感想返信 → 本当か服部! 何故唐突に出てくるのかわからんが二人ほど服部さんがおられたので。
私事 → 鎧武最終回なので半裸で見た。腹が出てるから戦極ドライバー巻けずに肉に痕を付けるだけになっちまった。ダイエットします。
急展開。まあ、これで読者も少しは気が晴れるだろう。オリ主さん負けますし。
ざまああああああwww エヴァを本妻にしないからこうなるんだwww マジメシウマwww という気持ちで臨むと急展開になって負ける事になってた。
すまんの。まだ長くなりそう。今回は珍しく九千書いてた。
「
―― 紅き焔!
―― 紅き焔!
―― 燃える天空!
―― 笑止
同時に発動した魔法を鼻で笑う奴はローブの長い袖だけで打ち消した。マジかよ、と思う前にカラクリを見抜けた。ローブに魔法を無効化する術式か魔法陣を書いてあるはずだ。
魔法を打ち消すだけでは止まらず、そのままこちらを貫こうと伸ばしてきた。どういう仕組みをしてるんだあれは。
世界樹の杖、マスターロッドの配下にある三本の杖に指令を出す。シンプルに防げるだけの障壁を張って前にでろ、と命令を下した。命令を受けた杖はボクを守るように前に立ち塞がり、見える魔法陣が宙に浮かんでその槍を弾いた。
話もそこそこに、戦闘は始まった。話を終えて戦闘をするよりもこの流れは話しながら戦う系な感じか。
―― さあ、もっと力を見せてくれ
「言われずとも!」
腹に力を入れて飛び込んだ。魔法も発動し、思考速度を上げて高速戦闘モードに。静電気だとかで髭やら髪やらが凄い事になっているが我慢せねば。
残像を魔力の残滓で作るように移動し、攪乱する。前に後ろに横に上に。だけど見られている感じが消えない。目で追えている。造物主は攪乱に惑わされずに見抜いている。光の速さと言っても過言ではないスピードのはず……これくらいはしてくれなければ用意した意味がないから逆に嬉しかったりする。
「
―― 留まる千の雷
―― 留まる雷の斧×3
ガカカカンと雷の音が響き渡ると造物主に雷が直撃した。魔力を込め、天災の雷に近付けるように威力を調整してあるから手応えはあるんだろうが、多分これでもダメージないんだろうなと初めから諦めた。
雷の魔法を留まらせ、雷雲の中で鳴り響く雷のように永続ダメージが入るように魔法のプログラムを弄ってもいるのだが焼け石に水かもしれん。
ほら。ああ。やっぱり。
造物主は健在。掠り傷どころか埃一つもないとは少しだけショック。威風堂々に佇みやがってこのスケコマシ。
―― 素晴らしい。既に存在する魔法をここまで改竄できるとは。似て非なる性能を生み出す事は感嘆に値しよう
「お褒めいただき光栄です」
静電気を放つボクの体は雷そのものに変質させてある。雷である事もプラスして雷の属性だけ威力を底上げさせているのにどうやって防いだのやら。実力のある魔法使いでも消し炭寸前にまで持っていける威力だぞ。
まるで触手のように蠢いているローブが要因なのだろうがまだ何かが足りない気がする。お試しに、と髭の先から電撃を出して飛ばす。派手ではなく控えめに。
案の定、打ち消された。そこで見極めたのが何故打ち消されたのか、ではなく“どのように打ち消されたのか”だ。様々な実験で雷の魔法がどのように消える仕組みなのかを大体は理解しているのでそこから原因を探る事にした。
―― 種明かしをしよう。我が血族の末裔、色濃く引き継がれた黄昏の姫御子の力を流用してる
「……あー、マジックキャンセルフィールドか」
―― 左様。我が言わずとも気付けただろうが今までの褒美である。さあ、これをどのように突破するのかを見せてもらおう
余裕坦々だな。余裕だからこそ簡単にネタを明かすのか。
それにしてもよりにもよって黄昏の姫御子のマジックキャンセル能力を使っているとは。あれだけはまだ仕組みは詳しく知らないし対策もできていないままだ。つまり、超が何個も付く厄介な事だ。
「ふんぬっ!!」
考えている暇があれば投げる。まずは純粋な魔法、雷の槍を投げてみる。パシン、と軽い音と共に完全に無効化されて消滅した。これは当然か。
―― では次は我だ。踊り狂え若きノスフェラトゥ
ほげぇ、と口から変な声が漏れる。造物主の後ろに怒る英雄王のように無数の波紋、魔法陣が大量に並んでいる事に驚いた。全てが同じかと思いきや、微妙に術式が違うのがあったり魔法陣のデザインが異なる部分もある。見た事もないのがあり、緊張で体が強張る。
これではヤバイ、と思う前に造物主の魔法陣が発動して色とりどりの魔法弾が撃ち出されてきた。いつからこの最終決戦は東方になったんだ!
