゃん。別荘があるからいいけど旅の邪魔だよアレ。本当にいる物で保存ができる食材だけにしてよ?」

 

「わかってるわかってる」

 

 

 不安を拭いきれないまま管理している財布を取り出す。必要だと思う分だけの金額の金をエヴァンジェリンの持つ財布に移した。

 ……ホクホク顔をしているのが余計に不安を駆り立てるんだが。

 

 

 

 

 







 そうそうこんな感じこんな感じ(適当)

 直接的には書いていないけどこのオリ主はエヴァンジェリンをレイープしております。後でも何故レイプ犯と化したのか理由は書くけど絶対に死ねとしか反応しないと思われる。

 死ね(嫉妬)

 UQホルダーもいいけどロリのエヴァ様の足を舐めt(ry





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