「ディフェンス!」
左手でマスターロッドを持ち、右手を添える。遠隔操作で指示を出して避けられない魔法弾だけを防ぐようにプログラムを与えた。周りを飛ぶ杖は杖が割けるようにその姿を変え、緑色の薄い壁が形成される。
マスターロッドを背中に回し、手を自由にすると後ろに飛んだ。思考を加速させる魔法を継続させ、一つの思考で冷静に指示を出す。
―― ふむ。奇っ怪なアーティファクトだな。だが面白い
「偶然という偶然が重なってできた代物だがな! オフェンス! ダブルフォーメーション!」
―― 雷の斧
―― 雷の暴風
心の中で呪文を唱え、イメージで魔法を発動させる。ボクからではなく、空間を縦横無尽に飛び回っている杖から雷が飛んだ。少しだけ頭痛を感じた。
黒い槍と化した造物主のローブの間を縫い、一気に接近する。雷を纏う拳で一発殴ってやると意気込んで突き出せば薄く幾重にも並んだ魔法陣が造物主の前に現れ、完全に防がれる。バチバチと電気が弾ける現象が発生した。
何だ、これは。思わずそう思った。見知らぬ模様、高度な防御魔法陣がこうも早く多く展開できるとは、と驚いた。造物主の名は伊達じゃないのは本当か……!
「マジかよ。ここまで複雑なのは見た事がないぞ」
―― 貴様/其方/あなた/お前の場合は簡略化させて魔力を込め、強度を上げてるだけに過ぎない。我は複雑化した魔法陣の模様を用いている
「ネタをそうそう明かしてもいいのか?」
―― ハンデだ。貴様/其方/あなた/お前と我には大きな差がある。こうでもしなければ勝負にはならん
「言ってくれるなクソ野郎……!」
気合一声。体を捻って腰を回転させ、回し蹴りを魔法陣に叩き込んだ。パンチとは違い、キックは魔法陣の何枚かを蹴破った。それでもまだ何枚か残っている。
にどげりと脳裏に浮かんだ。もう一回転、腰を回すと二回目の回し蹴りを放つ。今度こそ全ての魔法陣は破壊できたはずだ。
―― ! これは予想外だ
造物主が驚いているのだから破壊し尽くしたのだろう。手を休めるつもりはないと更に手を造物主の顔に向ける。
―― 紅き焔!
普通の紅き焔よりも強化された焔が造物主の隠れた頭部を消し飛ばす熱量が直撃した。元々得意な火、人体改造をした今なら更に出力は上がる。それこそ火に強いドラゴンに重度の火傷を負わせられる……といいなぁ。
だがここで容赦をせぬのがボク。一発から三発と王子のグミ弾の如く紅き焔を連射する。一発だけなら効果が薄くても連打すれば効果はある……あれ? やったかフラグが成り立ってしまったか?
―― 痛いではないかノスフェラトゥ
「うあー」
頭を抱えたくなるが手は動かさずに足を動かした。蹴り上げの要領で同時に後ろへ退いた。後ろに移動し過ぎに思えるがヒット・アンド・アウェイの戦法をしているのでこれは模範解答に近い行動のはずだ。
反撃される事も考慮し、杖に指示を出して魔法を撃ち出させる。弾幕で防御に徹底させ、距離を稼ぐように。
と、ここで妙な違和感を感じる。
魔法が効いている?
おかしい。造物主は確かに黄昏の姫御子のマジックキャンセル能力を用いて魔法を無効化する
目を細めて弾幕と煙の奥を凝視するように睨んだ。打ち消されている。マジックキャンセルフィールドが働いている証拠になる。しかし、さっきの紅き焔の場合はマジックキャンセルフィールドを貫いていた? それこそありえない。同じ魔法を使っているだけなのだからそこだけが貫いているとはもっと考えられない。
そこまで考えていると、更なる衝撃が襲う。煙が吹き飛ばされた時と同時に。
「え、は、ハァ!?」
―― フフフ。見惚れたか?
「こうすればもっと会話も容易くなろう。若きノスフェラトゥ」
エコーの声が消え、女性特有の声に変化する。フードの中の暗闇も消え、美人の女性の顔に変化する。
「今までも生き長らえる為に肉体を拝借したがやはりこの者が最適である」
「いやいやいや。いやいやいやいやいや」
ブンブンブンブン……とエンドレスに続きそうなくらい手と首を横に振って思いっきり否定する。ありえんありえんありえん。
「ほげらっ!?」
「先程のお返し、だ」
自業自得とも言える油断から生まれた隙を突かれて刺された。ローブの黒い槍で腹を貫かれついでとばかりに造物主自身の拳が顔面に突き刺さった。どこから手が出ているんだというツッコミが出せるのも余裕があるからなのか。
ズボッと音が聞こえ、何かが引き抜かれる感触を感じると腹の貫かれた部分が熱くなり、一気に再生して穴が塞がる。改造した影響で再生スピードもエヴァンジェリンに引けを取らないはずだといいんだが。
お返しと言われたので……。
「倍返しだゴラァ!」
半沢さんが乗り移ったのか、何故か浮いていた杖の一本を掴んで鈍器のようにスイングして造物主の頭をぶち抜いた。グシャリと鈍い音が杖から伝わってきた。
同時に、杖が折れた。ボキリという音が思考を停止させる。
「こう見えてもこの肉体は真祖の吸血鬼に並ぶ膂力を誇る。体の頑丈さも然り」
「弁償しろ。その体でなぁ!!」
責任転嫁もいいところだと誰かに突っ込まれそうな発言をしながらありったけの魔力を込めてヤクザキックを繰り出した。トンファーを持ちながらトンファーキックと騙すAAを綺麗に再現したキックだと思う。
唐突にトンファーAAシリーズを思い出してネタに走りたくなる衝動が訪れた。真面目にやると決めたのにエロが絡むとふざけたくなるのは何故だ。
造物主の腹部に見事なトンファーキックが決まると吹き飛ばずに腹に食い込む。女性は男性よりも肉感が柔らかい感じなのは知っているが足から伝わる感覚がそれであると教えてくれた。
女顔の野郎かとは思ったが……いや、まだだ。魔法がその境界線をあべこべにしているのはもう承知の上だ。胸の有無か股間の有無か。そこが見抜けるポイントになるわけだがあのローブをどうやって剥げというのだ。
そこまで考えている時間は僅か、一秒。思考加速にてどうでもいい事を考えたり思ったりする事もできるのだが普通は作戦を立てる時間に使うはずなのにボクは何をしているのだろうと最後の思考はそれで彩った。
思考の海から引き摺られたのは足の新たな感触。腹を蹴られた造物主が口の端からたらりと血を流しながらも笑い、足をガッシリと掴んでいるのが見え、わかった。
「去ね」
「があっ!」
激痛が走った。それもそうだろう。何せ、足を
折れた。切れた。骨も肉も。凄まじい力でそれをするとそうなるのか、と別の事を考えていた。どうもボクは冷静に物事を考える癖がある。
「膂力と魔力の掛け算。足し算が普通ではあるが架け橋として専用の魔法陣を刻めばこの程度は容易きこと。残念ながらこの肉体は膂力は貴様よりも下だから同じ立ち位置にいるのであれば負けるがな」
相も変わらずに自慢気にネタばらしをする造物主。経験した事がない痛みには耐性がない肉体だから体が硬直してしまう。捩った片手を離し、そのまま首に伸びてきた。もうほぼ反射的に反応をし、手を弾いた。
ギリッと歯を食い縛って痛みに堪える準備をする。ままよ、と心の中で叫んで
「痛そうだな」
「こんの……ヌケヌケとこのクソアマァ」
「ふむ。我は女のカラダをしてはいるが女ではない。女はカラダを武器にできるから重宝はしておるが小汚い男に犯されるデメリットだけはどうにもならん。昔から男は女と交わる為なら不可能も可能にするからな」
「知るかクソボケ!!」
多分、痛みに一方的に嬲られる事に憤慨しているのだろうと思う。今までは逆の立場だったのに加え、本気で戦える相手はエヴァンジェリンだけ。しかもエヴァンジェリンは殺す気で来ても何だかんだで再生が容易い攻撃しかしてこない。
故に、ボクは魔法使いとしての実力がない時以来、本気での命のやり取りをしていない。最後の最後、アートゥルことあのオッサン以来は一度もないわけだ。
怒りに任せて攻撃した。しかし、思考と行動が一致する事があったり不一致になる事があるとエヴァンジェリンが言うくらいのボクは怒りの感情とは別に冷静に的確に弱点を突くように有効的な攻撃を繰り出していた。相手が女性である事だけは忘れて。女性には優しくがポリシーのはずなのに。
ボゴッと女性の人体では出してはいけない音が響く。後悔よりも先に敵を仕留める思考と体が一致し、更なる追撃を行う。人を殺す技を体得した歴史を吐き出すように一撃一撃が必殺の意思を込められていた。女性の肉体を持つ今の造物主なら通じるはずだと確信を持ったからこそ体が選択をした。
吸血行為という吸血鬼らしい必殺の行動を。
「クッ、吸血鬼の吸血衝動は嫌うのではなかったのか」
あめぇ。だからこそその選択をしたのだ。嫌うからやらないだろう、苦手だからやらないはずだ。そんな先入観があるからこそ一瞬の隙になる。
さっきまで隙らだけのボクが言える事ではないが意図返しだ。怒りで我を失いそうになっているが立てた計画だけはしっかりと頭の中に残っているようだ。吸血は情報を抜き出すのにも最適な行為であるのは真祖のご主人様でもあるエヴァンジェリンからの助言で知っている。
我ながら恐ろしい。何も考えずとも最適な方法を選んで戦いを終わらせる事もできるように思えてならないのだ。無意識ってレベルじゃない。
「そうか。その髪と髭は長き時を経た事だけではないのか。細胞の一つ一つが魔素に侵食されている。人である事を望んでいたはずが、吸血鬼である事を受け入れたのか……フッ、それほど必死であるという意志の顕れでもある。やはり貴様は面白いぞ若きノスフェラトゥ」
血を吸い、肉を噛み切る。カニバリズムを初体験した。今までずっと彼女に会う為にその一線だけは越えないようにと努力をしたが、これで吹き飛んだ。
吸血鬼としての本能が喜ぶ。人の肉の味と血の味に歓喜し、応えるように体が嘶く。魔力が溢れ、エヴァンジェル・コピーが想定した改造がこれでようやく完成に至った。
嬉しそうな女の顔に拳銃を突きつける。もうここからはボクじゃないボクが吸血鬼の本能のままに力を振るう。あのエヴァンジェリンでさえ敗れる相手だ。出し惜しみはしないという思考が持ちうる手札を切る勢いで振るい始めた。
撃てば銃弾が飛び出す。造物主の顔に到達する前にローブが蠢き、弾かずに受け流して後ろへ飛んでいく。弾倉にある銃弾を全て吐き出させる。トリガーを引く度に炸裂音と共に造物主に向かっては受け流される。拳銃では有効打にはならない……今は。そう判断を下す。
今度は今まで長くする事ができなかった爪を鋭く尖らせるとクロスさせるように腕を振るって引っ掻いた。魔法陣に防がれたが紙のように容易く切り裂く。
「
嬉しそうに呟く造物主は衝撃波のようなもので一気に距離を空け、自分はローブをはためかせながら後ろへ下がる。
距離が空いた瞬間、造物主は無数と表現できる魔法陣をボクの周りに配置する。縦横前後上下隙間なく。考える前に体が動き、小さな太陽を手に宿して一気に握り潰す、と同時に魔法弾が連射されて殺到する。
体の底から湧き上がる熱に浮かされるように思考が乱れる。抑え切れない熱が暴走し、体の中心から噴き出して大爆発を起こす。それに伴う衝撃波が空間を埋め尽くすように広がると魔法弾が消えるのがわかった。
「お見事」
パチパチと手を鳴らす音が聞こえる。たった一言だが、そこに含めたあらゆるメッセージは褒め称えるものしか感じられない。本当に祝福し、褒めているのが嫌でもわかってしまう。
言動と行動が一致しないのは自分だけではなく彼/彼女も同じようで吹き飛ばした魔法陣とは別の新しい魔法陣が展開され、刻まれた模様も少し変化しているのが記憶と照らし合わせた事で理解できた。
魔法陣から放たれるのは弾なんて生易しいものではない。敵を貫かんとする戦槍。キリストを貫いたロンギヌスの槍とも錯覚しそうな膨大な魔力が込められた光る槍の矛先が出番を待つように頭だけを魔法陣から出していた。
ギルガメッシュの王の財宝か、とツッコミを入れたくなる景色に体は勝手に動いていた。順番に隙を与えぬ槍のガトリングが降り注いてくるのを視認するとストックしていた雷の魔法を解放して吸収する。マギア・エレベアの術式兵装を発動させると、螺旋を描く回転をしている光の槍を回転に合わせて回りながら掴み取る。
ジュッと手が焼ける。ただの光の槍ではなく、吸血鬼殺しの概念と恐らく不死殺しの概念が付加されているのではないか。自分は元ネタという偉大なる版権キャラクターの技術を知っているからこそ概念付加を知っているのに造物主は考えた上に実用性まで昇華させている。魔法使いとしての才能が恐ろしく思えた。あれだけの数を見れば誰でも思うはずだ。
エヴァンジェル・コピーの対策。吸血鬼唯一の弱点とも言える不死殺しを如何にして受け付けないようにするかが勝負の分かれ道だと言っていた。いわば、その概念を“引っ繰り返す”かが勝負の鍵になる。
概念を引っ繰り返すのは無理だ。もしも、ゲイ・ボルグが存在すれば一撃必殺を防ぐ手立てはボクにはない。ならばどうするのかと杭で刺されながら考えたのは結局は力技。
「……ほう?」
膨大な魔力を更に超える魔力で無理矢理概念を“上書き”する。力技で押し切り、暴発しないように細心の注意を払って概念を書き換える事でそれは不可能をできるのではないかレベルまで引き上げた。
回転する槍を止めると完全に支配下に置き、演舞を舞うように光る槍を操る。槍の扱いは不得手なので上書きした概念により、槍から一対の二本の光剣へ変化させる。そこから更に魔法を発動。雷の術式兵装に加え、
一本を失ったが、まだ無事な杖は忠実に出した命令を守る。防御魔法を張り、ルートの計算を更に容易くさせる。剣を振るう。剣を振るう。杖が守る。剣を振るう。杖が守る――そんなループが始まる。
剣に斬られた槍は消える。消えた光を吸収するように手に握られる光剣の放つ光は強くなる。少しずつ吸収させる事で内包する魔力を増やす。マギア・エレベアを会得しているからこそできる裏ワザだ。何かの漫画にもそんな展開があったは――。
「邪念が出ておるぞ」
だから何なのだと無言で大きく反撃した。光剣をクロスさせて光を伸ばし、広範囲を斬り付ける。よくある剣士のロマン砲と同じ事をしている気分だ。
前方を薙いで槍を魔法陣諸共破壊した。一気に視界が拓けたのを確認すると、杖が開いた空間を飛翔する。道の安全確保する意味合いでもクルクルと回りながら入り込む隙間を与えぬようにフィールドを展開する。
唇を舐め、舌なめずりをすると口の中に血の味が広がる。ブルリと歓喜する体が抑え切れないとばかりに動き、ロケットのように前に飛び出した。思考加速を使っていないであろう造物主は雷の術式兵装を見抜いていた事を考えるとどこにいるかはバレバレであろう。
「おお。言い忘れておった」
右の光剣を背中に回して振りかぶる。まさに攻撃をしてやるという一瞬の間でその駆け引きは始まった。どのように攻撃するのか、裏をかいて別の手段を用いるのか、それらを考えて造物主とボクは判断を下す。
何かを言いかける造物主は敢えて無視する。そこでボクは最も“しないであろう”選択を選んだ。
「我が娘と相対した事は知っておろう。契約も交わした。故に我はエヴァという真祖を知り尽くしているとも言っても過言ではない……今まで黙っていたが貴様の思考は読めているのだ」
――何をしようとしているかを、な。と続く言葉に息が詰まる。言葉を止められると共に、光剣も杖も
「フフ。言葉も出んか。エヴァ、エヴァンジェリンを知り尽くしたという事は即ち、契約のパスを乗っ取る事も同じなのだ。故に我は知る。貴様を。貴様の秘密を。貴様の真名を。あらゆる貴様を知る事ができたのだ。無論、この槍の真実の名も力も」
指を動かせば槍を奪われる。コード・オブ・ザ・ライフメイカーと同じようにクルリと回転して造物主に付き従う。奴が触れれば槍は一度螺旋状の紙に分解して槍の形状が変化し、矢の矢尻のような槍先の赤い槍になる。
「カシウスの槍と名付けたか。彼のロンギヌスの槍と似る名。使い方を知らぬ秘宝級のアーティファクトをここまで変化させる事はまさに偉業である。全く、貴様は第二の造物主となるべきかもしれぬ逸材であるな」
だが、と造物主は言葉を詰まらせる。まるで残念でならないと頭を振りながら呆然として体が動かない自分を見る。
硬直じゃない……これは、念力に似た何かで動きを封じられている! 今までの勢いを一気に殺される事になり、借りてきた猫のように大人しくなるボクの体に思わず舌打ちが漏れる。吸血鬼の本能とはこの程度なのか、と。
「もう少し遊びたいがもう時間が来てしまった。黄昏の姫御子をこれ以上苦しませずに終わらせるには貴様の肉体を儀式に使う」
「まだ終わってねーぞこの野郎」
「いいや、終わりさ。我の血を吸わせた事でもう勝負は決した」
段々と吸血鬼の本能がナリを潜める。それを見計らうように造物主はゾブリと容易く細い指を胸の中心に突き刺す。
え、と漏らす前に造物主はもう片手で優しく頬に触れてきた。それは嘗てのエヴァンジェリンが愛情を表現する手付きと同じものであった。駄目、だ、やめろ。ボクの中に入ってくる。やめろ。
「様々な手段を講じているようだが全てが無意味。擬似精霊を用いて訓練をしているようだがそれを行うにはそれ相応の準備が必要なのだろう? 準備さえ潰してしまえば恐るるに足らん」
「ボクの中に入ってくる? 見るな。ボクを見ないでくれ!」
「安心するといい。初めは辛いだろうがそれが終われば我と共に永遠に生きるのだ。愛してやろう。我の中で永久に生きよう我が息子――」
――その前に死ね。その言葉が最後に聞いた言葉であった。ゆっくりと脱力し、戦う意欲が消えていった。
エヴァ、エヴァンジェリン……助けて……。
大層に動いているように見えて実は動いていない騙し文。
オリ主が策士していると思ったら造物主が更に上の策士だったでござる。←まとめればこれだといいな。
ナギを望遠鏡で覗いていた造物主は誰なんだろうか、と考えた結果ウェスペルタティア王族のイケメン王子じゃまいか、とおもた。女性にも見えるけどエンキドゥみたいな性別オカマなのか? ネギまで最も謎なのが造物主の秘密な気がする作者。UQホルダーで謎は解明するのだろうか。
で、フリーザ様の最後の変身的に造物主は女性にシフトチェンジ。次回くらいにエヴァンジェリンさんが紹介すると思うよ。
ここでオリ主が敗れるのはオリ主が用意した切り札は全て儀式魔法に分類されるのでそれをやらないと戦うどころか同じ土俵にすら立てない仕様。この造物主はナギやられた造物主ではなくライフメイカーさんだ。さんを必ず付けろデコ野郎。手加減してくれていたライフメイカーさんマジ親切。だが死ね、である。握手を求めながら拳銃を突き付けるキ○ガイだよこれ。
そしてここでようやくオリ主はオリ主(覚醒)になりました。吸血鬼にはなったものの血しか飲まずにカニバリズムは拒み続けたのに遂に一線を踏み越えました。ギャグならスキップしながら跨ぐんだろうけど。
単純にベジータが超ベジータ様になった進化っぷり。かませ臭も進化。
次回も急展開。異次元に飛ぶ展開。オリ主叩きなら今の内にしておくんだな。多分、一番外道が誰なのか議論が始まるはず(震え声)